JP4548048B2 - 定着装置、定着ベルト及び定着ベルトの製造方法 - Google Patents

定着装置、定着ベルト及び定着ベルトの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真方式を利用した複写機やプリンター等における、主に電磁誘導加熱用の加熱定着用ベルト、その製造方法及びそれを用いた電磁誘導加熱定着装置に関する。
電子写真方式を利用した複写機やプリンター等においては、記録媒体上に形成された未定着トナー像を定着して永久画像にする工程を定着工程と呼んでいる。
この定着工程としては、溶剤定着法、圧力定着法、加熱定着法が知られている。しかし、溶剤定着法は溶剤蒸気が発散し、臭気や衛生上の問題点がある。一方、圧力定着法は他の定着法と比較して定着性が悪く、かつ圧力感応性トナーが高価であるという欠点を有している。溶剤定着法及び圧力定着法は、これらの欠点が原因となり、共にほとんど実用化されていないのが現状で、現実的には加熱によってトナーを溶融させ、記録媒体に熱融着させる加熱定着法が広く採用されている。
加熱定着法としては、従来一般的な方法として、加熱ロール、加圧ロールの両方もしくは一方の内部にハロゲンランプを配置し、このハロゲンランプの輻射熱により、前記加熱ロール、加圧ロールの両方もしくは一方の表面を加熱する方法が採用されてきた。具体的には、加熱ロールと加圧ロールとが互いに圧接したニップに、未定着トナー像が形成された記録媒体を挿通させ、ニップ内で前記ロール表面の熱によりトナーを溶融し、ニップ圧力で記録媒体に固着させることで永久画像とする方法である。
この方法においては、ハロゲンランプと加熱したい加熱ロールまたは加圧ロールの表面との間には、空気層をはじめとする断熱層が存在するため、ロールの表面が定着可能温度に達するまでの時間(以下、単に「ウォームアップタイム」という。)として3〜8分程度の時間が必要になるという欠点がある。そのため、画像形成を行わない待機時においても定着装置の温度をある程度高温に維持する必要があり、これが複写機等の消費電力の大部分を占めているのが現状である。
一方、定着可能温度に達するまでの時間を短縮した定着装置として、薄膜フィルムと固定ヒーターとを用いた定着装置が既に開示されている(特許文献1、2参照)。これらの定着装置では、加熱部材の熱容量を極力減らすために、薄膜フィルムを用いているものの、固定ヒーターが熱容量を有するためにウォームアップタイムが完全になくならず、数秒から数十秒の立ち上がり時間が必要となる。また、直接加熱しているのはあくまでも固定ヒーターであり、これを加熱することで前記ヒーターに接触する薄膜フィルムを間接的に加熱するため、熱効率が十分ではない。さらに、固定ヒーターが、回転する薄膜フィルムと摺動するため、固定ヒーターや薄膜フィルム内面の摩耗等の不具合が発生する。
そこで、近年、基体上に金属層を形成した加熱部材を用いて、該加熱部材に対向あるいは内包されたコイルに電流を流して、コイルで発生した磁界によって、加熱部材の金属層に誘導される渦電流で金属層を加熱する電磁誘導加熱定着装置が提案されている(特許文献3,4参照)。この方式では、熱効率が非常に高く、加熱部材の表面近傍にある金属層を発熱させるため、加熱部材表面を瞬時に定着可能温度に加熱することが可能となる。また、直接接触するのは加圧部材だけになるため、奪われる熱も少なくすることができる。そのためプリントジョブの間の待機時間中に、部材をある程度の高温に保つ必要がなくなる。
ここで用いる加熱部材の基体として、ロールタイプのような中空あるいは中実な金属コアを用いるよりも、樹脂や金属の薄膜フィルムを用いるほうが、加熱部材の熱容量を低く抑えることができるためウォームアップタイムを短くすることが可能となる。
そのようなベルト型の電磁誘導加熱定着装置は、加熱部材である金属層を含む電磁誘導定着ベルト(以下単に「誘導定着ベルト」と呼ぶ)と、加圧部材と、電磁誘導コイルと、ベルト内パッド部材とで構成される。電磁誘導コイルは、誘導定着ベルトに内包されているか、もしくは対向する位置に配置されている。また、ベルト内パッド部材は、無端状の誘導定着ベルトの内側に配され、誘導定着ベルトを介して加圧部材に押圧され、加圧部材との間にニップを形成するものである。
誘導定着ベルト基体としては、主にニッケル、鉄、ステンレス(SUS)等の金属ベルトや、熱硬化性ポリイミド,芳香族ポリアミド(アラミド)、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂等を用いることが多い。これらに共通の特性としては、耐熱性・高強度などが挙げられる。なお、液晶ポリマーは、溶液状態又は溶融状態で液晶性を示すポリマーであるが、溶融状態で液晶性を示すサーモトロピック液晶ポリマーは、特に高強度、高耐熱、低線膨張率、高絶縁、低吸湿、高ガスバリアー性等の優れた特性を持っている。このため、液晶性を利用するものに限らず、機械的な部品や繊維としての用途も増加している。
耐熱性樹脂の層と金属薄膜とを積層したフィルム状部材の製造は、耐熱性樹脂のフィルムと金属箔とを接着剤等によって貼り合わせる方法、耐熱性樹脂のフィルム上に、化学めっき法もしくは物理めっき法により金属薄膜を形成する方法等が知られている。
しかしながら、上記のように接着剤等で貼り合わせる方法では、金属薄膜が繰り返し電磁誘導加熱された時の接着力に信頼性が乏しい。
また、耐熱性樹脂の上に金属薄膜を形成する方法でも、一般にポリイミドや芳香族ポリアミド(アラミド)のような耐熱性樹脂と銅等の金属薄膜とを強固に接着させるのが難しい。このため、接着性を向上させるための技術が開示されており、例えば特許文献5には、ポリイミドに金属蒸着膜を形成し、その後に電子ビーム加熱蒸着銅層及び電解めっき銅層を順次に積層する技術が提案されている。
同様の技術としては、金属薄膜である銅と、耐熱樹脂からなる基材との接着層として、イオンプレーティング法やスパッタリング法により耐熱樹脂基材上に金属膜を形成しておき、その表面に銅を形成するという耐熱樹脂フィルム基材上への金属薄膜積層法に関する技術が提案されている(特許文献6,7参照)。
これらの技術の共通点としては、あらかじめ絶縁体である耐熱樹脂上に発熱金属薄層を電解めっきにより形成するためのカソード電極とするための金属層として、発熱金属層と耐熱樹脂基材との接着性の観点から、電子ビーム加熱蒸着やイオンプレーティング法やスパッタリング法などの手段で、金属薄膜層を形成する点にある。電子ビーム加熱蒸着やイオンプレーティング法やスパッタリング法は樹脂と金属層との初期の接着性が良好であるものの、例えば、定着ベルトとして使用すると、繰り返し屈曲される上に、加熱及び冷却が繰り返されるため、密着性が次第に低下する。また、真空設備を用いた処理が必要となるため効率が悪く、結果的に製造コストが非常に高価になってしまうため、生産性を考慮すると現実的な製造方法とは言えない。
一方、ポリイミド前躯体に、金属粉末を混合しておくことにより、めっきによる金属膜との接着性を高める技術が開示されている(特許文献8参照)。本技術は無電解めっき膜形成のための前処理工程の複雑化を回避するために、ポリイミド前駆体に金属粉末を分散させ、金属粉末含有ポリイミドフィルムとして一体成形するものである。しかし、ポリイミド前駆体内に金属微粒子を均一分散することが困難であるとともに、本来ポリイミド基材の表面(発熱層金属膜を形成する表面)にのみ金属粉末が分散されていればよいのだが、ベルト基材全体に金属粉末が分散されることで、基材としてのポリイミドフィルム強度の低下を生じるといった新たな問題を生じてしまう。この強度低下を回避するために、基材フィルムとしての金属粉無添加ポリイミド上に、金属粉充填ポリイミド膜を形成することが考えられるが、この方法では金属無添加ポリイミドと金属充填ポリイミドとの間の接着性が不十分となり、十分な耐久性が得られない。
また、特許文献9には、ポリイミド樹脂基材の表面を機械的に粗面化して、接着層および電解めっきの電極として無電解めっき層を形成し、発熱金属層を電解めっきにより形成する方法が提案されている。本技術では、エッチング処理を行う代わりに、粗面化によるアンカー効果を利用して樹脂と金属の密着性を得るという思想に基づいているが、より高い密着性を得るためには、より粗面化する必要が出てくる。基材表面を荒らしすぎると、繰り返しのニップ内での変形によって、基材表面の凹凸を基点として発熱金属層にクラックを生じてしまうため、剥離現象は起こらないとしても、発熱不良の原因となってしまう。
また、ポリイミド樹脂基材を多孔質状に形成し、多孔質状ポリイミド基材に無電解めっき膜・電解めっき膜を順次積層する部材が提案されている(特許文献10参照)。本技術によると、ポリイミド基材を多孔質に形成することで、表面に多数の細孔が存在することになり、無電解めっき処理を施した際に細孔内部にまで無電解めっき金属が回り込むことから、接着性が良好になる。しかし、ポリイミド基材に安定して多数の細孔を均一に形成することが困難であり、細孔の孔径が大きいものが含まれることによって、基材自体の強度不足による座屈発生の恐れがある。
さらに、ポリイミド前駆体樹脂層を加熱硬化する前の乾燥・半硬化状態で金属層を形成するといった技術が提案されている(特許文献11参照)。この発明では、金属層として触媒金属層・無電解めっき層・電解めっき層の3層、あるいは、析出金属層と、電解めっき金属層の2層としているが、いずれの場合も、乾燥・半硬化状態で上記金属層を形成することとなるが、乾燥・半硬化状態で触媒金属層あるいは析出金属層を形成するためには、強酸液中に接触・浸漬させることになってしまい、最終的に硬化させたポリイミド樹脂膜にダメージを与えることなり、定着フィルム部材として使用する上で、強度面で問題が生じることがある。
特開昭63−313182号公報、 特開平4−44074号公報 特開平11−352804号公報、 特開2000−188177号公報 特開平5−299820号公報 特開2003−91182号公報、 特開2003−91183号公報 特開平7−216225号公報 特開2003−140485号公報 特開2003-89166号公報 特開2003-88803号公報
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記問題点がなく基体と金属薄膜層との接着性が良好で、機械的特性が良好な加熱定着用ベルト、およびそれを用いた電磁誘導加熱定着装置を提供することである。
斯かる実情に鑑み本発明者は鋭意研究を行った結果、耐熱樹脂フィルム基材の表層部に平均粒子径1〜100nmの金属微粒子を形成し、この上に金属層を設ければ、耐熱樹脂フィルム基材と金属層との接着性が良好で、機械的特性が良好な加熱定着用ベルトが得られることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は、次の方法、装置を提供するものである。
<1> 耐熱樹脂フィルム基材の表面に金属イオンを導入可能な官能基を形成せしめる処理を施し、該官能基のイオン交換反応によって金属イオンを導入し、その後、該金属イオンの還元を行うことにより、平均粒子径1〜100nmの金属微粒子を前記耐熱樹脂フィルム基材の表層部に形成し、且つ該表層部上に、金属層を設けることを特徴とする定着ベルトの製造方法。
<2>金属微粒子が銅粒子である<1>記載の定着ベルトの製造方法。
<3> 耐熱樹脂フィルム基材が、ポリイミド又はポリアミドイミド樹脂の無端状管状体である<1>又は<2>記載の定着ベルトの製造方法。
<4> 金属層が銅である<1>、<2>又は<3>記載の定着ベルトの製造方法。
<5> 前記耐熱樹脂フィルム基材がポリイミド樹脂であり、且つ前記金属イオンの導入が、前記耐熱樹脂フィルム基材の表面にアルカリ処理を施して前記ポリイミド樹脂のイミド環を開裂し、さらにカルボキシル基のイオン交換反応によって金属イオンを導入する方法であることを特徴とする<1>〜<4>の何れか1項記載の定着ベルトの製造方法。
前記耐熱樹脂フィルム基材がポリイミド樹脂であり、且つ平均粒子径1〜100nmの金属微粒子を前記表層部に形成する方法が、前記耐熱樹脂フィルム基材をアルカリ水溶液に浸漬させてエッチングした後、硫酸銅水溶液に浸漬することでポリイミド樹脂表面に銅イオンを吸着させ、その後、吸着させた前記銅イオンを還元させる方法である<1>〜<>の何れか1項記載の定着ベルトの製造方法。
> アルカリ水溶液が水酸化カリウム水溶液である<>記載の定着ベルトの製造方法。
> 吸着させた銅イオンを還元させる方法が、水素雰囲気中での熱処理による方法である<>又は<>記載の定着ベルトの製造方法。
> 金属層を設ける方法が電解めっきである請求項<1>〜<>の何れか1項記載の定着ベルトの製造方法。
10> 電解めっきが、硫酸銅電解めっきである請求項<>記載の定着ベルトの製造方法。
11> 平均粒子径1〜100nmの金属微粒子を耐熱樹脂フィルム基材表層部に形成した後、金属層を設ける前に、該表層部に無電解めっき層を設けることを特徴とする<1>〜<10>の何れか1項記載の定着ベルトの製造方法。
12> 無電解めっき層がNiまたはCuのいずれかの金属による無電解めっきにより形成された層である<11>記載の定着ベルトの製造方法。
13> 更に、金属層上に離型層を形成することを特徴とする<1>〜<12>の何れか1項記載の定着ベルトの製造方法。
14> <1>〜<13>記載の定着ベルトの製造方法により得られた定着ベルト。
<15> 表層部において平均粒子径1〜100nmの金属微粒子がイオン結合により結合した耐熱樹脂フィルム基材と、該表層部上に金属層と、を備えることを特徴とする定着ベルト。
16> <14又は<15>記載の定着ベルトと、該定着ベルト内部に設けられた押圧部材と、該定着ベルト外周に当接して、該定着ベルトを介して前記押圧部材に対して押圧される加圧部材と、変動磁界を生成することにより該定着ベルトの金属層内に生じる渦電流で該金属層を発熱させる電磁誘導加熱装置を有する誘導加熱型定着装置。
17> 像担持体と、該像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電させた前記像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を現像剤により現像しトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、前記トナー像を記録媒体に加熱定着する定着手段とを少なくとも備えた画像形成装置において、前記定着手段が、<16>記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
本発明の定着用ベルトは、基体と金属薄膜層との接着性が良好で、機械的特性が良好である。
本発明の定着ベルトの製造方法は、耐熱樹脂フィルム基材の表面に金属イオンを導入可能な官能基を形成せしめる処理を施し、該官能基のイオン交換反応によって金属イオンを導入し、その後、該金属イオンの還元を行うことにより、平均粒子径1〜100nmの金属微粒子を前記耐熱樹脂フィルム基材の表層部に形成し、且つ該表層部上に、金属層を設けることを特徴とする。ここで、表層部とは、該基材表面及び、表面から3μmの深さまでの部分をいう。
該耐熱樹脂フィルム基材を形成する材料としては特に限定されるものではないが、定着温度での耐熱性を有する材料であることが好ましく、たとえば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアミド等が挙げられるが、中でもポリイミド、芳香族ポリアミド(アラミド)、サーモトロピック液晶ポリマーとして分類されるものが好適である。上記サーモトロピック液晶ポリマーとしては、完全芳香族ポリエステル、芳香族−脂肪族ポリエステル、芳香族ポリアゾメチ、芳香族ポリエステル-カーボネート等がある。上記の内、耐熱性・耐磨耗性・強度が高い観点から、ポリイミド樹脂が特に好ましい。ポリイミド樹脂としては、特に熱硬化性のものが好ましく、熱硬化性ポリイミドは分子主鎖中にイミド基が有機基と直結し、これが繰り返し単位となり高分子化しているものである。有機基は、フェニル基、ナフチル基、ジフェニル基等であることで、高温での機械的特性が良好なものが得られる。ポリイミド前駆体のひとつであるポリアミド酸は、有機酸二無水物と有機ジアミンとの当量を、常温の有機極性溶媒中で縮重合反応させることで得ることができる。
耐熱樹脂フィルム基材の厚さは、定着部材としての強度と、熱容量の観点で適宜選択することが可能であるが、40〜150μm程度の範囲であることが好ましい。40μmより薄いと、定着装置内で用紙搬送のため従動あるいは駆動されることにより発生するフィルムの寄り力や、ねじり力によって、折れ・割れ・座屈等の故障を起こすことになり、また150μmを超えると、熱容量が大きくなってしまうことで、定着可能温度までの昇温時間が長くなってしまう。
耐熱樹脂フィルム基材の形成方法としては、特に限定するものではなく、従来公知の塗布・成形方法によって形成可能である。ポリイミド前駆体溶液を使った塗布法としては、一例をあげると、ディップコート法、フローコート法、リングコート法、リングフロートコート法等の一般的塗布法から、所望の膜厚・膜厚精度が得られる方法を選択することが可能である。
耐熱樹脂フィルム基材表層部に、金属微粒子を形成させる方法としては、基材表面を処理し、金属イオンを導入可能な官能基を形成せしめ、この官能基のイオン交換反応によって目的の金属イオンを導入し、その後、該金属イオンの還元を行うことにより、基材表面に分散した金属微粒子を生成させる方法が有効である。例えば、ポリイミド樹脂を基材とする場合、基材表面をアルカリ処理によってイミド環を開裂し、さらにカルボキシル基のイオン交換反応によって目的の金属イオンを導入する。その後、金属イオンの還元を行うことにより、ポリイミド表面に分散した金属微粒子を生成させる方法が有効である。
金属微粒子の金属としては、銅、ニッケル、クロム、コバルト、鉄、金、銀、錫、亜鉛等が挙げられるが、この内、銅が好ましい。金属微粒子の平均粒径は、1nm〜100nmであるが、1〜50nmが好ましい。なお、本発明において、平均粒径は、次のように測定して得た値を言う。
還元処理後の樹脂断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)観察によって、粒子10個の粒径を測定した。この測定を10箇所について同様に行い、平均粒径を算出した。
次に、耐熱樹脂フィルムとして上述したようにポリイミド樹脂による無端状フィルムを用い、金属微粒子が銅微粒子である定着ベルトの製造方法について詳述する。
この定着ベルトの製造方法としては、ポリイミド樹脂による無端状の管状体を、上述したような加工方法により形成し、
(1)ポリイミド樹脂無端状管状体をアルカリ水溶液に浸漬させて表面改質する表面改質工程と、
(2)硫酸銅水溶液に浸漬することでポリイミド樹脂表面に銅イオンを吸着させる銅イオン吸着工程と、
(3)吸着させた銅イオンを還元させる還元工程と、
(4)電解銅めっき工程により金属層を形成する工程
を経て電磁誘導加熱定着装置用ベルトを製作する方法が挙げられる。
以下、各工程について、説明する。
(1)ポリイミド樹脂無端状管状体の表面改質工程
表面改質工程は、ポリイミド樹脂無端状管状体の表面をアルカリ溶液で処理することにより、表面層のイミド環を開裂し、カルボキシル基とアミド結合を生成させる。
ここで、アルカリ溶液を用いた表面改質では、アルカリ溶液中にポリイミド樹脂無端状管状体を浸漬させたり、あるいは、スプレー等により吹き付けることで処理を行うことができる。
アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液や水酸化ナトリウム溶液等を用いることが可能である。
銅イオンの吸着量はアルカリ処理工程におけるイミド環の開裂数に依存している。イミド環の開裂数は、アルカリ処理時間、アルカリ処理温度、アルカリ溶液濃度により調節可能である。ここで、アルカリ処理時間は、1〜30分程度が好ましく、アルカリ処理温度は、20〜60℃が好ましく、アルカリ溶液濃度は、1〜6mol/lが好ましい。
イミド環の開環状態については、X線光電子分光分析装置(XPS)やフーリエ変換吸収スペクトル分析装置(FT-IR)等の分析装置で分析が可能で、イミド環由来のスペクトルが消失・ブロード化し、カルボン酸・アミド結合等が確認できる。
(2)銅イオン吸着工程
上記(1)の工程を終了したポリイミド無端状管状体表面を硫酸銅水溶液に浸漬することで、カルボキシル基がカチオン交換基として働き、イオン交換反応によって銅イオンを吸着させる。硫酸銅水溶液の濃度は、0.01〜0.1mol/lが好ましく、処理時間は、0.5〜5時間程度が好ましく、処理温度は、20〜60℃が好ましい。
吸着銅イオン量は、5%硝酸溶液によって溶出させ、イオンプラズマ発光分光分析によって分析が可能である。
(3)還元工程
(2)の工程でポリイミド無端状管状体表面に形成した銅イオンを水素雰囲気中で熱処理を行い、還元処理することで、銅微粒子分散表面層を形成させる。このときの温度は200〜400℃程度が好ましい。耐熱樹脂であるポリイミド樹脂を原料とした無端状管状体であれば、該温度での熱処理が可能である。また、水素還元での熱処理温度により銅微粒子の粒径をコントロールすることが可能である。即ち、熱処理温度が200℃、300℃、400℃の時、銅微粒子の平均粒径はそれぞれ、3nm、4.6nm、10.4nmとなる。ただし、還元反応を300℃以上で行う場合には、同時にポリイミドの閉環反応も協奏的に起こるため、還元反応は300℃以下で行うことが望ましい。
(4)銅電解めっき工程
銅イオンの吸着・還元により銅微粒子分散表面層が形成されたポリイミド無端状管状体に、誘導加熱定着による発熱層としての銅薄膜を形成するためには、電解めっき膜形成が好ましい。
めっき層はポリイミド樹脂中の銅微粒子をアンカーとして成長することにより、銅メッキ層とナノスケールでの接合が可能となる。このため従来のポリイミド表面のブラスト処理による粗面化方法よりもはるかに高い密着性を得ることが可能となる。
銅による金属発熱層では、低抵抗薄膜が得られることから、他の金属と比較して薄い膜厚で誘導加熱が可能となるため、結果として定着部材の熱容量を小さくすることが可能となり、定着可能温度までの昇温時間を短縮することが可能となる。膜厚は高周波電源・コイル等の仕様によって決められるものであるが、5〜50μm、好ましくは5〜30μmの範囲で形成することで、良好な発熱特性と、短時間での昇温を両立することが可能となる。
電解銅めっき浴としては、硫酸銅めっき浴、ピロリン酸銅めっき浴、シアン化銅めっき浴等の従来公知のめっき浴を使用することが可能だが、中でも硫酸銅めっき浴が、めっき膜の柔軟性や低抵抗薄膜が得られるなどの点で、特に好適である。また、必要に応じて硫酸銅めっき浴に光沢剤等の添加剤を添加することが可能で、光沢剤を添加することによって、めっき膜内の内部応力を緩和する効果があり、適当量の添加が好ましい。
銅めっき工程では、円筒形状の管状体上に均一な膜厚の銅めっき膜を形成する必要から、膜厚のムラが生じないよう無端状管状体を回転させながらめっきを行うことがより好ましい。
なお、使用環境・条件、目標とする使用期間によって、さらに密着性が必要な場合には、(4)の電解銅めっき工程の前に、無電解めっき膜を形成することで、銅イオンの吸着・還元膜が無電解めっきの触媒核として作用し、より強固な密着性を得ることが可能となる。
無電解めっき金属層を形成する場合、金属イオンをホルマリン等の還元剤によって還元析出させることによって形成することが可能で、金属種としては、NiやCu等の公知の無電解めっき液を用いて、膜厚0.1〜1.0μm程度の膜を形成し、その無電解めっき金属層を電極として作用させて、めっき膜を形成することが可能となる。金属が銅の場合、特開平4−72070号公報や特開平4−186891号公報等に記載の方法を好適に適用することができる。なお、無電解メッキされる金属と電解メッキされる金属とは、同種であっても異種であってもよい。
本発明の定着ベルトは、金属層上に、離型性を有する機能性層、すなわち離型層が設けることが好ましい。離型層は、トナーの付着を防止する目的で設けられる。具体的には、離型層として、例えば、特開平9−22212号公報や特開平11−338283号公報に記載の、必要に応じてフッ素樹脂粒子やSiC、Al23等の無機粒子を混合したフッ素ゴムを主体とした弾性離型層や、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂層を形成することが好ましい。形成される離型層の厚さは2〜35μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
弾性離型層を形成するには、公知の方法を適用することができる。前記フッ素樹脂層を形成するには、その水分散液を浸漬塗布して焼き付け加工する方法を適用することが好ましい。フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン(VdF)を主成分とするVdFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体、VdF−HFP共重合体とテトラフルオロエチレン(TFE)との3元共重合体、TFEとプロピレンとの交互共重合体等のフッ素系エラストマーが挙げられる。この他、VdF−クロロトリフルオロエチレン共重合体や、例えばシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム等とVdFを主成分とする上記フッ素系エラストマーとの混合物を用いることもできる。フッ素ゴム層の上には、フッ素樹脂層を形成してもよい。フッ素樹脂および/またはフッ素ゴムには、耐久性の向上やトナーの飛散防止ために、導電性粒子が分散されていてもよい。導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック、カーボンブラックを造粒したカーボンビーズ、カーボンファイバー、グラファイト等の炭素系物質、銅、銀、アルミニウム等の金属または合金、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、SnO2−In23複合酸化物等の導電性金属酸化物、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー等が挙げられる。
本発明の定着ベルトにおいて、離型層の密着性が不足する場合には、無端ベルト表面の粗面化、あるいはフッ素樹脂を焼き付け加工する際の温度を高めに設定する等の方法をとってもよい。また、無端ベルト表面にカップリング剤やプライマーを塗布する方法も適用することができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が挙げられる。プライマーは、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアミドイミド、ポリイミドおよびこれらの誘導体、ならびにフッ素樹脂から選ばれる少なくとも一つの化合物を含むものである。プライマーの厚さは0.5〜10μmの範囲が好ましい。
本発明の定着ベルトには、必要に応じて必要に応じて端部のスリット加工、穴あけ加工、テープまたはリブ巻き付け加工等が施されてもよい。
<定着装置および画像形成装置>
次に、本発明の定着ベルトを用いた電磁誘導加熱方式の定着装置と、この定着装置を用いた画像形成装置について説明する。
本発明の定着装置は、本発明の定着ベルトを用いたものであり、具体的には定着ベルトと、この定着ベルトに磁界を印加する電磁誘導加熱装置と、定着ベルトの表面と当接する加圧部材を少なくとも含むものである。この定着装置による定着は、未定着トナー像が形成された記録媒体を定着ベルトと加圧部材との当接部を挿通させた際に、電磁誘導加熱装置により加熱された定着ベルトの熱と、定着ベルトと加圧部材との間の押圧力とにより、未定着トナー像が記録媒体表面に加熱定着されることにより行われるものである。
次に、本発明の定着装置について、図面を用いて具体的に説明する。図1は本発明の定着ベルトを用いた電磁誘導加熱定着装置の一例を示す概略断面図である。
図1において、10は、無端ベルト状の本発明の定着用ベルトである。
この定着用ベルト10の外周面に接するように加圧ロール11が配され、定着用ベルト10と加圧ロール11との間にニップを形成している。加圧ロール11は、基体11aの外周面上にシリコーンゴム等による弾性体層11bと、フッ素系化合物による表面層11cとがこの順に積層された構成を有している。
定着用ベルト10の内周面側には、加圧ロール11と対向する位置に、押圧部材13が設置されている。なお、この押圧部材13は、定着用ベルト10の内周面と当接し、局所的にニップ圧を高めるニップヘッド13bと、このニップヘッド13bを保持するシリコンゴム等からなるニップパッド13cと、このニップパッド13cを支持する支持体13aとから構成されている。
さらに、定着用ベルト10を中心として加圧ロール11が設けられた側の反対側の位置に、電磁誘導コイルを内蔵した電磁誘導加熱装置12が設けられている。この電磁誘導加熱装置12は、電磁誘導コイルに交流電流を印加することにより、発生する磁場を励磁回路で変化させるものであり、定着用ベルト10に含まれる金属層に磁界を印加することによって、金属層に渦電流を発生させるものである。
この渦電流が金属層の電気抵抗によって熱(ジュール熱)に変換され、結果的に定着用ベルト10の表面(外周面)が発熱する。尚、電磁誘導加熱装置12は、定着用ベルト10内のニップ領域に対して図1中の片矢印で示される回転方向Bの上流に設置されていてもよい。
この電磁誘導加熱定着装置は、不図示の駆動装置により定着用ベルト10が矢印B方向に回転し、それにつれて加圧ロール11も矢印C方向に従動回転する。 この状態で、未定着トナー像14が形成された記録媒体15は矢印A方向に、上記定着装置のニップ部に挿通され、未定着トナー像14を溶融状態として圧力を加えながら記録媒体15に固着させる装置である。尚、駆動方法は、ベルト駆動(ロールが従動)、ロール駆動(ベルトが従動)のどちらでもよい。
この電磁誘導作用による金属層の発熱原理を以下に説明する。励磁回路により電磁誘導コイルに交流電流が印加されると、電磁誘導コイルの周囲に磁束が生成消滅を繰り返す。この磁束が定着用ベルト10の金属層を横切るとき、その磁束の変化を妨げる磁界を生じるように金属層中に渦電流が発生する。この渦電流と金属層の固有抵抗によってジュール熱が発生する。
前記渦電流は、表皮効果のためにほとんど金属層の電磁誘導加熱装置側の面に集中して流れ、金属層の表皮抵抗Rsに比例した電力で発熱を生じる。ここで、角周波数をω、透磁率をμ、固有抵抗をρとすると、表皮深さδは下式(1)で示される。
・式(1) δ=(2ρ/ωμ)×(1/2)
さらに、表皮抵抗RSは下式(2)で示される。
・式(2) Rs=ρ/δ=(ωμρ/2)×(1/2)
また、定着用ベルトの金属層に発生する電力Pは、定着用ベルト中を流れる電流をIhとすると、下式(3)で表わされる。
・式(3) P∝Rs∫|Ih|2dS
したがって、表皮抵抗Rsを大きくするか、あるいは、電流Ihを大きくすれば電力Pを増すことができ、発熱量を増すことが可能となる。ここで表皮深さδ(m)は、励磁回路の周波数f(Hz)と、比透磁率μrと、固有抵抗ρ(Ωm)により下式(4)で表わされる。
・式(4) δ=503(ρ/(fμr))×(1/2)
これは電磁誘導で使われる電磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強度は1/e以下になっており、逆に言うとほとんどのエネルギーはこの深さまで吸収されている。
以上に説明したような定着装置は、定着手段として加熱定着を利用した公知の電子写真方式の画像形成装置に利用できる。
このような画像形成装置としては、具体的には、像担持体と、該像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電させた前記像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を現像剤により現像しトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、前記トナー像を記録媒体に加熱定着する定着手段とを少なくとも備えた構成を有することが好ましい。この場合、定着手段として本発明の定着装置が用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
ポリイミド前駆体を含有するN-メチルピロリドン溶液(商品名:UワニスS、宇部興産社製、固形分濃度18質量%、粘度約5Pa・s)を塗布液とした。基体として、外径84mm、長さ400mmのアルミニウム製円筒を用意し、長手方向を垂直にしてポリイミド前駆体溶液に浸漬し、ついで、1m/min.の速度で引き上げて、ポリイミド前駆体塗膜を形成した。その後、100℃で60分間乾燥し、乾燥状態のポリイミド前駆体樹脂層を形成した。
次いで、基体を加熱炉に入れ、200℃で1時間、350℃で30分間加熱してポリイミド前駆体を硬化させた。これにより厚さ45μmの樹脂層が形成された。
室温に冷えてから、ポリイミドベルト表面を50℃の5M水酸化カリウム水溶液に5分間浸漬した。
水酸化カリウム処理後、室温で0.05M硫酸銅水溶液に浸漬し、イオン交換反応により銅イオンを吸着させた。その後、水素雰囲気下、200℃で30分間銅イオンの還元処理を行った。このポリイミド樹脂断面をTEMにより観察すると、表面層に平均粒子径が3nmの銅微粒子の分散層が形成されていることがわかった。
さらに、ポリイミド樹脂表面を0.1M水酸化カリウム/80%エタノール水溶液を室温で1.5分浸漬し、樹脂のごく表面をエッチング除去後、以下に示す条件で表面に厚さ0.25μmの無電解銅メッキを施した。
-無電解メッキ浴の組成-
・CuSO4・5H2O:10g/リットル、
・EDTA・2Na:30g/リットル、
・HCHO(37質量%)溶液:5g/リットル、
・PEG#1000:0.5g/リットル
-無電解メッキ条件-
・メッキ浴温度:65℃、
・撹拌方法:空気撹拌、
・メッキ時間:8分、
・メッキ浴pH:12.5
上記のようにして無電解メッキによる無電解メッキ金属層を形成した後、以下に示す条件で、該無電解メッキ金属層上に厚さ2μmの電解銅メッキを施し、電解メッキ金属層を形成してポリイミド被膜組成物を得た。
-電解メッキ浴の組成-
・CuSO4・5H2O:120g/リットル、
・H2SO4:150g/リットル、
-電解メッキ条件-
・メッキ浴温度:25℃、
・撹拌方法:空気撹拌、
・メッキ時間:5分、
得られたポリイミド被膜組成物を150℃の温度で一定の力を加えながら、繰り返し屈曲させることにより耐久性を評価した。
その結果、1000回繰り返し屈曲させても金属層の密着性は強固であり、剥離することはなかった。
比較例1
実施例1と同様にして、基体にポリイミド前駆体を含有するN-メチルピロリドン溶液(商品名:UワニスS、宇部興産社製、固形分濃度18質量%、粘度約5Pa・s)を塗布後、乾燥及び加熱硬化を行い厚さ45μmのポリイミド樹脂層を形成した。
その後、水圧0.5MPaの水とともにブラスト砥粒として粒径が累積高さ50%点の粒子径で35μmのアルミナ砥粒を吹き付ける湿式ブラスト法により、ポリイミド樹脂表面を粗面化した。粗面化後のポリイミドベルトの表面における算術平均粗さRaは0.6μ
mであった。
さらに、実施例1と同様にして、厚さ0.25μmの無電解メッキ及び厚さ2μmの電解メッキを施した。
得られたポリイミド皮膜組成物を150℃の温度で一定の力を加えながら、繰り返し屈曲させることにより耐久性を評価した。
その結果、初期の密着性は良好であったが、1000回繰り返し屈曲させたところ、金属層とポリイミド樹脂界面で一部剥離が生じていた。
比較例2
ポリイミド前駆体を含有するN-メチルピロリドン溶液(商品名:UワニスS、宇部興産社製、固形分濃度18質量%、粘度約5Pa・s)に平均粒径が0.01μmのパラジウム粉末を重量比で100:7の割合で混合した後、攪拌により分散した。この溶液を用いて、実施例と同様にして、厚さ45μmのポリイミド樹脂層を形成し、無電解銅メッキ、さらに電解銅メッキを施し、ポリイミド皮膜組成物を得た。このとき無電解銅メッキ層は0.25μm、電解銅メッキ層は2μmであった。
得られたポリイミド皮膜組成物を150℃の温度で一定の力を加えながら、繰り返し屈曲させることにより耐久性を評価した。
その結果、初期の密着性は良好であったが、1000回繰り返し屈曲させたところ、金属層の一部が剥離し、また、ポリイミド樹脂層にクラックが生じていた。
本発明の定着用ベルトは、基体と金属薄膜層との接着性が良好で、機械的特性が良好である。
本発明の定着用部材を定着用ベルトとして用いた電磁誘導加熱定着装置の一例を示す概略断面図である。 ポリイミド前駆体溶液を塗布する方法の一例を説明する図である。
符号の説明
10 定着用ベルト
11 加圧ロール
12 電磁誘導加熱装置
13 押圧部材
14 未定着トナー像
15 記録媒体
20 塗膜
21 基体
22 塗布槽
27 フロート
29 塗布液

Claims (8)

  1. 耐熱樹脂フィルム基材の表面に金属イオンを導入可能な官能基を形成せしめる処理を施し、該官能基のイオン交換反応によって金属イオンを導入し、その後、該金属イオンの還元を行うことにより、平均粒子径1〜100nmの金属微粒子を前記耐熱樹脂フィルム基材の表層部に形成し、且つ該表層部上に、金属層を設けることを特徴とする定着ベルトの製造方法。
  2. 前記耐熱樹脂フィルム基材がポリイミド樹脂であり、且つ前記金属イオンの導入が、前記耐熱樹脂フィルム基材の表面にアルカリ処理を施して前記ポリイミド樹脂のイミド環を開裂し、さらにカルボキシル基のイオン交換反応によって金属イオンを導入する方法であることを特徴とする請求項1記載の定着ベルトの製造方法。
  3. 前記耐熱樹脂フィルム基材がポリイミド樹脂であり、且つ平均粒子径1〜100nmの金属微粒子を前記表層部に形成する方法が、前記耐熱樹脂フィルム基材をアルカリ水溶液に浸漬させてエッチングした後、硫酸銅水溶液に浸漬することでポリイミド樹脂の表面に銅イオンを吸着させ、その後、吸着させた前記銅イオンを還元させる方法であることを特徴とする請求項1又は2記載の定着ベルトの製造方法。
  4. 前記アルカリ水溶液が水酸化カリウム水溶液であることを特徴とする請求項3記載の定着ベルトの製造方法。
  5. 前記吸着させた銅イオンを還元させる方法が、水素雰囲気中での熱処理による方法であることを特徴とする請求項3又は4記載の定着ベルトの製造方法。
  6. 表層部において平均粒子径1〜100nmの金属微粒子がイオン結合により結合した耐熱樹脂フィルム基材と、該表層部上に金属層と、を備えることを特徴とする定着ベルト。
  7. 請求項記載の定着ベルトと、該定着ベルト内部に設けられた押圧部材と、該定着ベルト外周に当接して、該定着ベルトを介して前記押圧部材に対して押圧される加圧部材と、変動磁界を生成することにより該定着ベルトの金属層内に生じる渦電流で該金属層を発熱させる電磁誘導加熱装置を有する誘導加熱型定着装置。
  8. 像担持体と、該像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電させた前記像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を現像剤により現像しトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、前記トナー像を記録媒体に加熱定着する定着手段とを少なくとも備えた画像形成装置において、前記定着手段が、請求項記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
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