JP4542425B2 - ヘルメット - Google Patents

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Description

本発明は、保護帽体内にヘッドバンドを備えたヘルメットに関する。
ヘルメットのヘッドバンドは、装着者の頭部の回りに装着されて、ヘルメットを頭部に固定する役割を果たすもので、装着者の頭部の大きさに合わせるために、後頭部の位置で、その周囲長さを調節するようになっている(たとえば、特許文献1参照)。
この構成は、挿入側端部を掛止側端部に押し込むだけでヘッドバンドの長さの調節が簡単にでき、しかも確実な噛合い状態を保持するとともに、その噛合いも簡単な操作で解除することができる。
実開平7−43651号公報(特許請求の範囲、(0006)および図1、図3など)
特許文献1のヘルメットは、装着時に手を頭部に持っていき、挿入側端部をストラップの下側に挿入して突起を掛止穴に噛み合わせ、挿入側端部を挿入方向に押し込んでヘッドバンドを短くする。ヘルメットを脱ぐ場合は、立上側壁を外側から圧縮して、ヘッドバンドを下側に撓ませることにより、突起を掛止穴から抜いて両者の噛み合いを解除して挿入側端部を引き抜く。
しかし、挿入側端部をストラップの下側に挿入して突起を掛止穴に噛み合わせたり、挿入側端部を挿入方向に押し込んだり、立上側壁を指により外側から圧縮する操作は、手を頭部にあげた不安定な状態で行わなければならない。
そこで本発明は、ヘッドバンドの長さ調整操作が簡単なヘルメットを提供することを目的とする。
請求項1記載の本発明のヘルメットは保護帽体内に装着されるヘッドバンドと、前記ヘッドバンドの長さを調整する調整機構と、装着者の耳下を巡り前記保護帽体側で両端を支持される一対の耳下紐と、一対の前記耳下紐にそれぞれの端部を接続した顎紐とを備え、前記調整機構からは前記ヘッドバンドの端部又は前記ヘッドバンドの端部に接続された引き紐を延出させたヘルメットであって、前記耳下紐の一端を前記保護帽体の前頭部側に接続し、前記調整機構を前記保護帽体の後頭部に配置し、前記ヘッドバンドのそれぞれの端部又はそれぞれの前記引き紐を前記調整機構において交差させて前記耳下紐の他端と接続したことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載のヘルメットにおいて、前記ヘッドバンドの前頭部側に、前記耳下紐の一端を固定する調整孔を複数個設けたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明のヘルメットは保護帽体内に装着されるヘッドバンドと、前記ヘッドバンドの長さを調整する調整機構と、装着者の耳下を巡り前記保護帽体側で両端を支持される一対の耳下紐と、一対の前記耳下紐にそれぞれの端部を接続した顎紐とを備え、前記調整機構からは前記ヘッドバンドの端部又は前記ヘッドバンドの端部に接続された引き紐を延出させたヘルメットであって、前記耳下紐の一端を前記保護帽体の後頭部側に接続し、前記耳下紐の他端を前記保護帽体の前頭部側に設けられたガイドを経由して前記保護帽体の後頭部側にて前記ヘッドバンドの端部又は前記引き紐に接続したことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載のヘルメットにおいて、前記ヘッドバンドの後頭部側に、前記耳下紐の一端を固定する調整孔を複数個設けたことを特徴とする。
請求項5記載の本発明のヘルメットは保護帽体内に装着されるヘッドバンドと、前記ヘッドバンドの長さを調整する調整機構と、装着者の耳下を巡り前記保護帽体側で両端を支持される一対の耳下紐と、一対の前記耳下紐にそれぞれの端部を接続した顎紐とを備えたヘルメットであって、前記耳下紐の一端を前記ヘッドバンド又は前記保護帽体に接続し、前記ヘッドバンドをインナーキャップと一体に構成し、前記インナーキャップの後頭部には切込みを設け、前記切込みの両端部に列状の透孔を設け、前記列状の透孔に挿通した紐の両端を、前記調整機構において交差させて前記耳下紐の他端接続したことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載のヘルメットにおいて、前記調整機構をラチェット機構としたことを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項6に記載のヘルメットにおいて、前記ラチェット機構を、互いに交差してその長さ方向にガイド孔が形成された第1および第2のガイド部材と、前記第1および第2のガイド部材の交差位置における前記ガイド孔内に配される歯車及び前記歯車と同軸に設けたラチェット歯車からなる二重歯車と、前記ラチェット歯車の歯に噛み合う爪と、前記ラチェット歯車の歯と前記爪の噛み合いを制御するリリース機構とで構成し、前記第1のガイド部材に前記歯車と噛み合う第1の鋸歯状歯を形成し、前記第2のガイド部材に前記歯車と噛み合う第2の鋸歯状歯を形成したことを特徴とする。
本発明のヘルメットによれば、耳下紐または顎紐を引っ張るだけでヘッドバンドの長さを調整してヘルメットを頭部に簡単かつ確実に装着することができる。
また、ヘッドバンドを締めすぎた場合やヘルメットを脱ぐ場合は、リリースボタンを押して調整機構のリンクを外すことにより、ヘッドバンドを簡単に緩めることができる。

本発明の第1の実施の形態によるヘルメットは、耳下紐の一端を保護帽体の前頭部側に接続し、調整機構を保護帽体の後頭部に配置し、ヘッドバンドのそれぞれの端部又はそれぞれの引き紐を調整機構において交差させて耳下紐の他端と接続したものである。本実施の形態によれば、ヘッドバンドの緊縛方向が耳下紐の方向と一致するので、耳下紐または顎紐をその長さ方向に引っ張るだけでラチェット機構によるヘッドバンドの締め付けを小さい力で確実に行うことができる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態によるヘルメットにおいて、ヘッドバンドの前頭部側に、耳下紐の一端を固定する調整孔を複数個設けたものである。本実施の形態によれば、耳下紐の取り付け位置を変えることにより耳下紐の長さを装着者の頭部の大きさに応じて変えることができる。
本発明の第3の実施の形態によるヘルメットは、耳下紐の一端を保護帽体の後頭部側に接続し、耳下紐の他端を保護帽体の前頭部側に設けられたガイドを経由して保護帽体の後頭部側にてヘッドバンドの端部又は引き紐に接続したものである。本実施の形態によれば、耳下紐を引っ張るだけでヘッドバンドの周囲長を簡単に調整することができるので、ヘルメットを頭部に簡単かつ確実に装着することができる。また、ヘルメット着用時に顎紐が外れてもヘッドバンドの長さが変化することがなく、ヘルメットの装着感を損なったりヘルメットが脱げてしまうことを防止することができる。また、ヘッドバンドを締めすぎた場合やヘルメットを脱ぐ場合は、リリースボタンを押して調整機構のリンクを外すことにより、ヘッドバンドを簡単に緩めることができる。
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態によるヘルメットにおいて、ヘッドバンドの後頭部側に、耳下紐の一端を固定する調整孔を複数個設けたものである。本実施の形態によれば、耳下紐の取り付け位置を変えることにより耳下紐の長さを装着者の頭部の大きさに応じて変えることができる。
本発明の第5の実施の形態によるヘルメットは耳下紐の一端をヘッドバンド又は保護帽体に接続し、ヘッドバンドをインナーキャップと一体に構成し、インナーキャップの後頭部には切込みを設け、切込みの両端部に列状の透孔を設け、列状の透孔に挿通した紐の両端を調整機構において交差させて耳下紐の他端接続したものである。本実施の形態によれば、耳下紐を引っ張るだけでインナーキャップの周囲長を簡単に調整することができるので、ヘルメットを頭部に簡単かつ確実に装着することができる。また、ヘルメット着用時に顎紐が外れてもインナーキャップの周囲長が変化することがなく、ヘルメットの装着感を損なったりヘルメットが脱げてしまうことを防止することができる。また、ヘッドバンドを締めすぎた場合やヘルメットを脱ぐ場合は、リリースボタンを押して調整機構のリンクを外すことにより、ヘッドバンドを簡単に緩めることができる。
本発明の第6の実施の形態は、第1から第5の実施の形態によるヘルメットにおいて、調整機構をラチェット機構としたものである。本実施の形態によれば、ヘルメットを頭部に簡単かつ確実に装着することができる。
本発明の第7の実施の形態は、第6の実施の形態によるヘルメットにおいて、ラチェット機構を、互いに交差してその長さ方向にガイド孔が形成された第1および第2のガイド部材と、第1および第2のガイド部材の交差位置におけるガイド孔内に配される歯車及び歯車と同軸に設けたラチェット歯車からなる二重歯車と、ラチェット歯車の歯に噛み合う爪と、ラチェット歯車の歯と爪の噛み合いを制御するリリース機構とで構成し、第1のガイド部材に歯車と噛み合う第1の鋸歯状歯を形成し、第2のガイド部材に歯車と噛み合う第2の鋸歯状歯を形成したものである。本実施の形態によれば、ヘッドバンドの長さ調整と逆回転防止を行うラチェット結合が簡単な構造で確実に行うことができる。
以下本発明の実施例について図面とともに詳細に説明する。
図1は本発明の実施例1によるヘルメットを着用した場合の概念図で、(a)は側面一部透視図、(b)は後頭部側の一部透視斜視図、図2は図1におけるヘルメットのヘッドバンドの構成を示す図で、(a)はヘッドバンドの端部の構成を示す要部背面図、(b)はヘッドバンド端部のリンク状態を示す要部上面図である。
図1に示すように、ヘルメット10は、金属または硬質プラスチックス製の保護帽体11の内部に、頭部の周囲を囲繞するヘッドバンド12が装着されている。また、ヘルメット10には、装着者30の耳下を巡り、保護帽体11側で両端を支持される耳下紐13、14と、この耳下紐13、14に端部を接続した顎紐18とを備えている。ヘッドバンド12の両端部122、123には、それぞれ複数のスリット状透孔124、125が形成され、前頭部側には一対の舌片126、127が設けられている。一方の舌片126には、装着者30の耳下を巡る帯状の耳下紐13の一端が固定され、耳下紐13の他端はヘッドバンド12の端部123に連結されている。同様に他方の舌片127には、耳下紐14の一端が固定され、耳下紐14の他端はヘッドバンド12の端部122に連結されている。耳下紐13、14の舌片126、127に対する取り付け位置は、装着者30の頭の大きさに応じて、取り付ける調整孔128、129の位置を変更することにより調整可能であり、耳下紐13、14の長さを調整することができる。なお、本実施例では、調整孔128、129は、ヘッドバンド12の長さ方向に対する垂直な方向に複数個設けている。また、保護帽体11の後頭部側には、ヘッドバンド12の長さを調整する調整機構15が設けられている。
ヘッドバンド12の両端122、123は、図2に示すように1箇所で重なって所定の角度を持って交差している。この交差部は、図1に示すように調整機構15のカバーにより覆われている。調整機構15は、ヘッドバンド12の両端部122、123のスリット状透孔124、125に、ラチェット結合する歯車16を係合しており、歯車16がスリット状透孔124、125のそれぞれの1つに係合することによりヘッドバンド12の両端部122、123が結合する。歯車16は、リリースボタン17を押すことによりスリット状透孔124、125から離脱し、ヘッドバンド12との結合は解除される。
つぎに動作を説明する。
ヘルメット10を頭部に装着する場合は、リリースボタン17を押して歯車16をヘッドバンド12のスリット状透孔124、125から離脱させ、リリースボタン17を押したまま調整機構15を後方に引くとヘッドバンド12が長くなる。その状態でリリースボタン17を離すと、歯車16がスリット状透孔124、125に係合する。ヘッドバンド12を長くした状態でヘルメット10を頭にかぶり、耳の後側の耳下紐13、14を手前下方向、すなわち、図1における矢印A方向に引っ張ると、歯車16とスリット状透孔124、125との係合位置が移動してヘッドバンド12が短くなり、装着者30の頭部を締め付ける。ヘッドバンド12の締め付けが丁度よい状態になったときに耳下紐13、14の引張りを停止すると、その位置で歯車16とスリット状透孔124、125との係合位置が固定され、ヘルメット10はヘッドバンド12により装着者30の頭部に固定される。前述したように、歯車16とスリット状透孔124、125との係合はラチェット機構により係合しているので、耳下紐13、14の引張りを停止しても逆回転することはない。この状態で顎紐18の長さを顎に合わせて装着させる。
このように、耳下紐13、14を引っ張るだけでヘッドバンド12の周囲長を簡単に調整することができるので、ヘルメット10を頭部に簡単かつ確実に装着することができる。また、ヘルメット10の着用時に顎紐18が外れても、歯車16とスリット状透孔124、125の係合位置が固定されているので、ヘッドバンド12の長さが変化することがなく、ヘルメット10の装着感を損なったり、ヘルメット10が脱げてしまうことを防止することができる。
ヘルメット10を脱ぐ場合は、リリースボタン17を押して歯車16をスリット状透孔124、125から離脱させ、調整機構15を後方に引くとヘッドバンド12が長くなる。したがって、ヘッドバンド12による装着者30の頭部の締め付けが緩むので、顎紐18を顎から外せば簡単にヘルメット10を脱ぐことができる。
図3(a)は本発明の実施例2によるヘルメットのヘッドバンドにおける調整機構の構成を示す一部破断分解斜視図、図3(b)は同調整機構に用いる二重歯車の斜視図、図4は同調整機構の各部材を組み立てたときの一部破断斜視図である。
図において、表カバー21と裏カバー22との間に一対のガイド部材23、24が交差して配置されている。ガイド部材23には、その長さ方向にガイド孔231が形成されており、ガイド孔231の一方の側片に歯車25の歯と噛み合う鋸歯状歯232が形成されている。同様に、ガイド部材24には、その長さ方向にガイド孔241が形成されており、ガイド孔241の一方の側片に歯車25の歯と噛み合う鋸歯状歯242が形成されている。ガイド部材23およびガイド部材24の交差位置におけるガイド孔231とガイド孔241内に歯車25が挿入されている。歯車25の歯は、ガイド孔231の鋸歯状歯232およびガイド孔241の鋸歯状歯242と噛み合っており、歯車25が一方向に回転すると、ガイド部材23およびガイド部材24はその長さ方向に沿って互いに反対方向に移動する。
ガイド部材23は、その一端には図1におけるヘッドバンド12の一方の端部122が連結され、その他端には耳下紐14が接続される。同様に、ガイド部材24は、その一端には図1におけるヘッドバンド12の他方の端部123が連結され、その他端には耳下紐13が接続される。
歯車25の片面には、図3(b)に示すように歯車25より大きい径のラチェット歯車26が同軸上に設けられて二重歯車を構成しており、歯車25とラチェット歯車26は一体に回転する。歯車25とラチェット歯車26の回転軸は、表カバー21および裏カバー22に回転可能に枢着されている。ラチェット歯車26の歯には、爪27が噛み合うように配置され、ラチェット歯車26の歯に爪27が噛み合うと、ラチェット歯車26は一方向のみ回転し、逆回転は阻止される。ラチェット歯車26の歯に噛み合った爪27は、図4に示すリリースボタン28を押すことによりその噛み合いが外される。
なお、図4におけるラチェット歯車26は、歯車25が見えるように中央部を破断して図示しているが、実際は図3(b)のように円形をしている。
つぎに動作を説明する。
本実施例における調整機構の動作は、本質的に図1で説明した実施例1における調整機構15の動作と同一である。すなわち、ヘルメット10を頭部に装着する場合は、リリースボタン28を押して爪27をラチェット歯車26から離脱させ、リリースボタン28を押したまま調整機構を後方に引くと、歯車25およびラチェット歯車26が半時計方向に回転し、ガイド部材23は矢印Cと反対方向に移動し、ガイド部材24は矢印Dと反対方向に移動してヘッドバンド12が長くなる。その状態でリリースボタン28を離すと、爪27がラチェット歯車26と噛み合い、以後ラチェット歯車26および歯車25は半時計方向への回転が阻止される。
ヘッドバンド12を長くした状態でヘルメット10を頭にかぶり、耳の後側の耳下紐13、14を手前下方向、すなわち、図1における矢印A方向に引っ張ると、ガイド部材23が図4の矢印C方向に引っ張られ、ガイド部材23の鋸歯状歯232と歯車25の歯の噛み合いにより歯車25は時計方向に回転する。同様に、ガイド部材24が図4の矢印D方向に引っ張られ、ガイド部材24の鋸歯状歯242と歯車25の歯の噛み合いにより歯車25は時計方向に回転する。このとき、ラチェット歯車26も爪27に摺動しながら時計方向に回転する。
ガイド部材23が図4の矢印C方向に引っ張られ、ガイド部材24が図4の矢印D方向に引っ張られると、ヘッドバンド12が短くなり、装着者30の頭部を締め付ける。ヘッドバンド12の締め付けが丁度よい状態になったときに耳下紐13、14の引張りを停止すると、その位置でガイド部材23の鋸歯状歯232と歯車25の歯の噛み合いおよびガイド部材24の鋸歯状歯242と歯車25の歯の噛み合いがその位置で停止して固定される。このとき、ラチェット歯車26の回転も停止し、爪27がラチェット歯車26に噛み合っているので、ラチェット歯車26は逆回転することがない。したがって、歯車25も半時計方向に逆回転することがないので、ガイド部材23が矢印C方向と逆方向に引張られたり、ガイド部材24が矢印D方向に引っ張られることもないので、ヘルメット10はヘッドバンド12により装着者30の頭部に固定される。この状態で顎紐18の長さを顎に合わせて装着させる。
このように、本実施例においても、耳下紐13、14を引っ張るだけでヘッドバンド12の周囲長を簡単に調整することができるので、ヘルメット10を頭部に簡単かつ確実に装着することができる。また、ヘルメット10の着用時に顎紐18が外れても、ガイド部材23の鋸歯状歯232と歯車25の歯の噛み合い、およびガイド部材24の鋸歯状歯242と歯車25の歯の噛み合いがその位置で停止して固定されているのでヘッドバンド12の長さが変化することがなく、ヘルメット10の装着感を損なったり、ヘルメット10が脱げてしまうことを防止することができる。
ヘルメット10を脱ぐ場合は、リリースボタン28を押して爪27をラチェット歯車26から離脱させ、リリースボタン28を押したまま調整機構を後方に引くと、歯車25およびラチェット歯車26が半時計方向に回転し、ガイド部材23は矢印Cと反対方向に移動し、ガイド部材24は矢印Dと反対方向に移動してヘッドバンド12が長くなる。したがって、ヘッドバンド12による装着者30の頭部の締め付けが緩むので、顎紐18を顎から外せば簡単にヘルメット10を脱ぐことができる。
図5は本発明の実施例3によるヘッドバンドにおける調整機構の構成を示す図で、(a)はヘッドバンドの一端側端部の構成を示す背面図、(b)はヘッドバンドの他端側端部の構成を示す背面図、(c)はヘッドバンドの両端部を結合した状態の背面図である。
ヘッドバンド12の一端側端部31にはヘッドバンド12の他端側端部32が挿通自在なバックル33が設けられている。バックル33の内面には複数の突起34が列状に形成されており、側面にはリリースボタン35が設けられている。一方、ヘッドバンド12の他端側端部32には複数の透孔36が列状に形成されている。ヘッドバンド12の一端側端部31の先端にはゴムなどの弾性体による引き紐37が、ヘッドバンド12の他端側端部32の先端には弾性体による引き紐38が接続されている。
図5(c)に示すように、引き紐38およびヘッドバンド12の他端側端部32をヘッドバンド12の一端側端部31におけるバックル33内に挿通させてヘッドバンド12の両端部31、32を重ねあわせ、バックル33の内面における複数の突起34をヘッドバンド12の他端側端部32における複数の透孔36に係合させることによりヘッドバンド12の両端を連結する。引き紐37には耳下紐14が、引き紐38には耳下紐13が接続される。
つぎに動作を説明する。
本実施例における調整機構の動作は、本質的に実施例1または実施例2における調整機構15の動作と同一である。すなわち、ヘルメット10を頭部に装着する場合は、リリースボタン35を押して突起34を透孔36内から離脱させ、リリースボタン35を押したままバックル33を後方に引くとヘッドバンド12が長くなる。その状態でリリースボタン35を離すと、突起34が透孔36に係合する。ヘッドバンド12を長くした状態でヘルメット10を頭にかぶり、耳の後側の耳下紐13、14または引き紐37、38を手前下方向、すなわち、図1における矢印A方向に引っ張ると、突起34と透孔36との係合位置が移動してヘッドバンド12が短くなり、装着者30の頭部を締め付ける。ヘッドバンド12の締め付けが丁度よい状態になったときに耳下紐13、14または引き紐37、38の引張りを停止すると、その位置で突起34と透孔36との係合位置が固定され、ヘルメット10はヘッドバンド12により装着者30の頭部に固定される。この状態で顎紐18の長さを顎に合わせて装着させる。このとき、引き紐37、38の弾性により耳下紐13、14が後方に引っ張られるので、耳下紐13、14は耳の前後で間隔が広がり、耳下紐13、14が耳に触れる不快感から解放されるとともに、耳下紐13、14および顎紐18がブラブラせずに固定される。また、頭囲サイズを調整するときにも耳下紐13、14または引き紐37、38の位置をさぐりやすい。
このように、耳下紐13、14または引き紐37、38を引っ張るだけでヘッドバンド12の周囲長を簡単に調整することができるので、ヘルメット10を頭部に簡単かつ確実に装着することができる。また、ヘルメット10の着用時に顎紐18が外れても、突起34と透孔36の係合位置が固定されているので、ヘッドバンド12の長さが変化することはなく、ヘルメット10の装着感を損なったり、ヘルメット10が脱げてしまうことを防止することができる。
ヘルメット10を脱ぐ場合は、リリースボタン35を押して突起34を透孔36から離脱させ、バックル33を後方に引くとヘッドバンド12が長くなる。したがって、ヘッドバンド12による装着者30の頭部の締め付けが緩むので、顎紐18を顎から外せば簡単にヘルメット10を脱ぐことができる。
ヘルメット10が衝撃を受けた場合、顎紐18にも衝撃が伝わり、ひいては頭囲調整機構であるヘッドバンド12にも衝撃が伝わって調整機構15が誤動作したり、最悪の場合にはヘッドバンド12や調整機構15が破損することがある。実施例4はこのような問題を解決するものである。
図6は本発明の実施例4によるヘルメットを着用した場合の概念図で、(a)は側面一部透視図、(b)は後頭部側の一部透視斜視図である。図6(a)、(b)において、図1(a)、(b)と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図1(a)、(b)と異なる点は、耳下紐13、14の他端をヘッドバンド12の端部122、123ではなく保護帽体11の側後部に連結し、ヘッドバンド12の端部123にゴムなどの弾性体による引き紐39を、端部122に同様の引き紐(図示せず)を連結し、引き紐39、40の他端を保護帽体11の側後部と耳下部との中間位置において耳下紐13、14に連結した点である。
本実施例によれば、ヘルメット10が衝撃を受けても耳下紐13、14の両端が保護帽体11に固定されているので、ヘッドバンド12や調整機構15は直接的影響は受けにくい。
その他の構成および動作は実施例1と同様であるので説明を省略する。
なお、本実施例において、調整機構15としては図2で説明した調整機構の他に、図3および図4で説明した構成および図5で説明した構成を使用することもできる。
図7は本発明の実施例5によるヘルメットを着用した場合の概念図で、(a)は一部透視側面図、(b)は後頭部側の一部透視斜視図である。なお、実施例1で説明した同一部分には同一符号を付して説明を一部省略する。実施例1と異なる点は、耳下紐13、14の一端を取り付ける一対の舌片126、127がヘッドバンド12の後頭部側に設けられ、耳下紐13、14の一端が後頭部側に取り付けられている点、ヘッドバンド12の両端が重なって調整機構15により覆われている点、および耳下紐13、14の他端がヘッドバンド12の前頭部側に設けられたガイド19、及びガイド20を通ってヘッドバンド12の端部(図示せず)に連結されている点である。なお調整機構15の代わりに実施例2で説明した調整機構を使用することもできる。
つぎに動作を説明する。
ヘルメット10を頭部に装着する場合は、リリースボタン17を押したまま調整機構15を後方に引くとヘッドバンド12が長くなる。その状態でリリースボタン17を離し、ヘッドバンド12を長くした状態でヘルメット10を頭にかぶり、耳の前側の耳下紐13、14を下方向、すなわち、図における矢印A方向に引っ張ると、耳下紐13、14を引っ張る力がガイド19、20を介して耳下紐13、14に連結しているヘッドバンド12の両端部に加わり、ヘッドバンド12の両端部が図における矢印B方向に引っ張られて、ヘッドバンド12が短くなり、ヘッドバンド12が調整機構15を頭部に引き寄せながら装着者30の頭部を締め付ける。ヘッドバンド12の締め付けが丁度よい状態になったときに耳下紐13、14の引張りを停止すると、ヘルメット10はヘッドバンド12により装着者30の頭部に固定される。この状態で顎紐18の長さを顎に合わせて装着させる。
このように、本実施例においても、耳下紐13、14を引っ張るだけでヘッドバンド12の周囲長を簡単に調整することができるので、ヘルメット10を頭部に簡単かつ確実に装着することができる。また、ヘルメット10着用時に顎紐が外れても、ヘッドバンド12の長さが変化することがなく、ヘルメット10の装着感を損なったりヘルメット10が脱げてしまうことを防止することができる。
ヘルメット10を脱ぐ場合は、リリースボタン17を押して、調整機構15を後方に引くとヘッドバンド12が長くなる。したがって、ヘッドバンド12による装着者30の頭部の締め付けが緩むので、顎紐18を顎から外せば簡単にヘルメット10を脱ぐことができる。
図8は本発明の実施例6によるヘルメットを着用した場合の概念図で、(a)は一部透視側面図、(b)は後頭部側の一部透視斜視図である。本実施例においても実施例1で説明した同一部分には同一符号を付して説明を一部省略する。本実施例において、調整機構29は実施例2で説明した調整機構を用いることができる。
図8に示すように、ヘルメット10の内部にインナーキャップ41と一体に構成されたヘッドバンド42が装着されている。インナーキャップ41は装着者30の頭部を包み込むように略半球状に形成されており、後頭部に切込み43が形成されている。この切込み43の両側に沿うようにヘッドバンド42の端部44、45が上方に延びており、ヘッドバンド42の端部44、45には、それぞれ複数の透孔46、47が列状に設けられている。複数の透孔46、47には交互に紐48がハンモック状あるいは靴紐状に挿通されており、その両端481、482はそれぞれ調整機構29のガイド部材(図示せず)の一端部に連結される。
ヘッドバンド42の前頭部側には、装着者30の耳下を巡る帯状の一対の耳下紐13、14の一端が取り付けられている。耳下紐13、14は、ヘルメット10を装着したときに装着者30の耳下を巡るように延びており、他端はそれぞれ調整機構29におけるガイド部材の他端部に連結している。
ヘッドバンド42の前頭部側における耳下紐13、14の取り付け位置は、装着者30の頭の大きさに応じて、取り付ける調整孔128、129の位置を変更することにより調整可能であり、耳下紐13、14の長さを調整することができる。なお、本実施例では、調整孔128、129は、ヘッドバンド42の長さ方向に対する垂直な方向に複数個設けている。
つぎに動作を説明する。
本実施例における調整機構29の動作は実施例2における調整機構の動作と同一である。すなわち、ヘルメット10を頭部に装着する場合は、リリースボタン28を押したまま調整機構29を後方に引くと、ヘッドバンド42の端部44、45の締め付け力が小さくなってインナーキャップ41の径が大きくなる。
ヘッドバンド42の端部44、45の締め付け力を小さくした状態でヘルメット10を頭にかぶり、耳の後側の耳下紐13、14をそれぞれ手前下方向、すなわち、図8における矢印A、B方向に引っ張ると、紐48の一端部481は矢印A方向へ引張られ、紐48の他端部482は矢印B方向へ引張られてヘッドバンド42の端部44、45を締め付けている紐48の締め付け力が大きくなってインナーキャップ41の径が小さくなり、インナーキャップ41が装着者30の頭部全体を包み込むように締め付ける。インナーキャップ41の締め付けが丁度よい状態になったときに耳下紐13、14の引張りを停止すると、その位置で固定される。
このように、本実施例においても、耳下紐13、14を引っ張るだけでインナーキャップ41の周囲長を簡単に調整することができるので、ヘルメット10を頭部に簡単かつ確実に装着することができる。また、ヘルメット10着用時に顎紐18が外れてもインナーキャップ41の周囲長が変化することがなく、ヘルメット10の装着感を損なったりヘルメット10が脱げてしまうことを防止することができる。
ヘルメット10を脱ぐ場合は、リリースボタン28を押したまま調整機構29を後方に引くと、ヘッドバンド42の端部44、45の締め付け力が低下する。したがって、インナーキャップ41の径が大きくなるので、顎紐18を顎から外せば簡単にヘルメット10を脱ぐことができる。
なお、以上の各実施例においては、耳下紐13、14を各々1本の紐で構成した場合について説明したが、1本の耳下紐13、14を各々顎紐18と連結する位置で分離して耳前部の紐と耳後部の紐の2本構成とし、その各々を顎紐18と連結するようにしてもよい。
また、顎紐18を省略し、ヘルメット10を頭にかぶって耳下紐13、14を引張り、ヘッドバンド12の締め付けが丁度よい状態になったときに、耳下紐13、14のヘッドバンド12に対する取り付け位置を変えて耳下紐13、14の長さが耳にぴったり掛かるように調整してもよい。この構成によれば、顎紐18の長さを顎に合わせる操作が不要になるので、ヘルメット10の着脱が一層簡単になる。また、ヘルメット10の使用者が特定されている場合には、一度耳下紐13、14の長さを調整しておけば装着の都度耳下紐13、14の長さを調整する必要がないのでヘルメット10の着脱が更に簡単になるのできわめて有用である。
本発明のヘルメットは、建築作業や土木作業などの工事現場における頭部保護用のヘルメット、オートバイなどの車両運転時の頭部保護用のヘルメット、火災や地震などの震災時における頭部防護用のヘルメットに好適である。
本発明の実施例1によるヘルメットを着用した場合の概念図で、(a)は一部透視側面図、(b)は後頭部側の一部透視斜視図 図1におけるヘルメットのヘッドバンドの構成を示す図で、(a)はヘッドバンドの端部の構成を示す要部背面図、(b)はヘッドバンド端部のリンク状態を示す要部上面図 本発明の実施例2によるヘルメットのヘッドバンドにおける調整機構の構成を示す一部破断分解斜視図、図3(b)は同調整機構に用いる二重歯車の斜視図 同調整機構の各部材を組み立てたときの一部破断斜視図 本発明の実施例3によるヘッドバンドにおける調整機構の構成を示す図で、(a)はヘッドバンドの一端側端部の構成を示す背面図、(b)はヘッドバンドの他端側端部の構成を示す背面図、(c)はヘッドバンドの両端部を結合した状態の背面図 本発明の実施例4によるヘルメットを着用した場合の概念図で、(a)は一部透視側面図、(b)は後頭部側の一部透視斜視図 本発明の実施例5によるヘルメットを着用した場合の概念図で、(a)は一部透視側面図、(b)は後頭部側の一部透視斜視図 本発明の実施例6によるヘルメットを着用した場合の概念図で、(a)は一部透視側面図、(b)は後頭部側の一部透視斜視図
10 ヘルメット
11 保護帽体
12 ヘッドバンド
13、14 耳下紐
15 調整機構
16 歯車
17 リリースボタン
18 顎紐
19、20 ガイド
21 表カバー
22 裏カバー
23、24 ガイド部材
231、241 ガイド孔
232、242 鋸歯状歯
25 歯車
26 ラチェット歯車
27 爪
28 リリースボタン
30 装着者
31 ヘッドバンドの一端側端部
32 ヘッドバンド他端側端部
33 バックル
34 突起
35 リリースボタン
36 透孔
37、38、39、40 引き紐
41 インナーキャップ
42 ヘッドバンド
43 切込み
44、45 ヘッドバンドの端部
46、47 透孔
48 紐
122、123 ヘッドバンドの端部
124、125 スリット状透孔
126、127 舌片
128、129 調整孔
481、482 紐の端部

Claims (7)

  1. 保護帽体内に装着されるヘッドバンドと、前記ヘッドバンドの長さを調整する調整機構と、装着者の耳下を巡り前記保護帽体側で両端を支持される一対の耳下紐と、一対の前記耳下紐にそれぞれの端部を接続した顎紐とを備え、前記調整機構からは前記ヘッドバンドの端部又は前記ヘッドバンドの端部に接続された引き紐を延出させたヘルメットであって、前記耳下紐の一端を前記保護帽体の前頭部側に接続し、前記調整機構を前記保護帽体の後頭部に配置し、前記ヘッドバンドのそれぞれの端部又はそれぞれの前記引き紐を前記調整機構において交差させて前記耳下紐の他端と接続したことを特徴とするヘルメット。
  2. 前記ヘッドバンドの前頭部側に、前記耳下紐の一端を固定する調整孔を複数個設けたことを特徴とする請求項1に記載のヘルメット。
  3. 保護帽体内に装着されるヘッドバンドと、前記ヘッドバンドの長さを調整する調整機構と、装着者の耳下を巡り前記保護帽体側で両端を支持される一対の耳下紐と、一対の前記耳下紐にそれぞれの端部を接続した顎紐とを備え、前記調整機構からは前記ヘッドバンドの端部又は前記ヘッドバンドの端部に接続された引き紐を延出させたヘルメットであって、前記耳下紐の一端を前記保護帽体の後頭部側に接続し、前記耳下紐の他端を前記保護帽体の前頭部側に設けられたガイドを経由して前記保護帽体の後頭部側にて前記ヘッドバンドの端部又は前記引き紐に接続したことを特徴とするヘルメット。
  4. 前記ヘッドバンドの後頭部側に、前記耳下紐の一端を固定する調整孔を複数個設けたことを特徴とする請求項3に記載のヘルメット。
  5. 保護帽体内に装着されるヘッドバンドと、前記ヘッドバンドの長さを調整する調整機構と、装着者の耳下を巡り前記保護帽体側で両端を支持される一対の耳下紐と、一対の前記耳下紐にそれぞれの端部を接続した顎紐とを備えたヘルメットであって、前記耳下紐の一端を前記ヘッドバンド又は前記保護帽体に接続し、前記ヘッドバンドをインナーキャップと一体に構成し、前記インナーキャップの後頭部には切込みを設け、前記切込みの両端部に列状の透孔を設け、前記列状の透孔に挿通した紐の両端を、前記調整機構において交差させて前記耳下紐の他端接続したことを特徴とするヘルメット。
  6. 前記調整機構をラチェット機構としたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のヘルメット。
  7. 前記ラチェット機構を、互いに交差してその長さ方向にガイド孔が形成された第1および第2のガイド部材と、前記第1および第2のガイド部材の交差位置における前記ガイド孔内に配される歯車及び前記歯車と同軸に設けたラチェット歯車からなる二重歯車と、前記ラチェット歯車の歯に噛み合う爪と、前記ラチェット歯車の歯と前記爪の噛み合いを制御するリリース機構とで構成し、前記第1のガイド部材に前記歯車と噛み合う第1の鋸歯状歯を形成し、前記第2のガイド部材に前記歯車と噛み合う第2の鋸歯状歯を形成したことを特徴とする請求項6に記載のヘルメット。
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