JP5907614B2 - 消耗電極アーク溶接制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶滴のくびれを検出すると溶接電流を減少させてアークを再発生させるくびれ検出制御及び溶接電流が設定値と等しくなるように送給速度を制御する送給速度可変制御を行って溶接する消耗電極アーク溶接制御方法に関するものである。
特許文献1の発明では、溶接ワイヤと母材との間でアーク発生状態と短絡状態とを繰り返す消耗電極アーク溶接において、短絡状態からアークが再発生する前兆現象である溶滴のくびれを溶接ワイヤと母材との間の電圧値又は抵抗値の変化がくびれ検出基準値に達したことによって検出し、このくびれを検出すると短絡負荷に通電する溶接電流を急減させて小電流値の状態てアークが再発生するように出力制御している。このようにすると、アーク再発生時の電流値を小さくすることができるので、スパッタ発生量を低減することができる。
特許文献2の発明では、溶接電流と予め定めた電流設定値とが等しくなるように溶接ワイヤの送給速度をフィードバック制御している。通常の消耗電極アーク溶接では、溶接中の送給速度は一定値である。これに対して、特許文献2の発明では、給電チップ・母材間距離が変化しても溶接電流値が一定になるように、送給速度が可変制御される。母材の溶け込み深さは溶接電流値に略比例するので、溶接電流値が一定になると溶け込み深さが均一化される。通常のアーク溶接においては、給電チップ・母材間距離を一定に保持して溶接が行われる。しかし、深い開先の溶接、多層盛り溶接等の場合には、給電チップ・母材間距離を一定値に保持することが、溶接トーチと母材との干渉の問題等から困難な場合も生じる。このように給電チップ・母材間距離が変動する溶接において、特許文献2の発明では、送給速度を可変制御して溶接電流値を一定に維持するので、重要な溶接品質の一つである溶け込み深さの変動を抑制して、均一化することができる。
特開2006−281219号公報 特開平7−51854号公報
上述したくびれ検出制御を行うと共に、上述した送給速度の可変制御を行いながら溶接した場合、送給速度可変制御によって送給速度が急峻に変化すると、それに伴って溶滴のくびれの形成状態が変動するために、くびれ検出制御が誤動作して溶接状態が不安定になるという問題が生じる。このために、従来技術では、送給速度の可変制御を行うときには、くびれ検出制御の動作を禁止していた。しかし、このようにすると、スパッタ発生量が増大するという問題が生じる。
そこで、本発明では、くびれ検出制御及び送給速度可変制御を共に動作させて溶接しても、溶接状態を安定に保つことができる消耗電極アーク溶接制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、短絡状態からアークが再発生する前兆現象である溶滴のくびれを検出し、このくびれを検出すると短絡負荷に通電する溶接電流を減少させてアークを再発生させるくびれ検出制御を行い、前記溶接電流の平滑値を検出し、この溶接電流平滑値と予め定めた電流設定値とが等しくなるように溶接ワイヤの送給速度をフィードバック制御して溶接する消耗電極アーク溶接制御方法において、
前記くびれ検出制御を動作させる動作モードと禁止する禁止モードとを備え、
前記動作モードのときは前記くびれ検出制御を動作させ、前記禁止モードのときは前記くびれ検出制御を禁止し、
前記フィードバック制御の過渡応答時間を前記動作モードのときは前記禁止モードのときよりも長くする、
ことを特徴とする消耗電極アーク溶接制御方法である。


請求項2の発明は、前記過渡応答時間を、前記フィードバック制御のゲインを変化させることによって切り換える、
ことを特徴とする請求項1記載の消耗電極アーク溶接制御方法である。
請求項3の発明は、前記過渡応答時間を、前記溶接電流平滑値の時定数を変化させることによって切り換える、
ことを特徴とする請求項1記載の消耗電極アーク溶接制御方法である。
請求項4の発明は、単位時間当たりの短絡回数を検出し、この短絡回数検出値に基づいて前記動作モードと前記禁止モードとを切り換える、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の消耗電極アーク溶接制御方法である。
本発明によれば、くびれ検出制御を動作させる動作モードと禁止する禁止モードとを備え、送給速度のフィードバック制御(送給速度可変制御)の過渡応答時間を動作モードのときは禁止モードのときよりも長くなるように設定している。これにより、本発明では、くびれ検出制御及び送給速度可変制御を共に動作させて溶接する場合において、給電チップ・母材間距離の変化に対して送給速度が緩やかに変化するので、溶接状態を安定に保つことができる。また、くびれ検出制御の動作を禁止して送給速度可変制御のみを動作させて溶接する場合には、給電チップ・母材間距離の変化に対して送給速度が高速に追従するので、溶け込み深さの変動を抑制することができる。
本発明の実施の形態1に係る消耗電極アーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。 動作モード選択信号MsがHighレベルであるときのくびれ検出制御の様子を示すタイミングチャートである。 動作モード選択信号MsがHighレベルであるときの送給速度可変制御の様子を示すタイミングチャートである。 動作モード選択信号MsがLowレベルであるときのくびれ検出制御の様子を示すタイミングチャートである。 動作モード選択信号MsがLowレベルであるときの送給速度可変制御の様子を示すタイミングチャートである。 本発明の実施の形態2に係る消耗電極アーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る消耗電極アーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
電源主回路PMは、3相200V等の商用電源(図示は省略)を入力として、後述する誤差増幅信号Eaに従ってインバータ制御等の出力制御を行い、溶接電圧Vw及び溶接電流Iwを出力する。この電源主回路PMは、図示は省略するが、商用電源を整流する1次整流器、整流された直流を平滑する平滑コンデンサ、平滑された直流を高周波交流に変換するインバータ回路、高周波交流を溶接に適した電圧値に降圧する高周波変圧器、降圧された高周波交流を直流に整流する2次整流器、整流された直流を平滑するリアクトル、誤差増幅信号Eaを入力としてパルス幅変調制御を行う変調回路、パルス幅変調制御信を入力としてインバータ回路のスイッチング素子を駆動するインバータ駆動回路を備えている。
減流抵抗器Rは、上記の電源主回路PMと溶接トーチ4との間に挿入される。この減流抵抗器Rの値は、短絡負荷(0.01〜0.03Ω程度)の10倍以上大きな値(0.5〜3Ω程度)に設定される。このために、くびれ検出制御によって減流抵抗器Rが通電路に挿入されると、溶接電源内の直流リアクトル及び外部ケーブルのリアクトルに蓄積されたエネルギーが急放電される。トランジスタTRは、減流抵抗器Rと並列に接続されて、後述する駆動信号Drに従ってオン又はオフ制御される。
溶接ワイヤ1は、送給モータWMに結合された送給ロール5の回転によって溶接トーチ4内を送給されて、母材2との間にアーク3が発生する。溶接ワイヤ1と母材2との間には溶接電圧Vwが印加し、アーク3中を溶接電流Iwが通電する。
電流検出回路IDは、上記の溶接電流Iwを検出して、電流検出信号Idを出力する。電流平滑回路IAVは、この電流検出信号Idを入力として平滑し、溶接電流平滑信号Iavを出力する。この平滑は、抵抗とコンデンサから成る平滑回路、ローパスフィルタ等を使用して行われる。ローパスフィルタを使用する場合には、平滑の時定数は、カットオフ周波数を設定することによって行うことができる。電圧検出回路VDは、上記の溶接電圧Vwを検出して、電圧検出信号Vdを出力する。
短絡/アーク判別回路SDは、上記の電圧検出信号Vdを入力として、その値が予め定めた短絡/アーク判別値未満であるときは短絡状態にあると判別してHighレベルとなり、以上のときはアーク発生状態にあると判別してLowレベルになる短絡/アーク判別信号Sdを出力する。くびれ基準値設定回路VTNは、後述する送給速度設定信号Frを入力として、予め定めた関数によってくびれ検出基準値信号Vtnを出力する。この関数は、送給速度設定信号Frの値とそれに適したくびれ検出基準値との関係を定義しており、実験によって算出される。この回路は、送給速度が変化するとくびれ検出基準値の適正値が変化することに対応している。また、溶接法、溶接ワイヤ1の材質、直径等が変化しても、くびれ検出基準値の適正値は変化するので、この回路で溶接条件に応じてくびれ検出基準値を適正化している。くびれ検出回路NDは、このくびれ検出基準値信号Vtn、上記の電圧検出信号Vd、上記の電流検出信号Id及び後述する動作モード選択信号Msを入力として、動作モード選択信号MsがHighレベル(くびれ検出制御の動作)のときは、短絡期間中の電圧上昇値がくびれ検出基準値信号Vtnの値に達した時点でくびれが形成されたと判別してHighレベルとなり、アークが再発生して電圧検出信号Vdの値が上記の短絡/アーク判別値以上になった時点でLowレベルになるくびれ検出信号Ndを出力し、動作モード選択信号MsがLowレベル(くびれ検出制御の禁止)のときは常にLowレベルとなるくびれ検出信号Ndを出力する。また、短絡期間中の電圧検出信号Vdの微分値がそれに対応したくびれ検出基準値信号Vtnの値に達した時点でくびれ検出信号NdをHighレベルに変化させるようにしても良い。さらに、電圧検出信号Vdの値を電流検出信号Idの値で除算して溶滴の抵抗値を算出し、この抵抗値の微分値がそれに対応するくびれ検出基準値信号Vtnの値に達した時点でくびれ検出信号NdをHighレベルに変化させるようにしても良い。動作モード選択信号MsがLowレベルのときは、くびれ検出信号NdがLowレベルに固定されるので、くびれ検出制御を禁止していることになる。
低レベル電流設定回路ILRは、予め定めた低レベル電流設定信号Ilrを出力する。電流比較回路CMは、この低レベル電流設定信号Ilr及び上記の電流検出信号Idを入力として、Id<IlrのときはHighレベルになり、Id≧IlrのときはLowレベルになる電流比較信号Cmを出力する。駆動回路DRは、この電流比較信号Cm及び上記のくびれ検出信号Ndを入力として、くびれ検出信号NdがHighレベルに変化するとLowレベルに変化し、その後に電流比較信号CmがHighレベルに変化するとHighレベルに変化する駆動信号Drを上記のトランジスタTRのベース端子に出力する。したがって、この駆動信号Drはくびれが検出されるとLowレベルになり、トランジスタTRがオフ状態になり通電路に減流抵抗器Rが挿入されるので、短絡負荷を通電する溶接電流Iwは急減する。そして、急減した溶接電流Iwの値が低レベル電流設定信号Ilrの値まで減少すると、駆動信号DrはHighレベルになり、トランジスタTRがオン状態になるので、減流抵抗器Rは短絡されて通常の状態に戻る。
電流制御設定回路ICRは、上記の短絡/アーク判別信号Sd、上記の低レベル電流設定信号Ilr及び上記のくびれ検出信号Ndを入力として、以下の処理を行い、電流制御設定信号Icrを出力する。
1)短絡/アーク判別信号SdがHighレベル(短絡)に変化した時点から予め定めた初期期間中は、予め定めた初期電流設定値を電流制御設定信号Icrとして出力する。
2)その後は、電流制御設定信号Icrの値を、上記の初期電流設定値から予め定めた短絡時傾斜で予め定めたピーク設定値まで上昇させ、その値を維持する。
3)くびれ検出信号NdがHighレベル(くびれ検出)に変化すると、電流制御設定信号Icrの値を低レベル電流設定信号Ilrの値に切り換えて維持する。
4)短絡/アーク判別信号SdがLowレベル(アーク)に変化すると、電流制御設定信号Icrを、予め定めたアーク時傾斜で予め定めた高レベル電流設定値まで上昇させ、その値を維持する。
オフディレイ回路TDSは、上記の短絡/アーク判別信号Sdを入力として、この信号がHighレベルからLowレベルに変化する時点を予め定めた遅延時間だけオフディレイさせて遅延信号Tdsを出力する。したがって、この遅延信号Tdsは、短絡期間になるとHighレベルとなり、アークが再発生してから遅延時間だけオフディレイしてLowレベルになる信号である。電圧設定回路VRは、アーク期間中の溶接電圧を設定するための予め定めた電圧設定信号Vrを出力する。電流誤差増幅回路EIは、上記の電流制御設定信号Icr(+)と上記の電流検出信号Id(−)との誤差を増幅して、電流誤差増幅信号Eiを出力する。電圧誤差増幅回路EVは、上記の電圧設定信号Vr(+)と電圧検出信号Vd(−)との誤差を増幅して、電圧誤差増幅信号Evを出力する。制御切換回路SWは、上記の電流誤差増幅信号Ei、上記の電圧誤差増幅信号Ev及び上記の遅延信号Tdsを入力として、遅延信号TdsがHighレベル(短絡開始からアークが再発生して遅延時間が経過するまでの期間)のときは電流誤差増幅信号Eiを誤差増幅信号Eaとして出力し、Lowレベル(アーク)のときは電圧誤差増幅信号Evを誤差増幅信号Eaとして出力する。この回路により、短絡期間+遅延期間中は定電流制御となり、それ以外のアーク期間中は定電圧制御となる。
動作モード選択回路MSは、くびれ検出制御を動作させるときはHighレベルになり、動作を禁止するときにはLowレベルとなる動作モード選択信号Msを出力する。この回路は、例えば溶接電源のフロントパネルにスイッチを設けて、このスイッチに連動して動作モード選択信号Msが切り換わるようにしても良い。また、この回路をロボット制御装置に設け、作業プログラムによって動作モード選択信号Msを切り換えるようにしても良い。
ゲイン設定回路GRは、上記の動作モード選択信号Msを入力として、動作モード選択信号MsがHighレベル(くびれ検出制御が動作)のときは予め定めた低ゲイン設定値となり、Lowレベル(くびれ検出制御が禁止)のときは予め定めた高ゲイン設定値となるゲイン設定信号Grを出力する。低ゲイン設定値<高ゲイン設定値である。このゲイン設定信号Grは、送給速度可変制御における、フィードバック制御系のゲインを決める信号である。したがって、ゲインが小さくなると送給速度可変制御の過渡応答時間は長くなり、大きくなると短くなる。すなわち、くびれ検出制御が動作するときには送給速度可変制御の過渡応答は低速になり、くびれ検出制御が禁止されているときは送給速度可変制御の過渡応答は高速になる。この過渡応答時間(時定数)が低ゲイン設定値のときは高ゲイン設定値のときよりも5〜10倍程度になるように、各ゲインを設定する。例えば、高ゲイン設定値のときの過渡応答時間は50msであり、低ゲイン設定値のときの過渡応答時間は500msである。
電流設定回路IRは、送給速度可変制御における目標電流値となる予め定めた電流設定信号Irを出力する。送給誤差増幅回路EFは、上記のゲイン設定信号Grを入力として、上記の電流設定信号Irと上記の溶接電流平滑信号Iavとの誤差をゲイン設定信号Grによって定まるゲインで増幅して、送給誤差増幅信号Efを出力する。この送給誤差増幅回路EFには、P制御、PI制御又はPID制御を適用することができる。ここでゲインとは、比例(P)ゲインである。送給速度設定回路FRは、この送給誤差増幅信号Efを積分して、送給速度設定信号Frを出力する。積分は溶接中行われて、Fr=Fr0+∫Ef・dtとなる。ここで、Fr0は初期値である。この初期値Fr0は、6〜10m/min程度の範囲で適正値に設定される。上記の電流設定信号Irの値、溶接ワイヤの材質、直径、及び溶接開始時の給電チップ・母材間距離が定まると送給速度がきまるので、この送給速度を初期値Fr0としても良い。送給制御回路FCは、この送給速度設定信号Frを入力として、この設定値に相当する送給速度で溶接ワイヤ1を送給するための送給制御信号Fcを上記の送給モータWMに出力する。
図2〜図5は、本発明の実施の形態1に係る消耗電極アーク溶接制御方法を説明するための上述した溶接電源における各信号のタイミングチャートである。図2及び図3は上記の動作モード選択信号MsがHighレベルに設定された場合であり、図4及び図5は動作モード選択信号MsがLowレベルに設定された場合である。動作モード選択信号MsがHighレベルのときは、上述したように、くびれ検出制御が行われると共に、過渡応答時間を低速にした送給速度可変制御も行われる。他方、動作モード選択信号MsがLowレベルのときは、上述したように、くびれ検出制御の動作は禁止され、過渡応答時間を高速にした送給速度可変制御が行われる。図2と図4とは対応しており、それぞれの動作モードにおけるくびれ検出制御の様子を示しており、図3と図5とは対応しており、それぞれの動作モードにおける送給速度可変制御の様子を示している。以下、各図面について説明する。
図2は、動作モード選択信号MsがHighレベルであるときのくびれ検出制御の様子を示すタイミングチャートである。同図(A)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(B)は溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(C)はくびれ検出信号Ndの時間変化を示し、同図(D)は駆動信号Drの時間変化を示し、同図(E)は遅延信号Tdsの時間変化を示し、同図(F)は電流制御設定信号Icrの時間変化を示す。同図は、くびれ検出制御が動作している場合である。
(1)時刻t1の短絡発生から時刻t2のくびれ検出時点までの動作
時刻t1において溶接ワイヤが母材と接触すると短絡状態になり、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは数V程度の短絡電圧値に急減する。この溶接電圧Vwが短絡/アーク判別値Vta未満になったことを判別して、同図(E)に示すように、遅延信号TdsはLowレベルからHighレベルに変化する。これに応動して、同図(F)に示すように、電流制御設定信号Icrは時刻t1において予め定めた高レベル電流設定値から小さな値である予め定めた初期電流設定値に変化する。時刻t1〜t11の予め定めた初期期間中は上記の初期電流設定値となり、時刻t11〜t12の期間中は予め定めた短絡時傾斜で上昇し、時刻t12〜t2の期間中は予め定めたピーク設定値となる。短絡期間中は上述したように定電流制御されているので溶接電流Iwは電流制御設定信号Icrに相当する値に制御される。このために、同図(A)に示すように、溶接電流Iwは、時刻t1においてアーク期間の溶接電流から急減し、時刻t1〜t11の初期期間中は初期電流値となり、時刻t11〜t12の期間中は短絡時傾斜で上昇し、時刻t12〜t2の期間中はピーク値となる。同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは、溶接電流Iwがピーク値となる時刻t12あたりから急上昇する。これは、溶滴にくびれが発生したためである。同図(C)に示すように、くびれ検出信号Ndは、後述する時刻t2〜t3の期間はHighレベルとなり、それ以外の期間はLowレベルとなる。同図(D)に示すように、駆動信号Drは、後述する時刻t2〜t21の期間はLowレベルとなり、それ以外の期間はHighレベルとなる。したがって、同図において時刻t2以前の期間中は、駆動信号DrはHighレベルとなり、図1のトランジスタTRがオン状態となるので、減流抵抗器Rは短絡されて通常の消耗電極アーク溶接電源と同一の状態となる。上記の初期期間は1ms程度に設定され、初期電流値は50A程度に設定され、短絡時傾斜は100〜300A/ms程度に設定され、ピーク値は300〜400A程度に設定される。
(2)時刻t2のくびれ検出時点から時刻t3のアーク再発生時点までの動作
時刻t2において、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwが急上昇して初期期間中の電圧値からの電圧上昇値ΔVが予め定めたくびれ検出基準値Vtnと等しくなったことによってくびれを検出すると、同図(C)に示すように、くびれ検出信号NdはHighレベルに変化する。これに応動して、同図(D)に示すように、駆動信号DrはLowレベルになるので、図1のトランジスタTRはオフ状態となり減流抵抗器Rが通電路に挿入される。同時に、同図(F)に示すように、電流制御設定信号Icrは低レベル電流設定信号Ilrの値へと小さくなる。このために、同図(A)に示すように、溶接電流Iwはピーク値から低レベル電流値Ilへと急減する。そして、時刻t21において溶接電流Iwが低レベル電流値Ilまで減少すると、同図(D)に示すように、駆動信号DrはHighレベルに戻るので、図1のトランジスタTRはオン状態となり減流抵抗器Rは短絡される。同図(A)に示すように、溶接電流Iwは、電流設定信号Irが低レベル電流設定信号Ilrのままであるので、時刻t3のアーク再発生までは低レベル電流値Ilを維持する。したがって、トランジスタTRは、時刻t2にくびれが検出されてから時刻t21に溶接電流Iwが低レベル電流値Ilに減少するまでの期間のみオフ状態となる。同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは、時刻t2から一旦減少した後に急上昇する。上記の低レベル電流値Ilは30A程度に設定される。
(3)時刻t3のアーク再発生時点から時刻t4の遅延期間Tdの終了時点までの動作
時刻t3においてアークが再発生すると、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwの値は短絡/アーク判別値Vta以上となる。これに応動して、同図(F)に示すように、電流制御設定信号Icrの値は、低レベル電流設定信号Ilrの値から予め定めたアーク時傾斜で上昇し、上記の高レベル電流設定値に達するとその値を維持する。同図(E)に示すように、遅延信号Tdsは、時刻t3にアークが再発生してから予め定めた遅延期間Tdだ経過する時刻t4までHighレベルのままである。したがって、溶接電源は時刻t4まで定電流制御されているので、同図(A)に示すように、溶接電流Iwは、時刻t3からアーク時傾斜で上昇し、高レベル電流値に達するとその値を時刻t4まで維持する。同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは、時刻t3〜t4の遅延期間Td中は高レベル電圧値の状態にある。遅延期間Tdは2ms程度に設定される。同図(C)に示すように、くびれ検出信号Ndは、時刻t3にアークが再発生するので、Lowレベルに変化する。
(4)時刻t4の遅延期間Td終了時点から時刻t5の次の短絡発生までのアーク期間の動作
同図(E)に示すように、遅延信号TdsがLowレベルに変化する。この結果、溶接電源は定電流制御から定電圧制御へと切り換えられる。このために、同図(A)に示すように、溶接電流Iwは高レベル電流値から次第に減少する。同様に、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは高レベル電圧値から次第に減少する。
このように、くびれ検出制御では、時刻t2にくびれを検出すると通電路に減流抵抗器を挿入することによって溶接電流Iwを急減させて、時刻t3にアークが再発生した時点における電流値を小さな値に制御することができる。このために、スパッタ発生量を大幅に低減することができる。
図3は、動作モード選択信号MsがHighレベルであるときの送給速度可変制御の様子を示すタイミングチャートである。同図(A)は給電チップ・母材間距離Lwの時間変化を示し、同図(B)は送給速度Fwの時間変化を示し、同図(C)は溶接電流平滑信号Iavの時間変化を示す。同図は、くびれ検出制御及び送給速度可変制御が動作している場合である。また、同図は、送給速度可変制御の過渡応答時間が低速(長く)になるように、フィードバック制御系のゲインが低ゲイン設定値に設定されている場合である。同図は、溶接中に給電チップ・母材間距離Lwが、時刻t1においてL1(mm)からL2(mm)へと長くなった場合の送給速度Fw及び溶接電流平滑信号Iavの過渡応答を示している。
溶接中の時刻t1において溶接トーチと母材との距離を長くすると、同図(A)に示すように、給電チップ・母材間距離LwはL1からL2へと瞬間的に長くなる。このために、同図(C)に示すように、溶接電流平滑信号Iavの値は、時刻t1から傾斜を有して減少する。これに応動して送給速度可変制御によって溶接電流平滑信号Iavの値を一定値に維持しようとして、同図(B)に示すように、送給速度Fwが時刻t1から傾斜を有して速くなる。溶接電流平滑信号Iavの値は、同図(C)に示すように、時刻t1から減少し、時刻t2において減少から増加へと反転し、時刻t3において時刻t1以前の値に復帰する。送給速度Fwは、時刻t1から速くなり、時刻t2においても速くなり続け、時刻t3において時刻t1以前よりも高速な値に収束する。時刻t1〜t3の時間が、過渡応答時間T1(秒)となる。この過渡応答時間T1は、図5で後述する動作モード選択信号MsがLowレベルであるときの過渡応答時間T2よりも長くなっている。例えば、T1=500msであり、T2=50msである。
図2で上述した時刻t1〜t3の短絡期間は4ms程度であり、時刻t3〜t5のアーク期間は21ms程度である。図3の過渡応答時間T1は500ms程度であるので、この期間中には短絡とアークとを20回繰り返すことになる。
図4は、動作モード選択信号MsがLowレベルであるときのくびれ検出制御の様子を示すタイミングチャートである。同図(A)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(B)は溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(C)はくびれ検出信号Ndの時間変化を示し、同図(D)は駆動信号Drの時間変化を示し、同図(E)は遅延信号Tdsの時間変化を示し、同図(F)は電流制御設定信号Icrの時間変化を示す。同図は、くびれ検出制御の動作が禁止されている場合である。同図は、上述した図2と対応しており、図2の時刻t2〜t3の期間を削除した状態となる。
(1)時刻t1の短絡発生から時刻t3のアーク再発生時点までの動作
図2と同様に、時刻t1において溶接ワイヤが母材と接触すると短絡状態になり、同図(A)に示すように、溶接電流Iwは、時刻t1においてアーク期間の溶接電流から急減し、時刻t1〜t11の初期期間中は初期電流値となり、時刻t11〜t12の期間中は短絡時傾斜で上昇し、時刻t12〜t3の期間中はピーク値となる。同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは、時刻t1に急減し、溶接電流Iwがピーク値となる時刻t12あたりから急上昇し、時刻t3まで上昇は継続する。溶接電圧Vwが急上昇するのは、溶滴にくびれが発生したためである。同図(C)に示すように、くびれ検出信号Ndは、くびれ検出制御が禁止されているので、全期間Lowレベルとなる。このために、同図(D)に示すように、駆動信号Drも、全期間Highレベルとなる。したがって、図1のトランジスタTRは常にオン状態となり、減流抵抗器Rは常に短絡されており、通常の消耗電極アーク溶接電源と同一となる。
(2)時刻t3のアーク再発生時点から時刻t4の遅延期間Tdの終了時点までの動作
この期間の動作は、基本的には図2と同様である。時刻t3においてアークが再発生すると、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwの値は短絡/アーク判別値Vta以上となる。これに応動して、同図(F)に示すように、電流制御設定信号Icrの値は、ピーク電流設定値から上記のアーク時傾斜で上昇し、上記の高レベル電流設定値に達するとその値を維持する。同図(E)に示すように、遅延信号Tdsは、時刻t3にアークが再発生してから上記の遅延期間Tdだ経過する時刻t4までHighレベルのままである。したがって、溶接電源は時刻t4まで定電流制御されているので、同図(A)に示すように、溶接電流Iwは、時刻t3からアーク時傾斜で上昇し、高レベル電流値に達するとその値を時刻t4まで維持する。同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは、時刻t3〜t4の遅延期間Td中は高レベル電圧値の状態にある。
(3)時刻t4の遅延期間Td終了時点から時刻t5の次の短絡発生までのアーク期間の動作
この期間の動作は、図2と同様である。時刻t4において、同図(E)に示すように、遅延信号TdsがLowレベルに変化する。この結果、溶接電源は定電流制御から定電圧制御へと切り換えられる。このために、同図(A)に示すように、溶接電流Iwは高レベル電流値から次第に減少する。同様に、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは高レベル電圧値から次第に減少する。
このように、くびれ検出制御の動作が禁止されると、溶接電流Iwは低レベル電流値の状態ではなくピーク値のままアークが再発生する。
図5は、動作モード選択信号MsがLowレベルであるときの送給速度可変制御の様子を示すタイミングチャートである。同図(A)は給電チップ・母材間距離Lwの時間変化を示し、同図(B)は送給速度Fwの時間変化を示し、同図(C)は溶接電流平滑信号Iavの時間変化を示す。同図は、くびれ検出制御の動作が禁止された状態で、送給速度可変制御が動作している場合である。また、同図は、送給速度可変制御の過渡応答時間が高速(短く)になるように、フィードバック制御系のゲインが高ゲイン設定値に設定されている場合である。同図は、溶接中に給電チップ・母材間距離Lwが、時刻t1においてL1(mm)からL2(mm)へと長くなった場合の送給速度Fw及び溶接電流平滑信号Iavの過渡応答を示している。
溶接中の時刻t1において溶接トーチと母材との距離を長くすると、同図(A)に示すように、給電チップ・母材間距離LwはL1からL2へと瞬間的に長くなる。このために、同図(C)に示すように、溶接電流平滑信号Iavの値は、時刻t1から傾斜を有して減少する。これに応動して送給速度可変制御によって溶接電流平滑信号Iavの値を一定値に維持しようとして、同図(B)に示すように、送給速度Fwが時刻t1から傾斜を有して速くなる。溶接電流平滑信号Iavの値は、同図(C)に示すように、時刻t1から減少し、時刻t2において減少から増加へと反転し、時刻t3において時刻t1以前の値に復帰する。送給速度Fwは、時刻t1から速くなり、時刻t2においても速くなり続け、時刻t3において時刻t1以前よりも高速な値に収束する。時刻t1〜t3の時間が、過渡応答時間T2(秒)となる。この過渡応答時間T2は、図2で上述した動作モード選択信号MsがHighレベルであるときの過渡応答時間T1よりも短くなっている。例えば、上述したように、T1=500msであり、T2=50msである。
図4で上述した時刻t1〜t3の短絡期間は4ms程度であり、時刻t3〜t5のアーク期間は21ms程度である。図5の過渡応答時間T2は50ms程度であるので、この期間中には短絡とアークとを2回繰り返すことになる。
送給速度可変制御は、給電チップ・母材間距離が変化しても溶接電流平滑値を一定に維持することによって溶け込み深さを均一化するものである。しかし、溶接電流平滑値が180A程度未満の小電流域においては、給電チップ・母材間距離を変化させると溶接状態が不安定になることが多いために、溶接中に給電チップ・母材間距離を変化させないようにしている。これに対して、溶接電流平滑値が180A程度以上の中・大電流域においては、上述したように、給電チップ・母材間距離を一定値に保持することが、溶接トーチと母材との干渉の問題等から困難な場合も生じる。また、中・大電流域では、給電チップ・母材間距離を変化させても溶接状態は安定状態を維持することができる。このために、送給速度可変制御は、小電流域では使用されず、中・大電流域で使用される。ところで、中・大電流域の溶接には、薄板に対して溶接速度を高速にして溶接(高速溶接)する場合と、厚板に対して溶接速度を低速にして溶接(低速溶接)する場合とがある。
高速溶接時には、アンダーカット等の溶接欠陥の発生を防止するために、溶接電圧Vwを低く設定してアーク長を短くして溶接する。この結果、短絡が多く発生する状態となり、1秒間当たりの短絡回数は多くなる。短絡回数が多くなると、スパッタ発生量も多くなるので、くびれ検出制御を動作させることで、スパッタ発生量を低減させることができるまた、高速溶接時には、給電チップ・母材間距離をあまり大きく変化させると溶接状態が不安定になるので、給電チップ・母材間距離の変化は緩やかでかつ小幅になるように設定される。このために、送給速度可変制御の過渡応答時間が低速であっても溶接電流平滑値を略一定に維持することができるので、溶け込み深さを均一にすることができる。すなわち、中・大電流域の高速溶接においては、動作モード選択信号MsをHighレベルにして、くびれ検出制御と送給速度可変制御とを共に動作させるようにしている。この場合、送給速度可変制御の過渡応答時間が低速になるように設定されているために、送給速度は急変することなく緩やかに変化するので、くびれ検出制御を動作させても誤動作して不安定になることはない。
他方、低速溶接時には、ビード外観を良好にするために、溶接電圧Vwを高く設定してアーク長を長くして溶接する。この結果、短絡は少ししか発生せず、1秒間当たりの短絡回数は少なくなる。短絡回数が少なくなると、スパッタ発生量も少なくなるので、くびれ検出制御の動作を禁止してもビード外観等への悪影響は小さい。また、厚板の低速溶接時には、給電チップ・母材間距離を大きく変化させる場合が生じる。このようなときに、溶け込み深さの変動を抑制するためには、給電チップ・母材間距離の変化に対する溶接電流平滑値の変化を小さくする必要がある。このためには、送給速度可変制御の過渡応答時間を拘束(短く)に設定すれば良い。すなわち、中・大電流域の低速溶接においては、動作モード選択信号MsをLowレベルにして、くびれ検出制御の動作を禁止し、送給速度可変制御のみを動作させるようにしている。この場合、送給速度可変制御の過渡応答時間が高速になるように設定されているために、給電チップ・母材間距離の変化に対して送給速度が高速に追従するので、溶接電流平滑値の変動は小さくなり、溶け込み深さの変動は抑制される。
したがって、上述した実施の形態1によれば、くびれ検出制御を動作させる動作モードと禁止する禁止モードとを備え、送給速度のフィードバック制御(送給速度可変制御)の過渡応答時間を動作モードのときは禁止モードのときよりも長くなるように設定している。これにより、本実施の形態では、くびれ検出制御及び送給速度の可変制御を共に動作させて溶接する場合において、給電チップ・母材間距離の変化に対して送給速度が緩やかに変化するので、溶接状態を安定に保つことができる。また、くびれ検出制御の動作を禁止して送給速度可変制御のみを動作させて溶接する場合には、給電チップ・母材間距離の変化に対して送給速度が高速に追従するので、溶け込み深さの変動を抑制することができる。
上述した実施の形態1では、送給速度可変制御の過渡応答時間の高速又は低速の切り換えを、送給速度可変制御のフィードバック制御系のゲインを切り換えることで実現している。これ以外にも、送給速度可変制御の過渡応答時間の高速又は低速の切り換えを、溶接電流平滑値の字定数を切り換えることによって行うようにしても良い。この場合には、図1の電流平滑回路IAVの動作を以下のように変更する。
電流平滑回路IAVは、電流検出信号Id及び動作モード選択信号Msを入力として、Ms=Highレベルのときは平滑の時定数を予め定めた第1時定数に設定し、Ms=Lowレベルのときは平滑の時定数を上記の第1時定数よりも小さな値に予め定めた第2時定数に設定し、電流検出信号Idを設定された時定数で平滑して溶接電流平滑信号Iavを出力する。
[実施の形態2]
実施の形態2の発明は、実施の形態1の発明において、単位時間当たりの短絡回数を検出し、この短絡回数検出値に基づいて動作モード選択信号Msを切り換えるものである。以下、図面を参照して実施の形態2の発明について説明する。
図6は、本発明の実施の形態2に係る消耗電極アーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図は上述した図1と対応しており、同一のブロックには同一符合を付して、それらのブロックの説明は省略する。同図は、図1に短絡回数検出回路NSを追加し、図1の動作モード選択回路MSを第2動作モード選択回路MS2に置換したものである。以下、同図を参照してこれらのブロックについて説明する。
短絡回数検出回路NSは、短絡/アーク判別信号Sdを入力として、所定周期ごとに単位時間当たりの短絡回数を算出して、短絡回数検出信号Nsを出力する。所定周期は、例えば1〜5秒程度に設定される。アーク長の設定(電圧設定信号Vr)が溶接中に複数回変化するような場合には、この所定周期を短く設定すると、アーク長変化時の短絡回数の変化を正確に検出することができる。短絡回数の変化を正確に検出することができると、後述するように、動作モード選択信号Msの選択を溶接中においても常に適正化することができる。また、短絡回数の検出をアークスタート後に1回だけ行うようにしても良い。これは、1回の溶接中にはアーク長の設定が変化しない場合である。アークスタート後に溶接状態が安定した時点で短絡回数を検出すれば良い。上記の単位時間は、例えば1秒間である。但し、短絡回数の検出時間(計測時間)は、0.5〜3秒程度に設定し、その検出回数を1秒間に換算すれば良い。したがって、短絡回数検出信号Nsの値は、0以上の整数だけでなく、0以上の実数となる場合もある。短絡回数を周期ごとに検出して、その移動平均値を算出して、上記の短絡回数検出信号Nsとしても良い。
第2動作モード選択回路MS2は、上記の短絡回数検出信号Nsを入力として、短絡回数検出信号Nsの値が予め定めた基準回数以上のときはHighレベルになり、未満のときはLowレベルとなる動作モード選択信号Msを出力する。この回路により、短絡回数検出信号Nsの値が基準回数以上のときはくびれ検出制御が動作するモードとなり、未満のときはくびれ検出制御の動作が禁止されるモードとなる。上記の基準回数は、5〜10回/秒程度に設定される。
本発明の実施の形態2に係る消耗電極アーク溶接制御方法を説明するための溶接電源における各信号のタイミングチャートは、上述した図2〜図5と同一であるので、説明は省略する。
上述したように、中・大電流の高速溶接時には、短絡回数が多くなり、動作モード選択信号MsとしてはHighレベルになることが望ましい。したがって、短絡回数検出信号Nsの値が基準回数以上のときは、動作モード選択信号MsがHighレベルになるようにしている。他方、中・大電流の低速溶接時には、短絡回数は少なくなり、動作モード選択信号MsはLowレベルになることが望ましい。したがって、短絡回数検出信号Nsの値が基準回数未満のときは、動作モード選択信号MsがLowレベルになるようにしている。すなわち、短絡回数検出信号Nsの値が基準回数以上のときはくびれ制御及び送給速度可変制御が共に動作し、未満のときはくびれ検出制御の動作は禁止されて送給速度可変制御のみが動作する。
上述した実施の形態2によれば、短絡回数検出信号Nsの値に基づいて動作モード選択信号Msを自動的に切り換えることができる。このために、実施の形態2では、実施の形態1の効果に加えて、動作モード選択信号Msを手動によって切り換える手間を省くことができ、かつ、溶接条件と適合しない動作モード選択信号Msを選択する誤設定を防止することができる。
上述した実施の形態2において、単位時間当たりの短絡回数の代わりに、溶接時間に占める短絡機関の時間比率である短絡時間率、溶接速度、継手形状等を使用しても良い。
1 溶接ワイヤ
2 母材
2 第
3 アーク
4 溶接トーチ
5 送給ロール
CM 電流比較回路
Cm 電流比較信号
DR 駆動回路
Dr 駆動信号
Ea 誤差増幅信号
EF 送給誤差増幅回路
Ef 送給誤差増幅信号
EI 電流誤差増幅回路
Ei 電流誤差増幅信号
EV 電圧誤差増幅回路
Ev 電圧誤差増幅信号
FC 送給制御回路
Fc 送給制御信号
FR 送給速度設定回路
Fr 送給速度設定信号
Fr0 (送給速度設定信号の)初期値
Fw 送給速度
GR ゲイン設定回路
Gr ゲイン設定信号
IAV 電流平滑回路
Iav 溶接電流平滑信号
ICR 電流制御設定回路
Icr 電流制御設定信号
ID 電流検出回路
Id 電流検出信号
Il 低レベル電流値
ILR 低レベル電流設定回路
Ilr 低レベル電流設定信号
IR 電流設定回路
Ir 電流設定信号
Iw 溶接電流
Lw 給電チップ・母材間距離
MS 動作モード選択回路
Ms 動作モード選択信号
MS2 第2動作モード選択回路
ND くびれ検出回路
Nd くびれ検出信号
NS 短絡回数検出回路
Ns 短絡回数検出信号
PM 電源主回路
R 減流抵抗器
SD 短絡/アーク判別回路
Sd 短絡/アーク判別信号
SW 制御切換回路
T1、T2 過渡応答時間
Td 遅延期間
TDS オフディレイ回路
Tds 遅延信号
TR トランジスタ
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
VR 電圧設定回路
Vr 電圧設定信号
Vta 短絡/アーク判別値
VTN くびれ基準値設定回路
Vtn くびれ検出基準値(信号)
Vw 溶接電圧
WM 送給モータ
ΔV 電圧上昇値

Claims (4)

  1. 短絡状態からアークが再発生する前兆現象である溶滴のくびれを検出し、このくびれを検出すると短絡負荷に通電する溶接電流を減少させてアークを再発生させるくびれ検出制御を行い、前記溶接電流の平滑値を検出し、この溶接電流平滑値と予め定めた電流設定値とが等しくなるように溶接ワイヤの送給速度をフィードバック制御して溶接する消耗電極アーク溶接制御方法において、
    前記くびれ検出制御を動作させる動作モードと禁止する禁止モードとを備え、
    前記動作モードのときは前記くびれ検出制御を動作させ、前記禁止モードのときは前記くびれ検出制御を禁止し、
    前記フィードバック制御の過渡応答時間を前記動作モードのときは前記禁止モードのときよりも長くする、
    ことを特徴とする消耗電極アーク溶接制御方法。
  2. 前記過渡応答時間を、前記フィードバック制御のゲインを変化させることによって切り換える、
    ことを特徴とする請求項1記載の消耗電極アーク溶接制御方法。
  3. 前記過渡応答時間を、前記溶接電流平滑値の時定数を変化させることによって切り換える、
    ことを特徴とする請求項1記載の消耗電極アーク溶接制御方法。
  4. 単位時間当たりの短絡回数を検出し、この短絡回数検出値に基づいて前記動作モードと前記禁止モードとを切り換える、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の消耗電極アーク溶接制御方法。
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