JP4540694B2 - 建設機械の情報管理装置 - Google Patents
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Description
本発明は建設機械の車体内の情報を収集することによって建設機械を構成する部品の寿命、部品の交換時期、建設機械の作業量、稼働状態、故障等の異常などの情報を管理する建設機械の情報管理装置に関するものである。
さて建設機械は、機種、車格、仕向地などにより、搭載される電子制御装置たるコントローラの種類が異なる。
このため或るコントローラでは所定の通信プロトコルに従ったフレーム信号を送受信できるが、他の異なるコントローラでは上記所定の通信プロトコルに従ったフレーム信号を送受信できないといった事態が生じる。
このように通信プロトコルの仕様が異なる複数のコントローラが建設機械内に混在する場合は、各コントローラ間でのシリアル通信は事実上不可能となる。
そこで従来は図4に示す態様で各コントローラ間でデータの送受信が行われていた。
同図4に示すように建設機械のキャブ(運転室)内には、ポンプコントローラ3とモニタ(表示用コントローラ)4とが設けられている。
ポンプコントローラ3には各種センサ群23、アクチュエータ群33が接続されており、操作レバーの操作位置を示す信号等の各種検出信号を入力し、油圧ポンプの斜板を駆動する斜板駆動用アクチュエータ等に対して各種駆動信号を出力する。モニタ4は表示画面と各種スイッチが設けられたコントローラであり、スイッチ操作によって建設機械が行う各種作業の中から所望する作業モードが選択指示されるとともに、表示画面上に運転に必要な情報が表示される。
ポンプコントローラ3とモニタ4は、所定の通信プロトコルAに従って通信が行われるシリアル通信回線11によって接続されており、シリアル通信回線11上でフレーム信号が伝送されることによってポンプコントローラ3とモニタ4との間でデータの授受が行われる。よってモニタ4の表示画面にはポンプコントローラ3に接続されたセンサ群23で検出され、あるいはアクチュエータ群33に対して出力されるべきデータの内容が表示される。
これに対して建設機械のキャブ外にはエンジンコントローラ5が設けられている。
エンジンコントローラ5には各種センサ群25、アクチュエータ群35が接続されており、燃料ダイヤル(目標エンジン回転数設定手段)40で操作、設定されたスロットル位置を示す第1のスロットル信号SD等の各種検出信号を入力し、エンジンに燃料を供給する燃料供給用アクチュエータ(たとえばガバナを駆動するモータ)等に対して各種駆動信号を出力する。
エンジンコントローラ5は、上記通信プロトコルAとは異なる通信プロトコルBに従ってシリアル通信が行われる仕様のコントローラである。
よってポンプコントローラ3とエンジンコントローラ5との間で直接に双方向のシリアル通信を行うことはできない。
このためポンプコントローラ3とエンジンコントローラ5との間に信号の種類毎に並列に信号線を設け、パラレル通信によりデータの授受を行うようにしている。したがって信号の種類に応じた数の信号線を用意する必要がある。しかもデータの種類としてはコントローラ3、4間でアナログ信号として伝送されるか、オン、オフの信号として入出力されるものに限られる。
こうしたデータの入出力に制限があるため、ポンプコントローラ3とエンジンコントローラ5との間では最低限必要なデータしか授受が行われない。
すなわち上記第1スロットル信号SDは信号線92を介してエンジンコントローラ5のA/D入力端子に入力されるとともに、ポンプコントローラ3のA/D入力端子に入力される。
そしてポンプコントローラ3のD/A出力端子からエンジンコントローラ5のA/D入力端子に向けて第2スロットル信号が伝送される。第2スロットル信号とは、オートデセル信号、オーバーヒート信号、自動暖気信号など、ポンプコントローラ3で取得されたデータに従って生成され、エンジンコントローラ5に与えられるエンジン回転指令信号のことである。たとえばオートデセル信号とは、操作レバーが中立位置になったときにエンジンの回転数を低回転数まで下げることを指示するエンジン回転指令信号のことである。
エンジンコントローラ5では第1スロットル信号SDと第2スロットル信号とが比較され小さい値(エンジン目標回転数が小さい方)を示すスロットル信号に従って上記燃料供給用アクチュエータが駆動制御される。
これに対してエンジン1とモニタ4との間は、信号線によって接続されていない。
エンジンコントローラ5でエンジンに関する異常(故障)のデータの取得された場合、たとえばエンジンの回転数の異常な上昇、冷却水の温度の異常な上昇等の異常が発生した場合には、コーション用信号線17を介してモニタ4とは別に配置されたコーションランプ群16の対応するランプが点灯される。
よってコーションランプ群16の点灯状態によってエンジンの異常についての警告内容をオペレータは認識することができる。しかしモニタ4の表示画面上ではエンジンの稼働状態を常時監視することはできない。
またモニタ4の表示画面に油圧ポンプの状態は表示されるもののエンジンの状態は表示されないため建設機械内のすべての機器についての情報を一括して管理することはできない。
さらにはコーションランプ群16専用の信号線17を新たに設ける必要がある。このためハーネス類が増加して部品点数の増加、コスト増大を招来する。
さらにはモニタ4からエンジンコントローラ5に対して直接データを送信できずポンプコントローラ3から限られたアナログデータ(第2スロットル信号)しか送信できないため、エンジンの制御の精度がよくないという問題点があった。
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、通信プロトコルの仕様の異なるコントローラが混在している建設機械であっても、各コントローラ相互間でシリアル通信を可能ならしめることによって、エンジン等各種機器の制御の精度を向上させるとともに、信号線(ハーネス類)の数の増加を招かないようにすることを解決課題とするものである。
本発明では、上記解決課題達成のために、
所定の通信プロトコルに従って通信が行われるシリアル通信回線によって、建設機械内の複数の車体内コントローラ間相互を通信自在に接続し、フレーム信号を前記複数の車体内コントローラ間で伝送させ、前記複数の車体内コントローラ間でデータの送受信を行うとともに、前記フレーム信号に前記複数の車体内コントローラ毎に取得されるデータを記述し、当該フレーム信号に記述されたデータを読み取ることにより建設機械に関する情報を収集するようにした建設機械の情報管理装置において、
前記建設機械内に、当該建設機械内の情報を管理する情報管理用コントローラを設け、
前記所定の通信プロトコルとは異なる通信プロトコルに従って通信が行われるシリアル通信回線に、前記複数の車体内コントローラとは異なる車体内コントローラを通信自在に接続し、
前記情報管理用コントローラを介して、前記建設機械内の両シリアル通信回線同士を相互に通信自在に接続し、
前記情報管理用コントローラは、一方のシリアル通信回線に接続された車体内コントローラと、他方のシリアル通信回線に接続された車体内コントローラとの間でデータの送受信を行わせるとともに、一方のシリアル通信回線上で伝送されるフレーム信号と他方のシリアル通信回線上で伝送されるフレーム信号のそれぞれに記述されたデータを読み取ることにより建設機械に関する情報を収集するようにしたこと
を特徴とする。
所定の通信プロトコルに従って通信が行われるシリアル通信回線によって、建設機械内の複数の車体内コントローラ間相互を通信自在に接続し、フレーム信号を前記複数の車体内コントローラ間で伝送させ、前記複数の車体内コントローラ間でデータの送受信を行うとともに、前記フレーム信号に前記複数の車体内コントローラ毎に取得されるデータを記述し、当該フレーム信号に記述されたデータを読み取ることにより建設機械に関する情報を収集するようにした建設機械の情報管理装置において、
前記建設機械内に、当該建設機械内の情報を管理する情報管理用コントローラを設け、
前記所定の通信プロトコルとは異なる通信プロトコルに従って通信が行われるシリアル通信回線に、前記複数の車体内コントローラとは異なる車体内コントローラを通信自在に接続し、
前記情報管理用コントローラを介して、前記建設機械内の両シリアル通信回線同士を相互に通信自在に接続し、
前記情報管理用コントローラは、一方のシリアル通信回線に接続された車体内コントローラと、他方のシリアル通信回線に接続された車体内コントローラとの間でデータの送受信を行わせるとともに、一方のシリアル通信回線上で伝送されるフレーム信号と他方のシリアル通信回線上で伝送されるフレーム信号のそれぞれに記述されたデータを読み取ることにより建設機械に関する情報を収集するようにしたこと
を特徴とする。
本発明を図3を参照して説明する。
建設機械内には、複数の車体内コントローラ3、4が設けられている。これら複数の車体内コントローラ3、4間相互は、所定の通信プロトコルAに従って通信が行われるシリアル通信回線11によって通信自在に接続されている。このためフレーム信号が複数の車体内コントローラ3、4間で伝送されることで、複数の車体内コントローラ3、4間でデータの送受信が行われるとともに、フレーム信号に複数の車体内コントローラ3、4毎に取得されるデータが記述される。
建設機械内には、複数の車体内コントローラ3、4が設けられている。これら複数の車体内コントローラ3、4間相互は、所定の通信プロトコルAに従って通信が行われるシリアル通信回線11によって通信自在に接続されている。このためフレーム信号が複数の車体内コントローラ3、4間で伝送されることで、複数の車体内コントローラ3、4間でデータの送受信が行われるとともに、フレーム信号に複数の車体内コントローラ3、4毎に取得されるデータが記述される。
そして建設機械内の情報を管理する情報管理用コントローラ1が設けられる。一方上記所定の通信プロトコルAとは異なる通信プロトコルBに従って通信が行われるシリアル通信回線12に、上記複数の車体内コントローラ3、4とは異なる車体内コントローラ5が通信自在に接続されている。
そこで情報管理用コントローラ1を介して、建設機械内の両シリアル通信回線11、12同士が相互に通信自在に接続される。
このため情報管理用コントローラ1では、一方のシリアル通信回線11上で伝送されるフレーム信号と他方のシリアル通信回線12上で伝送されるフレーム信号のそれぞれに記述されたデータを読み取ることにより建設機械に関する情報が収集される。
すなわち通信プロトコルが同じ仕様(通信プロトコルA)の各車体内コントローラ3、4毎のデータばかりではなく、異なる通信プロトコルBに従って通信が行われる車体内コントローラ5で取得されるデータについても、情報管理用コントローラ1にまとめて収集され、これらが突き合わせられ、加工されたデータが記憶される。よって情報管理用コントローラ1では、建設機械内の各車体内コントローラ3、4、5毎のデータを突き合わせた詳細な建設機械に関する情報が記憶される。
さらに本発明によれば、情報管理用コントローラ1を介して、一方のシリアル通信回線11に接続された車体内コントローラ3、4と、他方のシリアル通信回線12に接続された車体内コントローラ5との間でデータの送受信が行われる。
よってモニタ4からエンジンコントローラ5に対して直接ディジタルデータをシリアル送信することが可能となり、エンジンの制御の精度が向上する。
また従来はデータの入出力の制限があるためにデータの授受が行われていなかったエンジンコントローラ5とモニタ4との間も、2本のシリアル通信回線11、12だけでハーネス類の増加を招くことなく容易にシリアル通信を行うことができる。またエンジンコントローラ5からポンプコントローラ3に対してもデータを2本のシリアル通信回線11、12だけでハーネス類の増加を招くことなく送信することができる。
このように本発明によれば、通信プロトコルの仕様の異なるコントローラが混在している建設機械であっても、各コントローラ3、4、5相互間でシリアル通信が可能となる。このためエンジン等各コントローラの制御対象の各種機器の制御の精度が向上する。また信号線(ハーネス類)の数の増加を招くことなく車両内で通信を行うことができる。
以下図面を参照して本発明に係る建設機械の情報管理装置の実施の形態について説明する。
図1は建設機械の車体内の構成を示すブロック図である。なお図2に示す実施形態では建設機械としてフロント部分とリア部分にそれぞれエンジンを備えた油圧ショベルを想定している。しかし建設機械であれば任意のものに本発明は適用可能である。
同図1に示すように、建設機械の車体内には、複数の車体内コントローラ6、7、4が設けられている。
車体内コントローラ6は、フロントエンジンおよび作業機を駆動制御するフロントエンジン・作業機用コントローラである。
コントローラ6には各種センサ群26、アクチュエータ群36が接続されている。センサ群26としては、燃料ダイヤル(フロントエンジン目標回転数設定手段)で操作、設定されたスロットル位置を示すスロットル信号を検出するセンサ、フロントエンジンの実際の回転数を検出するセンサ、フロントエンジンを冷却するクーラント(冷却水)の温度を検出するセンサ、燃料量(燃料残量)を検出するセンサ、サービスメータ(フロントエンジンの稼働時間)を検出するセンサ、作業機を操作する操作レバーの操作位置をパイロット圧の圧力として検出するセンサ、作業機の油温を検出するセンサなどである。
アクチュエータ群36としては、フロントエンジンに燃料を供給する燃料供給用アクチュエータ(たとえばガバナを駆動するモータ)、作業機を駆動する油圧アクチュエータ(油圧シリンダ、油圧モータ)に圧油を供給する操作弁(流量制御弁)に設けられた電磁ソレノイドなどである。
コントローラ6は、フロントエンジンおよび作業機に設けられたセンサ群26から各種検出信号を入力し、フロントエンジンおよび作業機に設けられたアクチュエータ群36に対して各種駆動信号を出力する。
車体内コントローラ7は、リアエンジンを駆動制御するリアエンジン用コントローラである。
コントローラ7には各種センサ群27、アクチュエータ群37が接続されている。センサ群27としては、燃料ダイヤル(リアエンジンの目標回転数設定手段)で操作、設定されたスロットル位置を示すスロットル信号を検出するセンサ、リアエンジンの実際の回転数を検出するセンサ、リアエンジンを冷却するクーラント(冷却水)の温度を検出するセンサ、サービスメータ(リアエンジンの稼働時間)を検出するセンサなどである。
アクチュエータ群37としては、リアエンジンに燃料を供給する燃料供給用アクチュエータ(たとえばガバナを駆動するモータ)などである。
コントローラ7は、リアエンジンに設けられたセンサ群27から各種検出信号を入力し、リアエンジンに設けられたアクチュエータ群37に対して各種駆動信号を出力する。
車体内コントローラ4は表示画面と各種スイッチが設けられた既設モニタパネルである。
モニタパネル4はスイッチの操作位置に応じた信号を入力し、表示画面に画像を表示するように表示制御用アクチュエータに対して駆動信号を出力する。
たとえばモニタパネル4の作業モード選択スイッチが選択操作されることによって建設機械が行う各種作業の中から所望する作業モードを示す信号が入力される。
これらコントローラ6、7、4間の相互は、所定の通信プロトコルAに従って通信が行われるシリアル通信回線11によって通信自在に接続されている。
したがって図2に示すように、コントローラ4とコントローラ7との間を、シリアル通信回線11のバイパスケーブル11′によって接続することにより、通信プロトコルAの車体内ネットワークが単独で構成される。
すなわちシリアル通信回線11上に上記通信プロトコルAのフレーム信号が伝送される。するとフレーム信号が各コントローラ4、6、7…に伝送されフレーム信号に記述されたデータに従い各コントローラ4、6、7…に接続されたアクチュエータに駆動信号が出力されこれらアクチュエータが駆動制御されるとともに、各コントローラ4、6、7…に接続されたセンサで検出された検出データが取得されフレーム信号に記述される。
フレーム信号のデータ構造は、使用されるプロトコルにより異なるが、たとえば要求元のコントローラのIDを示すデータ、要求先のコントローラのIDを示すデータ、要求内容を示すデータとからなるデータ構造である。
このようにフレーム信号が複数のコントローラ4、6、7間で伝送されることで、複数のコントローラ4、6、7間でデータの送受信が行われるとともに、フレーム信号に複数のコントローラ4、6、7毎に取得されるデータが記述される。
たとえばモニタパネル4で作業モードとして負荷の大きい作業を示す重掘削モードがスイッチにより選択指示されると、この重掘削モードを示すデータが、上記フレーム信号に記述されてフロントエンジン・作業機用コントローラ6、リアエンジン用コントローラ7にシリアル通信回線11を介して送信される。
このためコントローラ6では、フレーム信号が受信され、記述された重掘削モードを示すデータが読み取られる。そして重掘削モードに対応した目標エンジン回転数となるようにフロントエンジンの燃料供給用アクチュエータが駆動制御される。同様にしてコントローラ7においても受信されたフレーム信号に記述された重掘削モードを示すデータが読み取られ、重掘削モードに応じた目標回転数となるようにリアエンジンが駆動制御される。
一方リアエンジン用コントローラ7で、たとえばクーラントの水温の異常な上昇が検出されると、このクーラント水温を示すデータが上記フレーム信号に記述されてフロントエンジン・作業機用コントローラ6、モニタパネル4にシリアル通信回線11を介して送信される。
このためモニタパネル4では、フレーム信号が受信され、記述されたクーラント水温を示すデータが読み取られる。そしてリアエンジンで異常が発生(クーラント水温異常)したという内容の表示が表示画面上になされる。
またフロントエンジン・作業機用コントローラ6においても上記フレーム信号を受信することにより、リアエンジンの異常に対応したフロントエンジンおよび作業機の制御を行うことができる。
建設機械の車体内には、建設機械内の情報を管理する情報管理用コントローラ1が設けられている。
この情報管理用コントローラ1は、建設機械が製造された後に、図2に示すシリアル通信回線11のバイパスケーブル11′を外すことによって、既存の車体内ネットワークに追加することができる。
また図1に示すように建設機械の製造時点からコントローラ4、5、6と情報管理用コントローラ1とをシリアル通信回線11によって相互に接続しておくこともできる。
一方建設機械の車体内には、上記通信プロトコルAとは異なる通信プロトコルBに従って通信が行われる仕様の車体内コントローラ2が設けられている。
車体内コントローラ2は、表示画面と各種スイッチが設けられたディスプレイである。
情報管理用モニタ2はスイッチの操作位置に応じた信号を入力し、表示画面に画像を表示するように表示制御用アクチュエータに対して駆動信号を出力する。
情報管理用モニタ2は、通信プロトコルBのシリアル通信回線12を介して情報管理用コントローラ1に接続されている。他のコントローラをシリアル通信回線12に接続してもよい。よってシリアル通信回線12上を、通信プロトコルBに従ったデータ構造のフレーム信号が伝送される。
情報管理用コントローラ1には、モニタリング用センサ群21が接続されている。
モニタリング用センサ群21は、たとえばエンジンの油温を検出するセンサ、PTO軸の油温を検出するセンサ、可変容量型油圧ポンプの吐出圧を検出するセンサ、固定容量型油圧ポンプの吐出圧を検出するセンサなど、他のコントローラ4、6、7には接続されていないセンサのことである。また情報管理用コントローラ1にはコンタミセンサ9がコンタミアンプ8を介して接続されている。
コンタミセンサ9では、減速機内の作動油の粉塵の量がアナログ信号として検出されコンタミアンプ8により増幅されて情報管理用コントローラ1に入力される。
情報管理用コントローラ1には、RS−232Cなどのインターフェース13を介してサービスツール18が接続されている。
サービスツール18は、後述するように情報管理用コントローラ1に記憶されたデータをダウンロードすることによりデータを記憶媒体に記憶させる情報収集手段のことである。たとえばICカードにデータを書き込むICカードライタ、パーソナルコンピュータなどである。
情報管理用コントローラ1には、上記シリアル通信回線12、無線通信回線14を介して監視局19が接続されている。通信ネットワーク12と無線通信回線14との間で通信プロトコルが異なる場合には、所要のゲートウエイでプロトコル変換が行われて、シリアル通信回線12と無線通信回線14との間を信号が伝送される。
監視局19は、建設機械の外部に設けられ、複数の建設機械に関する情報を管理するものである。
ここで情報管理用コントローラ1は、シリアル通信回線11上の通信プロトコルAのフレーム信号を通信プロトコルBのデータ構造にプロトコル変換してシリアル通信回線12にフレーム信号として伝送させるとともに、シリアル通信回線12上の通信プロトコルBのフレーム信号を通信プロトコルAのデータ構造にプロトコル変換してシリアル通信回線11にフレーム信号として伝送させる機能を備えている。また情報管理用コントローラ1では、シリアル通信回線11上のフレーム信号に記述されたデータを読み取るとともに、シリアル通信回線12上のフレーム信号に記述されたデータを読みとり、これら読み取られたデータを収集して、加工し、加工されたデータを所定のメモリに記憶する処理が行われる。
したがって情報管理用コントローラ1を介して、一方のシリアル通信回線11に接続されたコントローラ4、6、7と、他方のシリアル通信回線12に接続されたコントローラ2との間でデータの送受信が行われる。
よってたとえば通信プロトコルAの仕様のコントローラ6から、異なるプロトコルBの仕様の情報管理用モニタ2に対してディジタルデータをシリアル送信することが可能となる。
また情報管理用コントローラ1では、一方のシリアル通信回線11上で伝送されるフレーム信号と他方のシリアル通信回線12上で伝送されるフレーム信号のそれぞれに記述されたデータを読み取ることにより建設機械に関する情報が収集される。
すなわち通信プロトコルが同じ仕様(通信プロトコルA)の各コントローラ4、6、7毎のデータばかりではなく、異なる通信プロトコルBに従って通信が行われるコントローラ2で取得されるデータについても、情報管理用コントローラ1にまとめて収集され、これらが突き合わせられ、加工されたデータが記憶される。よって情報管理用コントローラ1では、建設機械内の各コントローラ4、6、7、10毎のデータを突き合わせた詳細な建設機械に関する情報が記憶される。また情報管理用コントローラ1に接続されたモニタリング用センサ群21、コンタミセンサ9で検出されたデータがさらに突き合わせられ詳細な建設機械に関する情報が生成され記憶される。
ここで監視局19からデータを要求する信号が無線通信回線14、シリアル通信回線12を介して情報管理用コントローラ1に送信されると、情報管理用コントローラ1は、当該コントローラ1に記憶されたデータを、シリアル通信回線12、無線通信回線14を介して監視局19に送信する処理を行う。
したがって上記特開平6−330539号公報記載の発明を適用した場合のように、複数のコントローラ6、7、4それぞれで取得されたデータをコントローラ6、7、4毎に設けられた記憶部に記憶させ、各コントローラ6、7、4毎にデータを監視局19に送信しなければならないという煩雑な通信処理は不要となる。すなわち情報管理用コントローラ1に記憶されたデータを一括して監視局19に送信するという簡易な通信処理で済む。
さらに情報管理用コントローラ1には、各コントローラ6、7、4毎のデータ(他のコントローラ2、他のセンサ21、9毎に取得されたデータについても)が収集され、これらが突き合わせられ、加工されたデータが記憶されている。つまり情報管理用コントローラ1には、建設機械内のデータを突き合わせた詳細な建設機械に関する情報が記憶されている。
このため情報管理用コントローラ1に記憶されたデータが一括して監視局19に送信されると、監視局19側で上記詳細な建設機械に関する情報が容易に取得することができる。つまり監視局19側で一の建設機械に関するデータをあらためて加工し直して詳細な情報を生成する処理を施す必要がない。
このため監視局19において、各建設機械から収集した複数の建設機械に関する情報を、きわめて効率的に管理できる。
ここでサービスツール18がインタフェース13を介して情報管理用コントローラ1に接続され、サービスツールたとえばパーソナルコンピュータ18からデータを要求する信号がインターフェース13を介して情報管理用コントローラ1に送信されると、情報管理用コントローラ1は、当該コントローラ1に記憶されたデータを、インタフェース13を介してパーソナルコンピュータ18に送信する処理を行う。
したがって上記特開平7−30977号公報記載の発明を適用した場合のように、複数のコントローラ6、7、4それぞれで取得されたデータをコントローラ6、7、4毎に設けられた記憶部に記憶させ、各コントローラ6、7、4毎にデータをパーソナルコンピュータにダウンロードしなければならないという煩雑な通信処理は不要となる。すなわち情報管理用コントローラ1に記憶されたデータを一括してパーソナルコンピュータ18に送信するという簡易な通信処理で済む。
さらに情報管理用コントローラ1には、各コントローラ6、7、4毎のデータ(他のコントローラ2、他のセンサ21、9毎に取得されたデータについても)が収集され、これらが突き合わせられ、加工されたデータが記憶されている。つまり情報管理用コントローラ1には、建設機械内のデータを突き合わせた詳細な建設機械に関する情報が記憶されている。
このため情報管理用コントローラ1に記憶されたデータが一括してパーソナルコンピュータ18に送信されることで、パーソナルコンピュータ18側で上記詳細な建設機械に関する情報を容易に取得することができる。つまりパーソナルコンピュータ18側では、記憶媒体(ハードディスク等)に記憶された建設機械に関するデータを加工し直して詳細な情報を生成する処理を施す必要がない。
よってサービスツール18としてパーソナルコンピュータ18を使用する場合であって当該パーソナルコンピュータ18にデータ加工用のソフトウエアが備えられていない場合であっても、あるいはデータ加工処理機能を有しないICカードライタ18を使用する場合であっても、記憶媒体に記憶されたデータのみから建設機械に関する詳細な情報を容易に取得することが可能となる。このように記憶媒体に記憶されたデータについての演算処理等が不要となるので保守、点検等のサービス、管理等の作業をきわめて効率的に行うことができる。
また図1に示す実施形態によれば、つぎのような効果が得られる。
すなわち図1のシリアル通信回線12自体にまたはシリアル通信回線12に接続されたコントローラ2等に何らかの異常が発生した場合を想定する。
この場合には、図2に示すように、異常があったシリアル通信回線12を情報管理用コントローラ1とともに、シリアル通信回線11から切り離し、シリアル通信回線11にバイパスケーブル11′を取り付けることによって、通信プコトコルAからなる車体内ネットワークを単独で構築することができる。
よって異常のあったシリアル通信回線12による悪影響を受けることなく、コントローラ4、6、7相互で正常に通信を継続することが可能となる。またコントローラ4、6、7相互で正常に通信を継続している間に、異常のあったシリアル通信回線12を修復することが可能となる。
つぎに図3を参照して別の実施形態について説明する。図3は図4に対応する実施形態である。図3ではエンジンによって油圧ポンプを駆動し油圧ポンプから吐出された圧油を操作弁を介して、作業機を駆動する油圧アクチュエータに供給する建設機械を想定している。
建設機械のキャブ(運転室)内には、ポンプコントローラ3とモニタ4と情報管理用コントローラ1と情報管理用モニタ2が設けられている。
建設機械のキャブ(運転室)内には、ポンプコントローラ3とモニタ4と情報管理用コントローラ1と情報管理用モニタ2が設けられている。
ポンプコントローラ3は油圧ポンプを駆動制御するコントローラである。
ポンプコントローラ3には各種センサ群23、アクチュエータ群33が接続されている。ポンプコントローラ3は操作レバーの操作位置を示す信号等の各種検出信号を入力し、油圧ポンプの斜板を駆動する斜板駆動用アクチュエータ等に対して各種駆動信号を出力する。またポンプコントローラ3には、燃料ダイヤル(目標エンジン回転数設定手段)40で操作、設定されたスロットル位置を示す第1のスロットル信号SDが信号線42を介して入力される。
モニタ4は表示画面と各種スイッチが設けられたコントローラである。モニタ4では、スイッチ操作によって建設機械が行う各種作業の中から所望する作業モードが選択指示されるとともに、表示画面上に運転に必要な情報が表示される。
情報管理用コントローラ1とポンプコントローラ3とモニタ4は、通信プロトコルAに従って通信が行われるシリアル通信回線11によって接続されている。よってシリアル通信回線11上でフレーム信号が伝送されることによって情報管理用コントローラ1とポンプコントローラ3とモニタ4との間でデータの授受が行われる。
これに対して建設機械のキャブ外にはエンジンコントローラ5が設けられている。
エンジンコントローラ5はエンジンを駆動制御するコントローラである。
エンジンコントローラ5には各種センサ群25、アクチュエータ群35が接続されている。
センサ群25としては、エンジンの実際の回転数を検出するセンサ、エンジンを冷却するクーラント(冷却水)の温度を検出するセンサ、燃料量(燃料残量)を検出するセンサ、サービスメータ(フロントエンジンの稼働時間)を検出するセンサなどである。
アクチュエータ群35としては、フロントエンジンに燃料を供給する燃料供給用アクチュエータ(たとえばガバナを駆動するモータ)などである。
コントローラ5は、エンジンに設けられたセンサ群25から各種検出信号を入力し、エンジンに設けられたアクチュエータ群35に対して各種駆動信号を出力する。
エンジンコントローラ5は、上記通信プロトコルAとは異なる通信プロトコルBに従ってシリアル通信が行われる仕様のコントローラである。
情報管理用コントローラ1と情報管理用モニタ2とエンジンコントローラ5は、上記通信プロトコルBに従って通信が行われるシリアル通信回線12によって接続されている。よってシリアル通信回線12上でフレーム信号が伝送されることによって情報管理用コントローラ1と情報管理用モニタ2とエンジンコントローラ5との間でデータの授受が行われる。
ここで情報管理用コントローラ1は、シリアル通信回線11上の通信プロトコルAのフレーム信号を通信プロトコルBのデータ構造にプロトコル変換してシリアル通信回線12にフレーム信号として伝送させるとともに、シリアル通信回線12上の通信プロトコルBのフレーム信号を通信プロトコルAのデータ構造にプロトコル変換してシリアル通信回線11にフレーム信号として伝送させる機能を備えている。また情報管理用コントローラ1では、シリアル通信回線11上のフレーム信号に記述されたデータを読み取るとともに、シリアル通信回線12上のフレーム信号に記述されたデータを読みとり、これら読み取られたデータを収集して、加工し、加工されたデータを所定のメモリに記憶する処理が行われる。
したがって情報管理用コントローラ1を介して、一方のシリアル通信回線11に接続されたコントローラ2、3、4と、他方のシリアル通信回線12に接続されたコントローラ5との間でデータの送受信が行われる。
よって通信プロトコルAの仕様のポンプコントローラ3、モニタ4から、異なるプロトコルBの仕様のエンジンコントローラ5に対してディジタルデータをシリアル送信することが可能となる。
たとえばポンプコントローラ3からエンジンコントローラ5に対して第1スロットル信号SDと第2スロットル信号を示すデータが記述されたフレーム信号が送信される。第2スロットル信号とは、オートデセル信号、オーバーヒート信号、自動暖気信号など、ポンプコントローラ3で取得されたデータに従って生成され、エンジンコントローラ5に与えられるエンジン回転指令信号のことである。オートデセル信号とは、操作レバーが中立位置になったときにエンジンの回転数を低回転数まで下げることを指示するエンジン回転指令信号のことである。オーバーヒート信号とは、エンジンのオーバーヒート時にエンジンの設定回転数をアイドル回転数まで下げることを指示するエンジン回転指令信号のことである。自動暖気信号とは、エンジンの冷間時にエンジンの設定回転数を暖気回転数へ上昇させることを指示するエンジン回転指令信号のことである。
またモニタ4からは作業モードを示すデータが記述されたフレーム信号がエンジンコントローラ5に対して送信される。
エンジンコントローラ5では、フレーム信号に記述された第1スロットル信号SD、第2スロットル信号、作業モードの各データが読み取られ、これらに基づきエンジン目標回転数が定められ、燃料供給用アクチュエータが駆動制御される
このようにポンプコントローラ3のみならずモニタ4からもエンジンコントローラ5に対して直接ディジタルデータを送信できるため、エンジンの制御の精度が向上するという効果が得られる。
このようにポンプコントローラ3のみならずモニタ4からもエンジンコントローラ5に対して直接ディジタルデータを送信できるため、エンジンの制御の精度が向上するという効果が得られる。
また本実施形態によれば従来はデータの入出力の制限があるためにデータの授受が行われていなかったエンジンコントローラ5とモニタ4との間も、2本のシリアル通信回線11、12だけでハーネス類の増加を招くことなく容易にシリアル通信を行うことができる。
たとえばモニタ4で作業モードとして負荷の大きい作業を示す重掘削モードがスイッチにより選択指示されると、この重掘削モードを示すデータが、上記フレーム信号に記述されてエンジンコントローラ5にシリアル通信回線11、12を介して送信される。
このためコントローラ5では、フレーム信号が受信され、記述された重掘削モードを示すデータが読み取られる。そして重掘削モードに対応した目標エンジン回転数となるようにエンジンの燃料供給用アクチュエータが駆動制御される。
一方エンジンコントローラ5で、たとえばクーラントの水温の異常な上昇が検出されると、このクーラント水温を示すデータが上記フレーム信号に記述されてモニタ4にシリアル通信回線12、11を介して送信される。
このためモニタ4では、フレーム信号が受信され、記述されたクーラント水温を示すデータが読み取られる。そしてエンジンで異常が発生(クーラント水温異常)したという内容の表示が表示画面上になされる。
またエンジンコントローラ5からポンプコントローラ3に対してもデータを2本のシリアル通信回線12、11だけでハーネス類の増加を招くことなく送信することができる。
たとえばエンジンコントローラ5からポンプコントローラ3に対してエンジンの異常の発生により作業モード(ポンプ吸収トルク)の変更をする旨のデータがフレーム信号に記述して送信されたとする。ポンプコントローラ3では、このフレーム信号に記述されたデータが読み取られ、油圧ポンプの吸収トルクがエンジン異常に対応したトルクとなるように油圧ポンプの斜板が制御される。
このように本実施形態によれば、通信プロトコルの仕様の異なるコントローラが混在している建設機械であっても、各コントローラ3、4、5相互間でシリアル通信が可能となる。このためエンジン等各コントローラの制御対象の各種機器の制御の精度が向上する。また信号線(ハーネス類)の数の増加を招くことなく車両内で通信を行うことができる。
また情報管理用コントローラ1には、図1に示す実施形態と同様に各コントローラ3、4、5毎のデータが収集され、これらが突き合わせられ、加工されたデータが記憶される。よって図1の実施形態と同様に監視局19ないしはサービスツール18からの要求に応じて、情報管理用コントローラ1に記憶されたデータが一括して監視局19ないしはサービスツール18に送信される。このため監視局19ないしはサービスツール18側は建設機械に関する詳細情報を容易に取得することができ、建設機械に関する情報を、きわめて効率的に管理することができる。
以下情報管理用コントローラ1で行われる具体的な処理内容について説明する。。
情報管理用コントローラ1では、建設機械のエンジンの稼働時に値が変化する稼働パラメータのデータを収集し、この稼働パラメータのデータに基づきエンジンを構成する部品の種類毎に寿命を演算し該演算した部品の種類毎の寿命の情報を管理している。また部品の寿命の情報に基づいてエンジンの寿命を演算し該演算したエンジンの寿命の情報を管理している。
情報管理用コントローラ1では以下の演算処理が実行される。
さてエンジンに加えられる被害の態様、要因には、3種類あり、それは図5に分類して示される。図5はエンジンに加えられる被害の要因を、
(1)機械応力(高サイクル疲労)
(2)熱応力(低サイクル疲労)
(3)摩耗(運転条件)
に分けて示している。
(1)機械応力(高サイクル疲労)
(2)熱応力(低サイクル疲労)
(3)摩耗(運転条件)
に分けて示している。
(1)の機械応力(高サイクル疲労)とは、エンジンが高温度にさらされることによる強度低下のことである。また(2)の熱応力(低サイクル疲労)とは、温度の上昇、下降の繰り返しによる熱劣化である。「熱疲労」ともいう。
また(3)の摩耗(運転条件)とは、機械的疲労のことである。
エンジンを構成する部品の種類毎に、これら(1)、(2)、(3)の各要因による影響の度合いは異なる。たとえば大きな回転変動に弱い部品(摩耗が進行し易い部品)もあれば、大きな回転変動に強い部品(摩耗が進行しにくい部品)もあるからである。
(1)、(2)、(3)の被害要因毎に、影響が及ぶエンジン構成部品群PT1、PT2、PT3を対応づけた表を図6に示す。また部品群PT1、PT2、PT3毎に、各部品PTが対応づけられている。
そして上記(1)、(2)、(3)の被害要因毎に、つまり部品群PT1、PT2、PT3毎に、被害量(過酷度)を評価するに用いられる評価方法が対応づけられている。図6に○印で示している。すなわち部品群PT1は、負荷頻度マップM1を用いて被害量を求め寿命を演算することができる。また部品群PT2は、サイクルタイムM2と負荷移動マップM3を用いて被害量を求め寿命を演算することができる。また部品群PT3は、負荷頻度マップM1を用いて被害量を求め寿命を演算することができる。
たとえば部品群PT1を構成する部品PTであるクランクシャフトは、(1)の機械応力(高サイクル疲労)の影響を受け、その寿命は、負荷頻度マップM1を用いて演算することができる。
つぎに実施形態における稼働パラメータNe、Tの収集方法について説明する。
本実施形態ではサンプリングタイムΔt毎に、エンジン回転数センサからのエンジンの実際の回転数Ne(rpm)と燃料ダイヤル40からのスロットル信号SDが情報管理用コントローラに収集される。
図8はトルクTの検出方法を説明する図である。同図8はエンジン回転数Neを横軸としトルクTを縦軸としてエンジンのトルクカーブTcを表している。
本実施形態では、エンジンとしてディーゼルエンジンを想定している。燃料噴射ポンプのガバナとしては電気式のガバナではなく機械式のガバナの使用を想定している。
情報管理用コントローラ1には、図8(a)に示すように各レギュレーションラインTa1、Ta2、Ta3、Ta4…毎にトルクカーブTcが記憶されている。
燃料ダイヤル40から出力された現在のスロットル信号SDに基づいてエンジン目標回転数Ne2が演算される。そして図8(b)に示すように、エンジン目標回転数Ne2に対応するトルクカーブTc2が求められる。
つぎに図8(c)に示すように、エンジン回転数センサから出力された現在のエンジン回転数Netに対応するトルクカーブTc2上のトルク値Ttが現在トルク値として求められる。
なお電気式のガバナであれば、コントロールラック位置をトルクTとして代用することができる。コントロールラック位置は燃料噴射量と同等であり、トルクTの代用となる。
つぎに負荷頻度マップM1の算出方法について説明する。
図9はエンジン回転数Neを横軸としトルクTを縦軸とするエンジン性能線図を示している。Tcはトルクカーブである。
エンジン性能線図の横軸のエンジン回転数Neは17分割され、トルクT(燃料噴射量)は8分割される。このため横軸をiとし縦軸をjとしてBijで表される各ブロック(レベル)Bijに分割される。
情報管理用コントローラ1では、サンプリング時間Δt毎に得られる稼働パラメータT、Neの値が、各ブロックBijに入ったか否かを逐次判断している。このため各ブロックBij毎に、入った頻度nijが積算されていく。稼働パラメータT、Neの値が各ブロックBijに入った頻度nijが各ブロックBij毎に積算されていく。
図10は負荷頻度マップM1を概念的に示す斜視図である。同図10ではエンジン回転数の17分割のうち2000rpmより大きい分割部分を省略している。
本実施形態では負荷頻度マップM1として建設機械の出荷時から継続して頻度nijの積算が行われる恒久的なマップMDAと、データをクリアする旨の指示に応じて頻度nijの積算値がリセットされる一時的なマップMDBの2つが設けられている。データをクリアするためのデータクリア用スイッチは情報管理用モニタ2に設けられている。データクリア用スイッチは画面をタッチすることにより指示内容が入力されるスイッチを使用することができる。
図12はこれら2つの負荷頻度マップMDA、MDBで時間経過に応じて積算処理がなされる様子を示す。
同図12(a)に示すように建設機械の出荷時(エンジン出荷時)から負荷頻度マップMDBでは、データクリア用スイッチの操作がない限りは頻度nijを継続して積算していく。しかし図12(b)に示すように時刻t0でデータクリア用スイッチが操作されデータをクリアする旨の指示が入力されると負荷頻度マップMDBの積算値はクリアされる。負荷頻度マップMDBのクリアされる前の積算値はサービスツール18に対してダウンロードされるか監視局19に送信される。以後負荷頻度マップMDBでは積算値をリセットし図12(c)に示すように時刻t0から新たに積算を開始する。一方恒久的な負荷頻度マップMDAではデータクリア用スイッチの操作の有無にかかわらずに積算が継続される。なお負荷頻度マップMDBの積算値がサービスツール18に対してダウンロードされるか監視局19に送信されるに応じて、自動的に積算値をリセットしてもよい。リセットを一定時間τ毎に行いリセット毎に自動的に積算値を記憶してもよい。
図11は負荷頻度マップM1の各ブロックBij毎の頻度nijを%換算した表を示している。%換算した頻度n′ijを全ブロックBijについて合計した値が100%となる。たとえばエンジン回転数Neが0〜1300rpmでトルクTが0〜50kgmのブロックB11では%換算した頻度n′11は13.5%となる。なお頻度nijを%換算しているのは、メモリの容量を小さくするためである。
負荷頻度頻度マップM1の各ブロックBijにはそれぞれ、そのブロックにおける負荷の大きさに応じた重みγijが設定されている。たとえば図9においてエンジンのトルクカーブTc上の定格点に対応するブロックBではエンジンに最も大きい負荷がかかっている状態となっているので、最大の重みを設定することができる。
負荷頻度マップM1に基づく被害量δ1は次式(2)により求められる。
δ1=Σn′ij・γij …(2)
すなわち%換算された頻度nijに対して重みγijによる重み付けn′ij・γijを行い、これを全てのブロックBijについてたしあわせた値が、一定時間τが経過するまでにエンジンに加えられた被害量(過酷度)δ1となる。
すなわち%換算された頻度nijに対して重みγijによる重み付けn′ij・γijを行い、これを全てのブロックBijについてたしあわせた値が、一定時間τが経過するまでにエンジンに加えられた被害量(過酷度)δ1となる。
図6に示すように部品群PT1と部品群PT3については、対応する負荷頻度マップM1に基づいて寿命を求めることができる。寿命の演算はたとえばつぎのように行われる。
図7は被害量δと部品群(部品)の寿命の長さLとの対応関係Eを示している。この対応関係Eはエンジンの開発時において予め耐久テストを行いテスト後の部品検査を行うことによって寿命直線として予め求めておくことができる。
そして上記(2)式で得られた被害量δ′に対応する直線E上の点から寿命L′が求められる。
重みγijの値は部品群PT1、PT3毎に異ならせることができる。また部品PT毎に寿命を演算する場合には、部品毎に重みγijの値を異ならせることができる。
つぎにサイクルタイム(サイクルインターバル)M2について説明する。
サイクルインターバルM2のデータ内容を図12に示す。
同図12に示すように縦軸iにエンジンの回転数Neの各変動幅ΔNeiがとられ、横軸jに滞留時間Δτ1、Δτ2がとられる。滞留時間Δτ1はたとえば5secに設定され、滞留時間Δτ2はたとえば20secに設定される。そして各ブロックBijに分割される。
そして稼働パラメータNeがサンプリング時間Δt毎に入力され、レインフロー法による処理が施される。滞留時間Δτ1での回転変動幅ΔNe、滞留時間Δτ2での回転変動幅ΔNeが求められ、求めた回転変動幅ΔNeの値が各ブロックBijのいずれに入ったか否かが判断される。たとえば5秒間での回転変動幅(回転数最小値と最大値との差)が100rpmであれば、滞留時間Δτ1(5秒間)、回転変動幅ΔNe1(0〜200rpm)に対応するブロックB11に入ったと判断される。こうして各ブロックBij毎に、入った頻度nijが積算されていく。積算は一定時間τが経過するまで行われ、一定時間τが経過する毎に積算値が出力される。なおサイクルタイムM2のマップについても負荷頻度マップM1と同様に恒久的なマップとリセット可能なマップの2種類を持たせるようにしてもよい。
図13のサイクルタイムM2の各ブロックBij毎の頻度nijは、前述した図11と同様にして%換算される。%換算した頻度n′ijを全ブロックBijについて合計した値が100%となる。
サイクルタイムM2の各ブロックBijにはそれぞれ重みγijが設定されている。
サイクルタイムM2に基づく被害量δ2は次式(3)により求められる。
δ2=Σn′ij・γij …(3)
すなわち%換算された頻度nijに対して重みγijによる重み付けn′ij・γijを行い、これを全てのブロックBijについてたしあわせた値が、一定時間τが経過するまでにエンジンに加えられた被害量(過酷度)δ2となる。
すなわち%換算された頻度nijに対して重みγijによる重み付けn′ij・γijを行い、これを全てのブロックBijについてたしあわせた値が、一定時間τが経過するまでにエンジンに加えられた被害量(過酷度)δ2となる。
つぎに負荷移動マップM3について説明する。
図14はエンジン回転数Neを横軸としトルクTを縦軸とするエンジン性能線図を示している。Tcはトルクカーブである。
エンジン性能線図の横軸のエンジン回転数Neは2分割され、トルクT(燃料噴射量)は2分割される。このため4つの領域A1、A2、A3、A4に分割される。
負荷移動マップM3のデータ内容を図15に示す。
同図15に示すように縦軸iに領域間の変動軌跡(変動方向)uiがとられ、横軸jに滞留時間Δτ1、Δτ2がとられる。滞留時間Δτ1はたとえば5secに設定され、
滞留時間Δτ2はたとえば20secに設定される。そして各ブロックBijに分割される。
滞留時間Δτ2はたとえば20secに設定される。そして各ブロックBijに分割される。
情報管理用コントローラ1では、サンプリング時間Δt毎に得られる稼働パラメータT、Neの値が、各領域A1〜A4のいずれに入ったか否かを逐次判断している。そして滞留時間Δτ1での変動軌跡u、滞留時間Δτ2での変動軌跡uが求められ、求めた変動軌跡uが各ブロックBijのいずれに入ったか否かが判断される。たとえば5秒間での変動軌跡(変動開始から変動終了までの方向)が図14に示すuであれば、滞留時間Δτ1(5秒間)、変動軌跡u1(A1からA2)に対応するブロックB11に入ったと判断される。こうして各ブロックBij毎に、入った頻度nijが積算されていく。積算は一定時間τが経過するまで行われ、一定時間τが経過する毎に積算値が出力される。なお負荷移動マップM3のマップについても負荷頻度マップM1と同様に恒久的なマップとリセット可能なマップの2種類を持たせるようにしてもよい。
図15の負荷移動マップM3の各ブロックBij毎の頻度nijは、前述した図11と同様にして%換算される。%換算した頻度n′ijを全ブロックBijについて合計した値が100%となる。
負荷移動マップM3の各ブロックBijにはそれぞれ重みγijが設定されている。
負荷移動マップM3に基づく被害量δ3は次式(4)により求められる。
δ3=Σn′ij・γij …(4)
すなわち%換算された頻度nijに対して重みγijによる重み付けn′ij・γijを行い、これを全てのブロックBijについてたしあわせた値が、一定時間τが経過するまでにエンジンに加えられた被害量(過酷度)δ3となる。
すなわち%換算された頻度nijに対して重みγijによる重み付けn′ij・γijを行い、これを全てのブロックBijについてたしあわせた値が、一定時間τが経過するまでにエンジンに加えられた被害量(過酷度)δ3となる。
ここで図6に示すように部品群PT2については、対応するサイクルタイムM2、負荷移動マップM3に基づいて寿命を求めることができる。
この場合部品群PT2の寿命は、つぎのようにして求めることができる。すなわち上記(3)式から得られた被害量δ2と上記(4)式から得られた被害量δ3のうちいずれか大きい方の被害量δを選択する。そして図7に示すように、選択した被害量δに対応する寿命直線E上の点として寿命Lを求める。なお被害量δ2と被害量δ3の値を平均するなど、2つの被害量δ2、δ3の値から被害量δを求める演算は任意である。
また被害量δ2、被害量δ3それぞれについて寿命Lを求め、いずれか小さい方を最終的に寿命であると決定してもよい。この場合も被害量δ2から求めた寿命と被害量δ3から求めた寿命を平均するなど、2つの寿命の値から寿命を決定する演算は任意である。
なお部品群PT2を構成する部品PT毎に寿命を演算する場合には、部品毎に重みγijの値を異ならせることができる。
エンジンの寿命はつぎのようにして求められる。
すなわち部品群PT1について求められた寿命L、部品群PT2について求められた寿命L、部品群PT2について求められた寿命Lのうちで最も小さい寿命が最終的にエンジンの寿命であると決定される。なお各寿命を平均するなど3つの寿命の値から最終的にエンジンの寿命を決定する演算方法は任意である。
また部品PT毎に寿命を演算し、各部品PT毎に求められた寿命のうちで最も小さい値を最終的にエンジンの寿命であると決定してもよい。この場合も各寿命の値を平均するなど部品の種類毎の寿命の値から最終的にエンジンの寿命を決定する演算方法は任意である。
以上のように本実施形態によれば、部品群もしくは部品毎に、対応する1または2以上のマップM1、M2、M3から得られた積算値に基づいて寿命を演算し、各部品群もしくは各部品毎の寿命からエンジンの寿命を求めるようにしているので、エンジンの各部に加えられた被害量を正確に数値化することができ、エンジンの寿命を正確に求めることができる。このため最も適切な時期にエンジンのオーバーホール、修理等を行うことができ建設機械の修理、点検等のサービスの効率が飛躍的に向上するとともに、エンジンに重大な破損をきたすことが回避される。
なお本実施形態では、図6に示すように部品群PT1に、負荷頻度マップM1を対応づけ、部品群PT2に、サイクルタイムM2と負荷移動マップM3を対応づけ、部品群PT3に、負荷頻度マップM1を対応づけている。しかし本発明としては、この図6に示す対応づけに限定されるものではない。
負荷頻度マップM1は、(1)機械応力(高サイクル疲労)、(2)熱応力(低サイクル疲労)、(3)摩耗(運転条件)を要因とする被害量を評価することが可能である。またサイクルタイムM2は、(2)熱応力(低サイクル疲労)、(3)摩耗(運転条件)を要因とする被害量を評価することが可能である。また負荷移動マップM3は、(2)熱応力(低サイクル疲労)、(3)摩耗(運転条件)を要因とする被害量を評価することが可能である。
よって部品群PT1に、負荷頻度マップM1を対応づけ、部品群PT2に、サイクルタイムM2を対応づけ 部品群PT3に、負荷移動マップM3を対応づけてもよい。要は、各部品群毎に、被害量を評価するに適切なマップM1、M2、M3を対応づけておくことができる。また場合によっては、負荷頻度マップM1、サイクルタイムM2、負荷移動マップM3を用いることなく、負荷頻度マップM1、サイクルタイムM2の2つのマップを用いて寿命を求めてもよく、また負荷頻度マップM1、負荷移動マップM3の2つの用いて寿命を求めてもよい。
さらに以下に説明する連続運転時間マップM4を加えて寿命を演算してもよい。
連続運転時間マップM4のデータ内容を図16に示す。連続運転時間マップM4は負荷移動マップM3のデータに基づき生成される。
同図16に示すように縦軸iに連続運転時間Δτiがとられ、横軸jに領域A1、A2、A3、A4がとられる。連続運転時間Δτ1、Δτ2、Δτ3はたとえば、それぞれ5から10sec、10から20sec、20sec以上、に設定される。そして各ブロックBijに分割される。
情報管理用コントローラ1では、各ブロックBij毎に、入った頻度nijが積算されていく。たとえば7秒間だけ領域A1で連続稼働していれば、連続運転時間Δτ1(5〜10秒間)、領域A1に対応するブロックB11に入ったと判断される。積算は一定時間τが経過するまで行われ、一定時間τが経過する毎に積算値が出力される。なお連続運転時間マップM4についても負荷頻度マップM1と同様に恒久的なマップとリセット可能なマップの2種類を持たせるようにしてもよい。以下同様にして%換算された頻度n′ijと重みγijに基づき被害量δ4が演算され、部品群または部品毎の寿命が演算される。
連続運転時間マップM4は、(2)熱応力(低サイクル疲労)、(3)摩耗(運転条件)を要因とする被害量を評価することが可能である。
よって図6において部品群PT2の寿命を演算するために、連続運転時間マップM4を加えて評価してもよい。また場合によっては、負荷移動マップM3の代わりに連続運転時間マップM4を用いてもよい。
なおエンジンの寿命は、被害量(過酷度)に加えてエンジンで発生した異常を加味して評価すると、より精度よく求めることができる。エンジンで発生する異常は、たとえばブローバイ圧、最大ブローバイ圧時のエンジン回転数、最大ブローバイ圧時の燃圧、排気温度、エンジン油温、大気温度、大気圧のデータから判断することができる。
情報管理用コントローラ1で演算された上記部品群または部品毎の寿命のデータ、エンジンの寿命のデータは、監視局19に送信される。このため監視局19では複数の建設機械のエンジンの寿命を管理することができる。このため各地に点在している複数の建設機械の点検、修理等のサービスの時期を正確に判断することができ、適切な時期に適切な人員に対してサービスの指示を与えることができる。また情報管理用コントローラ1で演算された上記部品群または部品毎の寿命のデータ、エンジンの寿命のデータは、サービスツール18にダウンロードされる。このため整備員(サービスマン)は、現場でデータを解析する労力を要することなく即座に点検、修理の時期に達したか否かを判断することができる。これにより点検、修理等のサービスの作業効率が飛躍的に向上する。
つぎに建設機械に設けられた油圧ポンプまたは油圧モータの寿命を演算する実施形態について説明する。
油圧ポンプは、エンジンによって駆動される。可変容量型の油圧ポンプは、油圧アクチュエータ(油圧シリンダ、油圧モータ)の駆動源となる。固定容量型の油圧ポンプは、たとえば操作レバーで発生した操作信号がパイロット管路を介して流量制御弁に供給される際のパイロット圧油の駆動源となる。油圧モータは、油圧ポンプから吐出された圧油が流量制御弁を介して圧油流入ポートに流入されることによって回転駆動される油圧アクチュエータである。油圧モータはたとえば旋回体、走行体を作動させる。
本実施形態では油圧ポンプを代表させて説明する。本実施形態では可変容量型のポンプを想定し、斜板(容量)q(cc/rev)がTVC(トルク・バリュアブル・コントロール)弁によって制御される構成を想定している。TVC弁は、たとえば図3に示すポンプコントローラ3から出力される制御信号iによって駆動される。TVC弁によってなされる制御内容を図17を用いて説明する。
図17は油圧ポンプのP−qカーブを表すグラフである。横軸は油圧ポンプから吐出される圧油の圧力たるポンプ圧P(kg/cm2)を示し、縦軸はポンプ1回転当たりの吐出流量たる容量q(cc/rev)を示している。
P−qカーブ上のラインTpはポンプ吸収トルクが一定値Tpとなるラインを示している。TVC弁は、油圧ポンプの吸収トルクを一定にするべく設けられている。すなわちポンプ圧Pと容量qとの積が一定となるように斜板の傾転角を制御する。なおTVC弁は、複数の油圧ポンプの合成吸収トルクを一定にするために用いられる。図18に示すようにTVC弁に入力された制御電流値iが大きくなるに応じてポンプ吸収トルクTが小さくなるように、TVC弁は油圧ポンプの斜板を制御する。よって図17に示すようにTVC弁への入力電流iの大きさに応じてP−qカーブ は変化し、トルク一定のラインはT1、T2、T3…へと変化する。
以上のように油圧ポンプの吸収トルクTはポンプコントローラ3から出力される電流iに応じて定まるので、ポンプコントローラ3で電流値iを取得することができる。なお電流値iを検出するセンサを設けてもよい。電流値iのデータは、情報管理用コントローラ1に送信される。情報管理用コントローラ1では電流値iからポンプ吸収トルクTが演算される。ただし図17に示すようにポンプ圧PがP1よりも小さい場合には、ラインTp上にのらないので、下記(5)式によってポンプ吸収トルクTが演算される。
T=P・qmax/200π …(5)
なおトルクを直接検出するセンサを設けてポンプ吸収トルクTを検出してもよい。また油圧ポンプの容量qとポンプ吐出圧Pを検出することによってポンプ吸収トルクTを演算してもよい。
なおトルクを直接検出するセンサを設けてポンプ吸収トルクTを検出してもよい。また油圧ポンプの容量qとポンプ吐出圧Pを検出することによってポンプ吸収トルクTを演算してもよい。
図19は情報管理用コントローラ1にサンプリング時間Δt毎に、収集される稼働パラメータつまりポンプ回転数N、TVC弁への入力電流i、ポンプ吐出圧Pを示している。図19は一定時間τの間で稼働パラメータが変化する様子を示している。稼働パラメータの積算は以下に述べるように一定時間τ(たとえば20時間)が経過毎に行われる。
油圧ポンプの回転数Nはエンジン回転数センサで検出されたエンジン回転数Neに対して既知の定数を乗算することにより得られる。よってエンジン回転数センサの検出値から、サンプリング時間Δt毎のポンプ回転数Nが取得される。
サンプリング時間Δt毎に入力される電流iに基づいてサンプリング時間Δt毎にポンプ吸収トルクTが演算される。
ポンプ圧力Pにはしきい値Pcが設定され、逐次の圧力値Pがこのしきい値Pc以上になったか否かが判断される。そして、サンプリング時間Δt毎の圧力値Pがしきい値Pc以上のピーク圧となる回数がカウントされ、一定時間τ(20時間)が経過するまで積算される。そして積算されたピーク圧回数を一定時間τ(20時間)で除算することによって、単位時間当たりのピーク圧回数np(回/H)が求められる。
油圧ポンプの寿命は、ベアリング(軸受け部品)の寿命によって基本的には定まる。
ベアリングの寿命を求める式は、Tmを平均等価ポンプ吸収トルクとして、下記(6)式で表される。
ベアリング寿命
∝1/(ポンプ回転速度N)・(平均等価ポンプ吸収トルクTm)3.33
…(6)
本実施形態ではポンプ回転速度Nは一定値であると仮定してベアリング寿命が演算される。平均等価ポンプ吸収トルクTmはたとえば次式(7)に示すように、サンプリング時間Δt毎に演算されるポンプ吸収トルク値Tiを一定時間τ(20時間)が経過するまで積算し、これを平均した値として求めることができる。
∝1/(ポンプ回転速度N)・(平均等価ポンプ吸収トルクTm)3.33
…(6)
本実施形態ではポンプ回転速度Nは一定値であると仮定してベアリング寿命が演算される。平均等価ポンプ吸収トルクTmはたとえば次式(7)に示すように、サンプリング時間Δt毎に演算されるポンプ吸収トルク値Tiを一定時間τ(20時間)が経過するまで積算し、これを平均した値として求めることができる。
Tm=(ΣTi3.33/Δt)0.3 …(7)
なおポンプ回転数Nについても同様に平均等価ポンプ回転数を求めてもよい。
なおポンプ回転数Nについても同様に平均等価ポンプ回転数を求めてもよい。
図20は上記(6)式に従いベアリングの寿命を演算する寿命直線Fを示している。
図20は平均等価ポンプ吸収トルクTmとベアリングの寿命の長さL(H)(寿命ランクS、A、B、C)の対応関係Fを示している。この対応関係Fは油圧ポンプの開発時において予め耐久テストを行いテスト後の部品検査を行うことによって寿命直線として予め求めておくことができる。
そして上記演算された平均等価ポンプ吸収トルクTmに対応する寿命直線F上の点から寿命ランクが求められる。
図21は図20の縦軸の平均等価ポンプ吸収トルクTmの各範囲と、図20の横軸の各寿命ランクS、A、B、Cとの対応関係を示している。各寿命ランクS、A、B、C毎にオーバーホール(推奨)時間(H)が対応づけられている。
ここでポンプ吸収トルクTはポンプ圧力Pに比例している。よって平均等価ポンプ圧力Pmを上記(7)式と同様にして求め、同様にしてベアリングの寿命ランクを定めることができる。
図22は平均等価ポンプ圧力Pmとベアリングの寿命の長さL(H)(寿命ランクS、A、B、C)の対応関係Gを示している。
そして上記演算された平均等価ポンプ圧力Pmに対応する寿命直線G上の点から寿命ランクが求められる。
図22の縦軸の平均等価ポンプ圧力Pmの範囲170〜185kg/cm2が、図20の横軸の寿命ランクS(8000〜10000時間)に対応している。同様に圧力Pmの範囲160〜170kg/cm2が、寿命ランクA(10000〜12000時間)に対応し、また圧力Pmの範囲155〜160kg/cm2が、寿命ランクB(12000〜14000時間)に対応し、また圧力Pmの範囲145〜155kg/cm2が、寿命ランクC(14000〜18000時間)に対応している。
上述するようにして演算された単位時間当たりのピーク圧回数np(回/H)は、油圧ポンプが複数ある場合に各ポンプの負荷レベルを評価するために用いられる。単位時間当たりのピーク圧回数npが大きいほど、ブームなどの作業機、上部旋回体、下部走行体を操作した頻度が多く、その分だけ対応する油圧ポンプには大きな負荷がかかっていることになる。
図23は単位時間当たりのピーク圧回数npと寿命の長さL(H)(負荷レベルS、A、B、C)の対応関係Iを示している。
そして上記演算された単位時間当たりのピーク圧回数npに対応する負荷レベル直線I上の点から負荷レベルが求められる。
図23の縦軸の単位時間当たりのピーク圧回数npの範囲360〜450回/Hが、図23の横軸の負荷レベルS(過酷レベル)に対応している。同様にピーク圧回数npの範囲300〜360回/Hが、負荷レベルA(重負荷レベル)に対応し、またピーク圧回数npの範囲260〜300回/Hが、負荷レベルB(中負荷レベル)に対応し、またピーク圧回数npの範囲200〜260回/Hが、負荷レベルC(軽負荷レベル)に対応している。
負荷レベルは複数の油圧ポンプそれぞれについて求められる。そして負荷レベルを比較することによりいずれの油圧ポンプの負荷が大きく寿命が短いのかについて判断することができる。
すなわち油圧ショベル等の建設機械では、最大6個程度の油圧ポンプが使用されることが多い。しかし油圧ポンプへの負荷のかかり具合は、作業形態によって異なり、必ずしも複数の油圧ポンプに均等に負荷がかかっているわけではない。そこで各油圧ポンプ毎に負荷レベルを求め、各油圧ポンプの負荷レベルを比較することによって、いずれの油圧ポンプの寿命が長いか短いかを見極めることが可能となる。
本実施形態は、ピーク圧回数np(回/H)に基づいてベアリングの寿命を演算しない場合を想定している。なおピーク圧回数np(回/H)に基づいてベアリングの寿命を演算する実施も可能である。
油圧ポンプの寿命は、負荷を要因とするベアリングの寿命によって主に定まる。しかしベアリングの劣化レベルは作動油温度という要因によっても変動する。作動油温度を要因としてO−リングなどのオイルシール部品の寿命が定まる。そこでベアリングの寿命として求めた油圧ポンプの寿命が、作動油温度を要因とするオイルシール部品の寿命によって補正される。この補正により油圧ポンプの寿命が高精度に求められる。
本実施形態では作動油温度としてタンク内に環流される圧油の温度Rtを用いている。タンク内の油温は油温センサによってサンプリング時間Δt毎に検出され、情報管理用コントローラ1に入力される。そして同様にして一定時間τが経過するとタンク平均等価油温Rt(゜C)が演算される。
図24はタンク平均等価油温Rtとオイルシールの寿命の長さL(H)(寿命ランクS、A、B、C)の対応関係Jを示している。
そして上記演算されたタンク平均等価油温Rtに対応する寿命直線J上の点から寿命ランクが求められる。
図24の縦軸のタンク平均等価油温Rtの範囲85〜90゜Cが、図24の横軸の寿命ランクS(8000〜10000時間)に対応している。同様に油温Rtの範囲80〜85゜Cが、寿命ランクA(10000〜12000時間)に対応し、また油温Rtの範囲75〜80゜Cが、寿命ランクB(12000〜14000時間)に対応し、また油温Rtの範囲70〜75゜Cが、寿命ランクC(14000〜18000時間)に対応している。
本実施形態ではタンク内油温Rt以外にも大気温度Raを用いてオイルシールの寿命が演算される。外気温は温度センサによってサンプリング時間Δt毎に検出され、情報管理用コントローラ1に入力される。そして同様にして一定時間τが経過すると平均外気温Ra(゜C)が演算される。
同図24は平均外気温Raとオイルシールの寿命の長さL(H)(寿命ランクS、A、B、C)の対応関係Kを示している。
そして上記演算された平均外気温Raに対応する寿命直線K上の点から寿命ランクが求められる。
図24の縦軸の平均外気温Raの範囲32〜38゜Cが、図24の横軸の寿命ランクS(8000〜10000時間)に対応している。同様に平均外気温Raの範囲28〜32゜Cが、寿命ランクA(10000〜12000時間)に対応し、また平均外気温Raの範囲25〜28゜Cが、寿命ランクB(12000〜14000時間)に対応し、また平均外気温Raの範囲20〜25゜Cが、寿命ランクC(14000〜18000時間)に対応している。
油圧ポンプの寿命はつぎのようにして求められる。
すなわち平均等価ポンプ吸収トルクTmから求められた寿命ランク、平均等価圧力Pmから求められた寿命ランク、タンク平均等価油温Rtから求められた寿命ランク、平均外気温Raから求められた寿命ランクのうちで最も短い時間となる寿命ランクが最終的に油圧ポンプの寿命(オーバーホール時期)であると決定される。なお各寿命ランクの中心値を平均するなど、それぞれ求められた寿命ランクから最終的に油圧ポンプの寿命を決定する方法は任意である。
本発明としては、少なくとも平均等価ポンプ吸収トルクTmから求められた寿命ランクと、タンク平均等価油温Rtから求められた寿命ランクを求めることができれば、油圧ポンプの寿命を高精度に求めることができる。
油圧モータの寿命についても油圧ポンプと同様にして求めることができる。
以上のように本実施形態によれば油圧ポンプ、油圧モータの寿命が自動的にかつ正確に求められる。このため最も適切な時期に油圧ポンプ、油圧モータのオーバーホール、修理等を行うことができ建設機械の修理、点検等のサービスの効率が飛躍的に向上する。また油圧ポンプ、油圧モータに重大な破損をきたすことが回避される。
情報管理用コントローラ1で演算された油圧ポンプ、油圧モータの寿命のデータは、監視局19に送信される。このため監視局19では複数の建設機械に備えられている油圧ポンプ、油圧モータの寿命を管理することができる。このため各地に点在している複数の建設機械の点検、修理等のサービスの時期を正確に判断することができ、適切な時期に適切な人員に対してサービスの指示を与えることができる。また情報管理用コントローラ1で演算された油圧ポンプ、油圧モータの寿命のデータは、サービスツール18にダウンロードされる。このため整備員(サービスマン)は、現場でデータを解析する労力を要することなく油圧ポンプ、油圧モータが点検、修理の時期に達したか否かを即座に判断することができる。これにより点検、修理等のサービスの作業効率が飛躍的に向上する。
情報管理用コントローラ1では建設機械の作業量、稼働状態の情報が生成され管理されている。以下これについて説明する。
鉱山などの広域作業現場では、油圧ショベルは、ダンプトラックに掘削した土砂等を積み込む積込み作業を行う。広域作業現場を管理、監視する監視局にあっては、稼働中の複数の油圧ショベルの作業量を管理情報として取得することが、生産管理計画を立てる上で重要となる。
油圧ショベルの時間当たりの作業量V(m3/h)は上述した(1)式(V=Qv・(3600/St)・α・(1/β))によって理論的に求められる。
本実施形態では上記稼働率α、積込み占有率βが正確に算出され時間当たりの作業量Vが正確に求められる。
建設機械内には、エンジンの稼働時間を積算するサービスメータSM2(これを第2サービスメータという)とは別に、第1サービスメータSM1、第3サービスメータSM3が設けられている。図25はこれら3つのサービスメータで時間tを積算する様子を概念的に示している。
第2サービスメータSM2は、エンジンが回転している時間を積算する積算手段であり、オルタネータの電圧値が所定のしきい値以上になっている時間あるいはエンジン回転数Neが所定のしきい値(0回転よりも大きくアイドル回転数よりも高い回転数)以上になっている時間を積算することによりエンジン稼働時間SMR2を積算するものである。
第1サービスメータSM1は、エンジンキースイッチがオンに投入され電源(バッテリ)から電力がコントローラに供給されているキースイッチオン時間SMR1を積算するものである。
建設機械では、作業機用操作レバーが中立位置から操作されることによってブームなどの作業機が作動される。また旋回体用操作レバーが中立位置から操作されることによって上部旋回体が旋回作動される。また走行体用操作レバーが中立から操作されることによって下部走行体が走行駆動される。操作レバーは油圧式レバーであれば、操作レバーの操作量に対応するパイロット圧がパイロット管路を介して流量制御弁に供給される。そこでパイロット管路に圧力センサを設け、パイロット管路内のパイロット圧Prが所定のしきい値以上になったことを同圧力センサによって検出することによって操作レバーが操作されたことを検出することができる。なお操作レバーが電気式の操作レバーであれば、操作レバーの操作量に対応する電気信号を、たとえば操作レバーの回動量を検出するポテンショメータの電圧出力値として検出することができる。よってポテンショメータなどから出力される電気信号から同様に操作レバーが操作されたことを検出することができる。
本実施形態では油圧式の操作レバーを想定している。作業機用操作レバーが操作されたことを示す圧力信号Prw(所定のしきい値以上のパイロット圧)が作業機用圧力センサで検出される。また旋回体用操作レバーが操作されたことを示す圧力信号Prs(所定のしきい値以上のパイロット圧)が旋回体用圧力センサで検出される。また走行体用操作レバーが操作されたことを示す圧力信号Prt(所定のしきい値以上のパイロット圧)が走行体用圧力センサで検出される。
第3サービスメータSM3は、上記各圧力センサの検出信号Prw、Prs、Prtから操作レバーが操作されている時間SMR3つまり作業機、旋回体、走行体のいずれかが稼働している時間SMR3を積算するものである。なお第3サービスメータSM3としては、作業機用圧力センサの検出信号Prwのみから作業機用操作レバーのみが操作されている時間SMR3つまり作業機が稼働している時間SMR3を積算するものであってもよい。
図26は建設機械の計画稼働時間SMRoと、各サービスメータSM1、SM2、SM3の実際の積算値SMR1、SMR2、SMR3との関係を例示している。図26の横軸は日付であり、縦軸は計測されたサービスメータ値SMRを示している。計画稼働時間SMR0は建設機械の種類、ユーザによって異なる。これは予めデータとして入力されておかれる。たとえば1日当たり20時間が計画稼働時間SMR0として入力、設定される。
本実施形態では、下記(8)式によって稼働率αが演算される。
α=(SMR3/SMR0)・100(%) …(8)
SMR0−SMR3が油圧ショベルが実際には積込み作業を行っていない時間つまりダウンタイムである。ダウンタイムが大きいほど上記稼働率αの値が小さくなる関係にある。
SMR0−SMR3が油圧ショベルが実際には積込み作業を行っていない時間つまりダウンタイムである。ダウンタイムが大きいほど上記稼働率αの値が小さくなる関係にある。
このように本実施形態では作業機が稼働されている稼働時間の積算値SMR3から稼働率αが求められる。このため図25に示すようにたとえばエンジンの暖気時間(ダンプ待ち時間)が長くその分作業機が稼働している時間が短い作業態様の場合であっても正確な稼働率αが得られ、この正確な稼働率αに基づき作業量Vを正確に算出することが可能となる。
つぎに積込み占有率βの演算処理について説明する。
図28は、上記作業機用圧力センサ、旋回体用圧力センサ、走行体用圧力センサから出力される各圧力検出信号Prw、Prs、Prtが時間の変化に伴い変化する様子を示している。
一方図29は操作レバーの操作頻度マップのデータ内容を示している。
同図29に示すように縦軸iに各圧力検出信号の種類Prw、Prs、Prtがとられ、横軸jに各圧力レベルPrがとられる。圧力レベルPrはたとえば0〜100kg/cm2、100〜200kg/cm2、200〜500kg/cm2の3レベルに分割されている。そして各ブロックBijに分割される。
そして図28に示すように圧力検出信号Prw、Prs、Prtがサンプリング時間Δt毎に入力され、圧力値が各ブロックBijのいずれに入ったか否かが判断される。たとえば時刻t1で作業機の圧力検出信号Prwが130kg/cm2の値を示している場合には、操作頻度マップの作業機Prw、圧力レベルPr2(100〜200kg/cm2)に対応するブロックB12に入ったと判断される。こうして各ブロックBij毎に、入った頻度nijが積算されていく。積算は1日が経過するまで行われ、一日が経過する毎に積算値が出力される。そして1日毎の積算値が記憶されていき最大100日分記憶することができる。メモリ容量を減らすために100日経過後は最も古い日付のデータは消去され最も新しい日付の積算値によって更新される。
図29の操作頻度マップの各ブロックBij毎の頻度nijは、前述した図11と同様にして%換算される。%換算した頻度n′ijを全ブロックBijについて合計した値が100%となる。
本実施形態では、図29に示す操作頻度マップの各ブロックBijのうち作業機Prwについてのブロックの頻度n11、n12、n13が合計され作業機操作頻度nwが求められる。同様に旋回体Prsについてのブロックの頻度n21、n22、n23が合計され旋回体操作頻度nsが求められる。同様に走行体Prtについてのブロックの頻度n31、n32、n33が合計され走行体操作頻度ntが求められる。作業機操作頻度nw、旋回体操作頻度ns、走行体操作頻度ntは%換算される。%換算された作業機操作頻度n′w、旋回体操作頻度n′s、走行体操作頻度n′tの比率を図30に例示する。
図30は作業機、旋回体、走行体を横軸とし、縦軸に%換算された作業機頻度n′w、旋回体操作頻度n′s、走行体操作頻度n′tを示している。
本実施形態では、%換算された作業機頻度n′w、旋回体操作頻度n′s、走行体操作頻度n′tに基づいて下記(9)式によって積込み占有率βが演算される。
β=1+n′t/(n′w+n′s) …(9)
上記式の右辺第2項は、作業機操作頻度n′wと旋回体操作頻度n′sとの和n′w+n′sに対して走行体操作頻度n′tとの比をとった値n′t/(n′w+n′s)を示している。よって積込み占有率βはその値が小さいほど、走行に対して作業機を操作している時間が長く、実質的に積込み作業を行っている時間が多いことを示す。
上記式の右辺第2項は、作業機操作頻度n′wと旋回体操作頻度n′sとの和n′w+n′sに対して走行体操作頻度n′tとの比をとった値n′t/(n′w+n′s)を示している。よって積込み占有率βはその値が小さいほど、走行に対して作業機を操作している時間が長く、実質的に積込み作業を行っている時間が多いことを示す。
上記(9)式の意味について説明すると、作業機操作頻度n′wが大きいと生産性が高い。よって作業機操作頻度n′wが大きくなるほど比n′t/(n′w+n′s)の値は小さくなる。これにより積込み占有率βは値が小さくなる。
また旋回体操作頻度n′sが大きいと、比n′t/(n′w+n′s)の値は小さくなる。これにより積込み占有率βは値が小さくなる。
また走行体操作頻度n′tが大きいと、比n′t/(n′w+n′s)の値は大きくなる。これにより積込み占有率βは値が大きくなる。
積込み占有率βは、上記(9)式に限定されることなく、作業機操作頻度n′wと、旋回体操作頻度n′sと、走行体操作頻度n′tとの比率から、実質的に積み込み作業が行われている時間の大小を評価できる式であればよい。たとえば(9)式の代わりに、下記(9)′式を用いてもよい。
β=(n′t+n′s)/(n′w+n′s) …(9)′
上記(9)′式によれば旋回している時間が長く作業機を稼働していない時間が短い場合には積込み占有率βが大きくなり、実質的に作業機が稼働されていないことを評価することができる。
上記(9)′式によれば旋回している時間が長く作業機を稼働していない時間が短い場合には積込み占有率βが大きくなり、実質的に作業機が稼働されていないことを評価することができる。
本発明としては図30に示す比率を用いて、実質的に作業機が稼働されているか否かを評価することができる演算式であればよい。
また本実施形態では頻度の比率を用いているが、作業機が操作されている時間、旋回体が操作されている時間、走行体が操作されている時間を計時して、これらの時間の比率から積込み占有率βを演算してもよい。
以上のように本実施形態によれば、走行したり旋回している時間が長くその分作業機を用いて実際に土砂を積み込んでいる時間が短い作業態様の場合であっても、正確な積込み占有率βを得ることができ、正確な積込み占有率βを用いて作業量Vを正確に算出することが可能となる。
情報管理用コントローラ1では、上記演算された稼働率α、積込み占有率βを用いて作業量Vが演算される。この場合上記(1)式からQ、Sなどの流動的な値を取り除きV=α・(1/β)なる演算式にて作業量Vを求め、これを基準作業量Vrefと比較することによって建設機械の作業量を評価することができる。評価結果は生産性の効率および施工法の改善に反映させることができる。
また燃費(l/h)を演算し、これと上記得られた時間当たりの作業量V(m3/h)とに基づいて単位燃料量(リッタ)当たりの作業量V′(m3/l)を演算してもよい。
図27は作業機操作頻度n′w、旋回体操作頻度n′sが時間経過に伴って変化する様子を示している。図27の横軸は日付を示し、縦軸は頻度の%換算値を示している。このグラフから旋回体の操作と作業機の操作の割合を把握することができる。すなわち積込み作業時に旋回している時間が長いか短いか、その分作業機を用いて実際に土砂を積み込んでいる時間が短いか長いかなど建設機械の稼働状態の情報を取得することができる。
また図29に示す操作頻度マップに基づいて作業機、旋回体、走行体毎に、各圧力レベルに対応した頻度のグラフを図31に示すように生成することができる。
図30(a)は作業機についてのグラフである。図30(a)は各圧力範囲(0〜100kg/cm2)、(100〜200kg/cm2)、(200〜500kg/cm2)を横軸としている。%換算された頻度n′を縦軸としてる。各圧力範囲毎に頻度n′11、n′12、n′13が対応づけられている(図29参照)。
同様に図30(b)は旋回体についてのグラフであり、各圧力範囲毎に頻度n′21、n′22、n′23が対応づけられている(図29参照)。同様に図30(c)は走行体についてのグラフであり、各圧力範囲毎に頻度n′31、n′32、n′33が対応づけられている(図29参照)。
図30に示すグラフから作業機で掘削がなされたときの掘削対象物の硬さの評価(発破の良く効いているベンチでの作業か否かの評価)や、旋回、走行時に作業抵抗によって作業速度が低下し作業効率が低下したか否かの評価などを行うことができる。この評価結果を施行法の改善に反映させることができる。
また本実施形態によれば、3つのサービスメータSM1、SM2、SM3を用いているので、従来に比較してより詳細な稼働状態の情報を取得することができる。
すなわち図25または図26に示すように、第1サービスメータSM1の積算値SMR1と、第2サービスメータSM2の積算値SMR2との差分値から、エンジンのキースイッチがオンに投入されているにもかかわらずエンジンが実際には稼働されていない待機時間を算出することができる。
また第2サービスメータSM2の積算値SMR2と、第3サービスメータSM3の積算値SMR3との差分値から、エンジンが稼働されているにもかかわらずブーム等の作業機が実際には稼働されていない暖気時間(ダンプ待ち時間)を算出することができる。
このように本実施形態によれば、単なるエンジンの稼働時間のみならず、エンジンのキースイッチがオンに投入されているにもかかわらずエンジンが実際には稼働されていない待機時間、あるいはエンジンが稼働されているにもかかわらずブーム等の作業機が実際には稼働されていない暖気時間(ダンプ待ち時間)といった詳細情報を把握することができる。このため建設機械の稼働状態を従来よりも、より正確に管理、監視することが可能となる。
情報管理用コントローラ1で演算された上述した作業量V、ないしは図25〜図31に示す稼働状態のデータは、監視局19に送信される。このため監視局19では複数の建設機械の作業量V、稼働状態を管理することができる。
また情報管理用コントローラ1で演算された作業量V、稼働状態のデータは、サービスツール18にダウンロードされる。このため現場でデータを解析する労力を要することなく建設機械の作業量、稼働状態を即座に認識することができる。
つぎに情報管理用モニタ2で行われる表示内容について説明する。なお以下の説明は図1の構成を想定している。
情報管理用モニタ2では、情報管理用コントローラ1に各コントローラから収集されたデータ、収集されたデータを加工したデータが、スイッチ操作に応じて画面上に表示される。
図32〜図41は情報管理用モニタ2の表示画面が遷移する様子を示している。このうち図32、図33、図35はオペレータが見ることができるオペレータ用画面であり、図34、図36〜図41は特定操作を行わなければ表示されない(入力操作できない)サービス用画面である。
これら図に示すように情報管理用モニタ2ではグラフィックユーザインターフェース(GUI)が採用されている。オペレータないしはサービスマンは画面上に表示された「ボタン」などのスイッチをタッチ操作ないしはクリック操作するなどの入力操作をすることにより指示内容を入力することができる。なおキーボードなどの入力装置を用いて指示内容を入力してもよい。
エンジンキースイッチがオンされ、電源が投入されると、情報管理用モニタ3の表示画面は、初期画面を経て図32の画面50に遷移する。
図32は建設機械の運転状態を表示する運転状態モニタ画面である。画面50には、フロントエンジンのクーラントの現在の温度を表示する表示部50aなどが配置されている。画面50上のボタン51が操作されると、燃費を表示する画面に遷移される。画面50上のボタン52が操作されると、カレンダー(年、月、日、時刻)を設定する画面に遷移される。
画面50上のボタン52が操作されると、つぎの運転状態モニタ画面55に遷移される。以後画面上のボタン52が操作される毎に順次画面が切り換えられ、再び初期の運転状態モニタ画面50に戻るという遷移が繰り返される。
画面50上のボタン52が操作されると、つぎの運転状態モニタ画面55に遷移される。以後画面上のボタン52が操作される毎に順次画面が切り換えられ、再び初期の運転状態モニタ画面50に戻るという遷移が繰り返される。
運転状態モニタ画面50、55…上のメンテナンスボタン54が操作されると、図33の画面56に遷移される。
図33は建設機械のメンテナンス(整備、点検)状態を表示するメンテナンス状態モニタ画面である。画面56には、各メンテナンス項目に対応づけて交換、点検までの残り時間が表示されている。たとえば「エンジンオイル」を示す表示部56aに対応づけて交換までの残り時間「170H」を示す表示部56bが配置されている。
画面56上のボタン57が操作されると、つぎのメンテナンス状態モニタ画面58に遷移される。以後画面上のボタン57が操作される毎に順次画面が切り換えられる。画面上のボタン59が操作されると、ボタン57が操作されたときの切換方向とは逆の方向に画面が切り換えられる。
図34はサービス用画面を示している。オペレータ用画面上で特定の操作がなされると、図34の画面60に遷移される。画面60上にはテンキー60aが配置されている。テンキー60aを操作して予め設定された特定のデータ(パスワード)が入力されたことを条件として、つぎのサービスメニュー選択画面61に遷移される。サービスメニュー選択画面61上には、各サービスメニューを指示するボタン61a〜61hが配置されている。所望するボタンを操作することで対応する画面に遷移される。
つぎに建設機械で故障等の異常が発生した場合の処理の内容について説明する。フロントエンジンでクーラントの温度が異常な温度に上昇した場合を想定する。
図42(a)は異常発生時処理の手順を示すフローチャートである。
フロントエンジン用コントローラ6ではセンサ群26の検出出力に基づき異常が発生したか否かを逐次判断している。たとえばクーラント温度がしきい値以上に達すると(ステップ101)、異常信号が入力され(ステップ102)、クーラント温度が一定時間内にしきい値以下に低下したか否かが判断される(ステップ103)。ここで図42(b)に示すように異常が一時的なものであれば、異常時処理を終了させる(ステップ109)。
これに対して図42(c)に示すように異常が継続していれば、「フロントエンジンのクーラント温度異常」に対応するエラーコードが生成される(ステップ104)。なおエラーコードの生成は、異常の発生したコントローラ6で行い情報管理用コントローラ1にエラーコードを送信してもよい。また異常発生時点でコントローラ6からデータを継続して情報管理用コントローラ1に送信することによって、情報管理用コントローラ1側でエラーコードを生成してもよい。
情報管理用コントローラ1では、エラーコードが生成された時点で、そのときのスナップショットデータを自動的に取得し記憶させる処理が行われる。ここでスナップショットデータとは、エラーコード生成時点の前後所定時間内における時系列的なデータのことである。エラー内容に関連するパラメータ(クーラント温度、エンジン回転数、油温、油圧等)のデータがスナップショットデータとして取得される(ステップ105)。またエラーコード生成時点のカレンダの計時値(年月日時刻)、サービスメータSM2(エンジンの稼働時間を積算する第2サービスメータSM2)の積算値SMR2が記憶される(ステップ106)。
これによりエラーコード、エラーコードに対応するエラー内容を示すエラーメッセージ、エラー発生の年月日時刻を示すデータ等が情報管理用モニタ2に送信される(ステップ107)。
エラーコード、サービスメータ値、エラー発生年月日時刻、エラーメッセージが故障履歴データとして記憶される(ステップ108)。
エラーコードが生成されるとエラー発生のフラグが論理1となる。このフラグはセンサの検出信号がしきい値以下に復帰すると、論理0になる。フラグが論理0になると、その時点でのサービスメータ値、カレンダ計時値が「修復サービスメータ値」、「修復完了年月日」として記憶される。
図43は情報管理用コントローラ1で生成、記憶される故障履歴(異常履歴)データの内容を示している。同図43に示すように、エラーコード、エラー発生サービスメータ値、エラー発生年月日時刻、エラー修復サービスメータ値、修復完了年月日時刻、確認、エラーメッセージが対応づけられている。そしてこれらがエラー発生順に時系列的に記憶されている。同図43において「確認」とは後述するようにサービス用画面上でエラー内容を確認した旨の入力操作があった場合に、0から1に切り替わるデータのことである。また「修復サービスメータ値」、「修復完了年月日」とは、修理等がなされ、しきい値以上の信号を検出していたセンサの検出信号が再びしきい値以下に復帰した時点のサービスメータ値、カレンダ計時値のことである。
つぎに異常発生時における情報管理用モニタ2における処理内容について説明する。
図35に示すように、エラーコード等が情報管理用コントローラ1から情報管理用モニタ2に送信されると、オペレータ用画面がいかなる画面であったとしても、図35(a)に示す異常画面62に自動的に遷移される。そして図35(b)に示す遷移前の通常画面50と異常画面62とが所定の間隔で交互に表示される。なお同時にエラーコードが複数種類入力されている場合には、複数の異常画面と通常画面50とがサイクリックに表示される。
異常画面62では、エラーメッセージと、これに対応する処置内容と、異常の度合いを示すアイコン62bが表示される。よってオペレータは、表示された処置内容に従って迅速に適切な処置をとることができる。異常画面62上のボタン62aが操作されると、異常画面62は消え通常画面50のみの表示に復帰される。ただし図35(b)に示すように通常画面50上でも通常表示に加えて異常表示がなされる。
異常画面62では、エラーメッセージと、これに対応する処置内容と、異常の度合いを示すアイコン62bが表示される。よってオペレータは、表示された処置内容に従って迅速に適切な処置をとることができる。異常画面62上のボタン62aが操作されると、異常画面62は消え通常画面50のみの表示に復帰される。ただし図35(b)に示すように通常画面50上でも通常表示に加えて異常表示がなされる。
運転状態モニタ画面50上のフロントエンジンクーラント表示部50aでは、温度を指示するゲージのアイコン50bが異常を表す色(例えば赤色)に変化される。また異常を示すアイコン50cが画面50上に生成される。これらによりオペレータに警告を与え、注意を喚起させることができる。なおアイコン50cが操作されると、異常画面62に遷移される。
オペレータ用画面の異常表示からオペレータはサービスマンを要請することが可能となる。
そこで図34に示すサービスメニュー選択画面61上で「故障履歴」のボタン61bが操作される。これにより画面は図39(a)に示す故障履歴画面67に遷移される。故障履歴画面67上には、図39(b)に示すように、「エラーコード」の表示部67b、「エラー内容(エラーメッセージ)」の表示部67c、「エラー発生年月日時刻」の表示部67d、「修復完了年月日時刻」の表示部67eが対応づけられて配置されている。そしてこれらはエラー発生順に時系列的に表示されている。すなわち故障履歴画面67の表示内容は、図43に示す故障履歴の記憶内容に対応している。
現在発生している異常(「フロントエンジンクーラントの温度異常」)に対応する項目の「修復完了年月日時刻」の表示部67eの内容は、空欄であるか現在時刻となっている。
現在発生している異常(「フロントエンジンクーラントの温度異常」)に対応する項目の「修復完了年月日時刻」の表示部67eの内容は、空欄であるか現在時刻となっている。
サービス用画面を用いて異常の原因を以下のようにして発見することができる。
すなわち図34に示すサービスメニュー選択画面61上の「ダウンロード」のボタン61cが操作されると、ダウンロードを指示するダウンロード画面に遷移される。ダウンロード画面上でダウンロードを指示する操作がなされると、パーソナルコンピュータ、ICカードなどのサービスツール18に、図43に示す故障履歴データがダウンロードされる。故障履歴データから異常の原因、修復方法を迅速に発見することができる。また異常発生時点のスナップショットデータをダウンロードし、このスナップショットデータから異常の原因、修復方法を迅速に発見することができる。スナップショットデータはエラー発生順に時系列的に記憶されている。よって同一異常項目のスナップショットデータをダウンロードし、このスナップショットデータから異常の原因、修復方法を迅速に発見することができる。
また図34に示すサービスメニュー選択画面61上の「スナップショットトリガ」のボタン61dが操作されると、スナップショットデータ取得を指示するスナップショットリガ画面に遷移される。スナップショットトリガ画面上でスナップショットデータ取得を指示する操作がなされると、操作時点前後のスナップショットデータが取得される。よってこのスナップショットデータをダウンロードすることによって異常の原因、修復方法を迅速に発見することができる。
また図34に示すサービスメニュー選択画面61上の「リアルタイムモニタ」のボタン61eが操作されると、図40に示す画面68に遷移される。
図40は建設機械に設けられた各センサの現在の検出値を表示するリアルタイムモニタ画面を示している。画面68には、各検出項目に対応づけて現時点での検出値が表示されている。たとえば「フロントエンジン回転数」を示す表示部に対応づけて現在の回転数「1887」rpmを示す表示部が配置されている。
画面68上のボタン69が操作されると、つぎのリアルタイムモニタ画面70に遷移される。以後画面上のボタン69が操作される毎に順次画面が切り換えられる。画面上のボタン71が操作されると、ボタン69が操作されたときの切換方向とは逆の方向に画面が切り換えられる。
よってこのリアルタイムモニタ画面の表示内容から異常の原因、修復方法を迅速に発見することができる。
またリアルタイムモニタ画面としては単に現在のセンサ検出値を数値として表示するだけではなく、現在値を含む所定時間幅の時系列的な変化を表示してもよい。
図46はリアルタイムモニタ画面82を例示している。建設機械のエンジンにはブローバイ圧を検出するブローバイ圧センサが設けられている。いま「ブローバイ圧異常」というエラーが発生したものとする。
すると画面82のエラー内容表示部82aにはエラーメッセージ「ブローバイ異常」が表示される。また発生時経時変化表示部82bの異常項目表示部82cには、異常項目「ブローバイ圧異常」に対応するブローバイ圧センサの検出信号が時系列的にスナップショットデータとして表示される。表示内容は異常発生時刻te(エラーコード生成時)前後の所定時間内のセンサ検出値である。また異常発生時刻teにおけるブローバイ圧が表示部82eに表示される。異常項目に関連するセンサデータはデータ選択ボタン83が選択操作されることによって選択される。選択されたセンサから得られたスナップショットデータが、表示部82dに異常項目表示部82cと同様にして表示される。また選択されたセンサの異常発生時刻teにおける検出値が表示部82f、82g、82hに表示される。
異常に対して適切な修復がなされたものとする。すると、しきい値以上の信号を検出していたセンサの検出信号が再びしきい値以下に復帰する。
エラーコードが生成された時点でエラー発生のフラグが論理1となっている。しかし修復によりセンサの検出信号がしきい値以下に復帰すると、フラグは論理0になる。なおエンジンキースイッチがオフされた状態で修復がなされた場合には、再度エンジンキースイッチがオンされた後に、しきい値以上の信号を検出していたセンサの検出信号がしきい値以下に復帰していることが確認された時点で、フラグが論理0となる。
フラグが論理0になると、その時点でのサービスメータの積算値、カレンダによる計時値が「修復サービスメータ値」、「修復完了年月日」として、図43に示す故障履歴データの対応する項目(「フロントエンジンクーラントの温度異常」)に記憶される。
また図39に示す故障履歴画面67上では、同様にフラグが論理0になると、異常(「フロントエンジンクーラントの温度異常」)が発生していた項目の「修復完了年月日時刻」の表示部67eの内容が、論理0になった時点でのカレンダの計時値に固定される。
故障履歴画面67上で修復されたことが確認されると、ボタン67aが操作される。これにより図43に示す故障履歴データの対応する項目の「確認」が0から1に変化される。
以上のようにして本実施形態によれば情報管理用モニタ2上の表示内容から異常に対して適切かつ迅速な処置をとることができるので、作業効率が飛躍的に向上する。
なお図34に示すサービスメニュー選択画面61上の「メモリクリア」のボタン61hが操作されると、所定の記憶データの消去を指示するメモリクリア画面に遷移される。メモリクリア画面上でデータ消去を指示する操作がなされると、図43に示す故障履歴データが消去される。またメモリクリア画面上での操作によってスナップショットデータ、前述した負荷頻度マップM1(リセット可能なデータMDB)、後述するメンテナンス履歴データについても消去が可能である。たとえば当該建設機械の工場出荷時、納入時、オーバーホール後に記憶データが消去される。
つぎにメンテナンス情報を管理する実施形態について説明する。
図45は情報管理用コントローラ1で生成、記憶されるメンテナンス履歴データ81の内容を示している。同図45に示すように、各メンテナンス項目毎に、
基準インターバル、設定インターバル、メンテナンス(交換)回数の1回目、2回目、3回目、4回目…が対応づけられている。
基準インターバル、設定インターバル、メンテナンス(交換)回数の1回目、2回目、3回目、4回目…が対応づけられている。
同図45において「基準インターバル」とはメーカが推奨するメンテナンス間隔(H)である。「設定インターバル」とは後述するようにサービス用画面上で基準インターバルを任意に短縮、延長した設定値である。設定インターバルにしたがってメンテナンス履歴が管理される。
実際にメンテナンスがなされその旨の入力操作があった時点で、対応する「メンテナンス項目」(たとえば「エンジンオイル」)の、対応する「回数」(「1回目」)に、その時点でのサービスメータ値から得られた実際のメンテナンス間隔(「200H」)が記憶されていく。
つぎに情報管理用モニタ2における処理内容について説明する。
図34に示すサービスメニュー選択画面61上の「メンテナンスモニタ」のボタン61aが操作されると、図36に示す画面63に遷移される。
図36はメンテナンス状態をサービス用画面上で管理するメンテナンスモニタ画面を示している。
画面63には、各メンテナンス項目に対応づけて交換、点検までの残り時間と、設定インターバルが表示されている。たとえば「燃料フィルタ交換」を示す表示部63aに、交換等のメンテナンスまでの残り時間「60H」を示す表示部63bと、設定インターバル「170H」を示す表示部63cが対応づけられて配置されている。すなわちメンテナンスモニタ画面63の表示内容は、図45に示すメンテナンス履歴データ81の記憶内容に対応している。
メンテナンスが実施されることにより、画面63上の対応するメンテナンス項目のボタン63bが操作される。これによりリセット画面64に遷移される。リセット画面64上のリセット用ボタン64aが操作されると、図37に示すようにメンテナンスモニタ画面63は画面63′の内容に更新される。すなわちメンテナンスモニタ画面63′上のメンテナンス残り時間表示部63′bの内容が設定インターバル(170H)にリセットされる。
ここで図44を参照してメンテナンス残り時間表示部63bの表示内容について説明する。図44はエンジンオイルフィルタ、エンジンオイルが○印で示す時刻で逐次交換され、その度に上記リセット用ボタン64aが操作され、そのときのサービスメータSM2の積算値SMR2が記憶領域80に記憶されていく時間変化を示す。
エンジンオイルを例にとると、エンジンオイルは工場出荷時にリセットされてから第1回目に時刻t1で交換され、その時点でリセット用ボタン64aが操作される。すると記憶領域80に、エンジンオイルの第1回目の交換時でのサービスメータ値200Hが記憶される。以後サービスメータSM2による積算値SMR2と第1回目交換時でのサービスメータ値200Hとの差分値がとられ、エンジンオイルの設定インターバルである250H(図45参照)からこの差分値が減算される。この減算値がエンジンオイルの交換までの残り時間としてメンテナンスモニタ画面63上の項目「エンジンオイル交換」に対応するメンテナンス残り時間表示部63bに表示される。
同様に時刻t2 で第2回目にエンジンオイルが交換され、リセット用ボタン64aが操作されると、記憶領域80に、エンジンオイルの第2回目の交換時でのサービスメータ値430Hが記憶される。以後同様の処理が繰り返される。エンジンオイルフィルタについても同様の処理がなされる。
図44に示す記憶領域80に記憶されたデータに基づき図45に示すようにメンテナンス履歴データ81が更新されていく。
図33に示すオペレータ用メンテナンス状態モニタ画面56上のメンテナンス残り時間表示部56bにおいても、サービス画面63上のメンテナンス残り時間表示部63bと同様の表示がなされる。
メンテナンス状態モニタ画面56では、オペレータにメンテナンス時期が近づいたことを警告する表示がなされる。たとえば画面56上の「エンジンオイル」に対応するメンテナンス残り時間表示部56bの内容が、残り時間「1〜30H」になると、黄色に変化するとともに点滅される。さらに残り時間「0〜1H」になると、赤色に変化するとともに点滅される。
つぎに設定インターバルの変更操作について説明する。
設定インターバルの変更を行うときは、図36のメンテナンスモニタ画面63上の、変更したいメンテナンス項目のボタン63cが操作される。これにより画面65に遷移される。画面65上のボタン65aが操作されると、図38に示す設定変更画面66に遷移される。設定変更画面66上のテンキー66aが操作され設定インターバルの変更値が入力される。そして設定終了ボタン66bが操作されると、メンテナンスモニタ画面63は画面63″の内容に更新される。すなわちメンテナンスモニタ画面63″上の設定インターバル表示部63′cの内容が、設定変更画面66で変更された設定インターバル(250H)の値に変更される。
設定変更画面66上で設定インターバルの変更操作がなされると、図45に示すメンテナンス履歴データ81の対応する項目の「設定インターバル」のデータが変更される。なおメンテナンス履歴データ81は実際にメンテナンスが行われた間隔を記憶する内容となっているが、メンテナンスが行われる毎にカレンダによる計時値を記憶し、各項目毎にメンテナンスが行われた年月日時刻をメンテナンス順に記憶した内容としてもよい。
なおメンテナンス終了後のメンテナンス残り時間のリセット、設定インターバルの変更をサービス用画面上で行うのは、オペレータによる不用意が操作がなされることによって建設機械の信頼性、安全性等が確保されなくなってしまう事態を回避するためである。
図34に示すサービスメニュー選択画面61上の「ダウンロード」のボタン61cが操作されると、ダウンロードを指示するダウンロード画面に遷移される。ダウンロード画面上でダウンロードを指示する操作がなされると、パーソナルコンピュータ、ICカードなどのサービスツール18に、図45に示すメンテナンス履歴データ81がダウンロードされる。そこでメンテナンス履歴データ81と前述した故障履歴データとが突き合わせられる。これによりメンテナンスが十分になされていない項目を異常のファクタであるとするなどして異常の原因、修復方法を迅速に発見することができる。
さて建設機械に搭載されるエンジン、油圧ポンプ等のコンポーネントのシリアル番号は、コンポーネントの製造元毎に管理している。このためエンジン等のコンポーネントが載せ換えられたりした場合に、建設機械に搭載されたコンポーネントのシリアル番号と当該建設機械のシリアル番号との対応づけをとることが管理者側で困難となる。
また前述したように本実施形態では部品(コンポーネント)毎に、建設機械毎に寿命の情報を管理している。このためコンポーネントが載せ換えられた場合であっても建設機械のシリアル番号と搭載されているコンポーネントのシリアル番号との対応づけを追跡できるようにしておく必要がある。
情報管理用モニタ2にはコンポーネントが載せ換えられた場合に、そのコンポーネントのシリアル番号を記憶する機能が設けられている。
すなわち図34に示すサービスメニュー選択画面61上で「シリアルナンバー設定」のボタン61gが操作される。これにより画面は図41に示すシリアルナンバー設定画面72に遷移される。シリアルナンバー設定画面72上には、「建設機械モデル名」のボタン72aに対応して、建設機械モデル名表示部72eが配置されている。また「バリエーションコード」のボタン72bに対応して、バリエーションコード表示部72fが配置されている。また「型」のボタン72に対応して、型表示部72gが配置されている。また「シリアル番号」のボタン72dに対応して、シリアル番号表示部72hが配置されている。
ボタン72aが操作されると、73に示すように建設機械モデル名表示部72eの表示内容が変更される。またボタン72bが操作されると、74に示すようにバリエーションコード表示部72fの表示内容が変更される。またボタン72cが操作されると、75に示すように型表示部72gの表示内容が変更される。またボタン72dが操作されると、シリアル番号表示部72hの表示内容が変更される。
画面72上のボタン76が操作されると、エンジン変更画面77に遷移される。
エンジン変更画面77上には、「エンジンモデル名」のボタン77aに対応して、エンジンモデル名表示部77eが配置されている。また「1台目シリアル番号」のボタン77bに対応して、1代目シリアル番号表示部77fが配置されている。また「2台目シリアル番号」のボタン77cに対応して、2台目シリアル番号表示部77gが配置されている。また「3台目シリアル番号」のボタン77dに対応して、3台目シリアル番号表示部77hが配置されている。
建設機械の出荷時など1台目のエンジン搭載時にボタン77bが操作されると、1台目シリアル番号表示部77fに「1台目のエンジンのシリアル番号」が表示される。同様に、2台目のエンジン搭載時にボタン77cが操作されると、2台目シリアル番号表示部77gに「2台目のエンジンのシリアル番号」が表示され、3台目のエンジン搭載時にボタン77hが操作されると、3台目シリアル番号表示部77hに「3台目のエンジンのシリアル番号」が表示される。なお画面77上のボタン78が操作されると画面72に戻る。
なお本実施形態では建設機械のコンポーネントとしてエンジンを想定しているが、油圧ポンプ、油圧モータ、PTO、トルコン、トランスミッション等各コンポーネントのシリアル番号を入力できるように構成してもよい。
以上のようにして情報管理用モニタ2から入力されたシリアル番号のデータは、情報管理用コントローラ1で、寿命データなどと対応づけられる。このため、かかるデータが監視局19に送信されると、監視局19では、複数の建設機械の各シリアル番号に対応づけて寿命の情報等を管理することができる。このためコンポーネントが載せ換えられた場合であってもそのコンポーネントの寿命時期を追跡することが可能となり載せ換えの有無にかかわらず正確な寿命時期を判断することができる。
情報管理用コントローラ1には、当該コントローラ1で生成されたデータをサービスツール18にダウンロードするだけではなく、サービスツール18のデータをコントローラ内部のメモリに読み込むアップロード機能が設けられている。
そこで工場の製造ラインでコントローラにコンピュータからデータをアップロードすることでデータ入力作業を容易に行うことが可能となる。
1 情報管理用コントローラ
2 情報管理用モニタ
11、12 シリアル通信回線
18 サービスツール
19 監視局
2 情報管理用モニタ
11、12 シリアル通信回線
18 サービスツール
19 監視局
Claims (1)
- 所定の通信プロトコルに従って通信が行われるシリアル通信回線によって、建設機械内の複数の車体内コントローラ間相互を通信自在に接続し、フレーム信号を前記複数の車体内コントローラ間で伝送させ、前記複数の車体内コントローラ間でデータの送受信を行うとともに、前記フレーム信号に前記複数の車体内コントローラ毎に取得されるデータを記述し、当該フレーム信号に記述されたデータを読み取ることにより建設機械に関する情報を収集するようにした建設機械の情報管理装置において、
前記建設機械内に、当該建設機械内の情報を管理する情報管理用コントローラを設け、
前記所定の通信プロトコルとは異なる通信プロトコルに従って通信が行われるシリアル通信回線に、前記複数の車体内コントローラとは異なる車体内コントローラを通信自在に接続し、
前記情報管理用コントローラを介して、前記建設機械内の両シリアル通信回線同士を相互に通信自在に接続し、
前記情報管理用コントローラは、一方のシリアル通信回線に接続された車体内コントローラと、他方のシリアル通信回線に接続された車体内コントローラとの間でデータの送受信を行わせるとともに、一方のシリアル通信回線上で伝送されるフレーム信号と他方のシリアル通信回線上で伝送されるフレーム信号のそれぞれに記述されたデータを読み取ることにより建設機械に関する情報を収集するようにしたこと
を特徴とする建設機械の情報管理装置。
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