JP5998355B2 - アーク溶接制御方法およびアーク溶接装置 - Google Patents

アーク溶接制御方法およびアーク溶接装置 Download PDF

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本発明は、CO2ガスを主成分とするシールドガスを用い、ピーク電流とベース電流を交互に流す消耗電極式のパルスアーク溶接を行うアーク溶接制御方法およびアーク溶接装置に関するものである。
消耗電極式のパルスアーク溶接法は、従来、不活性ガスであるアルゴンを主成分とするシールドガスを用いることが一般的であった。このように、アルゴンを主成分とするシールドガスを用いる方法では、スプレー移行を行うことができる臨界電流値よりも高いピーク電流と、アークを維持するための臨界電流値より低いベース電流とを、ワイヤ送給速度に関係する周波数で交互に繰り返すことで、溶接を行っていた。これにより、直流のスプレー移行溶接よりも低い平均電流で、スプレー移行を行わせることができる。また、溶滴の移行が、アークを維持するためのベース電流期間中に、アーク力の影響を受けることの最も少ない状態で行われる。従って、スパッタを大幅に低減することができる。
しかし、パルスアーク溶接法は、シールドガスの組成に制約を受ける。そして、シールドガス中のCO2ガスの割合が30%を越えると、スパッタの低減効果が簿弱になる。一方、主成分として、高価なアルゴンガスを大量に使用すると、シールドガスのコストが高くなる。そこで、CO2ガスを主成分とするシールドガスを用いた消耗電極式のパルスアーク溶接法の改良が求められていた。
なお、スパッタが発生すると、母材である溶接ワークに付着し、また、動作を行う製品の可動部にスパッタが入り込むと、製品の可動範囲を制限し、製品価値を著しく低下させる。このため、スパッタを除去する後工程が必要となり、溶接生産性を著しく低下させる要因となっている。
図3は、CO2ガスを主成分とするシールドガスを用いて溶接を行う、従来のパルスアーク溶接制御方法を説明するための図である。図3(a)は、溶接電流波形を示している。図3(b)は、ワイヤ送給速度を示している。図3(c)は、アーク部の模式図である。
図3に示すように、ピーク電流Ipの出力が開始され、ピーク時間tpが開始される。その後、ワイヤ19の先端から溶滴のくびれが開始され、時点T1のタイミングで溶滴が離脱する。溶滴が離脱する時点T1では、アーク長が短時間で長くなるので、溶接電圧が急峻に高くなる。このため、所定の電圧しきい値を越えた場合に、あるいは、電圧の単位時間当たりの変化量(dV/dt)が所定値を越えた場合に、溶滴の離脱を検出することができる。
溶滴の離脱後は、溶滴にかかるアーク力が強いと、その反力でスパッタが増加する。従って、溶滴の離脱後は、溶接電流値を、ピーク電流Ipからピーク電流Ipよりも低い所定の低下電流Irに低下し、図3(c)の中央の図に示すように、スパッタの発生を防止している。その後、低下時間tMの期間は、溶接電流を低下電流Irに維持し、低下時間tMの経過後は、元のピーク電流Ipに高めてワイヤ先端部の溶融を行う。そして、ピーク時間tpが終了すると、ベース電流Ibの出力が開始され、ベース時間tbが開始される(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−229680号公報
図3を用いて説明した従来のアーク溶接方法では、図3(c)に示すように、アーク長が、アーク長d1のように、溶滴の直径より少しでも大きければ、ワイヤ19の先端部と母材22とが短絡することがないので、スパッタを低減することが可能である。しかし、溶接中には、突出し長さの変動や母材22であるワークの位置ずれ等の外乱により、ワイヤ19の先端と母材22との距離が短くなる場合がある。このように、ワイヤ19の先端と母材22間との距離が短くなると、溶滴が離脱する前に、図3に示すように、時点T2でワイヤ19の先端と母材22との短絡が発生する。そして、短絡発生時の電流が、ピーク電流Ipであり高いので(約400〜500A)、多量のスパッタ23が発生する。つまり、突出し長さの変動やワークの位置ずれ等の外乱が発生する場合に、多量のスパッタが発生するという課題を有していた。
上記課題を解決するために、本発明のアーク溶接制御方法は、溶接用のワイヤと溶接対象物との間にピーク電流とベース電流をパルス状に繰り返し供給して溶接を行うアーク溶接制御方法であって、前記ワイヤを第1のワイヤ送給速度で送給するステップと、前記ピーク電流期間中に前記ワイヤのワイヤ送給速度を前記第1のワイヤ送給速度よりも遅い第2のワイヤ送給速度に低減するステップと、前記ワイヤの先端からの溶滴の離脱を検出するステップと、前記溶滴の離脱を検出すると、前記ワイヤのワイヤ送給速度を前記第2のワイヤ送給速度よりも速い第3のワイヤ送給速度に増加するステップと、を備えたものである。
また、本発明のアーク溶接制御方法は、上記に加えて、ワイヤ送給速度を、第1のワイヤ送給速度から第2のワイヤ送給速度に低減するタイミングを、ピーク電流の立ち上がりが完了した時点を時間起点として、第1の所定時間が経過した時点としたものである。
また、本発明のアーク溶接制御方法は、上記に加えて、ピーク電流の立ち上がりが完了した時点の溶接電圧値に基づいて、第2のワイヤ送給速度の大きさを決定するものである。
また、本発明のアーク溶接制御方法は、上記に加えて、予め設定された基準電圧値に対して、ピーク電流の立ち上がりが完了した時点の溶接電圧値が小さい場合、前記基準電圧値と前記ピーク電流の立ち上がりが完了した時点の溶接電圧値との差が大きい程、第2のワイヤ送給速度を遅くするものである。
また、本発明のアーク溶接制御方法は、上記に加えて、ワイヤ送給速度を、第2のワイヤ送給速度から第3のワイヤ送給速度に増加するタイミングを、溶滴の離脱を検出した時点を時間起点として、第2の所定時間が経過した時点としたものである。
また、本発明のアーク溶接制御方法は、上記に加えて、第3のワイヤ送給速度を、第1のワイヤ送給速度と同じ速度とするものである。
また、本発明のアーク溶接制御方法は、上記に加えて、第2のワイヤ送給速度を、ワイヤが溶接対象物から離れる方向に送給される逆送のワイヤ送給速度とするものである。
また、本発明のアーク溶接制御方法は、上記に加えて、CO2ガスを主成分とするシールドガスを用いて溶接を行うものである。
また、本発明のアーク溶接装置は、消耗電極である溶接用のワイヤと溶接対象物との間でピーク電流とベース電流をパルス状に繰り返し供給して溶接を行うアーク溶接装置であって、溶接出力を制御するスイッチング部と、溶接電流を検出する溶接電流検出部と、溶接電圧を検出する溶接電圧検出部と、前記溶接電圧検出部の出力に基づいて前記ワイヤの先端から溶滴が離脱するタイミングを検出する溶滴離脱検出部と、ピーク電流や、ベース電流や、溶滴離脱検出時に低下させる電流や、電流の増加傾きや、電流の低減傾きを制御するパルス波形制御部と、前記パルス波形制御部の出力に基づいて前記スイッチング部を制御する駆動部と、設定溶接電流や設定溶接電圧といった溶接条件を設定するための溶接条件設定部と、前記溶接条件設定部で設定された情報や、設定溶接電流とワイヤ送給速度とを対応付けた情報や、パルス波形のパラメータに関する情報を記憶する記憶部と、前記ワイヤを送給するためのワイヤ送給モータと、前記パルス波形制御部や前記溶滴離脱検出部の出力を入力として時間を計時する計時部と、前記計時部の出力や前記記憶部に記憶されている情報や前記パルス波形制御部の出力に基づいて前記ワイヤのワイヤ送給速度を制御するワイヤ送給速度制御部を備え、前記ワイヤ送給速度制御部は、前記記憶部に記憶された情報と前記溶接条件設定部を用いて設定された設定溶接電流とに基づいて決定された第1のワイヤ送給速度で前記ワイヤの送給を行い、前記ワイヤ送給速度制御部は、前記計時部の出力と前記記憶部に記憶されている情報と前記パルス波形制御部の出力に基づいて、前記ピーク電流の立ち上がりが完了した時点を時間起点として第1の所定時間が経過した時点から、ワイヤ送給速度を前記第1のワイヤ送給速度から所定の低下量を低下させた前記第1のワイヤ送給速度よりも遅い第2のワイヤ送給速度で前記ワイヤの送給を行い、
前記ワイヤ送給速度制御部は、前記計時部の出力と前記記憶部に記憶されている情報と前記パルス波形制御部の出力に基づいて、溶滴離脱検出時点を時間起点として第2の所定時間が経過すると、ワイヤ送給速度を前記第2のワイヤ送給速度よりも速い第3のワイヤ送給で前記ワイヤの送給を行うものである。
また、本発明のアーク溶接装置は、上記に加えて、ピーク電流の立ち上がりが完了した時点の溶接電圧値に基づいて、第2のワイヤ送給速度の大きさを決定するものである。
また、本発明のアーク溶接装置は、上記に加えて、予め溶接条件設定部を用いて設定され記憶部に記憶された基準電圧値に対して、ピーク電流の立ち上がりが完了した時点の溶接電圧値が小さい場合、前記基準電圧値と前記ピーク電流の立ち上がりが完了した時点の溶接電圧値との差が大きい程、第2のワイヤ送給速度を遅くするものである。
また、本発明のアーク溶接装置は、上記に加えて、第3のワイヤ送給速度を、第1のワイヤ送給速度と同じ速度とするものである。
また、本発明のアーク溶接装置は、上記に加えて、第2のワイヤ送給速度を、ワイヤが溶接対象物から離れる方向に送給される逆送のワイヤ送給速度とするものである。
また、本発明のアーク溶接装置は、上記に加えて、CO2ガスを主成分とするシールドガスを用いて溶接を行うものである。
以上のように、本発明によれば、突出し長さの変動やワークの位置ずれ等の外乱が発生してアーク長が短くなる場合に発生していたピーク電流出力中の短絡発生を防止することができ、スパッタを低減することができる。
本発明の実施の形態1におけるアーク溶接装置の概略構成を示す図 (a)本発明の実施の形態1における溶接電圧の時間変化を示す図(b)本発明の実施の形態1における溶接電流の時間変化を示す図(c)本発明の実施の形態1におけるワイヤ送給速度の時間変化を示す図(d)本発明の実施の形態1におけるアーク部を示す模式図 (a)従来のアーク溶接制御方法における溶接電流を示す図(b)従来のアーク溶接制御方法におけるワイヤ送給速度を示す図(c)従来のアーク溶接制御方法におけるアーク部を示す模式図
以下、本発明の実施の形態について、図1と図2を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1におけるアーク溶接装置の概略構成を示す図である。図2(a)は、本実施の形態1における溶接電圧の時間変化を示す図である。図2(b)は、本実施の形態1における溶接電流の時間変化を示す図である。図2(c)は、本実施の形態1におけるワイヤ送給速度の時間変化を示す図である。図2(d)は、本実施の形態1におけるアーク部を示す模式図である。なお、背景技術で説明した図3と同様の箇所については、同一の符号を付し、重複する部分については説明を省略する。
アーク溶接装置は、入力電源1から入力した交流電力を整流する1次整流部2と、溶接出力を制御するスイッチング部3と、スイッチング部3の出力を入力して溶接に適した電力に変換するトランス4と、トランス4の2次側出力を整流する2次整流部5と、2次整流部5の出力を平滑するDCL6と、スイッチング部3を駆動する駆動部7と、溶接電圧を検出する溶接電圧検出部8と、溶接電流を検出する溶接電流検出部9と、ピーク電流やベース電流や溶滴離脱時の低下電流や電流変化時の傾き等の波形制御を行うパルス波形制御部10と、溶接電圧検出部8の出力に基づいてワイヤ19の先端部分の溶滴の離脱を検出する溶滴離脱検出部11と、設定電流や設定電圧やワイヤ送給量やシールドガス種類やワイヤ種類やワイヤ径等の溶接条件等を設定する溶接条件設定部14と、溶接条件設定部14により設定された情報やピーク電流やベース電流に関するパルスパラメータやワイヤ送給速度値等の種々のパラメータが格納されている記憶部15と、パルス立ち上がりが完了してからの所定時間や溶滴が離脱してからの所定時間等の計時を行う計時部17と、パルス波形制御部10や記憶部15や計時部17の出力に基づいてワイヤ送給速度を低下させたり高めたり制御するワイヤ送給速度制御部16を備えている。なお、駆動部7は、パルス波形制御部10の出力に基づいてスイッチング部3を制御するものである。
また、溶接用のワイヤ19は、ワイヤ送給速度制御部16により制御されるワイヤ送給モータ18によって送給される。ワイヤ19には、チップ20を介して溶接用の電力が供給され、ワイヤ19と母材22との間でアーク21を発生させて溶接が行われる。
以上のように構成されたアーク溶接装置について、その動作を説明する。図2において、時点T3は、溶接電流がピーク電流に到達し、パルスの立ち上がりが完了したタイミングである。なお、パルス波形制御部10が、溶接電流検出部9の出力と、記憶部15に記憶されているパルスパラメータに基づいて、パルスの立ち上がりが完了したタイミングを検出する。そして、計時部17は、時点T3を時間起点として、第1の所定時間t1を計時する。なお、この第1の所定時間t1は、設定溶接電流に対応付けられて記憶部15に記憶されており、溶接条件設定部14により設定される設定溶接電流に基づいて決定される。この第1の所定時間t1が経過すると、ワイヤ送給速度制御部16は、ワイヤ送給速度を、所定のワイヤ送給速度wf0から、所定の低下量△wf1低下させたワイヤ送給速度wf1に低減する。このように、ワイヤ送給速度を低減することで、アーク長が短くなることを防止し、短絡の発生を抑制する。
なお、所定のワイヤ送給速度wf0は、設定溶接電流とワイヤ送給速度とを対応付けた組を複数記憶する記憶部15と、溶接条件設定部14で設定された設定溶接電流に基づいて決定されるものである。
また、第1の所定時間t1は、例えば実験的に得られた値であり、約10msec以内である。なお、パルス立ち上がりが完了する時点T3のタイミングでワイヤ送給速度を低下させてしまうと、溶滴が離脱するまでの時間が長くなり、ワイヤ送給速度の平均値が低下してしまう。従って、この第1の所定時間t1を短く設定することは好ましくない。そして、この第1の所定時間t1は、パルスが立ち上がってから溶滴が離脱するタイミングに関係があることを実験的に見出している。そのため、設定溶接電流毎に適正な時間が設定される。
ワイヤ送給速度を、ワイヤ送給速度wf0からワイヤ送給速度wf1に低減し、ピーク電流Ipを継続して出力すると、ワイヤ19の先端部から溶滴が離脱する。なお、溶滴が離脱したタイミングでは、アーク長が急に長くなる。そのため、図2(a)の時点T4に示すように、溶接電圧値が急峻に高くなる。溶滴離脱検出部11では、図示していないが、溶接電圧が所定の電圧しきい値を越えた場合に、あるいは、溶接電圧の単位時間当たりの変化量(dV/dt)が所定値を越えた場合に、溶滴が離脱したと判断する。
溶滴の離脱後は、溶滴にかかるアーク力が強いと、その反力でスパッタが増加する。そこで、パルス波形制御部10では、溶滴の離脱検知後は、溶接電流値を、ピーク電流Ipからピーク電流Ipよりも低い所定の低下電流Irに低下する信号を駆動部7に出力して溶接電流を低減し、スパッタの発生を防止する。その後、低下時間tMの期間は、溶接電流を低下電流Irに維持する。低下時間tMの経過後は、溶接電流を元のピーク電流Ipに高め、ワイヤ19の先端部の溶融を行う。なお、溶接電流を高める増加傾きは、図示しているように緩やかな傾度でも良いし、急峻に立ち上げても良い。なお、図2において、ベース電流Ibは、設定溶接電流毎に適切な値が決定される。
一方、ワイヤ送給速度に関し、溶滴がワイヤ19から離脱しても、母材22に到達するまでには時間がかかるため、ワイヤ送給速度制御部16は、溶滴が母材22に到達するタイミングで、ワイヤ送給速度を、元の所定のワイヤ送給速度wf0に戻すように高める。このように、溶滴が母材22に到達してからワイヤ送給速度をワイヤ送給速度wf0へ高めるので、短絡発生を防止でき、スパッタを大幅に低減することが可能となる。
なお、ワイヤ送給速度を元のワイヤ送給速度wf0に戻すタイミングは、溶滴の離脱を検知した時点T4を時間起点として、例えば実験的に得た第2の所定時間t2(約1〜10msec程度)が経過したタイミングである。そして、記憶部15には、第2の所定時間t2と設定溶接電流とを対応付けた複数の組が記憶されており、溶接条件設定部14により設定された設定溶接電流に基づいて、第2の所定時間t2が決定される。
なお、ワイヤ送給速度は、元の所定のワイヤ送給速度wf0に戻すのではなく、ワイヤ送給速度wf1よりも速いワイヤ送給速度に制御するようにしても良い。
また、溶接中は、ワイヤ19の突出し長さの変動や、母材22であるワークの位置ずれ等の外乱が発生し、アーク長が短くなる場合が頻繁に発生する。例えば、図2に示す2つの連続するパルスでは、1つ目のパルスのアーク長はアーク長d1であり、2つ目のパルスのアーク長はアーク長d2であり、アーク長d2の方がアーク長d1よりも短い。そして、パルス立ち上がり終了時の溶接電圧を比較すると、1つ目のパルスの溶接電圧は溶接電圧V1であり、2つ目のパルスの溶接電圧は溶接電圧V2であり、溶接電圧V2の方が溶接電圧V1よりも低い。
なお、アーク長は、概ね、溶接電圧の値と同様の傾向を示す。従って、アーク長が短い場合は、溶接電圧値が低くなっていると考えられる。このため、1つ目のパルスのパルス立ち上がり終了の時点である時点T3における溶接電圧V1を、溶接電圧検出部8により検出し、パルス波形制御部10では、溶接電圧V1と図示していない基準電圧値とを比較し、その差分をワイヤ送給速度制御部16に出力する。ワイヤ送給速度制御部16では、この差分に基づいて、所定のワイヤ送給速度wf0からのワイヤ送給速度の低下量を演算する。
なお、基準電圧値は設定溶接電流に対応付けられて記憶部15に複数記憶されており、設定される設定溶接電流に基づいて1つの基準電圧値が決定される。また、ワイヤ送給速度制御部16で行われる低下量の演算は、差分と低下量とを対応付けた式やテーブルが記憶部15に記憶されており、差分に基づいて1つの低下量が決定される。なお、ワイヤ送給速度制御部16は、検出した溶接電圧V1が基準電圧値より低い場合に低下量を演算してワイヤ送給速度を低減する。そして、検出した溶接電圧V1が基準電圧値を超えた場合には、ワイヤ送給速度の低減は行わず、ワイヤ送給速度wf0を維持する。
2つ目のパルスのパルス立ち上がり終了時点である時点T5における溶接電圧V2は、直前のパルスである1つ目のパルスの溶接電圧V1に対して低くなっている。この場合、ワイヤ19の先端と母材22との間の距離に相当するアーク長に関し、アーク長d2は、アーク長d1よりも短くなっている。そのため、低下量△wf1と同じ低下量で2つ目のパルスに対してワイヤ送給速度をワイヤ送給速度wf0から低下すると、ピーク期間中に短絡が発生し、多量のスパッタを発生する。このため、パルス波形制御部10では、基準電圧値と、時点T5における溶接電圧V2とを比較して差分を求める。ワイヤ送給速度制御部16では、パルス波形制御部10で求めた差分に応じて、低下量△wf2を演算する。低下量△wf2は、低下量△wf1よりも低下量が大きい。すなわち、ワイヤ送給速度wf2は、ワイヤ送給速度wf1よりも小さい。従って、2つ目のパルスにおいて、ピーク期間中での短絡発生を防止でき、スパッタの少ない溶接を行うことができる。
そして、2つ目のパルスにおいては、時点T6で溶滴が離脱する。
上述のように、本実施の形態1のアーク溶接制御方法では、基準電圧値とピーク電流の立ち上がりが完了した時点の溶接電圧値との差が大きい程、すなわち、ピーク電流の立ち上がりが完了した時点の溶接電圧値が低い程、ワイヤ送給速度を低くする。
そして、ワイヤ送給速度を低減した後、溶滴が離脱するタイミングである時点T4あるいは時点T6を検出し、時点T4あるいは時点T6において、溶接電流をピーク電流Ipから低下電流Irに低減することで、低スパッタ溶接を行うことができる。
なお、低下量△wf1や低下量△wf2に関し、図示していないが、逆送を行うように制御してもよい。すなわち、ワイヤ送給速度wf1やワイヤ送給速度wf2を、ワイヤ19が母材22から離れる方向に送給される逆送のワイヤ送給速度となるように制御しても良い。
また、基準電圧値と比較される溶接電圧の検出のタイミングは、パルス立ち上がり終了時に限定する必要はなく、例えば、パルス立ち上がり開始時からパルス立ち上がり終了時までの平均電圧としてもよく、ピーク電流の立ち上がりの開始時点から第1の所定時間t1が経過時点までの期間のどこかの時点の溶接電圧であれば問題はない。
以上のように、本実施の形態1のアーク溶接制御方法およびアーク溶接装置によれば、突出し長さの変動やワークの位置ずれ等の外乱が発生してアーク長が短くなる場合が発生しても、ピーク電流が出力されるピーク期間中における短絡の発生を防止できるので、スパッタを大幅に低減することが可能となる。これにより、スパッタの発生およびスパッタの付着による製品価値の低下を防止し、スパッタ除去工程等を削除でき、溶接生産性を著しく向上させることが可能となる。
本発明によれば、CO2ガスを主成分とするシールドガスを用い、ピーク電流とベース電流を交互に流す消耗電極式のパルスアーク溶接を行う場合に、突出し長さの変動やワークの位置ずれ等の外乱が発生しアーク長が短くなる場合が発生しても、スパッタの発生を抑制することができ、パルスアーク溶接を行うアーク溶接制御方法およびアーク溶接装置として産業上有用である。
1 入力電源
2 1次整流部
3 スイッチング部
4 トランス
5 2次整流部
6 DCL
7 駆動部
8 溶接電圧検出部
9 溶接電流検出部
10 パルス波形制御部
11 溶滴離脱検出部
14 溶接条件設定部
15 記憶部
16 ワイヤ送給速度制御部
17 計時部
18 ワイヤ送給モータ
19 ワイヤ
20 チップ
21 アーク
22 母材
23 スパッタ
t1 第1の所定時間
t2 第2の所定時間
wf0 ワイヤ送給速度
wf1 ワイヤ送給速度
wf2 ワイヤ送給速度
△wf1 低下量
△wf2 低下量
T3 時点(パルス立ち上がり終了)
T4 時点(離脱検知)
T5 時点(パルス立ち上がり終了)
T6 時点(離脱検知)
V1 溶接電圧(時点T3時)
V2 溶接電圧(時点T5時)
d1 アーク長(時点T3時)
d2 アーク長(時点T5時)
tp ピーク時間
tb ベース時間
Ip ピーク電流
Ib ベース電流
tM 低下時間
Ir 低下電流
T1 時点(離脱検知)
T2 時点(短絡発生)

Claims (14)

  1. 溶接用のワイヤと溶接対象物との間にピーク電流とベース電流をパルス状に繰り返し供給して溶接を行うアーク溶接制御方法であって、
    前記ワイヤを第1のワイヤ送給速度で送給するステップと、
    前記ピーク電流期間中に前記ワイヤのワイヤ送給速度を前記第1のワイヤ送給速度よりも遅い第2のワイヤ送給速度に低減するステップと、
    前記ワイヤの先端からの溶滴の離脱を検出するステップと、
    前記溶滴の離脱を検出すると、前記ワイヤのワイヤ送給速度を前記第2のワイヤ送給速度よりも速い第3のワイヤ送給速度に増加するステップと、
    を備えたアーク溶接制御方法。
  2. ワイヤ送給速度を、第1のワイヤ送給速度から第2のワイヤ送給速度に低減するタイミングは、ピーク電流の立ち上がりが完了した時点を時間起点として、第1の所定時間が経過した時点である請求項1記載のアーク溶接制御方法。
  3. ピーク電流の立ち上がりが完了した時点の溶接電圧値に基づいて、第2のワイヤ送給速度の大きさを決定する請求項2記載のアーク溶接制御方法。
  4. 予め設定された基準電圧値に対して、ピーク電流の立ち上がりが完了した時点の溶接電圧値が小さい場合、前記基準電圧値と前記ピーク電流の立ち上がりが完了した時点の溶接電圧値との差が大きい程、第2のワイヤ送給速度を遅くする請求項3記載のアーク溶接制御方法。
  5. ワイヤ送給速度を、第2のワイヤ送給速度から第3のワイヤ送給速度に増加するタイミングは、溶滴の離脱を検出した時点を時間起点として、第2の所定時間が経過した時点である請求項1から4のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法。
  6. 第3のワイヤ送給速度を、第1のワイヤ送給速度と同じ速度とする請求項1から5のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法。
  7. 第2のワイヤ送給速度を、ワイヤが溶接対象物から離れる方向に送給される逆送のワイヤ送給速度とする請求項1から6のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法。
  8. CO2ガスを主成分とするシールドガスを用いて溶接を行う請求項1から7のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法。
  9. 消耗電極である溶接用のワイヤと溶接対象物との間でピーク電流とベース電流をパルス状に繰り返し供給して溶接を行うアーク溶接装置であって、
    溶接出力を制御するスイッチング部と、
    溶接電流を検出する溶接電流検出部と、
    溶接電圧を検出する溶接電圧検出部と、
    前記溶接電圧検出部の出力に基づいて前記ワイヤの先端から溶滴が離脱するタイミングを検出する溶滴離脱検出部と、
    ピーク電流や、ベース電流や、溶滴離脱検出時に低下させる電流や、電流の増加傾きや、電流の低減傾きを制御するパルス波形制御部と、
    前記パルス波形制御部の出力に基づいて前記スイッチング部を制御する駆動部と、
    設定溶接電流や設定溶接電圧といった溶接条件を設定するための溶接条件設定部と、
    前記溶接条件設定部で設定された情報や、設定溶接電流とワイヤ送給速度とを対応付けた情報や、パルス波形のパラメータに関する情報を記憶する記憶部と、
    前記ワイヤを送給するためのワイヤ送給モータと、
    前記パルス波形制御部や前記溶滴離脱検出部の出力を入力として時間を計時する計時部と、
    前記計時部の出力や前記記憶部に記憶されている情報や前記パルス波形制御部の出力に基づいて前記ワイヤのワイヤ送給速度を制御するワイヤ送給速度制御部を備え、
    前記ワイヤ送給速度制御部は、前記記憶部に記憶された情報と前記溶接条件設定部を用いて設定された設定溶接電流とに基づいて決定された第1のワイヤ送給速度で前記ワイヤの送給を行い、
    前記ワイヤ送給速度制御部は、前記計時部の出力と前記記憶部に記憶されている情報と前記パルス波形制御部の出力に基づいて、前記ピーク電流の立ち上がりが完了した時点を時間起点として第1の所定時間が経過した時点から、ワイヤ送給速度を前記第1のワイヤ送給速度から所定の低下量を低下させた前記第1のワイヤ送給速度よりも遅い第2のワイヤ送給速度で前記ワイヤの送給を行い、
    前記ワイヤ送給速度制御部は、前記計時部の出力と前記記憶部に記憶されている情報と前記パルス波形制御部の出力に基づいて、溶滴離脱検出時点を時間起点として第2の所定時間が経過すると、ワイヤ送給速度を前記第2のワイヤ送給速度よりも速い第3のワイヤ送給で前記ワイヤの送給を行うアーク溶接装置。
  10. ピーク電流の立ち上がりが完了した時点の溶接電圧値に基づいて、第2のワイヤ送給速度の大きさを決定する請求項9記載のアーク溶接装置。
  11. 予め溶接条件設定部を用いて設定され記憶部に記憶された基準電圧値に対して、ピーク電流の立ち上がりが完了した時点の溶接電圧値が小さい場合、前記基準電圧値と前記ピーク電流の立ち上がりが完了した時点の溶接電圧値との差が大きい程、第2のワイヤ送給速度を遅くする請求項10記載のアーク溶接装置。
  12. 第3のワイヤ送給速度を、第1のワイヤ送給速度と同じ速度とする請求項9から11のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法。
  13. 第2のワイヤ送給速度を、ワイヤが溶接対象物から離れる方向に送給される逆送のワイヤ送給速度とする請求項9から12のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法。
  14. CO2ガスを主成分とするシールドガスを用いて溶接を行う請求項9から13のいずれか1項に記載のアーク溶接装置。
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