JP4540868B2 - 加硫可能なフッ素ゴム組成物とその用途 - Google Patents
加硫可能なフッ素ゴム組成物とその用途 Download PDFInfo
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、加硫可能なフッ素ゴム組成物に関し、さらに詳しくは、高温時における耐スチーム性、耐圧縮永久歪、常態物性に優れた加硫物を与える加硫可能なフッ素ゴム組成物に関する。また、該加硫可能なフッ素ゴム組成物から形成される加硫物、シール材およびその使用方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
フッ素ゴムは、耐熱性、耐薬品性等の点で他のゴムと比して卓越した性能を有しているため、自動車産業の他、各種工業分野でO−リング、ガスケット、パッキン等の材料として使用されている。さらに近年は市場の急速な高機能化要求により、パーフルオロゴムの使用が増加している。具体的な用途としては、たとえば、化学プラント、理化学機器、発電所タービン等のシール材、パッキン等が挙げられる。
【0003】
しかしながら、パーフルオロゴムであっても、たとえば120℃以上の高温下での耐スチーム性、特に200℃以上での耐高温スチーム性などには必ずしも満足のいく特性が得られていなかった。このため、耐高温スチーム性の優れたパーフルオロゴムの提供が求められていた。
一方、特開2000−53835号公報、特開2000−290454号公報では、高温での耐スチーム性が比較的良好な共重合体の開発が試みられているが、これらの発明では、共重合体の製造に際し、特殊な架橋点モノマーおよび加硫剤を使用しているため、共重合体から得られるパーフルオロゴムは極めて高価になっており、その用途は限られたものとなっていた。
【0004】
このため、安価で、耐高温スチーム性に優れたフッ素系ゴムの提供が望まれていた。
ところで、パーフルオロゴムの製造過程での加硫においては、通常有機過酸化物および共架橋剤が用いられているが、一般に使用される有機過酸化物、共架橋剤は加工性、分散性の観点からCaCO3、ケイソウ土、タルクなどの無機系の担体に分散されたものが用いられている。しかしながら、従来、有機過酸化物、共架橋剤の担体については、その配合部数が少ないこと等から、120℃、特に200℃以上での耐高温スチーム性への影響については、知られていない。
【0005】
そこで本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意研究し、有機過酸化物、共架橋剤の担体が、パーフルオロゴムからなる加硫物に微量に含有されていると、耐スチーム性が著しく悪化すること、さらに有機過酸化物、共架橋剤に含有される担体の量を一定量以下にした、高純度の有機過酸化物および共架橋剤を用いて加硫を行うと、得られる加硫物の耐高温スチーム性が大幅に改善されることを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】
なお、本出願人は先に特開2000−53835号公報においてテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体にハイドロタルサイトを配合してなる組成物を提案しているが、担体の含有量が微量の有機過酸化物、共架橋剤の使用により高温でのスチーム性が改良されることは記載も示唆もされていない。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記記載のように安価で耐高温スチーム性の優れた加硫物を提供するテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体からなる組成物、該組成物から形成される加硫物、シール材およびその使用方法を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】
本発明に係る加硫可能なフッ素ゴム組成物は、
(a)ヨウ素原子および/または臭素原子が含有されているテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体と、
(b)純度が95%以上の有機過酸化物と、
(c)純度が95%以上の共架橋剤と
を含有することを特徴としている。
【0009】
前記加硫可能なフッ素ゴム組成物は、さらにカーボンブラックまたは硫酸バリウムを含有してもよい。
本発明に係る加硫物は、前記加硫可能なフッ素ゴム組成物を加硫してなる。
本発明に係るシール材は、前記加硫可能なフッ素ゴム組成物を加硫して形成されることを特徴としている。
【0010】
本発明に係るシール材の使用方法は、前記シール材を、120℃以上の熱水および/またはスチームを用いる装置に使用することを特徴としている。
前記熱水および/またはスチームの温度は、200℃以上であることが好ましい。
このような本発明によれば、高温でのスチーム性に優れた加硫物あるいはシール材を提供しうるテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体系の組成物が提供される。
【0011】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る加硫可能なフッ素ゴム組成物について、具体的に説明する。
[加硫可能なフッ素ゴム組成物]
本発明に係る加硫可能なフッ素ゴム組成物には、
(a)テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、「共重合体(a)」または「FFKM」ということがある。)と、
(b)有機過酸化物と、
(c)共架橋剤と
が含有されている。
【0012】
以下、この加硫可能なフッ素ゴム組成物に含まれる各成分について説明する。
<共重合体(a)>
本発明で用いることのできる(a)テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体は、テトラフルオロエチレン(TFE)に由来する成分単位とパーフルオロアルキルビニルエーテル(FAVE)に由来する成分単位とからなる共重合体である。
【0013】
前記パーフルオロアルキルビニルエーテルとしては、パーフルオロアルキル基の炭素原子数が好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10の範囲にあるパーフルオロアルキル基であることがことが好ましい。また、該アルキル基はパーフルオロアルコキシアルキル基であってもよい。
このようなパーフルオロアルキルビニルエーテルとしては、具体的には、たとえば、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビニルエーテル、パーフルオロプロポキシプロピルビニルエーテル、パーフルオロメトキシプロピルビニルエーテル等が挙げられる。これらのうちでは、パーフルオロメチルビニルエーテルが特性とコストのバランスの観点から好ましい。
【0014】
このようなパーフルオロアルキルビニルエーテルとテトラフルオロエチレンとに誘導される共重合体(a)は、テトラフルオロエチレン(TFE)に由来する成分単位が、好ましくは55〜75モル%の割合で、パーフルオロアルキルビニルエーテル(FAVE)に由来する成分単位が25〜45モル%の割合で含まれ、さらに好ましくはテトラフルオロエチレンに由来する成分単位が65〜70モル%の割合で、パーフルオロアルキルビニルエーテルに由来する成分単位が30〜35モル%の割合で含まれていることが望ましい。ただし、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の全成分単位量を100モル%とする。
【0015】
本発明においては上記共重合体(a)中には、ヨウ素原子および/または臭素原子が存在していてもよく、このようなヨウ素原子、臭素原子の共重合体中の含有量は、共重合体に対して、好ましくは約0.001〜5重量%、さらに好ましくは約0.01〜3重量%の量で含まれていることが望ましい。このように、共重合体(a)中に、ヨウ素原子および/または臭素原子が存在していると、たとえば、架橋時に有機過酸化物からのラジカルにより、容易に上記ヨウ素および/または臭素原子が共重合体骨格から離脱し、共重合体が高活性のラジカルを発生させ、実質上加硫剤として配合される共架橋剤(c)に付加して効率よく橋架けを形成することができる。しかも架橋点はC−C結合となることから、ポリアミンによる加硫により形成されるC=N結合、ポリオールによる加硫により形成されるC−O結合に比して化学的により安定となり、ゴム弾性、耐熱性、耐化学薬品性などが良好となる傾向がある。
【0016】
このような共重合体(a)の分子量は、加硫時における加工成形性や機械的諸物性等を勘案して決定されるが、たとえば、分子量の指標としての溶液粘度ηsp/cが、好ましくは0.1〜5dl/g、さらに好ましくは0.3〜2dl/gの範囲にあることが望ましい。
ムーニー粘度ML1+10(121℃)が、好ましくは10〜100pts、さらに好ましくは20〜70pts(121℃)の範囲にあることが望ましい。
【0017】
(共重合体(a)の製造)
前記共重合体(a)は、公知の方法により得ることができる。たとえば、本願出願人が先に提案した特公平1−57125号公報に記載の方法に準じて製造することができる。
すなわち、好ましくは後述する含ヨウ素臭素化合物(ヨウ素と臭素を共に含有する化合物、ヨウ素を含有する化合物または含臭を含有する化合物をいう。)の存在下に、テトラフルオロエチレンと、パーフルオロメチルビニルエーテルとを共重合させればよい。
【0018】
このようなパーフルオロアルキルビニルエーテルと、テトラフルオロエチレンとの共重合は、好ましくは、テトラフルオロエチレン(TFE)55〜75モル%と、パーフルオロアルキルビニルエーテル(FAVE)25〜45モル%とを、さらに好ましくはテトラフルオロエチレン65〜70モル%と、パーフルオロアルキルビニルエーテル30〜35モル%とを重合させることが望ましい。
【0019】
この含ヨウ素臭素化合物は、前記特公平1−57125号公報に示されるように、下記一般式(1)で表される含ヨウ素臭素化合物を用いることができる。
RBrnIm ……(1)
式(1)中、Rはフルオロ炭化水素基、クロルフルオロ炭化水素基または炭化水素基であり、n,mは何れも0、1または2である。
【0020】
上記式(1)中、Rとしては、好ましくは炭素原子数1〜10のフルオロ炭化水素基、クロルフルオロ炭化水素基または炭化水素基が挙げられる。また、これらの基には、−O−、−S−、=NR、−COOH、−SO2、−SO3H、−PO3H等の官能基が結合してもよい。
このような含ヨウ素臭素化合物としては、飽和化合物であっても不飽和化合物であってもよく、鎖状あるいは芳香族系の化合物でもよい。
【0021】
これらのうち、n,mが何れも1のものを好ましく用いることができる。
このような含ヨウ素臭素化合物としては、具体的には、鎖状の含ヨウ素臭素化合物としては、たとえば、1-ブロモ-2ヨードパーフルオロエタン、1-ブロム-3-ヨードパーフルオロプロパン、1,3-ジブロモ-2-ヨードパーフルオロプロパン、1-ブロモ-2-ヨード-1-クロルエタン、1-ヨード-2-ブロモ-1-クロルエタン、3-ブロモ-4-ヨードパーフルオロブテン-1、3-ヨード-4-ブロモパーフルオロブテン-1、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエチルパーフルオロメチルエーテル、1,4-ジヨードオクタフルオロブタン、ジヨードメタン、1,2-ジヨードエタン、ジブロモジフルオロメタン、1,2-ジブロモテトラフルオロエタン、ブロモジフルオロエテン、ブロモトリフルオロエテン、4-ブロモ-3,3,4,4-テトラフルオロブテン-1、2-ブロモパーフルオロエチルビニルエーテル、ヨードジフルオロエテン、ヨードトリフルオロエテン、4-ヨード-3,3,4,4-テトラフルオロブテン-1、2-ヨードパーフルオロエチルビニルエーテル、臭化ビニル、沃化ビニルなどが挙げられる。
【0022】
また、芳香族系の含ヨウ素臭素化合物としては、たとえば、ベンゼンの1-ヨード-2-ブロモ、1-ヨード-3-ブロモ等の各置換体、パーフルオロベンゼンの1-ヨード-2ブロモ置換体等が挙げられる。
この含ヨウ素臭素化合物由来の成分単位が、得られる共重合体(a)中に、ヨウ素原子および臭素原子の合計量として、約0.001〜5重量%、好ましくは約0.01〜3重量%の量で含まれていると、加硫されて架橋密度が高くなり、ゴム弾性、耐熱性ともに優れた加硫物が得られる傾向がある。
【0023】
このようなテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合反応は、好ましくは含ヨウ素臭素化合物存在下での共重合反応は、上記公報に詳説されているように溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の各種方法によってたとえばランダム重合させればよい。
<有機過酸化物(b)>
有機過酸化物(b)は、架橋剤としての働きを有していればよく、従来公知のものを用いることができる。
【0024】
このような有機過酸化物としては、たとえば、2,5-ジメチル-2,5-ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ベンゾイルパーオキシド、ビス(2,4-ジクロルベンゾイル)パーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジ第3ブチルパーオキシド、第3ブチルクミルパーオキシド、第3ブチルパーオキシベンゼン、1,1-ビス(第3ブチルパーオキシ)3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン-2、5-ジヒドロキシパーオキシド、第3ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどが挙げられる。
【0025】
これらのうちでは、2,5-ジメチル-2,5-ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン[商品名:パーヘキサ2.5B、日本油脂社製]、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン[商品名:パーヘキサ2.5Z、日本油脂社製]、ジクミルパーオキサイド[商品名:パークミルD]を好ましく用いることができる。これらの有機過酸化物は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0026】
このような有機過酸化物は、通常、炭酸カルシウム、ケイソウ土、タルクなどからなる担体を含んでいるが、本発明では、このような有機過酸化物(b)の純度が95%(重量%)以上、好ましくは96〜100%、特に好ましくは98〜100重量%であるものを用いることが望ましい。有機過酸化物(b)の純度が上記範囲にある場合、すなわち、担体等を含む不純物の濃度が小さい場合、高温耐スチーム性に優れた加硫物あるいはシール材を得ることができる。
【0027】
このような有機過酸化物は、通常市販されているものを用いることができるが、有機過酸化物の純度は各種のものがあることから、使用する有機過酸化物の純度が上記範囲に該当するものを用いる必要がある。純度が上記範囲にない場合には、たとえば、再結晶などの方法により原料を精製し純度を向上させて用いることもできる。
【0028】
このような有機過酸化物(b)の使用量は、共重合体(a)に対して、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部の量を用いることが望ましい。
<共架橋剤(c)>
上記有機過酸化物(b)を用いるパーオキシド加硫法では、通常、共架橋剤(c)を併用する。このような共架橋剤(c)としては、多官能性不飽和化合物を好ましく用いることができる。このような共架橋剤(c)を前記有機過酸化物(b)と共に用いると、加硫特性が向上し、機械的強度、圧縮永久歪みに優れたフッ素ゴム加硫物を得ることができる。
【0029】
この多官能性不飽和化合物としては、たとえば、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリ(メタ)アリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート、N,N-m-フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、トリス(ジアリルアミン)-s-トリアジン、亜リン酸トリアリル、1,2-ポリブタジエン、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。これらの共架橋剤(c)は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0030】
このような共架橋剤は、通常、炭酸カルシウム、ケイソウ土、タルクなどからなる担体を含んでいるが、本発明では、このような共架橋剤(c)の純度が95%(重量%)以上、好ましくは96〜100重量%、特に好ましくは98〜100重量%であるものを用いることが望ましい。共架橋剤(c)の純度が上記範囲にある場合、すなわち、担体等を含む不純物の濃度が小さい場合、高温耐スチーム性に優れた加硫物あるいはシール材を得ることができる。
【0031】
このような共架橋剤は、通常市販されているものを用いることができるが、共架橋剤の純度は各種のものがあることから、使用する共架橋剤の純度が上記範囲に該当するものを用いる必要がある。純度が上記範囲にない場合には、たとえば、再結晶などの方法により原料を精製し、純度を向上させて用いることもできる。
【0032】
このような共架橋剤(c)の使用量は、共重合体(a)に対して、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の量を用いることが望ましい。
<その他の配合成分>
本発明に係る加硫可能なフッ素ゴム組成物には、上記成分以外に、受酸剤、充填剤、補強剤、有機過酸化物と架橋可能な(共)重合体、可塑剤、滑剤、加工助剤、顔料、パーフルオロポリエーテルなどを適宜配合してもよい。
【0033】
受酸剤としては、従来リサージ(PbO)が常態物性、スチーム性などが良好であるが、近年環境問題などからその使用は制限されている。その他の受酸剤としては亜鉛華、ハイドロタルサイトなどが好ましい。
受酸剤を用いる場合は、その使用量は、共重合体(a)に対して、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部の量を用いることが望ましい。
【0034】
充填剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、硫酸バリウムなどが挙げられる。これらのうち、充填剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、硫酸バリウムを用いることが好ましい。
これら充填剤を用いる場合、充填剤の使用量は、充填剤の種類により異なるが、たとえば、共重合体(a)に対して、好ましくは0.5〜50重量%、さらに好ましくは1〜30重量%の量を用いることが望ましい。
【0035】
上記有機過酸化物(パーオキシド)にて(共)架橋可能な(共)重合体としては、たとえば、フルオロシリコーンゴム、フルオロフォスファゼンゴム、フッ素樹脂などが挙げられる。
顔料としては、ベンガラ、シアニンブルー、シアニングリーンなどが挙げられる。
【0036】
さらに、上記フッ素ゴム組成物には、該組成物中の共重合体(a)100重量部に対して、さらにパーフルオロポリエーテルが0〜20重量部、好ましくは5〜10重量部の範囲の量で含まれていてもよい。
パーフルオロポリエーテルとしては、たとえば、パーフルオロ(ポリエチレンオキシド)、パーフルオロ(ポリプロピレンオキシド)、パーフルオロ(コポリ−オキシメチレン−オキシプロピレン)、パーフルオロ(コポリ−オキシメチレン−オキシエチレン)などが挙げられる。
【0037】
[加硫可能なフッ素ゴム組成物の調整、およびその架橋(加硫)]
本発明に係る加硫可能なフッ素ゴム組成物は、公知の方法により調製することができ、共重合体(a)、有機過酸化物(b)、共架橋剤(c)を一度に、あるいは任意の順序で適宜量ずつ配合し、混練すればよい。
また、加硫可能なフッ素ゴム組成物は、上記成分をロール、ニーダー、バンバリーミキサーなどを用いて混合した後、加熱して加硫することにより、その加硫物を得ることができる。加熱は、たとえば、約100〜250℃の温度で、約1〜120分間程度保持する一次加硫を行った後、必要に応じ約150〜300℃の温度で0〜30時間程度保持する二次加硫を行うことにより行うことができる。
【0038】
また、上記フッ素ゴム組成物を、例えばプレス架橋法、オーブン架橋法、スチーム架橋法などの方法で所望の形状に架橋成形することでシール材が得られる。このシール材は、架橋の際、高純度の有機過酸化物と高純度の共架橋剤とを用いているため、高温時における耐スチーム性に優れている。具体的には、本発明に係るフッ素ゴム組成物を加硫して得られるシール材は、有機過酸化物、共架橋剤に含有される担体の量が、それぞれ5%未満であるので、たとえば、120℃、特に200℃以上での高温における耐スチーム性に優れている。
【0039】
したがって、このようなシール材は、120℃以上の熱水および/またはスチームと接触しても、引張強さ、破断強度などに優れるとともに、体積変化率が小さいので、化学プラント、理化学機器、発電所タービンなどの装置において高温の熱水および/またはスチームが存する部位に好ましく使用することができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明に係る加硫可能なフッ素ゴム組成物を加硫すれば、スチーム性、圧縮永久歪み、機械的特性、空気熱老化性に優れた加硫物が得られる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明に係る加硫性フッ素ゴム組成物について、実施例により更に具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら制限されるものではない。
表中の各試験条件は、以下の通りである。
加硫特性:「JIS K−6301」に準拠した。
圧縮永久歪み:P−24 O−リングを200℃で70hrにわたって25%圧縮して測定した。
空気老化試験:ギア式オーブンにて250℃で70hr保持して空気老化試験を行った。
水蒸気(スチーム)試験:密閉式500cc容量の金属容器に蒸留水100ccを入れ、230℃で70hr保持して水蒸気試験を行った。
【0042】
【実施例1】
ポリマーA 100重量部
MT−カーボンブラック 30重量部
ハイドロタルサイト 3重量部
TAIC(純度98%) 2.1重量部
パーヘキサ2.5B(純度98%) 0.8重量部
以上の各配合物を8インチミキシングロールで混練し、得られた加硫物について180℃で10分間のプレス加硫、および200℃にて6時間のオーブン加硫を行った。得られた加硫物について表1に示す各項目の測定を行った。表中に示すポリマーAの物性等は以下の通りであった。
【0043】
ポリマーAは、特公平1−57125号公報の記載に準じて重合を行って調製した。得られたポリマーAは、テトラフルオロエチレン(TFE)、パーフルオロメチルビニルエーテル(FMVE)に由来する構成単位の割合が、TFE由来成分/FMVE由来成分=68/32(モル%)であり、ムーニー粘度ML1+10(121℃)40ポイントであり、ヨウ素および臭素含量0.4重量%であった。
【0044】
【実施例2、比較例1〜3】
表1に示す配合組成により、実施例1と同様にして、加硫を行い加硫物を得た(実施例2、比較例1〜3)。得られた加硫物について、実施例1と同様にして物性等を評価した。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
Claims (9)
- (a)ヨウ素原子および/または臭素原子が含有されているテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体と、(b)純度が95%以上の有機過酸化物と、(c)純度が95%以上の共架橋剤とを含有する120℃以上の熱水および/またはスチームを用いる装置における、120℃以上の熱水および/またはスチームが存する部位に使用するためのシール材用の、加硫可能なフッ素ゴム組成物。
- 前記熱水および/またはスチームの温度が、200℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の加硫可能なフッ素ゴム組成物。
- 前記熱水および/またはスチームを用いる装置が、化学プラント、理化学機器および発電所タービンからなる群から選択される装置であることを特徴とする請求項1または2に記載の加硫可能なフッ素ゴム組成物。
- 前記加硫可能なフッ素ゴム組成物が、さらにカーボンブラックまたは硫酸バリウムを含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の加硫可能なフッ素ゴム組成物。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載の加硫可能なフッ素ゴム組成物を加硫してなる、120℃以上の熱水および/またはスチームを用いる装置における、120℃以上の熱水および/またはスチームが存する部位に使用するためのシール材用の加硫物。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載の加硫可能なフッ素ゴム組成物を加硫して形成される、120℃以上の熱水および/またはスチームを用いる装置における、120℃以上の熱水および/またはスチームが存する部位に使用するためのシール材。
- 請求項6に記載のシール材を、120℃以上の熱水および/またはスチームを用いる装置における、120℃以上の熱水および/またはスチームが存する部位に使用することを特徴とするシール材の使用方法。
- 前記熱水および/またはスチームの温度が、200℃以上であることを特徴とする請求項7に記載のシール材の使用方法。
- 前記熱水および/またはスチームを用いる装置が、化学プラント、理化学機器および発電所タービンからなる群から選択される装置であることを特徴とする請求項7または8に記載のシール材の使用方法。
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