JP4541503B2 - 定量噴射機能及び連続噴射機能を備えたエアゾール容器のバルブ機構 - Google Patents
定量噴射機能及び連続噴射機能を備えたエアゾール容器のバルブ機構 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、頭髪用品、化粧品、消臭・制汗剤、その他の人体用品、殺虫剤、コーテング剤、クリーナー、その他の家庭用品、工業用品、自動車用品、食品等のエアゾール内容物を、使用目的に応じて定量噴射及び連続噴射が可能な定量噴射機能及び連続噴射機能を備えたエアゾール容器のバルブ機構に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、エアゾール内容物の定量噴射と連続噴射が可能なバルブ機構には、特開平10−309503号公報記載の発明、特開平11−42447号公報記載の発明が存在する。これらの従来発明は、押釦によるステムの押圧を2段階に調整可能とするとともに、この2段階の押圧に連動して、ステムの下端にてハウジングとエアゾール容器との連通口の開放と閉鎖を行い、エアゾール内容物の定量噴射と連続噴射とを切替え可能としている。
【0003】
まず、特開平10−309503号公報記載の発明では、ステムの非押圧状態では、ハウジング下端の連通口にステム下端を臨ませて配置し、連通口を開口している。そして、第1段階のステムの小さな押圧では、ステムの下端が連通口を閉鎖せず、ハウジング内部とエアゾール容器内部との連通状態を保ち、ステムからエアゾール内容物を連続噴射する。また、第2段階のステムの大きな押圧では、ステムの下端を連通口に嵌合して閉鎖し、ハウジング内へのエアゾール内容物の流入を遮断する。従って、ステムからは、ハウジング内に予め導入されていた一定量のエアゾール内容物のみが噴射される。
【0004】
一方、特開平11−42447号公報記載の発明では、ハウジングの連通口に挿入するステムの外周に環状リブを形成し、第1段階のステムの小さな押圧では、環状リブが連通口に嵌合して、連通口を閉鎖する。従って、エアゾール容器からのエアゾール内容物の流入が停止し、ハウジング内のエアゾール内容物のみの定量噴射を可能とする。そして、第2段階のステムの大きな押圧時には、環状リブが連通口の弁座を突き抜ける事により、連通口が開口して、ハウジング内部とエアゾール容器内部とが連通するので、エアゾール内容物の連続噴射が可能であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記各従来方法では、一つのステムでハウジングの連通口の開放及び閉止とオリフィスの開閉を行う機構としているため、ステムに厳密な製作精度が要求され、微小な誤差でも作動不良を生じるものとなっていた。そして、ステム等、バルブ機構の部品は小さいため、このような製作誤差を生じ易く、連続噴射と定量噴射との切替えを行う事ができないものとなる欠点を有していた。
【0006】
また、連通口にステムを挿入嵌合して閉鎖する方式であるため、着脱の度に連通口内周とステム外周との間に強い摩擦力が作用し、部品が摩耗する虞れがある。特に、特開平11−42447号の発明では、環状リブが流入口の内周を、強い摩擦力で接触しながら何度も上下に突き抜けるので、摩耗の可能性が高かった。この摩耗が進行すると、連通口の閉鎖が良好に行えなくなり、定量噴射機能が損なわれてしまう。
【0007】
本発明は上述の如き欠点を除去するため、エアゾール内容物の定量噴射と連続噴射が可能なバルブ機構を、厳密な寸法合わせを必要とする事なく、簡易な構造で廉価に形成するとともに、製品の品質と耐久性を高めようとするものである。そして、エアゾール内容物を狭い被塗布面に塗布したり、少量だけ噴射する場合には定量噴射を行い、広い被塗布面に塗布したり、大量に塗布する場合には、連続噴射を行う等、使用目的に応じて、使用者が選択的に噴射形態を切替えて使用できるようにするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の如き課題を解決するため、エアゾール容器内に固定したハウジングに、連通口を介して第1室と第2室とを形成し、この第1室内には、ステムのオリフィスの開閉を行うステムガスケットを介して一端をハウジングから外方に突出付勢するとともにハウジング内の押圧部を連通口に臨ませてステムを配置し、第2室には、エアゾール容器内と連通する導入口を開口するとともに第1室と第2室とを連通する連通口に、この連通口を介して被押圧部を第1室側に突出する切替バルブを押圧付勢して閉鎖可能とし、この閉鎖状態の切替バルブに、切替バルブの被押圧部を押圧して連通口を開放可能に前記ステムを一定の摺動間隔を介して臨ませるとともに、ステムの押圧時に前記ステムガスケットの変形により閉鎖され、ステムの非押圧時にのみエアゾール容器の内部と連通可能な流入口を第1室に設けて成るものである。
【0009】
また、ステムは、摺動間隔よりも小さな押圧時には、切替バルブを非押圧状態として切替バルブで連通口を閉鎖するとともにステムガスケットを変形して第1室の流入口を閉鎖し、第1室内のみのエアゾール内容物の定量噴射を可能とするとともに、摺動間隔よりも大きな押圧時には、押圧部にて切替バルブを押圧して連通口を開放し、導入口からハウジング内に導入されるエアゾール内容物を連続的に噴射可能としても良い。
【0010】
また、エアゾール容器は、倒立状態でステムを押圧してエアゾール内容物を噴射するものであっても良い。
【0011】
【作用】
本発明は、上述の如く構成したものであるから、ステムの非押圧状態では、バルブ機構が閉弁し、エアゾール内容物が外部に噴出する事はない。また、切替バルブが連通口に密着し、第1室と第2室とは非連通状態であるが、流入口を介して第1室とエアゾール容器とが連通しているので、第1室内は、流通口を介してエアゾール容器内から流入するエアゾール内容物で満たされている。
【0012】
そして、エアゾール内容物を定量噴射するには、ステムをエアゾール容器方向に小さく押圧して、バルブ機構を開弁する。このステムの押圧量は、ステムの押圧部と切替バルブとの間に介在する摺動間隔よりも小さな距離とする事により、押圧部が切替バルブを押圧せず、連通口は閉止状態を保っている。また、ステムの押圧により、ステムガスケットが下方に変形する方法で、エアゾール容器と第1室とを連通する流入口も閉鎖されるので、エアゾール容器内部と外部とは完全に遮断され、第1室のみが外部と連通するものとなる。
【0013】
従って、ステムの小さな押圧では、第1室内に予め導入されていた一定量のエアゾール内容物のみがステムから外部に噴射されるものとなる。この噴射が完了してステムの押圧を解除すると、ステムが元の位置に復元してバルブ機構が閉弁するとともに、第1室の流入口が開口して第1室とエアゾール容器とが連通する。従って、第1室内には、エアゾール容器内のエアゾール内容物が流入するので、ステムを再度小さく押圧する事により、前回と同量のエアゾール内容物を噴射する事ができる。
【0014】
このように、ステムの小さな押圧によっては、第1室内に流入した一定量のエアゾール内容物のみが外部に噴射されるとともに、噴射後は流入口を介して第1室内にエアゾール内容物が補充されるので、定量噴射を繰り返し行う事ができる。従って、人体や工業製品の一部、小さな製品等、狭い被塗布面に局部的にエアゾール内容物を塗布する場合に好都合なものとなる。そして、塗り過ぎや被塗布部以外への飛散等を防止して、エアゾール内容物の効率的な使用が可能となる。
【0015】
次に、エアゾール内容物の連続噴射を行うには、ステムと切替バルブとの間の摺動間隔よりも大きな距離でステムを押圧する。この押圧により、ステムの押圧部が切替バルブの被押圧部を押圧して、切替バルブを連通口から分離させるので、第1室と第2室とが連通口を介して連通する。この連通により、エアゾール容器と外部とが連通し、エアゾール容器内のエアゾール内容物は、導入口を介して第2室内に流入した後、連通口を介して第1室内に流入し、ステムを介して外部に噴射される。そして、ステムを押圧している間は、エアゾール容器内部と外部との連通状態が保たれるので、エアゾール内容物の連続噴射が可能となる。
【0016】
このエアゾール内容物の連続噴射により、人体や工業製品等の広い被塗布面や広い空間内に、迅速にエアゾール内容物を噴射する事ができるとともに、エアゾール内容物の大量噴射も効率的に行う事ができる。
【0017】
このように、本発明のバルブ機構は、エアゾール内容物の定量噴射と連続噴射の切替えを、使用者が使用目的に応じて任意に選択する事が可能となる。また、ステムを押圧する場合には、厳密に摺動距離を計算して行う必要がなく、ステムと切替バルブとの間の摺動間隔を基準として、大まかに押圧量を調整するだけで、確実に定量噴射と連続噴射との切替えができ、容易な操作が可能となる。
【0018】
また、連通口を常時閉止する切替バルブとステムとを別個に形成しているから、ステムや切替バルブ等に多少の製作誤差や組立誤差が生じても、作動に影響を与える事がない。そのため、部品の厳密な寸法合わせが必要なく、エアゾール製品の簡易な製造が可能となる。また、従来の如き部品間の摩擦も生じにくく、耐久性に優れた製品を得る事ができる。
【0019】
また、第1室の流入口は、ステムの非押圧時にのみ開口し、ステムの押圧時には閉鎖して第1室へのエアゾール内容物の流入を停止可能とする。また、ステムのオリフィスの開閉を行うステムガスケットにて流入口の開閉も行うように形成しているため、ステムの押圧に確実に連動して、流入口の開閉を行う事ができ、バルブ機構の製造が容易なものとなる。
【0020】
そして、ステムの小さな押圧時には、切替バルブの押圧を防止し、切替バルブによる連通口の閉鎖を保つとともに、ステムガスケットを変形して第1室の流入口を閉鎖する。その結果、第1室内に予め充填されていた一定量のエアゾール内容物のみの定量噴射が可能となる。また、ステムの大きな押圧時には、流入口を閉鎖するとともに、ステムの押圧部にて切替バルブを押圧して連通口を開口し、導入口からハウジング内に導入されるエアゾール内容物を連続的に外部に噴射する事ができる。
【0021】
また、本発明のバルブ機構は、エアゾール容器を倒立して、ステムをエアゾール容器よりも下方に配置した状態で、ステムを押圧してエアゾール内容物を噴射する製品に設けても良い。この倒立形態の製品は、水虫薬や消臭剤等の足用のエアゾール内容物の塗布に適したものとなる。そして、定量噴射を行う事により、足指の股等の狭い被塗布面に、適量のエアゾール内容物を確実に塗布する事ができる。また、連続噴射を行う事により、足裏や甲等の広い被塗布面に、迅速にエアゾール内容物を塗布する事ができる。
【0022】
そして、上記のエアゾール容器は、頭髪用品、化粧品、消臭・制汗剤、その他の人体用品、殺虫剤、コーテング剤、クリーナー、その他の家庭用品、工業用品、自動車用品、食品等の噴霧量調節が好ましいエアゾール内容物に用いる事ができる。そして、頭髪用品として、ヘアースプレー、ヘアートリートメント、ヘアーシャンプー・リンス、酸性染毛剤、酸化型2剤タイプ永久染毛剤、カラースプレー・脱色剤、パーマ剤、育毛剤、ヘアートニック、寝癖直しスプレー、髪用フレグランス等に用いる事ができる。
【0023】
また、化粧品として、アフターシェーブローション、香水・オーデコロン、洗顔料、日焼け止め、ファンデーション、脱毛・脱色剤、浴用剤等に用いる事ができる。
【0024】
また、消臭・制汗剤としては、制汗剤、消臭剤、ボディシャンプー等に用いる事ができる。また、その他の人体用品としては、筋肉消炎剤、皮膚疾患剤、水虫薬、害虫忌避剤、清拭剤、口腔清涼剤、口腔歯磨き剤、傷薬、やけど治療剤等に用いる事ができる。
【0025】
また、殺虫剤としては、空間殺虫剤、ゴキブリ殺虫剤、園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、不快害虫剤等に用いる事ができる。また、コーテング剤としては、家庭用塗料、自動車用塗料、アンダーコーテング等に用いる事ができる。
【0026】
また、クリーナーとしては、浴用クリーナー、床・家具艶だしクリーナー、靴・皮革クリーナー、ワックス艶だし剤等に用いる事ができる。また、その他の家庭用品としては、室内消臭剤、トイレ用消臭剤、防水剤、洗濯糊、除草剤、衣類用防虫剤、防炎剤、除菌剤等に用いる事ができる。
【0027】
また、工業用としては、潤滑防錆剤、接着剤、金属探傷剤、離型剤、コーキング剤等に用いる事ができる。また、自動車用としては、防曇剤、解氷剤、エンジンクリーナー等に用いる事ができる。その他、動物用品、趣味娯楽用品、食品、例えばコーヒー、ジュース、クリーム、チーズ等に用いる事ができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明する。尚、本実施例では、エアゾール内容物として水虫薬を充填したエアゾール容器を、倒立使用するものである。その構成を図1乃至図3に於て説明すれば、(1)はバルブ機構で、エアゾール容器(図示せず)の内部に、金属製の蓋体(2)を介して収納配置している。また、このバルブ機構(1)は、蓋体(2)内部に、ステムガスケット(3)を介してハウジング(4)を固定している。
【0029】
このハウジング(4)は、ハウジング(4)とは別体に形成した環状の仕切壁(5)を挿入装着し、内部を2室に分離している。そして、ステムガスケット(3)側を第1室(6)、エアゾール容器の内部側を第2室(7)とするとともに、仕切壁(5)の中央に開口した連通口(8)を介して、第1室(6)と第2室(7)とを連通可能としている。
【0030】
また、前記第1室(6)の内部には、バルブ機構(1)のステム(10)を、軸方向に摺動可能に装着している。そして、第1室(6)に収納したステム発条(11)により、このステム(10)を蓋体(2)方向に押圧付勢し、ステム(10)の一端を蓋体(2)から外方に突出するとともに、他端の押圧部(12)を、連通口(8)に臨ませて配置している。
【0031】
また、このステム(10)は、蓋体(2)からの突出側に、エアゾール内容物の噴出路(13)を軸方向に形成するとともに、この噴出路(13)に連通するオリフィス(14)を側面から開口している。このオリフィス(14)は、前記のステムガスケット(3)の内周端面によって、常時は密閉されており、ステム(10)をエアゾール容器方向に押圧した状態で、ステムガスケット(3)と内周端面との密接を解除し、ハウジング(4)内部と外部との連通を可能とするように構成している。
【0032】
また、第1室(6)は、ステムガスケット(3)に密着した上端縁(15)の内側を、段状に切り欠いて、ステムガスケット(3)との間に隙間部(16)を形成するとともに、この隙間部(16)とエアゾール容器の内部とを連通する小孔(17)を、第1室(6)の壁面(18)に開口している。この隙間部(16)と小孔(17)により、エアゾール容器と第1室(6)とを連通する流入口(20)を構成している。
【0033】
そして、ステム(10)の非押圧時には、図1に示す如く、ハウジング(4)の上端縁(15)とステムガスケット(3)との間に隙間部(16)が形成されるので、流入口(20)が開口し、エアゾール容器のエアゾール内容物が第1室(6)内に流入可能としている。一方、ステム(10)を押圧してハウジング(4)内部と外部とが連通した際には、押圧量の大小に関わらず、図2、図3に示す如く、ステムガスケット(3)が変形して隙間部(16)を塞ぐので、流入口(20)が閉鎖されるものとなる。
【0034】
また、ハウジング(4)の第2室(7)には、エアゾール容器の内部と連通する導入口(21)を開口するとともに、連通口(8)の開閉を行う切替バルブ(23)を、第2室(7)内部に摺動可能に装着している。この切替バルブ(23)は、本体部分を連通口(8)よりも径大な断面コ字型の円筒状に形成して、この円筒内に収納した押圧発条(22)にて連通口(8)方向に押圧付勢する事により、連通口(8)を閉鎖可能としている。更に、切替バルブ(23)の第1室(6)側を、連通口(8)よりも径小な円柱状に突出形成して被押圧部(24)とし、この被押圧部(24)を連通口(8)を介して第1室(6)側に突出している。
【0035】
そして、この被押圧部(24)に臨ませて、第1室(6)に配置したステム(10)の押圧部(12)を、一定の摺動間隔(25)を介して配置している。従って、この摺動間隔(25)よりも小さなステム(10)の押圧では、ステムガスケット(3)とオリフィス(14)の密閉関係を解除するのみで、切替バルブ(23)を押圧する事はないが、摺動間隔(25)よりも大きなステム(10)の押圧では、押圧部(12)で切替バルブ(23)の被押圧部(24)を押圧して連通口(8)を開口し、第1室(6)内部と第2室(7)内部とを連通可能としている。
【0036】
この連通により、エアゾール容器内のエアゾール内容物が、切替バルブ(23)の被押圧部(24)外周と、連通口(8)内周との間に形成される流通間隔(27)を介して第1室(6)内に流入可能としている。また、ハウジング(4)の第2室(7)の下端にはエアゾール内容物の第2導入口(26)を形成している。そして、連通口(8)の開放時には、導入口(21)及び第2導入口(26)からハウジング(4)内に大量にエアゾール内容物を供給可能としている。
【0037】
また、ステム(10)の押圧は、ステム(10)を直接手指で押圧したり、ステム(10)の先端を足指や足裏の被塗布部に突き当てる事によって行っても良い。また、ステム(10)の先端に適宜の押釦やアクチュエーターを接続し、ステム(10)の押圧を行うものであっても良い。
【0038】
上述の如く構成したものに於て、エアゾール内容物の噴射を行なわない状態に於ては、図1に示す如く、ステム(10)は非押圧状態で、ステム発条(11)の押圧力によって、外部方向に押圧付勢されており、ステム(10)のオリフィス(14)は、ステムガスケット(3)の内周端面によって密閉された状態となっている。また、ステム(10)の押圧部(12)と切替バルブ(23)の被押圧部(24)との間には、一定の摺動間隔(25)が介在し、連通口(8)は切替バルブ(23)によって閉鎖されている。一方、第1室(6)の流入口(20)が開口しているので、第1室(6)とエアゾール容器とが連通し、第1室(6)内は、流入口(20)から流入するエアゾール内容物で満たされている。
【0039】
そして、水虫薬であるエアゾール内容物を、足指の股、その他の狭い被塗布面に塗布するには、定量噴射機能を用いる。この定量噴射を行うには、図2に示す如く、ステム(10)を小さな押圧力で押圧し、エアゾール容器方向に小さく摺動する。この摺動により、ステムガスケット(3)が変形して内周端面とオリフィス(14)の密閉関係は解除され、バルブ機構(1)が開弁するので、ハウジング(4)内のエアゾール内容物は、オリフィス(14)を介して噴出路(13)に流出し、被塗布部に噴射される。
【0040】
尚、このステム(10)の小さな押圧では、切替バルブ(23)は押圧されず、第1室(6)と第2室(7)との連通口(8)は閉鎖したままである。更に、ステムガスケット(3)の変形により、流入口(20)が閉鎖されるので、第1室(6)は、エアゾール容器内部と完全に遮断され、第1室(6)へのエアゾール内容物の流入は停止する。
【0041】
従って、ステム(10)の小さな押圧では、被塗布部には、第1室(6)内の一定量のエアゾール内容物のみが噴射されるものとなる。そして、ステム(10)の押圧を解除すると、図1の如く、ステム発条(11)の押圧付勢力によりステム(10)が元の位置に復元するので、ステムガスケット(3)の内周端面によりオリフィス(14)が閉鎖され、バルブ機構(1)が閉弁する。
【0042】
また、ステムガスケット(3)の復元により、エアゾール内容物の流入口(20)が開口するので、第1室(6)内には、エアゾール容器から再び一定量のエアゾール内容物が流入する。そして、ステム(10)を再度小さく押圧する事により、前回と同様の一定量のエアゾール内容物を噴射する事ができる。このように、ステム(10)の小さな押圧により、エアゾール内容物の定量噴射が可能となり、足指の股等の狭い被塗布面に、適量の水虫薬を確実に塗布する事ができる。
【0043】
次に、足裏や甲等の広い被塗布面にエアゾール内容物を塗布するには、連続噴射機能を用いる。それには、図3に示す如く、ステム(10)を大きな押圧力で押圧し、摺動間隔(25)よりも大きく摺動する。このステム(10)の大きな摺動により、オリフィス(14)が開放されてバルブ機構(1)が開弁するとともに、ステムガスケット(3)にて流入口(20)が閉止され、この流入口(20)からの第1室(6)へのエアゾール内容物の流入は停止する。しかしながら、第2室(7)の導入口(21)を介して、バルブ機構(1)とエアゾール容器内部とが連通するので、エアゾール内容物の供給が行われる。
【0044】
即ち、ステム(10)の大きな押圧により、ステム(10)の押圧部(12)が切替バルブ(23)の被押圧部(24)を押圧するので、図3に示す如く、切替バルブ(23)が連通口(8)から分離する。この分離により、連通口(8)が開口し、第1室(6)と第2室(7)とが連通する。
【0045】
従って、エアゾール容器内のエアゾール内容物は、図3の矢印で示す如く、導入口(21)及び第2導入口(26)を介して第2室(7)内に流入した後、被押圧部(24)外周と連通口(8)内周との間の流通間隔(27)を介して第1室(6)内に流入し、ステム(10)を介して外部に噴出する。そして、ステム(10)を押圧している間は、連通口(8)が開口してエアゾール容器と外部との連通状態を保つので、エアゾール内容物を外部に連続噴射する事ができる。この連続噴射により、足裏や甲等の広い被塗布面に、十分な量の水虫薬を迅速に塗布する事ができる。
【0046】
また、連続噴射の終了後は、ステム(10)の押圧を解除する事により、ステム(10)が元の位置に復元するので、バルブ機構(1)が閉弁するとともに、ステム(10)による切替バルブ(23)の押圧が解除される。従って、切替バルブ(23)が押圧発条(22)の復元力により元の位置に復元して、連通口(8)を閉鎖するので、第1室(6)と第2室(7)とが非連通状態に復元する。また、ステムガスケット(3)に閉鎖されていた第1室(6)の流入口(20)が開口し、第1室(6)とエアゾール容器とが、この流入口(20)を介して連通する。
【0047】
このように、一つのエアゾール製品に於いて、エアゾール内容物の定量噴射と連続噴射を行う事が可能となる。そして、これらの機能を使用者が使用目的に応じて、任意に切替えて使用できるとともに、切替方法もステム(10)の押圧量を調整するだけで簡単に行う事ができ、操作性に優れた使用が可能である。
【0048】
また、従来技術では、一つのステムでハウジングの連通口の開放及び閉止とオリフィスの開閉を行う機構としているため、ステムに厳密な製作精度が要求されるとともに、微小な寸法誤差でも作動不良を生じる欠点があった。しかしながら、本発明では、連通口(8)の開放と閉止を行う切替バルブ(23)と、オリフィス(14)の開閉を行うステム(10)とを別個に形成している。従って、ステム(10)や切替バルブ(23)等に多少の製作誤差が生じても、各々の作動に影響を与える事がなく、連通口(8)の開閉による定量噴射と連続噴射との切替えと、バルブ機構(1)の開閉とを各々確実に行う事ができる。そして、部品の厳密な寸法合わせが必要なく、エアゾール製品の簡易な製造が可能となる。
【0049】
また、上記実施例では、切替バルブ(23)の被押圧部(24)は、連通口(8)から第1室(6)側に円柱状に突出形成している。
【0050】
また、上述の如き定量噴射と連続噴射が可能なバルブ機構(1)を用いたエアゾール容器に、制汗剤を充填した場合の、各々のエアゾール内容物の処方例を以下に示す。
【0051】
制汗剤
粉末相
アルミニウムヒドロキシクロライド 1.46wt%
タルク 1.02wt%
油相
イソプロピルメチルフェノール 0.01wt%
ミリスチン酸イソプロピル 1.04wt%
メチルポリシクロシロキサン 0.99wt%
ジメチルシロキサンメチルシロキサン共重合体 0.05wt%
オクチルドデカノール 0.23wt%
噴射剤
LPG 0.15MPa 95.20wt%
合計 100.00wt%
【0052】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成したものであるから、エアゾール内容物の定量噴射と連続噴射が可能で、これらの機能をステムの押圧量を調整するだけで簡単かつ自在に切替える事が可能なエアゾール製品を得る事ができる。
【0053】
また、バルブ機構の開閉を行うステムと、噴射の形態を切り替える切替バルブとを別個に形成しているから、ステムや切替バルブ等の部品に多少の製作誤差や組立誤差が生じても、互いの作動に影響を与える事がなく、各々の機構を確実に機能させる事ができる。そのため、部品の厳密な寸法合わせが必要なく、エアゾール製品の簡易な製造が可能となる。また、部品間の摩耗を防いで、耐久性を向上し、繰り返しの使用に於いても、定量噴射と連続噴射との切替えを確実に行う事が可能となる。
【0054】
そして、定量噴射により、狭い塗布面に局部的にエアゾール内容物を塗布する事ができ、無駄な使用や飛散を防止して、エアゾール内容物の効率的な使用が可能となる。また、連続噴射により、広い被塗布面や空間に、エアゾール内容物を迅速に噴射したり、大量に噴射する事ができる。
【0055】
また、ステムのオリフィスの開閉を行うステムガスケットにて流入口の開閉も行うように形成しているため、ステムの押圧に確実に連動して、流入口の開閉を行う事ができ、バルブ機構の製造が容易なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例のバルブ機構の断面図。
【図2】 ステムを小さく押圧し、エアゾール内容物の定量噴射を行っている状態の断面図。
【図3】 ステムを大きく押圧し、エアゾール内容物の連続噴射を行っている状態の断面図。
【符号の説明】
3 ステムガスケット
4 ハウジング
6 第1室
7 第2室
8 連通口
10 ステム
12 押圧部
20 流入口
21 導入口
23 切替バルブ
24 被押圧部
25 摺動間隔
Claims (3)
- エアゾール容器内に固定したハウジングに、連通口を介して第1室と第2室とを形成し、この第1室内には、ステムのオリフィスの開閉を行うステムガスケットを介して一端をハウジングから外方に突出付勢するとともにハウジング内の押圧部を連通口に臨ませてステムを配置し、第2室には、エアゾール容器内と連通する導入口を開口するとともに第1室と第2室とを連通する連通口に、この連通口を介して被押圧部を第1室側に突出する切替バルブを押圧付勢して閉鎖可能とし、この閉鎖状態の切替バルブに、切替バルブの被押圧部を押圧して連通口を開放可能に前記ステムを一定の摺動間隔を介して臨ませるとともに、ステムの押圧時に前記ステムガスケットの変形により閉鎖され、ステムの非押圧時にのみエアゾール容器の内部と連通可能な流入口を第1室に設けた事を特徴とする定量噴射機能及び連続噴射機能を備えたエアゾール容器のバルブ機構。
- ステムは、摺動間隔よりも小さな押圧時には、切替バルブを非押圧状態として切替バルブで連通口を閉鎖するとともにステムガスケットを変形して第1室の流入口を閉鎖し、第1室内のみのエアゾール内容物の定量噴射を可能とするとともに、摺動間隔よりも大きな押圧時には、押圧部にて切替バルブを押圧して連通口を開放し、導入口からハウジング内に導入されるエアゾール内容物を連続的に噴射可能とした事を特徴とする請求項1の定量噴射機能及び連続噴射機能を備えたエアゾール容器のバルブ機構。
- エアゾール容器は、倒立状態でステムを押圧してエアゾール内容物を噴射するものである事を特徴とする請求項1の定量噴射機能及び連続噴射機能を備えたエアゾール容器のバルブ機構。
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