JP4545059B2 - キャビン装置 - Google Patents

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Description

本発明は、トラクタ車体に装着されるキャビン装置に関する。
この種の従来技術においては、キャビン装置は、トラクタ車体に固定されていて左右前支柱と左右側支柱とこれらの上部と連結された上部枠とを有するキャビンフレームに、前面のフロントパネルと、左右側部の後部枢支型のドアパネルと、上部のルーフと、下部のフロアシートとをそれぞれ装着して構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
前記ルーフは上下面が平坦な形状に形成されていて、前縁が水平形状になっている。
特開平11−91641号公報
前記従来技術においては、ルーフをインナルーフとアウタルーフで形成して上部枠に取り付けているが、上部枠の強度は周囲に位置する矩形枠部材だけで持っており、前後中途部で左右に架設される部材がなく、強度を向上し難い構造となっている。
ルーフの強度を向上するには架設部材を設ければよいのであるが、直線状の帯板を設けるだけであれば、キャビン装置内の居住空間を圧迫することになる。そのためキャビン装置内にゆとり、癒しの感じられる空間を形成するのが困難になる。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにしたキャビン装置を提供することを目的とする。
本発明は、キャビンフレームの上部枠の補強ができるとともに、頭部の居住空間の拡大をすることができ、それが狭所感を減少し、ゆとり、癒しの感じられる状態となり、トラクタ作業環境を向上できるようにしたキャビン装置を提供することを目的とする。
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、トラクタ車体に固定されていて左右前支柱と左右側支柱とこれらの上部と連結された上部枠とを有するキャビンフレームに、前面のフロントパネルと、左右側部の後部枢支型のドアパネルと、上部のルーフと、下部のフロアシートとをそれぞれ装着したキャビン装置において、
前記キャビンフレームの上部枠は左右一対の上側梁部分の前後中途部を連結する架設部材を有し、この架設部材の左右方向中途部を左右両端部よりも上位に位置し、前記ルーフの下面を上方膨出状に湾曲していることである。
これによって、キャビンフレームの上部枠の補強ができるとともに、頭部の居住空間の拡大をすることができ、それが狭所感を減少し、ゆとり、癒しの感じられる状態となり、トラクタ作業環境を向上できる。
第2に、前記ルーフは架設部材の上側に位置するアウタルーフと、下側に位置するインナルーフとが設けられ、このインナルーフの下面が上方膨出状に湾曲されていることである。
これによって、インナルーフの下面形状によって、頭部の居住空間の拡大をすることができる。
第3に、前記キャビンフレームの上部枠は左右一対の上側梁部分の前部に上前梁が連結され、この上前梁が正面視で外方突出状に湾曲されていることである。
これによって、インナルーフの前上方の視界の拡大をすることができる。
第4に、前記キャビンフレームの左右一対の上側梁部分の前後方向中途部でかつ前記架設部材の連結位置近傍に左右側支柱の上端が連結されていることである。
これによって、架設部材の連結強度を確保でき、左右側支柱と共にキャビンフレーム全体の強度を向上できる。
第5に、前記架設部材の左右両端部は左右上側梁部分の上面から起立状に連結され、架設部材の左右両端部の背面と左右上側梁部分の上面との間に連結補強部材が設けられていることである。
これによって、架設部材の連結強度を確保でき、左右側支柱と共にキャビンフレーム全体の強度を向上できる。
本発明によれば、キャビンフレームの上部枠の補強ができるとともに、頭部の居住空間の拡大をすることができ、それが狭所感を減少し、ゆとり、癒しの感じられる状態となり、トラクタ作業環境を向上できる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1において、トラクタ1はエンジン2、クラッチハウジング3,ミッションケース4前車軸フレーム5等を直結してトラクタ車体6が構成され、トラクタ車体6の前側にエンジン2等を覆うボンネット7が設けられると共に、前車軸フレーム5に懸架された前車軸ケースに左右一対の前輪8が支持され、トラクタ車体6の後部側に左右後車軸ケースを介して一対の後輪9が支持され、このトラクタ車体6の後上部にキャビン装置11が独立懸架状態で搭載されている。
前記キャビン装置11は、ミッションケース4の前部又はクラッチハウジング3から左右外側方へ突出した支持体10Aにクッションゴム10Bを介して前部が懸架され、ミッションケース4の後部の後車軸ケース上に固定の支持ブラケット10Cにクッションゴム10Dを介して後部が懸架されている。
図1〜7において、キャビン装置11は骨組みとなる箱形枠形状のキャビンフレーム12を備えており、このキャビンフレーム12に、フロアシート13、前基板14、フロントパネル15、左右脚部パネル16、ドアパネル17、後側パネル18、リヤパネル19及びルーフ20をそれぞれ装着している。
前記キャビンフレーム12は、左右前部に配置された一対の前支柱22と、左右側部に配置された一対の側支柱23と、背面に配置された左右一対の後支柱24とで縦方向の支柱部が構成されている。
前記左右一対の前支柱22の上端部間を連結する上前梁25と、左右一対の側支柱23の上端部間を後側で連結しかつ中途部に左右後支柱24の上端も連結される上後梁26と、左右の同じ側にある前支柱22と側支柱23の上端部間を連結する左右一対の上側梁27とで水平方向の上部枠29が構成されている。
前記上部枠29には、前記上後梁26の端部及び上側梁27を含む上側梁部分に架設部材28の左右両端が連結され、この架設部材28は前記上部枠29の上面から上方に突出した状態で架設され、キャビンフレーム12を強固なものにするロプス構造体の一部を構成している。
また、キャビンフレーム12は、左右一対の前支柱22の下端から左右内方へ突出した下前材31と、左右一対の前支柱22の下端から後方へ突出した下側材32と、この左右下側材32の後端と左右各側支柱23の下端との間に連結されているフェンダ支持材33と、左右側支柱23の下端部間を連結しかつ中途部に左右後支柱24の下端も連結される下後部材34と、を有しており、前記下前材31と下側材32とフェンダ支持材33と下後部材34とによって下部枠30が構成され、この下部枠30にフロアシート13の周囲部が固定され、かつ前記左右下前材31の内端側に前基板14の下部が連結固定されている。
前記前支柱22及び側支柱23には、図5に示すように、パイプ材の表面に窪み状溝を形成した異形管状の部材が使用されている。前記後支柱24、上前梁25、上後梁26、上側梁27、架設部材28、下前材31、下側材32、フェンダ支持材33、下後部材34等は、異形管状の部材、角筒状の部材又は帯板等が使用されている。
前記フロアシート13には、ステップ部13a、搭載部13b、背壁部13c並びに搭載部13b及び背壁部13cの左右両側に位置する後輪フェンダ部13dとを有しており、前記各部は樹脂で一体成形されるか、又はそれぞれを個別に板金又は樹脂で形成して、締結具を介して又は溶着により結合されるかしている。
前記搭載部13bの上には運転席支持台35が搭載され、運転席支持台35の上に運転席36が搭載され、運転席支持台35の下方の搭載部13bの上にはエアコン(空調装置)37が配置される。
前記前基板14には背面側に操縦フレーム38が装着され、この操縦フレーム38にハンドル39のハンドルポスト40、ステアリングシリンダ、ブレーキシリンダ等が支持され、これらにより操縦部41を構成している。
この前基板14は、キャビンフレーム12の前面側下部の左右方向中央側に配置され、ボンネット7内のエンジンルームの後面を閉鎖して、エンジン2側とキャビン装置11の内部空間、即ち、キャビン装置11の室内と室外とを仕切る隔壁になっている。前記前基板14の上縁及び左右側縁は平面視及び側面視で直線的に形成されていて、フロントパネル15の下縁中央及び左右脚部パネル16の内側縁をそれぞれ支持している。
図1〜10に示すキャビン装置11の前部において、キャビン装置11の前面には上側のフロントパネル15と、このフロントパネル15の左右下部の左右脚部パネル16とを有し、前記フロントパネル15は前方(外方)膨出状の実質的に球面状の形状に形成されている。
左右一対の前支柱22は、上下方向両端から上下方向中央に行くに従って徐々に左右方向外方に向かうように上方(外方)突出円弧状に湾曲され、かつ左右一対の前支柱22の上下方向中央よりも上部側が、上端に行くに従って徐々に後方に向かうように後方傾斜状に湾曲されている。即ち、各前支柱22は上下端を結ぶ線に対して斜め前方へ膨出する外方突出円弧状に形成されているので、正面視及び側面視で外方突出円弧状になっている。
上前梁25は、左右方向両端から左右方向中央に行くに従って上方に向かうように上方膨出の上方(外方)突出円弧状に形成され、平面視では直線状であるが、正面視では外方突出円弧状(アーチ形状)になっている。
このような左右前支柱22及び上前梁25に取り付けられるフロントパネル15は、図8〜10に示すように、左右側縁15aが左右前支柱22に適合すべく正面視及び側面視で外方突出円弧状に形成され、上縁15bが上前梁25に適合すべく正面視で上方(外方)突出円弧状に形成されており、左右側縁15a及び上縁15bから中央側へ次第に前方突出する略球面となっており、下縁15cは実質的に直線状である。
前記フロントパネル15を実質的な球面形状に形成することにより、キャビン装置11の前面は上下縁間だけでなく左右縁間でも、狭所感を減少し、ゆとり、癒しの感じられる状態となる。
フロントパネル15の操縦部41に対向する下部中央15dは、図2、4に実線で、図9、10に仮想線でそれぞれ示すように、その他の部分の球面形状から平坦に近づくように変形されており、ワイパ揺動軸貫通孔15eが穿孔されている。
前記左右各脚部パネル16は長方形の平板形状であり、その上縁がフロントパネル15の下縁15cに接着剤を介して接合されており、左右側縁及び下縁が左右各前支柱22の下部及び前基板14と下前材31とに取り付けられている。
図1〜7、11〜13に示すキャビン装置11の左右側部において、左右各側支柱23は上端から下端に行くに従って左右外方かつ後方に向かうように僅かに傾斜され、さらに上端から下端に行くに従って後方突出円弧状に弯曲形成されている。
フェンダ支持材33の後上端から前下端までは、側面視において、フロアシート13の後輪フェンダ部13dの上面に適合して連結する形状であるとともに、正面視において、下側材32から側支柱23の下端に行くに従って左右外方に向かうように傾斜され、左右の側支柱23とフェンダ支持材33とは、側面視において、外方突出状に形成されている。このフェンダ支持材33は正面視及び平面視において、後上端から前下端まで僅かに弯曲した外方突出円弧状に形成されている。
左右一対の上側梁27は側面視において水平であるが、平面視において、前後方向両端から前後方向中央に行くに従って左右外方に向かうように外方突出円弧状に湾曲されている。
左右各ドアパネル17は後上縁17aの近傍が枢支具43を介して側支柱23に枢支されており、後部枢支型前開き式となっており、後上縁17aが側支柱23に、後下縁17bがフェンダ支持材33に、前縁17cが前支柱22に、上縁17dが上側梁27に、下縁17eが下側材32にそれぞれ適合する形状になっている。17fは枢支具43の取り付け孔、17gは取っ手の取り付け孔をそれぞれ示している。
即ち、ドアパネル17は図11〜13に示すように、全体的に外方膨出状の実質的球面形状に形成されており、上縁17dが上側梁27に沿って平面視で外方突出円弧状に形成され前縁17c及び後上縁17a及び後下縁17bからなる後縁が正面視で外方突出円弧状に形成され、後下縁17bが後輪フェンダ部13d及びフェンダ支持材33に沿って側面視で前上方突出円弧状でかつ平面視で外方突出円弧状に形成されている。
前記ドアパネル17を実質的な球面形状に形成することにより、キャビン装置11の側面は上下縁間だけでなく前後縁間でも、狭所感を減少し、ゆとり、癒しの感じられる状態となる。また、球面形状のフロントパネル15と相まって、居住空間の前後、上下、左右の全方向の狭所感を減少できるようになる。
図1〜7に示すキャビン装置11の側部から背部において、上後梁26はその左右両端部に、左右方向外方に行くに従って徐々に大きく前方に向かうように小さな曲率で湾曲されたコーナ部26aが形成され、両コーナ部26aの間の後部26bは大きな曲率の後方(外方)突出円弧状に形成されている。
前記両コーナ部26aには上下に末広がり形状の接合部材44が嵌合固定されており、この接合部材44の上下に広がった端部は側支柱23の上部に固着されている。この左右接合部材44は上後梁26と側支柱23の結合強度を高めるとともに、上側梁27の一部を構成している。
下後部材34は、上後梁26と同様に、上後梁26に対応してその左右両端部が左右方向外方に行くに従って徐々に大きく前方に向かうように湾曲されたコーナ部34aが形成され、両コーナ部34aの間の後部34bは後方(外方)突出円弧状に形成されている。
前記両コーナ部34aには上下に末広がり形状の接合部材44が嵌合固定されており、この接合部材44の上下に広がった端部は側支柱23の下部に固着されている。この左右接合部材44は下後部材34と側支柱23の結合強度を高めている。
前記下後部材34の左右コーナ部34a及び後部34bは、上後梁26の左右コーナ部26a及び後部26bより外方に位置し、一回り大きなものとなっており、従って、上後梁26と下後部材34との間は下外向き傾斜することになる。
左右後支柱24はそれぞれ直線状部材が使用されており、上後梁26の後部26bに接合された上端から下後部材34の後部34bに接合された下端にかけて下方末広がりに配置され、かつ上端から下端に行くに従って後方に位置し、下後方へ傾斜している。
後側パネル18は断面平面が外方突出の円弧状でかつ側面視が略ストレート形状であり、上下縁は上後梁26、下後部材34及びそれらに固着の接合部材44に沿い、前縁は側支柱23の後方突出円弧形状に沿い、後縁は後支柱24の形状に沿う直線形状となっていて、それぞれに固定されている。
リヤパネル19は背面視略台形状で、平面視において後方突出円弧形状に形成されており、上下縁及び左右縁が前記上後梁26、下後部材34及び後支柱24にそれぞれ沿って固定されている。
前記フロントパネル15、左右脚部パネル16、ドアパネル17、後側パネル18、リヤパネル19は、それぞれ透明なガラス又は合成樹脂が使用されている。
前記前支柱22が前斜め方向に突出円弧形状に形成され、側支柱23及び後支柱24が上端より下端が外方に突出され、フロントパネル15もドアパネル17も外方膨出状の略球面形状に形成され、かつ後側パネル18及びリヤパネル19が外方突出円弧形状であるので、前記キャビン装置11は、正面視においても側面視においても上下中央部で外方に膨出されていて、実質的に丸味のある面で形成された略卵形状となっており、キャビン居住空間は平面視で平坦な面の少ない丸い形状(略丸形状)となっている。
図1〜3、6、7、14〜16に示すキャビン装置11の上部及びルーフ20において、前記ルーフ20はキャビンフレーム12の上部枠29に固定されていて、架設部材28を挟んでその上下にインナルーフ46とアウタルーフ47とを備え、インナルーフ46は内側に配置されてキャビン室内の天井部を構成し、アウタルーフ47はインナルーフ46の上方に配置されて天蓋を構成する。
前記架設部材28は角パイプ又は帯板等で形成されていて、左右両端が上部枠29の上側梁部分を構成する接合部材44及び/又は側支柱23に固着され、前記上部枠29から更に上方へ突出している。
架設部材28は接合部材44等の上面に起立状に固着の左右脚部28aと、その左右脚部28a間で上部枠29より上位に位置している略水平な中途部28bとを有しており、正面視略コ字形状(又はアーチ形状)であり、側支柱23とともに運転席を囲む補強枠を構成し、キャビンフレーム12の強度を向上している。
前記架設部材28は上後梁26の左右両端部又は左右上側梁27の後端部に連結してもよく、左右脚部28aとそれを連結する上側梁部分との間に、図6に点線で示すように連結補強部材48を設けてもよい。
前記インナルーフ46及びアウタルーフ47は合成樹脂又は板金で形成されており、インナルーフ46は架設部材28の下側に位置し、その周囲部が上部枠29の下面側に締結具及びステーを介して固定され、アウタルーフ47は架設部材28の上側に位置し、その周囲部が上部枠29の上面側に締結具及びステーを介して固定されている。
前記インナルーフ46は、図6、7、15に示すように、後部46aが上後梁26の下面に連結され、前部46bが上方突出円弧状の上前梁25に連結されている。前記前部46bの下面が上方膨出状に湾曲されているので、側面視において、前部46bが後部46aよりも上方位置にあり、前後方向中途部はその前部46bよりも更に上方位置にあることになる。そしてインナルーフ46の下面46cが上方膨出状に湾曲されている。
従って、インナルーフ46は周囲部が上前梁25及び上部枠29の下面に位置するが、その下面46cは上部枠29の上面より高く位置し、かつその下面46cは側面視で前後中途部が高い上方突出円弧状に形成され、前部46bから後部近傍までは、正面視で左右両側部46dから中央側へ上方突出円弧状に形成されており、運転者の頭上及び前上方等の頭部付近の居住空間(ヘッドクリアランス)をより大きく拡大できるようになっている。
インナルーフ46の左右一側部46d(右側)には、エアコン操作具配置部51及びオーデオ機器配置部52が中央側へかつ下方へ突出した状態に一体成形されており、エアコン操作具配置部51にはエアコン37を操作するためのエアコン操作具が、オーデオ機器配置部52にはオーデオ機器がそれぞれ配置されており、運転者は頭部側方のそれらを容易に操作できるようになっている。
なお従来、前記エアコン操作具配置部51及びオーデオ機器配置部52は、インナルーフ46の前部に配置されていても前上方視界の障害物になっていなかったが、前述のように、インナルーフ46の前部46b、上前梁25及びフロントパネル15の上部を上方突出円弧状に形成して前上方視界を拡大した場合、前記従来の前配置構造では前上方視界の障害になる。そこでエアコン操作具及びオーデオ機器をインナルーフ46の左右一側部46dに配置することにより、頭前上方の居住空間の拡大及び前上方視界を良好にできるようにしている。前記エアコン操作具配置部51とオーデオ機器配置部52とは前後逆位置に形成してもよい。
前記フロントパネル15の上端部とインナルーフ46の下面の前端部とは、内面が連続するように形成して、前から天井への風の流れを円滑にするとともに、頭前上方の居住空間の拡大及び前上方視界を良好にできるようにすることが好ましい。
前記アウタルーフ47は内部に空間を有する二重構造物に形成されており、左右両側部にはエアコン37に導入する外気を採り入れるための外気導入口部47aが形成されており、その内部にはエアフィルタが配置されている。
インナルーフ46とアウタルーフ47とは架設部材28を配置するためだけでなく、外気導入口部47aから導入される外気が入る空間が形成されており、前記アウタルーフ47の二重構造と相まって、キャビン装置11の屋根部に2層の空気層で断熱構造を構成している。
前記外気導入口部47aはルーフ20の内部空間及び側支柱23の内部を介してエアコン37に連通されている。前記側支柱23は内部を外気導入用のダクトして利用しており、この側支柱23とエアコン37とは別途形成のダクトで連通されている。
また、アウタルーフ47の左右側部には作業灯カバー部47bが上方膨出形成されている。作業灯53は上前梁25にステーを介して取り付けられている。
運転席36の下方は、運転席搭載部13bと運転席支持台35等によってエアコン37を収容する密閉状のエアコン収容室56が形成され、前記運転席支持台35に内気取入れ口57が形成されるとともにフィルタ58が設けられている。
キャビン装置11のフロアシートとなる下部基板13のステップ部13aには前後方向に沿う凹部13eが形成されていて、この凹部13e内に送出ダクト59が配置されており、この送出ダクト59によって、前記エアコン収容室56から吐出される空調空気を操縦部41側へ送出可能になっている。
キャビン装置11の前部の前基板14には中継ダクト部60が一体形成又は別個に形成したものを取り付けて形成されており、この中継ダクト部60の下端が前記送出ダクト59と接続されている。
また、前基板14の操縦部41側の面(背面)には吹出側ダクト61が設けられており、中継ダクト部60の上端と接続されている。この吹出側ダクト61には、フロントパネル15に下側から上向きに吹き付ける上向き吹出口61a、運転者の足下に吹き付ける下向き吹出口61b、運転者の顔に向けて吹き付ける顔向き吹出口61c等の吹出口が複数形成されており、各吹出口は開口・閉鎖可能になっている。
前記エアコン37から吐出される空調空気は、送出ダクト59、中継ダクト部60及び吹出側ダクト61を通ってキャビン装置11内に吹出される。
上向き吹出口61aからフロントパネル15に下側から上向きに吹き付けられた空調空気は、主にフロントパネル15の曇り止めに使用するが、フロントパネル15が略球面であり、インナルーフ46の下面46cも前後方向中途部が中高弯曲状になっているので、フロントパネル15からインナルーフ46の下面46cまで大きな抵抗を受けることなくスムーズに流動し、リヤパネル19に当たって内気取入れ口57へ循環する。
下向き吹出口61b、顔向き吹出口61c等から吹出される空調空気がドアパネル17に当たると、ドアパネル17が略球面であり、インナルーフ46の下面46cも左右方向中途部が中高弯曲状になっているので、インナルーフ46の下面46cまで大きな抵抗を受けることなくスムーズに流動する。
顔向き吹出口61c等から吹出される空調空気はドアパネル17及び後側パネル18に当たると、ドアパネル17の球面、後側パネル18の円弧面に案内されてリヤパネル19まで大きな抵抗を受けることなくスムーズに案内されて内気取入れ口57へ循環する。
前記キャビン装置11はその下部以外の内面が球面、円弧面に形成されており、実質的に丸味のある面で形成された略丸(卵)形状になっているので、空調空気は上下方向にも前後方向にも大きな抵抗を受けることなくスムーズに循環し、淀みが少なく、キャビン装置11内部の温度調節を効率よくかつ良好に行うことができる。
前記居住空間を形成するキャビン装置11の多くの内面が、球面、円弧面に形成されて略卵形状になっていることは、空調空気の循環をスムーズにするだけでなく、左右方向及び前後方向の全方向での作業空間を広げて、操作性、居住性を向上させることができ、狭所感を減少し、ゆとり、癒しの感じられる状態にして、トラクタ作業環境を向上できる。
また、キャビン装置11の外面が球面、円弧面に形成されて略卵形状になっていることは、外部空気抵抗が小さくなり、強風によるパネルのビビリ音発生を減少し、石の衝突等の外部衝撃に対しても堅牢になり、耐久性を向上できる。
そして、キャビンフレーム12の全体形状、特に前支柱22,側支柱23、上前梁25等が従来技術に比べて丸味を帯びることは、水平方向及び前上方向の視界を大きく広げて、狭所感を減少し、ゆとり、癒しの感じられる状態にするだけでなく、外部からの衝撃に対して堅牢にもなる。
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1〜16に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
例えば、フロントパネル15の左右側縁を正面視及び側面視で外方突出円弧状に形成しているが、正面視又は側面視で外方突出円弧状に形成してもよい。これに伴って、フロントパネルの左右側縁に沿っているキャビンフレームの左右前支柱は、正面視及び側面視で外方突出円弧状に形成しているが、正面視又は側面視で外方突出円弧状に形成してもよい。
ドアパネル17の前縁及び後縁を正面視及び側面視で外方突出円弧状に形成しているが、正面視又は側面視で外方突出円弧状に形成してもよい。これに伴って、ドアパネル17の前縁及び後縁に沿っているキャビンフレーム12の左右前支柱及び左右側部支柱は、それぞれ正面視及び側面視で外方突出円弧状に形成しているが、正面視又は側面視で外方突出円弧状に形成してもよい。
本発明の実施の形態を示すトラクタ搭載状態のキャビン装置の全体側面図である。 キャビン装置の全体斜視図である。 同断面側面図である。 同分解斜視図である。 キャビン装置のルーフを取り払った平面図である。 キャビンフレームの正面図である。 キャビン装置の上半分の断面側面図である。 フロントパネルの正面図である。 図8のX−X線断面図である。 フロントパネルの底面図である。 ドアパネルの側面図である。 ドアパネルの正面図である。 ドアパネルの平面図である。 インナルーフの底面図である。 インナルーフの正面図である。 図14のY−Y線断面図である。
符号の説明
1 トラクタ
6 トラクタ車体
11 キャビン装置
12 キャビンフレーム
15 フロントパネル
16 脚部パネル
17 ドアパネル
18 後側パネル
19 リヤパネル
20 ルーフ
22 前支柱
23 側支柱
24 後支柱
25 上前梁
26 上後梁
27 上側梁
28 架設部材
29 上部枠
30 下部枠
36 運転席
37 エアコン
41 操縦部
46 インナルーフ
47 アウタルーフ

Claims (3)

  1. トラクタ車体に固定されていて左右前支柱と左右側支柱とこれらの上部と連結された上部枠とを有するキャビンフレームに、前面のフロントパネルと、左右側部の後部枢支型のドアパネルと、上部のルーフと、下部のフロアシートとをそれぞれ装着しており、
    前記キャビンフレームの上部枠は左右一対の上側梁部分の前後中途部でかつ前記左右側支柱の上端が連結されている位置の近傍に連結された架設部材を有し、この架設部材の左右方向中途部を左右両端部よりも上位に位置し、前記ルーフの下面を上方膨出状に湾曲しており、
    前記キャビンフレームの左右前支柱を正面視外方突出円弧状及び側面視外方突出円弧状に形成し、キャビンフレームの左右側支柱を正面視外方突出円弧状に形成し、キャビンフレームの上部枠は左右一対の上側梁部分を平面視外方突出円弧状に形成しており、
    前記ドアパネルの前縁を左右前支柱に沿った正面視外方突出円弧状及び側面視外方突出円弧状に形成し、ドアパネルの後縁を左右側支柱に沿った正面視外方突出円弧状に形成し、ドアパネルの上縁を左右上側梁部分に沿った平面視外方突出円弧状に形成しており、
    かつ、前記ドアパネルを外方膨出状の略球面形状に形成していることを特徴とするキャビン装置。
  2. 前記左右各側支柱は、前記左右上側梁部分の前後方向中途部に上端が連結され、この上端から下端に行くに従って左右外方かつ後方に向かうように傾斜され、さらに上端から下端に行くに従って後方突出円弧状に弯曲形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャビン装置。
  3. 記ルーフは架設部材の上側に位置するアウタルーフと、下側に位置するインナルーフとが設けられ、このインナルーフの下面が上方膨出状に湾曲されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャビン装置。
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