図1は本発明による自動弁装置の実施形態を示した説明図である。図1において、本発明の自動弁装置は自動弁10A、起動弁12、初期放水圧力制御弁15A、圧力調整弁16A、貯水タンク52で基本的に構成され、更に圧力スイッチ46、自動排水弁48及びテスト放水弁50を設けている。また本発明にあっては、予告放水のための低圧設定から本格放水のための規定圧設定に圧力を切替える圧力調整弁16AのポートP4に対する加圧ラインに、遠隔制御により動作して調整モード設定弁として機能する電動弁100Aを設けている。
自動弁10Aは弁ボディ20の一方に流入口22を持ち、他方に流出口24を持ち、流入口22側にはポンプ設備からの配管が接続され、流出口24にはトンネル内に設置した放水ヘッド側の配管が接続されている。この自動弁10Aの詳細は図2に取り出して示す。
図2において、自動弁10Aは、弁ボディ20の内部に仕切壁26を有し、仕切壁26の弁穴55に対し主弁30を配置している。弁穴55の上部には弁座28が形成され、弁座28に対し主弁30に設けた弁シール56を押圧することで弁を閉鎖状態としている。
主弁30はスリーブ32aと一体に備えた主ピストン32に連結されている。主ピストン32は主シリンダ34に摺動自在に設けられ、主ピストン32の下側に開放加圧側シリンダ室34aを形成し、上部に閉鎖加圧側シリンダ室34bを形成している。また主シリンダ34の内側にはシリンダ筒38が配置され、シリンダ筒38に対しても主ピストン32は摺動自在に挿入されている。
主シリンダ34の上部にはカバー62が装着され、カバー62の中にスプールロッドとして機能するステム40を装着した駆動軸36が配置され、駆動軸36の下端は主弁30にナット締めにより固定されている。ステム40は途中に弁体として機能するシール66を装着しており、このシール66の近傍のカバー62内の位置にスプール弁座64を形成している。
主シリンダ34に対しては、シリンダポートC1、C2が設けられ、図1に示したようにシリンダポートC1に対し配管L1、L2、L3を介して1次側の圧力水を導入することで主ピストン32を上方に移動することができる。このとき上側に位置する閉鎖加圧側シリンダ室34bには予め水が充填されており、閉鎖加圧側シリンダ室34bの水はシリンダポートC2から排出される。
またステム40を備えたカバー62に対しては、第1ポートとしてのポートS1と第2ポートしてのポートS2が設けられる。このポートS1、S2の間にスプール弁座64が位置する。尚、主弁30は下側にガイド部30aを一体に形成しており、主弁30の開閉時にガイド部30aを弁穴55に対し摺動させて開閉時の位置決めを行なっている。
再び図1を参照するに、自動弁10Aの流入口22側に開口した1次側には1次圧取出口42が設けられ、ここから配管L1を接続して起動弁12に接続している。起動弁12は手動起動弁14が並列接続されている。起動弁12の2次側は配管L2により圧力調整弁16Aの入力ポートP1に接続される。圧力調整弁16Aの出力ポートP2は配管L3を介して自動弁10Aの開放加圧側シリンダ室34aに対するシリンダポートC1に接続されている。
また自動弁10Aの流出口24に開口した2次側には2次圧取出口44が設けられ、ここから配管L8が引き出され、圧力調整弁16AのポートP4に接続される。更に配管L8は圧力調整弁16Aの圧力検知ポートP3に接続された後、初期放水圧力制御弁15A側に接続される。また2次圧取出口44側に示すように配管L8には圧力スイッチ46が接続され、また排水側との間に自動排水弁48を接続し、これと並列にテスト放水弁50を接続している。
自動弁10Aの閉鎖加圧側シリンダ室34bのシリンダポートC2は配管L5に接続され、更に配管L4を介してステム40側のポートS1に接続される。更にステム40側のポートS2は配管L6に接続され、この配管L6は圧力調整弁16A側からの配管L8に接続される。
ここで自動弁10Aのステム40側の配管L5、配管L4、ポートS1、ステム40の周囲の流路、ポートS2、配管L6となる経路は主ピストン32を開放側に駆動した際の閉鎖加圧側シリンダ室34bからの水の流出を行なう循環経路を構成しており、この循環経路とステム40及びそのシール66により自動弁装置の停止制御機構が構成されている。
この停止制御機構は起動弁12の動作により1次側圧力水を開放加圧側シリンダ室34aに導入して主ピストン32を駆動して弁座28を開放した際に、主弁30の開度を予め示した初期開度に移動して停止させるための機能を有する。即ち、図2の自動弁10Aを参照すると、主ピストン32が開放加圧側シリンダ室34aに対する1次側圧力水の導入を受けて上方に移動すると、これに伴って駆動軸36に装着しているステム40も上昇する。
初期状態においてステム40側のポートS1とポートS2は内部の流路を介して連通しているが、駆動軸36が上昇してシール66はスプール弁座64に当接すると、ポートS1、S2間が遮断され、この結果、図1におけるシリンダポートC2からの水の排出が止まり、主ピストン32が停止し、主弁30は所定の初期開度を維持することになる。
初期放水圧力制御弁15Aは自動弁10Aを初期開度に開いた状態で2次側に加圧用水を供給し、ヘッドからの予告放水が行なわれた際の2次側圧力の発生を受けて動作し、配管L4と配管L7の間を連通する。このため入力ポートI1、出力ポートI2、圧力検知ポートI3を有し、初期放水圧力制御弁15Aは、図1にあっては矢印15aを配管L7側から離すことで弁の閉鎖状態を表している。
自動弁10Aを初期開度に開放した後に2次側圧力が発生して初期放水圧力制御弁15Aが開くと、シリンダポートC2からの配管L5が初期放水圧力制御弁15Aを通って配管L7に連通し、配管L7は配管L8を介して自動弁10Aの2次側に接続されているため、自動弁10Aの主ピストン32の停止が解除されて、開駆動可能な状態となる。
圧力調整弁16Aは、通常はポートP4に対する加圧ラインに設けた調整モード設定として機能する電動弁100Aを開状態としており、自動弁10Aの開閉制御により、図3のタイムチャートに示すような放水圧力Pの制御を行なう。図3において、時刻t0で起動弁12を動作すると、自動弁10Aは初期開度に開放することで2次側に加圧用水が供給され、2次側圧力が配管L8を介して圧力調整弁16Aの圧力検知ポートP3に加わる。初期状態にあって圧力調整弁16Aは例えば2次側圧力を0.15MPaとする低圧設定の状態にあり、従って時刻t1より放水圧力P1を低圧設定に保つように圧力制御を行なう。
また圧力調整弁16Aは後の説明で明らかにするように、2次側圧力を開状態にある電動弁100Aを介してポートP4に受けた際にピストンの駆動により設定圧を低圧設定から所定の遅延時間後に規定圧設定に切り替える機能を備えている。このため時刻t1から例えば5〜15秒の範囲内で設定した一定時間、例えば10秒経過する時刻t2で、それまでの低圧設定による圧力設定から規定圧、例えば0.34MPaの設定による圧力制御に段階的に切り替わる。このような図3の放水圧力の圧力制御によって、時刻t0から時刻t2までが予告放水の圧力制御であり、時刻t2以降が本格放水のための圧力制御となる。
図4(A)は本発明の圧力応答型制御弁として機能する図1の初期放水圧力制御弁15Aの断面図であり、図4(B)に閉鎖状態のシンボルを示す。
図4(A)において、初期放水圧力制御弁15Aは、弁ボディ101aの上部にカバー102を配置し、下側に弁ボディ101bを装着している。弁ボディ101aの上部にはダイヤフラム104が設けられ、ダイヤフラム104の下側にダイヤフラム室106を形成している。ダイヤフラム104は、スプール弁108の上部に押え金具112とリテーナ114で挟んだ状態でナット116のボルト部への締付けで固定されている。
スプール弁108は上端から下端に連通する連通孔110を中心軸方向に形成している。ダイヤフラム104を固定したリテーナ114の上部にはスプリング118が組み込まれる。スプリング118の上部はリテーナ122に当接しており、リテーナ122に対しては設定圧力調整ネジ120の先端が当接している。
スプリング118は、設定圧力調整ネジ120のねじ込み位置で決まるスプリング荷重をスプール弁108に加え、これによってスプール弁108が開動作を行うための設定圧を決めている。
弁ボディ101aには入力ポートI1と出力ポートI2が設けられている。出力ポートI2は、この実施形態にあっては圧力検知ポートを兼ねている。出力ポートI2はダイヤフラム室106に連通している。スプール弁108のダイヤフラム室106に開口したスプール孔の部分には弁座109が形成され、ここにスプールテーパ部に設けたシール111を当接することで、入力ポートI1と出力ポートI2の連通を遮断した閉鎖位置となっている。
ダイヤフラム104の下側にはフェールセーフダイヤフラム124がタンデム配置される。フェールセーフダイヤフラム124は、弁ボディ101aと弁ボディ101bの間に外周部が固定され、中央部に押え金具128、130をナットにより固定し、押え金具128の連通孔132にスプール弁108の下部を挿入している。なお、フェールセーフダイヤフラム124の上側の空隙は連通孔125により外部と連通している。
更に、カバー102には、小孔103が形成され、ダイヤフラム104の破損により漏洩した圧力水を小孔103から流出させることで、ダイヤフラム104の破損を外部から確認できるようにている。
このような構造を持つ図4(A)の初期放水圧力制御弁15Aは閉鎖状態にあり、シンボルで表わすと図4(B)のようになり、ポートI1とポートI2の連通が断たれている。
図5(A)は開動作した図1の初期放水圧力制御弁の断面図であり、図5(B)は開放状態のシンボルである。
図5(A)において、圧力検知ポートを兼ねた出力ポートI2には図1に示すように、配管L7、L8を介して自動弁10Aの2次側の放水圧力が主弁30を初期開度に開放した際に加わる。この出力ポートI2に加わる2次側圧力はダイヤフラム室106に導入され、導入圧がスプリング118の押圧荷重で決まる設定圧を超えると、ダイヤフラム104が上方に変形し、スプリング118に抗してスプール弁108を上方にリフトする。
このため、スプール弁108のシール111が弁座109から離れて開動作し、閉鎖加圧側シリンダ34bの水を圧力水として配管L5、L4を介し入力ポートI1、開放した弁座109の隙間部分、ダイヤフラム室106を通って、出力ポートI2に連通し、入力ポートI1から出力ポートI2に圧力水が流れる。
この初期放水圧力制御弁15Aの開動作の状態は、図5(B)のシンボルに示すように、ポートI1とポートI2が2次側圧力Paを受けて連通した状態となる。
次にダイヤフラム104が破損した場合のフェールセーフ動作を説明する。ダイヤフラム104が破損した状態で出力ポートI2に2次側圧力が加わると、2次側圧力はダイヤフラム室106を介して破損したダイヤフラム104に加わり、ダイヤフラム104の破損部分からスプリング118を収納したカバー102内に流出する。
カバー102内に流出した圧力水は、スプール弁108の中心軸方向に形成した連通孔110を通って下部のフェールセーフダイヤフラム室126に流れ込み、フェールセーフダイヤフラム124を上方に変形し、押え金具128をスプール弁108の下側段部を当接し、これによってスプール弁108を図5と同じ開動作の状態に押し上げ、入力ポートI1と出力ポートI2を連通させる。
このため本発明の初期放水圧力制御弁15Aにあっては、ダイヤフラム104が破損した場合、圧力検知ポートを兼用した出力ポートI2に2次側圧力が加わると、この圧力水は破損したダイヤフラム104から流出した後に下部のフェールセーフダイヤフラム室126に流入してフェールセーフダイヤフラム124を押圧することとなり、破損したダイヤフラム104に代わってフェールセーフダイヤフラム124が機能することとなり、出力ポートI2からの導入圧がスプリング118で決まる設定圧を超えたときに、フェールセーフダイヤフラム124の力によりスプール弁108が開動作を行い、正常に初期放水圧力制御弁15Aを動作することができる。
図6は図1の圧力調整弁16Aの断面図であり、図7はポートP2側を見た断面図を示している。図6において、圧力調整弁16Aは下部の圧力調整部70と上部の圧力設定部72で構成されている。圧力調整部70には入力ポートP1、圧力検知ポートP3、更に図7に示す出力ポートP2が設けられている。
入力ポートP1はスプール弁76に対し連通され、スプール弁76は中間の鍔状の弁体部に対応してボディ側に弁座78を形成している。このため入力ポートP1から流入した圧力水はスプール弁76の周囲を通り、図7に示す出力ポートP2に流れる。この入力ポートP1から出力ポートP2に対する圧力水の流れに対し、圧力検知ポートP3に2次側圧力水を導入し、上部の圧力設定部72によりダイヤフラム弁74に加わる荷重との差圧に基づいてスプール弁76を開閉制御し、2次圧力がスプリング80で決まる設定圧となるように自動弁10Aに対する出力ポートP2の圧力を調整する。
この圧力調整動作は、ダイヤフラム弁74に加わる圧力がスプリング80による設定圧を越えると、ダイヤフラム弁74が上方に変形してスプール弁76をリフトし、入力ポートP1と出力ポートP2(図7参照)の間を遮断し、自動弁10Aの開放加圧側シリンダ室34aに対する圧力水の供給を遮断することで、スプリング60(図2参照)の力で主弁30を閉方向に動作する。
逆に、ダイヤフラム弁74に加わる圧力がスプリング80による設定圧を下回ると、ダイヤフラム弁74が下方に変形してスプール弁76を押下げ、入力ポートP1と出力ポートP2(図7参照)の間を連通し、自動弁10Aの開放加圧側シリンダ室34aに圧力水を供給して主弁30開方向に動作する。これによって2次側圧力を設定圧に保つように自動弁10Aが制御される。
図6の初期状態において、スプリング80はダイヤフラム弁74の上部と、ガイドスリット86に対するピン84の挿入で位置決めされたスライダ82との間隔で決まるスプリング力により低圧設定の状態にある。
圧力調整弁16Aの上部に設けた圧力設定部72にはシリンダ90が設けられ、シリンダ90の中にジスク88が摺動自在に設けられている。ジスク88の下側にはフレーム95を介してプランジャ94が設けられており、プランジャ94の先端は下部のスライダ82にスプリング85を介して対向配置されている。
シリンダ90のシリンダ室90aにはポートP4で連通され、ここに2次側圧力水を導入する。このポートP4に対する加圧ラインには、図1に示したように、低圧設定の調整時に閉状態に遠隔制御される調整モード設定弁として電動弁100Aが設けられている。
またジスク88には逆止弁96が設けられ、初期的にポートP4に圧力水を導入した際に上側のシリンダ室90aから下側のシリンダ室90bに水を流して充満させるようにしている。これに対し、水が充満した状態でポートP4に2次側圧力が加わった際のジスク88の下降に対し、逆止弁96は下側から上側への水の流れを阻止する。
シリンダ90のシリンダ室90a、90bのそれぞれに対してはポートP5、P6が設けられ、この間を配管L9で接続し、配管L9の途中には流量を調整自在なニードル18が設けられている。
このためポートP4に2次側圧力水を導入した際のジスク88の移動速度はシリンダ室90bからシリンダ室90aに水を流すニードル18の設定流量により決まり、これによってジスク88が初期位置から先端のプランジャ94がスライダ82に挿接してスプリング80を押圧することで低圧設定から規定圧設定に切り替えるまでの遅延時間が決まる。
一方、ポートP4に対する加圧ラインに設けた図1の電動弁100Aを調整時に閉状態としていると、シリンダ室90aに対し加圧水が供給されず、低圧設定を維持し続けることとなる。
次に図1の実施形態における放水制御を説明する。図1の通常監視状態にあっては自動弁10Aの主弁30は閉鎖しており、主ピストン32の上側の閉鎖加圧側シリンダ室34b、ステム40の周囲、ポートS1、S2及びシリンダポートC2に接続している配管L4、L5、L6、L7、更に配管L8は貯水タンク52からの水により充水されている。このとき起動弁12は閉鎖状態にある。また圧力調整弁16AのポートP4の加圧ラインに設けた電動弁100Aは開状態としている。
トンネル火災の発生により放水を行なう際には、遠隔操作などにより起動弁12を動作して開放させる。起動弁12を開放すると1次圧取出口42から配管L1、L2を介して1次側消火用水が圧力調整弁16Aの入力ポートP1に供給され、出力ポートP2から配管L3を通って自動弁10Aの開放加圧側シリンダ室34aに供給される。
このため主ピストン32が上方に移動し、図9に示すように主弁30が開き始める。この主弁30の開放に伴い、駆動軸36も上方に移動するが、スプール弁座64(図2参照)に当接すると流路が遮断され、シリンダポートC2からの液の流出ができなくなり、主ピストン32が停止して主弁30を所定の初期開度に維持する。
主弁30が初期開度に開放して1次側から2次側に加圧消火用水が供給されると、ヘッドからの放水に伴い2次側に圧力が発生する。この2次側に発生した圧力は2次圧取出口44から配管L8を経由して初期放水圧力制御弁15Aに加わり、矢印15aで示す閉鎖位置から破線の矢印15bで示す開放位置に作動する。これは図5(A)においてダイヤフラム104の力によりスプリング118に抗してスプール弁108が上方に移動し、入力ポートI1と出力ポートI2が連通した状態である。
このためシリンダポートC2からの初期放水圧力制御弁15Aを通って配管L8に流れる循環経路が形成され、自動弁10Aにおける主ピストン32の停止状態が解除され、開閉駆動可能な状態となる。
また2次側に発生した圧力は圧力調整弁16Aの圧力検知ポートP3にも供給され、このとき圧力調整弁16Aは図5及び図6に示したように低圧設定状態にあり、放水圧力を低圧設定に保つように自動弁10Aに対する出力ポートP2からの供給圧力を遮断し、低圧設定による放水圧力を維持する。
また自動弁10Aの初期開度により2次側に発生した圧力は、開状態にある電動弁100Aを介して圧力調整弁16AのポートP4にも加わる。ポートP4に2次側圧力が加わると図6の圧力調整部70に設けているジスク88がニードル18の流量で決まる速度で下降を開始する。ジスク88は所定の遅延時間後に図8に示すようにプランジャ94をスプリング80の上部を支持しているスライダ82を押圧する位置に移動し、このジスク88によりスライダ82を押しこみ、スプリング80を圧縮して低圧設定から規定圧設定に切り替える。具体的にはジスク88がストッパー92の下端に当接する位置にジスク88がストロークすると、その時点で所定の規定圧設定に切り替わる。
このように圧力調整弁16Aが低圧設定から規定圧設定に切り替わると、設定規定圧を維持するように主ピストン32の開放加圧側シリンダ室34aに対する供給圧力を調整し、これによって規定圧設定による本格放水を行なうことになる。
放水の停止は起動弁12を非作動状態として閉鎖すればよい。起動弁12の閉鎖で圧力調整弁16Aに対する1次側圧力用水の供給が断たれれば出力ポートP2の圧力もなくなり、自動弁10Aの開放加圧側シリンダ室34aの圧力もなくなり、主弁30はスプリング60の力および主ピストン32の上部に作用する2次側圧力の力で閉鎖位置に戻る。この主弁28が閉鎖状態に戻る時の主ピストン32の動きを決める水の流出は圧力調整弁16A、出力ポートP2から圧力検知ポートP3に戻る流路による遅延動作により、緩やかに行なわれる。
一方、自動弁の設置工事が完了した後に、圧力調整弁16Aについて実放水をしながら予告放水に必要な低圧設定の値を調整をする場合には、調整モード設定弁となる電動弁100Aを閉状態に制御した後に起動弁12を動作する。このため自動弁10Aが初期開度に開放することで2次側に加圧用水が供給され、2次側圧力が配管L8を介して圧力調整弁16Aの圧力検知ポートP3に加わる。
初期状態にあって圧力調整弁16Aは低圧設定(未調整)の状態にあり、放水圧力P1を設定低圧に保つように圧力制御を行なう。しかし、電動弁100Aを閉状態としているため、図3のように例えば10秒経過する時刻t2を過ぎても低圧設定のままで規定圧設定に切り替わることがなく、この状態で圧力調整弁16Aの設定圧を0.15MPaの低圧設定となるように調整する。
圧力調整弁16Aの設定低圧の調整が済んだならば、例えば本格放水を確認するため電動弁100Aを開状態にすると、例えば10秒後に調整済みの低圧設定による圧力設定から規定圧、例えば0.34MPaの設定による圧力制御に段階的に切り替わる。
なお、電動弁100Aはニードル18が設けられた配管L9に直列に接続しても良く、電動弁100Aを閉状態に制御した後に起動弁12を動作すると、低圧設定のままで規定圧設定に切り替わることがなく、低圧設定(0.15MPa)の調整が可能である。
図10は、本発明の他の実施形態であり、予告放水のための低圧設定から本格放水のための規定圧設定に圧力を切替える圧力調整弁16AのポートP4に対する加圧ラインに、調整モード設定弁として機能する電磁弁100Bを設けたことを特徴とし、電磁弁100B以外は図1の実施形態と同じになる。
図10の実施形態においても、自動弁の設置工事が完了した後に、圧力調整弁16Aについて実放水をしながら予告放水に必要な低圧設定の値を調整をする場合には、電磁弁100Bを閉状態に制御した後に起動弁12を動作すれば、自動弁10Aが初期開度に開放することで2次側に加圧用水が供給され、2次側圧力が配管L8を介して圧力調整弁16Aの圧力検知ポートP3に加わるが、電磁弁100Aを閉状態としているため、図3のように例えば10秒経過する時刻t2を過ぎても低圧設定のままで規定圧設定に切り替わることがなく、この状態で圧力調整弁16Aの設定圧を0.15MPaの低圧設定となるように調整することができる。
図11は本発明による自動弁装置の他の実施形態を示した説明図である。図11において、本発明の自動弁装置は、自動弁10B、起動弁12、手動起動弁14、初期放水圧力制御弁15B、圧力調整弁16Bで基本的に構成され、更に圧力スイッチ46、自動排水弁48及びテスト放水弁50を設けている。
また、この実施形態にあっては、予告放水のための低圧設定から本格放水のための規定圧設定に圧力を切替える圧力調整弁16BのポートP5からの減圧ラインに、調整モード設定弁として機能する電動弁100Aを設けている。
自動弁10Bは弁ボディ220の一方に流入口222を持ち、他方に流出口224を持ち、流入口222側にはポンプ設備からの配管が接続され、流出口224側にはトンネル内に設置した放水ヘッド側の配管が接続されている。この自動弁10Bの詳細は図12に取り出して説明する。
図12において、自動弁10Bは弁ボディ220の内部に仕切壁226を有し、仕切壁226の弁穴255に対し、主弁230を配置している。弁穴255の上部には弁座228が形成され、弁座228に対しては主弁230に設けたシール252を当接することで弁を閉鎖状態としている。
主弁230はスリーブ232aを一体に備えた主ピストン232に連結されている。主ピストン232は主シリンダ234に摺動自在に組み込まれ、主ピストン232の下側に開放加圧側シリンダ室234aを形成し、上部に閉鎖加圧側シリンダ室234bを形成している。
主シリンダ234の上部にはカバー256が装着され、カバー256の中に円筒状のスプールボディ258を固定し、スプールボディ258の中に弁駆動軸236と一体に形成されたスプールロッドとして機能するステム240を摺動自在に配置している。またカバー256と主弁230との間にスプリング254を介装し、主弁230を閉鎖方向に付勢している。
ステム240の外周とスプールボディ258の間には所定の隙間を形成することによってスプール流路260が設けられる。またステム240にはシール262が装着され、図示の主弁230の閉位置でスプール流路260を開き、主弁230を所定の初期開度に開くとスプール流路260を閉鎖するようにしている。
主シリンダ234の開放加圧側シリンダ室234aに対しては、シリンダポートC1が連通し、また閉鎖加圧側シリンダ室234bに対しては、シリンダポートC2が連通している。またカバー256にはポートS1が設けられ、ステム240とスプールボディ258の間のスプール流路260に連通している。尚、主シリンダ234の下側には仕切蓋235が配置され、主シリンダ234内を密閉状態に閉鎖している。
再び図11を参照するに、自動弁10Bの流入口222側に開口した1次側には1次圧取出口242が設けられ、ここから配管L1を取り出して起動弁12に接続している。起動弁12は遠隔的に制御される電動弁などを使用している。起動弁12には手動起動弁14が並列接続されている。
起動弁12の2次側は配管L2により圧力調整弁16Bの入力ポートP1に接続される。更に配管L2は一定圧力に制御する圧力調整弁(定圧弁)264を介してポートP4に接続される。圧力調整弁16Bの出力ポートP2は配管L3を介して、自動弁10Bの開放加圧側シリンダ室234aに対するシリンダポートC1に接続されている。
また自動弁10Bの流出口224に開放した2次側には2次圧取出口244が設けられ、ここから配管L5が引き出され、配管L8の分岐により圧力調整弁16Bの圧力検知ポートP3に接続される。
更に配管L5は初期放水圧力制御弁15Bの入力ポートI2及び圧力検知ポートI3に接続された後、配管L4によって自動弁10BのシリンダポートC2の上部に位置するポートS1に接続される。また2次圧取出口244側に示すように配管L5には圧力スイッチ46が接続され、また排水側との間に自動排水弁48を接続し、これと並列にテスト放水弁50を接続している。
自動弁10Bの開動作は起動弁12または手動起動弁14を開くことにより、圧力調整弁16Bを経由してシリンダポートC1より開放加圧側シリンダ室234aに1次側圧力水を導入することで行う。初期状態で主シリンダ234の上部の閉鎖加圧側シリンダ室234b側は空状態にあり、このため開放加圧側シリンダ室234aに1次側圧力水を供給すると、主ピストン232に設けたオリフィス238を通って閉鎖加圧側シリンダ室234bに1次側圧力水が充水され、スプール流路260、ポートS1、配管L4、L5を通って自動弁10Bの2次側に排水される第1排水経路が形成されている。
主ピストン232にはオリフィス238が設けられていることから、オリフィス238を通る圧力水の差圧に応じた力で主ピストン232が開放側、すなわち上方に移動する。主ピストン232の移動で主弁230が所定の初期開度に移動すると、ステム240に設けているシール262がスプールボディ258の下端のスプール流路260の入口に位置し、これによってスプール流路260が閉鎖される。シール262によりスプール流路260が閉鎖されると閉鎖加圧側シリンダ室234bからの水の流出が阻止される。このため主ピストン232は主弁230を所定の初期開度に開いて停止する。
自動弁10Bにおける主シリンダ234の閉鎖加圧側シリンダ室234bはシリンダポートC2から配管L6、初期放水圧力制御弁15Bを介して配管L5より自動弁10Bの2次側に連通し、これによって第2排水経路を形成している。
初期放水圧力制御弁15Bは図4及び図5に示す通りであり、初期状態にあって入力ポートI1と出力ポートI2の間を閉じており、自動弁10Bの主弁230が初期開度に開放して2次側に圧力水を供給し、ヘッドからの放水で2次側に放水圧力が発生すると、この2次側圧力が圧力検知ポートI3に作用して初期放水圧力制御弁15Bが開動作を行う。
初期放水圧力制御弁15Bが2次側圧力を受けて開動作すると、入力ポートI1と出力ポートI2の間が連通し、主弁230を初期開度に開放して停止している主ピストン232の閉鎖加圧側シリンダ室234bに対しシリンダポートC2から配管L6、L5を介して2次側に至る第2排水経路が形成され、主ピストン232が開放動作可能となる。
ここで自動弁10Bの停止制御機構は、起動弁12または手動起動弁14を開動作した際に、主ピストン232の駆動で主弁230が初期開度に達してステム240のシール262によりスプール流路260を閉鎖し、起動弁12の2次側に対する第1排水経路(ポートS1、配管L4、L5、2次圧取出口244となる経路)を遮断し、これにより主ピストン232を停止させる機構部分となる。
圧力調整弁16Bは自動弁10Bの開制御により図3のタイムチャートに示した放水圧力Pの制御を行う。図3において、電動弁100Aを開状態とし、時刻t0で例えば起動弁12を開動作すると、自動弁10Bは初期開度に開放することで2次側に加圧水を供給し、ヘッドからの放水で発生した2次側圧力が配管L5、L7を介して圧力調整弁の圧力検知ポートP3に加わる。このとき圧力調整弁16Bは例えば2次側圧力を0.15MPaとする低圧設定の状態にあり、従って時刻t1より放水圧力Pを設定低圧に保つように圧力制御を行う。
また圧力調整弁16Bは初期状態にあっては、内蔵したスプリングの力により所定の規定圧設定状態にあり、起動弁12または手動起動弁14の開動作で配管L2より1次側圧力水の供給を受けると、圧力調整弁264を介してポートP4から内部のシリンダ室に圧力水を導入し、これによって内蔵したピストンを駆動して低圧設定状態に切り替わる。
起動弁12を開動作すると自動弁10Bの主弁230は初期開度に開放し、これによって2次側に放水圧力が発生すると初期放水圧力制御弁15Bが開動作し、入力ポートI1と出力ポートI2が連通し、配管L6が配管L5を介して自動弁10Bの2次側に連通する。このため圧力調整弁16BのポートP4より内部のシリンダ室に充填されてピストンを移動した圧力水はポートP5から電動弁100Aの開度で決まる一定流量をもって排出される。
この結果、初期放水圧力制御弁15Bが開動作してから所定の遅延時間後に、圧力調整弁16Bにおいて低圧設定位置に移動したピストンが初期状態、即ち規定圧設定状態に戻る。
図13は図11の圧力調整弁16Bの断面図であり、図16は出力ポートP2側を見た断面図を示している。
図13において、圧力調整弁16Bは下部の圧力調整部290と上部の圧力設定部292で構成されている。圧力調整部290は入力ポートP1、圧力検知ポートP3、更に図14に示す出力ポートP2が設けられている。
入力ポートP1はスプール弁296に対し連通され、スプール弁296は中間の鍔状の弁体部に対応してボディ側に弁座298を形成して、初期状態で流路を開いている。このため入力ポートP1から入力した圧力水はスプール弁296の周囲を通り、図14に示す出力ポートP2に流れる。
圧力検知ポートP3は上部のダイヤフラム室295に連通しており、ダイヤフラム室295にはダイヤフラム弁294が配置されている。ダイヤフラム弁294には2本のスプリング300、302の一端が当接されている。
内側のスプリング300はリテーナ304に他端を当接し、リテーナ304は上部の設定圧力調整ネジ306の先端に当接している。外側に位置するスプリング302はピストン308に上部を当接している。ピストン308はシリンダ311に摺動自在に設けられ、ピストン308の下側にシリンダ室310を形成している。ピストン308はカバー314側との間にスプリング312を組み込んでいる。
スプリング300は設定圧力調整ネジ306で決まるスプリング圧縮力(スプリング荷重)により所定の低圧設定を行っている。またスプリング300のスプリング荷重に外側のスプリング302のスプリング荷重を加えた合計スプリング荷重により規定圧設定を行っている。
圧力調整弁16Bは初期状態にあっては、図11に示したようにポートP4に対する1次側圧力水の供給がないことから、ピストン308はスプリング312の押圧で決まるシリンダ311内の位置にあり、スプリング300、302の合計スプリング荷重をダイヤフラム弁294に加えることで規定圧設定状態となっている。
図11において、起動弁12を開動作すると1次側圧力水が配管L1から圧力調整弁(定圧弁)264を介してポートP4に供給され、シリンダ室310に充水される。そのときポートP5側の配管L6は開状態にある電動弁100Aを介して図11の初期放水圧力制御弁15Bの入力ポートI1に接続されているが、このとき初期放水圧力制御弁15Bは閉鎖状態にあるため、ポートP5側からの排水は行われない。
このためポートP4から供給された圧力水(但し、圧力調整弁264より一定圧に調整されている圧力水)はシリンダ室310に充満された後、ピストン308を図17のように上部のカバー314に当接する位置に移動させる。このピストン308の移動によりスプリング302のダイヤフラム弁294に対するスプリング荷重が解除され、ダイヤフラム弁294にはスプリング300のスプリング荷重のみが加わり、これによって圧力調整弁16Bは低圧設定に切り替わる。
図11において起動弁12を開動作すると、自動弁10Bは主弁30を初期開度に開放してヘッドから消火用水を放水させ、発生した2次側に放水圧力を受けて初期放水圧力制御弁15Bが開動作し、入力ポートI1と出力ポートI2が連通し、配管L5を介して2次側に至る排水経路ができる。
このため圧力調整弁16BにおいてポートP5から開状態にある電動弁100Aを通って2次側に至る排水経路ができ、図15のシリンダ室310に供給されていた加圧水がポートP5からニードル266で決まる設定流量で排水される。
このため初期放水圧力制御弁15Bの開動作から所定の遅延時間を経過すると、図15の状態にストロークしていたピストン308がシリンダ室310からの排水によりが再び図15及び図16に示す初期状態、即ち規定圧設定状態に戻り、これによって所定の遅延時間後における低圧設定から規定圧設定への切り替えが行われる。
圧力調整弁16Bによる自動弁10Bの2次側圧力の調整動作は、ダイヤフラム弁294に加わる圧力がスプリング300による設定低圧、またはスプリング300、302による設定規定圧を超えると、ダイヤフラム弁294が上方に変形してスプール弁296をリフトし、入力ポートP1と出力ポートP2(図15参照)の間を遮断し、自動弁10Bの開放加圧側シリンダ室234aに対する圧力水の供給を遮断することで、スプリング254(図2参照)の力で主弁230を閉方向に動作する。
逆にダイヤフラム弁294に加わる圧力がスプリング300、302による設定圧を下回ると、ダイヤフラム弁294が下方に変形してスプール弁296を押し下げ、入力ポートP1と出力ポートP2(図8参照)の間を連通し、自動弁10Bの開放加圧側シリンダ室234aに圧力水を供給して主弁230を開方向に動作する。これによって圧力調整弁16Bは2次側圧力を設定圧に保つように自動弁10Bを制御する。
次に図11の実施形態における放水制御を説明する。図11の通常監視状態にあっては、自動弁10Bの主弁30は閉じ、起動弁12及び手動起動弁14も閉じ、圧力調整弁16BのポートP5からの減圧ラインに設けた電動弁100Aは開状態としている。
トンネル火災の発生により放水を行う際には遠隔操作により起動弁12を動作して開放する。起動弁12を開放すると1次側取出口から配管L1、L2を介して1次側圧力水が圧力調整弁16Bの入力ポートP1に供給される。
このとき圧力調整弁16Bは図13、図14に示したように開状態にあるため、出力ポートP2から配管L3を通って自動弁10Bの開放加圧側シリンダ室234aに圧力水を供給する。開放加圧側シリンダ室234aに供給された加圧水は主ピストン232とオリフィス238を通って閉鎖加圧側シリンダ室234bに充水された後、ステム240の外側のスプール流路260からポートS1に流れ、更に配管L4、L5、2次圧取出口244から主弁230の2次側にいわゆる第1排水経路を通って排水される。
このとき主ピストン232にはオリフィス238で発生される差圧に応じた駆動力が生じ、主弁230を開方向に移動する。主ピストン232に対する主弁230の開動作でステム240が上方に移動し、そのシール262がスプール流路260の下端部に開放すると、スプール流路260が遮断され、閉鎖加圧側シリンダ室234bからの排水が止まる。このため主ピストン232が停止し、これによって主弁230は所定の初期開度に維持される。
図16は自動弁10Bの主弁230が起動弁12の開動作で初期開度に動作した状態を示しており、これによって1次側から2次側に消火用水が供給される。このとき圧力調整弁16Bにあっては、配管L2から供給された1次加圧水を圧力制御弁264を介してポートP4から図13、図14に示したシリンダ室310に供給しており、シリンダ室310に加圧水が充満すると図17のようにピストン308を移動して低圧設定状態に切り替わる。
自動弁10Bにおける主弁230の初期開度への開放で2次側に消火用水が供給されヘッドから放水されると、2次側に放水圧力が発生し、この2次側圧力が配管L5を介して初期放水圧力制御弁15Bの圧力検知ポートI3に加わり、初期放水圧力制御弁15Bが開動作し、入力ポートI1と出力ポートI2が連通する。
これによって自動弁10BにおけるシリンダポートC2から配管L6、初期放水圧力制御弁15B及び配管L5を通って2次側に至る第2排水経路が形成され、閉鎖加圧側シリンダ室234bからの水の排出を可能とすることで、主ピストン232の停止状態が解除される。
また初期放水圧力制御弁15Bの開動作による第2排水経路が形成されると、圧力調整弁16BのポートP5から開状態にある電動弁100Aを通って図9のようにピストン308を低圧設定状態に移動していたシリンダ室310からの排水が開始され、所定時間後に図15、図16に示すようにピストン308が初期位置に戻り、規定圧設定に切り替わる。
このように圧力調整弁16Bが低圧設定から規定圧設定に切り替わると、設定規定圧を維持するように自動弁10Bの開放加圧側シリンダ室234aに対する圧力水の供給を制御し、これによって規定圧設定による本格放水を行う。
放水停止は起動弁12を非作動状態として閉鎖すればよい。起動弁12を閉鎖すると圧力調整弁16Bを経由した自動弁10Bの開放加圧側シリンダ室234aに対する1次側圧力水の供給が断たれ、主ピストン232はスプリング254の力で閉鎖位置に戻る。この主弁230が閉鎖位置に戻すための主ピストン232の戻りは、図13の圧力調整弁16Bにおける圧力検知ポートP3から下側のチャンバ297、スプール弁296の内部通路、更に図14の出力ポートP2となる経路で所定の絞りをもって行われる。この絞りによる遅延動作で緩やかに主ピストン232が移動して主弁230を閉じる。
に行なわれる。
一方、自動弁の設置工事が完了した後に、圧力調整弁16Bについて実放水をしながら予告放水に必要な低圧設定の調整をする場合には、調整モード設定弁として機能する電動弁100Aを閉状態に制御した後に起動弁12を動作する。このため自動弁10Bは初期開度に開放することで2次側に加圧用水が供給され、2次側圧力が配管L8を介して圧力調整弁16Aの圧力検知ポートP3に加わる。
初期状態にあって圧力調整弁16Aは低圧設定(未調整)の状態にあり、放水圧力P1を設定低圧に保つように圧力制御を行なう。しかし、電動弁100Aを閉状態としているため、図3のように例えば10秒経過する時刻t2を過ぎても低圧設定のままで規定圧設定に切り替わることがなく、この状態で圧力調整弁16Bの設定圧を0.15MPaの低圧設定となるように調整する。
圧力調整弁16Bの設定低圧の調整が済んだならば、例えば本格放水を確認するため電動弁100Aを開状態にすると、例えば10秒後に調整済みの低圧設定による圧力設定から規定圧、例えば0.34MPaの設定による圧力制御に段階的に切り替わる。
なお、図11の電動弁100Aの代わりに、図10の実施形態のように、電磁弁100Bを用いても良い。
図17は本発明による自動弁装置の他の実施形態を示した説明図である。図17において、本発明の自動弁装置は自動弁10C、起動弁12、初期放水圧力制御弁15A、圧力調整弁16Aで基本的に構成され、更に圧力スイッチ56、自動排水弁58及びテスト放水弁60を設けている。
また本発明にあっては、予告放水のための低圧設定から本格放水のための規定圧設定に圧力を切替える圧力調整弁16AのポートP4に対する加圧ラインに、調整モード設定弁として機能する手動弁100Cを設けている。手動弁100Cは通常は開状態にあり、圧力調整弁16Aの設定圧を調整する際には閉状態とする。
自動弁10Cは弁ボディ320の一方に流入口322を持ち、他方に流出口324を持ち、流入口322側にはポンプ設備からの配管が接続され、流出口324にはトンネル内に設置した放水ヘッド側の配管が接続されている。この自動弁10Cの詳細は図18に取り出して説明する。
図18において、自動弁10Cは弁ボディ320の内部に仕切壁326を有し、仕切壁326の弁穴335の1次側に形成した弁座328に対し第1主弁330を配置している。一方、弁穴335の2次側には第2主弁332が配置されている。
第1主弁330は、上部に配置された第1ピストン334の円筒部334aの先端に連通され、シール331を弁座328に当接することで閉鎖状態としている。第1シリンダ室336は、上部のカバー340と下側の仕切部材338で形成され、第1ピストン334を摺動自在に組み込んでいる。
またカバー340の内部には上部のステム344aを介してガイドピストン344が内部に支持されており、ガイドピストン344に対し第1ピストン334の円筒部334aが嵌め込まれ、ガイドピストン344の下側と第1主弁330との間にスプリング342を組み込んでいる。また第1主弁330の中央には貫通穴330aが形成されている。
このガイドピストン344と第1シリンダ室336により第1主弁330を開閉駆動するための駆動機構が構成されている。尚、第1シリンダ室336に対してはシリンダポートC1が設けられ、シリンダポートC1からの圧力水の導入と排出で第1ピストン334を駆動する。第1ピストン334の上部のカバー340には通気孔346が形成され、第1ピストン334の駆動に伴う不発状態が発生しないようにしている。
第1主弁330の下側に配置された第2主弁332は第2ピストンとしての機能を備えており、弁ボディ320内に形成された第2シリンダ室348に対しスプリング354を介して摺動自在に組み込まれている。
また第2主弁332の下側にはステム350が装着され、ステム350の先端はカバー353を貫通して外部に取り出され、そこにストッパナット352aを装着している。第2主弁332はステム350に対するストッパナット352a、ロックナット352bのねじ込みによる位置決めで、弁穴335に対し所定の初期開度に相当するクリアランス345を形成している。即ち第2主弁332にあっては図示の閉鎖位置で完全に閉鎖状態とならず、所定の初期開度に対応したクリアランス345をもって配置されている。
第2シリンダ室348に対してはシリンダポートC2、C3が設けられる。第2主弁332と一体化された第2ピストンと第2シリンダ室348によって第2主弁332を開閉駆動するための第2駆動機構が構成されている。
再び図17を参照するに、自動弁10Cの流入口322に開口した1次側には1次圧取出口362が設けられ、ここから配管L1を取り出して起動弁12に接続している。起動弁12には手動起動弁14が並列接続されている。起動弁12の2次側は配管L2により自動弁10CのシリンダポートC1に接続される。また1次圧取出口362からの配管L1は分岐されて第2シリンダ室348のシリンダポートC2に接続される。
起動弁12または手動起動弁14を開くと、配管L2により1次側圧力水が自動弁10CのシリンダポートC1から第1シリンダ室336に供給され、第1ピストン334が上方にストロークし、これによって第1主弁330が開く。第1主弁330が開くと第2主弁332の閉鎖状態におけるクリアランス345で決まる初期開度により2次側に圧力水が供給され、2次側の配管に水が充満してヘッドからの放水がはじまると、初期放水圧力が2次側に発生する。
自動弁10Cの流出口324に開放した2次側には2次圧取出口364が設けられ、ここから配管L5が引き出され、圧力調整弁16Aの出力ポートP2に接続される。更に配管L5は圧力調整弁16Aの圧力検知ポートP3及びP4に接続される。また2次圧取出口364側に示すように配管L5側には圧力スイッチ56が接続され、また排水側との間に自動排水弁58を接続し、これと並列にテスト放水弁60を接続している。
自動弁10Cの第2シリンダ室348のシリンダポートC3は配管L3により初期放水圧力制御弁15Aの入力ポートI1に接続されている。初期放水圧力制御弁15Aは更に出力ポートI2と圧力検知ポートI3を持ち、出力ポートI2に圧力調整弁16Aの入力ポートP1を配管L4により接続し、圧力検知ポートI3には配管L5を分岐接続している。
圧力調整弁16Aは、図6、図7及び図8と同じであり、初期状態で入力ポートP1と出力ポートP2が連通関係にあり、そのため自動弁10Cの第1主弁330が起動弁12の作動で開放動作してクリアランス345で決まる初期開度により2次側に加圧水が供給されて放水圧力が発生すると、2次側放水圧力は配管L5から初期放水圧力制御弁15Aの圧力検知ポートI3に作用する。
初期放水圧力制御弁15Aは図4及び図5と同じであり、圧力検知ポートI3に加わる2次側放水圧力が初期の規定圧に達した時に開動作し、入力ポートI1と出力ポートI2を連通する。このように初期放水圧力制御弁15Aが開動作すると、自動弁10Cの第2シリンダ室348は配管L3、初期放水圧力制御弁15A及び配管L4を介して圧力調整弁16Aに接続され、この状態で圧力調整弁16Aは予告放水のための設定低圧または本格放水のための設定規定圧となるように第2シリンダ室348に対する圧力を制御し、第2主弁332の開閉制御を行なうことになる。
圧力調整弁16Aは自動弁10Cにおける第1主弁330の開状態での第2主弁332の開閉制御により図3のタイムチャートに示した放水圧力Pの制御を行なう。
図3において、時刻t0で起動弁12を動作すると自動弁10Cにおける第1主弁330が開動作し、閉鎖位置にある第2主弁332のクリアランス345で決まる初期開度で2次側に加圧水が供給され、ヘッドからの放水による2次側圧力が配管L5を介して圧力調整弁16Aの圧力検知ポートP3に加わる。初期状態において圧力調整弁16Aは例えば2次側圧力を0.15MPaとする低圧設定の状態にあり、従って時刻t1より放水圧力Pを設定低圧に保つように圧力制御を行なう。
次に図17の実施形態における放水制御を説明する。図17の通常監視状態にあっては手動弁100Cは開状態にあり、自動弁10Cの第1主弁330は閉鎖しており、流入口322となる1次側には圧力水が充満し、また配管L1を介してシリンダポートC2からの導入で第2シリンダ室348に圧力水が充水されている。
トンネル火災の発生により放水を行なう際には遠隔操作などにより起動弁12を動作して開放させる。起動弁12を開放すると1次圧取出口362から配管L1、L2を介して1次側消火用水が自動弁10Cの第1シリンダ室336にシリンダポートC1から供給され、第1ピストン334が上方にストロークし、図21に示すように第1主弁330が開放される。
このとき第2主弁332は弁座328に対しクリアランス345を形成した初期開度の状態にあり、初期開度に対応したクリアランス345を介して1次側から2次側に圧力水が供給され、ヘッドからの放水に伴い2次側に初期の圧力が発生する。この2次側に発生した圧力は2次圧取出口364から配管L5を介して初期放水圧力制御弁15Aの圧力検知ポートI3に加わり、矢印15aに示す閉鎖位置から破線の矢印15bで示す開放位置に作動する。
これは図4においてダイヤフラム104の力によりスプリング118に抗してスプール弁108が上方に移動し、入力ポートI1と出力ポートI2が連通した状態である。このため第2シリンダ室348のシリンダポートC3が配管L3、初期放水圧力制御弁15A及び配管L4を介して圧力調整弁16Aに連通され、圧力調整弁16Aによって第2主弁332の開閉制御が可能な状態となる。
また2次側に発生した圧力は圧力調整弁16Aの圧力検知ポートP3にも供給され、このとき圧力調整弁16Aは図6及び図7に示したように低圧設定状態にあり、放水圧力を低圧設定に保つように自動弁10Cにおける第2主弁332を開閉制御する。
圧力調整弁16Aによる自動弁10Cにおける第2主弁332の開閉制御は次のようになる。2次側圧力が圧力調整弁16Aにおける設定低圧より低い場合は、入力ポートP1、出力ポートP2を連通した弁開放状態とし、第2シリンダ室348の圧力水が初期放水圧力制御弁15A及び圧力調整弁16Aを通って2次側に排水され、このため第2主弁332がスプリング354に抗して下降し、第2主弁332の開度を大きくして2次側圧力を設定低圧となるように増加させる。
一方、2次側圧力が設定低圧より高い場合には、圧力調整弁16Aは入力ポートP1、出力ポートP2の連通を遮断するように弁閉鎖状態となる。このため第2シリンダ室348のシリンダポートC3からの2次側への排水が停止し、シリンダポートC2からの1次側からの圧力水の供給をうけて、第2主弁332が上方に移動して開度を絞り、これによって設定低圧となるように2次側圧力を下げる。
また自動弁10Cの第1主弁330の開動作により、第2主弁332のクリアランス345を通った2次側への圧力水の供給で発生した圧力は圧力調整弁16AのポートP4にも加わる。ポートP4に2次側圧力が加わると図6の圧力設定部72に設けているジスク88がニードル18の流量で決まる速度で下降を開始する。
ジスク88は所定の遅延時間後に図8に示すようにプランジャ94をスプリング80の上部を支持しているスライダ82を押圧位置に移動し、スプリング80を圧縮して設定低圧から規定圧設定に切り替える。具体的にはスライダ82のピン84がガイドスリット86の中間位置となるようにジスク88がストロークすると、その時点で所定の規定圧設定に切り替わる。
このように圧力調整弁16Aが低圧設定から規定圧設定に切り替わると、図22の自動弁10Cに示すように、設定規定圧を維持するように第2シリンダ室348に対する供給圧力を制御し、これによって第2主弁332は規定圧設定に対応して開度を大きくした状態となり、圧力調整弁16Aが2次側圧力を設定規定圧となるように第2シリンダ室348からの排水と排水遮断を制御し、規定圧設定による本格放水を行う。
一方、自動弁の設置工事が完了した後に、圧力調整弁16Aについて実放水をしながら予告放水に必要な低圧設定の調整をする場合には、手動弁100Cを閉鎖した後に起動弁12を動作する。このため自動弁10Aは初期開度に開放することで2次側に加圧用水が供給され、2次側圧力が配管L8を介して圧力調整弁16Aの圧力検知ポートP3に加わる。
初期状態にあって圧力調整弁16Aは低圧設定(未調整)の状態にあり、放水圧力P1を設定低圧に保つように圧力制御を行なう。しかし、手動弁100Cを閉鎖しているため、ポートP4に対し2次側に発生した加圧水は供給されず、図3のように例えば10秒経過する時刻t2を過ぎても圧力調整弁16Aは低圧設定のままで規定圧設定に切り替わることがない。
このため低圧設定による予告放水の状態で、圧力調整弁16Aの設定圧を0.15MPaの低圧設定となるように調整することができる。圧力調整弁16Aの設定低圧の調整が済んだならば、例えば本格放水を確認するため手動弁100Cを開くと、例えば10秒後に調整済みの低圧設定による圧力設定から規定圧、例えば0.34MPaの設定による圧力制御に段階的に切り替わり、本格放水が行われる。
図21は、本発明の他の実施形態の説明図であり、予告放水のための低圧設定から本格放水のための規定圧設定に圧力を切替える圧力調整弁16BのポートP5からの減圧ラインに、調整モード設定弁として機能する手動弁100Cを設けたことを特徴とし、手動弁100C以外は図11の実施形態と同じになる。
図21の実施形態においても、自動弁の設置工事が完了した後に、圧力調整弁16Bについて実放水をしながら予告放水に必要な低圧設定の調整をする場合には、手動弁100Cを閉鎖した後に起動弁12を動作すれば、自動弁10Bが初期開度に開放することで2次側に加圧用水が供給され、2次側圧力が配管L5を介して圧力調整弁16Bの圧力検知ポートP3に加わるが、手動弁100ACを閉鎖しているため、図3のように例えば10秒経過する時刻t2を過ぎても低圧設定のままで規定圧設定に切り替わることがなく、この状態で圧力調整弁16Bの設定圧を0.15MPaの低圧設定となるように調整することができる。
ここで図17、図20及び図21の圧力調整弁16A、16Bに設けた手動弁100Cは、調整後に開状態に戻さないと火災発生時に予告放水が継続され、本格放水に切り替わらないことになる。このような手動弁100Cの操作忘れを防止するためには、手動弁100Cのレバーの形状、位置を考慮し、例えば本発明の自動弁装置の集合箱の扉を閉める際に、手動弁100Cのレバーが閉鎖状態にあると扉にレバーが当たって閉まらないようにする対策をとる。
そこで、調整モード設定弁として機能する手動弁について、弁自体に万一、初期状態への戻し忘れがあったとしても常に予告放水から本格放水への切替えを可能とする手動弁の実施形態を説明すると次のようになる。
図22は本発明で調整モード設定弁として機能する手動弁の実施形態を示した説明図であり、図22(A)に開状態を示し、図22(B)に閉状態を示す。図22(A)において、手動弁100Cは本体400の中に弁体405を摺動自在に組み込んでおり、本体400の下側のベースカバー401と弁体405の間にスプリング408を組み込んでいる。
本体400内は、弁体405の下側の弁室402Aと上側の弁室402Bが形成される。本体400の右側には流入ポート403が形成され、反対側に流出ポート404が形成されている。この流入ポート403及び流出ポート404の内側には、Oリングを用いたシール413、414が配置されている。弁体405の上部には操作軸406が設けられ、操作軸406の先端にレバー407を設けている。
弁体405は弁室402Aから弁室402Bに至るオリフィス409、410を設けており、オリフィス409、410は途中で横方向に分岐されており、この横方向の分岐部分は弁体405を図22(B)のように閉鎖位置に移動した際に、流入ポート403及び流出ポート404に位置するように設けられている。また弁本体400の内側には、弁体405に対しシール411が設けられ、また操作軸406の取出し部分にもシール412を設けている。
ここで、レバー407としてはノンロック構造又はロック構造をとることができる。ロック構造としては、例えばレバー407を図4(B)のように押し込んだ後に所定角度回すことでロックさせるなどの構造をとることができる。
図22の手動弁100Cの使い方は次のようになる。通常の使い方としては、図17の圧力調整弁16AのポートP4に対し、2次側圧力水の流入がある前に図22(B)のようにレバー407を押して弁体405を閉状態とする。
弁体405の閉状態で流入ポート403に2次側圧力水の供給があると、圧力水はオリフィス409を通って弁室402Bに入る。更に、反対側のオリフィス410を通って流出ポート404に流れ、図6に示した圧力調整弁16AのポートP4からシリンダ9の上側のシリンダ室に入る。
このときの流量は、オリフィス409、410で決まる少ない流量のため、図6の圧力調整弁16Aのジスク88が通常より長い時間かかって図8のように下降して低圧設定から規定圧設定に切り替える。これにより予告放水から本格放水に切り替わる時間を遅らせることができ、この間に予告放水のための低圧設定の圧力を調整する時間を十分に確保することができる。即ち、現場調整や実放水点検時に、予告放水のための低圧設定値の調整時間あるいはその観測時間を十分にとることができる。
ここでレバー407がノンロック方式の場合、手動により引くことで図22(A)の開状態に復帰させることもできるが、仮に手を離しても、流入ポート403からの2次側圧力水の供給がなくなると逆のルートを通って水が排出され、弁体405はスプリング408の力によって元の開状態に復帰する。
このためノンロック方式のレバー407の場合には常に初期状態に復帰させることができ、手動弁100Cが閉状態となったまま圧力調整弁16Aの圧力段階切替えの機能を喪失させることはない。
ここで手動弁100Cは、流入ポート403に対し2次側圧力水の流入がある前にレバー407を押し下げて弁体405を閉鎖状態とする場合を例にとっているが、流入ポート403に対する2次側圧力水の流入後にレバー407を押し下げて弁体405を閉状態としてもよい。
この場合、流入ポート403に対する2次側圧力水の流入に対し下側の弁室402Aと上側の弁室402Bは、オリフィス409、410を介して連通して同圧にあるため、圧力水の流入を受けてもスプリング408を押し下げる力だけで弁体405を閉鎖位置に押し下げれば良く、大きな操作力を必要としないというメリットがある。
図23は本発明で調整モード設定弁として機能する手動弁の他の実施形態を示した説明図であり、図23(A)に開状態を示し、図23(B)に閉状態を示している。
図23(A)において、手動弁100Dは本体400の内部に弁体405を摺動自在に組み込んでおり、下部のベースカバー401と弁体405の間にスプリング408を介在している。本体400の右側には流入ポート403が形成され、反対側には流出ポート404が形成されている。
弁体405の下側には弁室402Aが形成され、上側には弁室402Bが形成されている。弁体405は上部に操作軸406を装着し、その先端にレバー407を設けている。レバー407による弁体405の閉鎖はノンロック方式とロック方式のいずれかをとることができる。
この図23の手動弁100Dの通常の使い方としては、流入ポート403に対し2次側圧力水の流入がある前にレバー407を押し下げ、図23(B)のように弁体405をスプリング408に抗して下部に移動し、流入ポート403と流出ポート404の間を閉鎖する。
この弁体405の閉鎖により図6に示した圧力調整弁16AのポートP4に対しては2次側圧力水の供給が完全に行われなくなり、したがって圧力調整弁16Aは予告放水から本格放水に移行するための低圧設定から規定圧設定に切り替える機能は完全に喪失することとなり、現場調整、実放水点検時の調整時間あるいは観測時間を自由に取ることができる。
レバー407がノンロック方式の場合は、手動によって引き上げることで図23(A)の開状態に復帰させることができる。またレバー407がロック方式の場合にも、ロックを解除する操作を行うことで開状態に復帰させることができる。
なお図23の実施形態にあっては、弁体405の閉鎖状態で流入ポート403及び流出ポート404の間をシール413、414に対する弁体405の摺接で切り離しているが、シール413、414を取り除いて隙間を形成することで、図22に示したと同様、弁体405にオリフィス409、410を設けた場合と同等に、閉鎖状態においても流入ポート403から流出ポート404にわずかな2次側圧力水の供給を行い、この場合には圧力調整弁16Aにおいて予告放水から本格放水に切り替わるまでの遅延時間を長くさせることができる。
図24は本発明で調整モード設定弁として機能する手動弁の他の実施形態を示した説明図であり、図24(A)に開状態を、図24(B)に閉状態を示している。
図24(A)において、手動弁100Eは本体400の内部に弁体405を摺動自在に組み込み、下部のベースカバー401と弁体405の間にスプリング408を介在している。本体400の右側には流入ポート403が開口され、反対側には流出ポート404を開口している。
弁体405は上部に操作軸406を持ち、その先端にレバー407を設けている。レバー407としてはノンロック方式とロック方式のいずれかをとることができる。また流入ポート403にはシール413が設けられ、流出ポート404にはシール414が設けられている。また弁体405に対してはシール411が設けられ、更に操作軸406に対してはシール412が設けられている。
弁体405は流入ポート403側に横方向から上部の弁室402Bに開口するオリフィス415を設けている。オリフィス415は、図24(B)の弁体405の閉鎖位置への押込みで流入ポート403を上部の弁室402Bに連通する。
また図24(A)の開状態で、シール412の外側から操作軸406の中を通ってレバー407の上部に連通する通し穴416が形成され、レバー407における通し穴416の開口部にはプラグ417をねじ込んで閉鎖している。
調整時における図24(A)の手動弁100Eの通常の使い方としては、流入ポート403に2次側圧力水の流入がある前にレバー407を押し下げて、図24(B)のように弁体405を押し下げ、流入ポート403と流出ポート404の間を閉鎖する。
この閉鎖状態で流入ポート403に対し2次側圧力水の供給があると、圧力水はオリフィス415を通って上部の弁室402Bに流れ込み、弁体405をスプリング408に抗して下向きに押し付ける。このオリフィス415から流入した圧力水の水圧により、レバー407を離しても弁体405は閉鎖状態にロックすることができる。
また弁体405を閉鎖位置に水圧でロックした閉鎖状態にあっては、流出ポート404から図8に示した圧力調整弁16AのポートP4に対する2次側圧力水の供給は完全に遮断され、圧力調整弁16Aが予告放水から本格放水に移行する低圧設定から規定圧設定に切り替える機能を停止することとなり、現場調整、実放水点検時の予告放水の低圧設定の調整のための時間あるいは観測時間を自由にとることができる。
圧力調整弁16Aの調整後に流入ポート403に対する2次側圧力水の供給がなくなれば、弁室402Bの圧力水はオリフィス415及び流入ポート403を通って排出されるため、弁体405はスプリング408の力で自動的に図24(A)の開状態に復帰する。
一方、予告放水状態で設定圧の調整を終了した後に引き続いて本格放水のための設定規定圧の調整をする場合には、弁体405を開状態に復帰させる必要がある。この場合には、レバー407の上部に設けているプラグ417を外すことで、通し孔416を介して弁室402の圧力水を排水させ、この状態でレバー407を上に引くことで弁体405を上昇させて、図24(A)の開状態に復帰させることができる。
このとき図24(B)の弁体405に形成しているオリフィス415の開口が流入ポート403から外れる上側の位置までレバー407を引き上げれば、弁室402Bに対しオリフィス415からの圧力水の供給が断たれるため、それから先は弁室402Bに対する圧力水の供給により妨げられることなくレバー407を引き上げることができる。
なお操作軸406内に設けた通し孔416については、下側の横方向の開口部が図24(A)の開状態でシール412の外側に位置するように形成しておくことで、仮にプラグ417を付け忘れたような場合であっても、シール411及び412により弁室402Aに供給された圧力水が通し穴416を通って排出されることはなく、このような通し穴416からの圧力水の排出で圧力調整弁16Aの段階圧力切替機能が失われることを確実に防止できる。
図25は本発明で調整モード設定弁として機能する手動弁の他の実施形態を示した説明図であり、図25(A)に閉状態を示し、図25(B)に開状態を示す。
図25(A)において、手動弁100Fは本体400の内部に弁体405を摺動自在に設け、本体100の下部をベースカバー401で閉鎖し、弁体405の上部側にスプリング408を組み込んでいる。弁体405は上部に操作軸406を設け、操作軸406の外部の取出し部分にレバー407を装着している。
弁体405の上部に形成された弁室402Bに対しては、右側に流入ポート403が開口され、反対側に流出ポート404が開口され、それぞれ内側にシール413、414を設けており、操作軸406に対してもシール412を設けている。
この図25の手動弁100は、レバー407を図25(B)のように引き上げることで、弁体405を流入ポート403と流出ポート404の位置に移動して閉状態とすることができる。またレバー407としては、ノンロック方式とロック方式のいずれかをとることができる。
この図25の手動弁100Fについても、調整時にレバー407を引き上げて閉状態とする以外は、図23、図24の手動弁100D、100Eの場合と使い方は基本的に同じである。
図26は本発明で調整モード設定弁として機能するダイヤフラム型の手動弁の説明図であり、図26は弁開状態、図27に弁閉状態を示している。
図26において、ダイヤフラム型手動弁100Gは、本体500の下部に弁室502を形成し、ベースカバー501で閉鎖している。弁室502の右側には流入ポート503が形成され、左側には流出ポート504が形成され、流出ポート504は弁座シール516の内側の隙間を通って弁室502に連通している。
弁体500には上下方向に摺動自在に軸部材506を設けており、軸部材506の下端部には弁体507が一体に形成されている。弁部材506の上部は本体500に対し装着されたカバー505から外部に取り出され、ナット5112よりハンドル510を装着している。
軸部材506の途中にはダイヤフラム514が固定され、ダイヤフラム514の外側は本体500とカバー505の間に挟み付け固定され、ダイヤフラム514の下側にダイヤフラム室513を形成している。ダイヤフラム514の装着部分の上側となる軸部材506にはリテーナ508が設けられ、リテーナ508とカバー505との間にスプリング509を組み込んでいる。
軸部材506には、弁体507の先端からハンドル510を装着した上端に連通する貫通孔512が形成されている。貫通孔512は、ダイヤフラム室513の部分で横方向に開口515を形成している。貫通孔512のハンドル510側の上端にはプラグ517が装着されて閉鎖されている。
通常時、図28のようにダイヤフラム型手動弁100Gはスプリング519の力により弁部材501を押し下げ、弁体507の貫通孔512の先端開口部をベースカバー501に押し付け、貫通孔512を弁室502に対し閉鎖しており、一方、流入ポート503と流出ポート504は弁座シール516の内側の隙間を通って連通している。
このため、流入ポート503に2次側圧力水が流入すると、弁室502から流出ポート504に圧力水が流れ、図6の圧力調整弁16AのポートP4に2次側圧力水を供給して、所定時間に亘る予告放水後に本格放水に切り替わるように、低圧設定から規定圧設定への切替えが行われる。
一方、点検調整の際の使い方としては、流入ポート503に2次側圧力水の流入がある前にハンドル510を上方に引き、図27のように弁体507の後部を弁座シール516に当接させ、流入ポート503と流出ポート504の間を閉鎖する。この状態で流入ポート503に2次側圧力水の供給があると、流出ポート504に対する供給が遮断され、図6に示した圧力調整弁16Bの本格放水のための現場調整、実放水点検時の予告放水の低圧設定のための時間あるいは観測時間を自由にとることができる。
また図27の閉鎖状態で流入ポート503に2次側圧力水が供給されると、圧力水は弁体507の先端の開口部から貫通孔穴512を通って開口515よりダイヤフラム室513に供給され、ダイヤフラム室513に導入された圧力水によりダイヤフラム514を上方に押し上げる。このため、ハンドル510を引き上げている手を離しても弁体517は閉状態を保つ水圧ロック状態が得られる。
このようなダイヤフラム室513に対する圧力水の導入による水圧ロック状態で流入ポート503に対する2次側圧力水の供給がなくなると、ダイヤフラム室513の圧力もなくなって、スプリング509の力により弁体507が開状態に復帰し、特別な操作をしなくても自動的に圧力調整弁16Aの段階圧力切替機能を通常通りに戻すことができる。
一方、図27のように閉状態で予告放水の調整が済んだ後に本格放水のための規定圧設定について圧力調整をする場合には、弁体507を開状態に復帰させる必要がある。この場合にはハンドル510の上部に設けているプラグ517を外すことにより、ダイヤフラム室513に導入されている圧力水を開口515及び貫通孔512を通して上部から排出させ、この状態でハンドル510を押し下げることで弁体507を図28のような開状態とすればよい。
なお、プラグ517を付け忘れた場合にも、図26のように弁体507の先端はスプリング509の力によりベースカバー501に押し付けられて貫通穴512を閉鎖しているため、貫通穴512を通って流入ポート503からの2次側圧力水が排出されてしまうことがなく、プラグ517を付け忘れても流入ポート504から圧力調整弁16A側に2次側圧力水を供給して段階放水の切替機能を保証することができる。
なお図23〜図27の手動弁の実施形態にあっては、図1の圧力調整弁16AのポートP4に対する加圧ラインに手動弁を設けた場合を例にとるものであったが、図11の圧力調整弁16Bに示すように、ポートP5からの減圧ラインに手動弁を設けた場合についても同様に使用することができる。
また調整モード設定弁として機能する手動弁は、図25〜図29の手動弁に限定されず、開閉機能を有する弁であれば適宜の構造の手動弁を使用することができる。