JP4544863B2 - 水溶性セルロース誘導体を含むイレッサの医薬製剤 - Google Patents

水溶性セルロース誘導体を含むイレッサの医薬製剤 Download PDF

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Description

本発明は、医薬組成物、より具体的には4−(3’−クロロ−4’−フルオロアニリノ)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンまたはその医薬的に許容な塩(以下、「薬剤」と称す)を含む経口用医薬組成物に関する。
薬剤は国際特許公報WO96/33980(実施例1)に開示されており、erbB1などのチロシンキナーゼ酵素の上皮成長因子受容体(EGFR)ファミリーの有力な阻害剤である。薬剤は、式I:
Figure 0004544863
の構造を有し、コード番号ZD1839およびケミカルアブストラクツ登録番号184475−35−2と称し、現在はイレッサ(Iressa、登録商標)、ゲフィチニブ(gefitinib、米国承認名)として知られている。
薬剤は、抗癌活性などの抗増殖活性を有し、従って、ヒトまたは動物の体内における癌などの増殖疾患の治療方法において有用である。薬剤は、EGF(特に、erbB1)受容体チロシンキナーゼにより単独でまたは部分的に媒介される疾患または医学的な状態、具体的には、肺癌(特に、非小細胞肺癌)、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、結腸直腸癌、胃癌(gastric cancer)、脳腫瘍、頭部癌および頚部癌、膀胱癌、膵癌、咽頭癌、胃癌(stomach cancer)、腎臓癌、皮膚癌、婦人科腫瘍(gynaecological cancer)および甲状腺癌などの癌の処置において、または多様な癌腫および肉腫などの白血病、リンパ性悪性腫瘍および充実性腫瘍の処置において有用であると考えられる。薬剤は現在、非小細胞肺癌の処置におけるフェーズIII試験に付されている。
薬剤は弱い塩基性化合物であり、pKaが5.3および7.2の2つの塩基性基を有する。これらの塩基性基のプロトン化および脱プロトン化は、水性媒体への薬剤の溶解度に関し著しい効果を及ぼす。その結果として、薬剤の溶解度はpHに高度に依存する。例えば、薬剤の遊離塩基型はpH1で可溶性である(1gの薬剤を溶解するために10〜30mLの水性溶媒を要する)が、pH4およびpH6の間で鋭角的に溶解性が低下し(1gの薬剤をpH6で溶解するために、10000mL以上の水溶性溶媒を要する)、pH7以上では事実上不溶性である。
pHに依存する溶解性を有する化合物、特に塩基性化合物は、例えばそれらの吸収における問題、あるいは低いまたは患者間および薬量間で変動するバイオアベイラビリティーを創出することなどの望まれない薬物動態学的特性を示しうる。
経口投与された薬物の吸収に影響する要因は、消化管を薬物が通過する際に薬物が遭遇するpHの変化である。典型的には、薬物は、例えば頬の内面、胃、十二指腸、空腸、回腸および大腸などのいくつかの異なる部位において、経口投与後、消化管に沿って吸収されうる。胃(pH1−3.5)から小腸(pH4−8)の顕著に異なるpHを伴って、各吸収部位においてpHは異なりうる。薬物の溶解性がpHにより変化する場合、薬物が消化管を通過する際に薬物が溶液から析出することもあり得る。このことは、薬量間および患者間の吸収の程度および/または速度に可変性を生み出しうる。なぜなら、薬物は吸収されるためには、溶液中に存在する必要があるからである。
薬剤は、胃の酸性の環境では高い溶解性を有するが、この領域からは顕著に吸収されるわけではない。薬剤について最も固有吸収される部位は、上部腸である。しかし、消化管のこの部位は胃と比べてpHが比較的高く、薬剤は高いpHにおいては低い溶解性を有する。その結果、薬剤が胃の酸性の環境から上部消化管(上部腸など)の高いpHの環境に入る際に、薬剤が溶液から析出する傾向があり、その結果、薬剤の吸収の減少および/または変動が生じる。さらに、薬剤の特別なpH感受性を考慮すると、局所におけるpHの小さな変化でさえも、その薬物動態学的プロフィールに顕著な効果を与えうる。消化管のpHもまた、例えば、患者が食事を与えられた状態か空腹状態か否か、および胃内容物排出速度をうけて変化しうる。薬剤の感受性のpH溶解性プロフィールと、消化管におけるpHの可変性との組み合わせにより、薬剤のバイオアベイラビリティーおよび/または血漿濃度、あるいは一定割合の患者における次善の処置(sub−optimal)の効果における患者間の高度の可変性が生じうる。従って、薬剤の薬物動態学的特性を改善する必要性が存在する。
US4,344,934には、改善されたバイオアベイラビリティーを示すと述べられている、水溶性の乏しい薬物と水溶性ポリマーの湿式混合物を含む医薬組成物が記載されている。
GB2,306,885には、pH依存性の溶解性を有する薬物を含む局所用組成物が記載されており、ここで組成物が皮膚に適用された際にpHの変化の結果として、当該組成物が過飽和状態になる。組成物は、組成物からの薬剤の析出を阻害するために、抗核形成剤(anti−nucleating agent)を含んでいてもよい。
Usuiら(Int.J.Pharmaceutics 第154巻、(1997年)、第59−66頁)は、特定の水溶性ポリマーが過飽和状態の水性メタノール溶液からの具体的な化合物(RS−8359)の析出を阻害したことを発見した。
Loftssonら(Int.J.Pharmaceutics 第127巻、(1996年)、第293−296頁)は、化合物:アセタゾールアミド、ヒドロコルチゾン、プラゼパムおよびスルファメトキサゾールの薬物溶解性についての水溶性ポリマーの影響を報告している。
我々は、驚くべきことに、溶液のpHが、胃のpHと類似するpHから上部消化管(例えば上部腸)において見られるpHと類似するpHへ増加する場合の溶液から薬剤が析出する速度が、薬剤が特定の賦形剤とともに製剤されているかまたは投与される場合に顕著に減少することを発見した。これにより、薬剤は薬剤の最大の固有吸収速度を伴う消化管の領域において、より長く溶液中にとどまるので、例えば吸収および/またはバイオアベイラビリティーの増加などの改善された薬物動態学的特性が提供されると考えられ、および薬剤のバイオアベイラビリティーおよび/または血漿濃度における患者間の可変性が低減されうる。
本発明の第1の側面によれば、薬剤、および水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルを含む医薬組成物が提供される。
本発明の別の側面によれば、薬剤および水溶性セルロースエーテルを含む医薬組成物が提供される。
本発明の別の側面によれば、薬剤および水溶性セルロースエーテルのエステルを含む医薬組成物が提供される。
「セルロースエーテル」は、セルロースポリマーにおいて1以上のエーテル連結基を与えるために、セルロースポリマーの1以上の無水グルコース繰り返し単位に存在する1以上のヒドロキシ基の変換により形成されるエーテルを意味する。例えば、セルロースポリマーの1以上の無水グルコース繰り返し単位に存在しうる好適なエーテル連結基には、ヒドロキシ、カルボキシ、(1−4C)アルコキシおよびヒドロキシ(1−4C)アルコキシから選択される1以上の置換基により置換されていてもよい(1−4C)アルキルが含まれる。具体的なエーテル連結基には、例えば、メチルまたはエチルなどの(1−4C)アルキル;2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピルまたは3−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシ(1−4C)アルキル;2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、2−メトキシプロピルまたは2−エトキシエチルなどの(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル;2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルまたは2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロピルなどのヒドロキシ(1−4C)アルコキシ(1−4C)アルキル;カルボキシメチルなどのカルボキシ(1−4C)アルキル;または、H−[O−CH(CH)CH−]またはH−[O−CHCH−]などの、式H−[O−(1−4C)アルキル−](式中、mは1〜5であり、例えばmは1、2または3である)が含まれる。いかなる疑義も避けるために、用語「エーテル連結基」は、酸素原子によりセルロースポリマーに連結した1以上の上記基を意味する。例えばエーテル連結基がメチルの場合、無水グルコールス繰り返し単位の1以上の水酸基がメトキシ基に変換されている。
水溶性セルロースエーテルは、例えばメチルセルロースの場合のメチル基のように、同一のエーテル結合基を有しうる。あるいは、水溶性セルロースは、複数の異なるエーテル結合基を有しうる。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、メチルおよびヒドロキシプロピル(例えば、2−ヒドロキシプロピル)のエーテル連結基の両方を有するセルロースを意味する。
「水溶性セルロースエーテル」は、30℃未満(例えば10〜20℃)の温度で水中に溶解または分散しコロイド溶液または分散物を与えるセルロースエーテルを意味する。一般に、水溶性セルロースエーテルは、10〜20℃の温度で少なくとも20mg/mL、好適には少なくとも30mg/mLの溶解性を有するであろう(溶解性が非緩衝の蒸留水で決定された場合)。好適な水溶性セルロースエーテルには、例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの水溶性塩(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)またはカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースの水溶性塩(例えば、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムなど)などの、Handbook of Pharmaceutical Excipients、第3版、American Pharmaceutical Associationに列記されたものが含まれる。より具体的には、好適な水溶性セルロースは、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースの水溶性塩(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)から選択される。
本発明の1つの実施態様において、水溶性セルロースエーテルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。既に述べたように、HPMCのセルロースポリマー骨格はメトキシ基およびヒドロキシプロポキシ(特に、2−ヒドロキシプロポキシ)基の両方を有する。例えば、2〜18cP、好適には5〜7cPなどの<60cPの動的粘度を有する広範囲のグレードのHPMCが使用されうる。ここで、動的粘度は、20℃でHPMCの2%w/v水溶液において測定される。HPMCは、好適には、10〜35%(好適には25〜35%)のメトキシ基および3〜30%(好適には5〜15%)のヒドロキシプロポキシ基の置換度を有する。他に特定がなければ、本明細書で用いられる用語「%の置換度」は、水溶性セルロースエーテル(例えば、HPMC)の乾燥重量を基準としてのメトキシ基およびヒドロキシプロポキシ基の平均重量%を意味する。Handbook of Pharmaceutical Excipients、第3版、2000年、American Pharmaceutical Association、第252頁に記載されているように、HPMCの具体的なグレードには、2910、1828、2208および2906が含まれる(ここで、最初の2つの数字はメトキシの平均置換度を意味し、その次の2つの数字はヒドロキシプロポキシの平均置換度を意味する)。より具体的には、HPMCは、2〜18cP(例えば、5〜7cP)の動的粘度を有する上記グレードである。さらにより具体的には、HPMCは、5〜7cPの動的粘度を有するクレード2910であり、ここで動的粘度は20℃でHPMCの2%w/v水溶液において測定される。
特に特定がない限り、本明細書で使用される用語「動的粘度」は、引用される温度における、例えば#2スピンドルおよび回転速度60rpmに設定したBrookfield粘度測定器などの適切な装置を使用しての粘度測定を意味する。
本発明のその他の実施態様において、水溶性セルロースエーテルはヒドロキシプロピルメチルセルロースではない。
本発明のさらなる実施態様において、水溶性セルロースエーテルは、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースから選択される。水溶性セルロースエーテルがヒドロキシプロピルセルロースの場合、置換度は好適には16%以上、例えば20%〜40%である。好適には、ヒドロキシプロピルセルロースは、100〜600cP(例えば、150〜450cP)の動的粘度を有し、ここで粘度は25℃でヒドロキシプロピルセルロースの2%w/v水溶液において測定される。あるいは、ヒドロキシプロピルセルロースは、約5〜約16%のヒドロキシプロピル基の置換度を有しうる。そのようなヒドロキシプロピルセルロースは、「低置換度」ヒドロキシセルロースとして購入により入手可能である。低置換度ヒドロキシプロピルセルロースはしばしば水不溶性であると記載されるが、我々は驚くべきことに、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが溶液からの薬剤の析出を妨げるために十分に親水性であること、および本発明の目的のためには低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、水溶性セルロースエーテルと考えるべきであることを発見した。セルロースエーテルがヒドロキシエチルセルロースである場合、それは好適には、例えば150,000〜350,000(例えば、約220,000〜270,000)の分子量を有する水溶性ヒドロキシエチルセルロースである。一般に、好適な水溶性ヒドロキシエチルセルロースには、50〜250cP(例えば、80〜125cP)の動的粘度を有するものが含まれ、ここで粘度は25℃でヒドロキシエチルセルロースの2%w/v水溶液において測定される。好適には、ヒドロキシエチルセルロースは、約0.8〜2.5、例えば0.8〜1.5、例えば約1の置換度を有し、ここで置換度は、セルロースの無水グルコース環毎のヒドロキシエチル基の平均数を意味する。
さらなる実施態様において、水溶性セルロースエーテルはメチルセルロースであり、特に、例えば5〜100cP(例えば10〜25cP)の動的粘度(例えば、Ubbelohde粘度測定器を使用してASTM D2363に従って、20℃で25w/v水溶液を測定した)を有する低粘度のメチルセルロースである。メチルセルロースは、好適には1〜2、例えば1.64〜1.92(例えば約1.8など)の置換度を有し、ここで置換度は、セルロースの無水グルコース環毎のメトキシ基の平均数を意味する。好適には、メチルセルロースは、約10,000〜50,000、例えば10,000〜35,000の分子量を有する。好適なメチルセルロースは、例えば、Dow Inc.からのMethocel A(登録商標)およびMethocel MC(登録商標)などの商標Methocel(登録商標)として購入により入手可能である。
本発明の別の実施態様において、水溶性セルロースエーテルは、カルボキシメチルセルロースの水溶性アルカリ金属塩、特にカルボキシメチルセルロースナトリウムである。好適には、カルボキシメチルセルロースの水溶性アルカリ金属塩は、約0.7〜1.2、例えば0.8〜0.95の平均置換度を有するものであり、ここで置換度は、セルロースの無水グルコース環毎のカルボキシメチル基の平均数を意味する。一般に、カルボキシメチルセルロースの水溶性アルカリ金属塩は、低粘度のグレード、好適には、約10〜2500cP、例えば10〜1500cP(10〜15cPまたは900〜1500cPなど)の動的粘度を有するものであり、ここで粘度は25℃でカルボキシメチルセルロースの1%w/v水溶液において測定される。
本明細書で用いられる「水溶性セルロースエーテルのエステル」は、水溶性セルロース中に存在する1以上のヒドロキシ基、および1以上の好適な有機酸またはその反応性誘導体との間で形成され、それにより水溶性セルロースエーテルにおいてエステル連結基を形成するエステルを意味する。好適な水溶性セルロースエーテルは、既に定義されたとおりである。好適な有機酸には、脂肪族または芳香族カルボン酸であってもよい有機カルボン酸が含まれる。好適な脂肪族カルボン酸は、非環状(分枝状または非分枝状)または環状であってもよく、飽和または不飽和であってもよい。
具体的な非環状脂肪族カルボン酸には、2〜8の炭素原子、例えば2〜5の炭素原子を含むものが含まれる。好適な飽和非環状脂肪族カルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、が含まれる。非環状脂肪酸は、カルボキシおよびヒドロキシから選択される、同一または異なってもよい1以上(例えば、1、2または3)の基により置換されていてもよい。好適な置換非環状脂肪族カルボン酸には、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸またはマレイン酸などの非環状脂肪族ジカルボン酸;例えばグリコール酸または乳酸などの非環状ヒドロキシ置換カルボン酸;および、例えば、タルトロン酸(tartronic acid)、リンゴ酸、酒石酸またはクエン酸などの非環状脂肪族ヒドロキシ置換ジ−またはトリ−カルボン酸が含まれる。
好適な芳香族カルボン酸には、14以下の炭素原子を含むアリールカルボン酸が含まれる。好適なアリールカルボン酸は、1以上のカルボキシル基(例えば、1、2または3のカルボキシル基)を有するフェニルまたはナフチル基などのアリール基を含む。アリール基は、ヒドロキシ、(1−4C)アルコキシ(例えば、メトキシ)およびスルホニルから選択される、同一または異なってもよい1以上の(例えば、1、2または3)の基により置換されていてもよい。アリールカルボン酸の好適な例には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸またはトリメリット酸(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸)が含まれる。
有機酸が1以上のカルボン酸基を有する場合、好適には、酸のただ1つのカルボキシ基が、水溶性セルロースエーテルに対してエステル連結を形成する。例えば、HPMCサクシネートの場合、各サクシネート基の1つのカルボキシ基がセルロースとエステル連結を形成し、他のカルボキシ基が遊離の酸として存在する。水溶性セルロースエーテルのエステルがカルボキシル基などの遊離の酸基を含む場合、エステルは、遊離酸型において、または例えばナトリウム塩などのその医薬的に許容な塩として使用されうる。
明らかとなることであるが、水溶性セルロースエーテル内のエステル連結は、セルロースまたはセルロースエーテルと、既に記載したような好適な有機酸との、または有機酸の反応性誘導体による反応により形成されうる。好適な反応性誘導体には、例えば、無水フタル酸などの酸無水物が含まれる。
水溶性セルロースのエステルは、例えば、HPMCアセテートの場合のアセテート基ように、同一のエステル連結部分を有しうる。あるいは、水溶性セルロースエーテルのエステルは、複数の異なるエステル部分を有しうる(例えば、サクシネート基およびフタレート基などの2以上の部分)。例えば、HPMCアセテートサクシネートは、サクシネート基とアセテート基の両方を有するHPMCの混合エステルを意味し、HPMCアセテートサクシネートトリメリテートは、アセテート基、サクシネート基およびトリメリテート基を有するHPMCの混合エステルである。
本発明の具体的な実施態様において、水溶性セルロースエーテルのエステルは、アセテート、サクシネート、フタレート、イソフタレート、テレフタレートおよびトリメリテートから選択される1以上のエステル基を有する、HPMCまたはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)のエステルである。水溶性セルロースエーテルのエステルの具体的な例には、限定はされないが、HPMCアセテート、HPMCサクシネート、HPMCアセテートサクシネート、HPMCフタレート(例えば、HP−55およびHP55−Sとして購入による入手が可能)、HPMCトリメリテート、HPMCアセテートフタレート、HPMCアセテートトリメリテート、HPCアセテートフタレート、HPCブチレートフタレート、HPCアセテートフタレートサクシネートおよびHPCアセテートトリメリテートサクシネートが含まれる。より具体的には、水溶性セルロースエーテルのエステルは、HPMCアセテートサクシネート(例えば、Aqoat AS−LGなどのShin−Etsu Chemical Co.のAqoatとして購入による入手が可能)から選択される。
本発明の別の実施態様において、水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルは、ヒドロキシプロピルセルロース、HPMC、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの水溶性アルカリ金属塩、ならびに、アセテート、サクシネート、フタレート、イソフタレート、テレフタレートおよびトリメリテートから選択される1以上のエステル基を有するHPMCまたはヒドロキシプロピルセルロースのエステルから選択される。この実施態様において、具体的な水溶性セルロースエーテルおよび/または水溶性セルロースエーテルのエステルは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびHPMCアセテートサクシネートから選択される。より具体的には、本発明による医薬組成物は、薬剤、ならびにヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムから選択される水溶性セルロースエーテルを含む。具体的な水溶性セルロースエーテルは、ヒドロキシプロピルセルロースであり、より具体的には、16%を超える置換度を有する水溶性ヒドロキシプロピルセルロースである。その他で具体的には、この実施態様における好適な水溶性セルロースは、メチルセルロースである。上述の水溶性セルロースエーテルの好適なグレードは既に記載したとおりである。
本発明による組成物は、単一の水溶性セルロースエーテルもしくは水溶性セルロースエーテルのエステル、または2以上の当該化合物を含んでいてもよい。
水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルは、当該溶液のpHが増加したときに、酸性水溶液からの薬剤の析出速度を抑制するために十分な量で組成物中に存在する。特に、水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルは、胃の酸性の環境から、上部腸などの薬剤が吸収されると考えられている消化管のより高いpH領域へ薬剤が通過する際に、インビボでの溶液からの薬剤の析出速度を抑えるために十分な量で組成物中に存在する。好適には、薬剤の水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルに対する重量比は、50:1〜1:5、例えば35:1〜1:1、より具体的には40:1〜2:1、さらにより具体的には33:1〜2:1、例えば33:1〜10:1である。さらなる実施態様において、薬剤のセルロースエーテルまたはそのエステルに対する重量比は、32:1以下、例えば、32:1〜1:1、より具体的には30:1〜2:1、さらにより具体的には25:1〜3:1である。
本発明の別の実施態様において、薬剤の水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルに対する重量比は、40:1〜2.5:1、具体的には30:1〜3:1および特に5;1〜3:1である。発明者は、一般的に、薬剤のセルロースエーテルまたはそのエステルに対する重量比が約3:1未満(例えば1:1)である場合に、セルロースエーテルまたはそのエステルの量を増やすことは、重量比が約3:1の場合に観測されるものをしのぐほどの、薬剤の析出速度における顕著なさらなる低下を引き起こさないことを発見している。
好適には、組成物は、組成物の総重量に対する重量比で例えば0.05〜85%、具体的には0.5〜50%、より具体的には1〜30%、特に0.5〜20%、さらに特に1〜10%の水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルを含む。
組成物は、0.01mg〜1gの薬剤を含みうる。好適には、組成物は、望まれる治療上の利益を提供するのに十分な量で、薬剤の日用量を含む。薬剤の好適な量には、必要とされる薬量および医薬組成物の具体的な形状に依存して、10、15、25、50、75、100、125、150、200、250、300、350、400、450、500または550mgが含まれる。実施態様において、組成物は、100、150、250または500mgの薬剤、特に250mgの薬剤を含む。
薬剤は、遊離塩基型、または、例えば塩酸などの無機塩もしくは有機塩との、例えば医薬的に許容なモノ−もしくはジ−酸付加塩などの、医薬的に許容な塩として使用されうる。1つの実施態様において、薬剤は、遊離塩基型、特に結晶の遊離塩基型として存在する。明らかになることであるが、用語「遊離塩基型」は、薬剤が塩を形成していない場合を意味する。
典型的には、薬剤は、組成物の重量比で1〜99%、好適には1〜70%、例えば5〜65%および特に10〜60%の範囲内の量で存在するであろう。
本発明の別の実施態様において、組成物はさらに湿潤剤を含む。
本発明の別の実施態様において、組成物は:
(a)薬剤;
(b)湿潤剤;および
(c)水溶性セルロースエーテル
を含む。
組成物における湿潤剤と水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルの組み合わせは、上部腸などの薬剤がそこから吸収されると考えられる消化管の領域において見出されるものと同様のpH値における溶液からの薬剤の析出速度をさらに低減することを、我々は発見している。
好適な湿潤剤には、例えばイオン性または非イオン性であってもよい、医薬的に許容な界面活性剤などの、医薬的に許容な界面活性物質が含まれる。
医薬的に許容な好適な非イオン性界面活性剤には、例えば、ポリエトキシ化ひまし油(例えば、Cremophor EL)、ポリエトキシ化水素化ひまし油、ポリエトキシ化されたひまし油由来の脂肪酸、またはポリエトキシ化された水素化ひまし油由来の脂肪酸などの、ポリエチレングリコール類、ポリオキシエチレンエステル類およびエーテル類;例えばSolutol HS15などのエトキシ化ステアリン酸;および、例えばエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー(例えば、プルロニックまたはテトロニック界面活性剤など)などのエチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマーが含まれる。
医薬的に許容な好適なイオン性界面活性剤は、アニオン性、カチオン性または両性イオン性であってもよい。好適なアニオン性界面活性剤には:
(i)例えば、アルカリ金属(8−22C)アルキルスルフェート、アルカリ金属(8−22C)アルキルスルホネートまたはアルカリ金属(8−22C)アルキルカルボキシレートなどの、アルキルおよびアリールスルホネート、スルフェートまたはカルボキシレートなどの脂肪酸塩、特に、例えばドデシル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)、ミリスチン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウムまたはラウリルスルホン酸ナトリウムなどの、アルカリ金属(8−20C)アルキルスルフェート、アルカリ金属(8−20C)アルキルスルホネートまたはアルカリ金属(8−22C)アルキルカルボキシレート;
(ii)特に、例えばナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩などのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、とりわけナトリウム塩の形態における、ジアルキル スルホサクシネート、特にジ−(4−12C)アルキル スルホサクシネート。具体的な例には、ジオクチル スルホサクシネートのナトリウム塩、カルシウム塩またはカリウム塩(例えば、ドキュセート ナトリウムまたはエアロゾール OTなど)またはジアミルスルホサクシネートナトリウム(エアロゾール AY)が含まれる;
(iii)例えばデオキシコール酸塩、タウロコール酸塩またはグリココール酸塩などの胆汁酸塩、特に、例えば、タウロコール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウムまたはグリココール酸ナトリウムなどの胆汁酸のナトリウム塩などの、胆汁酸のアルカリ金属塩;および
(iv)例えば、カルボキシメチルセルロールエーテルおよびその塩などのアニオン性水分散性セルロースエーテルなどのアニオン性水分散性セルロース誘導体;
が含まれる。
好適なカチオン性界面活性剤には、例えば:
(i)例えばラウリルアンモニウムクロリドなどを含むアルキルアンモニウム化合物(例えば、(8−22C)アルキルアンモニウム、特に、例えばハライドのなどの(8−20C)アルキルアンモニウム化合物);
(ii)例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(セトラミド)、トリメチルテトラデシルアンモニウムブロミド(ミリスタミド)またはラウリルトリメチルアンモニウムブロミド(ラウラミド)などの、アルキルトリメチルアンモニウム化合物(例えば、(8−22C)アルキルトリメチルアンモニウム、特に、例えばハライドなどの(8−20C)アルキルトリメチルアンモニウム化合物など);
(iii)例えば、ベンズアルコニウムクロリドなどのベンズアルコニウムハライド(例えば、(8−20C)アルキルベンジルジメチルアンモニウムハライド、特に(8−18C)アルキルベンジルジメチルアンモニウムハライドおよびそれらの混合物など);および
(iv)例えばセチルピリジニウムクロリドまたはブロミドなどの(8−20C)アルキルピリジニウム化合物などのアルキルピリジニウム化合物
などの、例えば4級アンモニウム化合物が含まれる。組成物は単一の湿潤剤または2以上の湿潤剤を含んでもよい。
実施態様において、湿潤剤は、例えば4級アンモニウム化合物またはアルカリ金属(8−22C)アルキルスルフェートなどの、医薬的に許容なカチオン性またはアニオン性界面活性剤である。発明者は、カチオン性またはアニオン性の医薬的に許容な界面活性剤(特にカチオン性界面活性剤)の存在が、水溶性セルロースエーテルもしくはそのエステルを単独で、または界面活性剤を単独で使用する場合と比して、薬剤の析出速度の低減において、驚くべき相乗効果をもたらすことを発見している。
さらなる実施態様において、湿潤剤はカチオン性界面活性剤であり、特に4級アンモニウム化合物であり、さらに具体的にはベンズアルコニウムクロリドなどの(8−18C)アルキルベンジルジメチルアンモニウムハライドである。
別の実施態様において、湿潤剤は、アニオン性および非イオン性界面活性剤から選択され、またはそれらの組み合わせである。好適にはこの実施態様において、湿潤剤はアニオン性界面活性剤であり、特にアルカリ金属(8−20C)アルキルスルフェートであり、より具体的にはドデシル硫酸アルカリ金属塩である。さらにより具体的には、この実施態様における湿潤剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)である。
湿潤剤は、本発明による組成物中に、当該湿潤剤の臨界ミセル濃度(CMC)未満の濃度で存在しうる。発明者は、薬剤が吸収される消化管(例えば、上部腸)におけるものに類似するpH値の溶液からの薬剤の析出を、湿潤剤が抑制することを見いだしている。湿潤剤はミセル形成により薬剤を可溶化するために要するCMC未満の濃度であるので、これは驚くべきことである。
水性の環境における具体的な湿潤剤のCMCは、例えばWilhelmyプレート法(例えば、S.A Hagan、A.G.A Coombes、M.C.Garnett、S.E.Dunn、M.C.Davies、L.IllumおよびS.S.Davis、Langmuir、1996年、第12巻、第2153−2161頁を参照されたい)を使用する、標準的な技術を用いて容易に決定することができる。
湿潤剤に対する薬剤の好適な重量比は、1:2〜500:1、特に1:1〜300:1、より具体的には100:1〜250:1、およびさらにより具体的には150:1〜200:1である。
好適には、組成物は、重量比で0.01〜10%、例えば0.05〜5%、特に0.1〜1%、およびより具体的には0.1〜0.5%の湿潤剤を含むであろう。
好適な水溶性セルロースエーテルおよび水溶性セルロースエーテルのエステルおよび上述の湿潤剤を含む組成物における使用のためのその量は、本発明の第1の側面に関して本明細書に定義されたとおりである。
上述した観点から、本発明のこの実施態様における具体的な組成物は:
(a)1〜99部(特に、10〜98部)の薬剤;
(b)0.01〜10部(特に、0.05〜5部)の湿潤剤(特に、例えばドデシル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤);
(c)0.1〜90部(特に、0.5〜85部)の水溶性セルロースエーテル(特に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース);
を含み、ここで、すべての部は重量部であり、部の合計は100((a)+(b)+(c)=100)である。
本発明による別の組成物は:
(a)60〜99部(特に、70〜85部)の薬剤;
(b)0〜10部(特に、0.05〜5部)の湿潤剤(特に、アニオン性界面活性剤(例えば、アルカリ金属(8−20C)アルキルスルフェート、特にドデシル硫酸ナトリウム)またはカチオン性界面活性剤(例えば、ベンズアルコニウムクロリドなどの(8−18C)アルキルベンジルジメチルアンモニウムハライドなどの、4級アンモニウム化合物);および
(c)0.1〜40部(特に、0.5〜30部)の、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムから選択される水溶性セルロースエーテル(特に、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムから選択される、特に水溶性ヒドロキシプロピルセルロース);
を含み、ここで、すべての部は重量部であり、部の合計は100((a)+(b)+(c)=100)であり;そして
水溶性セルロースエーテルがHPMCの場合、薬剤のHPMCに対する重量比は32:1以下(例えば、32:1〜1:1、例えば30:1〜2:1など)である。
本発明の組成物に存在する水溶性セルロースエーテルおよび/または水溶性セルロースエーテルのエステルは、例えば以下に記載されるように、例えば充填剤、結合剤、崩壊剤またはフィルムコーティングとして使用されうる。
場合によっては、本発明による医薬組成物において、追加の賦形剤が含まれうる。存在しうる追加の賦形剤には、例えば、1以上の充填剤(希釈剤)、結合剤、崩壊剤または滑沢剤が含まれる。
従って、本発明のさらなる実施態様により、薬剤、水溶性セルロースエーテルおよび/または水溶性セルロースエーテルのエステル、湿潤剤および1以上の充填剤、結合剤、崩壊剤または滑沢剤を含む医薬組成物が提供される。本発明のよりさらなる実施態様により、薬剤、水溶性セルロースエーテルおよび/または水溶性セルロースエーテルのエステル、湿潤剤および1以上の充填剤、1以上の結合剤、1以上の崩壊剤または1以上の滑沢剤を含む、経口投与のための固体医薬組成物が提供される。
好適な充填剤には、例えば、ラクトース(無水の形態であっても、または例えばラクトース一水和物などの水和した形態であってもよい)、糖、デンプン(例えば、コーン、麦、トウモロコシ(maize)、ポテトなど)、加工デンプン(例えば、温度的、機械的または化学的に加工されていてもよいデンプン加水分解物またはα化デンプンなど)、微結晶デンプン、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、マルトース、無機塩(例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、2塩基性リン酸カルシウム(無水物/2水和物)、3塩基性リン酸カルシウムなど)、セルロース、セルロース誘導体(例えば、微結晶セルロースなど)、硫酸カルシウム、キシリトールおよびラクチトールなどが含まれる。
好適な結合剤には、例えば、ポリビニルピロリドン(例えば、ポビドンK25−32、特にK29−32など、ここで「K値」は、Handbook of Pharmaceutical Excipients、第3版、2000年、American Pharmaceutical Association、第433頁に記載されているFikentscher方程式から得られる平均分子量範囲の指標である)、ラクトース(無水の形態であっても、または例えばラクトース一水和物などの水和した形態であってもよい)、デンプン、加工デンプン、糖、アラビアゴム、トラガカントゴム、グアールガム、ペクチン、ワックス結合剤、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびその塩(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コポリビドン、ゼラチンおよびアルギネート(例えば、アルギン酸ナトリウムなど)が含まれる。
好適な崩壊剤には、例えば、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、スターチグリコレートナトリウム、デンプン類、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースおよびその塩(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはカルシウム)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(特に、低置換度のヒドロキシプロリルセルロースで、例えば、約5〜16重量%のヒドロキシプロピル基を含むヒドロキシプロピルセルロース)またはアルギン酸を含む。
好適な滑沢剤には、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナバワックス、水素化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール類、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウムが含まれる。
加えられてもよいさらなる追加の賦形剤には、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、シリカ流量調節剤(silica flow conditioner)、固結防止剤(antiadherents)または流動促進剤(glidants)が含まれる。
使用してもよいその他の好適な充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤および追加の賦形剤は、Handbook of Pharmaceutical Excipients、第3版、(2000年)、 American Pharmaceutical Association;The Theory and Practice of Industrial Pharmacy、第3版、Lachmanら、1986年;Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets 第1巻、第2版、Lieberman,Hebert A.ら、1989年;Modern Pharmaceutics,Banker,GilbertおよびRhodes,Christopher T、第3版、1995年;およびRemington’s Pharmaceutical Sciences、第20版、2000年に記載されている。
好適には、1以上の充填剤が10〜90重量%、例えば30〜50重量%の量で存在する。
好適には、1以上の結合剤が0.5〜50重量%、例えば0.5〜10重量%の量で存在する。
好適には、1以上の崩壊剤が0.5〜20重量%、例えば1〜10重量%の量で存在する。
好適には、1以上の滑沢剤が0.1〜5重量%、例えば0.5〜3重量%の量で存在する。
特定の賦形剤は結合剤および充填剤の両方として、または結合剤、充填剤および崩壊剤として作用しうることが理解されるであろう。典型的には、充填剤、結合剤および崩壊剤の組合わさった量は、例えば組成物の40〜80重量%を含む。
さらなる実施態様において、本発明の組成物は、:
(a)10〜80部の薬剤;
(b)0.05〜5部の、アニオン性界面活性剤から選択される湿潤剤(特に、ドデシル硫酸ナトリウム);
(c)10〜60部の、ラクトース(特に、ラクトース一水和物)、マンニトールおよび微結晶セルロースから選択される1以上の充填剤;
(d)1〜10部の、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドンおよびスターチグリコレートナトリウムから選択される1以上の崩壊剤;
(e)1〜20部の、ポリビニルピロリドン(特に、ポビドン(より具体的には、K29−32)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(特に、グレード1828、2208、2906、およびより具体的には、既に記載したとおりの2〜18cPの動的粘度を有する2910)から選択される結合剤;および
(f)0〜3部の滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムなど);
を含み、ここで、すべての部は重量部であり、各部の合計は100であり((a)+(b)+(c)+(d)+(e)+(f)=100)、ここで、(d)および(e)から選択される成分の少なくとも1つは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムから選択される水溶性セルロースエーテルを含む。
この実施態様において、組成物の成分(e)は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むことが好ましい。
本発明の医薬組成物は、好適には、薬剤および水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルを含む物理的混合物として調製される。あるいは、薬剤および水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルは、別々にまたは同時に、患者に対して投与されうる。薬剤および水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルが別々に投与される場合、組成物の成分は、例えば薬剤に続いてセルロース、またはその逆などの、いかなる順番によっても投与されうる。別々の投与が行われる場合、組成物の2成分の投与の間隔は、薬剤の析出の阻害効果が失われない程度であるべきである。典型的には、20分未満、例えば10分未満以内の投与であれば十分であろう。しかし、一般的には、本組成物の成分は実質的に同時に、便宜的には、錠剤またはカプセル製剤などの組成物のすべての成分を含む単一の製剤として投与される。
好ましい実施態様において、本発明の医薬組成物は、例えば粉体混合物、または好適な液体媒体中の溶液または懸濁液などの液体製剤などの、経口用剤形に製剤化される。しかし、一般的には、医薬組成物は、経口投与に好適な固形剤形、特に日用量の経口投与に好適な固形単位剤形として調製される。好適な固形剤形の例には、錠剤、ペレット、顆粒またはカプセル製剤が含まれる。
本発明による医薬組成物が錠剤、ペレットまたは顆粒などの固体製剤である場合、固体組成物はさらに、例えばフィルムコーティングなどの好適なコーティングを含んでいてもよい。コーティングは、例えば、水分の進入や光による分解に対する防御、製剤の着色、または製剤からの薬剤の放出の調節または制御を提供するために使用されうる。
本発明による組成物に適用されうる、例えばフィルムコーティングなどの好適なコーティングには、例えば糖、またはより具体的には、フィルム形成ポリマーなどのフィルム形成剤が含まれる。好適な糖は周知であり、好適な糖には、例えばスクロースまたはラクトースが含まれる。好適なフィルム形成剤には、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの水溶性セルロースエーテルのエステルを含むセルロースエーテル、エステルおよび混合エーテルおよびエステル;例えばメタクリレート−メチルメタクリレートコポリマー類などのフィルム形成アクリル酸ポリマー類;およびポリビニルアルコールまたはポリビニルアセテートフタレートなどのフィルム形成ビニルポリマー類などの、例えばフィルム形成ポリマーが含まれる。好適には、フィルム形成ポリマーは、水溶性フィルム形成ポリマー、特に、水溶性セルロースエーテルであり、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(特に、2〜18cP(2%w/v溶液において20℃で測定)の動的粘度を有し、例えば、既に定義したとおり、グレード1828、2208、2906および特に2910から選択される、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)である。使用されるフィルム形成剤の量は、フィルムコーティングの望まれる特性に依存するであろう。一般に、フィルム形成剤は、フィルムコーティングの40〜90重量%、例えばフィルムコーティングの50〜80%の量で存在するであろう。フィルムコーティング剤は、典型的には、本発明による製剤の0.5〜5重量%、好適には1〜3重量%で存在する。
場合によっては、フィルムコーティングは、例えば、可塑剤、着色料、分散助剤および乳白剤などの追加の成分を含む。可塑剤は、フィルムの柔軟性および耐久性およびフィルムコーティングの接着特性を改善するために使用されうる。好適な可塑剤には、例えば、グリセリン、アセチル化モノグリセリド、クエン酸エステル(例えば、クエン酸トリエチル)、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、200〜500、特に300の分子量を有するポリエチレングリコール類など)、トリアセチン(グリセロール トリアセテート)、トリグリセリド類(例えば、ヒマシ油など)、またはフタレートエステル類(例えば、ジエチル フタレート)などが含まれる。一般に、可塑剤が使用される場合は、フィルムコーティングの重量に対して1〜20%、例えば、5〜15%の量で存在する。
好適な乳白剤および着色料は周知であり、それらには、例えば、二酸化チタニウム、酸化鉄(ferric oxides)、例えば、鉄酸化物(iron oxide)が含まれる。
好適な分散助剤には、例えば、タルクが含まれる。
本発明の実施態様において、フィルムコーティングは:
(i)50〜100(好適には、50〜80)部の水溶性セルロースエーテル(好適には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、特に、2〜18cPの動的粘度(2%w/v溶液において20℃で測定)を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えば、5〜7cpの動的粘度を有する既述したようなグレード2910、1828、2208または2906など);
(ii)0〜25(好適には、5〜20)部の可塑剤(好適には、ポリエチレングリコール、特に、200〜500の分子量を有するポリエチレングリコール);および
(iii)合計で、0〜50(好適には、0〜30)部の乳白剤(好適には、二酸化チタニウム)、着色料(好ましくは、酸化鉄)および分散助剤;
を含み、ここで、すべての部は重量部であり、部の合計は100である((i)+(ii)+(iii)=100)。
コーティングは、例えば、組成物の0.5〜10重量%、特に1〜6%、好ましくは2〜3%を含みうる。好ましいフィルムコーティングは、組成物への適用の前に水および場合によってはHPMCなどのセルロースエーテルおよびポリエチレングリコールなどの可塑剤により希釈されてもよい濃縮物として購入により入手可能である。当該濃縮物には、ColorconからのOpasprayTMコーティング、例えばOpasprayTMBrown M−1−25092およびOpaspray Yellow M−1−22842などが含まれる。
本発明の具体的な実施態様において、医薬組成物は:
(i)薬剤を含む核;および
(ii)水溶性セルロースエーテルのエステルまたは(好ましくは)水溶性セルロースエーテルを含むコーティング
を含有する固形医薬組成物(例えば、錠剤、ペッレトまたは顆粒製剤など)を含む。
この実施態様において、好適な水溶性セルロースエーテルは既に記載したとおりであり、特にヒドロキシプロピルメチルセルロース(特に、グレード1828、2208、2906、および特に2〜18cPの動的粘度を有する2910)である。この実施態様における使用のための水溶性エーテルの好適なエステルは、本発明の第1の側面に関連して既に定義したとおりである。好適には、コーティングは、本明細書に記載された通り、フィルムコーティングとして適用される。薬剤を含む核は、水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステル(および場合によっては既に記載したとおりの他の追加の賦形剤)を含有する、既に記載した組成物のいずれかを含みうる。あるいは、核は、水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルなしで薬剤を含みうる。あるいは、この実施態様において、水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルは、コーティング内に完全に存在してもよい。あるいは、水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルは、核およびコーティングの双方に存在してもよい。
本発明のさらなる実施態様において、(i)薬剤を含む核;および(ii)コーティング(特にフィルムコーティング)を含み、水溶性セルロースエーテルおよび/または水溶性セルロースエーテルのエステルが核またはコーティングの少なくとも一方に存在する固形医薬組成物(例えば、錠剤、ペレットまたは顆粒製剤)が提供される。この実施態様において、水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルは、完全にコーティング内に、完全に核内に、または核およびコーティングの双方に存在しうる。
別の具体的な実施態様において、本発明による組成物は、フィルムコーティングにより被覆された核を含み、核が:
44〜55%の薬剤(特に、遊離塩基型で);
25〜40%のラクトース(特に、ラクトース一水和物);
5〜15%の微結晶セルロース;
2〜6%の崩壊剤(特に、クロスカルメロースナトリウム);
1〜5%のポビドン(特に、K29−32);
0.05〜1%(特に、0.1〜0.5%)のドデシル硫酸ナトリウム;および
0.1〜4%の滑沢剤(特に、ステアリン酸マグネシウム);
を含み、フィルムコーティングが:
0.5〜3%の水溶性セルロースエーテル(特に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、より具体的には、5〜7cPの動的粘度を有するグレード2910);
0〜0.5%(特に、0.05〜0.5%)の可塑剤(特に、ポリエチレングリコール、より具体的には、200〜500、特に300の分子量を有するポリエチレングリコール);
0〜0.5%(特に、0.1〜0.4%)の分散助剤(好適には、タルク);
0〜0.5%(特に、0.1〜0.4%)の乳白剤(好適には、二酸化チタン);および
0〜0.5%(特に、0.001〜0.4%)の着色料(特に、酸化鉄);
を含む、経口投与に適した錠剤、ペレットまたは顆粒であり、ここで、すべての%は組成物の総重量に基づく重量%である。
本発明の医薬組成物は、例えば、成分の乾式混合により、または、特に、湿式造粒技術に続く錠剤を形成するための圧縮もしくは好適なカプセルへの充填などにより、当該技術分野において一般的に知られた標準的な技術および製造方法を使用して製造されうる。好適な湿式造粒技術は、例えば、薬剤、1以上の充填剤、すべてまたは1部の崩壊剤および場合によっては水溶性セルロースエーテルおよび/または水溶性セルロースエーテルのエステル、湿潤剤および/または1以上の結合剤、および必要であればその他の追加の賦形剤を一緒にして、例えば造粒機を用いて混合することを含む。得られる粉体混合物は、その後、場合によっては湿潤剤および/または1以上の結合剤(水溶性セルロースエーテルであってもよい)を含む少量の精製水を用いて造粒される。造粒物は大型の集合体を細かくするためにスクリーンを通し、乾燥し、粉砕機にかける。その後、粉砕した造粒物に、残りの崩壊剤および滑沢剤を加え、混合の後に、得られる均一の混合物を圧縮して錠剤にする。あるいは、粉砕した造粒物を好適なカプセルに充填し、カプセル製剤を製造する。
好適な乾式混合技術は、例えば、薬剤、水溶性セルロースエーテルおよび/または水溶性セルロースエーテルのエステル、および場合によっては湿潤剤、1以上の充填剤、1以上の結合剤および1以上の崩壊剤、および必要であればその他の追加の賦形剤を一緒にして混合することを含む。混合前の混合物の成分、または混合物自体を、メッシュスクリーン、例えば400〜700μmメッシュスクリーンを通してもよい。滑沢剤(これもまたスクリーンを通してもよい)を、その後、混合物に加え、均一の混合物が得られるまで混合を続ける。あるいは、混合物は、カプセル製剤を与えるために好適なカプセルに充填してもよい。
成分の添加およびそれらの篩分および錠剤への圧縮前の混合の順番を含む、乾式混合および湿式造粒技術の変法は、当該技術分野において周知の方式により実施されうる。
組成物が、例えばフィルムコーティングにより被覆される場合、コーティングは、例えはフィルムコーティング形成、特に水系フィルムコーティング形成によるコーティングによる慣用の方法を使用して、その後に適用されうる。フィルムコーティング形成は、例えば、スプレーコーティングまたは流動床コーティングにより、本発明の組成物に適用されうる。水溶性セルロースエーテルおよび/または水溶性セルロースエーテルのエステルを含むフィルムコーティングの供給は、便宜的に、本発明による組成物に存在する水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルを供給するために用いることができる。
組成物がカプセル製剤として調製される場合、組成物はまず粉体または顆粒として調製され、その後カプセル製剤を与えるためにカプセルに充填される。好適なカプセルは当該技術分野において周知であり、例えば、硬質ゼラチン(hard gelatin)、水溶性セルロースエーテル(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)およびスターチカプセルなどである。カプセルが水溶性セルロースエーテルを含む場合、カプセルは、本発明による組成物に存在する水溶性セルロースエーテルを供給するために使用されうる。
従って、本発明のさらなる側面は、薬剤を、水溶性セルロースエーテルおよび/または水溶性セルロースエーテルのエステルおよび場合によっては他の賦形剤と混合することを含む、医薬組成物の調製方法を提供し、ここで、薬剤、水溶性セルロースエーテル、水溶性セルロースエーテルのエステルおよび任意の賦形剤は、本発明の第1の側面に関連して既に記載されたとおりである。組成物の成分を混合するための好適な方法は既に記載されたとおりである。
薬剤は抗増殖活性を有し、従って、本発明の組成物は、例えば、国際特許出願WO96/33980に記載されたような状態の処置において有用である。例えば、本発明の組成物は、例えば、肺癌(小細胞肺癌および非小細胞肺癌を含む)、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、結腸直腸癌、胃癌(gastric)、脳腫瘍(神経膠腫および下垂体腺腫を含む)、頭部癌および頚部癌、膀胱癌、膵臓癌、咽頭癌、胃癌(stomach)、腎癌、皮膚癌(悪性メラノーマを含む)、婦人科腫瘍(gynaecological cancer;子宮頸癌、子宮内膜癌、膣癌、外陰癌および子宮癌を含む)および甲状腺癌などの多くの通常のヒトの癌の処置のために、および多様な癌腫および肉腫などの白血病、リンパ性悪性腫瘍および充実性腫瘍の処置において有用である。さらに本発明の組成物は、例えば乾癬などの良性皮膚過形成および良性前立腺肥大などの過剰細胞増殖を含むその他の疾患の処置のために有用であろうと考えられる。
本発明のさらなる側面は、医薬としての使用のための、既に定義したような本発明による医薬組成物を提供する。
本発明の組成物に存在する薬剤は、そのerbB1受容体チロシンキナーゼ阻害活性に起因すると考えられる、抗癌特性などの抗増殖特性を有する。あるいは、本発明の組成物は、erbB1受容体チロシンキナーゼにより単独でまたは部分的に媒介される疾患または医学的状態の処置において有用であると考えられる。すなわち、本発明の組成物は、そのような処置を必要とする温血動物においてerbB1受容体チロシンキナーゼ阻害活性効果を創出するために使用されうる。従って、本発明の組成物は、erbB1受容体チロシンキナーゼの阻害により特徴づけられる悪性細胞の増殖を処置するための方法を提供する。すなわち、本発明の組成物は、erbB1受容体チロシンキナーゼの阻害により単独でまたは部分的に媒介される抗増殖効果を創出するために使用されうる。従って、本発明の活性物質は、抗増殖効果を提供することにより、乾癬および/または癌の処置において、特に、本明細書に記載した癌などのerbB1受容体チロシンキナーゼ感受性癌の処置において有用であると考えられる。
本発明の実施態様において、温血動物(特にヒト)における抗増殖効果の創出における使用のための、本明細書に定義した本発明による医薬組成物が提供される。別の実施態様において、癌の処置において使用するための、本明細書において定義した本発明による医薬組成物が提供される。さらなる実施態様において、erbB1受容体チロシンキナーゼの阻害に対して感受性の腫瘍の予防または治療において使用するための本発明による医薬組成物が提供される。
本発明のさらなる側面は、温血動物(特にヒト)における抗増殖効果の創出において使用するための医薬の製造における、本明細書で定義した本発明による組成物の使用を提供する。
本発明のさらなる側面は、癌の処置において使用するための医薬の製造における、本明細書で定義された本発明による組成物の使用を提供する。
本発明のさらなる側面は、薬剤を必要とする患者の消化管における溶液からの薬剤の析出速度を抑制する方法であって、本明細書に定義した本発明の第1の側面による組成物を当該患者に経口投与することを含む前記方法を提供する。
本発明のさらなる側面は、温血動物(特にヒト)の消化管における溶液からの薬剤の析出速度を抑制するための、医薬の製造における本明細書で定義した本発明の第1の側面による組成物の使用を提供する。
本発明のさらなる側面は、温血動物(特にヒト)の消化管における溶液からの薬剤の析出速度を抑制するための、薬剤を含む医薬の製造における水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルの使用を提供する。
本発明のさらなる側面は、薬剤を必要とする患者における、薬剤のバイオアベイラビリティーおよび/または血漿濃度における患者間の可変性を低減するための方法であって、本明細書に定義された本発明の第1の側面による医薬組成物を前記患者に経口投与することを含む前記方法を提供する。
本発明のさらなる側面は、薬剤のバイオアベイラビリティーおよび/または血漿濃度における患者間の可変性を低減するための、医薬の製造における本明細書に定義された本発明の第1の側面による医薬組成物の使用を提供する。
本発明のさらなる側面は、薬剤のバイオアベイラビリティーおよび/または血漿濃度における患者間の可変性を低減するための、薬剤を含む医薬の製造における水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルの使用を提供する。
本発明の上記の側面において、薬剤は、水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルと一緒に投与されうる。あるいは、薬剤およびセルロースエーテルまたはそのエステルは、薬剤およびセルロースをそれぞれ含む個々の剤形として別々に投与されうる。しかし、一般に、薬剤および水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルは、例えば錠剤、顆粒またはカプセル製剤などの好適な経口剤形により、例えば物理的な混合物として、一緒に投与される。
発明のさらなる側面によれば、薬剤を含む単位剤形と水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルを含む単位剤形を含むキットが提供され、場合によってはキットの使用に関する指示を伴ってもよい。キットの単位剤形は、本明細書に記載されたとおり、同時にまたは連続的に患者に投与されうる。
本発明のさらなる側面は、水溶液からの薬剤の析出を抑制するための水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルの使用を提供する。より具体的には、本発明のこの側面による使用は、水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルが存在しない同じ水溶液からの薬剤の析出の速度と比較して、溶液のpHの変化、特にpHの増加により生じる水溶液からの薬剤の析出の速度を減少させる。さらに具体的には、本発明のこの側面による使用は、薬剤が患者の胃から、薬剤が消化される消化管のpHのより高い領域に移動する際に(薬剤の第1の部位は上部腸と考えられる)、インビボの水溶液からの薬剤の析出を抑制する。ここで述べたとおり、水溶性セルロースエーテルおよび水溶性セルロースエーテルのエステルは、好適には、本明細書で述べた医薬組成物を提供するために、薬剤と混合される。従って、本発明の実施態様において、患者への医薬組成物の投与の後のインビボの水溶液からの薬剤の析出の抑制のための、経口投与に適合する医薬組成物(好ましくは錠剤またはカプセルなどの固形医薬組成物)における、水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルの使用が提供される。
特定の増殖性疾患の治療的または予防的処置のための本発明の組成物の求められる薬量は、例えば、処置する対象および処置する疾患の重篤度に依存して、必然的に変化しうるであろう。好ましくは、例えば、0.5〜15mg/kg体重の範囲の薬剤の日薬量が受容される。より好ましくは、例えば、1〜10mg/kg体重の範囲の薬剤の日薬量が受容される。例えば、1〜1000mg、好適には100〜750mg、より好適には200〜600mgの範囲の、好ましくは約250mgの薬剤を含む組成物の単位薬量が想定されうる。当該単位剤形における薬剤の水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルに対する比は、既に述べたとおりである。
本発明は、以下の非限定的な実施例により説明される。ここで、薬剤は式Iの遊離塩基型である。
実施例で以下の略称が使用される:
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
ACN:アセトニトリル
HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース。
実施例1:被覆された錠剤製剤
錠剤の核
薬剤 250.0mg
ラクトース一水和物 163.5mg
微結晶セルロース 50.0mg
クロスカルメロースナトリウム 20.0mg
ポビドン 10.0mg
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5mg
ステアリン酸マグネシウム 5.0mg
錠剤のコーティング
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 8.16mg
ポリエチレングリコール300 1.60mg
タルク 1.18mg
二酸化チタン 1.18mg
黄色酸化鉄(Yellow ferric oxide)0.04mg
実施例の製剤は、慣用の湿式顆粒化、圧縮およびフィルムコーティング工程により調製された。均一な混合物を製造するために、薬剤、ラクトース一水和物、微結晶セルロースおよびクロスカルメロースナトリウムをハイシェアーグラニュレーターにおいて一緒に攪拌した。攪拌をしながら粉体にポビドンおよびラウリル硫酸ナトリウムの水溶液を、好適にしめった塊が得られるまで加えた。大きな粒子を除去するために、湿性の顆粒を好適なスクリーンを通過させ、その後乾燥した。その後、乾燥顆粒をさらにスクリーンを通過させ、予め粉砕したステアリン酸マグネシウムと混合した。得られた顆粒を圧縮して錠剤の核とし、その後それを、慣用のパンコーター(pan coater)を用いて被覆した。フィルム被覆を、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール300、タルク、二酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄の水性懸濁液を錠剤の核上にスプレーすることにより付着させた。
以下に詳細を説明するpH変化析出法を用いて、錠剤を試験した。
実施例2:被覆された錠剤製剤
錠剤の核
薬剤 250.0mg
ラクトース一水和物 163.5mg
微結晶セルロース 50.0mg
クロスカルメロースナトリウム 20.0mg
ポビドン 10.0mg
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5mg
ステアリン酸マグネシウム 5.0mg
錠剤のコーティング
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 7.65mg
ポリエチレングリコール300 1.5mg
二酸化チタン10 0.50mg
黄色酸化鉄(Yellow ferric oxide)10 0.90mg
赤色酸化鉄(Red ferric oxide) 10 0.90mg
脚注:実施例1および2において以下の賦形剤を使用した。
[1]HPMC606グレード2910(Shin Etsu製)、6cP動的粘度(20℃で2%w/vの水中で測定)
[2]ラクトース一水和物−Pharmatose(DMV International製、Veghel、オランダ)
[3]Plasdone(登録商標)ポビドンK29−K32(International Speciality Products、Wayne、New Jersey、USA)
[4]Avicel(登録商標)微結晶セルロース(FMC International製、Philadelphia、Pennsylvania、USA)
[5]Ac−Di.Sol(登録商標)(FMC International製、Philadelphia、Pennsylvania、USA)
[6]ラウリル硫酸ナトリウム、Albright and Wilson、Oldbury、UK
[7]ステアリン酸マグネシウム、Mallinckrodt、St Louis、Missouri、USA
[8]ポリエチレングリコール300、Reagent Chemical Services Ltd(Runcorn UK)
[9]黄色酸化鉄、二酸化チタン、タルクおよびHPMC606の一部は、Opaspray Yellow M−1−22842、Colorcon製、Dartford、Kent、UKにおいて供された。
[10]赤色および黄色酸化鉄、二酸化チタンおよびHPMC606の一部は、Opaspray Brown M−1−25092、Colorcon製、Dartford、Kent、UKにおいて供された。
上記の製剤は、実施例1に記載した方法と類似の湿式造粒、圧縮およびフィルムコーティング法を用いて調製した。赤色酸化鉄、黄色酸化鉄および二酸化チタンを含む濃縮物(OpasprayTM Brown M−1−25092、Colorcon製)を用いてフィルムコーティングを付着させた。フィルム被覆を供するために、濃縮物を、水、ポリエチレングリコール300およびHPMCを含む基材中に希釈し、その後それをパンコーターにおいて錠剤の核に付着させた。
以下に詳細を説明するpH変化析出法を用いて、錠剤を試験した。
pH変化溶解法
上記の実施例に記載した製剤を、500mLの0.07N HCl(約pH1.5)および塩化ナトリウム(0.2%w/v)を含む媒体中に1時間37℃で溶解した(パドル速度100rpm)。60分で5mLのサンプルを取り、媒体で置き換えた。このサンプルのHPLC分析(以下に記載)により薬剤の100%が溶液中に存在することを確認した。
その後pHを6.5まで変化させるために、10mLの2.5M KHPO/16.72%(w/v)NaOH溶液を加えた。その後、2、5、15、30、45および60分後にプラスチックのシリンジで5mLのサンプルを抜き取り、各サンプリングの時点に媒体で置き換えた。各サンプルを周囲温度で15分間遠心分離(14,000rpm)し、その後以下の条件を使用してHPLCにより分析した:
溶離液:38%ACN/62%水/0.6%酢酸アンモニウム
カラム:10cmx3mm(内径)INERTSIL ODS−311(ガード付き)
検出波長:247nm
流速:0.9mL/分
注入量:20μL
保持時間:約6分
脚注[11]:3μmビーズを含むHichrom製のカラム
比較例1
250mgの薬剤を単独で用いたことを除いて、上記のpH変化析出法を繰り返した。
結果
図1は、実施例1および2および比較例1において詳説した製剤についてのpH変化析出の特性を示す。結果は、pHの6.5への変化の後の薬剤の析出速度が本発明による組成物(実施例1および2)については、薬剤単独の場合と比して遅くなったことを示し、薬剤が本発明による組成物に含まれる場合は、過飽和がより長時間維持されることが示されている。
pH変化析出試験は、薬剤が胃の酸性環境から、薬剤の最も高い固有の吸収部位と考えられている上部腸のアルカリ環境へ移動する際の、低いpHから高いpHへの変化の効果を強調している。図1は、本発明の組成物が、pH6.5への変化の後の溶液からの薬剤の析出速度を顕著に減少させることを明確に示している。これにより、例えば、吸収および/またはバイオアベイラビリティーの増加などの薬物動態学的特性における改善をもたらされ、薬剤のバイオアベイラビリティーおよび/または血漿濃度における患者間の可変性が減少しうることが期待される。
実施例3〜13
以下に記載する組成物は、乳鉢に薬剤および賦形剤の必要量を秤量することにより調製した。その後視覚的に均一な混合物が得られるまで、成分を乳棒で混合した。
実施例3
薬剤 250mg
メチルセルロース 8.16mg
実施例4
薬剤 250mg
カルボキシメチルセルロースナトリウム 8.16mg
実施例5
薬剤 250mg
ヒドロキシプロピルセルロース 8.16mg
実施例6
薬剤 250mg
ヒドロキシエチルセルロース 8.16mg
実施例7
薬剤 250mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 8.16mg
実施例8
薬剤 250mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 100mg
実施例9
薬剤 250mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 75mg
実施例10
薬剤 250mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 25mg
実施例11
薬剤 250mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート 8.16mg
実施例12
薬剤 250mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート 8.16mg
実施例13
薬剤 250mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 8.16mg
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5mg
実施例14
薬剤 250mg;
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 8.16mg;および
ベンズアルコニウムクロリド 1.5mg、を含む組成物を、pH変化溶解試験(実施例1および2に関連して上述したとおり)の酸性媒体中で、薬剤(250mg)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(8.16mg)を含む組成物を上記の実施例7に記載された方法を用いて調製することにより、in situで調製した。その後、この組成物を、pH溶解試験の酸性溶解媒体に加え、便宜上ベンズアルコニウムクロリドを、薬剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む溶解媒体に加えた。上記の組成物は、ベンズアルコニウムクロリドを薬剤およびヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物に直接加えることにより調製してもよい。この方法は、特に、組成物の大規模なバッチの調製に適している。
比較例2〜4
薬剤を含む以下の比較のための組成物を、実施例3〜13に記載したのと同じ方法を使用して、混合物として調製した。
比較例2
薬剤 250mg
セルロースアセテートフタレート 8.16mg
比較例3
薬剤 250mg
エチルセルロース 8.16mg
比較例4
薬剤 250mg
セルロースアセテート 8.16mg
対照サンプル
250mgの薬剤を単独で含む対照サンプルを、上記の実施例3〜13の組成物との比較のために調製した。
実施例3〜14および比較例2〜4で使用した賦形剤はすべて購入により入手が可能であり、以下の特質を有している:
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、Pharmacoat 606、Shin−Etsu製、粘度6cP(2w/v%の水溶液、20℃、USP法、USP24、NF19、2000、p843−844およびUSP24、NF19、2000、p2002−2003により測定)であった。
ベンズアルコニウムクロリドは、Fluka製であった。
メチルセルロースは、Methocel MC、粘度10−25cP(20℃の2%w/v水溶液)、Fluka製であった。
ヒドロキシプロピルセルロースは、Aldrich製、平均MW370000、粘度150−400cP(Brookfield spindle#2、60rpm、2%w/v水溶液、25℃)であった。
カルボキシメチルセルロースナトリウムは、Luxara 1316PA(Arthur Branwell&Co Ltd製)、置換度0.8−0.95、粘度900−1500cP(1%w/v溶液)であった。
セルロースアセテートフタレートは、Aldrich製、粘度規格45−90cP(25℃)、実際のサンプルの粘度66.20cP(25℃)であった。
エチルセルロースは、Fisher製であった。
セルロースアセテートは、Fisher製、粘度75−100cP(25℃での95%アセトン/水中の6%w/v溶液)であった。
HPMCアセテートサクシネートは、Aqoat AS−LG、Shin−Etsu製、運動粘度2.4−3.6mm/s(Japanese Pharmaceutical Excipients 1993に記載されて方法を使用して測定)であった。
HPMCフタレートは、HP55、Shin−Etsu製、粘度4x10−5−1(同重量のメタノールおよびメチレンクロリドの混合物中の10重量%、USP24、NF19、2000年、第2002−2003頁に記載のUSP/NF法に従って測定)であった。
ヒドロキシエチルセルロースは、Aldrich製、粘度規格80−125cP(2%w/v水溶液、25℃)、実際の粘度107cP、Mw約250000であった。
実施例1および2に記載したものと以下の点を除いて類似するpH変化溶解試験を用いて、実施例3〜14および比較例2〜4の組成物を試験した:
(i)各組成物をバイアルで秤量し、450mLの酸性溶解媒体に加えた。その後バイアルを50mL新たな酸性溶解媒体ですすぎ、組成物が完全に移ったことを確実にするために洗浄液を酸性溶解媒体に加えた(酸性媒体の合計量=500mL)。
(ii)実施例7および13において、実施例の組成物を容量フラスコ内の50mLの酸性媒体に溶解し、得られる溶液を400mLの酸性溶解媒体を含む溶解用容器に移した。組成物が溶解用容器に完全に移ったことを確実にするために、フラスコをさらなる50mLの酸性媒体ですすいだ。この方法を、250mgの薬剤を単独で含む対照サンプルについてのpH変化溶解特質を測定するためにも使用した。
(iii)実施例14において、簡便のために、ベンズアルコニウムクロリドを、酸性溶解媒体中に薬剤およびHPMCを含む溶解用容器に加えた(実施例14の記載を参照のこと)。
(iv)実施例3、5、9および14ならびに対照サンプル(薬剤のみ)について、溶解媒体のサンプルを60分で取り出した(pH変化の前の溶液中の薬剤の量を決定するための約pH1.5の酸性媒体)。その後、さらなるサンプルを、実施例1および2に記載したようにpH調整後60分まで取り出した。残りの実施例および比較例については、1.5から6.5へのpHの調整の5分後にサンプリングを終了した。
結果
水溶性セルロースエーテルの効果
表1は、薬剤(250mg)および8.16mgの水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルを含む上記の実施例についてのpH変化溶解試験の結果を示す。表1はまた、薬剤単独の対照サンプル結果および比較例2〜4のデータでもある。表1において、第3のカラムは、60分後の酸性溶解媒体に溶解した薬剤の%を示す(>100%を示す場合は、HPLC分析に関連する実験誤差によるものである)。カラム4および5は、pH6.5への変化の後の2分および5分での溶液中の薬剤の%を示す。
Figure 0004544863
本発明による実施例3〜7は、薬剤を単独で含む対照サンプルと比較して、pH6.5への変化においての溶液からの薬剤の析出を抑制することが、表1により明確に示されている。対照サンプルはわずか6.9%であったのに対し、実施例3(メチルセルロース+薬剤)においてはpH6.5への変化の5分後に71.3%の薬剤が溶液中に依然として存在した。表1はまた、水不溶性セルロース誘導体を含む比較例2〜4の組成物は、薬剤単独の対照サンプルと比較して、薬剤の析出の抑制において顕著な効果を有さないことも示している。
図2は、薬剤単独の対照サンプルと比較しての、実施例3および5の薬剤の析出の減少における著しい効果を示す。薬剤単独と比較して、比較的少量の水溶性セルロースエーテルを使用して、6.5へのpHの変化後60分においてさえも薬剤の析出は顕著に減少することを図2は示す。pHの6.5への変化後60分で、実施例3および5(薬剤およびメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースを含む組成物)においては約15%の薬剤が溶液に留まるのに対し、薬剤単独の対照サンプルにおいては溶液中に5%未満の薬剤が存在する。
薬剤を含む組成物でのpH6.5へのpH変化後の溶液からの薬剤の析出速度における、水溶性セルロースエーテル(HPMC)の増量の効果を表2に示す。
Figure 0004544863
表2は、組成物中のHPMCのレベルの増加により観察される薬剤の析出速度の著しい減少を示す。薬剤の析出の特に著しい減少は、実施例9の組成物において観察される(薬剤のHPMCに対する重量比が約3.3:1)。
図3は、実施例7および9のpH変化溶解特性を、薬剤単独を含む対照サンプルと比較するものである。図3は、HPMCレベルの増加が、薬剤を単独で含む対照サンプルと比較して、薬剤の析出を顕著に抑制することを明確に示す。
水溶性セルロースエーテルのエステルの効果
表3は、薬剤ならびに実施例11および12の腸溶製ポリマーの水溶性セルロースエーテルのエステルを含む組成物と、薬剤単独(対照)のpH変化溶解データを比較するものである。表3はまた、水不溶性セルロースエーテルを含む比較例2および4から得られるデータも示す。表3の各組成物において、薬剤の量は250mgであり、賦形剤の量は8.16mgである。
Figure 0004544863
水溶性セルロースエーテルのエステルを含む本発明による組成物は、薬剤単独または比較例の組成物と比較して、薬剤の析出速度を著しく減少させることを、表3は明確に示す。
湿潤剤の効果
表4は、湿潤剤および水溶性セルロースエーテルを含む実施例13および14の組成物についてのpH変化溶解データを、湿潤剤を含まない同じ組成物(実施例7)と比較するものである。表4はまた、薬剤単独の対照サンプルについてのデータも含む。表3に示される組成物において、薬剤の量は250mgであり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの量は8.16mgであり、実施例13および14における湿潤剤の量は1.5mgである。
Figure 0004544863
表4は、水溶性セルロースエーテルと一緒に組成物において湿潤剤が含まれることにより、6.5へのpH変化後の薬剤の析出速度の減少において著しい効果がもたらされることを示す。特に、ベンズアルコニウムクロリドなどのカチオン性界面活性剤が組成物に含まれることにより、薬剤の析出速度において驚くべき減少がもたらされる。
図4はさらに、本発明による組成物において湿潤剤が含まれることの効果を示す。図4は、HPMCの単独での使用または薬剤を単独で含む対照サンプルと比較して、HPMCおよびカチオン性界面活性剤ベンズアルコニウムクロリドを含む実施例14の組成物が使用された場合の、薬剤の析出における著しい減少を示す。
図1は、薬剤を含むフィルムで被覆された錠剤製剤の酸性媒体中での溶解およびそれに続くpHの6.5への変化の後の薬剤の析出速度を示す。四角形のデータポイントは、実施例1に記載されたフィルムで被覆された錠剤製剤を意味し、三角形のデータポイントは、実施例2のフィルムで被覆された錠剤製剤を意味し、ダイアモンド型のデータポイントは、薬剤単独の析出を示す。 図2は、薬剤単独の析出と比較して、(i)薬剤およびメチルセルロースの混合物を含む組成物(実施例3−ダイヤモンド型データポイント)ならびに(ii)薬剤およびヒドロキシプロピルセルロースの混合物を含む組成物(実施例5−四角形のデータポイント)の溶解およびpHの変化の後の溶液からの薬剤の析出速度を示す。 図3は、溶解およびpH6.5への変化の後の薬剤の析出速度における、組成物中の薬剤に対するHPMCの量の増加の効果を示すものである。ダイアモンド型データポイントは実施例9の組成物(75mg、HPMC)を示し、四角形のデータポイントは実施例7の組成物(8.16mg、HPMC)を示し、および三角形のデータポイントは薬剤単独の対照サンプルである。図3の各々の場合において250mgの薬剤を使用した。 図4は、pH6.5への変化の後の薬剤の析出速度における、水溶性セルロースエーテルを伴う湿潤剤の付加的効果を示す。三角形のデータポイントは、薬剤およびHPMC(8.16mg)を含む組成物のpHの変化の後の薬剤%を示す。ダイアモンド型データポイントは、pHの変化の後の薬剤の析出速度における、薬剤、HPMC(8.16mg)およびベンズアルコニウムクロリド(1.5mg)を含む組成物の効果を示す。四角形のデータポイントは、薬剤を単独で含む対照サンプルを示す。図4の各々の場合において、組成物は250mgの薬剤を含んでいた。

Claims (18)

  1. (i)4−(3’−クロロ−4’−フルオロアニリノ)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンまたはその医薬的に許容な塩である薬剤;および
    (ii)メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの水溶性塩およびカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースの水溶性塩から選択される水溶性セルロースエーテル;または
    2〜8の炭素原子を含む非環状脂肪族カルボン酸または14以下の炭素原子を含むアリールカルボン酸により形成される、前記水溶性セルロースエーテルのエステル、
    を含む医薬組成物。
  2. 薬剤および水溶性セルロースエーテルを含み、ここで水溶性セルロースエーテルが、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースの水溶性塩から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 薬剤および水溶性セルロースエーテルのエステルを含み、ここで水溶性セルロースエーテルのエステルが、アセテート、サクシネート、フタレート、イソフタレート、テレフタレートおよびトリメリテートから選択される1以上のエステル基を有する、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースのエステルである、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルが、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートから選択される請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 薬剤およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む請求項1に記載の医薬組成物。
  6. 水溶性セルロースエーテルがヒドロキシプロピルメチルセルロースではない、請求項1または2のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  7. 水溶性セルロースエーテルおよび水溶性セルロースエーテルのエステルに対する薬剤の重量比が40:1〜2.5:1である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  8. さらに湿潤剤を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  9. 湿潤剤が医薬的に許容なカチオン性またはアニオン性界面活性剤から選択される、請求項8に記載の医薬組成物。
  10. 湿潤剤がアルカリ金属(8−20C)アルキルスルフェートである、請求項8に記載の医薬組成物。
  11. 薬剤、水溶性セルロースエーテルおよび/または水溶性セルロースエーテルのエステル、湿潤剤、および1以上の充填剤、結合剤、崩壊剤または滑沢剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  12. (a)10〜80部の、4−(3’−クロロ−4’−フルオロアニリノ)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンまたはその医薬的に許容な塩(以下、「薬剤」と称す);
    (b)0.05〜5部の、アニオン性界面活性剤から選択される湿潤剤;
    (c)10〜60部の、ラクトース、マンニトールおよび微結晶セルロースから選択される1以上の充填剤;
    (d)1〜10部の、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドンおよびスターチグリコレートナトリウムから選択される1以上の崩壊剤;
    (e)1〜20部の、ポリビニルピロリドンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される結合剤;および
    (f)0〜3部の滑沢剤;
    を含み、ここですべての部は重量部であり、(a)〜(f)の各部の合計が100であり、(d)または(e)から選択される少なくとも1つの成分は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムから選択される水溶性セルロースエーテルを含む、医薬組成物。
  13. 経口投与に適合する固形医薬組成物である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  14. (i)4−(3’−クロロ−4’−フルオロアニリノ)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンまたはその医薬的に許容な塩(以下、「薬剤」と称す)を含む核;および
    (ii)水溶性セルロースエーテルのエステルまたは水溶性セルロースエーテルを含むコーティング(ここで、水溶性セルロースエーテルは、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの水溶性塩およびカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースの水溶性塩から選択され;
    水溶性セルロースエーテルのエステルは、2〜8の炭素原子を含む非環状脂肪族カルボン酸または14以下の炭素原子を含むアリールカルボン酸により形成される、前記水溶性セルロースエーテルのエステルから選択される)
    を含有する固形医薬組成物。
  15. 経口投与に適合した錠剤、ペレットまたは顆粒である請求項14に記載の固形医薬組成物であり、フィルムコーティングにより被覆された核を含み、核が:
    44〜55%の薬剤;
    25〜40%のラクトース;
    5〜15%の微結晶セルロース;
    2〜6%の崩壊剤;
    1〜5%のポビドン;
    0.05〜1%のドデシル硫酸ナトリウム;および
    0.1〜4%の滑沢剤;
    を含み、フィルムコーティングが:
    0.5〜3%の水溶性セルロースエーテル;
    0〜0.5%の可塑剤;
    0〜0.5%の分散助剤;
    0〜0.5%の乳白剤;および
    0〜0.5%の着色料;
    を含み、ここで、すべての%は組成物の総重量に基づく重量%である、前記組成物。
  16. 薬剤が4−(3’−クロロ−4’−フルオロアニリノ)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  17. 4−(3’−クロロ−4’−フルオロアニリノ)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンまたはその医薬的に許容な塩を、水溶性セルロースエーテルおよび/または水溶性セルロースエーテルのエステルと混合することを含み、
    ここで、水溶性セルロースエーテルは、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの水溶性塩およびカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースの水溶性塩から選択され;
    水溶性セルロースエーテルのエステルは、2〜8の炭素原子を含む非環状脂肪族カルボン酸または14以下の炭素原子を含むアリールカルボン酸により形成される、前記水溶性セルロースエーテルのエステルから選択される、医薬組成物の製造方法。
  18. 4−(3’−クロロ−4’−フルオロアニリノ)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンまたはその医薬的に許容な塩である薬剤の水溶液からの析出を抑制するための水溶性セルロースエーテルまたは水溶性セルロースエーテルのエステルの使用であって、
    ここで、水溶性セルロースエーテルは、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの水溶性塩およびカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースの水溶性塩から選択され;
    水溶性セルロースエーテルのエステルは、2〜8の炭素原子を含む非環状脂肪族カルボン酸または14以下の炭素原子を含むアリールカルボン酸により形成される、前記水溶性セルロースエーテルのエステルから選択される、前記使用。
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