JP4541496B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、一般には、電子写真方式により像担持体に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置に収容した現像剤により顕像化する画像形成装置に関し、特に記録手段を備えたプロセスカートリッジを有する画像形成装置に関するものである。
【0002】
ここで電子写真画像形成装置としては、たとえば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(たとえば、LEDプリンタ、レーザビームプリンタ等)、電子写真ファクシミリ装置、および電子写真ワードプロセッサー等が含まれる。
【0003】
また、プロセスカートリッジとは、帯電手段、現像手段およびクリーニング手段の少なくとも一つと、電子写真感光体とを一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを電子写真画像形成装置本体に対し着脱可能とするものであるか、または、少なくとも現像手段と電子写真感光体とを一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを電子写真画像形成装置本体に対し着脱可能とするものをいう。
【0004】
【従来の技術】
電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置は、図20に示すように、像担持体として、たとえば導電性基体上に光導電層を設けたドラム状の電子写真感光体、すなわち感光ドラム104を備え、この感光ドラム104の周囲に、帯電ローラ105、現像器(現像部)102および転写ローラ101を有し、少し離れたところにスキャナユニット115、給紙カセット116および定着器114等を有している。
【0005】
感光ドラム104の表面を帯電ローラ105で所定の極性に一次帯電し、スキャナユニット115により像露光を行って、感光ドラム104の表面に静電潜像を形成し、その潜像を現像器102により現像してトナー像として可視化する。現像器102は、内に収容したトナー113を現像スリーブ106上に担持して感光ドラム104と対向した現像領域に搬送し、潜像の現像に供する。
【0006】
感光ドラム104上に形成されたトナー像は、給紙カセット116から感光ドラム104に搬送された転写材の表面に、転写バイアスを印加した転写ローラ101により転写材の裏面からトナーの帯電極性と逆極性の電荷を付与することで転写する。トナー像が転写された転写材は定着器114に搬送され、加熱および加圧することによりトナー像が定着された後、画像形成装置の機外に排出される。
【0007】
近年では、上記の画像形成装置のうちの感光ドラム104、帯電ローラ105および現像器102を一体化して、画像形成装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ120に構成していることが主流である。
【0008】
この種の画像形成装置の転写バイアス制御に関しては、先にATVC方式(Active Transfer Voltage Control)が提案されている(特開平2−264278号等)。この方式は、転写時に転写ローラ101に印加する転写バイアス(転写電圧)を最適化する手段で、画像形成装置の前回転工程中に転写ローラ101から感光ドラム104に所望の定電流バイアスを印加し、そのときのバイアス値から転写ローラの抵抗を検出し、転写時にその抵抗値に応じた定電圧バイアスを選択することにより、転写バイアスを最適化するものである。これによれば、転写不良ばかりでなく、紙跡の発生等も防止することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の画像形成装置では以下のような問題があった。
【0010】
プロセスカートリッジ120の使用初期において、現像器102内のトナー113の帯電量が不均一で、転写材に転写されたときに、トナーが転写材に保持される力が弱いために、転写材上の画像にトナーの飛び散りを発生する。
【0011】
またプロセスカートリッジ120の寿命の後半では、感光ドラム104表面の光導電層の膜厚が薄くなり、表面の電荷を保持する能力が低下するため、転写の有無により帯電性が異なるいわゆる転写メモリが現れやすくなる。
【0012】
このようなことから、従来は、プロセスカートリッジの寿命の初めから終りまで、高品質な画像を安定して形成するわけにはいかなかった。
【0013】
さらに、感光ドラム104や帯電ローラ105の製造時の製品ばらつきにより、帯電時に感光ドラム104の帯電電位(暗部電位Vd)がばらつき、ATVC制御の検知電圧がプロセスカートリッジによって異なるため、正確な制御が行えないという問題がある。
【0014】
さらにまた、高湿地域では突き抜けなどの画像不良が発生しやすく、低湿環境では飛び散りなどの画像不良が発生しやすくなる問題がある。
【0015】
本発明の目的は、使用初期から寿命の終りまで、安定した高品質な画像を形成することが可能なプロセスカートリッジが着脱可能な画像形成装置を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、製造時のばらつきによらずに、正確なATVC制御を行い、高品質な画像を形成することが可能なプロセスカートリッジが着脱可能な画像形成装置を提供することである。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、使用地域の環境を問わず、常に正確なATVC制御を行い、高品質な画像を形成することが可能なプロセスカートリッジが着脱可能な画像形成装置を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段によって帯電された前記電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段と、前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、前記電子写真感光体に形成されたトナー像を転写するための転写手段と、前記転写手段に電圧を印加する転写電圧印加手段と、を有する画像形成装置であって、少なくとも前記電子写真感光体と前記現像手段と前記帯電手段を有するプロセスカートリッジが前記装置本体に着脱可能であり、画像形成を開始する前に前記転写手段に所望の電流が流れるように前記転写電圧印加手段が印加する電圧を基本電圧とし、前記転写電圧印加手段がトナー像を転写する際に印加する電圧である転写電圧前記基本電圧の値に基づいて決定する画像形成装置において、
前記装置本体は、前記転写電圧を、前記基本電圧の値と前記プロセスカートリッジの寿命に関する所定のパラメータに基づいて決定するものであり、前記プロセスカートリッジは前記所定のパラメータを記憶する記憶手段を有し、前記基本電圧が同じ場合でも、前記記憶手段が記憶する前記所定のパラメータの値が所定値よりも小さい場合に印加される前記転写電圧は、前記記憶手段が記憶する前記所定のパラメータの値が前記所定値よりも大きい場合に印加される前記転写電圧よりも大きいことを特徴とする画像形成装置である。
【0020】
本発明によれば、前記所定のパラメータは、前記プロセスカートリッジが画像形成を行なった累積回数、前記帯電手段による前記電子写真感光体に対する帯電累積時間、もしくは、前記電子写真感光体の回転累積時間である
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施例を図面に則して更に詳しく説明する。
【0026】
実施例1
図1は、本発明の画像形成装置の一実施例を示す概略構成図である。
【0027】
本画像形成装置は、像担持体として感光ドラム(ドラム状の電子写真感光体)4を備え、この感光ドラム4の周囲に、帯電ローラ5、現像器(現像部)2および転写ローラ1を有し、感光ドラム4の上方にスキャナユニット15、下方に給紙カセット16、さらに給紙カセット16からの転写材の搬送方向上、感光ドラム4よりも下流に定着器14を有している。
【0028】
上記の感光ドラム4、帯電ローラ5および現像器2は一体化して、画像形成装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ20に構成されており、カートリッジ20内の現像器2とは反対側の位置にはカートリッジメモリ3が設置されている。
【0029】
感光ドラム4は、中空のアルミニウム製基体上に光導電性の有機感光体を塗布してなっている。帯電ローラ5は、半導電性のゴムローラからなる。現像器2は、カートリッジ20内に現像部として一体に形成されており、感光ドラム4と対向した現像ローラ6等を備え、内にトナー13を収容している。スキャナユニット15は、画像情報に応じて発光されるレーザー、および発光されたレーザ光を走査露光する走査装置等を備えてなっている。
【0030】
転写ローラ1は、外径9.0mmの金属製の芯金の外周面にイオン導電系のNBRゴムの弾性層を厚さ4.0mmに設けてなっており、外径17.0mm、長手方向長さ315mmに形成されている。転写ローラ1の抵抗値は、常温常湿環境において108Ω程度の値に調整されている。
【0031】
転写ローラ1の抵抗値を測定するには、図2に示すように、転写ローラ1の両側に突出した芯金にそれぞれ200gf(1.96N)の荷重をかけて、総圧400gf(3.92N)で転写ローラ1をステンレス製のシリンダ201に圧接する。シリンダ201は1kΩの抵抗を介して接地されている。その圧接状態でシリンダ201を20mm/秒以上の周速で回転して、転写ローラ1を従動回転し、転写ローラ1の芯金に測定電圧+1.0kVを印加して、シリンダ201の接地した抵抗両端の電圧を電流値Iとして測定し、測定電流値Iを基に転写ローラ1の抵抗Rを算出する(R=1000/I)。
【0032】
本画像形成装置での画像形成工程を説明すると、感光ドラム4を回転し、その回転過程で、表面を帯電ローラ5により所定の極性に一様に一次帯電し、スキャナユニット15で発光されたレーザ光を走査露光して、感光ドラム4の表面に静電潜像を形成する。その潜像を、現像器2により現像スリーブ6上に担持して搬送したトナー13で現像して、トナー像として可視化し、得られたトナー像を、給紙カセット16から感光ドラム4に搬送された転写材の表面に、転写バイアス(転写電圧)を印加した転写ローラ1により、転写材の裏面からトナーの帯電極性と逆極性の電荷を付与することで転写する。トナー像が転写された転写材は定着器14に搬送して、加熱および加圧することによりトナー像を定着した後、画像形成装置の機外に排出する。
【0033】
図3は、本実施例の画像形成装置における転写バイアス制御系を示す模式図である。
【0034】
転写バイアス制御系は、エンジン制御部7とコントローラ11とを備え、エンジン制御部7は、画像形成装置本体の動作を司るCPU8と、装置本体の記憶手段であるメモリ9と、転写バイアス(転写電圧)を出力する高圧電源10とを有する。コントローラ11は、パソコン(PC)12からの画像データをビデオデータに変換し、エンジン制御部7のCPU8に転送する。プロセスカートリッジ20のメモリ3はCPU8に接続され、本実施例では、カートリッジ20の画像形成累積回数が記憶される。
【0035】
本発明は、転写バイアスの制御に関し、先の従来の技術で述べたATVC方式を採用している。本実施例では、ATVC制御の定電流値は10μAに設定されており、プロセスカートリッジ寿命の中期では、転写不良現象の発生しない領域に転写電流を制御するために、検知電圧Vt0と転写印加定電圧Vtの関係を、図4に示すような制御式:Vt(kV)=1.4×Vt0+0.9により定めている。
【0036】
転写電流が小さい場合、ベタ黒部において飛び散った画像となる。転写電流が大きい場合、転写電流が転写材を突き抜けて、ベタ黒およびハーフトーン画像において、白ポチ、黒ポチ状の斑点が発生する。上記制御式により検知電圧Vt0と転写印加定電圧Vtの関係を定めれば、転写不良現象の発生しない領域に転写電流を制御でき、良好な転写性を得ることができる。
【0037】
本発明では、カートリッジ20における画像形成に関する情報として画像形成累積回数を取り上げ、これを上記転写バイアス制御式の切換えのためのパラメータとして使用する。すなわち、プロセスカートリッジ20に設けたメモリ3に、カートリッジ20における画像形成累積回数を記憶し、プリント開始時に、CPU8により、メモリ3に記憶された画像形成累積回数を読み出して検知し、その画像形成累積回数に応じて、上記転写バイアス制御式を切り換えることが大きな特徴である。
【0038】
図5のフローチャートに基づいて、本実施例の転写バイアス制御を説明する。
【0039】
STEP1で、エンジン制御部7内のCPU8がPC12からのプリント命令を受信すると、STEP2で、CPU8は、カートリッジメモリ3に記憶されている画像形成累積回数nを読込んで確認し、STEP3、4、5を経て、CPU8は、nに応じて制御式を3段階に切り換える。図6は、それぞれの段階の制御式を示したものである。
【0040】
STEP3でn<200の場合、CPU8は、STEP5で、通常よりも転写バイアスが強めに設定されている制御式1:Vt(kV)=1.5×Vt0+1.1に切り換え、STEP4で200≦n<1000の場合、STEP5で通常の制御式2:Vt(kV)=1.4×Vt0+0.9に切り換え、STEP4で1000≦nの場合、STEP5で転写バイアスが弱めの制御式3:Vt(kV)=1.3×Vt0+0.7に切り換える。ついでSTEP6でプリントを開始する。
【0041】
以上のように、画像形成累積回数nがn<200のとき、通常よりも転写バイアスが強めの制御式に切り換えることにより、プロセスカートリッジ使用初期のトナー帯電量不足による画像の飛び散りを防止することができる。また1000≦nのときに、通常よりも転写バイアスが弱めの制御式に切り換えることにより、プロセスカートリッジ寿命の後半では感光ドラム4の劣化により転写メモリが発生しやすくなっているが、それを防止することができる。
【0042】
このように、本実施例では、プリント開始時に、カートリッジメモリに記憶したプロセスカートリッジの画像形成累積回数の検知を行い、カートリッジの使用初期の場合、通常よりも高い転写バイアスが印加されるような制御式に切り換え、寿命後半の場合、通常よりも弱い転写バイアスが印加されるような制御式に切り換えることにより、カートリッジの寿命を通して常に高品質の画像を提供することができる。
【0043】
実施例2
図7は、本発明の他の実施例における転写バイアス制御を示すフローチャート、図8は、本実施例での3段階の制御式を示す図である。
【0044】
本実施例の画像形成装置の構成は、実施例1の画像形成装置と基本的に同じであるので説明は省略する。以下、必要に応じ図1および図3を援用する。
【0045】
実施例1では、転写バイアス制御式の切り換えに用いる検知対象を画像形成累積回数としたが、本実施例では、図1のプロセスカートリッジ20の帯電ローラ5による感光ドラム4の帯電累積時間とした。図3のカートリッジメモリ3に感光ドラム帯電累積時間を記憶し、その記憶された累積時間に応じて、転写バイアス制御式を切り換えるようにする。本実施例のその他の点は実施例1と同様である。
【0046】
図7において、STEP1で、エンジン制御部7内のCPU8がPC12からのプリント命令を受信すると、STEP2で、CPU8は、カートリッジメモリ3に記憶されている帯電累積時間Tcを読込んで確認し、STEP3、4、5を経て、CPU8は、Tcに応じて制御式を3段階に切り換える。図8は、それぞれの段階の制御式を示したものである。
【0047】
STEP3で、Tc<600秒(Tc=600秒は2枚間欠送りで200枚の画像形成に相当)の場合、CPU8は、STEP5で、通常よりも転写バイアスが強めに設定されている制御式1:Vt(kV)=1.5×Vt0+1.1に切り換え、STEP4で600秒≦Tc<30000秒の場合(Tc=30000秒は2枚間欠で10000枚に相当)、STEP5で通常の制御式2:Vt(kV)=1.4×Vt0+0.9に切り換え、STEP4で30000秒≦Tcの場合、STEP5で転写バイアスが弱めの制御式3:Vt(kV)=1.3×Vt0+0.7に切り換える。ついでSTEP6でプリントを開始する。
【0048】
以上のように、本実施例では、プリント開始時に、カートリッジメモリに記憶した感光ドラムの帯電累積時間Tcの検知を行い、Tc<600秒のとき、通常よりも転写バイアスが強めの制御式に切り換えることにより、プロセスカートリッジ使用初期のトナー帯電量不足による画像の飛び散りを防止することができ、30000秒≦Tcのときに、通常よりも転写バイアスが弱めの制御式に切り換えることにより、プロセスカートリッジ寿命の後半の感光ドラム劣化による転写メモリの発生を防止することができる。
【0049】
実施例3
図9は、本発明のさらに他の実施例における転写バイアス制御を示すフローチャート、図10は、本実施例での3段階の制御式を示す図である。
【0050】
本実施例では、転写バイアス制御式の切り換えに用いる検知対象を、高圧電源10から転写ローラ1に印加した転写バイアスの印加累積時間とし、図3のプロセスカートリッジ20のメモリ3に転写バイアス印加累積時間を記憶し、その累積時間に応じて転写バイアス制御式を切り換えるようにしたことが特徴である。本実施例のその他の点は実施例1と同様である。
【0051】
図9において、STEP1で、エンジン制御部7内のCPU8がPC12からのプリント命令を受信すると、STEP2で、CPU8は、カートリッジメモリ3に記憶されている転写バイアス印加累積時間Tpを読込んで確認し、STEP3、4、5を経て、CPU8は、Tpに応じて制御式を3段階に切り換える。図10は、それぞれの段階の制御式を示したものである。
【0052】
STEP3で、Tp<400秒(Tp=400秒は2枚間欠送りで200枚の画像形成に相当)の場合、CPU8は、STEP5で、通常よりも転写バイアスが強めに設定されている制御式1:Vt(kV)=1.5×Vt0+1.1に切り換え、STEP4で400秒≦Tp<20000秒の場合(Tp=20000秒は2枚間欠で10000枚に相当)、STEP5で通常の制御式2:Vt(kV)=1.4×Vt0+0.9に切り換え、STEP4で30000秒≦Tpの場合、STEP5で転写バイアスが弱めの制御式3:Vt(kV)=1.3×Vt0+0.7に切り換える。ついでSTEP6でプリントを開始する。
【0053】
以上のように、本実施例では、プリント開始時に、カートリッジメモリに記憶した感光ドラムの帯電累積時間Tpの検知を行い、Tp<600秒のとき、通常よりも転写バイアスが強めの制御式に切り換えることにより、プロセスカートリッジ使用初期のトナー帯電量不足による画像の飛び散りを防止することができ、30000秒≦Tpのときに、通常よりも転写バイアスが弱めの制御式に切り換えることにより、プロセスカートリッジ寿命の後半の感光ドラム劣化による転写メモリの発生を防止することができる。
【0054】
実施例4
図11は、本発明のさらに他の実施例における転写バイアス制御を示すフローチャート、図12は、本実施例での3段階の制御式を示す図である。
【0055】
本実施例では、転写バイアス制御式の切り換えに用いる検知対象を感光ドラム回転累積時間とし、図3のプロセスカートリッジ20のメモリ3に、感光ドラム4が回転した累積時間を記憶し、その累積時間に応じて転写バイアス制御式を切り換えるようにした。本実施例のその他の点は実施例1と同様である。
【0056】
図11において、STEP1で、エンジン制御部7内のCPU8がPC12からのプリント命令を受信すると、STEP2で、CPU8は、カートリッジメモリ3に記憶されている感光ドラム回転累積時間Trを読込んで確認し、STEP3、4、5を経て、CPU8は、Trに応じて制御式を3段階に切り換える。図10は、それぞれの段階の制御式を示したものである。
【0057】
STEP3で、Tr<800秒(Tr=800秒は2枚間欠送りで200枚の画像形成に相当)の場合、CPU8は、STEP5で、通常よりも転写バイアスが強めに設定されている制御式1:Vt(kV)=1.5×Vt0+1.1に切り換え、STEP4で800秒≦Tr<40000秒の場合(Tr=40000秒は2枚間欠で10000枚に相当)、STEP5で通常の制御式2:Vt(kV)=1.4×Vt0+0.9に切り換え、STEP4で40000秒≦Trの場合、STEP5で転写バイアスが弱めの制御式3:Vt(kV)=1.3×Vt0+0.7に切り換える。ついでSTEP6でプリントを開始する。
【0058】
以上のように、本実施例では、プリント開始時に、カートリッジメモリに記憶した感光ドラムの回転累積時間Trの検知を行い、Tr<800秒のとき、通常よりも転写バイアスが強めの制御式に切り換えることにより、プロセスカートリッジ使用初期のトナー帯電量不足による画像の飛び散りを防止することができ、40000秒≦Trのときに、通常よりも転写バイアスが弱めの制御式に切り換えることにより、プロセスカートリッジ寿命の後半の感光ドラム劣化による転写メモリの発生を防止することができる。
【0059】
実施例5
図13は、本発明のさらに他の実施例における転写バイアス制御を示すフローチャート、図14は、本実施例での3段階の転写電流値を示す図である。
【0060】
本実施例では、図3の制御系のCPU8に通常の制御式2:Vt(kV)=1.4×Vt0+0.9のみを備えており、また転写バイアスの高圧電源10は、定電流9μA、10μA、11μAの3通りを出力可能となっている。
【0061】
本実施例は、プロセスカートリッジ20のメモリ3に画像形成累積回数を記憶し、その記憶された累積回数に応じて、転写バイアス制御(ATVC制御)の定電流値を切り換えるようにしたことが特徴である。本実施例のその他の点は実施例1と同様である。
【0062】
図13において、STEP1で、エンジン制御部7内のCPU8がPC12からのプリント命令を受信すると、STEP2で、CPU8は、カートリッジメモリ3に記憶されている画像形成累積回数nを読込んで確認し、STEP3、4、5を経て、CPU8は、nに応じて転写バイアス制御の定電流値を3段階に切り換える。図14は、それぞれの段階の定電流値を示したものである。
【0063】
STEP3で、n<200の場合、CPU8は、STEP5で、通常よりも強めの定電流値11μAに切り換え、STEP4で200≦n<10000の場合、STEP5で通常の定電流値10μAに切り換え、STEP4で10000≦nの場合、STEP5で通常よりも弱めの定電流値9μAに切り換える。ついでSTEP6でプリントを開始する。
【0064】
以上のように、本実施例では、プリント開始時に、カートリッジメモリに記憶した画像形成累積回数nの検知を行い、n<200のとき、通常よりも強めの転写定電流値11μAに切り換えることにより、画像形成時の転写バイアスを強めて、プロセスカートリッジ使用初期のトナー帯電量不足による画像の飛び散りを防止することができる。また10000≦nのときに、通常よりも弱めの9μAに切り換えることにより、プロセスカートリッジ寿命の後半の感光ドラム劣化による転写メモリの発生を防止することができる。
【0065】
以上の実施例5では、転写定電流値の切り換えに用いる検知対象を画像形成累積回数としたが、実施例2のように感光ドラム帯電累積時間とし、実施例3のように転写帯電バイアス印加累積時間とし、実施例4のように感光ドラム回転累積時間とすることもできる。同様に、プロセスカートリッジ使用初期のトナー帯電量不足による画像の飛び散りを防止し、カートリッジ寿命の後半の感光ドラム劣化による転写メモリの発生を防止することができる。
【0066】
実施例6
図15は、本発明のさらに他の実施例における転写バイアス制御を示すフローチャートである。
【0067】
本実施例では、図1の帯電ローラ5による感光ドラム4の帯電時の表面電位に関する情報を図3のカートリッジメモリ3に記憶し、その表面電位に応じて連続的に転写バイアス制御式を切り換えるようにした。本実施例のその他の点は実施例1と同様である。
【0068】
本実施例において、ATVC制御の定電流値は10μAに設定されており、暗部電位(一次帯電電位)Vdが規格中心値(−600V)のとき、プロセスカートリッジ寿命の中期で、転写不良現象の発生しない領域に転写電流を制御するために、検知電圧Vt0と転写印加定電圧Vtの関係を、先の図4に示すような制御式:Vt(kV)=1.4×Vt0+0.9により定めている。
【0069】
図15に基づいて、本実施例の転写バイアス制御を説明する。図3のカートリッジメモリ3には、感光ドラムの帯電電位に関する情報として、製造時に測定した感光ドラム電位Vdと規格中心値(−600V)との差vが記憶されているものとする。
【0070】
STEP1で、エンジン制御部7内のCPU8がPC12からのプリント命令を受信すると、STEP2で、CPU8は、カートリッジメモリ3に記憶されている製造時の感光ドラム電位Vdと規格中心値(−600V)との差v=Vd−(−600)を読込み、STEP3で、vをVd補正用のATVC制御式(Vt(kV)=1.4×Vt0+0.9)に、Vt(kV)=1.4×(Vt0−v)+0.9のように挿入する。ついでSTEP6でプリントを開始する。
【0071】
上記の感光ドラム表面電位の測定およびvのカートリッジメモリ3への書き込み方法は、図16に示すように行う。
【0072】
プロセスカートリッジ20のメモリ3の端子にメモリ書き込み装置212の端子を、帯電ローラ5の芯金に電源213をそれぞれ接続し、感光ドラム4のアルミニウム芯金にアースを接続し、感光ドラム4に表面電位計211を当接させる。感光ドラム4を20mm/秒で回転させ、帯電ローラ芯金に画像形成時の帯電バイアスと同一の直流定電圧−600V、交流定電圧2000Hz、1500μAを印加し、このときの感光ドラム4の表面電位を表面電位計211により検出し、アナログ検出信号をメモリ書き込み装置212に送る。メモリ書き込み装置212は、受信したアナログ検出信号をA/D変換し、その値(Vd)と規格中心値(−600V)との差v(=Vd−(−600))を算出し、カートリッジメモリ3に書き込む。
【0073】
図17は、画像形成装置の実機における、帯電時の感光ドラム表面電位Vdと定電流10μAの転写バイアス印加時の発生電圧Vt0の関係を示す図である。この図から、Vdがプラス側に大きくなると、Vt0も同程度プラス側に大きくなっている。したがって、Vt0をVt0−vに置換することにより、制御式の補正が行える。
【0074】
このように、本実施例では、プリント開始時に、カートリッジメモリに記憶した感光ドラムの帯電電位Vdの検知を行い、その値に制御式を補正することにより、カートリッジのばらつきによるVdのばらつきを補正し、常に正確なATVC制御を行うことができる。
【0075】
実施例7
図18は、本発明のさらに他の実施例における転写バイアス制御を示すフローチャート、図19は、本実施例での3段階の制御式を示す図である。
【0076】
本実施例では、プロセスカートリッジ20が使用される地域の環境情報を予め、図3のカートリッジメモリ3に記憶しておき、その地域の環境情報に応じて、転写バイアス制御式を切り換えるようにした。本実施例のその他の点は実施例1と同様である。
【0077】
図18により、本実施例の転写バイアス制御を説明する。カートリッジメモリ3には、画像形成装置に設置された図示しない環境センサにより、プロセスカートリッジ20が使用される地域の環境情報を測定して、環境情報Eが予め記憶されているものとする。環境情報Eは、環境の湿度条件で3種類に分けられている。E=1は低湿環境(相対湿度30%RH未満)、E=3は高湿環境(相対湿度70%RH以上)、E=2はその中間の中湿度環境(相対湿度30%RH以上で70%RH未満)である。
【0078】
なお、地域の環境情報は、プロセスカートリッジの販売店などでカートリッジメモリに記憶させることができ、よりきめ細かな環境対応が可能になる。
【0079】
図18において、STEP1で、エンジン制御部7内のCPU8がPC12からのプリント命令を受信すると、STEP2で、CPU8は、カートリッジメモリ3に記憶されている環境情報Eを読込んで確認し、STEP3、4、5を経て、CPU8は、Eに応じて転写バイアス制御式を3段階に切り換える。図19は、それぞれの段階の制御式を示したものである。
【0080】
STEP3で、E=1の場合、CPU8は、STEP5で、通常よりも転写バイアスが強めに設定されている制御式1:Vt(kV)=1.5×Vt0+1.1に切り換え、STEP4でE=2の場合、STEP5で通常の制御式2:Vt(kV)=1.4×Vt0+0.9に切り換え、STEP4でE=3の場合、STEP5で転写バイアスが弱めの制御式3:Vt(kV)=1.3×Vt0+0.7に切り換える。ついでSTEP6でプリントを開始する。
【0081】
以上で、地域情報EがE=1のとき、通常よりも転写バイアスが強めの制御式に切り換えるのは、低湿環境地域で、用紙の電気抵抗が高いことによる画像の飛び散りなどの画像不良を防止するためである。またE=3のとき、通常よりも転写バイアスが弱めの制御式に切り換えるのは、高湿環境地域で、用紙の電気抵抗が低いことによる突き抜けなどの画像不良を防止するためである。
【0082】
このように、本実施例では、プリント開始時に、カートリッジメモリに記憶した地域の環境情報を検知して、低湿環境地域であった場合、通常よりも強めの転写バイアスが印加されるような制御式に切り換え、高湿環境地域であった場合、通常よりも弱めの転写バイアスが印加されるような制御式に切り換えることにより、地域環境によらずに常に高品質の画像を提供することができる。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、カートリッジの使用初期から寿命が尽きるまで、常に高品質の画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】図1の画像形成装置に設置された転写ローラの抵抗値の測定方法を示す説明図である。
【図3】図1の画像形成装置における転写バイアス制御系を示す模式図である。
【図4】図1の画像形成装置での検知電圧Vt0と転写印加定電圧Vtの関係を定める制御式を示す説明図である。
【図5】図1の実施例での転写バイアス制御を示すフローチャートである。
【図6】図1の実施例での転写バイアス制御に使用する制御式を示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施例での転写バイアス制御を示すフローチャートである。
【図8】図7の実施例での転写バイアス制御に使用する制御式を示す説明図である。
【図9】本発明のさらに他の実施例での転写バイアス制御を示すフローチャートである。
【図10】図9の実施例での転写バイアス制御に使用する制御式を示す説明図である。
【図11】本発明のさらに他の実施例での転写バイアス制御を示すフローチャートである。
【図12】図11の実施例での転写バイアス制御に使用する制御式を示す説明図である。
【図13】本発明のさらに他の実施例での転写バイアス制御を示すフローチャートである。
【図14】図13の実施例での転写バイアス制御に使用する定電流値を示す説明図である。
【図15】本発明のさらに他の実施例での転写バイアス制御を示すフローチャートである。
【図16】図15の実施例での感光ドラム表面電位の測定およびvのカートリッジメモリ3への書き込み方法を示す説明図である。
【図17】図15の実施例での帯電時の感光ドラム表面電位と定電流転写バイアス印加時の発生電圧の関係を示すグラフである。
【図18】本発明のさらに他の実施例での転写バイアス制御を示すフローチャートである。
【図19】図18の実施例での転写バイアス制御に使用する制御式を示す説明図である。
【図20】従来の画像形成装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 転写ローラ
2 現像器
3 カートリッジメモリ
4 感光ドラム
5 帯電ローラ
8 CPU
9 メモリ
10 高圧電源
20 プロセスカートリッジ

Claims (4)

  1. 電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段によって帯電された前記電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段と、前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、前記電子写真感光体に形成されたトナー像を転写するための転写手段と、前記転写手段に電圧を印加する転写電圧印加手段と、を有する画像形成装置であって、少なくとも前記電子写真感光体と前記現像手段と前記帯電手段を有するプロセスカートリッジが前記装置本体に着脱可能であり、画像形成を開始する前に前記転写手段に所望の電流が流れるように前記転写電圧印加手段が印加する電圧を基本電圧とし、前記転写電圧印加手段がトナー像を転写する際に印加する電圧である転写電圧前記基本電圧の値に基づいて決定する画像形成装置において、
    前記装置本体は、前記転写電圧を、前記基本電圧の値と前記プロセスカートリッジの寿命に関する所定のパラメータに基づいて決定するものであり、前記プロセスカートリッジは前記所定のパラメータを記憶する記憶手段を有し、前記基本電圧が同じ場合でも、前記記憶手段が記憶する前記所定のパラメータの値が所定値よりも小さい場合に印加される前記転写電圧は、前記記憶手段が記憶する前記所定のパラメータの値が前記所定値よりも大きい場合に印加される前記転写電圧よりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記所定のパラメータは、前記プロセスカートリッジが画像形成を行なった累積回数であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記所定のパラメータは、前記帯電手段による前記電子写真感光体に対する帯電累積時間であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記所定のパラメータは、前記電子写真感光体の回転累積時間であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
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