JP4541435B2 - 車両用ベルトモールディング - Google Patents
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Description
この種の車両用ベルトモールディングにおいて、シールリップは弾性を有する軟質樹脂材料によって形成されるため、窓板の繰り返しの昇降移動や窓板を閉じた状態で長期間を経過すると前記樹脂材料に圧縮永久歪が生じてシールリップが徐々にへたり元の位置に戻りにくくなるため、汚れや水滴の拭き取り機能が低下する。
このような不具合を防止する観点から、例えば、特許文献1に開示された車両用ベルトモールディング(ベルトモール)が知られている。
これにおいては、ベルトモールディング本体内からシールリップの根元部にわたって補強材を埋設し、シールリップと補強材の材質を、これらシールリップと補強材による結合体の圧縮永久歪みがシールリップ単体の圧縮永久歪みよりも小さくなるように選定してある。
しかしながら、窓板を全閉位置から全開位置まで下降移動するとき及び全開位置まで下降移動し後直ちに全閉位置に向けて上昇移動するときには良好な拭き取りが得られない場合がある。
すなわち、車両用ベルトモールディングのシールリップは、弾性を有するゴムや熱可塑性エラストマーから形成され、窓板表面に弾接したときに弾性変位した状態で維持されるので、特にシールリップの根元部分にクリープ変形が生じやすい。前記変形はウェザーストリップが80℃の高温から−30℃の低温の温度範囲にさらされると特に顕著に現われる。
窓板が全閉位置から全開位置まで移動し、その直後に全開位置から全閉位置まで移動して窓板の表面に付着した汚れや水滴を拭き取る際に、シールリップに生じたクリープ変形が回復せずに未だ残っている為、窓板の表面に対するシールリップの圧接力がクリープ変形が生じる前の時点よりも減少し、これによって拭き取り性が悪くなる。
言い換えると、シールリップと補強材による結合体の圧縮永久歪みをシールリップ単体の圧縮永久歪みよりも小さくした特許文献1の車両用ウェザーストリップによっては、シールリップが上記の短時間の間にクリープ変形が生じる前の元の形状に復帰することが困難であり、良好な拭き取り性を確保できない。
なお、この様な不具合は窓板の形状誤差と窓板の組付誤差により、又はこれらの累積誤差により、窓板が移動中に窓板とベルトモール間との寸法が変動し、前記寸法が拡大したときに部分的に顕著に現われる。また、窓板が全閉直前にベルトモール側に変位し、全閉から開方向に移動し始めた直後にベルトモール側から離れる方向に拡大変位する開閉機構を採用している車体では窓板の全面にわたって前記不具合が顕著に現われる。
前記係止壁部と前記シールリップとの間に、前記弾性ポリマー材料よりも耐クリープ変形性が高く、かつ前記弾性ポリマー材料のクリープ回復速度よりも弾性復元速度が大きい板状材料から形成され、前記係止壁部に固定される固定片部と、前記シールリップに係止又は一体化して前記シールリップを前記窓板に向けて付勢する変位片部と、前記固定片部及び前記変位片部の間に位置し、これら固定片部及び変位片部を所定の角度で交差させて一体に連結する連結片部とを連続して有する長尺な弾発部材が配置され、
前記弾発部材の固定片部は、長手方向及び前記窓板の移動方向への移動を阻止された状態で前記係止壁部に固定され、
前記弾発部材の変位片部は、前記シールリップに係止又はシールリップと一体化されて、前記連結片部自体の弾性復元力で又は前記弾性ポリマー材料の弾性復元力との協働作用で前記シールリップを前記窓板の表面側へ向けて常時付勢し、
前記ベルトモールディング装着体が前記被装着部材に取り付けられ、前記窓板が開閉移動する途中で前記係止壁部と前記窓板の表面との間の寸法が拡大された時、前記シールリップが窓板表面と接触する接触部を前記連結片部の弾性復元力で前記窓板の厚さ方向へ向けて前記弾性ポリマー材料のみの場合の復元速度を上回る速度で弾性復元させるようにし、
しかも、前記弾発部材の少なくとも前記変位片部の幅方向先端縁は、前記変位片部の他の部分の厚さよりも厚い補強部が長手方向に沿って形成されていることを特徴とする。
窓板が閉移動する途中で前記誤差や開閉機構に起因して、ベルトモールの前記係止壁部と窓板の表面との間の寸法が拡大された時でも、弾発部材の連結片部の弾性復元力を作用させてシールリップが窓板の表面と接触する接触部を窓板の厚さ方向へ向けて弾性ポリマー材料のみの場合(弾発部材がない場合)の復元速度を上回る速度で弾性復元させる。このとき、シールリップが根元部分でベルトモールディング装着体の係止壁部と連続している場合であっても、弾性復元速度が大きい材料から成形されている弾発部材の連結片部の弾性復元力を変位片部に作用させて、変位片部がシールリップの前記根元部分に生じている圧縮永久歪又は引張伸び等の歪やクリープ変形に抗してシールリップを元の位置側に復元させる。即ち、シールリップの特に根元部分に他の部分よりも大きく生じている前記歪やクリープ変形は数秒〜数十秒の短時間の範囲では、シールリップを元の位置側に復元させようとする力に対する反対の力、又は復元させようとする力を弱める力(以下、単に「反力」という)として作用するが、弾発部材の連結片部は前記反力を上回る復元力を有していて、復元力を変位片部に作用させるので、シールリップを従来よりも短時間で元の位置側に向けて復元させることが出来る。
なお、本願において弾性復元速度とは、弾性体が外力を受けて弾性変形した状態から外力を開放したときに元の形状に復元するまでの復元寸法(距離)を元の形状に復元するまでの時間で除した値を意味し、弾性復元速度が大きいとはより短時間で元の形状に復元することを意味する。
このようにして、弾発部材の連結片部の弾性復元力を作用させてシールリップを短時間で復元させることができ、誤差や開閉機構と無関係に窓板の表面の拭き取り性を向上させることができる。
係止壁部とシールリップには対向する面に夫々係合部が形成され、別途に形成された弾発部材の固定片部が前記係止壁部の係合部に係止し、前記弾発部材の変位片部が前記シールリップの係合部に係止していることを特徴とする。
前記構成によると、請求項1の効果に加えて、弾発部材の固定片部を係止壁部の係合部に係止させ、弾発部材の変位片部をシールリップの係合部に係止させることによって、シールリップ側の係止壁部とシールリップとの間に弾発部材を容易に組み付けることができると共に、弾発部材の変位片部が窓板に接触せず、弾発部材の連結片部の弾性復元力をシールリップに良好に作用させることができる。
窓板が開状態でシールリップが前記窓板の表面に接していないフリー状態において、弾発部材の変位片部の先端が前記シールリップの接触部を前記窓板の表面の延長面と交差して重なり合う位置まで変位させるのに充分な長さだけ延びて形成されていることを特徴とする。
前記構成によると、請求項1又は2の効果に加えて、弾発部材の変位片部の先端が、シールリップが窓板の表面の延長面に交差する位置まで延びて形成されることによって、シールリップの接触部を窓板の表面に接触する位置まで良好に弾発させることができ、窓板の表面位置が内外方向にばらついても、窓板の表面に付着した汚れや水滴を良好に拭き取ることができる。
弾発部材の固定片部は平板状で、少なくとも連結片部には、複数の除去部が長手方向に所定の間隔を保って少なくとも一つの列をなして配列されていることを特徴とする。
前記構成によると、請求項1〜3のいずれか一項の効果に加えて、被装着部材が車両の前後方向に沿って車外側を凸とし、車内側を凹とする所定の曲率半径で曲がっていて、長尺なベルトモールディングが前記曲がりに沿って曲げて装着されるときには、曲率半径の内側に位置する連結片部に長手方向の圧縮応力が発生する。この場合でも、連結片部に複数の除去部が形成されているので、この除去部で連結片部に発生する長手方向の圧縮応力や圧縮歪を吸収する。従ってベルトモールディングが前記曲がりに沿って曲げて装着されても、弾発部材も前記曲がりに沿って良好に追随するので連結片部や変位片部が長手方向に沿って局部的に変形せず滑らかに連続した所定の曲率半径の曲線を保てる。
また、弾発部材に用いる板状材料の形状(寸法)や材質に選択の自由度が広がる。即ち、弾発部材に用いた板状材料の弾性復元力が強すぎてシールリップと窓板との摺動抵抗が大きすぎるときは、連結部の全長に占める除去部の長さの割合を大となるように調節して弾性復元力を減少させることができる。このため板状材料の加工、成形の際の成形性や取り扱いに適した形状(寸法)や材質の板状材料を適宜選択できる。逆に除去部を形成した弾発部材の弾性復元力が弱すぎるときは除去部の長さの割合を少なくするか又は除去部を皆無にすれば良い。
更に、除去部の形成により弾発部材の軽量化にも寄与する。
複数の除去部は連結片部から変位片部の全幅にわたって連続するスリット状に形成され、
前記スリット状の複数の除去部間の各変位片部は長手方向に非連続で略くし歯状をなしていることを特徴とする。
前記構成によると、請求項4の効果に加えて、被装着部材が車両の前後方向に沿って車外側を凸とし、車内側を凹とする所定の曲率半径で曲がっていて、且つ車両の上下方向にも所定の曲率半径で曲がり、すなわち三次元に曲がっていて、長尺なベルトモールディングが前記被装着部材の曲がりに沿って曲げて装着される場合でも、連結片部及び変位片部の全幅に亘って連続するスリット状の複数の除去部が形成されているので、この除去部で連結片部や変位片部に発生する長手方向の圧縮応力や圧縮歪若しくは引張応力や伸びを吸収する。従ってベルトモールディングが前記曲がりに沿って曲げて装着されても、弾発部材も前記曲がりに沿って良好に追随するので、変位片部は長手方向で局部的に不測に変形せず滑らかに連続した所定の曲率半径の曲線を保てる。
複数の除去部は幅方向へ延びるスリット状に形成されると共に、弾発部材の連結片部から変位片部の幅方向先端部近傍まで連続状に形成され、前記変位片部の幅方向先端部は長手方向に一体に連続していることを特徴とする。
前記構成によると、請求項4の効果に加えて、スリット状の複数の除去部が連結片部から変位片部のほぼ全幅に形成されているので、この除去部で連結片部から変位片部にかけて発生する長手方向の圧縮応力や圧縮歪を吸収する。従ってベルトモールディングが前記曲がりに沿って曲げて装着されても、弾発部材も前記曲がりに沿って更に良好に追随するので変位片部が長手方向に沿って局部的に変形せず滑らかに連続した所定の曲率半径の曲線を保てる。
弾発部材の連結片部又は変位片部には、一つの列をなす複数の除去部に加えて、前記列とは幅方向へ離れた位置に他の少なくとも一つの列をなす他の複数の除去部が長手方向に所定の間隔を保って配列されていることを特徴とする。
前記構成によると、請求項4の効果に加えて、連結片部に一つの列をなす複数の除去部と、他の少なくとも一つの列をなす複数の除去部が形成されているので、これら複列をなす各複数の除去部によって連結片部に所望とする弾性力及び弾性復元力を容易に設定することが可能となる。
複数の除去部がなす一つの列と、他の複数の除去部がなす他の列とは、互いに平行状をなしていることを特徴とする。
前記構成によると、請求項7の効果に加えて、複列をなす各複数の除去部が互いに平行状をなしているため、連結片部に所望とする弾性力及び弾性復元力を設定することがより一層容易となる。
一つの列をなす複数の除去部と、他の列をなす他の複数の除去部とは長手方向で相互に位置ずれして千鳥状に配列されていることを特徴とする。
前記構成によると、請求項7又は8の効果に加えて、複列をなす各複数の除去部が長手方向で相互に位置ずれして千鳥状に配列されているため、連結片部の長手方向全長にわたって所望とする弾性力及び弾性復元力を均一に設定することが容易となる。
複数の除去部は長手方向へ延びる長孔状に形成されていることを特徴とする。
前記構成によると、請求項7〜9のいずれか一項の効果に加えて、連結片部の長手方向に所定の間隔を保って一つの列をなす複数の除去部が長手方向へ延びる長孔状に形成されることによって、除去部の数を少なくすることができため、加工が容易となる。
複数の除去部は、長手方向に同一の間隔を保って形成されていることを特徴とする。
前記構成によると、請求項4〜10のいずれか一項の効果に加えて、長手方向に同一の間隔を保って形成された複数の除去部によって、連結片部の長手方向の全長にわたって所望とする弾性力及び弾性復元力を均一に設定することが容易となる。
長手方向に一つの列をなす複数の除去部の長手方向の合計長さは、連結部の全長の10%以上90%未満の割合となるように設定されていることを特徴とする。
前記構成によると、請求項4〜11のいずれか一項の効果に加えて、取扱性や成形性を考慮して、市場で入手可能で一般的な材料から弾発部材を成形できる。即ち、弾発部材の板状材料として取扱性や成形性を考慮し厚さが比較的厚い金属板材料を用いるのが好ましいが、弾性復元力が大きすぎるときは連結片部の除去部の割合を高くして適度の弾性復元力に調整できる。
弾発部材の変位片部の先端側は、シールリップの長手方向に沿って前記シールリップ内に埋設され前記シールリップと一体化されていることを特徴とする。
前記構成によると、請求項1〜12のいずれか一項の効果に加えて、弾発部材の変位片部の先端側がシールリップの長手方向に沿ってシールリップ内に埋設されるので、変位片部がシールリップに一体化され弾性復元力を効果的にシールリップに伝達すると共に不測に外れることを防止することができる。更に変位片部をシールリップ内に埋設するには例えばシールリップを押出成形する際に複合押出成形で容易に成形できる。
弾発部材の固定片部は、締結手段で前記係止壁部に固着されていることを特徴とする。
前記構成によると、請求項1〜13のいずれか一項の効果に加えて、弾発部材の固定片部を、締結手段(例えば、金属製リベット、樹脂製リベットによるかしめ、ビス等)で係止壁部に固着するので弾発部材が係止壁部にしっかりと固着され、係止壁部に弾発部材を安定良く強固に固着することができる。これにより、弾性復元力を効果的に且つ安定してシールリップに伝達する。なお、リベットを使用するときは片面側からだけで加締加工ができるブラインドリベットを用いるのが好ましい。
弾発部材は、シールリップのポリマー材料よりも硬質で剛性及びばね性の高い弾性合成樹脂の成形品であることを特徴とする。
前記構成によると、請求項1〜14のいずれか一項の効果に加えて、弾発部材を射出成形や押出成形によって容易にかつ安価に成形することができると共に、使用中に錆の発生もない。なお、弾性合成樹脂としてはポリアセタール樹脂やポリアミド樹脂が好適に使用できる。
弾発部材は、シールリップのポリマー材料よりも硬質で剛性及びばね性の高い金属板の成形品であることを特徴とする。
前記構成によると、請求項1〜14のいずれか一項の効果に加えて、ばね性を有する金属板によって形成された弾発部材は、ベルトモールが通常で使用される温度域(−30℃〜80℃)でほとんどクリープ変形せず、荷重や負荷が開放されたとき弾性変形状態から殆ど瞬時に元の形状に復元するので好適に使用できる。
金属板は、ステンレス鋼ばね板、防錆処理済の炭素鋼ばね板、チタン合金ばね板、銅合金ばね板、アルミ合金ばね板のいずれかの金属ばね板であることを特徴とする。
前記構成によると、請求項16の効果に加えて、ステンレス鋼ばね板、防錆処理済炭素鋼ばね板、チタン合金ばね板、銅合金ばね板、アルミ合金ばね板は容易に入手が可能であり、錆を発生しないので長期にわたって安定した弾性復元力を維持する。
金属板は、板厚が0.01mm〜0.50mmの範囲であることを特徴とする。
前記構成によると、請求項16又は17の効果に加えて、板厚が0.01mm〜0.50mmの範囲の金属板は特別の工夫を要さず通常の塑性加工(例えば、プレス加工、ロール成形加工等の塑性変形加工)で弾発部材を容易に成形することができる。
金属板は、板厚が0.05mm〜0.25mmの範囲であることを特徴とする。
前記構成によると、請求項18の効果に加えて、板厚が0.05mm〜0.25mmの範囲の金属板から弾発部材を成形すると取扱性及び弾発部材の成形がより一層容易である。
シールリップは、窓板の移動方向に沿って所定の間隔を保って係止壁部に二つ形成され、少なくとも下側のシールリップに弾発部材の変位片部が係止又は一体化していることを特徴とする。
前記構成によると、請求項1〜19のいずれか一項の効果に加えて、弾発部材を上側のシールリップで覆い隠すので弾発部材が外から視認されず、装飾性を損なうことがない。また、2個のシールリップによって拭き取り性が更に向上する。
アウターベルトモールディングをこの発明の実施例1として図1〜図5にしたがって説明する。
図1はこの発明の実施例1に係る車両用ベルトモールディングが被装着部材としてのドアアウターパネルのフランジ部に装着された状態を示す側面図である。図2は図1のII−II線に沿う断面図である。図3は図1のIII−III線に沿う断面図である。図4は弾発部材を示す正面図である。図5は図4のV−V線に沿う断面図である。
図2に示すように、ドアアウターパネル11及びドアアウターパネル11の上縁のフランジ部13は、ドア1を車両に組み付けたときにほぼ後縦枠部5の位置が最も外側に出っ張るように車両の前後方向で車外側を凸とし、車内側を半径中心として所定の曲率半径(普通乗用車で曲率半径Rが5mから十数m)で湾曲している。即ちフロントドアにおいては、フランジ部13は後縦枠部5を基準として車両前側に向けて車内側に徐々に入り込んで前端部では後縦枠部5との間にdの寸法差が発生している。窓板9は前記の湾曲に対応して予め曲面に成形されている。
この為、前記いずれの場合においても、装着されたベルトモールディング20の曲がり中立線を境として車外側には長手方向に引張応力や伸びが生じ、車内側には長手方向に圧縮応力や圧縮歪が発生する。前記応力や歪はベルトモールディング20の最も外側(車外側)部分と最も内側(車内側)部分で最大となる。
更に主として造形的観点から、図1に二点鎖線で示すように長手方向の一部でフランジ部13が上側に向けて滑らかに湾曲している車両では、フランジ部13に沿ってベルトモールディング20を装着すると上記と同様の理由でベルトモールディング20の下側に引張応力や伸びが生じ、上側に圧縮応力や圧縮歪が発生する。なお、図1はフロントドアの左側を図示している。
また、ドア1の内部には、窓板9を面方向に沿って開閉動する開閉機構、典型的には電動ウインドウレギュレーター、モータ等(図示しない)が内蔵されている。
また、窓板9は、図3の一点鎖線で示す開閉動軌跡(移動軌跡)L上を移動すると共に上死点Pに達する直前位置(上死点Pから高さHに相当する分だけ下がった位置)から上死点Pまでの間で外方向へ所定の変位量αだけ移動するよう意図的に構成されている。
又、前記の如く意図的に構成されていない場合でも、窓板9は形状誤差、装着誤差又は開閉機構の誤差やこれらの誤差の累積により開閉移動中に図3の二点鎖線で示す位置と実線で示す位置との間を不規則位置で変位しながら開閉移動する場合がある。
以下、前者の意図的に構成されている場合を例として説明する。
装着体21は、被装着部材としてのフランジ部13に取り付け可能で、剛性を有する材料から又は剛性を有する材料と一体化して形成されている。
装着体21の第1及び第2係止壁部23、25の対向面のうち、第1係止壁部23の面の上下部には、装着溝30内に向けて突出し長手方向に延びる一方の装着手段としての大小の突出部31、32が形成されている。さらに、第2係止壁部25の面の上下部には、長手方向に延びる大小の突出部31、32と協働してフランジ部13を挟持する他の一方の装着手段としての挟持リップ33、34が装着溝30の奥側に向けて傾斜状をなして形成されている。なお、造型要望の観点から、装着体21の第2係止壁部25及び連結壁部27に金属光輝が望まれるときは、芯材22に光輝ステンレス鋼板やアルミ板を用い、表皮層26を形成せずに芯材22の表面を露出させることで目的を達成し得る。
そして、装着体21は、その装着溝30がフランジ部13の上縁に差し込まれて、装着手段としての大小の突出部31、32と挟持リップ33、34とでフランジ部13を両側から挟持すると共に、係止部24が補強用折返し部14の下端に係合して抜け止めされた状態で取り付けられる。
また、第2係止壁部25の車外側面には、硬質のポリマー材料よりなる表皮層26が形成されている。さらに、連結壁部27の頂面の窓板9側の部分には窓板9の表面に向けて突出する遮蔽リップ36が形成されている。
また、第1シールリップ40が第1係止壁部23とつながる根元部40aは、シールリップ40の他の部分よりも薄肉の連結部42によって装着体21の第1係止壁部23の下端部に一体に結合されている。根元部40aを前述の通り薄肉化することにより、根元部40aに生じている永久歪やクリープ変形が弾発部材50の弾性復元力に対する反力として作用するのを弱めることができて有利である。
なお、根元部40aを薄肉にするベルトモールディングの製造工程で、薄肉の連結部42が技術上の支障をきたすときは、根元部40aの厚さを支障をきたさない厚さに成形し、前記成形の後に根元部40aに複数のスリット状の除去部を長手方向に沿って形成することにより前記反力を低減することができる。前記除去部は、後述する弾発部材50の連結片55と同様又は類似の構造の除去部に、同様の方法で除去部を形成できる。
また、この実施例1において、第1及び第2係止壁部23、25と、連結壁部27と、大小の突出部31、32と挟持リップ33、34と、遮蔽リップ36と、第1及び2シールリップ40、45とは熱可塑性エラストマー等の弾性変形可能な軟質の弾性ポリマー材料から押出成形によって一体に成形され、前記軟質ポリマーよりも硬い硬質のポリマー材料からなる表皮層26は軟質のポリマー材料の前記押出成形と同時に共押出によって形成されている。なお、図3において第1及び第2シールリップ40、45の表面のうち、窓板9を向く側の表面には窓板9との摺動抵抗を小さくする為にナイロンパイルの植毛やシールリップの弾性ポリマー材よりも摩擦係数の小さい材料からなる低摩擦材層40b、45bが形成されている。
この弾発部材50は、第1係止壁部23に固定される固定片部51と、第1シールリップ40に係止してこの第1シールリップ40を窓板9の表面に向けて付勢する変位片部53と、固定片部51及び変位片部53の間に位置し、これら固定片部51及び変位片部53を一体に連結する連結片部55とを連続して有し横断面形状が略V字状に形成されている。
なお、弾発部材50の固定片部51と変位片部53は、固定片部51を第1係止壁部23に合わせて配置したときに、変位片部53が自然状態(変位する前の位置)の第1シールリップ40と略同一位置となるように、又は重なる位置になるように形成される。さらに、連結片部55の弾性変形可能量をより多く得るために、連結片部55は、固定片部51及び変位片部53を互いに延長したときの交差位置よりも外方に膨れる横断面円弧状(180度を超える円弧状)に形成されている。これにより、連結片部55の幅方向における実質的な長さを大きくすることができ、連結片部55に過度の曲げ応力が発生するのを防止できる。
そして、図4〜図5に示すように、弾発部材50の固定片部51は平板状で、少なくとも連結片部55には、複数の除去部(円孔、長孔、スリット孔等を含みこれらに限定しない)57が長手方向に所定の間隔を保って少なくとも一つの列をなして配列されている。
この実施例1において、複数の除去部57は幅方向に延びるスリット状(スリット孔)に形成されている。また、好ましくは同一形状の除去部57が長手方向に所定の間隔、好ましくは同一ピッチを保って形成されている。除去部57を同一ピッチで形成することにより、変位片部53の弾発力を変位片部53の全長にわたって均一に発揮させることができる。
更に、複数の除去部57の長手方向の合計長さは、これら複数の除去部57が形成される前の連結片部50の長さの10%以上90%未満の割合となるように設定されることが望ましい。除去部を形成した弾発部材の弾性復元力が所定の値よりも大きく、シールリップと移動する窓板との摺動抵抗を高くし過ぎる場合は前記の割合を高くして弾性復元力の値を小さくするなどの適宜の調整が可能である。上記に代えて、図4に二点鎖線で示すように、連結片部55に長手方向に拡大する拡大除去部57aを形成しても上記と同一の作用が得られる。
除去部57は、弾発部材50が金属板の成形品であるときはブランク等のプレス加工やレーザー溶断で、合成樹脂の射出形成品であるときは射出成形時に、押出成形品のときは金属板のときと同様の方法で容易に形成できる。
弾発部材50の固定片部51の幅方向先端に先端が丸くなった折返部54を形成することで、他の部分よりも厚肉にして固定片部51の幅方向先端を補強する。これにより幅方向先端の高い剛性により固定片部5を第1係止壁部23へ固着したときの固着安定性を高められる。
また、弾発部材50を平板からのプレス加工やストリップ材からのロール成形等の塑性加工で成形する場合には、前記補強により幅方向先端縁が長手方向で不規則に変形せず、滑らかに連続した直線状又は曲線状に成形できる。
変位片部53の幅方向先端に先端が丸くなる折返部54を形成することで、他の部分よりも厚肉にして変位片部53の幅方向先端を補強する。
従って、第1シールリップ40の先端部が長手方向で不規則に変形せず、滑らかに連続した直線又は曲線に維持される。更に、変位片部53の先端が丸まっているので第1シールリップ40の係合用凹溝47に係合させ使用中にくり返し変位を経ても係合用凹溝47の内部を減摩させない。これにより係合用凹溝47と変位片部53先端の間に隙間やガタツキ等などを生じさせず、変位片部53に作用する弾性復元力を効果的に第1シールリップ40に作用させる。
さらに、弾発部材50は、板厚が0.01mm〜0.50mmの範囲の金属板から成形されることが望ましく、上記範囲であれば、金属板の塑性加工に特別の工夫を要さず、通常の塑性加工で成形できる。板厚が0.05mm〜0.25mmの金属板から成形されることが一層望ましく、上記の範囲であれば、塑性加工の際の取扱い性や、弾発部材50を装着体21に組み付ける際の良好な作業性の観点から好ましい。
なお、弾発部材50は金属板の成形品に代えて、第1シールリップ40の弾性ポリマー材料よりも硬質で剛性及び弾性復元速度が大きい弾性を有する合成樹脂材料から成形した成形品とすることもできる。このような合成樹脂成形品用の合成樹脂材料としては、スナップオン式のクリップ等に使用されるポリアセタール樹脂やポリアミド樹脂等が挙げられ、好ましくは更に前記樹脂材料にガラス繊維、炭素繊維、ボロン短繊維などの繊維を混合して弾性復元速度や熱安定性を更に高めたものを使用するのが好ましい。
前記したような合成樹脂材料を用いて弾発部材50を成形するときには通常の射出成形や押出成形を適用し得る。
弾発部材50の配置状態において、変位片部53は第1シールリップ40の上面と重なり合い、連結片部55の外周面は、第1シールリップ40の根元部の薄肉の連結部42と重なり合う。
また、この実施例1において、弾発部材50の固定片部51の少なくとも一部は、締結手段としての締結具60によって固定片部51を第1係止壁部23に圧接させて固着されている。
すなわち、装着体21の第1係止壁部23及び弾発部材50の固定片部51に設けた複数の貫通孔39、59を通してリベット61が挿通され、軸部63の先端がかしめられることによって、弾発部材50の固定片部51が第1係止壁部23に圧接状態で固着されている。そして、弾発部材50の固定片部51は、装着体21に対して長手方向及び窓板9の移動(開閉)方向への移動を阻止された状態で装着体21に一体化される。なお、締結具60としてのリベット61は一方向からの操作で加締作業が行なえるブラインドリベット61が好ましい。更に締結具としては、リベット61に代えて、又はリベット61に併用してタッピングスクリュー等を用いることもできる。
そして、車両用ベルトモールディング20が被装着部材としてのフランジ部13に取り付けられ、窓板9が閉じる方向へ移動して第1シールリップ40が窓板9の表面に弾接し、一方開く方向へ移動して装着体21の第1係止壁部と窓板9の表面との間の寸法が拡大した時(図3に二点鎖線で示す窓板の位置のように、上死点Pから高さHに相当する分だけ下がった位置まで下降する間において所定量αだけ拡大したとき、及び前述した誤差により窓板の移動途中で拡大したとき)、弾発部材50の連結片部55の弾性復元力で第1シールリップ40の窓板9の表面との接触部41を窓板9の厚さ方向へ向けて弾性ポリマー材料の復元速度を上回る速度で弾性復元させる。
したがって、図3に示すように、車両用ベルトモールディング20が装着体21でドアアウターパネル11のフランジ部13に取り付けられた状態において、窓板9が閉じている時、及び昇降移動する時、弾発部材50の連結片部55自体の弾性復元力により又は薄肉の連結部42の弾性ポリマー材料との協働作用によって第1シールリップ40の接触部41が窓板9の表面側に向かって付勢されている。
このようにして、弾発部材50の連結片部55の弾性復元力により第1シールリップ40を従来よりも短時間で復元させることができ、窓板9の表面の拭き取り性を向上させることができる。特に弾発部材が金属バネ板から成形されているときは、シールリップを瞬時に復元させる。
この際、曲率半径の内側に位置する連結片部55に長手方向の圧縮応力が発生する。この場合でも、連結片部55にスリット状の複数の除去部57が形成されているので、この除去部57で連結片部55に発生する長手方向の圧縮応力や圧縮歪を吸収する。従ってベルトモールディング20が前記曲がりに沿って曲げて装着されても、弾発部材50も前記曲がりに沿って良好に追随するので連結片部55や変位片部53が長手方向に沿って局部的に変形せず滑らかに連続した所定の曲率半径の曲線を保てる。
また、弾発部材50に用いる板状材料の形状(寸法)や材質に選択の自由度が広がる。即ち、弾発部材50に用いた板状材料の弾性復元力が強すぎて第1シールリップ40と窓板9との摺動抵抗が大きすぎるときは、連結片部55の全長に占める除去部57の長手方向における長さの割合がより大となるように除去部57の長さや数を調節して弾性復元力を減少させる。これにより板状材料の加工、成形の際の成形性や取り扱いに適した形状(寸法)や材質の板状材料を適宜選択できる。逆に除去部57を形成した弾発部材50の弾性復元力が弱すぎるときは除去部57の長さの割合を少なくするか又は除去部を皆無にすれば良い。更に、除去部57の形成により弾発部材の軽量化にも寄与する。
この場合、フランジ部13が車両の前後方向に沿って車外側を凸とし、車内側を凹とする所定の曲率半径で曲がっていて、且つ車両の上下方向にも所定の曲率半径で曲がり、三次元に曲がっていて、長尺なベルトモールディング20が前記曲がりに沿って曲げて装着される場合でも、図6に示すように、連結片部155及び変位片部153の全幅に亘ってスリット状の複数の除去部157が形成されているので、この除去部157で連結片部155や変位片部153に発生する長手方向の圧縮応力や圧縮歪若しくは引張応力や伸びを吸収する。従ってベルトモールディング20が前記曲がりに沿って曲げて装着されても、弾発部材150も前記曲がりに沿って良好に追随するので変位片部153が長手方向に沿って局部的に変形せず滑らかに連続した所定の曲率半径の曲線を保てる。
次に、この発明の実施例2を図7にしたがって説明する。
図7はこの発明の実施例2に係る車両用ベルトモールディングが被装着部材としてのフランジ部に装着された状態を示す断面図(図1のIII−III線に沿う断面図に相当)である。
図7に示すように、この実施例2において、被装着部材としてのフランジ部13に取り付け可能な車両用ベルトモールディング220の装着体221がシールリップよりも硬質で剛性を有するポリマー材料から形成されたものである。装着体221の第1及び第2係止壁部223、225と連結壁部227と、大小の突出部231、232と、係止部224は硬質で剛性を有するポリマー材料の押出成形によって長尺に形成されている。挟持リップ233、234と、車外側シールリップ235と、遮蔽リップ236と、第1及び第2第1シールリップ240、245は第1実施例と同様に軟質の弾性ポリマー材料から前記硬質のポリマー材料との共押出によって形成されている。第1係止壁部と第1シールリップは実施例1と同様に薄肉の根元部240aで接合されている。前記硬質のポリマー材料と軟質の弾性ポリマー材料は互いに相溶性を有し、それぞれの部分の接合部で溶着して一体化されている。この第2実施例では装着体部自体が剛性を有しているので、内部に補強芯材を必ずしも埋設する必要がなく、ベルトモールの軽量化に有利である。
次に、この発明の実施例3を図8〜図10にしたがって説明する。
図8はこの発明の実施例3に係る車両用ベルトモールディングが被装着部材としてのフランジ部に装着された状態を示す横断面図(図1のIII−III線に沿う断面図に相当)である。なお、窓板は実施例と同じにつき図示省略している。図9は弾発部材を示す正面図である。図10は図9のX−X線に沿う断面図である。
また、図8に示すように、弾発部材350の変位片部353は先端の折返部354からほぼ根元まで第1シールリップ340の内部に埋設されている。これにより、使用中に変位片部353が不測に窓板に接触するのを防止する。このような第1シールリップ340はストリップ金属板をロール成形で横断面形を略V字状に成形して弾発部材の中間材とし、これを押出成形型の中に連続して導入して共押出成形により第1シールリップ340を成形すると共に中間材と一体化することで容易に成形できる。
弾発部材350の固定片部351は、この固定片部351に設けた貫通孔359と第1係止壁部323に設けた貫通孔339に締結手段としての上下及び長手方向で複数のリベット361等の締結具360を挿通して加締めることによって固着されている。
弾発部材350の固定片部351は平板状で、好ましくは連結片部355に実施例1で述べたのと同様なスリット状の複数の除去部357が長手方向に所定の間隔を保って形成されている。
弾発部材350は実施例1で述べた金属板によって形成されることが望ましい。
この実施例3のその他の構成は実施例1と同様にして構成されるため、説明は省略する。但し、図8〜図10に示すように、この実施例3に係る車両用ベルトモールディング320は、実施例1に係る車両用ベルトモールディング20と同一の構成部材及び構成部分に対応する図8〜図10の符号番号は、300番台として表記されている。すなわち、実施例1の各構成部材及び構成部分の符号番号の前に3が追加されて表記されている。
特に、この実施例3においては、弾発部材350の連結片部355に対応する部分に第1シールリップ340のポリマー材料が存在しない為に弾発部材350の連結片部355の復元を妨げる反力が発生せず、弾発部材350の復元特性をそのまま作用させられるという利点がある。
更に、使用中に弾発部材350の連続片部355に水やほこりが入ってきても除去部357を通して下側に流下させることができ、水やほこりによる弾発部材350の性能劣化を防止し得る利点がある。
次に、この発明の実施例4を図11と図12にしたがって説明する。
この実施例4は、第1及び第2シールリップの両方に弾発部材の弾性復元力を作用させるようにしたものである。
図11はこの発明の実施例4に係る車両用ベルトモールディングが被装着部材としてのフランジ部に装着された状態を示す横断面図(図1のIII〜III線に沿う断面図に相当)である。なお、窓板は実施例1と同じにつき図示省略している。図12は弾発部材を所定形状に成形する前の平板状の展開面である。
図11と図12に示すように、この実施例4においては、被装着部材としてのフランジ部13に取り付け可能な車両用ベルトモールディング420の装着体421は、実施例1と同様にして、軟質の弾性ポリマー材料の押出成形によって長尺に形成された内外の第1及び第2係止壁部423、425と、連結壁部427とを有して横断面略逆U字状に形成され、第1及び第2係止壁部423、425と、連結壁部427とにわたる内部に金属板等の剛性を有する芯材422が埋設(インサート)されている。
すなわち、この実施例4の弾発部材450は、固定片部451と、固定片部451の幅方向両端縁に第1シールリップ440側の第1連結片部455aと第2シールリップ445側の第2連結片部455bを夫々有し、両方の連結片部455a、455bで折り曲げ形成された第1変位片部453aと第2変位片部453bとを夫々備えている。そして、第1シールリップ440側の第1変位片部453aの少なくとも一部が第1シールリップ440の長手方向に沿って同第1シールリップ440内に埋設されている。
さらに、第2シールリップ445側の変位片部453bの少なくとも一部が第1シールリップ440の長手方向に沿って同第1シールリップ440内に埋設されている。
また、この実施例4においても第1、第2シールリップ440、445の弾性ポリマー材料は共に根元部分で第1係止壁部423と分離されていて、この構成による利点は第3実施例の場合と同じである。
また、弾発部材450の固定片部451は、実施例3と同様に装着体421の第1係止壁部423に締結手段としての上下のリベット461等の締結具460によって固着される。
また、弾発部材450は実施例1で述べた金属板によって形成されることが望ましい。
また、図11に示すように、また実施例3で説明した様に弾発部材450の変位片部453a、453b先端の折返部454a、454bが第1及び第2シールリップ440、445の先端部近傍まで埋設されることが望ましい。
この実施例4のその他の構成は実施例1と同様にして構成されるため、説明は省略する。但し、図11と図12に示すように、この実施例4に係る車両用ベルトモールディング420は、実施例1に係る車両用ベルトモールディング20と同一の構成部材及び構成部分に対応する図11と図12の符号番号は、400番台として表記されている。すなわち、実施例1の各構成部材及び構成部分の符号番号の前に4が追加されて表記されている。
特に、この実施例4においては、第2シールリップ445も従来より短時間で俊敏な復元させることができ、窓板の表面の拭き取り性を更に向上させることができる。
次に、この発明の実施例5を図13と図14にしたがって説明する。
図13はこの発明の実施例5に係る車両用ベルトモールディングが被装着部材としてのフランジ部に装着された状態を示す横断面図(図1のIII〜III線に沿う断面図に相当)である。図14は弾発部材を所定形状に成形する前の平板状の展開面である。
図13と図14に示すように、この実施例5においても、弾発部材550の連結片部555には、複数の除去部(円孔、長孔、スリット孔等を含む)557が長手方向に所定の間隔を保って少なくとも一つの列をなして配列されている。
また、A列をなす複数の除去部557aは、長手方向に同一の間隔(ピッチ)P1を保って形成されている。
また、複数の除去部557aの長さL1は、間隔P1を越えないように設定されている。すなわち、複数の除去部557aは、長手方向に一定距離L2を隔てて配列される。そして、L2/L1を大きくすることにより弾性力及び弾性復元力の減少率が小さくなり、
L2/L1を小さくすることにより弾性力及び弾性復元力の減少率が大きくなる。
図に示すように、「L2/L1=1/1」に設定された場合には、複数の除去部557aがない場合に比べ弾性力及び弾性復元力が1/2に減少する。
すなわち、図14に示すように、弾発部材550の連結片部555に、一つの列としてのA列をなす複数の除去部(図14中実線で示す)557aに加えて、A列とは幅方向へ離れた位置に他の少なくとも一つの列、図14では上側に離れたB列をなす複数の除去部(図14中、二点鎖線で示す)557bを長手方向に所定の間隔を保って配列することが可能である。
さらに、A列の複数の除去部557aの下側に離れたC列をなす複数の除去部(図14中、細線で示す)557cを長手方向に所定の間隔を保って配列することが可能である。
また、A列をなす複数の除去部557aと、他の列としてのB列及び/又はC列をなす複数の除去部557b及び/又は557cとは長手方向で相互に位置ずれして千鳥状に配列されることが望ましい。
但し、この実施例5に係る車両用ベルトモールディング520は、実施例2に係る車両用ベルトモールディング220と同一の構成部材及び構成部分に対応する符号番号は、図13と図14に示すように、500番台として表記されている。
また、この実施例5においては、弾発部材550の連結片部555に、長手方向へ延びる長孔状の複数の除去部557aが長手方向に同一の間隔P1を保って配列されて一つの列としてのA列をなしている。
そして、A列をなす複数の除去部557aの長さL1は、間隔P1を越えないように設定され、複数の除去部557aは、長手方向に一定距離L2を隔てて配列される。このため、L2/L1を大きくすることにより弾性力及び弾性復元力の減少率を小さくすることができ、L2/L1を小さくすることにより弾性力及び弾性復元力の減少率を大きくすることができる。この結果、弾発部材550の連結片部555の弾性力及び弾性復元力を所望とする減少率で容易に設定することができる。
また、A列をなす複数の除去部557aと、B列及び/又はC列をなす他の複数の除去部557b及び/又は557cとが互いに平行状をなしているため、連結片部555に所望とする弾性力及び弾性復元力を設定することがより一層容易となる。
このように、払拭性が必要な部分だけに弾発部材を配置してもよい。また、弾発部材をベルトモールディングの長手方向において断続的に配置してもよい。
13 フランジ部(被装着部材)
20、220、320、420、520 車両用ベルトモールディング
21、221、321、421、521 装着体
23、223、323、423、523 第1係止壁部
25、225、325、425、525 第2係止壁部
27、227、327、427、527 連結壁部
40、240、340、440、540 第1シールリップ
45、245、345、445、545 第2シールリップ
50、150、250、350、450、550 弾発部材
51、251、351、451、551 固定片部
53、153、253、353、453a、453b、553 変位片部
55、155、255、355、455a、455b、555 連結片部
57、357、457a、457b、557 除去部
60、260、360、460、560 締結具
61、261、361、461、561 リベット
Claims (20)
- 面方向に開閉移動する窓板との間に所定の間隔を保って配置される被装着部材に装着可能で、前記被装着部材に装着されたとき前記窓板と前記被装着部材の間に位置して前記窓板とほぼ平行に配置され前記被装着部材に係止する係止壁部を有する長尺のベルトモールディング装着体と、このベルトモールディング装着体の前記係止壁部と一体化され、前記係止壁部から前記窓板の表面と所定の角度で交差する方向に突出し前記窓板の表面に弾接可能な軟質の弾性ポリマー材から形成された長尺のシールリップとを備えた車両用ベルトモールディングであって、
前記係止壁部と前記シールリップとの間に、前記弾性ポリマー材料よりも耐クリープ変形性が高く、かつ前記弾性ポリマー材料のクリープ回復速度よりも弾性復元速度が大きい板状材料から形成され、前記係止壁部に固定される固定片部と、前記シールリップに係止又は一体化して前記シールリップを前記窓板に向けて付勢する変位片部と、前記固定片部及び前記変位片部の間に位置し、これら固定片部及び変位片部を所定の角度で交差させて一体に連結する連結片部とを連続して有する長尺な弾発部材が配置され、
前記弾発部材の固定片部は、長手方向及び前記窓板の移動方向への移動を阻止された状態で前記係止壁部に固定され、
前記弾発部材の変位片部は、前記シールリップに係止又はシールリップと一体化されて、前記連結片部自体の弾性復元力で又は前記弾性ポリマー材料の弾性復元力との協働作用で前記シールリップを前記窓板の表面側へ向けて常時付勢し、
前記ベルトモールディング装着体が前記被装着部材に取り付けられ、前記窓板が開閉移動する途中で前記係止壁部と前記窓板の表面との間の寸法が拡大された時、前記シールリップが窓板表面と接触する接触部を前記連結片部の弾性復元力で前記窓板の厚さ方向へ向けて前記弾性ポリマー材料のみの場合の復元速度を上回る速度で弾性復元させるようにし、
しかも、前記弾発部材の少なくとも前記変位片部の幅方向先端縁は、前記変位片部の他の部分の厚さよりも厚い補強部が長手方向に沿って形成されていることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項1に記載の車両用ベルトモールディングであって、
係止壁部とシールリップには対向する面に夫々係合部が形成され、別途に形成された弾発部材の固定片部が前記係止壁部の係合部に係止し、前記弾発部材の変位片部が前記シールリップの係合部に係止していることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項1又は2に記載の車両用ベルトモールディングであって、
窓板が開状態でシールリップが前記窓板の表面に接していないフリー状態において、弾発部材の変位片部の先端が前記シールリップの接触部を前記窓板の表面の延長面と交差して重なり合う位置まで変位させるのに充分な長さだけ延びて形成されていることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用ベルトモールディングであって、
弾発部材の固定片部は平板状で、少なくとも連結片部には、複数の除去部が長手方向に所定の間隔を保って少なくとも一つの列をなして配列されていることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項4に記載の車両用ベルトモールディングであって、
複数の除去部は連結片部から変位片部の全幅にわたって連続するスリット状に形成され、
前記スリット状の複数の除去部間の各変位片部は長手方向に非連続で略くし歯状をなしていることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項4に記載の車両用ベルトモールディングであって、
複数の除去部は幅方向へ延びるスリット状に形成されると共に、弾発部材の連結片部から変位片部の幅方向先端部近傍まで連続状に形成され、前記変位片部の幅方向先端部は長手方向に一体に連続していることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項4に記載の車両用ベルトモールディングであって、
弾発部材の連結片部又は変位片部には、一つの列をなす複数の除去部に加えて、前記列とは幅方向へ離れた位置に他の少なくとも一つの列をなす他の複数の除去部が長手方向に所定の間隔を保って配列されていることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項7に記載の車両用ベルトモールディングであって、
複数の除去部がなす一つの列と、他の複数の除去部がなす他の列とは、互いに平行状をなしていることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項7又は8に記載の車両用ベルトモールディングであって、
一つの列をなす複数の除去部と、他の列をなす他の複数の除去部とは長手方向で相互に位置ずれして千鳥状に配列されていることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項7〜9のいずれか一項に記載の車両用ベルトモールディングであって、
複数の除去部は長手方向へ延びる長孔状に形成されていることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項4〜10のいずれか一項に記載の車両用ベルトモールディングであって、
複数の除去部は、長手方向に同一の間隔を保って形成されていることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項4〜11のいずれか一項に記載の車両用ベルトモールディングであって、
長手方向に一つの列をなす複数の除去部の長手方向の合計長さは、連結部の全長の10%以上90%未満の割合となるように設定されていることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項1〜12のいずれか一項に記載の車両用ベルトモールディングであって、
弾発部材の変位片部の先端側は、シールリップの長手方向に沿って前記シールリップ内に埋設され前記シールリップと一体化されていることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項1〜13のいずれか一項に記載の車両用ベルトモールディングであって、
弾発部材の固定片部は、締結手段で前記係止壁部に固着されていることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項1〜14のいずれか一項に記載の車両用ベルトモールディングであって、
弾発部材は、シールリップのポリマー材料よりも硬質で剛性及びばね性の高い弾性合成樹脂の成形品であることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項1〜14のいずれか一項に記載の車両用ベルトモールディングであって、
弾発部材は、シールリップのポリマー材料よりも硬質で剛性及びばね性の高い金属板の成形品であることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項16に記載の車両用ベルトモールディングであって、
金属板は、ステンレス鋼ばね板、防錆処理済の炭素鋼ばね板、チタン合金ばね板、銅合金ばね板、アルミ合金ばね板のいずれかの金属ばね板であることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項16又は17に記載の車両用ベルトモールディングであって、
金属板は、板厚が0.01mm〜0.50mmの範囲であることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項18に記載の車両用ベルトモールディングであって、
金属板は、板厚が0.05mm〜0.25mmの範囲であることを特徴とする車両用ベルトモールディング。 - 請求項1〜19のいずれか一項に記載の車両用ベルトモールディングであって、
シールリップは、窓板の移動方向に沿って所定の間隔を保って係止壁部に二つ形成され、少なくとも下側のシールリップに弾発部材の変位片部が係止又は一体化していることを特徴とする車両用ベルトモールディング。
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