JP4547850B2 - アーク溶接の短絡判別方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アーク期間と短絡期間とを繰り返す消耗電極式アーク溶接の短絡判別方法に関し、特に、給電チップ・母材間の電圧wp検出することなく正確に短絡を判別することができる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8は、消耗電極式アーク溶接装置の構成図である。以下、同図を参照して説明する。
制御装置PLCは、溶接電源装置PS、図示していないポジショナ等の動作を制御し、溶接電源装置PSには電圧設定信号Vr、電流設定信号Ir等の制御信号を送出する。溶接電源装置PSは、上記の電圧設定信号Vrに対応した溶接電圧vw及び溶接電流iwを出力すると共に、上記の電流設定信号Irに対応した送給速度で溶接ワイヤ1を送給するための送給制御信号Fcを出力する。送給モータWMは、上記の送給制御信号Fcに従って送給ロール5を回転させて溶接ワイヤ1を送給する。溶接ワイヤ1は、溶接トーチ4を通って母材2へ送給されると共に、溶接トーチ4の先端部に取り付けられた給電チップ4aから給電されて、母材2との間にアーク3が発生する。溶接電源装置PSの出力端子と溶接トーチ4及び母材2との間はケーブル6で接続されている。上記の溶接電圧vwは給電チップ4aと母材2との間の電圧であり、端子電圧vtは溶接電源装置PSの出力端子間の電圧である。上記のケーブル6が往復で5m程度以下と非常に短い場合には、上記の溶接電圧vwと上記の端子電圧vtとは略等しくなる。しかし、ケーブル6の長さが往復で10m程度を超えるとケーブル6の抵抗値及びインダクランス値の影響が大きくなるために、上記の溶接電圧vwと上記の端子電圧vtとは大きく異なった値となる。
【0003】
図9は、アーク期間と短絡期間とを繰り返すアーク溶接の電流・電圧波形図であり、同図(A)は溶接電流iwの時間変化を示し、同図(B)は溶接電圧vwの時間変化を示す。アーク期間Taと短絡期間Tsとを繰り返すアーク溶接には、短絡移行溶接、グロビュール移行溶接、スプレー移行溶接等があるが、同図はその典型である短絡移行溶接のときの波形である。以下、同図を参照して説明する。
【0004】
▲1▼ 時刻t1〜t2の期間(短絡期間Ts)
時刻t1〜t2の短絡期間Ts中は、溶接ワイヤと母材との短絡によって負荷が非常に小さくなるために、同図(A)に示すように、溶接電流iwは時間経過とともに増加し、同図(B)に示すように、溶接電圧vwは小さな値となる。このように電流が増加すると短絡部の溶滴に働く電磁的ピンチ力が増大するために、溶滴の母材への移行が加速されて短時間で短絡が解除されてアークが再発生する。しかしながら、この電流の増加率があまり大きすぎると、アーク再発生時に大粒のスパッタが多く発生し、また、ビード外観も悪くなるために、不良な溶接品質になる。これを防止するために、短絡期間中の電圧設定値をアーク期間中よりも小さくすることによって短絡期間中の電流の増加率を適正化する制御を行っている。この短絡電流制御を行うためには、短絡期間Tsとアーク期間Taとを判別する必要がある。この一般的な方法としては、同図(B)に示すように、基準電圧値Vthを予め設定し、溶接電圧vwがこの基準電圧値Vth以下のときを短絡期間Tsと判別する方法が使用される。
【0005】
▲2▼ 時刻t2〜t3の期間(アーク期間Ta)
時刻t2において短絡が解除してアークが再発生すると、負荷が大きくなるために、同図(A)に示すように、溶接電流iwは時間経過とともに減少した後に定常値になり、同図(B)に示すように、溶接電圧vwは数十Vのアーク電圧値に大きくなる。このアーク電圧値とアーク長とは略比例関係にあるので、適正なアーク長に設定するためにはアーク電圧値を適正値に設定すればよく、図8で上述した電圧設定信号Vrは、このアーク電圧値を設定している。同図のX1及びX2で示すように、アーク期間Ta中の溶接電流iw及び溶接電圧vwは一定値ではなく大きく変動することが多い。これは、送給速度の変動、トーチ高さの変動、母材表面状態の変動、シールドガスによるシールド状態の変動等の種々の要因によってアーク負荷状態が刻々と変化するためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、給電チップ・母材間の電圧である溶接電圧vwを検出することができれば短絡を判別することができる。ところで、実際の溶接ラインにおいては多数の加工用装置の配置上の制約から溶接電源装置と母材ワークとが相当に離れた場所に配置されることが多くある。このような場合には、図8で上述したケーブル6の長さが往復で20〜50mと長くなることも多くある。このときに給電チップ・母材間の溶接電圧vwを検出するためには、溶接電源装置と溶接トーチ又は母材との間に専用の検出線を配線する必要がある。しかし、▲1▼この配線には手間とコストがかかること、▲2▼溶接トーチは溶接ロボット等に搭載されて激しく移動するために検出線の断線が発生しやすいこと、▲3▼母材ワークが自動車フレーム、橋梁、鉄骨等のように大型構造物である場合には溶接個所近くに上記の検出線を接続することが困難であること等の種々の原因から上記の検出線が使用されていない。そして、溶接電圧vwの代りに端子電圧vtを検出するのが一般的である。
【0007】
図10は、ケーブルが長いときの端子電圧vtの波形図である。上述したように、ケーブルの抵抗値及びインダクランス値が大きいために、溶接電流の変化によってノイズが重畳して同図のような波形となる。上述したように、この端子電圧vtと基準電圧値Vthを比較して短絡期間Tsを判別すると、X3に示すようにアーク期間Taを短絡と判別したり、X4に示すように短絡機関Tsをアークと判別する誤検出が発生する。このために、端子電圧vtを大きな時定数で平滑して誤検出を防止している。しかし、大きな時定数で平滑すると短絡判別のタイミングが大きく遅れることになり、遅れなしに正確に短絡期間Tsを判別することはできない。この結果、短絡電流の増加率の適正化が不十分となり、スパッタの増加、ビード外観の悪化等によって溶接品質が悪くなる。
【0008】
また、上記以外の短絡判別方法として溶接電流iwの増加率(微分値ib=di/dt)による方法がある。図11は、この方法を示す波形図であり、同図(A)は溶接電流iwの時間変化を示し、同図(B)は溶接電流iwの増加分の微分値ib=diw/dtの時間変化を示す。同図(A)に示すように、時刻t1において短絡が発生すると電流は増加するので、同図(B)のX5に示すように、微分値ibも大きくなる。この微分値ibが予め定めた微分基準値Bthを超えると短絡と判別する。この方法では、溶接電流iwを検出して微分値ibを算出するので、溶接電源装置内の電流検出器によって検出することができる。したがって、ケーブルが長い場合でも検出線を追加・配線する必要はない。しかし、同図(A)に示すように、アーク期間Ta中の溶接電流iwは上述したように種々の要因によるアーク負荷の変動に伴い大きく変動する。この変動を微分すると、同図(B)のX6に示すように、微分値ibは大きくなり微分基準値Bthを超えて短絡を誤検出する場合が生じる。したがって、この電流増加率によっても正確に短絡を判別することはできない。
【0009】
そこで、本発明では、ケーブルの長さに影響されることなく検出線も不要な短絡判別方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、予め定めた電流設定値に対応した送給速度で溶接ワイヤを送給し短絡期間とアーク期間とを繰り返すアーク溶接の短絡判別方法において、
溶接中の溶接電流を検出しこの溶接電流検出値を数十ms〜数百msの時定数で平滑した溶接電流平滑値を検出しこの溶接電流平滑値に予め定めた一定値の増加電流値を加算して短絡判別値を刻々と演算し、上記アーク期間中に上記溶接電流検出値が上記短絡判別値以上になったことを判別して短絡発生を判別し、続けて上記短絡期間中に上記溶接電流検出値が上記短絡判別値未満になったことを判別して短絡が解除してアークが再発生したことを判別することを特徴とするアーク溶接の短絡判別方法である。
【0011】
請求項2の発明は、上記短絡判別値を、溶接電流平滑値が電流設定値以下のときには上記電流設定値に予め定めた増加電流値を加算した値として刻々と演算する請求項1記載のアーク溶接の短絡判別方法である。
【0012】
請求項3の発明は、上記短絡解除の判別を、短絡期間中に溶接電流検出値がこの短絡期間中の最大値から予め定めた減少電流値だけ小さくなったことを判別することによって行う請求項1又は請求項2記載のアーク溶接の短絡判別方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0014】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1は、溶接電流iwを平滑した溶接電流平滑値iaに予め定めた増加電流値ΔIaを加算して短絡判別値iat=ia+ΔIaを刻々と演算し、アーク期間中に溶接電流iwがこの短絡判別値iat以上になったときに短絡発生を判別し、続けて短絡期間中に溶接電流iwがこの時点での短絡判別値iat未満になったときに短絡解除と判別する方法である。以下、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、実施の形態1における短絡判別方法を示す波形図であり、同図(A)は溶接電流iwの時間変化を示し、同図(B)は短絡判別信号Sdの時間変化を示す。同図(A)に示すように、溶接電流iwを数十ms〜数百msの時定数で平滑した溶接電流平滑値iaを検出する。この溶接電流平滑値iaに予め定めた増加電流値ΔIaを加算して短絡判別値iat=ia+ΔIaを刻々と演算する。同図(A)に示すように、時刻t1において短絡が発生すると電流が増加して時刻t11において溶接電流iwが短絡判別値iat以上になったことを判別すると、同図(B)に示すように、短絡判別信号SdがHighレベル(短絡)に変化する。続いて、時刻t2において短絡が解除されてアークが再発生すると電流が減少して時刻t21において溶接電流iwがこの時点での短絡判別値iat未満になったことを判別すると、同図(B)に示すように、短絡判別信号SdはLowレベル(アーク)に変化する。短絡が発生した時刻t1と短絡判別信号SdがHighレベルに変化する時刻t11との間には少しの遅れがあるが、短時間であるので短絡電流の制御には影響はない。また、時刻t2の短絡解除時も同様である。上記の溶接電流平滑値iaの時定数をどの値に設定するかは重要である。すなわち、この時定数は1回のアーク期間中の溶接電流iwの急激な変動を平滑することができる値である数十ms以上である必要がある。他方、この時定数は、送給速度、トーチ高さ等の変動による数十回の短絡/アークの繰り返し期間にわたる緩やかで大きな変化幅である溶接電流iwの変動は平滑しないために数百ms以下の値である必要がある。これにより、溶接電流iwの急激な変動は平滑して影響をなくし、かつ、緩やかで大きな変動に対しては平滑せずに短絡判別値iatに反映させることによって、誤検出なしに正確に短絡を判別することが可能となる。短絡移行溶接時における上記の時定数は100ms程度であり、上記の増加電流値ΔIaは50A程度である。
【0016】
図2は、実施の形態1に係る溶接電源装置PSのブロック図である。以下、同図を参照して各回路について説明する。
【0017】
出力制御回路INVは、交流商用電源(3相200V等)を入力として、後述する電圧誤差増幅信号Evに従ってインバータ制御、サイリスタ位相制御等の出力制御を行い溶接に適した溶接電圧vw及び溶接電流iwを出力する。外部に設けられた制御装置PLCから電圧設定信号Vr及び電流設定信号Irが入力される。送給制御回路FCは、上記の電流設定信号Irに対応した送給速度で溶接ワイヤ1を送給するための送給制御信号Fcを出力する。送給モータWMは、上記の送給制御信号Fcに従って送給ロール5を回転させて溶接ワイヤ1を送給する。溶接ワイヤ1は、溶接トーチ4を通って母材2へ送給されてアーク3が発生する。
【0018】
電流検出回路IDは、上記の溶接電流iwを検出して電流検出信号idを出力する。電流平滑回路IAは、上記の電流検出信号idを上述したように数十ms〜数百msの時定数で平滑して溶接電流平滑信号iaを出力する。短絡判別値演算回路IATは、上記の溶接電流平滑信号iaに予め定めた増加電流値ΔIaを加算して短絡電流判別値信号iatを出力する。比較回路CMは、上記の電流検出信号idと上記の短絡判別値信号iatとを比較して、id≧iatのときにHighレベルとなり、id<iatのときにLowレベルとなる短絡判別信号Sdを出力する。
【0019】
短絡電圧設定回路VRSは、短絡期間中の溶接電流の増加率を適正化するための短絡電圧設定信号Vrsを出力する。電圧設定切換回路SVは、上記の短絡判別信号SdがHighレベル(短絡)のときにはa側に切り換わり上記の短絡電圧設定信号Vrsを電圧制御設定信号Vrcとして出力し、上記の短絡判別信号SdがLowレベル(アーク)のときにはb側に切り換わり上記の外部からの電圧設定信号Vrを電圧制御設定信号Vrcとして出力する。電圧検出回路VDは、端子電圧vtを検出して電圧検出信号vdを出力する。電圧誤差増幅回路EVは、上記の電圧制御設定信号Vrcと上記の電圧検出信号vdとの誤差を増幅して電圧誤差増幅信号Evを出力する。この電圧誤差増幅回路EVによって溶接電源装置PSは定電圧制御される。
【0020】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2は、上述した実施の形態1において、上記の短絡判別値iatを、溶接電流平滑値iaが電流設定値Ir以下のときには電流設定値Irに予め定めた増加電流値ΔIaを加算した値(Ir+ΔIa)として刻々と演算するアーク溶接の短絡判別方法である。溶接継手形状の制約、ワイヤ溶着量の増大等からトーチ高さ(ワイヤ突出し長さ)を通常の適正範囲よりも長く設定して溶接する場合がある。一般的にワイヤ突出し長さが適正範囲よりも長くなると、アーク発生状態がやや不安定になる。このために、アーク期間中の溶接電流iwの変動がさらに大きくなり、溶接電流平滑値iaの変動も大きくなるために、実施の形態1の方法では短絡発生を誤検出する可能性がある。ところで、電流設定値Irは、ワイヤ突出し長さが適正範囲のときの溶接電流平滑値iaと略等しくなる。溶接電流平滑値iaはワイヤ突出し長さと反比例の関係にあるので、ワイヤ突出し長さが長くなると溶接電流平滑値iaは小さくなる。したがって、溶接電流平滑値iaが電流設定値Ir以下のときはワイヤ突出し長さが適正範囲よりも長いときであり、このときには上記のようにアーク発生状態がやや不安定になり、溶接電流平滑値iaの変動も大きくなる。実施の形態2では、このような場合には誤検出を防止するために、変動が大きな溶接電流平滑値iaに代えて電流設定値Irを使用して短絡判別値iat=Ir+ΔIaを演算する方法である。この方法では、短絡発生の判別タイミングが若干遅くなるが、誤検出を防止することができる。以下、図面を参照して説明する。
【0021】
図3は、実施の形態2における短絡判別方法を示す波形図であり、同図(A)は溶接電流iwの時間変化を示し、同図(B)は短絡判別信号Sdの時間変化を示す。同図は、ワイヤ突出し長さが適正範囲よりも長い場合である。
【0022】
同図(A)に示すように、溶接電流平滑値iaは電流設定値Ir以下であるために、短絡判別値iatは電流設定値Ir及び予め定めた増加電流値ΔIaによってiat=Ir+ΔIaとして演算される。これ以後の動作は上述した図1のときと同様に、溶接電流iwと上記の短絡判別値iatとを比較して、同図(B)に示すように、iw≧iatの期間(時刻11〜t21)を短絡期間(Highレベル)と判別する。
【0023】
図4は、実施の形態2に係る溶接電源装置PSのブロック図である。同図において上述した図2と同一の回路には同一符号を付してそれらの説明は省略する。
以下、図2とは異なる点線で示す回路について説明する。第2の短絡判別値演算回路IAT2は、溶接電流平滑信号ia、電流設定信号Ir及び増加電流値ΔIaを入力として、ia>Irのときには短絡判別値信号iat=ia+ΔIaを演算して出力し、ia≦Irのときには短絡判別値信号iat=Ir+ΔIaを演算して出力する。
【0024】
[実施の形態3]
本発明の実施の形態3は、上述した実施の形態1及び2において、短絡発生の判別は上記のままで、短絡解除の判別を短絡期間中に溶接電流iwがこの短絡期間中の最大値Iphから予め定めた減少電流値ΔIpだけ小さくなったことを判別することによって行う短絡判別方法である。この目的は、短絡解除の判別の遅れを短くすることにある。すなわち、実施の形態1及び2においては、短絡が解除されてアークが再発生し、溶接電流iwが短絡判別値iatまで減少するまでは短絡期間と判別する。しかし、短絡解除時の電流値が実際の短絡期間中の最大値Iphとなるので、実施の形態3では、この最大値Iphから予め定めた減少電流値ΔIpを減算した短絡解除判別値Ipt=Iph−ΔIpを求め、溶接電流iw<Iptになったときに短絡が解除されたと判別する。通常、短絡判別値iat<短絡解除判別値Iptなので、短絡解除の判別の遅れを短くすることができる。以下、図面を参照して説明する。
【0025】
図5は、実施の形態3における短絡判別方法を示す波形図であり、同図(A)は溶接電流iwの時間変化を示し、同図(B)は短絡判別信号Sdの時間変化を示す。同図(A)に示す溶接電流iwの波形は、図1と同一のときであり、したがって短絡判別値iat=ia+ΔIaの場合である。
【0026】
同図(A)に示すように、時刻t11において溶接電流iwが短絡判別値iat以上になると短絡発生と判別する。続いて、短絡期間中の溶接電流iwの最大値Iphをサンプル・ホールドして短絡解除判別値Ipt=Iph−ΔIp(定数)を演算し、時刻22において溶接電流iwがこの短絡解除判別値Ipt未満になったときに短絡解除と判別する。上記の減少電流値ΔIpは例えば50Aに設定される。したがって、同図(B)に示すように、時刻t11〜t22の期間を短絡期間(Highレベル)として判別する。図1及び図3と同図とを比較すると明らかなように、短絡解除の判別の遅れが時刻t21から時刻t22へと短くなっている。
【0027】
同図は、図1の溶接電流波形の場合であるが、図3の溶接電流波形の場合も同様である。このときの説明は省略する。
【0028】
図6は、実施の形態3に係る溶接電源装置PSのブロック図である。同図は、実施の形態1に本短絡解除の判別方法を加味した場合である。同図において上述した図2と同一の回路には同一符号を付してそれらの説明は省略する。以下、図2とは異なる点線で示す回路について説明する。
【0029】
短絡電流最大値保持回路IPHは、電流検出信号idを入力として短絡期間中の最大値をサンプル・ホールドして短絡電流最大値信号Iphを出力する。短絡解除判別値演算回路IPTは、上記の短絡電流最大値信号Iphから予め定めた減少電流値ΔIpを減算して短絡解除判別値信号Iptを出力する。第2の比較回路CM2は、上記の電流検出信号idと上記の短絡解除判別値信号Iptとを比較してid≧IptのときにHighレベルとなり、id<IptのときにLowレベルとなるリセット信号Rsを出力する。比較回路CMは、上記の電流検出信号idと短絡判別値信号iatとを比較して、id≧iatのときにHighレベルとなり、id<iatのときにLowレベルとなるセット信号Setを出力する。フリップフロップ回路FFは、上記のセット信号SetがHighレベルに変化すると短絡判別信号SdはHighレベルとなり、上記のリセット信号RsがLowレベルに変化すると短絡判別信号SdはLowレベルになる。以降の動作は図2と同一である。
【0030】
図7は、実施の形態2の図4に上記の図6を加味した溶接電源装置PSのブロック図である。同図において上述した図4及び図6と同一の回路には同一符号を付してそれらの回路の説明は省略する。
【0031】
【発明の効果】
請求項1記載のアーク溶接の短絡判別方法によれば、溶接電源装置と母材又は溶接トーチとの間のケーブルが長い場合でも溶接電圧を検出するための検出線を使用することなく溶接電流の検出のみで正確に短絡を判別することができるので、短絡電流の増加率を適正値に制御して常に良好な溶接品質を得ることができる。さらには、検出線の配線に要する手間とコストを無くすことができ、検出線の断線によるトラブルを無くすことができる。
請求項2記載のアーク溶接の短絡判別方法によれば、上記の効果に加えて、ワイヤ突出し長さが長い場合でも溶接電流の変動によって短絡期間を誤検出することがないので、ワイヤ突出し長さが長い場合でも良好な溶接品質を得ることができる。
請求項3記載のアーク溶接の短絡判別方法によれば、上記の効果に加えて、短絡解除の判別の遅れを短くすることができるので、実際の短絡解除直後から遅れることなくアーク電流を適正化することができ、ビード外観がさらに良好になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る短絡判別方法を示す溶接電流iwの波形図である。
【図2】実施の形態1に係る溶接電源装置のブロック図である。
【図3】実施の形態2に係る短絡判別方法を示す溶接電流iwの波形図である。
【図4】実施の形態2に係る溶接電源装置のブロック図である。
【図5】実施の形態3に係る短絡判別方法を示す溶接電流iwの波形図である。
【図6】実施の形態3に係る溶接電源装置のブロック図である。
【図7】実施の形態3に係るもう1つの溶接電源装置のブロック図である。
【図8】従来のアーク溶接装置の構成図である。
【図9】従来技術における溶接電流iw及び溶接電圧vwの波形図である。
【図10】従来技術1の短絡判別方法の課題を説明するための溶接電源装置の端子電圧vtの波形図である。
【図11】従来技術2の短絡判別方法の課題を説明するための溶接電流iw及び溶接電圧vwの波形図である。
【符号の説明】
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
4a 給電チップ
5 送給ロール
6 ケーブル
Bth 基準微分値
CM 比較回路
CM2 第2の比較回路
EV 電圧誤差増幅回路
Ev 電圧誤差増幅信号
FC 送給制御回路
Fc 送給制御信号
FF フリップフロップ回路
IA 電流平滑回路
ia 溶接電流平滑(値/信号)
IAT 短絡判別値演算回路
iat 短絡判別値(信号)
IAT2 第2の短絡判別値演算回路
ib (電流)微分値
ID 電流検出回路
id 電流検出信号
INV 出力制御回路
IPH 短絡電流最大値保持回路
Iph 短絡電流最大値(信号)
IPT 短絡解除判別値演算回路
Ipt 短絡解除判別値(信号)
Ir 電流設定(値/信号)
iw 溶接電流
PLC 制御装置
PS 溶接電源装置
Rs リセット信号
Sd 短絡判別信号
Set セット信号
SV 電圧設定切換回路
Ta アーク期間
Ts 短絡期間
Vr 電圧設定(値/信号)
Vrc 電圧制御設定信号
VRS 短絡電圧設定回路
Vrs 短絡電圧設定信号
vt 端子電圧
Vth 基準電圧値
vw 溶接電圧
WM 送給モータ
ΔIa 増加電流値
ΔIp 減少電流値
Claims (3)
- 予め定めた電流設定値に対応した送給速度で溶接ワイヤを送給し短絡期間とアーク期間とを繰り返すアーク溶接の短絡判別方法において、
溶接中の溶接電流を検出しこの溶接電流検出値を数十ms〜数百msの時定数で平滑した溶接電流平滑値を検出しこの溶接電流平滑値に予め定めた一定値の増加電流値を加算して短絡判別値を刻々と演算し、前記アーク期間中に前記溶接電流検出値が前記短絡判別値以上になったことを判別して短絡発生を判別し、続けて前記短絡期間中に前記溶接電流検出値が前記短絡判別値未満になったことを判別して短絡が解除してアークが再発生したことを判別することを特徴とするアーク溶接の短絡判別方法。 - 前記短絡判別値を、溶接電流平滑値が電流設定値以下のときには前記電流設定値に予め定めた増加電流値を加算した値として刻々と演算する請求項1記載のアーク溶接の短絡判別方法。
- 前記短絡解除の判別を、短絡期間中に溶接電流検出値がこの短絡期間中の最大値から予め定めた減少電流値だけ小さくなったことを判別することによって行う請求項1又は請求項2記載のアーク溶接の短絡判別方法。
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