JP2019008248A - 加熱部材 - Google Patents

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真吾 仲市
丸山 勇
Isamu Maruyama
勇 丸山
高木 和典
Kazunori Takagi
和典 高木
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Abstract

【課題】基層に対する金属めっき層の耐熱密着性を確保可能な加熱部材を提供とする。【解決手段】加熱部材1は、基層用ポリマーより形成されており、表面に凹凸形状20を備える基層2と、基層2における凹凸形状20の形成面上に形成されており、バインダーポリマー31と触媒32とを含む下地層3と、下地層3の表面上に形成された金属めっき層4とを有している。【選択図】図4

Description

本発明は、加熱部材に関する。
従来、様々な分野において、被加熱体を加熱するために加熱部材が利用されている。例えば、電子写真方式の複写機、プリンター、複合機等の画像形成装置は、一般に、帯電させた感光体への画像データの露光による潜像の形成、現像、転写媒体への転写、定着等の工程を経て画像形成を行う。定着工程では、転写材(紙)に転写されたトナーを加熱により溶融固着させて画像を形成するため、ベルト形状またはロール形状を呈する加熱部材が定着部材として用いられている。
電子写真方式の画像形成装置の分野では、近年、電磁誘導加熱(以下、IHと省略する場合がある。)方式の加熱部材が注目を浴びている。IH方式の加熱部材は、ウォームアップ時間の短縮による消費電力の削減に有利なためである。この種の加熱部材は、電磁誘導加熱により誘導電流が生じる金属層を有しており、金属層を発熱層として利用する。加熱部材としては、例えば、ポリイミドからなる基層と、基層表面に形成された金属めっき層とを有するものが公知である。
なお、先行する特許文献1には、ポリアミドイミドからなる基層用ポリマーより形成された基層と、バインダーポリマーと触媒担持担体とを含む下地層と、無電解めっきおよび電解めっきより形成された金属めっき層とを有する加熱部材が記載されている。
特開2013−210406号公報
加熱部材は、その使用時に、高速回転による機械的ストレスや、昇温・降温の繰り返しによる熱衝撃などが負荷される。そのため、加熱部材は、基層に対する金属めっき層の耐熱密着性が良好である必要がある。しかしながら、従来の加熱部材は、基層に対する金属めっき層の耐熱密着性に乏しく、その使用時に、金属めっき層の膨れや剥がれなどの密着不良が生じることがある。金属めっき層の耐熱密着性が低下する主な原因としては、(1)基層の成形性向上のために基層用ポリマー中に添加される低分子量成分のブルームや基層表面の付着物などによる初期密着力の低下、(2)基層中への金属イオンの拡散などによる脆弱層の形成などが考えられる。
これらの問題を回避するため、基層表面に金属めっき層を形成する際には、一般に、基層表面をアルカリにより脱脂洗浄した後、酸エッチング処理を行うなどのめっき前処理工程を経た後、めっき処理が行われる。しかし、上記のような化学的処理によっても基層表面に脆弱層が形成されるため、基層に対する金属めっき層の耐熱密着性を確保することは難しい。一方、基層表面の研磨処理やブラスト処理等を実施した後、金属めっき層を形成する手法も考えられるが、金属めっき層の形成前に、上記の一般的なめっき前処理工程を経ることにより、やはり、金属めっき層の耐熱密着性の悪化が生じる。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、基層に対する金属めっき層の耐熱密着性を確保可能な加熱部材を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、被加熱体を加熱するための加熱部材であって、
基層用ポリマーより形成されており、表面に凹凸形状を備える基層と、
上記基層における上記凹凸形状の形成面上に形成されており、バインダーポリマーと触媒とを含む下地層と、
上記下地層の表面上に形成された金属めっき層と、
を有する、加熱部材にある。
上記加熱部材によれば、基層に対する金属めっき層の耐熱密着性を向上させることができる。これは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、上記加熱部材は、基層用ポリマーより形成される基層の表面に凹凸形状を備えている。そして、この基層における凹凸形状の形成面上に下地層が形成されている。そのため、上記加熱部材は、基層と下地層との間の接合面積が増大し、基層と下地層との間の密着性を向上させることができる。また、上記加熱部材では、下地層がバインダーポリマーと触媒とを含んでいるので、バインダーポリマーに保持された触媒を核として金属めっき層を成長させることができる。そのため、上記加熱部材は、下地層と金属めっき層との間の密着性を向上させることができる。また、上記加熱部材は、上述の下地層を有するため、酸エッチング処理を伴うめっき前処理工程を基層表面に施す必要がなくなり、基層表面に脆弱層が形成されるのを回避することができる。また、上記加熱部材では、上述の下地層により、基層に含まれる低分子量成分が下地層と金属めっき層との界面に移行するのを抑制することができ、その一方で、金属めっき層からの金属イオンの基層中への拡散を抑制することもできる。これらにより、上記加熱部材は、基層に対する金属めっき層の耐熱密着性を向上させることが可能になる。
実施例1の加熱部材を模式的に示した外観斜視図である。 図1のII−II断面図である。 図2の一部を拡大し、基層および下地層の微構造を模式的に示した説明図である。 下地層の微構造を模式的に示した説明図である。 図3に示される微構造の変形例を説明するための説明図である。 図3に示される微構造の他の変形例を説明するための説明図である。 実験例における、金属めっき層の耐熱密着性試験で用いた試験装置の概要を模式的に示した説明図である。
上記加熱部材は、被加熱体を加熱するために使用される。被加熱体の種類は特に限定されるものではない。被加熱体としては、具体的には、例えば、用紙等の転写材に転写された未定着のトナー、容器、容器や配管等の内部にある気体、液体、固体、プレート等の板状体、フィルムなどを例示することができる。加熱部材は、被加熱体と接触させて用いることもできるし、被加熱体と接触させずに用いることもできる。
上記加熱部材は、その表面を他部材に圧接させた状態で使用することができる。この場合、例えば、加熱部材と他部材との圧接部に被加熱体を通過させながら被加熱体を加熱することができる。また、他部材を被加熱体とすることもできる。特に、加熱部材と他部材とが圧接した状態で加熱部材が回転するように構成されている場合には、圧接部において繰り返し曲げ負荷を受ける。そのため、この場合には、上記作用効果を十分に発揮させることができる。
上記加熱部材において、基層は、例えば、筒状に形成することができる。この場合には、加熱部材がベルト形状を呈することができ、加熱ベルトとして好適に利用することができる。また、加熱部材を比較的薄くすることができるので、IH昇温性の向上にも有利である。他にも例えば、基層は、軸体の外周にロール状に形成することもできる。この場合には、加熱部材がロール形状を呈することができ、加熱ロールとして好適に利用することができる。基層は、1層または2層以上から構成することができる。
基層が筒状である場合、基層に用いられる基層用ポリマーとしては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。また、これらは変性されていてもよい。また、これらにはポリシロキサン化合物等がブレンドされていてもよい。
なお、筒状の基層中には、難燃剤、充填剤、架橋剤、架橋助剤、レべリング剤、消泡剤、離型剤、滑剤、可塑剤、軟化剤、酸化防止剤などの添加剤を1種または2種以上含むことができる。また、筒状の基層の厚みは、耐久性の向上、製造容易性などの観点から、好ましくは、20〜200μm、より好ましくは、40〜150μm、さらに好ましくは、60〜100μmとすることができる。
一方、基層がロール状である場合、基層に用いられる基層用ポリマーとしては、樹脂やゴム(ゴムにはエラストマーも含まれる、以下省略)を用いることができる。樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ウレタン樹脂、ウレタンシリコーン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリルシリコーン樹脂、フッ素樹脂などを用いることができる。ゴムとしては、例えば、シリコーンゴム(Q)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(ECO、CO)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム(U)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、天然ゴム(NR)などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
なお、ロール状の基層中には、難燃剤、充填剤、架橋剤、架橋助剤、レべリング剤、消泡剤、離型剤、滑剤、可塑剤、軟化剤、酸化防止剤などの添加剤を1種または2種以上含むことができる。ロール状の基層の厚みは、接地性、コストなどの観点から、好ましくは、0.5〜3mm、より好ましくは、1〜1.5mmとすることができる。
上記加熱部材において、基層用ポリマーは、ポリイミドであるとよい。ポリイミドにより基層を形成する場合、成形性向上のために、ポリイミド中にレベリング剤、消泡剤、内添離型剤などの低分子量成分が1種または2種以上添加されることが多い。そのため、上記のような低分子量成分を含むポリイミドによる基層に直接金属めっき層を形成すると、低分子量成分のブルームによって密着力低下が生じやすくなる。また、酸エッチングを施して基層表面を荒らした後に金属めっき層を形成する場合、ポリイミドは耐薬品性が強いため、強い酸エッチングが必要となり、基層表面に脆弱層が形成されやすい。上記加熱部材によれば、基層用ポリマーが上記のような低分子量成分を1種または2種以上含むポリイミドであっても、上記の構成を採用することにより、上述した作用効果を十分に発揮させることができる。また、ポリイミドは、機械的強度に優れるため、加熱部材の耐久性向上にも有利である
上記加熱部材において、基層は、表面に凹凸形状を備えている。つまり、上記加熱部材では、基層の表面が積極的に粗面化され、表面に凹凸形状が導入されている。基層表面の凹凸形状は、具体的には、多数の凸部と、各凸部の間にある多数の凹部とによって構成することができる。凹凸形状を備える基層表面の十点平均粗さRzは、具体的には、接合面積の増大による耐熱密着性の向上などの観点から、好ましくは、1μm以上、より好ましくは、2μm以上、さらに好ましくは、3μm以上とすることができる。また、凹凸形状を備える基層表面の十点平均粗さRzは、具体的には、ゴム弾性層を積層する際のエアー不良抑制などの観点から、好ましくは、13μm以下、より好ましくは、8μm以下、さらに好ましくは、6μm以下とすることができる。なお、上記十点平均粗さRzは、JIS B0601 1994に準拠して測定される値である(n=3の平均値)。
上記加熱部材において、下地層は、基層における凹凸形状の形成面上に形成されている。下地層は、具体的には、基層表面の凹凸形状に沿うように(凹凸形状に倣って)形成されることができる。この場合、下地層の金属めっき層側の表面に、基層表面の凹凸形状に沿った(凹凸形状に倣った)凹凸形状を形成することができる。また、他にも、下地層は、基層表面の凸部の頂部が露出せず、かつ、基層表面の凹部を満たすように形成されることができる。この場合、下地層は、金属めっき層側の表面に凹凸形状を有していてもよいし、金属めっき層側の表面が平坦化されていてもよい。
下地層が、金属めっき層側の表面に凹凸形状を備えている構成によれば、下地層と金属めっき層との接合面積が増大する。そのため、この場合には、下地層と金属めっき層との間の密着性が向上し、基層に対する金属めっき層の耐熱密着性の向上に有利な加熱部材が得られる。
上記加熱部材において、下地層の厚みは、1μm以上10μm以下、下地層の表面における凹凸形状の高低差は、1μm以上10μm以下とすることができる。この構成によれば、上述した作用効果を確実なものとすることができる。なお、下地層の厚みは、加熱部材の厚み方向に沿う断面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、基層表面の凹部の底から下地層の表面までの距離を任意の5点について測定した各測定値の平均値である。また、下地層の表面における凹凸形状の高低差は、加熱部材の厚み方向に沿う断面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、基層表面の凹部の底位置における下地層表面の凹部の底から、基層表面の凸部の頂部位置における下地層表面の凸部の頂部までの高低差を任意の5点について測定した各測定値の平均値である。
下地層の厚みは、基層からの低分子量成分のブルーム抑制、金属めっき層から基層への金属イオンの拡散抑制などの観点から、好ましくは、1.5μm以上、より好ましくは、2μm以上、さらに好ましくは、3μm以上とすることができる。また、下地層の厚みは、下地層の表面における凹凸形状の高低差の確保、表面均一性、コストなどの観点から、好ましくは、9μm以下、より好ましくは、8μm以下、さらに好ましくは、6μm以下とすることができる。
下地層の表面における凹凸形状の高低差は、下地層と金属めっき層との密着性向上などの観点から、好ましくは、1.5μm以上、より好ましくは、2μm以上、さらに好ましくは、3μm以上とすることができる。下地層の表面における凹凸形状の高低差は、ゴム弾性層を積層する際のエアー不良抑制などの観点から、好ましくは、9μm以下、より好ましくは、8μm以下、さらに好ましくは、6μm以下とすることができる。
上記加熱部材において、下地層は、バインダーポリマーと触媒とを含んでいる。バインダーポリマーは、主に、触媒を分散した状態で保持し、下地層を形づくる役割を有している。バインダーポリマーとしては、基層用ポリマーの説明にて上述した各種の樹脂やゴムなどを用いることができる。下地層は、具体的には、低分子量成分のブルームを抑制するなどの観点から、上述したレベリング剤、消泡剤、内添離型剤などの低分子量成分の添加剤を含有していない、つまり、バインダーポリマーと触媒とで構成されていることが好ましい。
上記加熱部材において、基層用ポリマーおよびバインダーポリマーは、同種のポリマーとすることができる。この構成によれば、基層と下地層との親和性が高まり、基層と下地層との間の密着性を向上させやすくなる。なお、上記「同種」とは、ポリマー同士が全く同一である場合だけでなく、ポリマー同士が基本骨格を同じくする場合を含む意味である。したがって、例えば、ある種類の樹脂(ポリイミド等)に分類される各種樹脂は、それぞれ同種のポリマーであるといえる。ある種類のゴム(シリコーンゴム等)に分類される各種ゴムは、それぞれ同種ポリマーであるといえる。また、未変性ポリマーと変性ポリマー同士、分子量が異なるポリマー同士、重合単位が共通であるポリマー同士等も、同種のポリマーの概念に含まれる。
基層用ポリマーおよびバインダーポリマーは、より具体的には、いずれもポリイミドとすることができる。この構成によれば、同種ポリマーであるポリイミド同士が接するため、基層に対する金属めっき層の耐熱密着性をより向上させやすくなる。
上記加熱部材において、下地層の触媒は、金属触媒粒子の凝集体、担体表面に金属触媒を担持する金属触媒担持担体などより構成することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。なお、下地層は、下地層における金属めっき層側の表面に露出する触媒を含むことができる。金属触媒粒子の凝集体としては、例えば、Pdナノ粒子の凝集体などを例示することができる。また、金属触媒担持担体における金属触媒としては、例えば、Pdなどを例示することができる。担体としては、例えば、炭素系材料、金属酸化物、シリカなどを例示することができる。炭素系材料としては、具体的には、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラファイトなどを例示することができる。金属酸化物としては、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどを例示することができる。
下地層の触媒は、好ましくは、金属触媒粒子の凝集体であるとよい。金属触媒粒子の凝集体は、金属触媒担持担体に比べ、触媒活性が高く、めっき反応性がよい。そのため、この構成によれば、金属触媒粒子の凝集体と金属めっき層を構成する金属との結合面積が増加する。また、凝集体の内部に金属めっき液が浸透し、下地層に保持された凝集体の内部でも金属めっき層を構成する金属めっきが析出する。そのため、この構成によれば、金属触媒と金属めっきとの間の金属結合のみならず、凝集体の内部で析出した金属めっきがアンカーとなり、下地層と金属めっき層との間のアンカー効果が高まる。それ故、この構成によれば、下地層と金属めっき層との密着性をより向上させやすくなる。
上記加熱部材において、金属めっき層は、下地層の表面上に形成されている。金属めっき層は、1層より構成されていてもよいし、複数層より構成されていてもよい。金属めっき層を構成する金属(合金含む)としては、例えば、Ni、Cu、Ag、Au、Sn、Zn、これらの合金などを例示することができる。金属めっき層を1層より構成する場合、金属めっき層は、例えば、Niめっき層、Ni合金めっき層、Cuめっき層、Cu合金めっき層などより構成することができる。また、金属めっき層を複数層より構成する場合、金属めっき層は、具体的には、下地層の表面上に形成された第1金属めっき層と、第1金属めっき層の表面上に形成された第2金属めっき層とを有する構成とすることができる。この場合、第1金属めっき層は、例えば、Niめっき層、Ni合金めっき層などより構成することができる。第2金属めっき層は、例えば、Cuめっき層、Cu合金めっき層などより構成することができる。
金属めっき層が第1金属めっき層と第2金属めっき層とを有する場合、第1金属めっき層の厚みは、下地層との密着性を確実なものとする、第2金属めっき層を電解金属めっきにより形成する際に電極として機能させやすいなどの観点から、好ましくは、0.1μm以上とすることができる。第1金属めっき層の厚みは、より好ましくは、0.2μm以上、さらに好ましくは、0.3μm以上とすることができる。一方、第1金属めっき層の厚みは、加熱部材の変形時における割れ抑制、層形成時間の短縮などの観点から、好ましくは、2μm以下とすることができる。第1金属めっき層の厚みは、より好ましくは、1μm以下、さらに好ましくは、0.5μm以下とすることができる。
第2金属めっき層の厚みは、発熱層としての機能を確保しやすくするなどの観点から、好ましくは、3μm以上、より好ましくは、5μm以上、さらに好ましくは、10μm以上、さらにより好ましくは、15μm以上、さらにより一層好ましくは、15μm超とすることができる。一方、第2金属めっき層の厚みは、柔軟性、短時間での発熱性、層形成時間の短縮などの観点から、好ましくは、30μm以下、より好ましくは、28μm以下、さらに好ましくは、25μm以下とすることができる。
上記加熱部材は、金属めっき層上に、ゴム弾性層を有する構成とすることができる。この構成によれば、加熱部材を他部材と圧接した状態で用いる場合に、均一な加圧を行うことが可能となる。なお、金属めっき層とゴム弾性層との間には、必要に応じて、プライマー層を介在させてもよい。
ゴム弾性層は、具体的には、各種のゴムを含むゴム組成物より形成することができる。ゴム弾性層に用いられるゴムとしては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
ゴム弾性層は、ゴム以外にも、熱伝導性粒子等の熱伝導材料、導電剤、難燃剤、滑剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、架橋剤、架橋助剤、老化防止剤などの添加剤を1種または2種以上含むことができる。なお、熱伝導材料としては、例えば、酸化マグネシウム、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、グラファイト、カーボンブラック、結晶性シリカ、炭化ケイ素、水酸化アルミニウムなどを例示することができる。
ゴム弾性層の厚みは、加熱部材表面への柔軟性の付与、被加熱体や他部材との接地性向上などの観点から、好ましくは100μm以上、より好ましくは150μm以上、さらに好ましくは200μm以上とすることができる。一方、ゴム弾性層の厚みは、薄肉化によるIH昇温性の向上、熱伝導性の向上などの観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは400μm以下、さらに好ましくは300μm以下とすることができる。
ゴム弾性層の熱伝導率は、例えば、0.3W/m・K以上とすることができる。ゴム弾性層による熱損失を少なくし、被加熱体の加熱を効率良く行うことができるからである。ゴム弾性層の熱伝導率は、好ましくは0.5W/m・K以上とすることができる。ゴム弾性層の熱伝導率は高いほど良いが、柔軟性、コスト等の観点から、例えば、3W/m・K以下とすることができる。なお、ゴム弾性層の熱伝導率は、熱伝導率測定装置(英弘精機者製、「HC−110」)により測定することができる。
上記加熱部材は、金属めっき層上またはゴム弾性層上に、表層を有する構成とすることができる。
この場合には、加熱部材の表面に付着したトナー等の粉体が離れやすくなるため、画像形成装置の定着部材として好適に用いることができる。
表層に用いられる主材料としては、例えば、トナー等の粉体の離れ性向上などの観点から、ポリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素系樹脂、フッ素ゴムなどを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。また、表層中には、難燃剤、充填剤、架橋剤、架橋助剤、滑剤、可塑剤、軟化剤、酸化防止剤などの添加剤が1種または2種以上含まれていてもよい。
表層の厚みは、耐久性などの観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上とすることができる。一方、表層の厚みは、表層より下の層に対する追従性、熱伝導性向上、コストなどの観点から、好ましくは80μm以下、より好ましくは50μm以下とすることができる。
上記加熱部材は、表層を形成することなく、ゴム弾性層の表面が表面処理により表面改質されていてもよい。具体的には、ゴム弾性層表面を表面処理液にて表面処理することにより、ゴム弾性層の表面にF原子および/またはCl原子等を導入することができる。また、ゴム弾性層表面に紫外線照射処理等の光照射処理を施すことにより、ゴム弾性層表面を内部よりも硬くする(摩擦係数を低下させる)ことができる。この場合にも、加熱部材の表面に付着したトナー等の粉体が離れやすくなるため、画像形成装置の定着部材として好適に用いることができる。
上記加熱部材は、種々の被加熱体を加熱するために用いることができる。上記加熱部材における金属めっき層を、電磁誘導加熱によって発熱する発熱層とした場合には、IH昇温性に優れるので、必要なときに被加熱体を速やかに加熱することができる。そのため、上記加熱部材を用いた装置の省エネ化を促進しやすくなる。
上記加熱部材は、具体的には、例えば、電子写真方式の画像形成装置における定着部材として用いることができる。
この構成によれば、基層に対する金属めっき層の耐熱密着性に優れるので、加熱状態における繰り返し曲げ負荷による屈曲耐久性に優れた定着部材が得られる。
電子写真方式の画像形成装置としては、例えば、帯電像を用いる電子写真方式の複写機、プリンター、ファクシミリ、複合機、オンデマンド印刷機等を例示することができる。
なお、上述した各構成は、上述した各作用効果等を得るなどのために必要に応じて任意に組み合わせることができる。
以下、実施例の加熱部材について、図面を用いて説明する。
(実施例1)
実施例1の加熱部材について、図1〜図6を用いて説明する。図1〜図4に示されるように、本例の加熱部材1は、基層用ポリマーより形成されており、表面に凹凸形状20を備える基層2と、基層2における凹凸形状20の形成面上に形成されており、バインダーポリマー31と触媒32とを含む下地層3と、下地層3の表面上に形成された金属めっき層4とを有している。以下、詳説する。なお、図4以外の図では、下地層3における触媒32は省略されている。
本例において、下地層3は、図3に示されるように、金属めっき層4側の表面に凹凸形状30を備えている。本例では、具体的には、下地層3の凹凸形状30は、基層2表面の凹凸形状20に沿うように形成されている。なお、基層2表面の凹凸形状20は、多数の凸部201と、各凸部201の間にある多数の凹部202とによって構成されている。下地層3の凹凸形状30は、他にも、例えば、図5に示されるように、基層2表面の凸部201の頂部が露出せず、かつ、基層2表面の凹部202を満たすように形成されていてもよい。また、下地層3は、他にも、例えば、図6に示されるように、金属めっき層4側の表面に凹凸形状30をほぼ備えておらず、金属めっき層4側の表面が平坦化されており、基層2表面の凸部201の頂部が露出せず、かつ、基層2表面の凹部202を満たすように形成されていてもよい。
本例では、図4に示されるように、下地層3の厚みtは、1μm以上10μm以下、下地層3の表面における凹凸形状30の高低差Δhは、1μm以上10μm以下とされている。
本例において、下地層3のバインダーポリマー31と基層2の基層用ポリマーとは、同種のポリマーより構成されている。具体的には、下地層3のバインダーポリマー31、基層2の基層用ポリマーは、いずれもポリイミドである。また、下地層3の触媒32は、金属触媒粒子の凝集体より構成されている。具体的には、金属触媒粒子は、Pdナノ粒子である。
本例において、金属めっき層4は、具体的には、下地層3の表面上に形成された第1金属めっき層41と、第1金属めっき層41の表面上に形成された第2金属めっき層42とを有している。本例の加熱部材1は、第2金属めっき層42上に、ゴム弾性層5を有している。また、本例の加熱部材1は、ゴム弾性層5上に、表層6を有している。
本例において、第1金属めっき層41を形成する金属は、具体的には、NiまたはNi合金である。第1金属めっき層41の厚みは、0.1〜2μm程度とすることができる。また、第2金属めっき層42を形成する金属は、具体的には、CuまたはCu合金、あるいは、AgまたはAg合金である。第2金属めっき層42の厚みは、15〜30μm程度とすることができる。
本例において、ゴム弾性層5は、熱伝導性を有するゴム組成物より形成されている。ゴム弾性層5に用いられるゴムは、具体的には、シリコーンゴムまたはフッ素ゴムである。ゴム弾性層5の厚みは、100〜300μm程度とすることができる。
本例において、表層6は、フッ素樹脂より形成されている。表層6の厚みは、5〜80μm程度とすることができる。
本例において、加熱部材1は、電子写真方式の画像形成装置に組み込まれ、定着部材(定着ベルト)として用いられる。つまり、加熱部材1は、被加熱体としての、用紙に転写された未定着のトナーを加熱するためのものである。
加熱部材1は、具体的には、画像形成装置の定着部において、例えば、加熱部材1に対向するように配置された加圧ロールに圧接させ、加圧ロールに従動して回動するように構成することができる。この場合、加熱部材1の表面と加圧ロールとの表面とを圧接させた状態に保持することによりニップ部を形成することができる。そして、このニップ部に未定着のトナー像を保持した用紙を通過させ、加熱部材1による熱および圧力によって未定着のトナー像を溶融させて用紙に定着させることができる。
なお、加熱部材1の発熱は、例えば、次のようにすることができる。画像形成装置の定着部において、加熱部材1の外周表面と隙間を設けて設置した磁場発生ユニットのIHコイルに所定の周波数の交流電流を印加する。これにより、IHコイルの周囲に交流磁界が発生する。交流磁界が、加熱部材1の金属めっき層4を横切る際に、電磁誘導作用によってその交流磁界の変化を妨げる磁界を発生するように誘導電流(渦電流)が生じる。誘導電流が加熱部材1の金属めっき層4を流れることによって、これらの層の抵抗値に比例した電力によるジュール熱が発生し、金属めっき層4が発熱する。これにより、加熱部材1を発熱させることができる。
以下、異なる構成を有する加熱部材の試料を複数作製し、評価を行った。その実験例について説明する。
(実験例)
<各種材料の準備>
−基層形成用材料−
市販のポリイミドワニス(ユニチカ社製、「U−イミドワニスAR」)に、レベリング剤、消泡剤、内添離型剤を添加して調製した塗料を、基層形成用材料とした。
−下地層形成用材料−
上記ポリイミドワニスと、イオックス社製「メタロイド」に使用されているPdナノ粒子の凝集体(一次粒径5nm、二次粒径50nm)とを含み、塗料粘度が100mPa・s(25℃)程度の塗料の原液(イオックス社製)を、下地層形成用材料とした。
−脱脂液−
アルカリ性脱脂剤(奥野製薬社製、「OPC−190クリーナー」)200mlと、3質量%の苛性ソーダ1200mlと、イオン交換水600mlとを混合することにより、脱脂液を調製した。
−第1金属めっき層形成用の無電解金属めっき液−
硫酸ニッケル六水和物:26g/L、次亜リン酸ナトリウム一水和物(還元剤):32g/L、グリシン(錯化剤):7.5g/L、クエン酸ナトリウム二水和物(錯化剤):30g/Lを混合することにより、無電解金属めっき液(1)を調製した。また、無電解ニッケルめっき液(奥野製薬工業社製、「TMP化学ニッケルHRT」)を無電解金属めっき液(2)とした。
−第2金属めっき層形成用の電解金属めっき液−
硫酸銅:70g/L、硫酸:200g/L、光沢剤(奥野製薬工業社製、「トップルチナLS」):5ml/L、35%塩酸:0.125ml/Lを混合することにより、電解金属めっき液を調製した。
−ゴム弾性層形成用材料−
熱伝導性を有するシリコーンゴム(信越化学工業社製、「X34−2133」)をプラネタリーミキサーにて混練し、その後、固形分濃度が60質量%となるようにトルエンにて溶解することにより、ゴム弾性層形成用材料を調製した。
−接着層形成用材料−
一液型RTVゴム(信越化学工業社製、「KE−3417」)の原液を、接着層形成用材料とした。
−表層形成用材料−
表層形成用材料として、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキビニルエーテル共重合体(PFA)製のチューブ(厚み30μm)を準備した。
<試料1〜試料6の加熱部材>
直径40mm、軸方向長さ450mmのアルミニウム製の円筒パイプ表面に、ディップコート法により上記基層形成用材料を塗工し、これを120℃で30分、150℃で10分、200℃で20分、350℃で40分間熱処理した。なお、上記塗工時の引上速度は100mm/秒とした。これにより、円筒パイプの外周面上に、ポリイミド(PI)よりなる筒状の塗膜(厚み80μm)を形成した。次いで、円筒パイプを回転させながら、形成した塗膜の表面にウェットブラスト処理(投射材:多角形アルミナ粒子)を実施し、塗膜表面に凹凸形状を付与した。次いで、塗膜表面を水洗し、エアーにて乾燥後、塗膜を脱型した。これにより、ポリイミドより形成されており、表面に凹凸形状が導入された筒状の基層を得た。なお、ウェットブラスト処理に用いる投射材の粒子径、投射圧力などを調整することにより、基層表面の表面粗さを調節可能である。本例では、投射材の粒子径を28μmとすることにより基層(1)、14μmとすることにより基層(2)、7μmとすることにより基層(3)をそれぞれ作製した。東京精密社製「サーフコム1400D」を用いて測定した、各基層表面の十点平均粗さRzは、基層(1)が10μm、基層(2)が5μm、基層(3)が2μmであった。
次いで、基層における凹凸形状の形成面上に、刷毛塗り法により、上記下地層形成用材料を塗工し、120℃で15分間、240℃で15分間熱処理した。これにより、基層の外周面上に、下地層を形成した。なお、本例では、刷毛塗り量を調整することにより、後述の表1に示される厚み、凹凸形状の高低差を有する下地層を形成した。次いで、下地層が形成された基層を、脱脂液に65℃で5分間浸漬し、その後、純水をかけ流すことにより、水洗した。これにより、下地層の表面を脱脂した。なお、下地層には、バインダーポリマーとしてのポリイミド(PI)と、触媒としてのPdナノ粒子の凝集体とが含まれており、レベリング剤、消泡剤、内添離型剤などの低分子量成分は含まれていない。また、下地層表面は、脱脂液によりエッチングされ、その結果、下地層表面にはPdナノ粒子の凝集体の一部が露出していた。また、下地層は、表面に凹凸形状を備えていた。
次いで、下地層が形成された基層を、後述の表1に示される所定の無電解金属めっき液に浸漬し、その後、純水をかけ流すことにより、水洗した。これにより、下地層の外周面上に、第1金属めっき層(厚み1μm)を形成した。なお、無電解金属めっき液(1)を用いた場合には、めっき液温度:84℃、めっき時間:5分間のめっき条件とした。また、無電解金属めっき液(2)を用いた場合には、めっき液温度:40℃、めっき時間:5分間のめっき条件とした。
次いで、第1金属めっき層の表面に、上記電解金属めっき液を用いて、電流密度2.5A/dm、温度25℃にて20分間電解金属めっきを行った。これにより、第1金属めっき層の外周面上に、第2金属めっき層(厚み20μm)を形成した。
次いで、第2金属めっき層の表面に、ディップコート法によりゴム弾性層形成用材料を塗工し、130℃で30分間熱処理した。なお、塗工時の引上速度は100mm/秒とした。これにより、第2金属めっき層の外周面上に、シリコーンゴム製のゴム弾性層(厚み200μm)を形成した。
次いで、ゴム弾性層の表面に、接着層形成用材料を塗布した後、チューブ状の表層形成用材料を覆い被せた。これにより、ゴム弾性層の外周面上に、フッ素樹脂製の表層(厚み30μm)を形成した。
以上により、試料1〜試料6の加熱部材を作製した。
<試料1Cの加熱部材>
ウェットブラスト処理を実施せず、基層表面に凹凸形状を導入しなかった点以外は、試料1〜試料6の加熱部材の作製と同様にして、試料1Cの加熱部材を作製した。なお、ウェットブラスト未処理の基層(4)の十点平均粗さRzは、0.5μmであった。
<試料2Cの加熱部材>
下地層を形成せず、基層表面に直接、第1金属めっき層を形成した点以外は、試料1〜試料6の加熱部材の作製と同様にして、試料2Cの加熱部材を作製した。
<下地層の厚み測定>
上述した測定方法により、下地層の厚みを測定した。
<下地層の表面における凹凸形状の高低差測定>
上述した測定方法により、下地層の表面における凹凸形状の高低差を測定した。
<基層に対する金属めっき層の初期密着性>
作製した試料の加熱部材から長さ10cm、幅1cmの短冊状の試験片を採取した。試験片を切断しないように、カッターナイフを用いて、基層と下地層との界面に切り込みを入れた。その後、引張試験機(島津製作所社製、「精密万能試験機 AGS−1kNX」)を用いて、下地層以上の上層を引っ張り、密着強度(180°ピール強度)を測定した。この際、引張速度は25mm/分とした。
密着強度が5N/cm以上の場合を「A+」、密着強度が3N/cm以上5N/cm未満の場合を「A」、密着強度が1N/cm以上3N/cm未満の場合を「B」、密着強度が1N/cm未満の場合を「C」とした。
<基層に対する金属めっき層の耐熱密着性>
市販のフルカラー複合機(コニカミノルタ社製、「bizhub C652DS」)に搭載されている定着ユニットを回転ユニットとして用い、この回転ユニットに試料の加熱部材を取り付けた。次いで、図7に示されるように、試料の加熱部材1の外周にIHコイル91を近接させて設置した。なお、図7中、加熱部材1の積層構造は省略されている。次いで、駆動用モーター92を回転駆動させることにより駆動系93を介して加圧ロール94を回転させ、加圧ロール94に圧接された試料の加熱部材1を連れまわりにより矢印Y方向に回転させた(回転数300rpm)。なお、図7中、Nは、試料の加熱部材1と加圧ロール94とのニップ部である。Sは、印刷用紙である。また、1.25kWにてIHコイル91を作動させ、回転する試料の加熱部材1を電磁誘導加熱により昇温させた。そして、筒軸方向の中央部における表面温度が230℃に到達した状態にて、試料の加熱部材1を1時間加熱し続けた。なお、表面温度は、試料の加熱部材1の外周に配置した非接触温度計95(キーエンス社製、「FT−H10」)を用いて測定した。そして、230℃の温度を保持したまま1時間、試料の加熱部材1を回転させた。その後、上述した密着強度を測定し、これを耐熱密着性の指標とした。
密着強度が5N/cm以上の場合を「A+」、密着強度が3N/cm以上5N/cm未満の場合を「A」、密着強度が1N/cm以上3N/cm未満の場合を「B」、密着強度が1N/cm未満の場合を「C」とした。
<耐熱後の屈曲耐久性>
上記<基層に対する金属めっき層の耐熱密着性>にて上述したように、筒軸方向の中央部における表面温度が230℃に到達した状態にて、試料の加熱部材1を1時間加熱し続けた。その後、試料の加熱部材1から、ベルト周方向と長手方向が一致するように短冊状試験片(15mm×115mm)を切り出し、25℃×50%RH環境下、MIT耐折疲労試験機(東洋精機製作所社製「MIT−DA」)を用いてMIT試験を行い、MIT回数を測定した。試験条件は、スプリング介在状態で荷重1kg、反復速度175サイクル/分、振れ角度45°、先端R(屈曲時の曲率半径)0.38mmとした。なお、MIT回数は、屈曲性の評価の指標となるものであり、このMIT回数が多い程、屈曲耐久性に優れていることを示す。
MIT回数が5000回以上の場合を繰り返し曲げ負荷による耐熱後の屈曲耐久性に優れるとして「A」、MIT回数が2000回以上5000回未満の場合を繰り返し曲げ負荷による耐熱後の屈曲耐久性が良好であるとして「B」、MIT回数が2000回以下の場合を繰り返し曲げ負荷による耐熱後の屈曲耐久性に劣るとして「C」とした。
表1に、試料の加熱部材の詳細構成、評価結果等をまとめて示す。
Figure 2019008248
表1によれば、以下のことがわかる。
試料1Cの加熱部材は、バインダーポリマーと触媒とを含む下地層を有しているものの、基層表面に凹凸形状が導入されていない。そのため、試料1Cの加熱部材は、基層と下地層との間の接合面積が不十分で、基層と下地層との間の密着性が悪い。それ故、試料1Cの加熱部材は、基層に対する金属めっき層の初期密着性のみならず、基層に対する金属めっき層の耐熱密着性も確保することができなかった。
試料2Cの加熱部材は、基層表面に凹凸形状が導入されているものの、バインダーポリマーと触媒とを含む下地層を有していない。そのため、試料2Cの加熱部材は、バインダーポリマーに保持された触媒を核として金属めっき層を成長させることができず、下地層と金属めっき層との間の密着性が悪い。それ故、試料2Cの加熱部材は、基層に対する金属めっき層の初期密着性を確保することはできたが、基層に対する金属めっき層の耐熱密着性を確保することはできなかった。なお、基層表面に酸エッチング処理を伴うめっき前処理工程を施した場合には、基層表面に脆弱層が形成されてしまうため、基層に対する金属めっき層の耐熱密着性を確保することは難しい。
これらに対し、試料1〜試料6の加熱部材によれば、基層に対する金属めっき層の耐熱密着性を向上させることができた。これは、以下の理由によるものと考えられる。
すなわち、本例の加熱部材は、基層用ポリマーより形成される基層の表面に凹凸形状を備えている。そして、この基層における凹凸形状の形成面上に下地層が形成されている。そのため、本例の加熱部材は、基層と下地層との間の接合面積が増大し、基層と下地層との間の密着性を向上させることができる。また、本例の加熱部材では、下地層がバインダーポリマーと触媒とを含んでいるので、バインダーポリマーに保持された触媒を核として金属めっき層を成長させることができる。そのため、本例の加熱部材は、下地層と金属めっき層との間の密着性を向上させることができる。また、本例の加熱部材は、上述の下地層を有するため、酸エッチング処理を伴うめっき前処理工程を基層表面に施す必要がなくなり、基層表面に脆弱層が形成されるのを回避することができる。また、本例の加熱部材では、上述の下地層により、基層に含まれる低分子量成分が下地層と金属めっき層との界面に移行するのを抑制することができ、その一方で、金属めっき層からの金属イオンの基層中への拡散を抑制することもできる。これらにより、本例の加熱部材は、基層に対する金属めっき層の耐熱密着性を向上させることができたものと考えられる。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例、実験例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施例および実験例では、筒状の形状を呈する基層を用いて説明したが、軸体の外周にロール状に形成された基層を用いた場合でも、同様の作用効果を奏することができる。
1 加熱部材
2 基層
3 下地層
4 金属めっき層

Claims (8)

  1. 被加熱体を加熱するための加熱部材であって、
    基層用ポリマーより形成されており、表面に凹凸形状を備える基層と、
    上記基層における上記凹凸形状の形成面上に形成されており、バインダーポリマーと触媒とを含む下地層と、
    上記下地層の表面上に形成された金属めっき層と、
    を有する、加熱部材。
  2. 上記下地層は、上記金属めっき層側の表面に凹凸形状を備えている、請求項1に記載の加熱部材。
  3. 上記下地層の厚みが、1μm以上10μm以下、
    上記下地層の表面における上記凹凸形状の高低差が、1μm以上10μm以下である、請求項2に記載の加熱部材。
  4. 上記下地層の厚みが、1μm以上10μm以下、
    上記下地層の表面における上記凹凸形状の高低差が、2μm以上8μm以下である、請求項2に記載の加熱部材。
  5. 上記下地層の厚みが、1μm以上10μm以下、
    上記下地層の表面における上記凹凸形状の高低差が、3μm以上6μm以下である、請求項2に記載の加熱部材。
  6. 上記基層用ポリマーは、ポリイミドである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱部材。
  7. 上記触媒は、金属触媒粒子の凝集体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の加熱部材。
  8. 電子写真方式の画像形成装置における定着部材として用いられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の加熱部材。
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