JP3357664B2 - 高耐熱性有機含浸液 - Google Patents

高耐熱性有機含浸液

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JP3357664B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種塑型材料や粉
末合金材料等の有孔性物体に含浸させて、該物体に存在
する微小な空隙を埋めるために用いられる有機含浸液に
関する。
【0002】
【従来の技術】各種産業分野において一般に使用されて
いる塑型材料には、成形時に発生する欠陥孔や圧縮成型
した粉末合金等に特有の空隙を保有しており、多くの場
合、その使用時にその成形体に機密性が求められること
から、そのままでは使用できず、何らかの封孔処理が必
要とされる。特に、自動車生産においては、内燃機関で
あるエンジンを始めとして、冷却水、潤滑オイル、油圧
制御系統等の動弁系部品、燃料系統、給排気系統、カー
コンプレッサー等、して大気圧以上の圧力で流体と接
触し、係る流体の漏洩が許されない部品が要求される分
野の一つである。このような塑型材料の中で、一般に多
く使用されているのは、鉄、アルミニウム等の合金の鋳
造品、或いはダイカスト品であり、成型品そのもので
は、どうしても欠陥孔を多数保有しており、気密性が保
証できない。又、粉体合金材料による成型品も同様な問
題が発生することは容易に理解できる。
【0003】この欠陥孔を埋めて上記障害を無くするた
めに、鋳造品や粉体合金(以下、単に鋳物或いは被含浸
物という。)に含浸液を含浸させて該欠陥孔を満たした
後、その部分を固化させる含浸処理法が行われてる。
この時に用いられる含浸液には、無機系含浸液と有機系
含浸液がある。
【0004】無機系含浸液として、水ガラスを主成分と
するものが用いられているが、有効成分が20〜40質
量%で残りが水であるため、折角充填しても水分が抜け
た後では、再び隙間が発生して封孔性が著しく低下して
しまい、信頼性に劣る。
【0005】一方、有機系含浸液には古くからポリエス
テル樹脂、ジアリルフタレート樹脂等を成分とするもの
が使用されているが、現在はそれらより作業性が格段に
優れるアクリル系モノマーやメタクリル系モノマーを成
分とする(メタ)アクリル系モノマーを主体とする含浸
液の使用が主流となっている。この(メタ)アクリル系
モノマーに、反応性多官能ジ−若しくはトリ−(メタ)
アクリル系モノマーを架橋成分として配合することも行
われている。これら(メタ)アクリル系モノマーの硬化
メカニズムは、アゾ系若しは有機過酸化物系の重合開
始剤を使用し、加熱下、遊離ラジカルを発生して、ラジ
カル重合により硬化せしめる方法が典型的である。
【0006】このような(メタ)アクリル系モノマーを
主体とする有機系含浸液を工業的に使用するメリット
は、次の理由による所が大きい。一つは含浸液の性状に
おいて、液体の粘度が常温で5〜10mPa・sと非常
に低く、又、表面張力も30〜35×10-3N/mと水
の半分程度であり、微細な空孔や空隙に対する浸透性や
濡れ性が良いので、充填効果が良好であることによる。
又、流動性が良いので、含浸処理設備配管中の輸送が簡
単にでき、設備の設計等が容易となる。又、工程要素と
しては被含浸物の表面上に付着した余分な含浸液も流動
性が良いことに起因し、水洗浄程度で容易に除去でき、
処理工程、処理設備の構造が簡便である。もう一つの利
点は微細空孔に充填された含浸液は、ほぼ100%重合
して、固体となって空孔内に存在できる。
【0007】このように、現状の封孔処理技術におい
て、(メタ)アクリル系モノマーを主成分とする含浸液
は、その性状故に封孔処理品質や作業性において有利と
なり最も一般的なものとなっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような
(メタ)アクリル系有機含浸液の硬化物は、有機物であ
故の熱劣化という現象は避けられず、含浸を適用す
る部品に対し使用温度の上限を規定してしまうこととな
る。一般的な(メタ)アクリル系含浸液の硬化物の耐熱
保証温度は、150〜200℃で1,000時間を超え
る程度の連続耐久性にとどまっており、封孔した鋳物製
品によっては、上記のような連続耐久性能では不十分で
あり、さらに高温域での耐熱保証が広く要求されている
のが実情である。
【0009】高耐熱性の樹脂類には、エポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリイミド、ポリアミド等の多くのもの
が知られているが、これらの樹脂類は性状的に粘度が高
く、微細な空孔に充填させることは容易ではなく、又、
余分な表面の樹脂を除去する作業も水で洗浄する程簡単
ではない。又、硬化のメカニズムに至っては、被含浸物
の金属素地が熱変形する危険性が有るような領域まで昇
温させなければ硬化しないような樹脂の部類に入るもの
が多い。このような理由により、封孔処理剤として使用
することは非常に難しく、当分野への応用はなかなか考
えられていなかった。
【0010】本発明は、従来の(メタ)アクリル系モノ
マーを主成分とする含浸液と同等かそれ以上の封孔性能
を維持し、従来の設備、処理工程を継続して使用しなが
ら、含浸後の封孔した鋳物製品が250℃以上の高温
で、1,500時間以上の耐久保証性を与える有機含浸
液を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、含浸液硬
化物の耐熱性を向上させる物質として、骨格内にアミド
基を有するアクリルアミド類について検討したところ、
骨格内に複素環を持つアクリロイルモルホリンの硬化物
が高温耐熱性に優れ、本発明の目的を達成し得ることを
見出だして本発明に到達した。
【0012】更に、このアクリロイルモルホリンに、反
応性多官能基を有するアクリレート、メタクリレート、
アクリルアミド及びビスアクリルアミドから選ばれる1
種又は2種以上のモノマーを配合したものを成分とする
含浸液が水に不溶であり、封孔した鋳物製品を水圧が掛
る用途に供する場合においても用いることができること
を見出だした。
【0013】すなわち、本発明は、アクリロイルモルホ
リンを成分とする高耐熱性有機含浸液を要旨とする。
【0014】更に、本発明は、アクリロイルモルホリン
80〜99質量%並びに反応性多官能基を有する(a)
ジ−若しくはトリ−アクリレート系モノマー、(b)ジ
−若しくはトリ−メタクリレート系モノマー及び(c)
ビスアクリルアミド系モノマーから選ばれる1種又は2
種以上の化合物1〜20質量%を成分とする高耐熱性有
機含浸液を要旨とする。又、本発明の高耐熱性有機含浸
液は、上記化合物が、トリシクロデカンジメタノールジ
アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタク
リレート又は2,2−メチレン−ビスアクリルアミドで
あることを特徴とする。
【0015】更に、本発明は、反応性多官能基を有しな
い(メタ)アクリル系モノマーを主成分として含有し、
アクリロイルモルホリンを含有することを特徴とする高
耐熱性有機含浸液を要旨とする。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の含浸液は、アクリロイル
モルホリンを成分とする。アクリロイルモルホリンは、
その骨格内に一般的なアゾ系や有機過酸化物系の重合開
始剤により容易にラジカル重合してポリマー化すること
ができるアクリロイル基を有するので、従来の(メタ)
アクリ系樹脂モノマーと同様な硬化メカニズムを適用す
ることができる。
【0017】又、含浸液としての性状について検討した
結果、アクリロイルモルホリンは、粘度が12mPa・
s(25℃)、表面張力が49.6×10-3N/m(2
0℃)と、封孔処理効果においても十分な浸透性を持
ち、水に対しても易溶であり、現実の封孔処理工程にお
いて被含浸物の余剰な含浸液は、水洗浄で十分に除去す
ることができ、従来の含浸技術をそのまま適用できるこ
とが判った。
【0018】アクリロイルモルホリンは、ポリマーの状
態でゆっくりと水に溶ける性質を持っており、大多数の
(メタ)アクリル系モノマーのポリマーのように、水に
対して不溶性ではない。このことは、水系の流体を扱う
エンジンの冷却水周りのような部品に対しては適用する
ことができないことになる。本発明は、このポリマーを
水に対して不溶性にするために、アクリロイルモルホリ
ンに上述の反応性多官能基を有するモノマーを配合し
て、得られるポリマーを架橋構造にすることを特徴とし
ている。
【0019】該反応性多官能基を有する(メタ)アクリ
ル系モノマー(以下、アクリルモノマーという。)は、
反応性多官能基を有するアクリレート、メタクリレート
及びビスアクリルアミドから選ばれる1種又は2種以上
である。反応性多官能基を有するアクリレート又はメタ
クリレートとしては、ジ−若しくはトリ−エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール
ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール
ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ
(メタ)アクリレート等の反応性多官能基を有する化合
物が挙げられる。又、反応性多官能基を有するビスアク
リルアミドとしては、2,2−メチレン−ビス(メタ)
アクリルアミド等の反応性二官能基を有するアクリルア
ミド等が挙げられる。
【0020】これらの中でもトリシクロデカンジメタノ
ールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール
ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート等の反応性多官能基を有するアク
リレート又はメタクリレート及び2,2−メチレン−ビ
スアクリルアミドが好ましく、特にトリシクロデカンジ
メタノールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0021】アクリロイルモルホリンと上記アクリルモ
ノマーの配合割合は、アクリロイルモルホリンが80〜
99質量%、好ましくは90〜95質量%であり、該ア
クリルモノマーが1〜20質量%、好ましくは5〜10
質量%である。
【0022】更に、本発明は、従来の一般的な(メタ)
アクリル系モノマーを主成分として含有する含浸液に、
その耐熱性を向上するために、アクリロイルモルホリン
を配合した含浸液を特徴とするものである。一般的な
(メタ)アクリル系モノマーは、反応性多官能基を有し
ない(メタ)アクリル系モノマーであり、該モノマーと
しては、アクリル酸のエステル及びメタクリル酸のエス
テルであり、好ましくは炭素数が1〜20個のアルキル
エステル若しくはシクロアルキルエステル或いはヒドロ
キシアルキルエステル若しくはヒドロキシシクロアルキ
ルエステルであり、モノ、ジ又はトリ(メタ)アクリル
酸の誘導体も含まれてよい。それらエステルを例示する
と、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、
ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アク
リレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチル
ヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリ
レート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げら
れる。これらは1種でも良く2種以上でも良い。(メ
タ)アクリル系モノマーを主成分として含有し、アクリ
ロイルモルホリンを含有する本発明の含浸液におけるア
クリロイルモルホリンの含有量は任意であるが、通常は
50質量%未満である。又、上記アクリルモノマーを含
有することができる。
【0023】本発明の含浸液は、従来の有機含浸液で一
般に使用されているラジカル重合開始剤全般に同様に配
合することができる。代表的なものは、アゾ化合物であ
る2,2−アゾビスイソブチロニトリルと、有機過酸化
物のtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシネ
ートである。これら重合開始剤の含有量は、アゾ化合物
の場合、通常上記含浸液の0.01〜0.5質量%であ
り、有機過酸化物の場合、上記含浸液の0.1〜5質量
%である。
【0024】更に、本発明の含浸液は、重合禁止剤を含
有することができる。重合禁止剤としては、ヒドロキノ
ン、カテコール、ピロガロール、ジ−tert−ブチル
カテコール、ヒドロキノンモノメチルエーテル等の多価
フェノール及びその誘導体等が挙げられる。重合禁止剤
の含有量は、上記含浸液の0.01〜0.1質量%であ
る。本発明の含浸液は、従来の有機含浸液と同様に、反
応性希釈剤、顔料、界面活性剤、蛍光剤、酸化防止剤、
無機充填剤、防錆剤等のその他の成分が必要に応じて配
合される。
【0025】本発明の含浸液を用いる有孔性物体の封孔
方法の概略を以下に説明する。封孔方法は、大きく含浸
工程、洗浄工程及び硬化工程からなる。含浸工程は、
(1)含浸槽内に有孔性物体を入れ、含浸槽内部を減圧
し、微細孔の中を減圧状態に保持する、(2)含浸液貯
液槽の含浸液を、含浸槽内部の減圧による負圧を利用し
て含浸槽内部に導入する、(3)含浸槽内を大気圧に戻
して有孔性物体の微細孔に含浸液を浸透させる、(4)
含浸槽を空気等により加圧して含浸液を貯液槽に戻し、
含浸槽内から有孔性物体を取り出す、ことからなる。
【0026】洗浄工程は、上記含浸工程で含浸された有
孔性物体の表面等に付着している余剰の含浸液を水等で
洗浄除去することからなる。硬化工程は、上記含浸工程
で有孔性物体の内部に浸透された含浸液の各種モノマー
を加熱により硬化させることからなる。上記各種モノマ
ーの硬化は、70〜95℃で、1〜20分間で完了す
る。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。 (実施例1)アクリロイルモルホリンを主成分とし、架
橋成分として表1に示すアクリルモノマー成分を表1に
示す割合で配合すると共に、それら成分以外に、重合開
始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリルを0.
2質量部、重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエ
ーテルを0.045質量部を配合して含浸液を調製し
た。
【0028】
【表1】
【0029】上記各含浸液を恒温槽で25℃に調整した
もの1mlを、内径4mm、外径6mm、長さ約10c
mで片端を封止したガラス管に、ピペットで注入し、こ
れを90℃に調節した恒温湯槽に15分間浸漬して硬化
させた。次に、恒温湯槽からガラス管を取り出し、室温
で自然放冷した後、ガラス管を粉砕して内部の硬化物を
100℃のオーブンにて1時間乾燥させた。これらを長
さ10mm程度に切り揃えて各硬化物試料とした。表1
の配合1〜8の硬化物試料を、硬化物1〜8と呼称す
る。
【0030】(熱重量分析)硬化物1〜8をASTM
E1131−B6に準拠して、熱重量分析を行った。そ
れらの結果を図1に示した。なお、熱重量分析の条件
は、大気中、加熱速度10℃/分で600℃まで加熱す
るとするものである。図1は、温度と残存質量%の関係
を示したもので、TGA曲線と呼ばれるものであり、物
質の分解挙動が分かるものである。総じてアクリロイル
モルホリンの有機含浸液の硬化物である硬化物1は、3
80℃程度の非常に高い分解温度を示している。又、ア
クリルモノマーを5.0質量%配合した含浸液の硬化物
である硬化物2〜8は、配合した化合物の種類により若
干の差があるが、350〜380℃の範囲に分解温度の
分布があり、これは210℃程度で急激な分解が始まる
後記の実施例3で示す従来の(メタ)アクリル系モノマ
ーの含浸液の硬化物(硬化物13)よりも遥かに高い分
解温度を示している。上記の硬化物2〜8の中でも、ト
リシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシク
ロデカンジメタノールジメタクリレート及び2,2−メ
チレン−ビスアクリルアミドを配合した含浸液の硬化物
である硬化物2、3及び8は、アクリロイルモルホリン
の有機含浸液の硬化物である硬化物1と同程度の分解温
度を示している。
【0031】(高温耐久性試験)硬化物1〜8を、大気
圧下、250℃のオーブン中に1,500時間密閉放置
し、各硬化物の残存率を測定した。それらの結果を図2
に示すが、上記熱重量分析の傾向がそのまま現れてお
り、各硬化物共に、1,500時間後の残存率は88質
量%以上を維持している。特に、硬化物1、2、3及び
8は、1,500時間後の残存率は95質量%以上と驚
異的な結果を示している。
【0032】(実施例2)実施例1の配合2のアクリロ
イルモルホリンの配合割合を70.0質量%とし、トリ
シクロデカンジメタノールジアクリレートの配合割合を
30.0質量%として含浸液を調製した。このものを配
合9とし、実施例1と同様にして硬化させた。このもの
を硬化物9と呼称する。硬化物9について実施例1と同
様にして熱重量分析を行い、その結果を硬化物1及び2
の結果と共に図3に示した。図3から明らかのように、
硬化物1及び2の分解温度に比べて、硬化物9の分解温
度はやや下がるものの、従来物である硬化物13よりも
遥かに高い分解温度を示している。
【0033】更に、硬化物9について実施例1と同様に
して高温耐久性試験を行い、その結果を硬化物1及び2
の結果と共に図4に示した。図4から明らかのように、
上記熱重量分析の傾向がそのまま現れており、硬化物9
は、1,500時間後の残存率が約80質量%と高残存
率を維持している。
【0034】(実施例3)この例は、従来のメタクリレ
ート系有機含浸液に、アクリロイルモルホリンを配合し
たときの耐熱性を変化を測定するために行ったものであ
る。従来のメタクリレート系有機含浸液として、特公昭
55−46644号公報に記載されている、2−ヒドロ
キシプロピルメタクリレート85質量%、1,6−ヘキ
サンジオールメタクリレート10質量%及びラウリルメ
タクリレート5質量%からなる組成のものを用いた。こ
のものを配合13という。この配合13にアクリロイル
モルホリンを表2に示す割合で配合して含浸液を調製し
た。
【0035】
【表2】
【0036】表2に示す配合10〜13について実施例
1と同様にして硬化させた。これらの硬化物10〜13
と呼称する。硬化物10〜13について実施例1と同様
にして熱重量分析を行い、その結果を図5に示した。図
5から明らかのように、従来の有機含浸液の硬化物であ
る硬化物13の分解温度は200℃程度であり、従来有
機含浸液の平均的温度を示している。そして、アクリロ
イルモルホリンの割合比率を増加させることに比例し
て、分解温度も上昇することを証明する結果となった。
【0037】更に、硬化物10〜13について実施例1
と同様にして高温耐久性試験を行い、その結果を図6に
示した。図6から明らかのように、上記熱重量分析の結
果と同様にアクリロイルモルホリンの割合比率の増加に
比例して、1,500時間後の各硬化物の残存率も増加
する結果となっている。これらの結果から、従来のメタ
クリレート系有機含浸液に、アクリロイルモルホリンを
配合することによっても耐熱性を向上させる目的を達成
し得ることを証明した結果となった。
【0038】(高温耐久気密性試験)実施例1〜3で調
製した試験含浸液の内、配合1、配合2、配合12及び
配合13の試験含浸液を、アルミニウム合金製の気密性
評価用テストピースに浸漬−真空法により含浸させて、
封孔処理した試験片の気孔が総て封孔されていることを
確認した後、大気圧下、250℃のオーブン中に1,5
00時間密閉放置し、放置後の気密性試験を行った。そ
れらの結果を表3に示す。アルミニウム合金製のテスト
ピースの初期漏れ量は、5〜10ml/分の範囲を使用
し、各配合の含浸処理に対して均等に振り分けた。検査
圧力は空気圧0.5MPaで水没検査とした。
【0039】
【表3】
【0040】表3に示すように、本発明に係る配合1、
配合2及び配合12の含浸液は、従来の配合13の含浸
液と同様な封孔処理性能を有している。又、配合1、配
合2に関しては、250℃、1,500時間連続耐久試
験で100%の合格率を示している。更に、配合12の
含浸液でも、従来の配合13の含浸液よりも、連続耐久
試験後の合格率は大幅に向上してしていることが判る。
これにより、従来150〜200℃程度であった有機含
浸液の耐熱温度を一挙に50〜100℃以上も上昇さ
せ、連続使用でもその気密性を十分に保証できることを
証明した結果となった。
【0041】
【発明の効果】本発明の有機含浸液は、従来の有機含浸
液同様の含浸性能を有しており、しかも含浸、硬化後の
含浸物を250℃以上の高温で長時間連続使用しても、
気密性を十分に保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機含浸液の硬化物の分解温度を示す
図面である。
【図2】本発明の有機含浸液の硬化物の高温耐久性を示
す図面である。
【図3】本発明の有機含浸液の硬化物の分解温度を示す
図面である。
【図4】本発明の有機含浸液の硬化物の高温耐久性を示
す図面である。
【図5】本発明及び従来の有機含浸液の硬化物の分解温
度を示す図面である。
【図6】本発明及び従来の有機含浸液の硬化物の高温耐
久性を示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08F 220:20) C08F 220:54 (C08F 220/58 220:54) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 26/00 C08F 220/58 C09K 3/10 B22D 29/00 C08F 220/58 C08F 220:20 C08F 220/58 C08F 220:54

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリロイルモルホリン80〜99質量
    %並びにトリシクロデカンジメタノールジアクリレー
    ト、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート又
    は2,2−メチレン−ビスアクリルアミド1〜20質量
    %を成分とする高耐熱性有機含浸液。
  2. 【請求項2】 反応性多官能基を有しない(メタ)アク
    リル系モノマーを主成分として含有し、アクリロイルモ
    ルホリンを含有することを特徴とする高耐熱性有機含浸
    液。
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