JP6145694B2 - アーク溶接制御方法およびアーク溶接装置 - Google Patents

アーク溶接制御方法およびアーク溶接装置 Download PDF

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Description

本発明は、消耗電極である溶接ワイヤを送給しながらアーク溶接を行うアーク溶接制御方法およびアーク溶接装置に関するものである。
近年の溶接業界では、生産性向上のため、溶接の高品位化に対する要求が高まっている。中でも、アークスタート時のスパッタの低減が求められている。アークスタート時は、溶接対象物である母材に溶融プールが形成されるまでに時間がかかる。そのため、アークが安定するまでに時間がかかり、スパッタの発生が増加し、スパッタが母材に付着する場合が多くなる。母材にスパッタが付着すると、付着したスパッタを除去するための後処理が必要となり、溶接生産性が低下する場合がある。また、後処理が実施されず、スパッタが母材に付着した状態で製品として流出する場合があると、製品価値を著しく損なう。
従来のアークスタート制御は、消耗電極である溶接ワイヤと被溶接物である母材との間でアークを発生させて溶接を開始するものである。そして、溶接の開始時点から所定期間中は、短絡発生時からアーク発生時までの短絡期間はワイヤ送給速度を後退送給とし、アーク発生時から次の短絡発生時までのアーク期間はワイヤ送給速度を前進送給として溶接を行う。そして、その後にワイヤ送給速度を一定速度に切り替えてパルス溶接を行うものが知られている。このような従来のアークスタート制御は、アークスタートしてから所定期間内はワイヤ送給速度を逆送制御することで短絡開放を行う。従って、スパッタの発生を抑制することができ、スパッタの少ないパルス溶接に移行することができる。これによりアークスタートからパルス溶接までのスパッタの発生を低減していた(例えば、特許文献1参照)。
図3に、従来のアーク溶接装置の概略構成を示す。図3において、溶接電源装置14は、主変圧器2と、一次側整流部3と、スイッチング部4と、リアクトル5と、二次側整流部6と、溶接電流検出部8と、溶接電圧検出部9と、短絡/アーク検出部10と、出力制御部11と、ワイヤ送給速度制御部13と、計時部20と、溶接開始指示部21を備えている。
一次側整流部3は、入力電源装置1の出力を整流して出力する。スイッチング部4は、一次側整流部3からの直流出力を交流に変換することにより溶接出力を制御する。主変圧器2は、スイッチング部4の交流出力を変換する。主変圧器2の出力は、主変圧器2の二次側出力を整流する二次側整流部6とリアクトル5を介して溶接出力として出力される。溶接電圧検出部9は、溶接電圧を検出する。溶接電流検出部8は、溶接電流を検出する。
短絡/アーク検出部10は、溶接電圧検出部9からの信号に基づいて、溶接状態がワイヤ16と母材15とが接触して短絡している短絡状態であるのか、あるいは、短絡が開放してアーク17が発生しているアーク状態であるのかを判定する。出力制御部11は、スイッチング部4を制御して溶接出力を制御する。ワイヤ送給速度制御部13は、ワイヤ送給部19を制御してワイヤ16の送給速度を制御する。計時部20は、アークスタート開始から所定期間t1をカウントする。なお、アークスタートの開始とは、溶接開始指示部21により溶接の開始が指示され、ワイヤ16が母材15へ向けて送給され、また、ワイヤ16と母材15との間に電圧が印加され、ワイヤ16と母材15とが接触して電流が流れ、この電流を検出した時点をいう。
次に、図4を用いて、従来のアーク溶接装置におけるワイヤ送給速度Wfと溶接電圧Vwと溶接電流Awについて説明する。図4は、ワイヤ送給速度Wfと溶接電圧Vwと溶接電流Awの波形と溶滴の挙動を示しており、時間の経過に伴って変化する例を示している。
図4において、時点100でアーク溶接装置の起動(溶接開始指示)が行われる。そして、ワイヤ送給速度制御部13がワイヤ送給部19を制御することで、ワイヤ16は、ワイヤ送給速度Wfに示すように送給制御され、短絡発生時からアーク発生時までの短絡期間はワイヤ送給速度が後退送給となり、アーク発生時から次の短絡発生時までのアーク期間はワイヤ送給速度が前進送給となる。
なお、図4におけるワイヤ送給速度Wfの破線部は、平均ワイヤ送給速度Wfaを示している。この平均ワイヤ送給速度Wfaは、溶接条件設定部12により設定される溶接電流に応じて決定される。例えば、図示しない記憶部に平均ワイヤ送給速度Wfaと設定溶接電流を対応付けたテーブルまたは式が記憶されており、この記憶部の内容と溶接条件設定部12により設定される溶接電流とから平均ワイヤ送給速度Wfaが決定される。
時点101はアークスタート開始の時点であり、ワイヤ16と母材15とが接触して溶接電流が流れると、溶接電流検出部8がこの電流を検出する。これにより、アークスタート開始の時点であることを検出することができる。
時点101を時間起点として所定期間t1が経過するまでの間は、ワイヤ送給速度制御部13は、短絡発生時からアーク発生時までの短絡期間はワイヤ送給速度を後退送給させ、アーク発生時から次の短絡発生時までのアーク期間はワイヤ送給速度を前進送給させるようにワイヤ送給部19を制御する。そして、時点101からの経過時間を計時する計時部20は、時点101から所定期間t1が経過した時点102になったことをワイヤ送給速度制御部13に出力する。ワイヤ送給速度制御部13は、所定期間t1が経過した後に、ワイヤ送給速度が一定のワイヤ送給速度Wf1(一定値)となるようにワイヤ送給部19を制御する。具体的には、所定期間t1の経過後で、ワイヤ送給速度が後退送給から前進送給となり、溶接条件設定部12で設定された溶接電流に対応して決定される一定のワイヤ送給速度Wf1に達した時点102a以降は、前記一定のワイヤ送給速度Wf1でワイヤ16を送給する。
時点101から時点102までの所定期間t1において、ワイヤ送給速度は、短絡発生時からアーク発生時までの短絡期間は後退送給であり、アーク発生時から次の短絡発生時までのアーク期間は前進送給である。従って、ワイヤ16の前進送給により強制的にワイヤ16と母材15との短絡を発生させ、また、ワイヤ16の後退送給により強制的に短絡を開放してアークを再発生させる。これにより、溶接電流の電磁ピンチ力によらずに短絡を開放することが可能となり、スパッタの発生を低減することができる。
溶滴の移行形態としては、ワイヤ16の前進送給および後退送給により確実に短絡を発生させることができるので、短絡移行となる。故に、従来のパルス制御による離脱移行ではないので、アーク反力の影響を受けることはなく、スパッタの飛散を抑制して溶融プールを形成できる。
なお、溶接電圧検出部9の検出値により短絡/アーク検出部10で短絡状態かアーク状態かを検出し、それぞれの状態に適した溶接電流の波形制御あるいは溶接電圧の波形制御を出力制御部11により行い、スイッチング部4を駆動させて溶接電流や溶接電圧を制御する。
ここで、時点102以降に、前進送給および後退送給を繰り返すワイヤ送給速度から一定速度に切り替える理由について説明する。ワイヤ送給速度を前進送給および後退送給させて溶接した場合のビード形状は、ワイヤ送給速度を一定にして溶接した場合と比べて溶け込み深さが浅くビード幅も狭い。そのため、定常溶接条件(主溶接条件)として使用できない母材や溶接箇所が存在する場合が多い。従って、このような母材や溶接箇所を溶接する場合には、ワイヤ送給速度Wfの形態を切り替える必要がある。
国際公開第2011/004586号
しかしながら、上記従来の制御では、例えば図4における溶滴の挙動に示すように、溶接電流を検出した時点101から所定期間t1が経過した時点102の後の時点103でのビード形状は、所定期間t1中の短絡溶接により溶け込み深さが浅くビード幅も狭い。このためアーク17は細く集中し、溶融プール32の掘れこみが殆どない。従って、ワイヤ16の先端の溶滴31の下部にアークが集中し、電流密度が高くなり、溶滴31を押し上げる力が働く。この押し上げ力は、電磁ピンチ力より大きくなる場合が多いので、溶滴31を母材15の方向に移行させるのではなく、母材15の方向とは反対の方向へ押し上げる。そのため、溶滴31がワイヤ16の先端から離脱する場合には、図4に示すように、スパッタ34となって飛散する。スパッタ34が飛散してしまうと、母材15に付着してとれなくなる状態が発生する。つまり、スパッタ34の発生量は、従来の制御においても低減できたが、上記押し上げ力により発生する場合があるスパッタ34に対する対応としては十分ではなく、母材15に付着するといった課題が残っている。
本発明は、アークが発生してからアークが安定するまでのスパッタ発生量を低減するアークスタート制御方法およびアーク溶接装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のアーク溶接制御方法は、消耗電極である溶接ワイヤと被溶接物との間でアークを発生させて溶接を行うアーク溶接制御方法であって、短絡溶接を行う第1のステップと、前記第1のステップの後に直流離脱移行溶接を行う第2のステップと、前記第2のステップの後にパルス溶接を行う第3のステップを備え、前記第1のステップでは、前記溶接ワイヤを前記被溶接物の方向に送給する正送と前記正送とは反対の方向に送給する逆送とを繰り返すワイヤ送給速度で前記溶接ワイヤの送給を行い、
前記第2のステップでは、前記溶接ワイヤのワイヤ送給速度が時間の経過に応じて増加するように前記溶接ワイヤの送給を行い、第1の増加傾きと、前記第1の増加傾きに続く第2の増加傾きにより、ワイヤ送給速度を増加し、第1の増加傾きよりも第2の増加傾きの方が、傾きが緩やかなものである。
また、上記課題を解決するために、本発明のアーク溶接制御方法は、消耗電極である溶接ワイヤと被溶接物との間でアークを発生させて溶接を行うアーク溶接制御方法であって、短絡溶接を行う第1のステップと、前記第1のステップの後に直流離脱移行溶接を行う第2のステップと、前記第2のステップの後にパルス溶接を行う第3のステップを備え、前記第1のステップでは、前記溶接ワイヤを前記被溶接物の方向に送給する正送と前記正送とは反対の方向に送給する逆送とを繰り返すワイヤ送給速度で前記溶接ワイヤの送給を行い、
前記第2のステップでは、前記溶接ワイヤのワイヤ送給速度が時間の経過に応じて増加するように前記溶接ワイヤの送給を行い、さらに第2のステップにおいて、第3のステップを行う前に、ワイヤ送給速度を低減するものである。
また、本発明のアーク溶接制御方法は、上記に加えて、第2のステップでは、スプレー移行となるように溶接電流を制御するものである。
また、本発明のアーク溶接制御方法は、上記に加えて、ワイヤ送給速度の正送と逆送の繰り返しを、所定の周期と所定の振幅で周期的に行うものである。
また、本発明のアーク溶接制御方法は、上記に加えて、ワイヤ送給速度の正送と逆送の繰り返しは、周期的ではなく、溶接状態が短絡状態であることを検出すると逆送を行い、前記溶接状態がアーク状態であることを検出すると正送を行うものである。
また、本発明のアーク溶接制御方法は、上記に加えて、シールドガスとして炭酸ガスを用いるものである。
本発明のアーク溶接装置は、消耗電極である溶接ワイヤと被溶接物との間でアークを発生させて溶接を行うアーク溶接装置であって、溶接出力を制御するスイッチング部と、溶接電圧を検出する溶接電圧検出部と、溶接電流を検出する溶接電流検出部と、設定電流や設定電圧を設定するための溶接条件設定部と、前記溶接電圧検出部の出力に基づいて前記溶接ワイヤと前記被溶接物との間が短絡状態であるのかアーク状態であるのかを検出する短絡/アーク検出部と、前記溶接の開始を指示するための溶接開始指示部と、前記溶接の開始以降に前記溶接ワイヤと前記被溶接物が接触することにより流れる電流を検出した時点を起点として所定時間をカウントする計時部と、前記短絡/アーク検出部の出力と前記計時部の出力を入力として前記ワイヤ送給速度を制御するワイヤ送給速度制御部と、前記短絡/アーク検出部の出力と前記ワイヤ送給速度制御部の出力に応じて前記スイッチング部を制御して前記溶接電流または前記溶接電圧の出力制御を行う出力制御部とを備え、前記溶接開始指示部により前記溶接の開始を指示した時点から、または、前記溶接の開始を指示した後のある時点から、前記計時部により計時される予め設定した所定期間中は、前記溶接ワイヤを前記被溶接物の方向に送給する正送と前記正送とは反対の方向に送給する逆送とを繰り返すワイヤ送給速度で前記溶接ワイヤの送給を行って短絡溶接を行い、前記短絡溶接の後は、前記ワイヤ送給速度が逆送の送給速度からゼロに達した時点から、あるいは、前記ワイヤ送給速度が逆送の送給速度から正送の所定の送給速度に達した時点から、所定の傾度でワイヤ送給速度が増加するように前記溶接ワイヤの送給を行い、増加したワイヤ送給速度が前記正送の所定の送給速度よりも高い所定のワイヤ送給速度に達した時点からは所定の傾度でワイヤ送給速度が減少するように前記溶接ワイヤの送給を行って直流離脱移行溶接を行い、前記直流離脱移行溶接において減少したワイヤ送給速度が前記正送の所定の送給速度よりも低い所定のワイヤ送給速度に達すると定常溶接であるパルス溶接のワイヤ送給速度に制御してパルス溶接を行うものである。
本発明によれば、アークスタートの短絡移行溶接から定常溶接のパルス溶接に切り替わる前に直流離脱溶接を行い、直流離脱溶接においてワイヤ送給速度が時間の経過に応じて増加するように前記溶接ワイヤの送給を行う。このようにすることで、ビード幅の拡幅と溶融プールの掘れこみ増大を短時間で実現することができ、アークスタートの短絡移行溶接から定常溶接のパルス溶接に切り替わる際に発生するスパッタの発生量を低減することができる。
本発明の実施の形態1におけるアーク溶接装置の概略構成を示す図 本発明の実施の形態1における溶接電流と溶接電圧とワイヤ送給速度の波形と溶滴の挙動を示す図 従来のアーク溶接装置の概略構成を示す図 従来のアーク溶接における溶接電流と溶接電圧とワイヤ送給速度の波形と溶滴の挙動を示す図
(実施の形態1)
図1に、本実施の形態1におけるアーク溶接装置の概略構成を示す。図1において、溶接電源装置14は、主変圧器2と、一次側整流部3と、スイッチング部4と、リアクトル5と、二次側整流部6と、溶接電流検出部8と、溶接電圧検出部9と、短絡/アーク検出部10と、出力制御部11と、ワイヤ送給速度制御部13と、計時部20と、溶接開始指示部21を備えている。
一次側整流部3は、入力電源装置1の出力を整流して出力する。スイッチング部4は、一次側整流部3からの直流出力を交流に変換することにより溶接出力を制御する。主変圧器2は、スイッチング部4の交流出力を変換する。主変圧器2の出力は、主変圧器2の二次側出力を整流する二次側整流部6とリアクトル5を介して溶接出力として出力される。溶接電圧検出部9は溶接電圧を検出し、溶接電流検出部8は溶接電流を検出する。
短絡/アーク検出部10は、溶接電圧検出部9からの信号に基づいて、溶接状態がワイヤ16と母材15とが接触して短絡している短絡状態であるのか、あるいは、短絡が開放してアーク17が発生しているアーク状態であるのかを判定する。出力制御部11は、スイッチング部4を制御して溶接出力を制御する。ワイヤ送給速度制御部13は、短絡/アーク検出部10や計時部20の出力を入力してワイヤ送給部19を制御することで、ワイヤ16の送給速度を制御する。計時部20は、アークスタート開始から所定期間t1をカウントする。なお、アークスタートの開始とは、溶接開始指示部21により溶接の開始が指示され、ワイヤ16が母材15へ向けて送給され、また、ワイヤ16と母材15との間に電圧が印加され、ワイヤ16と母材15とが接触して電流が流れ、この電流を検出した時点をいう。
なお、アーク溶接装置が、溶接電源装置14とワイヤ送給部19と図示しない溶接用トーチ等から構成される場合には、溶接開始指示部21は、溶接用トーチのトーチスイッチ等となる。また、アーク溶接装置が、溶接電源装置14とワイヤ送給部19と図示しない溶接用トーチを保持する図示しない産業用ロボットと産業用ロボットに教示等を行うための図示しないティーチングペンダント等から構成される場合には、溶接開始指示部21は、ティーチングペンダントに設けられたスイッチ等となる。
有線あるいは無線により溶接電源装置14と通信可能に接続された溶接条件設定部12は、溶接電流や溶接電圧等を設定するためのものである。
溶接電源装置14には、出力端子14aと出力端子14bの2つの出力端子が設けられている。一方の出力端子14aは、ワイヤ16を保持するチップ18に電気的に接続されており、チップ18を介してワイヤ16に電力が供給される。他方の出力端子14bは、母材15に電気的に接続されており、母材15に電力が供給される。そして、ワイヤ16の先端部と母材15との間でアーク17が発生する。
ワイヤ送給部19は、ワイヤ16を保存するワイヤ保存部16aからワイヤ16をチップ18に向けて送給する。
次に、図2を用いて、本実施の形態1のアーク溶接装置におけるワイヤ送給速度Wfと溶接電圧Vwと溶接電流Awと溶滴の挙動について説明する。図2は、ワイヤ送給速度Wfと溶接電圧Vwと溶接電流Awの波形と溶滴の挙動を示しており、時間の経過に伴って変化する例を示している。
図2において、時点100でアーク溶接装置の起動(溶接開始指示)が行われる。そして、ワイヤ送給速度制御部13がワイヤ送給部19を制御することで、ワイヤ16は、ワイヤ送給速度Wfに示すように送給制御され、短絡発生時からアーク発生時までの短絡期間ではワイヤ送給速度が後退送給となり、アーク発生時から次の短絡発生時までのアーク期間ではワイヤ送給速度が前進送給となる。
時点101はアークスタート開始の時点であり、ワイヤ16と母材15とが接触して溶接電流が流れると、溶接電流検出部8がこの電流を検出する。これにより、アークスタート開始の時点であることを検出することができる。
時点101を時間起点として所定期間t1が経過するまでの間は、ワイヤ送給速度制御部13は、短絡/アーク検出部10の出力に基づいて、短絡発生時からアーク発生時までの短絡期間ではワイヤ送給速度を後退送給させ、アーク発生時から次の短絡発生時までのアーク期間ではワイヤ送給速度を前進送給させるようにワイヤ送給部19を制御する。そして、時点101からの経過時間を計時する計時部20は、時点101から所定期間t1が経過した時点102になったことをワイヤ送給速度制御部13に出力する。
ワイヤ送給速度制御部13は、計時部20から所定期間t1が経過したこと示す信号を入力すると、ワイヤ送給速度が逆送速度から0になるまで予め設定した第1の増加傾きで加速し、ワイヤ送給速度が0に到達すると予め設定した第2の増加傾きで直流離脱移行領域(例えば、ワイヤ送給速度は約10m/min以上)になるように所定のワイヤ送給速度Wf3に向けて増加させる。そして、ワイヤ送給速度Wfの増加に併せて、出力制御部11は、溶接電圧及び溶接電流(約290A以上)も増加させる。
ワイヤ送給速度Wfの緩やかな増加により時点103の状態から溶融プール32は徐々に幅が広がり、アーク力で掘り込み量が大きくなり、図2の溶滴の挙動に示すように、時点104では、ワイヤ16の先端の溶滴31が溶融プール32内に埋もれる状態になる。この状態では、アーク17は時点103の状態と比べて広がった状態となり、溶滴31の上部からもアーク17が発生する。このため、電流密度が低くなり、溶滴31を押し上げる力が抑制され、溶滴31の母材15への離脱が促進される。従って、図2の溶滴の挙動に示すように、時点105では、溶滴31の母材15への移行が実施され、スパッタの低減が可能となる。
なお、ワイヤ送給速度の所定の傾きである第2の増加傾きは、所定期間t1中の正送から逆送への加速度や逆送から正送への加速度のような急な傾度ではなく、例えば、約1〜30cm/s2の緩やかな傾度である。ワイヤ送給速度を急峻に増加させると、溶融プール32の局部にアークが集中し、溶融プール32の不規則な揺動による短絡発生を増加させ、スパッタを増加させてしまう。このため、ワイヤ送給速度の緩やかな増加が必要となる。
なお、第2の増加傾きに関しては、ワイヤ送給速度の傾度で示している。しかし、溶接電流の傾度で設定するようにしても良い。
また、上記では、ワイヤ送給速度が0に到達した時点で、ワイヤ送給速度の増加傾きを第1の増加の傾きから第2の増加の傾きに切り替える例を示している。しかし、ワイヤ送給速度が0に到達した時点ではなく、ワイヤ送給速度が0に到達した以降もそれまでのワイヤ送給速度の増加を維持し、ワイヤ送給速度が正送の所定の速度になった場合、例えば、5m/min程度の低いワイヤ送給速度になった場合に、ワイヤ送給速度の増加傾きを第1の増加の傾きから第2の増加の傾きに切り替えるようにしてもよい。
ワイヤ送給速度がワイヤ送給速度Wf3へ到達した後は、ワイヤ送給速度制御部13は、主溶接のワイヤ送給速度Wf1になるように、ワイヤ送給速度を徐々に低下する。その理由は、ワイヤ送給速度Wf3の状態から急峻に低下させると溶融プール32に揺動が発生し、スパッタ増加の要因になるためである。
また、アークスタート初期のワイヤ送給を正逆送制御する短絡移行溶接において、ワイヤ送給速度の正送と逆送の繰り返しを、所定の周期と所定の振幅で周期的に行うように制御しても良いし、ワイヤ送給速度の正送と逆送の繰り返しは、周期的ではなく、溶接状態が短絡状態であることを検出すると逆送を行い、前記溶接状態がアーク状態であることを検出すると正送を行うように制御しても良い。なお、母材15の位置ずれ等の外乱がない場合には、周期的な送給を行う方が良好な溶接を行うことができる。一方、外乱が多い場合には、溶接状態に応じて送給の制御を行う方が良好な溶接を行うことができる。
以上のように、本実施の形態1では、短絡溶接を行う第1のステップと、第1のステップの後に直流離脱移行溶接を行う第2のステップと、第2のステップの後にパルス溶接を行う第3のステップを備え、第1のステップでは、ワイヤ16を母材15の方向に送給する正送と正送とは反対の方向に送給する逆送とを繰り返すワイヤ送給速度でワイヤ16の送給を行い、第2のステップでは、ワイヤ16のワイヤ送給速度が時間の経過に応じて増加するようにワイヤ16の送給を行う。このように、アークスタートの短絡移行溶接から主溶接のパルス溶接に切り替わる前に直流離脱溶接を行うことで、ビード幅の拡幅と溶融プールの掘れこみ増大を短時間で実現することができ、アークスタートの短絡移行溶接から主溶接のパルス溶接に切り替わる際に発生するスパッタの発生量を低減することができる。
なお、溶接に用いるシールドガスは混合ガスだけでなく、炭酸ガスにおいても、溶接電流が約290A以上の離脱移行領域で第2ステップの溶接を行うのであれば、スパッタの少ない溶接が可能である。
なお、直流離脱移行溶接を行う第2のステップでは、スプレー移行となるように溶接電流を制御することで、良好な溶接を行うことができる。
本発明は、アークスタート時のスパッタ発生およびスパッタの付着を低減して溶接作業の生産性を向上することができるので、特に、消耗電極を用いたアーク溶接のアークスタート制御を行うアーク溶接制御方法およびアーク溶接装置として産業上有用である。
1 入力電源装置
2 主変圧器
3 一次側整流部
4 スイッチング部
5 リアクトル
6 二次側整流部
8 溶接電流検出部
9 溶接電圧検出部
10 短絡/アーク検出部
11 出力制御部
12 溶接条件設定部
13 ワイヤ送給速度制御部
14 溶接電源装置
14a,14b 出力端子
15 母材
16 ワイヤ
16a ワイヤ保存部
17 アーク
18 チップ
19 ワイヤ送給部
20 計時部
21 溶接開始指示部

Claims (7)

  1. 消耗電極である溶接ワイヤと被溶接物との間でアークを発生させて溶接を行うアーク溶接制御方法であって、
    短絡溶接を行う第1のステップと、
    前記第1のステップの後に直流離脱移行溶接を行う第2のステップと、
    前記第2のステップの後にパルス溶接を行う第3のステップを備え、
    前記第1のステップでは、前記溶接ワイヤを前記被溶接物の方向に送給する正送と前記正送とは反対の方向に送給する逆送とを繰り返すワイヤ送給速度で前記溶接ワイヤの送給を行い、
    前記第2のステップでは、前記溶接ワイヤのワイヤ送給速度が時間の経過に応じて増加するように前記溶接ワイヤの送給を行い、さらに前記第2のステップでは、第1の増加傾きと、前記第1の増加傾きに続く第2の増加傾きにより、ワイヤ送給速度を増加し、
    第1の増加傾きよりも第2の増加傾きの方が、傾きが緩やかであるアーク溶接制御方法。
  2. 消耗電極である溶接ワイヤと被溶接物との間でアークを発生させて溶接を行うアーク溶接制御方法であって、
    短絡溶接を行う第1のステップと、
    前記第1のステップの後に直流離脱移行溶接を行う第2のステップと、
    前記第2のステップの後にパルス溶接を行う第3のステップを備え、
    前記第1のステップでは、前記溶接ワイヤを前記被溶接物の方向に送給する正送と前記正送とは反対の方向に送給する逆送とを繰り返すワイヤ送給速度で前記溶接ワイヤの送給を行い、
    前記第2のステップでは、前記溶接ワイヤのワイヤ送給速度が時間の経過に応じて増加するように前記溶接ワイヤの送給を行い、
    さらに前記第2のステップにおいて、第3のステップを行う前に、ワイヤ送給速度を低減するアーク溶接制御方法。
  3. 第2のステップでは、スプレー移行となるように溶接電流を制御する請求項1または2に記載のアーク溶接制御方法。
  4. ワイヤ送給速度の正送と逆送の繰り返しを、所定の周期と所定の振幅で周期的に行う請求項1からのいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法。
  5. ワイヤ送給速度の正送と逆送の繰り返しは、周期的ではなく、溶接状態が短絡状態であることを検出すると逆送を行い、前記溶接状態がアーク状態であることを検出すると正送を行う請求項1からのいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法。
  6. シールドガスとして炭酸ガスを用いる請求項1からのいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法。
  7. 消耗電極である溶接ワイヤと被溶接物との間でアークを発生させて溶接を行うアーク溶接装置であって、
    溶接出力を制御するスイッチング部と、
    溶接電圧を検出する溶接電圧検出部と、
    溶接電流を検出する溶接電流検出部と、
    設定電流や設定電圧を設定するための溶接条件設定部と、
    前記溶接電圧検出部の出力に基づいて前記溶接ワイヤと前記被溶接物との間が短絡状態であるのかアーク状態であるのかを検出する短絡/アーク検出部と、
    前記溶接の開始を指示するための溶接開始指示部と、
    前記溶接の開始以降に前記溶接ワイヤと前記被溶接物が接触することにより流れる電流を検出した時点を起点として所定時間をカウントする計時部と、
    前記短絡/アーク検出部の出力と前記計時部の出力を入力としてワイヤ送給速度を制御するワイヤ送給速度制御部と、
    前記短絡/アーク検出部の出力と前記ワイヤ送給速度制御部の出力に応じて前記スイッチング部を制御して前記溶接電流または前記溶接電圧の出力制御を行う出力制御部とを備え、
    前記溶接開始指示部により前記溶接の開始を指示した時点から、または、前記溶接の開始を指示した後のある時点から、前記計時部により計時される予め設定した所定期間中は、
    前記溶接ワイヤを前記被溶接物の方向に送給する正送と前記正送とは反対の方向に送給する逆送とを繰り返すワイヤ送給速度で前記溶接ワイヤの送給を行って短絡溶接を行い、
    前記短絡溶接の後は、前記ワイヤ送給速度が逆送の送給速度からゼロに達した時点から、あるいは、前記ワイヤ送給速度が逆送の送給速度から正送の所定の送給速度に達した時点から、所定の傾度でワイヤ送給速度が増加するように前記溶接ワイヤの送給を行い、増加したワイヤ送給速度が前記正送の所定の送給速度よりも高い所定のワイヤ送給速度に達した時点からは所定の傾度でワイヤ送給速度が減少するように前記溶接ワイヤの送給を行って直流離脱移行溶接を行い、
    前記直流離脱移行溶接において減少したワイヤ送給速度が前記正送の所定の送給速度よりも低い所定のワイヤ送給速度に達すると定常溶接であるパルス溶接のワイヤ送給速度に制御してパルス溶接を行うアーク溶接装置。
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