JP4546348B2 - トランスインピーダンスアンプ - Google Patents

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Description

本発明は、光受信回路において、受光素子が光電気変換した電流信号を受信し電圧信号に変換増幅するトランスインピーダンスアンプにかかり、特に、ダイナミックレンジの大きな入力電流に対応できるトランスインピーダンスアンプに関する。
高速データ伝送を可能とする光伝送システム、光インターコネクション、パッシブオプティカルネットワーク(以下、PONという:Passive Optical Network)システム等の光伝送回路では、光信号を電気信号に変換する光受信回路において、トランスインピーダンスアンプを用いる。
トランスインピーダンスアンプは、受信した光信号を受光素子により光電気変換して得られた入力電流Iinを入力とし、帰還抵抗の値に比例するトランスインピーダンス利得によって、出力電圧Voutに変換して出力するものである。
この種のトランスインピーダンスアンプでは、入力電流Iinが大きくなると出力電圧Voutの振幅が飽和し波形歪が生じる。
したがって、従来のトランスインピーダンスアンプは、高感度と広ダイナミックレンジ特性を両立させるために、入力電流Iinが大きくなった場合に帰還抵抗の値を小さくしてトランスインピーダンス利得を下げることで、大電流入力時も歪の少ない出力電圧Voutを得るようにしている。
図13に、利得切替回路により複数の帰還抵抗を切替接続するよう構成した従来のトランスインピーダンスアンプ400の基本構成を示す(例えば、特許文献1など参照)。このトランスインピーダンスアンプ400は、トランスインピーダンスアンプコア回路410と、利得切替判断回路420とを備えている。トランスインピーダンスアンプコア回路410は、増幅回路411と利得切替回路412とを有し、受光素子100から出力された入力電流Iinを電圧変換して信号増幅を行う。利得切替判断回路420は、トランスインピーダンスアンプコア回路410からの出力電圧Voutに応じて利得切替回路412での利得切り替えを制御する。
このトランスインピーダンスアンプ400は、スイッチが直列接続された複数の帰還抵抗で利得切替回路412を構成し、増幅回路411からの出力電圧Voutの直流レベルを利得切替判断回路420によりモニタして得た利得切替信号SELによって、利得切替回路412のスイッチをオン/オフして帰還抵抗の値を切り替えている。
通常、高速データ伝送を可能とする光伝送システム、特にPONシステムにおいては、高感度で広入力ダイナミックレンジ、かつバースト応答性が要求される。図14にPONシステムの構成を示す。このPONシステムは、1台の局側装置(OLT:Optical Line Terminal)501と複数台の宅側装置(ONU:Optical Network Unit)511〜51nとからなり、光カプラ502などのパッシブデバイスと光ファイバ503を介して接続されている。
この際、各宅側装置511〜51nから局側装置501への上り(ONUからOLTへ)のデータすなわちパケット521〜52nは、それぞれの経路の違いにより、局側装置501への到達時の光パワーが異なってくる。このため、局側装置501の光受信回路で用いられるトランスインピーダンスアンプ(TIA:TransImpedance Amp)には広いダイナミックレンジが要求される。
図14のPONシステムでは、ある宅側装置がパケットを送出している間(パケット期間)は、他の宅側装置はパケットを送出できないので、伝送効率を高めるには、パケット間の時間を短くする必要がある。したがって、図15に示すように、パケット520の先頭には、プリアンブル52xと呼ばれる特定ビットが用意され、局側装置501でパケットの同期に使用される。
前述したように、局側装置501への到達時の光パワーの差Pdに起因して、各パケット520の信号振幅はパケットごとに異なっている。また、伝送効率を高めるためには、短いプリアンブル52xでパケットを同期させて後続のペイロード52yを受信しなければならず、短いプリアンブル52xで、瞬時に利得を切り替えることができる光受信回路が必要となる。このため、光受信回路には、瞬時応答が可能で、広ダイナミックレンジを有するトランスインピーダンスアンプが要求される。
一方、局側装置501から各宅側装置511〜51nへの下り(OLTからONUへ)のデータすなわちパケット531〜53nは、図16に示すように、伝送効率を高めるためにそれぞれ所定の時間位置に設けられたペイロード53yにそれぞれ連続して格納されて、プリアンブルやパケット間隔のないストリームとして宅側装置501から送出され、光カプラ502で各宅側装置511〜51nへ分配される。
この際、前述した上りデータと同様に、各宅側装置511〜51nまでの経路の違いにより、宅側装置511〜51nへの到着時の光パワーが異なってくる。このため、設置状況に応じた経路の違いに対応するためには、局側装置501と同様に宅側装置511〜51nの光受信回路で用いられるトランスインピーダンスアンプにも広いダイナミックレンジが要求される。
このようなトランスインピーダンスアンプとして、図17に示すように、2つのトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の出力信号から中間段バッファ回路230により差動出力信号を生成し、利得切替判断回路250により差動出力信号を比較入力電圧Vcとして所定のヒステリシス特性に基づき比較し、その比較結果から得られた利得切替信号SELに基づきトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得切替回路212,222を制御する構成が考えられる。
第1のトランスインピーダンスアンプコア回路210は、利得切替回路212で選択された利得に応じて、受光素子100から出力された入力電流Iinを、増幅回路211により電圧変換して信号増幅し出力電圧V1を出力する。
第2のトランスインピーダンスアンプコア回路220は、入力端子が開放された増幅回路221により、出力電圧V1の参照電圧として入力電流Iinに応じて変化しない一定の出力電圧V2を出力端子から出力する。この際、第1のトランスインピーダンスアンプコア回路210と同一の出力特性を得るため、利得切替回路212と同じ構成の利得切替回路222が設けられている。
利得切替判断回路250は、ヒステリシス特性を有する利得切替コンパレータ251により、中間段バッファ回路230の出力電圧V3,V4からなる比較入力電圧Vc(=V4−V3)を比較し、利得切替回路212,222へ利得切替信号SELを出力する。利得切替コンパレータ251は、図18に示すように、比較入力電圧Vcの増大を検出する電圧検出レベルVh1と、常に比較入力電圧Vcより低い電圧検出レベルVh2とからなるヒステリシス特性を有している。
図17に示したトランスインピーダンスアンプ200の構成では、常に、受光素子100から入力電流Iinが入力されるため、出力電圧V2>出力電圧V1となり、比較入力電圧Vc(=V4−V3)>0である。
このような比較入力電圧Vcを差動入力とする利得切替コンパレータ251では、比較入力電圧Vcが電圧検出レベルVh1と比較されることになる。したがって、図19に示すように、入力電流Iinが電流I1を超えて比較入力電圧Vcが電圧検出レベルVh1を超えた時点で、利得切替コンパレータ251からの出力すなわち利得切替信号SELの論理が「利得大」から「利得小」へ反転する。
この際、一旦反転した場合、そのヒステリシス特性の立ち下がり動作まで比較入力電圧Vcが変化しない限り、利得切替信号SELの論理はリセットされない。すなわち、比較入力電圧Vc>0であるため、ヒステリシス特性の立ち下がり動作まで比較入力電圧Vcが変化せず、結果として一旦反転した場合には、その論理が保持される。ここでは、入力信号Iinがゼロの場合の比較入力電圧Vcを基準電圧Vnとした場合、利得切替コンパレータ251では、基準電圧Vnより高い比較入力電圧Vcに対するヒステリシス特性(立ち上がり動作領域)しか利用されていない。
これにより、利得切り替えが行われる電流I1付近で入力電流Iinが変動しても、利得切替コンパレータ251の比較動作は安定するため、トランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得を安定させることができ、振幅変動の小さい出力信号Voutが得られる。
特許第3259707号(特開2000−252774)公報
このような従来技術では、利得切替コンパレータ251において、ヒステリシス特性のうち一方の電圧検出レベルしか利用しておらず、トランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得を低減させる方向にのみ利得切替動作を行う。したがって、入力電流Iinが一時的に減衰した場合には、自律的に利得を大きくできず十分な振幅を有する出力信号が得られないという問題点があった。
前述の図14に示すPONシステムでは、宅側装置511〜51nから局側装置501への上りデータについては、それぞれの経路に応じてパケットの光パワーにばらつきが生ずるものの、例えば光カプラ502から各パケット間にリセット信号が送出されるため、このリセット信号に基づき局側装置501のトランスインピーダンスアンプ200で利得をリセットすればよく、出力信号の振幅減衰は一時的なものに限定される。
しかし、宅側装置511〜51nに図17のトランスインピーダンスアンプ200を用いた場合、光カプラ502からリセット信号が送出されないため、例えば局側でのメンテナンスにおいて光ケーブルが何かに接触するなどして、図20に示すように、パケット531〜53nの光パワーが減衰した場合、宅側装置511〜51nのトランスインピーダンスアンプ200において、自律的にその利得を大きくできず十分な振幅を有する出力信号が得られない。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、入力電流が減衰した場合でも十分な振幅の出力信号を安定して得られるトランスインピーダンスアンプを提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかるトランスインピーダンスアンプは、入力端子へ入力された電流を増幅し電圧信号として出力する増幅回路と、この増幅回路の利得を所定の利得切替信号に応じて切り替える利得切替回路とを有する第1のトランスインピーダンスアンプコア回路と、入力端子が開放されて一定の電圧信号を出力する増幅回路と、この増幅回路の利得を利得切替信号に応じて第1のトランスインピーダンスアンプコア回路と同じ利得に切り替える利得切替回路とを有する第2のトランスインピーダンスアンプコア回路と、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路からの出力信号を差動増幅して出力する中間段バッファ回路と、この中間段バッファ回路から出力された差動出力信号からなる比較入力電圧を、所定のヒステリシス特性を決定する2つの電圧検出レベルのうちいずれか高い方の電圧と比較した結果に応じて第1の利得切替信号を出力することにより、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得を第1の利得から第2の利得へ低減させる方向へのみ切替指示する利得切替動作を行う第1の利得切替コンパレータを有する利得切替判断回路と、利得切替判断回路で第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得を低減した後、比較入力電圧が高い方の電圧に達して利得切り替えが行われた後の切替電圧より低い所定のリセット電圧まで低下した際、利得切替判断回路の利得切替動作をリセットして第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得を初期値へ戻すためのリセット信号を出力するリセット判断回路とを備え、リセット判断回路に、比較入力電圧とリセット電圧とを比較するレベル低下検出コンパレータと、このレベル低下検出コンパレータから比較結果として出力されるレベル低下検出信号と第1の利得切替信号との論理積をリセット信号として出力する論理和回路とを有している
また、本発明にかかる他のトランスインピーダンスアンプは、入力端子へ入力された電流を増幅し電圧信号として出力する増幅回路と、この増幅回路の利得を所定の利得切替信号に応じて切り替える利得切替回路とを有する第1のトランスインピーダンスアンプコア回路と、入力端子が開放されて一定の電圧信号を出力する増幅回路と、この増幅回路の利得を利得切替信号に応じて第1のトランスインピーダンスアンプコア回路と同じ利得に切り替える利得切替回路とを有する第2のトランスインピーダンスアンプコア回路と、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路からの出力信号を差動増幅して出力する中間段バッファ回路と、この中間段バッファ回路から出力された差動出力信号からなる比較入力電圧を所定のヒステリシス特性と比較した結果に応じて第1の利得切替信号を出力することにより、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得を第1の利得から第2の利得へ低減させる方向へのみ切替指示する利得切替動作を行う第1の利得切替コンパレータを有する利得切替判断回路と、利得切替判断回路で第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得を低減した後、比較入力電圧が所定のリセット電圧まで低下した際、利得切替判断回路の利得切替動作をリセットして第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得を初期値へ戻すためのリセット信号を出力するリセット判断回路とを備え、利得切替回路に、比較入力電圧を所定のヒステリシス特性と比較した結果に応じて第2の利得切替信号を出力することにより、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得を第1の利得から第2の利得より低い第3の利得へ低減させる方向へのみ切替指示する利得切替動作を行う第2の利得切替コンパレータと、第1の利得切替コンパレータからの第2の利得への切り替えを指示する第1の利得切替信号で導通して、第1の利得切替コンパレータへ入力されている比較入力電圧を第2の利得切替コンパレータへ供給するスイッチとを有している
この際、リセット判断回路の具体例として、比較入力電圧とリセット電圧とを比較するレベル低下検出コンパレータと、第1の利得切替信号および第2の利得切替信号の論理和信号を出力する論理和回路と、レベル低下検出コンパレータから比較結果として出力されるレベル低下検出信号と論理和信号との論理積をリセット信号として出力する論理積回路とから構成してもよい。
本発明によれば、リセット電圧として、比較入力電圧が利得切替判断回路のヒステリシス特性を決定する2つの電圧検出レベルのうちいずれか高い方の電圧に達して、利得切り替えが行われた後の切替電圧より低い所定の電圧値を用い、利得切替判断回路で第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得が低減された後、比較入力電圧が上記リセット電圧まで低下した際、リセット判断回路から、利得切替判断回路の利得切替動作をリセットして利得を初期化するリセット信号が出力されるため、入力電流がある程度減衰した場合には、トランスインピーダンスアンプにおいて、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得を大きくすることができる。
したがって、利得切替コンパレータにおいて、ヒステリシス特性のうち一方の電圧検出レベルのみを利用して、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得を低減させる方向にのみ利得切替動作を行う構成であっても、入力電流の減衰に応じて第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得を自律的に大きくすることができ、入力電流の減衰時でも十分な振幅を有する出力信号を安定して得ることができる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプについて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプの構成を示すブロック図であり、前述した図17と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
このトランスインピーダンスアンプ200は、高速データ伝送を可能とする光伝送システム、光インターコネクション、パッシブオプティカルネットワーク(PON)システム等の光伝送回路において、受光素子100で受信した光ファイバからの光信号を電気信号に変換する光受信回路で用いられる。
図1に示すように、トランスインピーダンスアンプ200は、主な回路構成として、第1のトランスインピーダンスアンプコア回路210、第2のトランスインピーダンスアンプコア回路220、中間段バッファ回路230、出力バッファ回路240、利得切替判断回路250、およびリセット判断回路260を備えている。
第1のトランスインピーダンスアンプコア回路210は、入力端子が受光素子100の出力端子に接続されて、受光素子100から出力された入力電流Iinを電圧変換して信号増幅を行い、入力電流Iinに応じて変化する出力電圧V1を出力端子から出力する増幅回路211と、この増幅回路211の入力端子と出力端子との間に接続されて、利得切替判断回路250からの利得切替信号SELに応じて増幅回路211のトランスインピーダンス利得を切り替える利得切替回路212とを有している。
第2のトランスインピーダンスアンプコア回路220は、第1のトランスインピーダンスアンプコア回路210の増幅回路211と同様であるものの入力端子が開放されており、出力電圧V1の参照電圧として入力電流Iinに応じて変化しない一定の出力電圧V2を出力端子から出力する増幅回路221と、第1のトランスインピーダンスアンプコア回路210の利得切替回路212と同様の利得切替回路222を有している。
中間段バッファ回路230は、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の出力端子が差動入力端子に接続されて、この差動入力端子に入力された出力電圧V1,V2を差動増幅し(例えば、利得=1)、出力電圧V3(非反転出力)および出力電圧V4(反転出力)からなる差動出力信号として差動出力端子から出力するバッファ回路である。
出力バッファ回路240は、中間段バッファ回路230の差動出力端子が差動入力端子に接続されて、この差動入力端子に入力された出力電圧V3,V4を差動増幅し(例えば、利得=1)、出力電圧Voutp(非反転出力)およびVoutn(反転出力)を、トランスインピーダンスアンプ200の出力電圧Voutとして出力するバッファ回路である。
利得切替判断回路250は、中間段バッファ回路230の出力電圧V3,V4からなる比較入力電圧Vc(=V4−V3)を入力として、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得切替回路212,222へ利得切替信号SELを出力することにより、受光素子100からの入力電流Iinに応じて第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得を切り替える判断回路である。
リセット判断回路260は、比較入力電圧Vcと利得切替信号SELとを入力として、利得切替判断回路250へリセット信号RESETを出力することにより、受光素子100からの入力電流Iinに応じて利得切替判断回路250の利得切替動作を初期化する判断回路である。
本実施の形態は、リセット判断回路260により、利得切替判断回路250で第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得を低減した後、比較入力電圧Vcが所定のリセット電圧Vrまで低下した際、利得切替判断回路250の利得切替動作をリセットして利得を初期化するリセット信号RESETを出力するようにしたものである。
[リセット判断回路]
次に、図2を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプで用いられるリセット判断回路について詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプで用いられるリセット判断回路の構成を示すブロック図である。
リセット判断回路260は、ホールド回路261,262、レベル低下検出コンパレータ263、および論理積回路264から構成されている。
ホールド回路261は、比較入力電圧Vcを構成する一方の出力電圧V3が入力端子に接続されて、この出力電圧V3を個別に保持し、その出力端子から出力する回路である。
ホールド回路262は、比較入力電圧Vcを構成する一方の出力電圧V4が入力端子に接続されて、この出力電圧V4を個別に保持し、その出力端子から出力する回路である。
図3は、ホールド回路の具体例を示す回路図である。ここでは、フィードバックループを有するオペアンプの出力段に、RC時定数回路とトランジスタおよび定電流回路からなる出力回路とが直列接続された構成例が示されている。本ホールド回路では、RC回路により入力信号の平均値を検出保持するもので、放電用RC回路も有することにより入力信号振幅が減衰した場合にも放電用RC回路の時定数に従う応答速度でレベル追従できる。なお、ホールド回路の構成については、図3に限定されるものではなく、いずれの公知技術を用いてもよい。
レベル低下検出コンパレータ263は、ホールド回路261,262からの出力電圧で構成されるレベルホールド電圧Vdが比較入力端子に接続されて、このレベルホールド電圧Vdと所定のリセット電圧Vrとを比較し、その比較結果に応じたレベル低下検出信号LDETを出力端子から出力するコンパレータである。
論理積回路264は、レベル低下検出コンパレータ263から出力されたレベル低下検出信号LDETと利得切替判定回路250の利得切替コンパレータ251から出力された利得切替信号SELとを入力とし、これら信号の論理積からなるリセット信号RESETを出力端子から出力する論理回路である。
論理積回路264から出力されたリセット信号RESETは、利得切替コンパレータ251に入力され、利得切替コンパレータ251での利得切替動作をリセットする。これにより利得切替コンパレータ251からトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得切替回路212,222で選択されている利得を初期化する利得切替信号SELが出力されて、最も大きい初期の利得へ切り替えられる。
[第1の実施の形態の動作]
次に、図4〜図6を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプの動作について説明する。図4は、本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプの各部における信号波形例である。図5は、利得切替コンパレータおよびデータ検出コンパレータの動作特性例である。図6は、本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプの動作例を示すタイミングチャート図である。
まず、図4を参照して、第1のトランスインピーダンスアンプコア回路210、第2のトランスインピーダンスアンプコア回路220、中間段バッファ回路230、および出力バッファ回路240の動作について説明する。
光ファイバを介して局側装置(OLT)から送信された光信号は、光カプラで分配されて宅側装置(ONU)に到達し、その光受信回路の受光素子100により光電気変換され、入力電流Iinとしてトランスインピーダンスアンプ200へ入力される。
トランスインピーダンスアンプ200の第1のトランスインピーダンスアンプコア回路210は、入力された入力電流Iinを増幅回路211で電圧変換して信号増幅を行い、この入力電流Iinに応じて変化する出力電圧V1を出力する。
一方、第2のトランスインピーダンスアンプコア回路220は、常時、出力電圧V1の参照電圧として入力電流Iinに応じて変化しない一定の出力電圧V2を出力している。
中間段バッファ回路230には、これら第1のトランスインピーダンスアンプコア回路210の出力電圧V1と、第2のトランスインピーダンスアンプコア回路220の出力電圧V2が入力され、入力電流Iinが大きくなると出力電圧V3,V4との間の電位差(V4−V3)が大きくなるような差動出力信号が得られる。これら出力電圧V3,V4は、所定の中心電位V0を中心として上下に対称な振幅を持つ信号波形となる。
中間段バッファ回路230の差動出力信号は、出力バッファ回路240に入力され、出力電圧Voutp(非反転出力)およびVoutn(反転出力)からなるトランスインピーダンスアンプ200の出力電圧Voutとして出力される。
次に、図5および図6を参照して、利得切替判断回路250およびリセット判断回路260の動作について説明する。
中間段バッファ回路230の差動出力信号は、比較入力電圧Vcとして利得切替判断回路250へ供給され、利得切替判断回路250の利得切替コンパレータ251およびデータ検出コンパレータ252へ入力される。
前述した図18に示すように、利得切替コンパレータ251は、比較入力電圧Vcの増大を検出する電圧検出レベルVh1と、常に比較入力電圧Vcより低い電圧検出レベルVh2とからなるヒステリシス特性を有している。ヒステリシスコンパレータの立ち上がり動作や立ち下がり動作が行われる時点における差動入力端子の入力電圧すなわち比較入力電圧を電圧検出レベルという。
トランスインピーダンスアンプ200の構成では、常に、受光素子100から入力電流Iinが入力されるため、出力電圧V2>出力電圧V1となり、比較入力電圧Vc(=V4−V3)>0である。したがって、入力電流Iinが増加して電流I1を超えて比較入力電圧Vcが電圧検出レベルVh1を超えた時点で、利得切替コンパレータ251からの出力すなわち利得切替信号SELの論理が反転する。
この際、利得切替コンパレータ251では、一旦利得が反転した場合、そのヒステリシス特性の立ち下がり動作まで比較入力電圧Vcが変化しない限り、出力論理はリセットされない。本実施の形態では、比較入力電圧Vc>0であり、立ち下がり動作を行う電圧検出レベルVh2が常に比較入力電圧Vcより低く設定してあるため、結果として一旦反転した場合には、その論理が保持される。
本実施の形態では、パケットを受信する前に、利得切替信号SELの論理を「利得大」に初期化しておき、利得切替コンパレータ251のヒステリシス特性における立ち上がり動作に応じて、利得切替信号SELの論理を「利得大」(第1の利得)から「利得小」(第2の利得)へ切り替えている。
これにより、利得切り替えが行われる電流I1付近で入力電流Iinが変動しても、利得切替コンパレータ251の比較動作は安定するため、トランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得を安定させることができ、振幅変動の小さい出力信号Voutが得られる。
一方、リセット判断回路260は、ホールド回路261,262で保持された比較入力電圧Vcすなわちレベルホールド電圧Vdと所定のリセット電圧Vrとを比較する。このリセット電圧Vrは、比較入力電圧Vcが電圧検出レベルVh1に達して利得切り替えが行われた後の切替電圧Vh1’より低い電圧値からなり、比較入力電圧Vcが電圧Vh1’を下回って、所望の出力電圧Voutを得るために利得を大きくすべき電圧まで低下したと判断するための電圧である。
これにより、入力電流Iinが電流I1より減衰して電流I2に達し、比較入力電圧Vcを示すレベルホールド電圧Vdがリセット電圧Vrより低下した場合、レベル低下検出コンパレータ263からのレベル低下検出信号LDETの論理が反転する。この際、利得切替信号SELが「利得小」を示す場合には、論理積回路264からRESET信号が出力される。
したがって、図6に示すように、パケットの受信が開始されて、あるいは連続信号を受信しはじめて入力電流Iinが増加し、時刻T1において比較入力電圧Vcが電圧検出レベルVh1へ到達した場合、利得切替コンパレータ251からの利得切替信号SELが「利得大」から「利得小」へ反転する。これにより、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得が小さくなる。
また、利得が「利得小」に切り替えられた後、時刻T2において入力電流Iinが減衰し、比較入力電圧Vcさらにはレベルホールド電圧Vdが切替電圧Vh1’を下回ってリセット電圧Vrに到達した場合、リセット判断回路160からのリセット信号RESETにより利得切替判断回路250がリセットされる。
これにより、利得切替コンパレータ251での利得切替動作がリセットされ、利得切替コンパレータ251からトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得切替回路212,222で選択されている利得を初期化する利得切替信号SELが出力されて、最も大きい初期の利得(第1の利得)へ切り替えられる。したがって、入力電流Iinが時刻T2に減衰した場合でも、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得が大きくなり、十分な振幅を有する出力電圧Voutが出力される。
このように、本実施の形態では、リセット判断回路260により、利得切替判断回路250で第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得を低減した後、比較入力電圧Vcが所定のリセット電圧Vrまで低下した際、利得切替判断回路250の利得切替動作をリセットして利得を初期化するリセット信号RESETを出力するようにしたので、入力電流Iinがある程度減衰した場合には、トランスインピーダンスアンプ200において、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得を大きくすることができる。
したがって、利得切替コンパレータ251において、ヒステリシス特性のうち一方の電圧検出レベルのみを利用して、トランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得を低減させる方向にのみ利得切替動作を行う構成であっても、入力電流Iinの減衰に応じて第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得を自律的に大きくすることができ、入力電流Iinの減衰時でも十分な振幅を有する出力信号が安定して得られる。
[第2の実施の形態]
次に、図7を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプについて説明する。図7は、本発明の第2の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプで用いられる利得切替判断回路およびリセット判断回路の構成を示すブロック図であり、前述の図2と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
前述した第1の実施の形態では、トランスインピーダンスアンプコア回路210,220での利得切り替えが「利得大」と「利得小」の1段切り替えの場合を例として説明した。本実施の形態では、利得切り替えが複数段の場合について、具体的には、トランスインピーダンスアンプコア回路210,220での利得切り替えが「利得大」(第1の利得)、「利得中」(第2の利得)、および「利得小」(第3の利得)の2段切り替えの場合を例として説明する。なお、本実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプのうち、利得切替判断回路以外の構成については、前述した第1の実施の形態と同等であり、ここでの詳細な説明は省略する。
前述した第1の実施の形態で用いた利得切替判断回路250と比較して、本実施の形態で用いる利得切替判断回路250Aには、前述した利得切替コンパレータ251に加えて、利得切替コンパレータ252およびスイッチ253が追加されている。また、前述した第1の実施の形態で用いたリセット判断回路260と比較して、本実施の形態で用いるリセット判断回路260Aには、論理和回路265が追加されている。
利得切替判断回路250Aにおいて、スイッチ253は、中間段バッファ回路230の差動出力端子およびこれに接続された利得切替コンパレータ251の差動入力端子と、利得切替コンパレータ252の差動入力端子との間に設けられたスイッチ回路である。スイッチ253の切替制御入力端子には、利得切替コンパレータ251の出力端子が接続されており、利得切替コンパレータ251から出力される第1の利得切替信号SEL1の論理が「利得大」から「利得中」へ反転した時点で「オフ」から「オン」へ動作して導通し、比較入力電圧Vcを利得切替コンパレータ252の差動入力端子へ供給する。
利得切替コンパレータ252は、前述した利得切替コンパレータ251と同等であり、差動入力端子がスイッチ253を介して中間段バッファ回路230の差動出力端子に接続されて、この差動入力端子に入力された比較入力電圧Vcを、利得切替コンパレータ251と同じヒステリシス特性で比較判定し、その結果に応じた第2の利得切替信号SEL2を出力端子から出力することにより、トランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得を「利得中」(第2の利得)から「利得小」(第3の利得)へ切り替える利得切替動作を行うヒステリシスコンパレータである。
また、リセット判断回路260Aにおいて、論理和回路265は、利得切替判断回路250Aからの利得切替信号SEL1と利得切替信号SEL2を入力とし、これら信号の論理和からなる論理和信号ORを出力端子から出力する論理回路である。
論理積回路264Aは、レベル低下検出コンパレータ263から出力されたレベル低下検出信号LDETと論理和回路265から出力された論理和信号ORとを入力とし、これら信号の論理積からなるリセット信号RESETを出力端子から出力する論理回路である。
[第2の実施の形態の動作]
次に、図8および図9を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプの動作について説明する。図8は、本発明の第2の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプにおける利得切替コンパレータの動作特性例である。図9は、リセット信号RESETの真理値表である。
図8に示すように、入力電流Iinが電流値I1に到達した時点で、比較入力電圧Vcが電圧検出レベルVh1へ到達し、利得切替コンパレータ251が立ち上がり動作して、利得切替信号SEL1の論理が「利得大」から「利得中」へ切り替えられる。
これにより、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得が小さくなり、結果としてトランスインピーダンスアンプの出力電圧Voutや比較入力電圧Vcは小さくなる。
また、利得切替信号SEL1の論理が「利得大」から「利得中」へ切り替えられた場合、スイッチ257がオンし、比較入力電圧Vcが利得切替コンパレータ252へ供給される。
その後、入力電流Iinがさらに増加して電流値I3に到達した時点で、比較入力電圧Vcが電圧検出レベルVh1へ再び到達し、利得切替コンパレータ252が立ち上がり動作して、利得切替信号SEL2の論理が「利得中」から「利得小」へ切り替えられる。
これにより、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得がさらに小さくなり、結果としてトランスインピーダンスアンプの出力電圧Voutや比較入力電圧Vcはさらに小さくなる。
一方、入力電流Iinが電流I1より減衰して電流I2に達し、比較入力電圧Vcを示すレベルホールド電圧Vdがリセット電圧Vrより低下した場合、レベル低下検出コンパレータ263からのレベル低下検出信号LDETの論理が反転する。この際、利得切替信号SEL1および利得切替信号SEL2が「利得中」を示す場合には、論理積回路264AからRESET信号が出力される。
これにより、利得切替コンパレータ251,252の利得切替動作がリセットされ、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得は「利得大」に初期化される。
また、入力電流Iinが電流I3より減衰して電流I4に達し、比較入力電圧Vcを示すレベルホールド電圧Vdがリセット電圧Vrより低下した場合、レベル低下検出コンパレータ263からのレベル低下検出信号LDETの論理が反転する。この際、利得切替信号SEL2が「利得小」を示す場合には、論理積回路264AからRESET信号が出力される。
これにより、利得切替コンパレータ251,252の利得切替動作がリセットされ、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得は「利得大」に初期化される。
したがって、図9に示すように、利得切替信号SEL1が「利得中」(H=HIGHレベル)を示す場合、または利得切替信号SEL2が「利得小」(H)を示す場合に、レベル低下検出信号LDETが「レベル低下検出有」(H)を示す場合、リセット信号RESETが「オン」(H)となる。なお、利得切替信号SEL1が「利得大」(L=LOWレベル)を示し、かつ利得切替信号SEL2が「利得中」(L)を示す場合、レベル低下検出信号LDETの如何に関わらず、リセット信号RESETは「オフ」(L)のままとなる。
このように、本実施の形態では、利得切替判断回路250に、利得切替コンパレータ251と同等の利得切替コンパレータ252を設け、スイッチ253で、利得切替コンパレータ251から出力される第1の利得切替信号SEL1の論理が反転した時点で「オフ」から「オン」へ動作して、比較入力電圧Vcを利得切替コンパレータ252の差動入力端子へ供給し、リセット判断回路260に、論理和回路265を設けて第1の利得切替信号SEL1と第2の利得切替信号SEL2の論理和信号ORを求め、この論理和信号ORとレベル低下検出信号LDETとの論理積をリセット信号RESETとして出力するようにしたものである。
これにより、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得を複数段で切り替えることができるとともに、これら利得が低減されている状態で、入力電流Iinがある程度減衰した場合には、トランスインピーダンスアンプ200において、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得を自律的に大きくすることができ、入力電流Iinの低減時でも十分な振幅を有する出力信号が得られる。
なお、本実施の形態では、「利得大」、「利得中」、および「利得小」の2段切替を行う場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、3段以上の場合には、スイッチを介して利得切替コンパレータを必要な段数だけ直列接続し、前段の利得切替コンパレータから出力される利得切替信号で当該スイッチのオン/オフを制御すればよい。
また、本実施の形態では、各個別判断回路で、同一のヒステリシス特性すなわち電圧検出レベルを用いる場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、それぞれ個別のヒステリシス特性すなわち電圧検出レベルを用いてもよい。
[第3の実施の形態]
次に、図10および図11を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプで用いられるトランスインピーダンスアンプコア回路の具体例について説明する。図10は、本発明の第3の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプで用いられるトランスインピーダンスアンプコア回路の主要部構成例を示す回路図である。図11は、トランスインピーダンスアンプコア回路の利得切替制御を示す説明図である。
図10のトランスインピーダンスアンプコア回路210,220には、利得を「利得大」、「利得中」、および「利得小」の2段切り替えを行う利得切替回路212,222として、トランスインピーダンス利得を決める帰還抵抗RF1,RF2,RF3、開ループ利得を決める負荷抵抗RL1,RL2,RL3が設けられており、それら帰還抵抗および負荷抵抗をNMOSトランジスタMN1〜MN4をスイッチとして所望の抵抗値に切り替える。なお、帰還抵抗および負荷抵抗を切り替えるスイッチとしてのNMOSトランジスタMN1〜MN4は切替信号の論理を反転すればPMOSトランジスタでも実現可能である。
図11には、利得切替信号とNMOSトランジスタMN1〜MN4のゲート電位(H=HIGHレベル、L=LOWレベル)の関係が示されている。この場合、利得切替回路212,222のNMOSトランジスタMN1,MN3のゲート端子に、例えば前述の図7に示した利得切替判断回路250Aで生成された利得切替信号SEL1が供給されるとともに、NMOSトランジスタMN2,MN4のゲート端子に利得切替信号SEL2が供給される。これにより、帰還抵抗RF1,RF2,RF3さらには負荷抵抗RL1,RL2,RL3の切り替えが行われ、利得を「利得大」、「利得中」、および「利得小」に切り替えることができ、さらに選択したトランスインピーダンス利得に適切な開ループ利得が自動的に選択される。
また、図10では、帰還抵抗を切り替えるスイッチに使用するNMOSトランジスタMN1、MN2の基板端子を、ソースではなく接地電位(GND)へ接続し、基板電位をソース電位より低電位としている。このようにすることで、空乏層が広がり、NMOSトランジスタのドレイン・ソース間の寄生容量を減らして、トランスインピーダンスアンプの帯域を改善できるため、高速動作が可能となる。
[第4の実施の形態]
次に、図12を参照して、本発明の第4の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプで用いられる利得切替判断回路の具体例について説明する。図12は、本発明の第4の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプの利得切替判断回路で用いられる利得切替コンパレータの構成例を示す回路図である。
本実施の形態では、利得切替判断回路250,250Aで利得切替コンパレータ251,252として用いられるヒステリシスコンパレータのリセット機能について詳細に説明する。
各実施の形態で説明したように、利得切替判断回路250,250Aの利得切替コンパレータ251,252では、それぞれのヒステリシス特性のうち立ち上がり動作のみを利用しているため、入力電流Iinが低下した際や次のパケットを受信する際に、これらヒステリシスコンパレータの動作状態を初期化する必要がある。本実施の形態では、これら利得切替コンパレータに、外部入力されるリセット信号RESETに基づき動作状態を初期化するリセット回路270を設けている。
図12の利得切替コンパレータ251A,252Aにおいて、R1〜R6は抵抗、Q3〜Q8はNPNトランジスタ、MP1,MP2はPMOSトランジスタ、Ia,Ibは電流源である。このうち、リセット回路270は、リセット信号RESETが入力されるリセット端子にゲート端子が接続され、比較回路を構成するQ3のコレクタ端子に電源電位VCCを印可するPMOSトランジスタMP1と、ゲート端子がリセット端子に接続され、比較回路を構成するQ4への電流供給用抵抗R4を短絡するPMOSトランジスタMP2とから構成されている。
これらPMOSトランジスタMP1,MP2は、外部から与えられるリセット信号RESETによってオンし、トランジスタQ3,Q4のコレクタ電位を強制的に初期値に戻す。これにより、利得切替コンパレータ251A,252Aの動作状態が初期化される。
なお、図12のPMOSトランジスタMP1,MP2はリセット信号RESETの論理を反転すればNMOSトランジスタでも実現可能である。
利得切替コンパレータとして用いるヒステリシスコンパレータでは、反転入力端子INの電圧V4が、非反転入力端子IPの電圧V3に対して所定の電位差を超えると、非反転出力端子OPが反転出力端子ONに対して高い電圧を出力する。逆に、非反転入力端子IPの電圧V3が反転入力端子INの電圧V4に対してある電位差を超えると、反転出力端子ONが非反転出力端子OPに対して高い電圧を出力する。
第1の実施の形態で説明したように、中間段バッファ回路230の差動出力信号は反転しないため(Vc>0)、差動出力信号の反転により、反転出力端子ONの電圧が非反転出力端子OPの電圧に対して高い電圧(初期状態)へ自動的に復帰することはない。
本実施の形態では、リセット端子にリセット信号RESETを与えることで、強制的に反転出力端子ONが非反転出力端子OPに対して高い電圧になるように内部電圧を与えるリセット回路(PMOSトランジスタMP1,MP2)270を追加してある。これにより両出力端子OP,ONの電圧を初期値に戻すことが可能である。
特に、PONシステムの宅側装置ONUでは、光カプラからリセット信号を受け取れないため、入力電流Iinの減衰に応じてトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得を増加させる必要がある。また局側装置OLTでは、入力パケットごとに信号振幅が異なるため各々のパケットの振幅に対応してトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得を頻繁に切り替える必要がある。
このため、利得切替判断回路250,250Aの利得切替コンパレータ251,252では、必要に応じて利得切替動作を初期化する必要があるが、これらヒステリシスコンパレータに入力される比較入力電圧Vcは反転しないので初期化できない。本実施の形態のリセット回路270によれば、リセット判断回路260からのリセット信号RESETでヒステリシスコンパレータを強制的に初期状態に戻し初期化を行うことができる。なお、リセット信号については、網側からパケットごとにリセット信号が送られている場合はこのリセット信号を公知の技術を利用して検出して得ることもできる。
本トランスインピーダンスアンプは、高速データ伝送を可能とする光伝送システム、光インターコネクション、パッシブオプティカルネットワーク,(以下、PONと称する)システム等の光伝送回路において、光信号を電気信号に変換する光受信回路に好適である。
本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプの構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプで用いられるリセット判断回路の構成を示すブロック図である。 ホールド回路の具体例を示す回路図である。 本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプの各部における信号波形例である。 本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプの動作特性例である。 本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプの動作例を示すタイミングチャート図である。 本発明の第2の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプで用いられる利得切替判断回路およびリセット判断回路の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプの動作特性例である。 リセット信号の真理値表である。 本発明の第3の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプで用いられるトランスインピーダンスアンプコア回路の主要部構成例を示す回路図である。 トランスインピーダンスアンプコア回路の利得切替制御を示す説明図である。 本発明の第4の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプの利得切替判断回路で用いられる利得切替コンパレータの構成例を示す回路図である。 従来のトランスインピーダンスアンプの回路図である。 一般的なPONシステムの構成例である。 一般的なPONシステムの上りデータとして送信されるパケットの構成例である。 一般的なPONシステムの下りデータとして送信されるパケットの構成例である。 従来のトランスインピーダンスアンプの他の構成を示すブロック図である。 従来のトランスインピーダンスアンプで用いられる利得切替コンパレータのヒステリシス特性例である。 従来のトランスインピーダンスアンプの動作特性例である。 一般的なPONシステムの下りデータとして送信されるパケットの減衰例である。
符号の説明
100…受光素子、200…トランスインピーダンスアンプ、210…第1のトランスインピーダンスアンプコア回路、211…増幅回路、212…利得切替回路、220…第2のトランスインピーダンスアンプコア回路、221…増幅回路、222…利得切替回路、230…中間段バッファ回路、240…出力バッファ回路、250,250A…利得切替判断回路、251,251A,252,252A…利得切替コンパレータ、253…スイッチ、260…リセット判断回路、261,262…ホールド回路、263…レベル低下検出コンパレータ、264…論理積回路、265…論理和回路、270…リセット回路、501…局側装置(OLT)、502…光カプラ、503…光ファイバ、511〜51n…宅側装置(ONU)、521〜52n…パケット、Iin…入力電流、V1,V2…出力電圧、V3…出力電圧(非反転出力)、V4…出力電圧(反転出力)、Vc…比較入力電圧、Vh1…検出レベル電圧、Vh1’…切替電圧、Vh2…検出レベル電圧、Vd…レベルホールド電圧、Vr…リセット電圧、LDET…レベル低下検出信号、OR…論理和信号、RESET…リセット信号、SEL,SEL1,SEL2…利得切替信号、Vout…出力電圧、Voutp…出力電圧(非反転出力)、Voutn…出力電圧(反転出力)。

Claims (3)

  1. 入力端子へ入力された電流を増幅し電圧信号として出力する増幅回路と、この増幅回路の利得を所定の利得切替信号に応じて切り替える利得切替回路とを有する第1のトランスインピーダンスアンプコア回路と、
    入力端子が開放されて一定の電圧信号を出力する増幅回路と、この増幅回路の利得を前記利得切替信号に応じて前記第1のトランスインピーダンスアンプコア回路と同じ利得に切り替える利得切替回路とを有する第2のトランスインピーダンスアンプコア回路と、
    前記第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路からの出力信号を差動増幅して出力する中間段バッファ回路と、
    この中間段バッファ回路から出力された差動出力信号からなる比較入力電圧を、所定のヒステリシス特性を決定する2つの電圧検出レベルのうちいずれか高い方の電圧と比較した結果に応じて第1の利得切替信号を出力することにより、前記第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得を第1の利得から第2の利得へ低減させる方向へのみ切替指示する利得切替動作を行う第1の利得切替コンパレータを有する利得切替判断回路と、
    前記利得切替判断回路で前記第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得を低減した後、前記比較入力電圧が前記高い方の電圧に達して利得切り替えが行われた後の切替電圧より低い所定のリセット電圧まで低下した際、前記利得切替判断回路の利得切替動作をリセットして前記第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得を初期値へ戻すためのリセット信号を出力するリセット判断回路と
    を備え
    前記リセット判断回路は、
    前記比較入力電圧と前記リセット電圧とを比較するレベル低下検出コンパレータと、
    このレベル低下検出コンパレータから比較結果として出力されるレベル低下検出信号と前記第1の利得切替信号との論理積を前記リセット信号として出力する論理積回路と
    を有することを特徴とするトランスインピーダンスアンプ。
  2. 入力端子へ入力された電流を増幅し電圧信号として出力する増幅回路と、この増幅回路の利得を所定の利得切替信号に応じて切り替える利得切替回路とを有する第1のトランスインピーダンスアンプコア回路と、
    入力端子が開放されて一定の電圧信号を出力する増幅回路と、この増幅回路の利得を前記利得切替信号に応じて前記第1のトランスインピーダンスアンプコア回路と同じ利得に切り替える利得切替回路とを有する第2のトランスインピーダンスアンプコア回路と、
    前記第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路からの出力信号を差動増幅して出力する中間段バッファ回路と、
    この中間段バッファ回路から出力された差動出力信号からなる比較入力電圧を所定のヒステリシス特性と比較した結果に応じて第1の利得切替信号を出力することにより、前記第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得を第1の利得から第2の利得へ低減させる方向へのみ切替指示する利得切替動作を行う第1の利得切替コンパレータを有する利得切替判断回路と、
    前記利得切替判断回路で前記第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得を低減した後、前記比較入力電圧が所定のリセット電圧まで低下した際、前記利得切替判断回路の利得切替動作をリセットして前記第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得を初期値へ戻すためのリセット信号を出力するリセット判断回路と
    を備え、
    前記利得切替回路は、
    前記比較入力電圧を所定のヒステリシス特性と比較した結果に応じて第2の利得切替信号を出力することにより、前記第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得を前記第1の利得から前記第2の利得より低い第3の利得へ低減させる方向へのみ切替指示する利得切替動作を行う第2の利得切替コンパレータと、
    前記第1の利得切替コンパレータからの前記第2の利得への切り替えを指示する前記第1の利得切替信号で導通して、前記第1の利得切替コンパレータへ入力されている前記比較入力電圧を前記第2の利得切替コンパレータへ供給するスイッチと
    を有することを特徴とするトランスインピーダンスアンプ。
  3. 請求項に記載のトランスインピーダンスアンプにおいて、
    前記リセット判断回路は、
    前記比較入力電圧と前記リセット電圧とを比較するレベル低下検出コンパレータと、
    前記第1の利得切替信号および前記第2の利得切替信号の論理和信号を出力する論理和回路と、
    前記レベル低下検出コンパレータから比較結果として出力されるレベル低下検出信号と前記論理和信号との論理積を前記リセット信号として出力する論理積回路と
    を有することを特徴とするトランスインピーダンスアンプ。
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