JP4545407B2 - 耐熱性樹脂含浸剤 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳造品、燒結金属、セラミックス等からなり内部に空隙を有する材料に対して、その空隙を充填又は封孔するために用いられる樹脂含浸剤に関する。
鋳造品、燒結金属、セラミックス等の材料においては、内部に多くの微細な空隙を有している場合がある。このような材料(以下、多孔質体という)を、内部に気体や液体といった流体を収容又は流通させる目的で自動車部品、ガス器具部品、ポンプ部品用等に使用する場合には、必要に応じて含浸剤で含浸加工を施すことがある。この含浸加工に用いられる含浸剤としては、無機系の水ガラスが古くから用いられてきた。しかし、封孔効果への信頼性、生産性の観点から、近年はアクリル系単量体を主成分とした樹脂含浸剤の使用が増加している。この樹脂含浸剤は多孔質体に含浸された後、重合されるものである。
このアクリル系単量体を主成分とした樹脂含浸剤は、200℃を越える温度では酸化分解と解重合が進むため、耐熱性が十分でないという問題があった。従って、アクリル系単量体を主成分とした樹脂含浸剤は、封孔された多孔質体に高温がかかる場合には、200℃を越えないような部分の封孔に使用されていた。
ところが、自動車等のエンジン部品等、高温に暴露される部品の封孔に対するユーザーニーズがあり、より耐熱性の高いアクリル系単量体を主成分とした樹脂含浸剤の開発が望まれている。そこで、例えば、アクリロイルモルホリンを主成分とする含浸液(特許文献1参照)、アルキル化されたアミノ基を有するビニル系単量体を含む含浸剤(特許文献2参照)などが提案されている。
また、樹脂含浸剤を使用した含浸加工では、通常、真空含浸の後、多孔質体の表面に付着した余分な樹脂含浸剤を水洗により除去する水洗工程が必要である。この水洗工程で、樹脂含浸剤は水溶化もしくはエマルジョン化して水洗槽の水に溶け込む。水洗槽の水を交換する際に廃水が生じるが、廃水中の樹脂含浸剤は油水分離、熱重合等の廃水処理によって水から分離され、焼却処分されていた。そのため、含浸加工コストの低減及び省資源の観点から、水洗槽から樹脂含浸剤を分離回収して再利用することが求められていた。そこで、例えば、水より低比重の非水溶性単量体を含む樹脂含浸剤を洗浄廃水から回収、処理する方法(特許文献3参照)などが提案されている。
特許第3357664号公報 特開2003−73586号公報 特開平4−154822号公報
特許文献1に記載されたアクリロイルモルホリンを主成分とする含浸液は耐熱性が優れているが、アクリロイルモルホリンが水溶性であるため、水洗工程で樹脂含浸剤を分離回収して再利用することができなかった。同様に、特許文献2に記載されたアルキル化されたアミノ基を有するビニル系単量体を含む含浸剤も耐熱性に優れているが、アミノ基を有するビニル系単量体が水溶性であるため、水洗工程で樹脂含浸剤を分離回収して再利用することができなかった。
一方、特許文献3に記載された洗浄廃水から樹脂含浸剤を分離回収する方法では、水溶性単量体を回収できないという問題があった。そのため、非水溶性単量体と水溶性単量体からなる樹脂含浸剤では、分離回収した樹脂含浸剤の組成が変化するので、回収した樹脂含浸剤は成分調整をしないと再利用することができなかった。
また、水洗工程では洗浄廃水が発生するが、処理コストの低減とともに環境への負荷の低減の観点から、その洗浄廃水量の低減が求められていた。
本発明は、特殊な水溶性の単量体を必須成分として用いなくても耐熱性に優れ、水洗工程にて分離回収可能であり、分離回収された樹脂含浸剤の成分調整を省略できる耐熱性樹脂含浸剤を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、通常樹脂の耐光劣化性の改良に使用されるヒンダードアミン系光安定剤あるいは特定のヒンダードフェノール系酸化防止剤を樹脂含浸剤に添加、硬化させたときに耐熱性を改良できることを見出した。さらに樹脂含浸剤の水への溶解度を小さくすることにより、水中に分散した状態から分離回収された樹脂含浸剤においても耐熱性が維持されることを見出した。そして、これらの知見から以下の耐熱性樹脂含浸剤を発明した。
本発明の耐熱性樹脂含浸剤は、ビニル系単量体混合物を主成分として含有し、ヒンダードアミン系光安定剤及び分子量500以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤から選ばれた一種以上をさらに含有することを特徴とする。
本発明の耐熱性樹脂含浸剤においては、前記ビニル系単量体混合物が、下記式(1)で示される(メタ)アクリル酸エステルのいずれか一種以上をさらに含有することが好ましい。
Figure 0004545407
(式中、Rは水素原子又はCH3、2は炭素数2〜3の直鎖又は分枝アルキレン基、R3はフェニル基、aは1または2を示す)
また、本発明の耐熱性樹脂含浸剤においては、前記ビニル系単量体混合物が、下記式(2)で示される(メタ)アクリル酸エステルのいずれか一種以上をさらに含有することが好ましい。
Figure 0004545407
(式中、R4は水素原子又はCH3、5はフェニル基を示す)
また、本発明の耐熱性樹脂含浸剤は、水への溶解度が3質量%未満であることが好ましい。
さらに水との比重差が0.04以上であることが好ましい。
また、前記ビニル系単量体混合物が、下記式(3)で表されるポリエステル(メタ)アクリレートをさらに1〜10質量%含有してもよい。
Figure 0004545407
(式中、R6は水素原子又はCH、R7は炭素数2〜3の直鎖又は分枝アルケニル基、R8はフェニレン基、R9は水素原子又は炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基)
また、本発明の耐熱性樹脂含浸剤は、下記式(4)で表されるアゾ系重合開始剤、下記式(5)で表されるアゾ系重合開始剤から選ばれた少なくとも一種の非水溶性アゾ系重合開始剤を含有してもよい。
Figure 0004545407
(式中、R10は炭素数2〜4のアルキル基)
Figure 0004545407
(式中、R11は炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基)
本発明の樹脂含浸剤は、特殊な水溶性の単量体を必須成分として用いなくても耐熱性に優れたものであり、非水溶性の単量体を使用できるから、耐熱性を損なうことなく分離回収でき、しかも成分調整をすることなく再利用が可能である。そのため、含浸加工コストの低減及び資源の節約を図ることができる。更に、樹脂含浸剤と同時に分離された処理水も水洗水として再利用が可能であるため、水洗工程にて排出される洗浄廃水量を低減できる。したがって、処理コストおよび環境への負荷を低減でき、工業的に非常に有用である。
本発明の耐熱性樹脂含浸剤は、ビニル系単量体混合物を主成分として含有し、ヒンダードアミン系光安定剤及び分子量500以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤から選ばれた一種以上をさらに含有するものである。
この樹脂含浸剤の主成分として含有されるビニル系単量体混合物とは、ビニル系単量体を含有するものである。そのビニル系単量体は、一般的な重合性のビニル系単量体であり、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アルキルジ(メタ)アクリレート等の架橋剤、そしてグリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸、酢酸ビニル、スチレン、メチルスチレン等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせることが好ましい。
また、上記ビニル系単量体混合物は、下記式(1)で示される(メタ)アクリル酸エステルのいずれか一種以上をさらに含有することが好ましい。下記式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ビニル系単量体混合物が下記式(1)で示される(メタ)アクリル酸エステルのいずれか一種以上をさらに含有していれば、耐熱性がより優れる。
Figure 0004545407
(式中、Rは水素原子又はCH3、2は炭素数2〜3の直鎖又は分枝アルキレン基、R3はフェニル基、aは1または2を示す)
上記式(1)で示されるフェノキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの、ビニル系単量体混合物中の含有量は特に限定されないが、1〜99質量%の範囲であることが好ましい。1質量%未満では耐熱性改良の効果が充分でなく、また99質量%を超えると樹脂含浸剤が軟質となりかえって耐熱性を低下させてしまう傾向にある。
また、上記ビニル系単量体混合物が、下記式(2)で示される(メタ)アクリル酸エステルのいずれか一種以上をさらに含有することが好ましい。下記式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等が挙げられる。
ビニル系単量体混合物が下記式(2)で示される(メタ)アクリル酸エステルのいずれか一種以上をさらに含有していれば、耐熱性がより優れる。
Figure 0004545407
(式中、R4は水素原子又はCH3、5はフェニル基を示す)
上記式(2)で示されるフェノキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの、ビニル系単量体混合物中の含有量が0.5〜20質量%の範囲であることが好ましい。0.5質量%未満では耐熱性改良の効果が充分でなく、20質量%を超えると樹脂含浸剤の粘度が高くなり、含浸効果が低下する傾向にあるため好ましくない。
また、耐熱性樹脂含浸剤は水への溶解度が3質量%未満であることが好ましいことから、そのような溶解度にするために、ビニル系単量体混合物は実質的に全て非水溶性のビニル系単量体で構成されていることが好ましい。
非水溶性のビニル系単量体としては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル基の炭素数が12及び13であるアルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分枝アルキル(メタ)アクリレート、及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート、パラ−t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の環式アルキル(メタ)アクリレート類、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の末端アルキルアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート等の非水溶性のヒドロキシアルキルメタクリレート類、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとγ−プチロラクトン、カプロラクトン等の付加物等が挙げられる。これらは必要に応じ2種以上を組み合わせても良い。
また、上記式(1)で表されるフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等、また上記式(2)で表される2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等が挙げられる。これらについても必要に応じ2種以上を組み合わせても良い。
また、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール‐トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス{4−((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン等のビスフェノールAのEO付加物ジメタクリレート類、及びトリメチロールプロパントリメタクリレート等の非水溶性架橋剤が挙げられる。これらは必要に応じ2種以上を組み合わせても良い。
なお、耐熱性樹脂含浸剤の水への溶解度が3質量%以上であると、分離回収した樹脂含浸剤の組成が変化し、硬化した樹脂含浸剤の耐熱性が低下するおそれがある。また、水洗水中の樹脂含浸剤濃度が3質量%未満であれば、分離回収した処理水の安定性が向上する。
ここで、樹脂含浸剤の水への溶解度の測定方法としては屈折計を利用したBRIX%の測定が簡便である。その測定方法は、まず、耐熱性樹脂含浸剤を水と一定の比率(例えば樹脂含浸剤15/水85)で混合静置し、水層と油層とに分離する。次いで、分離した水層を分取し、BRIX%を測定して水への溶解度を求める。
また、ビニル系単量体混合物を実質的に全て非水溶性のビニル系単量体で構成した場合には、樹脂含浸剤の極性が低下し、多孔質体との密着性が低下する傾向にあるので、多孔質体との密着性を改良するために、ビニル系単量体混合物がさらに下記式(3)で表されるポリエステル(メタ)アクリレートを1〜10質量%含有することが好ましい。下記式(3)で表されるポリエステル(メタ)アクリレートの具体例としては、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートの含有量が前記下限より少ないと密着性の改良効果が十分に発揮されない。前記上限より多いと樹脂含浸剤の粘度を増大させたり、また水洗工程で樹脂含浸剤を浮上分離して回収する場合に、過剰なポリエステル(メタ)アクリレートが水洗槽に沈降するといった問題を起こすため好ましくない。
Figure 0004545407
(式中、R6は水素原子又はCH、R7は炭素数2〜3の直鎖又は分枝アルケニル基、R8はフェニル基、R9は水素原子又は炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基)
耐熱性樹脂含浸剤に含まれるヒンダードアミン系光安定剤としては、合成樹脂の耐光安定剤として通常使用されているものが使用できる。具体的には、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート及び2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との縮合物(アデカスタブLA‐67、旭電化工業製)等が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の耐熱性樹脂含浸剤中の含有量は特に限定されないが、ビニル系単量体混合物100質量部に対して0.05〜2質量部の範囲であることが好ましい。また、重合性のヒンダードアミン系光安定剤にあっては、0.05〜5質量部の範囲であることが好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が前記下限より少ないと耐熱性改良効果が不十分になるおそれがある。その一方で、ヒンダードアミン系光安定剤は少量で優れた耐熱性の改良効果があるので、経済的な面からも前記上限より多いのは好ましくない。
また、分子量500以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、合成樹脂の酸化防止剤として通常使用されているものが使用できる。具体的には、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(分子量587)、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート](分子量587)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ハイドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン(分子量545)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(分子量775)、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(分子量741)等が挙げられる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の分子量が500未満であると耐熱性改良効果が不十分になる。
また分子量500以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤の樹脂含浸剤中の含有量は特に限定されないが、ビニル系単量体混合物100質量部に対して0.05〜1質量部の範囲であることが好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が前記下限より少ないと耐熱性改良効果が不十分になることがあり、前記上限より多いと重合禁止効果が働き、樹脂含浸剤の硬化性を低くし、却って逆効果になる傾向にある。
ヒンダードアミン系光安定剤及び分子量500以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤はそれぞれ単独で用いても良いし、またそれぞれ一種以上を組み合わせても良い。
耐熱性樹脂含浸剤には、ビニル系単量体混合物を重合して硬化させるための重合開始剤が含まれる。重合開始剤としては、例えば、2,2−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−ヘキサオネート等の有機過酸化物が挙げられる。耐熱性樹脂含浸剤がヒンダードアミン系光安定剤を含有する場合には、耐熱性樹脂含浸剤の貯蔵安定性の点から重合開始剤としてアゾ化合物を使用するのが好ましい。
重合開始剤としてアゾ化合物を使用する場合、その配合量は、ビニル系単量体混合物100質量部に対して0.1〜1.0質量部であることが好ましい。また、重合開始剤として有機過酸化物を使用する場合、その配合量は、ビニル系単量体混合物100質量部に対して0.5〜2.0質量部であることが好ましい。
耐熱性樹脂含浸剤の水への溶解性を低くするために、耐熱性樹脂含浸剤の主成分であるビニル系単量体混合物を全て非水溶性のビニル系単量体で構成する場合には、重合開始剤として非水溶性アゾ系重合開始剤を使用することが好ましい。
非水溶性アゾ系重合開始剤としては、水より分離回収した樹脂含浸剤の硬化性が安定することから、下記式(4)で表される非水溶性アゾ系重合開始剤および下記式(5)で表される非水溶性アゾ系重合開始剤からなる群から選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
Figure 0004545407
(R10は炭素数2〜4のアルキル基)
Figure 0004545407
(R11は炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基)
式(4)で表される非水溶性アゾ系重合開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。式(5)で表される非水溶性アゾ系重合開始剤の具体例としては、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)等が挙げられる。これらの中でも、重合反応性及び保存安定性の観点から、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル及び/又はジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートが好ましい。
また、本発明の目的を妨げない範囲において、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル等の高温分解型のアゾ系重合開始剤を適宜使用することもできる。
非水溶性アゾ系重合開始剤の配合量は、ビニル系単量体混合物100質量部に対して0.2〜2.0質量部であることが好ましい。このように非水溶性アゾ系重合開始剤を含有することによって、分離回収した樹脂含浸剤の硬化性が安定し、優れた耐熱性及び良好な封孔効果が得られる。
上述した耐熱性樹脂含浸剤においては、更に硬化性の経時安定性を確保するために、1,2,3−ベンゾトリアゾールを含有しても良い。1,2,3−ベンゾトリアゾールの含有量としてはビニル系単量体混合物100質量部に対して0.01〜0.5質量部であることが好ましい。
更に、耐熱性樹脂含浸剤には、作業工程での安定性を高めるために重合禁止剤を含有させることもできる。重合禁止剤としては、公知のハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等のアルキル化フェノール等が挙げられる。
このような構成の耐熱性樹脂含浸剤は、水との比重差が0.04以上であることが好ましい。水との比重差が0.04以上であれば、水洗工程における水洗性がより良好になるため、例えば、多孔質体がネジ孔等を有する場合、余分な樹脂含浸剤が残り、硬化処理後にネジ孔を閉塞するといった問題が起こる可能性が極めて低い。一方、樹脂含浸剤と水との比重差が0.04未満であると、例えば、鋳造部品の表面から余分な樹脂含浸剤を水洗により除去する水洗工程においてネジ孔に樹脂含浸剤が残り、硬化処理後の組み立て加工の際にネジ孔の閉塞トラブルを起こしやすくなる。
耐熱性樹脂含浸剤と水との比重差を0.04以上にするためには、ビニル系単量体混合物の比重が0.96以下または1.04以上になるように、ビニル系単量体混合物の構成を選択することが好ましい。ビニル系単量体混合物の比重が0.96以下になるような構成としては、上記式(1)で示されるフェノキシ基を有する(メタ)アクリレート1〜50質量%、ヒドロキシアルキルメタクリレート0〜50質量%、上記式(2)で示されるフェノキシ基を有する(メタ)アクリレート0.5〜20質量%、(環式)アルキル(メタ)アクリレート30〜90質量%、末端アルキルアルキレングリコール(メタ)アクリレート0〜50質量%、非水溶性架橋剤1〜10質量%が好ましい。
また、ビニル系単量体混合物の比重が1.04以上になるような範囲としては、上記式(1)で示されるフェノキシ基を有する(メタ)アクリレート1〜99質量%、上記式(2)で示されるフェノキシ基を有する(メタ)アクリレート0.5〜20質量%、非水溶性ヒドロキシアルキルメタクリレート0〜98質量%、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとγ−プチロラクトン、カプロラクトン等の付加物0〜10質量%、非水溶性架橋剤1〜10質量%が好ましい。
なお、これらの配合においては、ビニル系単量体の合計を100質量%とする。
上記の好ましい構成では、いずれもフェノキシ基を有する(メタ)アクリレート及び非水溶性架橋剤を必須としており、より高い耐熱性およびより良好な封孔効果を発揮する。
次に、耐熱性樹脂含浸剤を用いた樹脂含浸加工方法について説明する。
一般に、樹脂含浸加工方法は、樹脂含浸剤を多孔質体に含浸する含浸工程と、多孔質体の表面に付着した余分な樹脂含浸剤を除去する水洗工程とを有する。
含浸工程では、樹脂含浸剤が満たされた含浸槽中に多孔質体を浸漬し、真空又は真空−加圧して含浸する。また、含浸工程では、加熱して、重合開始剤により樹脂含浸剤を硬化させる。この際、樹脂含浸剤を含浸槽に投入する直前に、樹脂含浸剤の主成分であるビニル系単量体混合物に重合開始剤を添加、溶解することが好ましい。このように重合開始剤を添加すれば、通常、屋外倉庫等の温度コントロールされていない環境に保管されている樹脂含浸剤が熱重合することを防止できる。
水洗工程では、まず、含浸槽中から引き上げられた多孔質体の液切りをする。次いで、水洗水が満たされた水洗槽中に多孔質体を浸漬し、表面に付着した余分な樹脂含浸剤を除去する。
また、水洗工程では、水洗性が良好になることから、水洗水中にリン酸基を有するアニオン性界面活性剤を含有させることが好ましい。リン酸基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンフェニルエーテルリン酸等が挙げられる。これらの中でもポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩が特に好ましい。なお、αオレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩等のリン酸基を有さないアニオン性界面活性剤を含有させた場合、リン酸基を有するアニオン性界面活性剤とは異なり、樹脂含浸剤の水中への分散性が強くなり、樹脂含浸剤の水洗工程からの分離回収性が低下する。
上記リン酸基を有するアニオン性界面活性剤の含有量は、樹脂含浸剤の水洗水への乳化を抑える点から0.5質量%以下であることが好ましい。
また、リン酸基を有するアニオン性界面活性剤の含有量を越えない範囲で、ノニオン性界面活性剤を併用しても良いし、本発明の効果を妨げない範囲内で、水洗水中に炭酸水素ナトリウム等の弱アルカリ性無機塩を含有させてもよい。また、鋳造品、燒結金属を含浸加工する場合には、珪酸塩等の防錆剤を水洗水に添加しても差し支えない。これに対し、硫酸ナトリウム等の中性無機塩を含有させることは、樹脂含浸剤のエマルジョン化を促進し、樹脂含浸剤の油水分離を妨げるため好ましくない。
水洗工程で水洗槽に浮上した樹脂含浸剤を分離回収する方法としては、デカンター方式やオイルスキマー等の静置分離回収方法、強制的に油滴を肥大化し分離回収するコアレッサー方式の油水分離方法等の工業的に実施されている分離回収方法を採用できる。油水分離方法を採用する場合には、その工程途中若しくは油水分離回収後、必要に応じて切削粉等の濾過を行なってもよい。
このようにして回収した樹脂含浸剤は、直接含浸槽に移してもよいし、液切り槽などの貯槽にいったん貯めた後に含浸槽へ戻してもよい。また、このとき同時に分離された処理水は、再度、水洗水として使用することができる。
なお、樹脂含浸液を含浸させた多孔質体については、水洗工程後、水切りして、90℃以上の熱水中、又は130℃前後もしくはそれ以上の熱風下で、含浸させた樹脂含浸剤の硬化処理を行なう。
以上説明した耐熱性樹脂含浸剤にあっては、ヒンダードアミン系光安定剤、特定のヒンダードフェノール系酸化防止剤から選ばれた一種以上を含有するので、特殊な水溶性の単量体を必須成分にしなくても耐熱性に優れている。よって、非水溶性単量体のみで構成することができることから、硬化性、耐熱性を損なうことなく分離回収でき、しかも成分調整をすることなく再利用が可能である。そのため、含浸加工コスト及び資源の節約を図ることができる。
更に、同時に分離された処理水も水洗水として再利用が可能であるため、水洗工程にて排出される洗浄廃水量を低減できる。そのため、処理コストおよび環境への負荷を低減でき、工業的に非常に有用性があるといえる。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、特に断りのない限り「%」とは「質量%」のことであり、「部」とは「質量部」のことである。
表1、表2のような組成で配合して樹脂含浸剤配合(A)〜(M)を得て、これを均一溶液にした。なお、配合においては、ビニル系単量体混合物の合計を100%とした。
表1、表2中、a−1〜a−4のヒンダードアミン系光安定剤の詳細は、
a−1:アデカスタブLA−77、a−2:アデカスタブLA−57、a−3:アデカスタブLA−67、a−4:アデカスタブLA−87(以上4種類、旭電化工業製)である。
また、b−1〜b−4のヒンダードフェノール系酸化防止剤の詳細は、
b−1:アンテージW−300(川口化学工業製、分子量500未満)、b−2:アデカスタブAO−50、b−3:アデカスタブAO−80、b−4:アデカスタブAO−30(以上3種類、旭電化工業製、分子量500以上)である。
Figure 0004545407
Figure 0004545407
このようにして得られた樹脂含浸剤について、以下の評価を実施した。
(評価方法)
(1)樹脂含浸剤硬化物の耐熱性
表1および表2に示す配合(A)〜(M)の樹脂含浸剤を各々内径6mm、長さ200mmの試験管に入れ、90℃±1の熱水中で10分間加熱して各約1.0gの硬化物を得た。ただし、配合(D)のみは、95℃±1の熱水中で10分間加熱して硬化物を得た。この硬化物を設定温度(200℃、250℃)±2℃の熱風乾燥機中に入れ、一定時間後の質量を測定し、質量保持率を算出した。その結果を表3に示す。
Figure 0004545407
(2)樹脂含浸剤の油水分離テスト−1
200℃耐熱性を実施した表3に示す実施例1〜10の配合例の中で、非水溶性のビニル系単量体から構成される配合(C)〜(G)、(I)、(J)及び水溶性のビニル系単量体である2−ヒドロキシプロピルメタクリレートを含有する配合(B)の樹脂含浸剤について以下のように油水分離テストを実施した。
まず、分液ロートに、水道水85部、樹脂含浸剤(原液)15部の比率で加えモデル混合水を調製した。次いで、その分液ロートを30秒間振って混合し、3時間放置後、上層の樹脂含浸剤と下層の水とに分離し、それぞれを回収した。ただし、配合例(J)の樹脂含浸剤は比重が1より大きいため下層の樹脂含浸剤と上層の水とに分離し、それぞれを回収して評価に使用した。
また、この樹脂含浸剤の油水分離テストで回収した樹脂含浸剤の200℃耐熱性を上記と同様の方法で実施した。その結果を表4に示す。
(3)樹脂含浸剤比重(20℃)
樹脂含浸剤を20℃±1℃の液温にした後、JIS−K−0061に準拠して、比重フロートで測定した。その結果を表4に示す。
(4)ゲルタイム
内径6mm、長さ200mmのガラス試験管に樹脂含浸剤を約0.5g入れ、90℃±1℃の熱水中で加熱し硬化するまでの時間を測定した。硬化は挿入した針金が固着することで確認した。その結果を表4に示す。ただし、配合(D)のみは、95℃±1の熱水中で加熱し硬化するまでの時間を測定した。
(5)含浸剤濃度
樹脂含浸剤の油水分離テストで分離回収された水について、アッベ屈折率計を使用し、25℃でのBRIX%を測定した。その結果を表4に示す。
Figure 0004545407
(6)水洗性テスト
配合例(E)と配合例(G)の樹脂含浸剤について以下のような水洗性テストを実施した。
6面にφ6mm、深さ15mmのネジ孔2つ、φ4mm、深さ10mmのネジ孔2つが形成された外形50mm×50mm×30mmのアルミ合金ブロックを樹脂含浸剤中に沈め、デシケータで13.3hPa以下の真空度でネジ孔中の空気を脱泡した。なお、アルミ合金ブロックのネジ孔は、ネジ孔底が他のネジ孔と貫通しているために閉塞していないものが一部ある。
次いで、50mm×50mmの面を水平に保持した状態でアルミ合金ブロックを樹脂含浸剤中から引き上げ、樹脂含浸剤の液面の上で90°横倒しにして、50×50mmの両面の中心を結ぶ軸を中心として一回転させた。次いで、50×50mmの面を水平に保持した状態に戻し、引き上げてから30秒後まで樹脂含浸剤の液面の上にアルミ合金ブロックを保持した。この液切り操作前後の樹脂含浸剤の質量差を測定し、アルミ合金ブロックへの樹脂含浸剤の付着量(X(g))を算出した。
次に、アルミ合金ブロックを、100ml/分の流量でエアバブリングさせた1Lの水洗水中で30秒間揺動させ、水洗を行なった。この際、水洗水はあらかじめポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸Naを0.05質量%溶解させたものを使用した。
更に、アルミ合金ブロックを1Lの水道水中で30秒間揺動させ、水洗を行なった。水道水中から引き上げたアルミ合金ブロックは、上記液切りと同様な操作で水切りを行った。このアルミ合金ブロックを熱風式オーブン中110℃、30分の条件で加熱乾燥した後、冷却した。
冷却後、アルミ合金ブロックの質量を測定し、テスト前のアルミ合金ブロックの質量との差から、水洗されずに残り、熱硬化した樹脂含浸剤の質量を算出した(Y(g))。そして、下記式により洗浄率を算出した。結果を表5に示す。
洗浄率(%)={(X(g)−Y(g))/X(g)}×100
また、熱硬化後のアルミ合金ブロック上側表面の状態を観察し、以下の基準で判定した。結果を表5に示す。
○:アルミ合金ブロック表面に油膜がない。
×:アルミ合金ブロック表面の面全体に油膜がある。
更に、アルミ合金ブロックを熱風式オーブン中130℃、20分の条件で加熱乾燥し、硬化した樹脂含浸剤が詰まり塞がっているネジ孔の個数を数え、閉塞したネジ孔個数とした。その結果を表5に示す。なお、予めアルミ合金ブロックの閉塞しているネジ孔の個数を数えておきネジ孔総数とした。また、閉塞率(%)とは、ネジ孔総数に対する閉塞したネジ孔個数の百分率のことである。
Figure 0004545407
(7)接着性テスト
外形100mm×50mm、板厚0.8mmのアルミ板をイソプロピルアルコール、水、アセトンの順番で洗浄後、常温で乾燥した。このアルミ板を2等分し、その片方の正方形の板の中心位置に樹脂含浸剤を1滴落とし、50mm×50mmの面積で重なるようにもう一方のアルミ板を載せた。この2枚のアルミ板をクリップで固定し、熱風式オーブン中120℃、10分の条件で加熱した。そして、アルミ板を室温まで冷却した後、クリップを取り外して接着性の評価をした。
接着性の評価としては、接着した板の両端を両手で折り曲げるような力を加え、剥離させたときの力を接着強さとして以下の基準で判定した。また、剥離状況を観察した。結果を表6に示す。
○:アルミ板が変形する程の強い力で剥離した。
△:中程度の力で剥離した。
×:アルミ板が変形しない弱い力で剥離した。
Figure 0004545407
(8)樹脂含浸剤の油水分離テスト−2
非水溶性のビニル系単量体から構成される配合(E)の樹脂含浸剤について下記(a)〜(i)の方法で油水分離テストを実施し、樹脂含浸剤を回収した。回収した樹脂含浸剤を下記(9)テストカップによる耐熱試験で評価した。
(a)2Lビーカーに水洗水850gを満たした。なお、水洗水はポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸Naを0.05%溶解させたものを使用した。
(b)樹脂含浸剤150gを2Lビーカー中の水洗水に投入した。
(c)ビーカー液中にエアバブリングを5分行った。
(d)30分静置した。
(e)油層をすくい取り分液ロートに入れた。
(f)分液ロート中で30分静置した。
(g)分液ロートで水層を分取し、上記2Lビーカーへ戻した。
(h)次に分液ロートで油層を分取、樹脂含浸剤を回収した。
(i)以上(b)〜(h)を繰り返し、回収樹脂含浸剤を得た。
(9)テストカップによる耐熱試験
配合(E)、配合(G)、配合(L)で調製した樹脂含浸剤、上記評価方法(8)で得た回収樹脂含浸剤を用いてMIL−I−6869Dに規定された下記テストカップの下記(イ)〜(ヘ)の封孔処理を行い、そのテストカップを200±2℃の熱風乾燥機中に入れ200時間保持した。この加熱中、50時間毎に耐圧試験による圧漏れの確認を行なった。圧漏れの確認は、MIL−I−6868Dに規定された圧力(0.55MPa)の内圧をテストカップに加え、これを水没させ、空気の漏れを目視確認する方法で行った。以後、テストカップによる試験は全て同じ条件で実施した。結果を表7に示す。
表7にて、○は耐圧試験でテストカップが圧漏れしなかったことを示し、×は圧漏れが発生したことを示す。
(テストカップ)
材質:ADC10(砂型成形)
個数:12個(各樹脂含浸剤について通気度分布毎に1個:計3個)
通気度(圧力:0.55MPaによる):
(A)1〜5ml/秒
(B)6〜10ml/秒
(C)16〜20ml/秒。
(封孔処理方法)
(イ)テストカップを樹脂含浸剤に浸漬した。
(ロ)圧力13.3hPa以下で30分間脱気した。
(ハ)テストカップを樹脂含浸剤に浸漬した状態で常圧に戻した。
(ニ)2分間液切りした。
(ホ)5分間、常温で、エアバブリングしながら水洗した。
(ヘ)熱水(90℃〜95℃)中で15分間硬化した。
Figure 0004545407
表3から明らかなように、実施例1〜10の樹脂含浸剤は耐熱性が良好であった。中でも、ヒンダードアミン系光安定剤を含有したものは特に結果が良好であった。また、フェノキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含有した実施例3〜10の樹脂含浸剤は特に優れた耐熱性を示した。さらに、フェノキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの中でも2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートを使用した配合(H)が優れた結果を示した。
これに対し、ヒンダードアミン系光安定剤もしくは分子量500以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤のいずれも使用しなかった比較例1,2の樹脂含浸剤は耐熱性が低いかった。また、フェノキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルを使用しても分子量500未満のヒンダードフェノール系酸化防止剤を使用した比較例3の耐熱性は低く、例えば、250℃耐熱性は実施例のレベルには及ばなかった。
また、表4から、ヒンダードアミン系光安定剤もしくは分子量500以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤のいずれか一種以上を含有し、かつ非水溶性のビニル系単量体のみから構成される配合である実施例11〜17では油水分離操作で回収された樹脂含浸剤の硬化性は良好であることが分かった。また、分離水中の樹脂含浸剤濃度はBRIX%で1%以下の低い値を示した。さらに、表3及び表4から、回収された樹脂含浸剤の耐熱性は、各原液の耐熱性とほぼ同等であることが分かった。
これに対し、非水溶性のビニル系単量体のみから構成されていない実施例18は、樹脂含浸剤の硬化性は低下し、分離水中の樹脂含浸剤濃度(BRIX%)は4%であり、非水溶性のビニル系単量体のみから構成されたもよりやや高かった。また、表から、回収された樹脂含浸剤の耐熱性は原液よりやや低かった。
表5から、アルミ合金ブロックでの水洗性テストにおいて、非水溶性のビニル系単量体のみから構成される配合で、かつ比重値が0.96以下である実施例19では、ネジ孔の詰まりを十分に防止でき、比重値が0.96を越える実施例20ではネジ孔の詰まりを十分に防止できないことが分かった。
表6から、ポリエステル(メタ)アクリレートを含有した実施例21及び実施例22では、水溶性単量体である2−ヒドロキシプロピルメタクリレートを含む比較例4と同等の接着力を示し、良好な密着性を有することが分かった。これに対してポリエステル(メタ)アクリレートを含有しない実施例23ではやや接着力が弱かった。
表7から、テストカップによる耐熱試験において、実施例24〜26の耐熱性樹脂含浸剤は圧漏れを発生せず良好な結果を示した。これに対し、ヒンダードアミン系光安定剤または分子量500以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤を含まない比較例5では圧漏れを生じた。
本発明の耐熱性樹脂含浸剤を用いれば、高温の環境で使用される封孔処理した部品の信頼性の向上に大きな効果が得られる。したがって、自動車用部品に代表される、鋳造部品、焼結金属、セラミックス等の含浸加工用としての利用価値は大きい。

Claims (7)

  1. ビニル系単量体混合物を主成分として含有し、ヒンダードアミン系光安定剤及び分子量500以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤から選ばれた一種以上をさらに含有することを特徴とする耐熱性樹脂含浸剤。
  2. 前記ビニル系単量体混合物が、下記式(1)で示される(メタ)アクリル酸エステルのいずれか一種以上をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の耐熱性樹脂含浸剤。
    Figure 0004545407
    (式中、Rは水素原子又はCH3、は炭素数2〜3の直鎖又は分枝アルキレン基、Rはフェニル基、aは1または2を示す)
  3. 前記ビニル系単量体混合物が、下記式(2)で示される(メタ)アクリル酸エステルのいずれか一種以上をさらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐熱性樹脂含浸剤。
    Figure 0004545407
    (式中、Rは水素原子又はCH3、はフェニル基を示す)
  4. 水への溶解度が3質量%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱性樹脂含浸剤。
  5. さらに水との比重差が0.04以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱性樹脂含浸剤。
  6. 前記ビニル系単量体混合物が、下記式(3)で表されるポリエステル(メタ)アクリレートをさらに1〜10質量%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の耐熱性樹脂含浸剤。
    Figure 0004545407

    (式中、Rは水素原子又はCH、Rは炭素数2〜3の直鎖又は分枝アルケニル基、Rはフェニレン基、Rは水素原子又は炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基)
  7. 下記式(4)で表されるアゾ系重合開始剤、下記式(5)で表されるアゾ系重合開始剤から選ばれた少なくとも一種の非水溶性アゾ系重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の耐熱性樹脂含浸剤。
    Figure 0004545407
    (式中、R10は炭素数2〜4のアルキル基)
    Figure 0004545407
    (式中、R11は炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基)
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