JP4165829B2 - トランスインピーダンスアンプ - Google Patents
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Description
トランスインピーダンスアンプは、受信した光信号を受光素子により光電気変換して得られた入力電流Iinを入力とし、帰還抵抗の値に比例するトランスインピーダンス利得によって、出力電圧Voutに変換して出力するものである。
したがって、従来のトランスインピーダンスアンプは、高感度と広ダイナミックレンジ特性を両立させるために、入力電流Iinが大きくなった場合に帰還抵抗の値を小さくしてトランスインピーダンス利得を下げることで、大電流入力時も歪の少ない出力電圧Voutを得るようにしている。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、高感度および広入力ダイナミックレンジを実現でき、バーストデータに対応した瞬時応答を実現できるとともに、ノイズに対する動作安定性を実現できるトランスインピーダンスアンプを提供することを目的としている。
したがって、低雑音性を重視した場合でも、ノイズを抑制して動作安定を得ることができ、瞬時応答性と動作安定性とを兼ね備えたトランスインピーダンスアンプを実現できる。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプについて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプの構成を示すブロック図である。
出力バッファ回路240は、中間段バッファ回路230の差動出力端子が差動入力端子に接続されて、この差動入力端子に入力された出力電圧V3,V4を差動増幅し(例えば、利得=1)、出力電圧Voutp(非反転出力)およびVoutn(反転出力)を、トランスインピーダンスアンプ200の出力電圧Voutとして出力するバッファ回路である。
次に、図2および図3を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプで用いられる第1のトランスインピーダンスアンプコア回路について詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプで用いられる第1のトランスインピーダンスアンプコア回路の構成を示す回路図である。図3は、本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプで用いられる第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の構成を示す回路図である。
増幅回路211は、入力端子に接続された信号入力端子へ入力された入力電流Iinを帰還抵抗値で定まる利得で増幅し信号出力端子から電圧信号として出力する増幅回路である。
利得切替回路212は、増幅回路211の信号入力端子と信号出力端子の間に接続されて、利得切替判断回路250からの利得切替信号SELに基づき増幅回路211の帰還抵抗値を切り替える回路である。図2において、利得切替回路212は、抵抗素子RFaと抵抗素子RFb(抵抗値:RFa>RFb)の並列回路から構成されており、抵抗素子RFbには利得切替信号SELに応じてオン/オフするスイッチSW1が直列接続されている。
したがって、利得切替信号SELがLOWレベルの場合は帰還抵抗値が大きいため、第1のトランスインピーダンスアンプコア回路210の利得が大きくなり、利得切替信号SELがHIGHレベルの場合は帰還抵抗値が小さいため、第1のトランスインピーダンスアンプコア回路210の利得は小さくなる。
増幅回路221は、信号入力端子へ入力された入力電流Iinを帰還抵抗値で定まる利得で増幅し信号出力端子から電圧信号として出力する増幅回路である。第2のトランスインピーダンスアンプコア回路220の場合、信号入力端子が開放されているため入力電流Iinがゼロ(無入力)の場合の出力電圧V2(直流電圧)が信号出力端子から出力される。
このフィルタ回路223の配置位置については、増幅回路221の信号入力端子と信号出力端子の間に限定されるものではなく、フィルタ回路223Xやフィルタ回路223Yなど、他の位置に配置してもよい。
また、フィルタ回路223Yは、増幅回路221の信号出力端子と接地電位との間に接続した例を示しており、増幅回路221から出力される出力電圧V2の高周波成分がフィルタ回路223Yの容量素子Cにより減衰し、結果として低雑音の出力電圧V2が第2のトランスインピーダンスアンプコア回路220から出力される。
なお、フィルタ回路223X,223Yにおいて、容量素子の一端が接続される接地電位は、低インピーダンスであれば任意の電源電位でよい。
次に、図4〜図7を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプの動作について説明する。図4は、本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプの各部における信号波形例である。図5は、利得切替コンパレータが持つヒステリシス特性例である。図6は、利得切替コンパレータの動作特性例である。図7は、本発明の第1の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプの動作例を示すタイミングチャートである。
光ファイバを介して宅側装置(ONU)から局側装置(OLT)へ到達した光信号は、局側装置の光波長分割多重回路(WDM:Wavelength Division Multiplex)で分離された後、光受信回路の受光素子100により光電気変換され、入力電流Iinとしてトランスインピーダンスアンプ200へ入力される。
一方、第2のトランスインピーダンスアンプコア回路220は、常時、出力電圧V1の参照電圧として入力電流Iinに応じて変化しない一定の出力電圧V2を出力している。
中間段バッファ回路230の差動出力信号は、出力バッファ回路240に入力され、出力電圧Voutp(非反転出力)およびVoutn(反転出力)からなるトランスインピーダンスアンプ200の出力電圧Voutとして出力される。
中間段バッファ回路230の差動出力信号は、比較入力電圧Vcとして利得切替判断回路250へ供給され、利得切替判断回路250の利得切替コンパレータ251へ入力される。
図5に示すように、利得切替コンパレータ251は、所定の電圧検出レベルVhからなるヒステリシス特性(第1のヒステリシス特性)を有している。ここでは、ヒステリシスコンパレータの立ち上がり動作が行われる差動入力端子の入力電圧すなわち比較入力電圧を電圧検出レベルという。
このような比較入力電圧Vcを差動入力とする利得切替コンパレータ251では、比較入力電圧Vcが電圧検出レベルVhと比較されることになる。したがって、比較入力電圧Vcが電圧検出レベルVhを超えた時点で、利得切替コンパレータ251からの出力すなわち利得切替信号SELの論理が反転する。
本実施の形態では、パケットを受信する前に、利得切替信号SELの論理を「利得大」に初期化しておき、利得切替コンパレータ251のヒステリシス特性における立ち上がり動作に応じて、利得切替信号SELの論理を「利得大」から「利得小」へ切り替えている。
しかしながら、このような構成では、高い瞬時応答性か得られるものの、ダミーコアもメインコアと同一の広い周波数特性を持つため、本来、直流成分しか必要のないリファレンス電圧にノイズによる高周波成分が現れやすく、雑音特性が悪化する原因となる。
したがって、瞬時応答性を重視した場合でも、ノイズを抑制して動作安定性を得ることができ、瞬時応答性と動作安定性とを兼ね備えたトランスインピーダンスアンプを実現できる。
次に、図8を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプについて説明する。図8は、本発明の第2の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプで用いられる利得切替判断回路の構成を示す回路図である。図9は、本発明の第2の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプで用いられる第1のトランスインピーダンスアンプコア回路の構成例を示す回路図であり、前述の図2と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。図10は、本発明の第2の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプで用いられる第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の構成例を示す回路図であり、前述の図3と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
フィルタ回路223Aは、容量素子CとスイッチSWcの直列接続回路から構成されており、第1の利得切替信号SEL1および第2の利得切替信号SEL2の論理に応じて切り替えられる第2のトランスインピーダンスアンプコア回路220Aの利得に合わせて、容量素子Cの接続/開放が制御される。
次に、図11を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプの動作について説明する。図11は、利得切替コンパレータの動作特性例である。図12は、本発明の第2の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプの動作例を示すタイミングチャートである。ここでは、第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路210A,220Aの利得が最大のときのみフィルタ回路223Aを動作させ、他の利得のときにはフィルタ回路223Aを非動作状態とする場合について説明する。
また、利得切替信号SEL1によりスイッチSWcがオフ状態となって容量素子Cが増幅回路221の信号入力端子と信号出力端子との間から切り離されてフィルタ回路223Aが非動作となる。これにより、「利得大」以外が選択された場合、第2のトランスインピーダンスアンプコア回路220の周波数特性は削減されなくなる。
また、利得切替信号SEL1によりスイッチSWcはオフ状態のままであり容量素子Cが増幅回路221の信号入力端子と信号出力端子との間から切り離されてフィルタ回路223Aが非動作のままとなる。これにより、「利得大」以外が選択された場合、第2のトランスインピーダンスアンプコア回路220の周波数特性は削減されなくなる。
また、本実施の形態では、各利得切替コンパレータで、同一のヒステリシス特性すなわち電圧検出レベルを用いる場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、それぞれ個別のヒステリシス特性すなわち電圧検出レベルを用いてもよい。
一方、本実施の形態のような第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路210,220の利得を複数段で切り替える構成では、利得切り替えに応じてリファレンス電圧の直流電位も変化する。
なお、本実施の形態では、利得が最大の場合以外の状態において、利得切替信号SEL1が「利得中」を示すことに着目し、この利得切替信号SEL1よりフィルタ回路のスイッチSWcを制御する構成を例として説明したが、利得切替信号SEL1が利得が最大の場合以外の状態において「利得大」を示す構成を採用する場合、各利得切替信号から利得が最大の場合を示す信号を論理回路により生成し、その信号に基づきSWcを制御すればよい。
次に、図13,図14を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプで用いられるトランスインピーダンスアンプコア回路の具体例について説明する。図13は、本発明の第3の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプで用いられる第1のトランスインピーダンスアンプコア回路の主要部構成例を示す回路図である。図14は、本発明の第3の実施の形態にかかるトランスインピーダンスアンプで用いられる第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の主要部構成例を示す回路図である。
Claims (5)
- 入力された電流を所望の利得で増幅し電圧信号として出力する第1の増幅回路を含む、第1のトランスインピーダンスアンプコア回路と、
前記第1の増幅回路と同一構成を有し電流が無入力の場合の電圧信号を出力する第2の増幅回路を含む、第2のトランスインピーダンスアンプコア回路と、
前記第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路からの出力信号を差動増幅して出力する中間段バッファ回路と、
この中間段バッファ回路から出力された差動出力信号を比較入力電圧とし、この比較入力電圧を第1のヒステリシス特性で比較判定した結果に基づき前記第1および第2のトランスインピーダンスアンプコア回路の利得を切り替える利得切替信号を出力する利得切替判断回路とを備え、
前記第1のトランスインピーダンスアンプコア回路は、前記利得切替信号に基づき前記第1の増幅回路の利得を切り替える第1の利得切替回路を有し、
前記第2のトランスインピーダンスアンプコア回路は、前記利得切替信号に基づき前記第2の増幅回路の利得を切り替える第2の利得切替回路と、前記第2の増幅回路に接続されて当該第2のトランスインピーダンスアンプコア回路から出力する電圧信号の高周波成分を減衰させるフィルタ回路と、当該フィルタ回路の接続端子の少なくともいずれか一方に設けられて、前記利得切替信号に基づき最も高い利得が切替選択されている状態で当該フィルタ回路を動作させ、前記利得切替信号に基づき最も高い利得以外の利得が切替選択されている状態で当該フィルタ回路を非動作とするスイッチとを有する
ことを特徴とするトランスインピーダンスアンプ。 - 請求項1に記載のトランスインピーダンスアンプにおいて、
前記第2の増幅回路は、信号入力端子へ入力された電流を帰還抵抗値で定まる利得で増幅し信号出力端子から電圧信号として出力し、
前記第2の利得切替回路は、前記第2の増幅回路の信号入力端子と信号出力端子の間に接続されて、前記利得切替信号に基づき前記帰還抵抗値を切り替え、
前記フィルタ回路は、前記第2の増幅回路の信号入力端子と信号出力端子の間に接続された容量素子からなることを特徴とするトランスインピーダンスアンプ。 - 請求項1に記載のトランスインピーダンスアンプにおいて、
前記第2の増幅回路は、前記入力端子に接続された信号入力端子へ入力された電流を帰還抵抗値で定まる利得で増幅し信号出力端子から電圧信号として出力し、
前記第2の利得切替回路は、前記第2の増幅回路の信号入力端子と信号出力端子の間に接続されて、前記利得切替信号に基づき前記帰還抵抗値を切り替え、
前記フィルタ回路は、前記第2の増幅回路の信号入力端子と所定電源電位との間に接続された容量素子からなることを特徴とするトランスインピーダンスアンプ。 - 請求項1に記載のトランスインピーダンスアンプにおいて、
前記第2の増幅回路は、前記入力端子に接続された信号入力端子へ入力された電流を帰還抵抗値で定まる利得で増幅し信号出力端子から電圧信号として出力し、
前記第2の利得切替回路は、前記第2の増幅回路の信号入力端子と信号出力端子の間に接続されて、前記利得切替信号に基づき前記帰還抵抗値を切り替え、
前記フィルタ回路は、前記第2の増幅回路の信号出力端子と所定電源電位との間に接続された容量素子からなることを特徴とするトランスインピーダンスアンプ。 - 請求項1に記載のトランスインピーダンスアンプにおいて、
前記スイッチは、MOSトランジスタからなることを特徴とするトランスインピーダンスアンプ。
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