JP4545475B2 - 回転子 - Google Patents
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Description
ところで、回転子の静止状態において磁石装着孔に装着された永久磁石は、回転子の径方向に対して相対的に磁性材料の量が多い内周側にずれた位置に位置決めされる。しかしながら、回転子が回転すると永久磁石に遠心力が作用して、永久磁石が回転子の外周側へ変位しようとする。これにより、回転子の静止状態において永久磁石の外周面と磁石装着孔の外周面との間に設けられた相対的に大きな隙間に接着剤が充填されている場合には、この接着剤が固化して形成された接着層に永久磁石の遠心力に伴う過剰な圧力が作用して、接着層の圧壊等の不具合が生じる虞がある。例えば接着層が破損すると、回転子の回転に伴い磁石装着孔内で永久磁石が変位し、振動や騒音が増大すると共に、回転子本体に衝撃荷重が作用して疲労強度が低下してしまうという問題が生じる。
このような問題に対して、例えば磁石装着孔内に充填した接着剤が硬化するより以前のタイミングで回転子を回転させ、磁石装着孔内の永久磁石に回転に伴う遠心力等を作用させて所定位置に位置決めする方法(例えば、特許文献1参照)が知られている。
特に、積層鋼板からなる回転子において接着剤が積層鋼板間に浸透する場合には、磁石装着孔内へ接着剤を充填する際に必要となる充填量を適切に把握することが困難となり、充填終了直後の初期状態からの経時変化として磁石装着孔と永久磁石との間に隙間が生じてしまう虞があることに加えて、例えば回転子を分解して再利用する場合等において積層鋼板の積層状態を解消して分解することが困難となる虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、回転子に磁石を固定する際に用いる樹脂の必要量を適切に把握しつつ、磁石を回転子の所定位置に容易に位置決めすると共に、回転子の分解に要する手間を省くことが可能な回転子を提供することを目的とする。
しかも、磁石を磁石装着部内に固定する樹脂は第1樹脂保持バック内に保持されることから、第1樹脂保持バック内に樹脂を充填する際には、磁石と磁石装着部との間の隙間を埋めるために必要とされるだけの適切な量の樹脂を第1樹脂保持バック内に充填するだけで済み、例えば回転子本体が複数の電磁鋼板が積層されてなる積層鋼板により形成される場合に硬化以前の樹脂が積層鋼板間に浸透してしまったり、例えば硬化以前の樹脂が磁石装着部内から流出してしまう等の不具合が生じることを防止することができる。
また、例えば回転子を分解して、回転子を構成する各部材を再利用する場合等においては、単に第1樹脂保持バックを磁石装着部から取り外すだけの単純な工程のみで、磁石を固定するための樹脂を回転子本体から分離することができ、回転子を構成する各部材を容易に再利用することができる。
さらに、上記の回転子によれば、第1樹脂保持バックは、例えば、予め、位置決めされた磁石の表面と磁石装着部の内面との間に形成される空間部と同等の形状を備え、磁石装着部内に挿入される際には、この挿入に適した形状に変形させられたり、例えば、可逆的あるいは不可逆的に弾性変形可能に形成されて、内部に樹脂が注入されることに伴って膨張しつつ、磁石の表面と磁石装着部の内面との間の空間部を埋めるようにして変形させられる。これにより、内部に樹脂を充填するだけの単純な工程によって、磁石の表面と磁石装着部の内面との間の空間部を埋めるようにして第1樹脂保持バックを装着することができる。
さらに、上記の回転子によれば、振動や騒音の発生を抑制することができる。
しかも、磁石を磁石装着部内に固定する樹脂は第1樹脂保持バック内に保持されることから、第1樹脂保持バック内に樹脂を充填する際には、磁石と磁石装着部との間の隙間を埋めるために必要とされるだけの適切な量の樹脂を第1樹脂保持バック内に充填するだけで済み、例えば回転子本体が複数の電磁鋼板が積層されてなる積層鋼板により形成される場合に硬化以前の樹脂が積層鋼板間に浸透してしまったり、例えば硬化以前の樹脂が磁石装着部内から流出してしまう等の不具合が生じることを防止することができる。
また、例えば回転子を分解して、回転子を構成する各部材を再利用する場合等においては、単に第1樹脂保持バックを磁石装着部から取り外すだけの単純な工程のみで、磁石を固定するための樹脂を回転子本体から分離することができ、回転子を構成する各部材を容易に再利用することができる。
さらに、上記の回転子によれば、第1樹脂保持バックは、例えば、予め、位置決めされた磁石の表面と磁石装着部の内面との間に形成される空間部と同等の形状を備え、磁石装着部内に挿入される際には、この挿入に適した形状に変形させられたり、例えば、可逆的あるいは不可逆的に弾性変形可能に形成されて、内部に樹脂が注入されることに伴って膨張しつつ、磁石の表面と磁石装着部の内面との間の空間部を埋めるようにして変形させられる。これにより、内部に樹脂を充填するだけの単純な工程によって、磁石の表面と磁石装着部の内面との間の空間部を埋めるようにして第1樹脂保持バックを装着することができる。
さらに、上記の回転子によれば、磁石装着部の外周側内面上に積層段差が形成されている場合であっても、この積層段差に直接に磁石の外周面が当接することで振動や騒音等が生じることを防止することができる。
さらに、請求項6に記載の発明の回転子では、前記第1樹脂保持バックは、内部に前記樹脂が充填された以後において前記樹脂と一体化する材料により形成される。
また、例えば回転子を分解して、回転子を構成する各部材を再利用する場合等においては、単に第1樹脂保持バックを磁石装着部から取り外すだけの単純な工程のみで、磁石を固定するための樹脂を回転子本体から分離することができ、回転子を構成する各部材を容易に再利用することができる。
さらに、第1樹脂保持バックは、例えば、予め、位置決めされた磁石の表面と磁石装着部の内面との間に形成される空間部と同等の形状を備え、磁石装着部内に挿入される際には、この挿入に適した形状に変形させられたり、例えば、可逆的あるいは不可逆的に弾性変形可能に形成されて、内部に樹脂が注入されることに伴って膨張しつつ、磁石の表面と磁石装着部の内面との間の空間部を埋めるようにして変形させられる。これにより、内部に樹脂を充填するだけの単純な工程によって、磁石の表面と磁石装着部の内面との間の空間部を埋めるようにして第1樹脂保持バックを装着することができる。
さらに、振動や騒音の発生を抑制することができる。
また、例えば回転子を分解して、回転子を構成する各部材を再利用する場合等においては、単に第1樹脂保持バックを磁石装着部から取り外すだけの単純な工程のみで、磁石を固定するための樹脂を回転子本体から分離することができ、回転子を構成する各部材を容易に再利用することができる。
さらに、第1樹脂保持バックは、例えば、予め、位置決めされた磁石の表面と磁石装着部の内面との間に形成される空間部と同等の形状を備え、磁石装着部内に挿入される際には、この挿入に適した形状に変形させられたり、例えば、可逆的あるいは不可逆的に弾性変形可能に形成されて、内部に樹脂が注入されることに伴って膨張しつつ、磁石の表面と磁石装着部の内面との間の空間部を埋めるようにして変形させられる。これにより、内部に樹脂を充填するだけの単純な工程によって、磁石の表面と磁石装着部の内面との間の空間部を埋めるようにして第1樹脂保持バックを装着することができる。
さらに、磁石装着部の外周側内面上に積層段差が形成されている場合であっても、この積層段差に直接に磁石の外周面が当接することで振動や騒音等が生じることを防止することができる。
さらに、請求項5に記載の発明の回転子によれば、一体化された第1樹脂保持バックと磁石とを磁石装着部内に挿入することができる。
本実施の形態に係る回転子10は、例えば内燃機関と共に車両の駆動源とされるハイブリッド車両用電動機をなすブラシレスDCモータの回転子であって、このブラシレスDCモータは、回転子10を回転させる回転磁界を発生する複数相の固定子巻線を具備する固定子を備えて構成されている。そして、例えば内燃機関とブラシレスDCモータとトランスミッションとを直列に直結した構造のパラレルハイブリッド車両において、内燃機関およびブラシレスDCモータの両方の駆動力は、トランスミッションを介して車両の駆動輪に伝達されるようになっている。
周方向の両側から凹溝12b,12bにより挟み込まれる突極状に形成された各磁石装着部13は、例えば図2に示すように、回転軸O方向に貫通する1対の磁石装着孔13a,13aを備え、これら2つの磁石装着孔13a,13aはセンターリブ13bを介して周方向に隣り合うように配置されている。各磁石装着孔13aは回転軸線O方向に対する断面が略長方形状に形成され、各磁石装着孔13aの周方向および径方向の各寸法は、略長方形板状の磁石14の幅寸法および厚さ寸法よりも所定寸法だけ大きく設定されている。
樹脂保持バック22は、内部の樹脂22aが硬化することによって磁石14と磁石装着孔13aとの間の隙間21を埋めると共に、磁石14を径方向の外周側に向かって押圧し、磁石14の外周面14Aを磁石装着孔13aの外周側内面13Aに押圧固定する。
なお、端面板15の内周面15Bは、シャフト11の外周面11Aの外径と同等あるいは外周面11Aの外径よりも僅かに大きく、かつ、シャフト11の外周面11A上に設けられた突出部11aの外径よりも小さい内径を有するように形成され、さらに、この内周面15B上の周方向に沿った所定位置には回転軸O方向に伸びる複数(例えば2つ)の突部15a,15aが形成されている。すなわち、端面板15の内周面15Bがシャフト11の外周面11Aに対向するようにして端面板15を相対的にシャフト11に装着する際に、端面板15の突部15aがシャフト11の凹溝11bに装着されることで、端面板15とシャフト11とが周方向の所定相対位置に位置決めされ、さらに、端面板15がシャフト11の突出部11aに当接することで、端面板15がシャフト11の回転軸O方向の一方の端部から抜けてしまうことを防止するようになっている。
次に、ステップS02においては、ヨーク12の各磁石装着孔13aの一方の開口部が一方の端面板15により閉塞された磁石装着孔13aに、未着磁の磁石14と、樹脂22aを未注入の樹脂保持バック22とを挿入する。なお、このとき、例えば図4(a)に示すように、樹脂保持バック22を磁石14よりも内周側にずれた位置に配置する。
次に、ステップS03においては、樹脂保持バック22内に所定量の樹脂22aを注入する。これにより、例えば図4(b)に示すように、磁石14と磁石装着孔13aとの間の隙間21を埋めるようにして樹脂保持バック22が変形し、磁石14は、径方向の外周側に向かって押圧され、磁石14の外周面14Aが磁石装着孔13aの外周側内面13Aに当接した状態で位置決めされる。
次に、ステップS05においては、ヨーク12の各磁石装着孔13aの他方の開口部から外部に突出する樹脂保持バック22および硬化した樹脂22aの余剰分を削除する。
そして、ステップS06においては、例えば図4(c)に示すように、ロータシャフト11に他方の端面板15を装着し、ヨーク12の各磁石装着孔13aの他方の開口部を他方の端面板15により閉塞する。
次に、ステップS07においては、カラー16にロータシャフト11を圧入するようにして、ロータシャフト11にカラー16を装着する。
そして、ステップS08においては、例えばロータシャフト11とヨーク12と1対の端面板15,15とカラー16との相対位置等の検査および修正を行う。
そして、ステップS09においては、回転バランス等を調整する。
次に、ステップS10においては、各磁石装着孔13aに装着された磁石14に対して、ブラシレスDCモータの所望の運転特性を確保するために必要とされる所定の帯磁磁束が形成されるようにして、磁化方向を厚さ方向とし、適宜の着磁装置(図示略)により着磁を行い、一連の処理を終了する。
しかも、回転子10を、例えばハイブリッド車両や燃料電池車両等の車両の駆動源とされる車両用電動機に具備した際に、車両の駆動源の使用環境や車両用電動機の運転状態等に応じて樹脂22aの熱変形が増大することを抑制するために、相対的に粘度が低い樹脂22aを採用した場合であっても、ヨーク12を構成する複数の電磁鋼板が積層されてなる積層鋼板間に硬化以前の樹脂22aが浸透してしまうことを防止することができ、磁石14と磁石装着孔13aとの間の隙間を埋めるために必要とされるだけの適切な量の樹脂22aを樹脂保持バック22内に充填するだけで、磁石14を適切に固定することができる。
また、例えば回転子10を分解して、回転子10を構成する各部材を再利用する場合等においては、単に樹脂保持バック22を磁石装着孔13a内から取り外すだけの単純な工程のみで、磁石14を固定するための樹脂22aをヨーク12から分離することができ、回転子10を構成する各部材を容易に再利用することができる。
また、例えば図6に示す本実施形態の第2変形例のように、予め、樹脂保持バック22を、例えば板状等のガイド部材31に接合しておき、ガイド部材31と共に磁石装着孔13a内に挿入してもよい。
そして、この場合には、例えば樹脂保持バック22に樹脂22aを注入して樹脂保持バック22を膨張させることによって、樹脂保持バック22を磁石装着孔13a内に挿入してもよい。
この本実施形態の第3変形例においては、例えば図7に示すように、上述したステップS01の実行後に、ステップS11に進む。
そして、ステップS11においては、ヨーク12の各磁石装着孔13aの一方の開口部が一方の端面板15により閉塞された磁石装着孔13aに未着磁の磁石14を挿入する。
次に、ステップS12においては、ヨーク12の各磁石装着孔13aの他方の開口部に樹脂保持バック22を配置し、樹脂保持バック22内に樹脂22aを所定の注入圧力で注入して樹脂保持バック22を膨張させることによって、樹脂保持バック22を磁石14の内周面14Dと磁石装着孔13aの内周側内面13Dとの間の隙間21内に挿入する。そして、上述したステップS04に進む。
12 ヨーク(回転子本体)
13 磁石装着部
14 磁石
22 樹脂保持バック
22a 樹脂
Claims (6)
- 回転子本体に設けられた磁石装着部に磁石が装着されてなる回転子であって、
前記磁石装着部の内面と前記磁石の表面との間に、内部に樹脂が充填されることにより前記磁石を前記磁石装着部の内面に向い押圧する第1樹脂保持バックを備え、
前記第1樹脂保持バックは、予めガイド部に接合されており、前記ガイド部と共に前記磁石装着部内に挿入され、かつ、
位置決めされた前記磁石の表面と前記磁石装着部の内面との間の空間部と同等の形状に変形可能であり、かつ、
前記磁石の両側面および内周面と、前記磁石装着部の周方向両内面および内周側内面との間に形成される隙間の形状と同等であることを特徴とする回転子。 - 前記第1樹脂保持バックは、前記磁石装着部内において前記磁石よりも内周側にずれた位置に配置され、
さらに、前記磁石の外周面と前記磁石装着部の外周側内面との間に配置された第2樹脂保持バックを備えることを特徴とする請求項1に記載の回転子。 - 回転子本体に設けられた磁石装着部に磁石が装着されてなる回転子であって、
前記磁石装着部の内面と前記磁石の表面との間に、内部に樹脂が充填されることにより前記磁石を前記磁石装着部の内面に向い押圧する第1樹脂保持バックを備え、
前記第1樹脂保持バックは、予めガイド部に接合されており、前記ガイド部と共に前記磁石装着部内に挿入され、かつ、
位置決めされた前記磁石の表面と前記磁石装着部の内面との間の空間部と同等の形状に変形可能であり、かつ、
前記磁石装着部内において前記磁石よりも内周側にずれた位置に配置され、
さらに、前記磁石の外周面と前記磁石装着部の外周側内面との間に配置された第2樹脂保持バックを備えることを特徴とする回転子。 - 前記第2樹脂保持バックは前記第1樹脂保持バックよりも薄いことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の回転子。
- 前記ガイド部は前記磁石であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1つに記載の回転子。
- 前記第1樹脂保持バックは、内部に前記樹脂が充填された以後において前記樹脂と一体化する材料により形成されることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1つに記載の回転子。
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