以下図面を参照して本発明に係る作業機械の管理装置について説明する。なお実施形態では、作業機械として油圧ショベル、ブルドーザ、ダンプトラック、ホイールローダ、クレーン、グレーダ、破砕処理機械などの建設機械を想定している。
図1は実施形態の建設機械を管理する管理装置(管理システム)を示している。本実施形態では建設機械のメーカ10で生産される多数の建設機械として、31、32を代表させて示している。
まず図1の管理システムの構成、通信形態について説明する。
図1に示すように建設機械31、32の図示しない通信端末と、複数の端末装置14、15、16、18、19、51、52、53、61、63、65と、サーバ装置11は相互に通信衛星5、インターネット7、イントラネット13などの通信装置によって相互に通信可能に接続されている。なおインターネットとは、複数のLAN(ローカルエリアネットワーク)をゲートウエイ、ブリッジにより相互に通信自在に接続した世界的通信網のことである。インターネットは電子メール(インターネットを介して送受信する「手紙」)、WWW(ワールドワイドウエブ;インターネット上の情報検索システム)などのサービスを提供している。イントラネットとはインターネットの技術に基づき構築された企業内通信網のことである。
サーバ装置11は、本実施形態の管理システムで行われるサービス(以下管理情報提供サービス)を提供する建設機械のメーカ本社10に設けられている。
サーバ装置11はデータベース12を備えている。後述するようにデータベース12は建設機械31、32を管理するための後述する建設機械情報D1、D2、D3、本実施形態の管理情報提供サービスを提供するためのプログラムを記憶している。
メーカ本社10内には各端末装置14、15、16が設けられている。
端末装置14はメーカ10の経営部門に設けられている。端末装置15はメーカ10の工場に設けられている。工場では建設機械31、32が生産される。端末装置16はメーカ10の営業部門に設けられている。
これらサーバ装置11と端末装置14、15、16とは相互に送受信可能にイントラネット13により接続されている。
サーバ装置11と各端末装置18、19、51、52、53、61、63、65とは相互に送受信可能にインターネット7により接続されている。
建設機械31、32の通信端末とサーバ装置11は通信衛星5を介して双方向に送受信可能に接続されている。通信は無線の通信回線6によって行われる。
サーバ装置11はインターネット7、は通信衛星5、イントラネット13との間のデータの入出力を管理するとともに、データベース12の記憶データD1、D2、D3に基づいて、建設機械31、32を構成する各コンポーネントの健康状態(損傷状態)を監視したりメンテナンス(点検)したり改修(修理)したりするのに適切な管理情報に加工する。なお建設機械はエンジン、トランスミッション、油圧ポンプ等の各コンポーネントから構成されている。
端末装置18は、建設機械31、32に使用されるオイル31a(エンジンオイル、トランスミッションオイル、トルクコンバータオイル、デフオイル、ブレーキオイル、作業機の作動油等)を分析するオイル分析センタ17に設けられている。
端末装置19は携行可能なパーソナルコンピュータ等の携帯用端末装置であり、建設機械31、32を点検、修理するサービスマンによって携行される。
端末装置51、52、53は建設機械31、32を販売し点検、修理等のサービスを行う代理店50に設けられている。端末装置51は代理店50のサービス部門に設けられている。端末装置52は代理店50の営業部門に設けられている。端末装置53は代理店50の経営部門に設けられている。
代理店50′は代理店50と同様な代理店、海外現地法人等である。代理店50と同様に建設機械を販売し修理等のサービスを行う代理店、現地法人が海外、国内を問わずに多数存在するものとする。ただし代理店50′が管轄する建設機械は建設機械31、32とは異なるものとする。
端末装置61は建設機械31、32をレンタルまたはリース(貸与)するリース/レンタル会社60に設けられている。本実施形態ではリース/レンタル会社60が建設機械31、32の所有者であると仮定する。
端末装置63は建設機械31、32を用いて工事を行わせる工事施工会社62に設けられている。本実施形態では工事施工会社62は建設機械31、32を直接使用しないが建設機械31、32によって行われる工事の責任者であると仮定する。
端末装置65は建設機械31、32を用いて実際に工事を行う現場事務所64に設けられている。本実施形態では現場事務所64が建設機械31、32の使用者であると仮定する。
サーバ装置11と各端末装置18、19、51、52、53、61、63、65とは相互に送受信可能にインターネット7により接続されている。
本実施形態ではメーカ10の各端末装置14、15、16側の経営者、工場責任者、営業マン、代理店50の各端末装置51、52、53側のサービスマン、営業マン、経営者、リース会社60の端末装置61側の社員、工事施工会社62の端末装置63側の工事責任者(工事施工者)、現場事務所64の端末装置65側の現場監督、オペレータが、サーバ装置11で提供される管理情報提供サービスを受けるものとする。各端末装置14、15、16、18、19、51、52、53、61、63、65にはそれぞれサーバ装置11から提供される管理情報を表示する表示装置が設けられている。
またリース会社60の端末装置61側の社員、工事施工会社62の端末装置63側の工事責任者(工事施工者)、現場事務所64の端末装置65側の現場監督、オペレータは、代理店50にとってその管轄下にある顧客(カスタマ)であるものとする。
つぎに図1の管理システムにおける情報の流れについて説明する。
建設機械31、32に関する情報は、大きくはオンボード情報D1、オイル分析情報D2、点検情報D3とからなる。
オンボード情報D1とは建設機械31、32に取り付けられた各種センサ41の検出値に基づき収集される情報のことである。オンボード情報D1は、センサ41の検出値の時系列なデータであるトレンドデータ、センサ検出値が異常値に達したときに生成されるエラーコード、複数種類のセンサ検出値に基づき得られる頻度マップデータ等を含む。
センサ群41としては、サービスメータの計時値SMR(エンジン稼動時間)を検出すサービスメータ、エンジンの回転数Neを検出するセンサ、ブローバイ圧を検出するセンサ、排気温度を検出するセンサ、エンジン、作業機の作動油、トランスミッション等の油温を検出するセンサ、エンジン油圧、油圧ポンプ吐出圧を検出するセンサ、ダンプトラックの場合にはトランスミッションの油圧クラッチを係合させるに要する時間であるフィル時間を検出するセンサ、ダンプトラックの積載量を計測するペイロードメータなどである。なおフィル時間とは油圧クラッチを係合するのに必要な圧油を油圧クラッチに供給し始めてから供給し終えるまでの時間のことである。
これに対してオイル分析情報D2、点検情報D3は建設機械31、32内に既設のセンサ41からは得られないオフボード情報のことである。
オイル分析情報D2は建設機械31、32から取り出された分析対象物であるオイル31aを分析することにより収集される情報のことである。オイル分析情報D2はオイル31aを建設機械31、32から取り出してこれをオイル分析センタ17に送り、専用の分析装置を用いて解析しなければ収集することができない。
また点検情報D3は建設機械31、32に専用の計測機器を取り付けて計測値を目視で判断することにより、あるいは建設機械31、32の各部を直接目視で判断することにより収集されるデータのことである。点検情報D3はサービスマンが建設機械31、32が存在する工事現場などに出向き目視で判断しなければ収集することができない。点検情報D3とは、たとえばタイヤなどの消耗部品の摩耗、破損状態、ホース等の管路のひび割れ、破損状態、作業機が作動する速度、エンジンなどの各コンポーネントが発生する音、エンジンの排気状態などである。
建設機械31、32内のコントローラ40ではセンサ群40の検出値に基づきオンボード情報D1が収集され、記憶される。すなわち建設機械31、32の車体内には主コントローラ40と他のコントローラとがシリアル通信が可能となるように信号線によってデジーチェーン状に接続されており、車体内ネットワークを構成している。車体内のコントローラ間の信号線を介して所定のプロトコルのフレーム信号が伝送される。フレーム信号が各コントローラ間に伝送されるとフレーム信号に記述されたデータに従い各コントローラに接続されたアクチュエータ(油圧ポンプ、ガバナ、制御弁など)に駆動信号が出力されこれらアクチュエータが駆動制御されるとともに、各コントローラに接続されたセンサ群41で検出された検出データあるいは機器内部の情報を示すデータが取得されフレーム信号に記述される。こうしてコントローラ40にはフレーム信号を介してセンサ群41の検出値のデータが取り込まれる。センサの検出値が異常値に達した場合にはエラーコードが生成される。たとえばブローバイ圧が所定値のしきい値以上になった場合には「ブローバイ圧が異常に高い」ことを示すエラーコードが生成される。
建設機械31、32の通信端末とサーバ装置11との間では通信衛星5を介して無線の通信回線6によって相互に送受信がなされる。これによって建設機械31、32内で取得されたオンボード情報D1は無線通信回線6、通信衛星5を介してサーバ装置11に定期的に自動送信される。たとえばサービスメータの計時値SMRの間隔で20時間毎に自動送信される。また建設機械31、32に内蔵された時計で1日計時する毎に自動送信される。また後述するようにサーバ装置11からの要求に応じて建設機械31、32内で取得されたオンボード情報D1を無線にて返信することができる。また建設機械31、32内のオンボード情報D1を携帯用端末装置19にダウンロードしてインターネット1を介してサーバ装置11に送信してもよい。
また建設機械31、32からオイル31aが取り出され、これがオイル分析センタ17に送られる。オイル分析センタ17では専用の分析装置を用いてオイル31aを解析してオイル分析情報D2を作成する。オイル分析情報D2は端末装置18から入力されインターネット1を介してサーバ装置11に送信される。オイル分析情報D2は建設機械31、32の定期的なオイル交換時期毎にサービスマンが建設機械31、32まで出向くことによって収集することができる。
また建設機械31、32に専用の計測機器が取り付けられ計測値を目視で判断することにより、あるいは建設機械31、32の各部を直接目視で判断することにより点検情報D3が収集される。点検情報D3はサービスマンが携行する携帯用端末装置19に入力され、インターネット1を介してサーバ装置11に送信される。点検情報D3は建設機械31、32の定期的な点検時毎にサービスマンが建設機械31、32まで出向くことによって収集することができる。
サーバ装置11では後述するようにオンボード情報D1、オイル分析情報D2、点検情報D3に基づいてデータが加工され、管理情報が作成される。
サーバ装置11で作成される管理情報の代表的なものは以下のとおりである。
・建設機械31、32の異常度合いを4段階のランク1(正常Normal)、ランク2(警告Warning)、ランク3(異常Abnormal)、ランク4(緊急Emergency)に分類した「異常情報」。
異常情報はランク1からランク2、3、4へと高くなるにつれて修理等を行う緊急度が高くなることを意味する。異常情報はオンボード情報D1の各項目つまりブローバイ圧、排気温度…毎に作成される。またオイル分析情報D2の各項目つまりエンジンオイル中の鉄Feの含有量、トランスミッションオイルの粘度…毎に作成される。また点検情報D3の各項目つまりタイヤ摩耗、作業機の速度…毎に作成される。また個別の建設機械31、32毎に総合的な異常度合いが同様に4段階のランクで作成される。このランク付けされた異常情報はサーバ装置11で定期的に作成される。たとえば建設機械31、32からオンボード情報D1が送信されてくる毎に作成される。
異常情報は電子メールとしてサーバ装置11から各端末装置に送信される。
・建設機械31、32の健康状態(損傷状態)の「定期的なレポート」。
これは個別の建設機械31、32毎に、オンボード情報D1、オイル分析情報D2、点検情報D3を要約した内容の情報であり上記ランク付けされた異常情報を含む。
サーバ装置11のデータベース12には各端末装置14、15、16、18、19、51、52、53、61、63、65の表示画面上で、オンボード情報D1、オイル分析情報D2、点検情報D3を加工した管理情報を検索する等の処理を行うためのWebページ(先頭ページに続くリンクされた一連のページで構築されているリンク構造のデータであり、インターネット7、イントラネット13における情報画面の意味で使用する)が格納されている。
サーバ装置11は各端末装置14、15、16、18、19、51、52、53、61、63、65からの要求に応じてデータベース12に記憶された内容をこれら端末装置に提供するとともに、あるいは所定の端末装置から入力されたデータに応じてデータベース12の記憶内容を書き換える。すなわち各端末装置からデータベース12の記憶データをアクセスすることにより、端末装置の表示画面上でWebページを表示させ管理情報提供サービスを受けることができる。
各端末装置14、15、16、18、19、51、52、53、61、63、65はサーバ装置11のデータベース12に記憶された定期レポートを異常情報のランクにかかわらずにアクセスすることができる。ただし最初にサーバ装置11から電子メールによって送信されてくる定期レポート毎に付与された異常情報に関しては、特定の端末装置には特定のランクの異常情報しか送信されない。
たとえばメーカ10の経営部門側端末装置14、営業部門端末16にはランク4の異常情報が電子メールとして送信される。
またメーカ10の工場側端末装置15にはランク3、ランク4の異常情報が電子メールとして送信される。メーカ10の各端末装置14、15、16では自社で生産した全ての建設機械31、32、…に関する異常情報が電子メールとして送信される。
また代理店50のサービス部門側端末装置51にはランク1からランク4までの異常情報が電子メールとして送信される。
また代理店50の営業部門側端末装置52にはランク3、ランク4の異常情報が電子メールとして送信される。
また代理店50の経営部門側端末装置53にはランク4の異常情報が電子メールとして送信される。代理店50の各端末装置51、52、53には同代理店50が販売等した管轄下の車両31、32に関する異常情報が電子メールとして送信される。
またリース会社60の端末装置61にはランク2、3、4の異常情報が電子メールとして送信される。
また工事施工会社62の端末装置63にはランク3、ランク4の異常情報が
電子メールとして送信される。
また現場事務所64の端末装置65にはランク2、3、4の異常情報が電子メールとして送信される。カスタマの各端末装置61、63、65には自己が所有等する管轄下の車両31に関する異常情報が電子メールとして送信される。
なお定期レポートについても電子メールで送信される異常情報と同様に特定の端末装置に対しては特定のランクの定期レポートしかアクセスできないように制限を加えてもよい。これは端末装置側において特定のID番号、特定の暗証番号の入力操作、ユーザ認証キーの使用を条件とすることで実現することができる。つまり特定の端末装置はその端末装置の表示画面上ではWebページのうち特定のページ、特定の情報のみしか表示させることができないようにする。
つぎにサーバ装置11で行われるデータの加工処理について説明する。
図2はオンボード情報D1を異常情報に加工する処理を説明する図である。
以下オンボード情報D1のうちセンサ検出値の時系列データのことをトレンドデータをいう。
図2(d)はオンボード情報D1のうちセンサ検出値の代表的な項目と、異常度合いのランク1、2、3、4を設定するためのしきい値W、A、Eとの関係を示している。図2は(a)、(b)、(c)はそれぞれ横軸にサービスメータ計時値SMR(H)をとり、縦軸にセンサ検出値をとったトレンドデータのグラフである。
図2(a)はセンサ検出値の絶対値を各しきい値W、A、Eで段階的に区分した場合を示している。センサ検出値の絶対値がしきい値W以上である場合には異常度合いがランク2であると判断し、センサ検出値の絶対値がしきい値A以上である場合には異常度合いがランク3であると判断し、センサ検出値の絶対値がしきい値E以上である場合には異常度合いがランク4であると判断する。たとえば図2(d)に示すようにエンジン油温が102deg.C以上である場合には異常度合いがランク2であると判断し、エンジン油温が105deg.C以上である場合には異常度合いがランク3であると判断し、エンジン油温が108deg.C以上である場合には異常度合いがランク4であると判断する。以下図2(a)による異常度合いの判断方法を「トレンドデータの絶対値による判断方法」と称することにする。
図2(b)は単位時間前後でのセンサ検出値の差分(トレンドデータの傾き)をしきい値W、A、Eで段階的に区分した場合を示している。単位時間前後でのセンサ検出値の差分がしきい値W以上である場合には異常度合いがランク2であると判断し、単位時間前後でのセンサ検出値の差分がしきい値A以上である場合には異常度合いがランク3であると判断し、単位時間前後でのセンサ検出値の差分がしきい値E以上である場合には異常度合いがランク4であると判断する。たとえば図2(d)に示すように単位時間100H前後でのブローバイ圧の差分が150mmAq以上である場合には異常度合いがランク2であると判断し、単位時間100H前後でのブローバイ圧の差分が300mmAq以上である場合には異常度合いがランク3であると判断し、単位時間100H前後でのブローバイ圧の差分が500mmAq以上ある場合には異常度合いがランク4であると判断する。
なお最新に得られたセンサ検出値がセンサ検出値を取得し始めてから単位時間100Hを経過していない場合には、最古のセンサ検出値と最新のセンサ検出値の差分をとって異常度合いが判断される。以下図2(b)による異常度合いの判断方法を「トレンドデータの傾きによる判断方法」と称することにする。
図2(c)は初期値に対するセンサ検出値の増分をしきい値W、A、Eで段階的に区分した場合を示している。初期値に対するセンサ検出値の増分がしきい値W以上である場合には異常度合いがランク2であると判断し、初期値に対するセンサ検出値の増分がしきい値A以上である場合には異常度合いがランク3であると判断し、初期値に対するセンサ検出値の増分がしきい値E以上である場合には異常度合いがランク4であると判断する。たとえば図2(d)に示すようにサービスメータ計時値が1000Hまでのセンサ検出値の平均値を初期値とし、この初期値に対する排気温度の増分が50deg.C以上である場合には異常度合いがランク2であると判断し、同初期値に対する排気温度の増分が100deg.C以上である場合には異常度合いがランク3であると判断し、同初期値に対する排気温度の増分が150deg.C以上ある場合には異常度合いがランク4であると判断する。以下図2(c)による異常度合いの判断方法を「トレンドデータの初期値からの増分による判断方法」と称することにする。
つぎに図3を参照してエラーコードから異常度合いを判断する方法について説明する。
図3はオンボード情報D1のうちエラーコードの代表的な項目と、異常度合いのランク1、2、3、4を設定するためのしきい値との関係を示している。
同図3に示すように単位時間あたりのエラーコードの発生頻度が第1のしきい値以上で第2のしきい値よりも少ないときには異常度合いがランク1であると判断し、単位時間あたりのエラーコードの発生頻度が第2のしきい値以上で第3のしきい値よりも少ないときには異常度合いがランク2であると判断し、単位時間あたりのエラーコードの発生頻度が第3のしきい値以上で第4のしきい値よりも少ないときには異常度合いがランク3であると判断し、単位時間あたりのエラーコードの発生頻度が第4のしきい値以上であるときには異常度合いがランク4であると判断する。
たとえばエンジン回転数Neが1.0秒以上継続して2700rpm±40rpmになっているときには、「オーバーラン」を示すエラーコードが生成される。そして単位時間100Hの間にオーバーランを示すエラーコードの発生カウント数が1回〜4回のときには異常度合いがランク1であると判断し、同単位時間の間に同エラーコードの発生カウント数が5回〜14回のときには異常度合いがランク2であると判断し、同単位時間の間に同エラーコードの発生カウント数が15回〜19回のときには異常度合いがランク3であると判断し、同単位時間の間に同エラーコードの発生カウント数が20回以上のときには異常度合いがランク4であると判断する。なお最新に得られたエラーコードがエラーコードを取得し始めてから単位時間100Hを経過していない場合には、最古にエラーコードを取得したときからのカウント数によって異常度合いが判断される。
なおエラーコードが全く生成されていない場合にはエラーコードに基づく異常度合いの判断はなされない。
上述した各しきい値、初期値、単位時間等は、建設機械31、32の機種、型式、機番(号機)毎に、またコンポーネントの種類、形式毎に異ならせて設定することができる。また各ランク毎に異常度合いを示す「説明」を対応づけてもよい。
図10はトレンドデータのしきい値、初期値、単位時間の設定例を示している。同図10に示すように、たとえば「機種」に「D785」が、「型式」に「5」が、「エンジン形式」に「SA12V140」が、「コンポーネント」に「エンジン」が、「項目」に「ブローバイ圧」が、「判断方法」に「トレンドデータの絶対値による判断方法」が、「ランク1のしきい値」に「700」が、「ランク1の説明」に「正常です」が、「ランク2のしきい値」に「800」が、「ランク2の説明」に「少し高い」が、「ランク3のしきい値」に「900」が、「ランク3の説明」に「かなり高い」が、「ランク4の説明」に「非常に高い」がそれぞれ対応づけられている。
図11はエラーコードのしきい値、単位時間の設定例を示している。同図10に示すように、たとえば「機種」に「D785」が、「型式」に「5」が、「エンジン形式」に「SA12V140」が、「コンポーネント」に「エンジン」が、「エラーコード」に「E00001」が、「単位時間」に「100」が、「ランク1のしきい値」に「5回」が、「ランク1の説明」に「正常です」が、「ランク2のしきい値」に「10回」が、「ランク2の説明」に「少し多い」が、「ランク3のしきい値」に「20回」が、「ランク3の説明」に「かなり多い」が、「ランク4の説明」に「非常に多い」がそれぞれ対応づけられている。
図4は図2(a)のように設定されたしきい値によって、異常度合いが判断される実例を示している。図4に示すようにセンサ検出値v1がランク2を示すしきい値以上になった場合には異常度合いがランク3であると判断される。
図5は図2(c)のように設定されたしきい値によって、異常度合いが判断される実例を示している。図5に示すように初期値に対するセンサ検出値の増分v2がランク2を示すしきい値以上になった場合には異常度合いがランク3であると判断される。
図6は図2(b)のように設定されたしきい値によって、異常度合いが判断される実例を示している。図6に示すように横軸をxとし縦軸をyとする。そして
単位時間H2におけるトレンドデータを示す1次関数y=a2+b2が2次回帰により求められる。またつぎの単位時間H1におけるトレンドデータを示す1次関数y=a1+b1が2次回帰により求められる。そしてこれら1次関数の傾きの差a1−a2がしきい値と比較されて異常度合いが判断される。たとえばランク1を判断するしきい値は1.0に設定され、ランク2を判断するしきい値は1.5に設定され、ランク3を判断するしきい値は2.0に設定され、ランク4を判断するしきい値は3.0に設定される。また単位時間H1は100Hに設定され、単位時間H2は200Hに設定される。たとえば傾きの差a1−a2が、ランク2を示すしきい値1.5以上になった場合には異常度合いがランク2であると判断される。
図12(b)はブローバイ圧のトレンドデータを示すグラフであり、図12(a)は図12(b)のトレンドデータの傾きの差a1−a2を計算して得られたグラフである。たとえば破線で示すように図12(b)で傾きの差が大きくなった時点で図12(a)の値はランク3のレベルに入る。
図7はトレンドデータの判断結果の出力例(表示例)を示している。
同図7に示すようにたとえば「コンポーネント」に「エンジン」が、「項目」に「ブローバイ圧」が、「判断時点のサービスメータ計時値SMR」に「10180」が、「判断時点の日付Date」に「2000年5月30日」が、「現時点でのセンサ検出値」に「820」が、「判断方法」に「トレンドデータの絶対値による判断方法」が、「ランク」に「3」が、「ランクの説明」に「ブローバイ値がかなり高いです。」がそれぞれ対応づけられている。
図8はエラーコードの判断結果の出力例(表示例)を示している。
同図8に示すようにたとえば「コンポーネント」に「エンジン」が、「エラーコード」に「E0001」が、「単位時間当たりのカウント数」に「20」が、「ランク」に「4」が、「ランクの説明」に「最近100Hで非常に多発しています。」がそれぞれ対応づけられている。
上述した「ランクの説明」は建設機械31、32の実際の走行状態と対応づけて記述することができる。
図9はダンプトラックのトランスミッションの油圧クラッチのフィル時間のトレンドデータの実例を示している。フィル時間が204で示す低い値を示している場合には通常の走行状態であり、これに対応して「正常である」という「ランクの説明」が対応づけられる。しかしフィル時間がしきい値203を超えた場合にはクラッチが摩耗が進みクラッチすべりが発生してダンプトラックが走行不能になるおそれがある。そこでこの場合には「非常に高い(長い)」という「ランクの説明」が対応づけられる。こうした「ランクの説明」の情報からサービスマン等の管理者は建設機械31、32の状態を、容易に把握することができる。
上述したランク付けは頻度マップデータに対しても行うことができる。ここで頻度マップデータについて説明する。
図21はエンジンの負荷頻度マップデータMDAを示している。
同図21に示すようにエンジン回転数NeとトルクTをそれぞれ座標軸とする2次元平面は複数のブロックBijに分割される。そしてエンジン回転数Ne、トルクTのセンサ検出値に基づき単位時間当たりに各ブロックBijに入った頻度(回数)hijが積算される。各ブロックBijにはそれぞれ、そのブロックにおける負荷の大きさに応じた重みγijが設定されている。たとえばエンジンのトルクカーブ上の定格点に対応するブロックでは最大の重みが設定されている。そこで、負荷頻度マップデータMDAに基づきエンジン被害量(過酷度)δが下記(1)式から求められる。
δ=Σhij・γij …(1)
上記(1)式は負荷の大きいエンジン回転数、トルク値でエンジンが稼動されている時間が長いほどエンジンが受ける被害量(過酷度)が大きくなることを意味する。
そこで前述した図2(a)と同様にエンジン被害量δに対して各しきい値が設定され実際のエンジン被害量δとしきい値を比較することにより、ランク1、ランク2、ランク3、ランク4というエンジン被害量の異常度合いが求められる。
同様に図20(a)はダンプトラックのトランスミッションの変速頻度マップデータMDAを示している。
同図20(a)に示すようにトランスミッションの変速前の速度段と変速後の速度段をそれぞれ座標軸とする2次元平面は複数のブロックに分割される。ここで速度段はR(後進)、N(中立)、F1(1速)、F2(2速)、F3(3速)、F4(4速)、F5(5速)、F6(6速)、F7(7速)からなる。そしてトランスミッションの各軸の回転数のセンサ検出値に基づき変速前の速度段と変速後の速度段が演算され、この演算結果から単位時間当たりに各ブロックに入った頻度(回数)hijが積算される。各ブロックにはそれぞれ、そのブロックにおける負荷の大きさに応じた重みγijが設定されている。そこで負荷頻度マップデータMDAに基づきトランスミッション被害量(過酷度)δが上記(1)式と同様に求められる。
そこで前述した図2(a)と同様にトランスミッション被害量δに対して各しきい値が設定され実際のトランスミッション被害量δとしきい値を比較することにより、ランク1、ランク2、ランク3、ランク4というトランスミッション被害量の異常度合いが求められる。
上述した頻度マップデータMDAは建設機械31、32のコントローラ40で演算することができる。頻度マップデータMDAは建設機械31、32から通信衛星5を介して、あるいは携帯用端末装置19でダウンロードされてインターネット7を介してサーバ装置11に送信される。そしてサーバ装置11では被害量δが演算され、被害量δの異常度合いが演算される。ただしこれは一例であり、建設機械31、32側からセンサ検出値をサーバ装置11に送信して、サーバ装置11側でセンサ検出値に基づき頻度マップデータMDAを演算するように構成してもよい。なお建設機械31、32側で頻度マップデータMDAを演算してからサーバ装置11側に送信する場合の方が、通信量、サーバ装置11側のメモリ容量を減らすことができる。
また異常度合いのランク付けのしきい値は、予め設定された「使われ方」を基準としてもよい。
一般に建設機械は、作業現場における個々の使われ方を調査した上で販売される。使われ方とは、燃料消費率、サイクル負荷変動量、車両の積載量、最高速度、トランスミッションのクラッチ係合回数などである。このような調査を行うのは調査の結果に応じた適正な仕様、適正なフリート数の建設機械をカスタマに提供するためである。しかし建設機械は、販売時に調査したのとは異なる過酷な使われ方をされることが多い。このため販売時に調査したのに比較して過酷な使われ方をした場合にはオーバーホール時期などが当初の予定時期よりも早まり建設機械の寿命が短くなる。
そこで使われ方が過酷である場合には、適正に使うようにカスタマに進言できるシステムの構築が望まれている。このような進言がカスタマになされることにより建設機械のオーバーホール時期を延ばすことができる等の効果が得られる。つぎにこのような要求に応えることができる実施形態について述べる。
図18はダンプトラックの使われ方の調査シートを示している。同図に示すように調査シートには作業現場(広域鉱山など)における走行コースの各区間毎の勾配、距離、カーブ半径、走行時間、車速、エンジン回転数、トランスミッションの変速前後の速度段、リターダブレーキ使用の区間、フットブレーキ使用の有無、路面の評価が記述される。またダンプトラックの車体総重量をW、区間距離をL、勾配をαとして、下記(2)式から区間ごとの負荷Kが計算される。
K=W・L・α …(2)
そして走行コースの負荷率Lfがダンプトラックの定格出力をPW、サイクルタイムをtとして下記(3)式から計算される。
Lf=(60×100)/(75×PW×3600)×ΣK …(3)
演算結果は個別の建設機械31、32毎に負荷率の予測値としてデータベース12に格納される。
そこでこの調査時の予測負荷率Lfを基準としてランク1、2、3、4が定められる。
ダンプトラックの実際の負荷率は、燃料消費量、トルクをセンサ41で検出することによって得られる。実際の負荷率は建設機械31、32側からサーバ装置11側に送信され、データベース12に記憶されている予測負荷率と比較される。たとえば実際の負荷率と予測負荷率との差分がとられ、これがしきい値と比較される。両者の差分値が大きくなる程ランク1、ランク2、ランク3、ランク4へと異常度合いが変化する。たとえばランク2以上になったときに、適正に使うよう警告する内容をカスタマに電子メールにて送信することができる。
図19は実際に測定された負荷率と標準的な使われ方を示すモニタ負荷率とを時間経過に応じて示すグラフである。モニタ負荷率202に対して測定負荷率201がかけ離れた時点でカスタマに警告を電子メールで送信してもよい。
また負荷率以外にも燃料消費率、サイクル負荷変動量、積載量、最高速度、トランスミッションのクラッチ係合回数などを予測値として予め調査し、この予測値を基準としてランク1、2、3、4を定めてもよい。
ここで燃料消費率はエンジンのオーバーホール時期と相関する関係にある。たとえば燃料消費率の予測値が70L/Hである場合にオーバーホール時間を16000Hに設定していたものとする。しかし実際の燃料消費率が90L/Hになった場合にはオーバーホール時間は14000Hに短縮される。そこで実際の消費率が予測値に比較して大きくなりそれに応じてオーバーホール時期が短縮された場合にはその旨の警告を電子メールにてカスタマに送信してもよい。
図22はサイクル負荷変動量を示す。
同図22に示す2次元平面は図21に示すエンジン回転数NeとトルクTをそれぞれ座標軸とする2次元平面に対応している。ダンプトラックは図22に示すように待機→運搬→ダンプ→移動を1サイクルタイムとして繰り返し稼動する。図22の破線で示す面積部分が大きいほど対応するブロックに入った頻度が大きいことを意味する。すなわち図22(b)は運搬やダンプしている時間が待機している時間に比べて少なく負荷は小さい。しかし図22(a)は待機している時間と運搬やダンプしている時間とがそれぞれほぼ同等であり負荷が大きい。そこで図22(b)に示す予測値に対して図22(a)に示す実測値が得られた場合には、負荷が大きくなっていることを示す警告をカスタマに電子メールにて送信してもよい。
また図22に示すようにトランスミッションのクラッチ係合回数の実際の頻度(図22(a))と、予測頻度(図22(a))とを比較して警告をカスタマに電子メールにて送信してもよい。
以上のようにしてオンボード情報D1がサーバ装置11で加工される。
つぎにオイル分析情報D2のデータの加工処理内容について説明する。
オイルはエンジンオイルを例にとると、その分析内容は、含有する不純物である金属成分(鉄Fe、シリコンSiなど)と、オイル性能劣化度合い(粘度、酸化度など)とに大別される。そこでオイル分析情報D2についてもオンボード情報D1と同様に各項目つまり鉄Feの含有量、シリコンSiの含有量、粘度、酸化度…毎に、異常度合いがランク1、ランク2、ランク3、ランク4の4段階に、図2(a)、(b)、(c)と同様な判断方法にてランク付けされる。ランク付けはオイル分析センタ17で行ってから端末装置18、インターネット7を介してサーバ装置11に送信してもよい。またオイル分析センタ17の分析結果をランク付けしないまま端末装置18、インターネット7を介してサーバ装置11に送信し、サーバ装置11でランク付けを行うようにしてもよい。
つぎに点検情報D3のデータの加工処理内容について説明する。
点検情報D3の各項目はタイヤなどの消耗部品の摩耗、破損状態、ホース等の管路のひび割れ、破損状態、作業機が作動する速度、エンジンなどの各コンポーネントが発生する音、エンジンの排気状態…などである。そこで点検情報D3についてもオンボード情報D1と同様に各項目毎に、異常度合いがランク1、ランク2、ランク3、ランク4の4段階に、図2(a)、(b)、(c)と同様な判断方法にてランク付けされる。ランク付けは携帯用端末装置19で行い、その結果のデータをインターネット7を介してサーバ装置11に送信してもよい。また端末装置19にランク付けしないデータを入力してインターネット7を介してサーバ装置11に送信し、サーバ装置11でランク付けを行うようにしてもよい。
サーバ装置11ではオンボード情報D1、オイル分析情報D2、点検情報D3の3つの組み合わせあるいはいずれか2つの組み合わせに基づいて異常度合いを判断する処理が行われる。この処理内容について図12〜図17を併せ参照して説明する。オンボード情報D1(エンジンに関するセンサ検出値)とオイル分析情報D2(エンジンオイルに関する分析結果)からエンジンの異常度合いを判断する場合を例にとり説明する。
図13はエンジン不具合のメカニズムを示している。図13はエンジン不具合の原因と現象と結果の関係を示している。エンジンの不具合は単に1つの項目(たとえばブローバイ圧上昇)のみで生じるものではなく多数の項目が複合して発生することが多い。
すなわちオフセットクロスヘッドの横方向の揺れという原因2001によってバルブガイド摩耗という結果3001とシール性劣化という結果3002とバルブ、ピストン破損という結果3004とメタル焼き付きという結果3005が生じる。また吸気配管破損という原因2002によってダスト混入という結果3003と、メタル焼き付きという結果3005が生じる。
またバルブガイド摩耗という結果3001は鉄Feがオイル中に増加しているという現象1003、ブローバイ圧増加という現象1001に関連している。またシール性劣化という結果3002は排気温度上昇という現象1002に関連している。またバルブ、ピストン破損という結果3004は鉄Feがオイル中に増加しているという現象1003、ブローバイ圧増加という現象1001、排気温度上昇という現象1002に関連している。またダスト混入という結果3003はシリコンSiがオイル中に増加という現象1004に関連している。またメタル焼き付きという結果3005は鉄Feがオイル中に増加という現象1003、ブローバイ圧増加という現象1001、排気温度上昇という現象1002、シリコンSiがオイル中に増加しているという現象1004に関連している。
図13に示す関係は図14のように表される。同図14はオンボード情報D1のうちブローバイ圧、排気温度という項目と、オイル分析情報D2のうちエンジンオイル中の鉄Fe含有量、シリコンSi含有量という項目の検出結果に基づいてエンジン不具合の度合いを判別する表を示している。
同図14に示すようにバルブガイド摩耗という結果3001、ダスト混入という結果3003はそれぞれランク1に設定される。またシール性劣化という結果3002はランク2に設定される。またバルブ、ピストン破損という結果3004はランク3に設定される。またメタル焼き付きという結果3005はランク4に設定される。
したがってオンボード情報D1からブローバイ圧増加というランク1またはランク2の異常度合いが得られかつオイル分析情報D2から鉄Feがオイル中に増加しているというランク1またはランク2の異常度合いが得られているならば、バルブガイド摩耗というランク1またはランク2のエンジンの不具合が発生していると判定される。またオンボード情報D1から排気温度上昇というランク2の異常度合いが得られているならば、シール性劣化というランク2の不具合が発生していると判定される。またオイル分析情報D2からシリコンSiがオイル中に増加しているというランク1またはランク2またはランク3の異常度合いが得られているならば、ダスト混入というランク1またはランク2またはランク3のエンジンの不具合が発生していると判定される。またオンボード情報D1からブローバイ圧が上昇しているというランク3の異常度合い、排気温度が上昇しているというランク3の異常度合いが得られ、かつオイル分析情報D2から鉄Feがオイル中増加というランク3の異常度合いが得られているならば、バルブ、ピストン破損というランク3のエンジンの不具合が発生していると判定される。またオンボード情報D1からブローバイ圧が上昇しているというランク4の異常度合い、排気温度が上昇というランク4の異常度合いが得られ、かつオイル分析情報D2から鉄Feがオイル中に増加しているというランク4の異常度合い、シリコンSiがオイル中に増加というランク4の異常度合いが得られているならば、メタル焼き付きというランク4のエンジンの不具合が発生していると判定される。
図16はブローバイ圧、排気温度のトレンドデータを示している。排気温度は左右の排気管の温度を検出する場合を示している。同図に○印で示すようにブローバイ圧がたとえばランク3のしきい値を超えるとランク4に入ったという警告を示す電子メールがサーバ装置11から端末装置側に送信される。
図17はオイル中の鉄Feの含有量、シリコンSiの含有量のトレンドデータを示している。同図に○印で示すようにFe含有量がたとえばランク3のしきい値を超えるとランク4に入ったという警告を示す電子メールがサーバ装置11から端末装置側に送信され、●印で示すようにSi含有量がたとえばランク3のしきい値を超えるとランク3に入ったという警告を示す電子メールがサーバ装置11から端末装置側に送信される。
「トレンドデータの絶対値による判断方法」で異常度合いを判断する場合を例にとる。
たとえば図16、図17においてサービスメータ計時値が9000Hのときにはブローバイ圧、鉄Feの含有量の含有量はそれぞれランク3の異常度合いを示しているが排気温度はランク3の異常度合いを示していない。したがってエンジンの不具合はランク3の「バルブ、ピストン破損」という不具合には至らずランク2の「バルブガイド摩耗」という不具合にとどまると判定される。
「トレンドデータの絶対値による判断方法」以外に「トレンドデータの初期値からの増分による判断方法」、「トレンドデータの傾きによる判断方法」を取り入れてもよい。
図15はブローバイ圧のトレンドデータを示すグラフ(図15(a))と排気温度のトレンドデータを示すグラフ(図15(b))である。
図15(a)に○印で示す期間ではブローバイ圧のトレンドデータの傾きの差が、ランク3を示すしきい値を超えている。このためブローバイ圧はランク4の異常度合いにあると判断される。なお○印で示すようにサービスメータ計時値が8000Hを超えてからはブローバイ圧の絶対値はランク3のしきい値を超えている。
また図15(b)に○印で示すように排気温度の初期値に対する増分がランク3を示すしきい値を超えた場合には、排気温度がランク4の異常度合いにあると判断される。なお○印で示す期間では排気温度の絶対値はランク3を示すしきい値に達していない。
以上のように本実施形態によればオンボード情報D1以外にオイル分析情報D2を加味して、異常を判断するようにしているので、エンジン不具合という複合的に原因がからむ異常の判断を正確に行うことができる。
さらに点検情報D3を加味して異常を判断してもよい。たとえば目視によりエンジンオイル用のストレーナ、フィルタ、ドレンプラグの状態を点検しその異常度合いのランクと、オンボード情報D1(ブローバイ圧、排気温度)の異常度合いのランクと、オイル分析情報D2(鉄Feの含有量、シリコンSiの含有量)の異常度合いのランクとに基づいて、バルブ、ピストン破損、メタル焼き付き等、エンジン不具合のランクを決定してもよい。
またオンボード情報D1と点検情報D3とに基づいて複合的な異常を不具合を判断することもできる。またオイル分析情報D2と点検情報D3とに基づいて複合的な異常を判断することもできる。
つぎに端末装置の表示画面の表示について図23〜図33を併せ参照して説明する。以下の実施形態では代理店50のサービス部門側端末装置51の表示画面に表示される内容を代表させて説明する。代理店50のサービス部門側端末装置51には代理店50の管轄下にある建設機械31、32に関するランク1〜4の定期レポートが作成されたという警告が電子メールで送信され、その警告およびランク1〜4の定期レポートが表示画面上に表示される。
すなわちサーバ装置11で新たに異常情報、定期レポートが作成されると、その旨を警告するデータが電子メールにて、インターネット7を介して代理店50のサービス部門側端末装置51に送信される。
図23はサービス部門側端末装置51の表示画面100を示す。この表示画面100には「25通の新しいレポートがあります。10通の新しいランク4のレポートがあります。」という警告表示101がなされる。この警告表示101によってサービスマンは異常情報、定期レポートを詳細に検討すべきか否かを容易に判断することができる。異常情報、定期レポートの詳細な情報の検索はサーバ装置100のデータベース12をアクセスすることによって行われる。
すなわち端末装置51でWebブラウザ(インターネット7におけるデータ表示ソフトウエア)が起動されると、Webブラウザを介してサーバ装置11のデータベース12からWebページのデータが読み出され端末装置51の表示画面に表示される。端末装置51のサービスマンはアクセス権限に応じた画面を呼び出し各画面上のボタンをクリック操作する等して処理をすすめることができる。
端末装置51では、Webブラウザが起動されるとまず「先頭画面」が表示される。端末装置51における処理開始はサービスマンのID番号、暗証番号を入力することを条件とする。そこでサービスマンのID番号、暗証番号が入力されると、端末装置51の表示画面100は図24に示す「レポート件数表示画面」に移行される。
「レポート件数表示画面」にはオンボード情報D1、オイル分析情報D2、点検情報D3毎に、新たに作成された定期レポートの件数、新たに作成されたランク4の定期レポートの件数、新たに作成されたランク3の定期レポートの件数、新たに作成されたランク2の定期レポートの件数、新たに作成されたランク1の定期レポートの件数を示す件数表示102がなされる。この件数表示102によってサービスマンは新たに作成された定期レポートのランク1〜4の内訳を知ることができる。
件数表示102上の所定箇所をクリック操作すると、表示画面100は図25に示す「レポートリスト画面」に移行される。たとえば図24の件数表示102のうち「オンボード情報D1」の表示箇所をクリック操作することで、そのオンボード情報D1に関する定期レポートのリスト104が表示される。
「レポートリスト表示画面」には、定期レポートを作成した「日付」、「機種」、「型式」、「機番」、「SMR(サービスメータ計時値)」、「仮ランク」、「決定ランク」等のリストの履歴を示すリスト表示104がなされる。
ここで「仮ランク」とはサーバ装置11で自動的に判定された異常度合いのランクのことである。また「決定ランク」とは端末装置51側で最終的に判断される異常度合いのランクのことである。「決定ランク」を定める権限は端末装置51側のサービスマンにある。このリスト表示104によってサービスマンは、建設機械の機種、型式、機番ごとにオンボード情報D1についての仮ランクの内容を把握することができる。なお図25ではオンボード情報D1のリスト表示104を示しているが、オイル分析情報D2、点検情報D3についても同様なリスト表示がなされる。
また図33に示すように個々の建設機械ごとにデータを表示させることもできる。
図33に示すように表示画面100の表示箇所120には、特定の建設機械の日付(Date)とサービスメータ計時値SMR(H)との関係を示すグラフが表示される。
また表示画面100の表示箇所121には特定の建設機械についての「日付(Date)」、「サービスメータ計時値SMR(H)」、「行動」、「仮ランク」、「決定ランク」等が表示される。ここで「行動」とは特定の建設機械に関してサーバ装置11のデータベースにアクセスした情報の内容(オンボード情報D1、オイル分析情報D2、点検情報D3)、あるいは建設機械に対して取った異常処理(修理等)をいう。
さて図25でリスト表示104上の所定箇所をクリック操作すると、表示画面100は図26に示す「レポート表示画面」に移行される。たとえば図25のリスト表示104のうち「3151」という「機番」の表示箇所105をクリック操作することで、対応する機種「D785」、機番「3151」の建設機械のオンボード情報D1に関する定期レポートが表示される。
「レポート表示画面」には、トレンドデータに関して、検出した「コンポーネント」、「項目」、「SMR(H)」、「日付(Date)」、「検出値」、「判断方法」、「仮ランク」、「説明」を示すトレンドデータ要約表示108がなされる。またエラーコードに関して、生成された「コンポーネント」、「エラーコード」、「回数(単位時間当たり)」、「仮ランク」、「説明」を示すエラーコード要約表示110がなされる。
トレンドデータ要約表示108上の所定箇所をクリック操作すると、表示箇所109には対応するトレンドデータの詳細が表示される。つまり表示箇所109には図4または図5または図6に示すトレンドデータのグラフが表示される。たとえばトレンドデータ要約表示108のうち「ブローバイ圧」という「項目」の表示箇所をクリック操作することで、「ブローバイ圧」という「項目」の「仮ランク」を、「トレンドデータの傾きによる判断方法」で「ランク3」と判断する根拠となった図6に示すトレンドデータのグラフが表示される。
また図28に示すようにトレンドデータの詳細を同一画面上に一覧表示させることもできる。図28は表示画面100上で各項目のトレンドデータのグラフ109a、109b、109c、109d、109eを一覧表示させた例を示している。
エラーコード要約表示110上の所定箇所をクリック操作すると、表示箇所112には対応するエラーコードの詳細が表示される。つまり表示箇所112には図27に示すようなエラーコードの履歴が表示される。たとえばエラーコード要約表示110のうち「M270(ブローバイ圧高い)」という「エラーコード」の表示箇所111をクリック操作することで、図27に示すように「ブローバイ圧高い」という「エラーコード」の「仮ランク」を、「ランク4」と判断する根拠となったエラーコードの履歴が表示される。図27の矢印113で示すように「ブローバイ圧高い」というエラーコードは単位時間内に6回発生していることがわかる。
以上のように図26に示す「レポート表示画面」からサービスマンは、特定の建設機械(機種「D785」、機番「3151」)のオンボード情報D1のうちこれを要約した情報(トレンドデータ要約情報108、エラーコード要約情報110)、詳細な情報(トレンドデータグラフ109、エラーコード履歴112)、異常情報(仮ランク)を把握することができる。
図26の「レポート表示画面」には、オンボード情報D1の各項目の「仮ランク」を総合した「仮ランク」が表示箇所106に表示される。総合した「仮ランク」は各項目の「仮ランク」のうち最も異常度合いが高いランク(ランク4)であるものと、サーバ装置11で自動的に決定される。
図26の表示画面100上では、「決定ランク」を示すデータを、表示箇所107をクリック操作することで入力することができる。決定ランクは定期レポートの内容からサービスマンが判断する。また実際に作業現場まで出向き該当する建設機械を目視で確認することにより判断してもよい。
図26の表示画面100上で「決定ランク」を示すデータ(「ランク3」)が入力されると、このデータはインターネット7を介してサーバ装置11に送信される。これによりサーバ装置11のデータベース12の記憶データが書き換えられる。すなわち図25に示すリスト表示104のうち機種「D785」、機番「3151」の「決定ランク」が空欄の状態から「ランク3」と記述された状態に変化する。
なお図26ではオンボード情報D1の定期レポートを示しているが、オイル分析情報D2、点検情報D3についても同様な定期レポートが表示される。
図29はオイル分析情報D2の各項目の詳細な情報を同一画面上に一覧表示させた表示例を示している。たとえば図29の表示箇所114aにはエンジンオイル中の鉄Feの含有量「72」が表示され、表示箇所114bにはエンジンオイル中のシリコンSiの含有量「18」が表示される。
また端末装置51の表示画面100を図30に示す「一覧画面」に遷移させることもできる。同図30に示すように「一覧画面」には代理店50の管轄下にある建設機械の「機種」、「号機(機番)」、「国名」、「お客様(カスタマ)の名前」、「最新に情報を入手した日」、「最新のSMR(サービスメータ計時値)」、「マシンダウン」、「オンボード情報D1」、「オイル分析情報D2」、「点検情報D3」、「アクション」を示す一覧表示115がなされる。ここで「マシンダウン」とは建設機械が稼動状態にあるか稼動不可状態にあるかを「○」または「×」で示した情報のことである。また「オンボード情報D1」、「オイル分析情報D2」、「点検情報D3」には、ランク1、ランク2、ランク3、ランク4の異常度合いがそれぞれ、「○」、「警告」、「異常」、「緊急」で表示される。また「アクション」とは代理店50が管轄下にある建設機械に対してとった行動(異常処理)であって現在仕掛かりになっている工程のことである。たとえば建設機械を修理するために部品を発注して未だ部品が届いていない状態のときには「部品待ち」と表示される。
なお一覧表示は図31に示すような表示116としてもよい。
また端末装置51では、管轄下にある建設機械を追加、削除、変更する等の設定処理を表示画面100上で行うことができる。
建設機械の設定処理を行おうとする場合には、図31に示す表示画面100上で「監視車両設定」のボタン117がクリック操作される。すると表示画面100は図32に示す「監視車両設定画面」に遷移される。
そこで図32に示す「監視車両設定画面」上の設定表示118内に、新たに追加すべき建設機械の「機種」、「号機(機番)」、「国名」、「お客様(カスタマ)の名前」を記述し、「追加」のボタン119がクリック操作されると、追加された建設機械を示すデータがインターネット7を介してサーバ装置11に送信される。これによりサーバ装置11のデータベース12の記憶データが書き換えられ、図32に示す一覧表示116の記述内容が更新される。なお建設機械の削除、変更も同様にして行うことができる。
以上端末装置51の表示画面100に表示される内容について説明したが、他の端末装置の表示画面にも同様な表示がなされる。
ただしメーカ10の経営部門側端末装置14、営業部門端末16には新たにランク4の定期レポートが作成された場合のみ警告を示す電子メールが送信される。またこれら端末装置14、16にはメーカ10で生産した全ての建設機械31、32…に関する警告が送信される。
また代理店50の営業部門側端末装置52には新たにランク3、ランク4の定期レポートが作成された場合のみ警告を示す電子メールが送信される。また端末装置52には同代理店50の管轄下の建設機械31、32のみに関する警告が送信される。
また代理店50の経営部門側端末装置53には新たにランク4の定期レポートが作成された場合のみ警告を示す電子メールが送信される。また端末装置53には同代理店50の管轄下の建設機械31、32のみに関する警告が送信される。
またリース会社60の端末装置61には新たにランク2、ランク3、ランク4の定期レポートが作成された場合のみ警告を示す電子メールが送信される。また端末装置61には管轄下の建設機械31のみに関する警告が送信される。
また工事施工会社62の端末装置63には新たにランク3、ランク4の定期レポートが作成された場合のみ警告を示す電子メールが送信される。また端末装置63には管轄下の建設機械31のみに関する警告が送信される。
また現場事務所64の端末装置65には新たにランク2、ランク3、ランク4の定期レポートが作成された場合のみ警告を示す電子メールが送信される。また端末装置65には管轄下の建設機械31のみに関する警告が送信される。
さらに各端末装置ごとにアクセスできる情報の内容を更に細かく制限してもよい。たとえばカスタマ側の端末装置61、63、65には、定期レポートのうち要約した情報(トレンドデータ要約情報108、エラーコード要約情報110)のみ表示させるようにして、詳細な情報(トレンドデータグラフ109、エラーコード履歴112)については表示させないような実施も可能である。
また端末装置の表示画面上で、「新たに作成された警告を読んだ」という確認結果を示すデータを入力しその結果に応じてサーバ装置11から送信する情報を制御していもよい。たとえば端末装置の表示画面上で「電子メール確認」のボタンがクリック操作されると、この確認結果を示すデータがインターネット7を介してサーバ装置11に送信される。これによりサーバ装置11のデータベース12の記憶データが更新される。このため確認結果を示すデータを一定期間内に返信してきた特定の端末装置に対しては、既に電子メールにて「新しい」ものとして送信された警告は以後「新しい」警告としては再送しない。しかし確認結果を示すデータを一定期間内に返信しなかった特定の端末装置に対しては既に電子メールを送信してあったとしても確認結果が得られるまで「新しい」警告が作成されたものとして電子メールが再送される。
また本実施形態の管理情報提供サービスは有料で提供することができる。この場合、課金をオンラインで行うようにしてもよい。
サーバ装置11では、各端末装置14、15、16、51、52、53、61、63、65がデータベース12にデータをアクセスした日時、サーバ装置11へ通信接続されていた時間(ログイン時間)、アクセス内容を記録している。
そこで接続時間の長さに応じた料金をオンラインで課金してもよい。また定期レポートを検索した回数に応じた料金を課金してもよい。
以上のように本実施形態によれば、サービスマン側の端末装置51の表示画面100を介して異常度合いのランク1、2、3、4の情報を知ることができる。このため正常な範囲に入るような僅かな異常でも知ることができる。このためサービスマンは実際に故障が発生する前に現場に急行して建設機械31の異常を確かめることができる。また営業マン側の端末装置52の表示画面を介して異常度合いのランク3、4の情報のみを知ることができる。このため深刻な異常の情報のみを知ることができる。また経営者側の端末装置53の表示画面を介して異常度合のランク4のみを情報を知ることができる。このため故障が発生する可能性の高い情報のみを知ることができる。逆にサービスマン側の端末装置51に、深刻な異常の情報を示すランク3、4の情報のみを与えても、修理等を迅速に行うことができなくなるおそれがある。一方経営者側の端末装置53に、僅かな異常の情報を含むランク1、2、3、4の情報全てを与えてもそれは無用な情報であり結果的に有用な情報が無視されることになりかねない。
また情報を選別してサーバ装置11から各端末装置に送信しており一義的に全ての情報を送信するものではないので、通信コストを抑えることができる。
このように本実施形態によれば建設機械の管理者側に真に有用な情報のみを与えることができるとともに通信コストを抑えることができる。
ところで本実施形態の建設機械31、32側からサーバ装置11側への通信は通信衛星5による無線通信回線6にて行われる。一般に通信衛星5によるデータの通信は情報量に制約がある。たとえば1回の通信当たりの情報量のサイズは1kバイト以下に制約される。しかも通信料金が高いという問題がある。そこで通信を効率的に行うことができる実施形態について以下説明する。
本実施形態の建設機械31、32の車体内には通信衛星5との間で無線通信6を行う通信端末が設けられている。建設機械31、32は通常夜間などにはエンジンが稼動しない。つまり電源のスイッチはオフされている。
このため仮に電源のスイッチをオフにしてエンジンが稼動していない間でも電源であるバッテリ(定格電圧24V)と通信端末を常時電気的に接続しておくと、エンジンが稼動されていないためバッテリが発電機(オルタネータ)によって充電されない。このためバッテリで放電が急速に進行する。一方仮にエンジンがオフされている間にバッテリと通信端末との電気的な接続を常時オフにしておくと、通信衛星5との間で無線通信6が不可能になる。そこで本実施形態ではエンジンオフ時にサーバ装置11側から通信衛星5を介してコントローラ40内の建設機械情報を要求するデータが送信されると、その信号をトリガとして通信端末の電源回路を強制的に起動して、コントローラ40内の建設機械情報を通信端末から送信できるようにしている。このため夜間時であっても通信端末のアンテナから建設機械情報が通信衛星5を介して要求元のサーバ装置11に対して送信することができる。これにより夜間時の無駄な電力消費を抑えることができるとともに、夜間時のサーバ装置11側の急な要求に応えることができる。建設機械31、32の稼動が停止している夜間に、建設機械31、32内のオンボード情報D1を収集することができ、これに基づいて故障診断を行い、改修に必要な部品を発注することが可能となり、ダウンタイムなく効率よく修理等の作業を行うことができる。
図34は建設機械31、32で故障が発生する確率と時間経過との関係300を示すグラフである。横軸はサービスメータの計時値SMR(H)であり、縦軸は建設機械31、32で故障が発生する確率Pである。
同図34に示すように建設機械31、32の寿命は大きくは第1期301、第2期302、第3期303に分けられる。第1期301は新車時から一定時間が経過するまでの期間であり、工場における組み付けの不具合等により故障確率Pが比較的大きい期間である。ただし新車時から時間が経過するに伴い故障確率Pが低下していく。第2期302は第1期301に続く期間であり、故障確率Pが低い状態で安定する期間である。第2期302の終期はたとえば10000Hである。第3期303は第2期302に続く期間であり、部品が耐久時間に達して故障が時間の経過に伴い増えていく期間である。第3期303の終期はオーバーホール時間OV(たとえば16000H)である。
建設機械31、32の故障等の不具合は、故障確率Pが大きい期間であるほど生じやすい。このため故障確率Pが大きい期間ほど煩雑に建設機械情報を取得して建設機械31、32を監視する必要がある。逆に故障確率Pが小さい期間であるにもかかわらず煩雑に建設機械31、32側から建設機械情報を送信することにすると、通信コストが上昇するのみで監視上の利点は少ない。
そこで本実施形態では、故障確率Pが小さい期間であるほど長い送信間隔で、建設機械31、32側からサーバ装置11側にオンボード情報D1を送信するようにしている。
具体的には図34に示すように故障確率Pが小さい期間であるほど、送信間隔Sつまり前回の送信から今回の送信までの時間を長くする。
この場合図34に示すように第1期301、第2期302、第3期303の各期間内において送信間隔Sを異ならせてよく、第1期301、第2期302、第3期303毎に送信間隔を一定に定めてもよい。たとえば第1期301の故障確率Pの平均値P1を求め、この平均故障確率P1に応じて一義的な大きさの送信間隔S1を定めることができる。このため第1期301では同じ送信間隔S1で送信が行われる。また第2期302の故障確率Pの平均値P2を求め、この平均故障確率P2に応じて一義的な大きさの送信間隔S2を求める。このため第2期302では同じ送信間隔S2で送信が行われる。また第3期303の故障確率Pの平均値P3を求め、この平均故障確率P3に応じて一義的な大きさの送信間隔S3を求める。このため第3期303では同じ送信間隔S3で送信が行われる。たとえば送信間隔は第3期303、第1期301、第2期302の順に、S3<S1<S2と長くなるように設定される。なお第1期301と第3期303の送信間隔S1、S3を同じ送信間隔に設定してもよい。
このような送信間隔で建設機械31、32側から通信衛星5を介してサーバ装置11に定期的にオンボード情報D1を送信すれば、建設機械31、32の故障等の不具合を早期かつ正確に診断できるととともに、通信コストを抑えることができる。
また故障確率Pが小さい期間であるほど、少ない項目数の建設機械を建設機械31、32側からサーバ装置11側に送信するようにしてもよい。たとえば故障確率Pが小さい第2期302では、オンボード情報D1のうち主要な項目のトレンドデータのみを送信し、故障確率Pが大きい第3期303では、オンボード情報D1のうち全ての項目のトレンドデータを送信するとともに負荷頻度マップデータを送信するようにする。これにより故障等の不具合を更に正確に診断でき、通信コストを抑えることができる。
つぎに各種通信形態を組み合わせて故障診断を効率よく行う実施形態について説明する。
建設機械31、32側の建設機械情報をサーバ装置11側で取得する通信形態にはつぎに掲げるものがある。
(1)建設機械31、32側からの定期的な送信(図34に示す送信間隔で送信)
(2)サーバ装置11側の要求に応じて建設機械31、32の通信端末を起動して建設機械情報をサーバ装置11側に送信
(3)携帯端末装置19により建設機械情報をダウンロードすることによりインターネット7を介しての送信
そこでオンボード情報D1のうちトレンドデータおよびエラーコードの送信を、上記(1)の通信形態で行い、オンボード情報D1のうち頻度マップデータの送信を、上記(2)の通信形態で行うことができる。
またオンボード情報D1のうちトレンドデータのみの送信を、上記(1)の通信形態で行い、オンボード情報D1のうちエラーコード、スナップショットデータ、頻度マップデータは上記(3)の通信形態で行うようにしてもよい。上記(3)の通信形態でサーバ装置11側にデータを送信する際にはオンボード情報D1に加えて点検情報D3について同時に送信することができる。
(1)の通信形態と(2)の通信形態を組み合わせた場合にはつぎのような効果が得られる。
すなわち(1)の通信形態では、故障確率Pが小さい期間であるほど長い送信間隔で、建設機械31、32側からサーバ装置11側にオンボード情報D1を送信するようにしているので、故障確率Pが小さい期間では(1)の通信形態による送信Sの間隔が長くなる。
(1)の通信形態による送信Sの間隔が長くなっている場合に、建設機械31、32側のオペレータから「故障のおそれがある」という緊急の連絡がサーバ装置11側へあったとする。
この場合(2)の通信形態を介して、サーバ装置11側から建設機械31、32側へオンボード情報D1を要求するデータを送信すれば、オンボード情報D1が建設機械31、32側から要求元のサーバ装置11に(2)の通信形態を介して送信される。
このためサーバ装置11側では(1)の通信形態の送信Sの間隔が長い場合であったとしてもオンボード情報D1を即座に収集することができ、これに基づいて故障診断を行い、緊急の連絡に対して迅速に対処することが可能になる。
ところで近年、建設機械の内部には、エンジン、油圧ポンプなどの構成要素毎に複数のコントローラが設けられている。複数のコントローラはシリアル通信回線によって接続されており、このシリアル通信回線上にフレーム信号を伝送させることによって各コントローラ間でデータの送受信が行われる。
こうした車体内通信でも、上述した建設機械31、32とサーバ装置11との間の通信と同様に、各コントローラ間でデータの送受信を煩雑に行ったり一度に大量のデータを送受信すると、通信負荷が増大する。
そこで、つぎに建設機械31、32の車体内通信における通信負荷を低減させることができる実施例について説明する。
(実施例1)
図35は建設機械32の構成例を示している。他の建設機械31も同様に構成されているものとする。
この実施例1では建設機械32として、作業機802を備えた油圧ショベル、ホイールローダなどの建設機械を想定する。なお建設機械は車体内に複数のコントローラを備えるものであればよくダンプトラックなどを含むものとする。
この実施例1では建設機械32の車体150内に、複数のコントローラつまりモニタ用コントローラ811、情報管理用コントローラ812、バルブ用コントローラ813、ポンプ用コントローラ814、エンジン用コントローラ815、通信コントローラ154が設けられている場合を想定する。これら各コントローラ811、812、813、814、815、154は、所定の通信プロトコルにしたがって通信が行われるシリアル通信回線152によって相互に接続されている。
建設機械32はアーム、バケット等からなる作業機802を備えている。
作業機802は油圧シリンダ803に接続されている。油圧シリンダ803の各シリンダ室は油圧配管を介して方向流量制御バルブ804に接続されている。油圧シリンダ803の各シリンダ室へ圧油の供給する方向およびシリンダ室へ供給される圧油の流量は方向流量制御バルブ804が作動することによって、変化する。
方向流量制御バルブ804の作動は、バルブ用コントローラ813によって制御される。
方向流量制御バルブ804は油圧ポンプ805にポンプ吐出管路を介して接続されている。油圧ポンプ805の容量は斜板の傾動位置に応じて変化する。油圧ポンプ805の斜板は、斜板制御部806が作動することによって、変化する。
斜板制御部806の作動は、ポンプ用コントローラ814によって制御される。ポンプ用コントローラ814には各種センサ群164が接続されている。センサ群164は油圧ポンプ805の吐出圧を検出するセンサ164aを含んでいる。油圧ポンプ805はエンジン816によって駆動される。
エンジン816の燃料噴射量(トルク)、エンジン回転数等は、エンジン用コントローラ815によって制御される。エンジン用コントローラ815には、各種センサ群165が接続されている。センサ群165はエンジン816の冷却水の温度を検出するセンサ165a、サービスメータを含んでいる。
ポンプ用コントローラ814によって斜板制御部806が制御されると、油圧ポンプ805の斜板の傾動位置が変化し、油圧ポンプ805の容量が変化し、方向流量制御バルブ804に供給されるポンプ吐出流量が変化する。
バルブ用コントローラ813によって方向制御バルブ804が制御されると、油圧シリンダ803の各シリンダ室へ圧油が供給される方向および流量が変化し、油圧シリンダ803の駆動方向および駆動速度が変化する。これによって作業機802の作動方向および作動速度が変化する。
情報管理用コントローラ812には、他のコントローラには接続されていないセンサからなるセンサ群162が接続されている。センサ群162は、コンタミセンサ162a、建設機械の位置を検出する位置センサなどを含んでいる。
モニタ用コントローラ811はモニタパネル820に内蔵されている。モニタパネル820は建設機械32の運転室に設けられている。
モニタパネル820の外面には、表示画面821と各操作スイッチからなる操作スイッチ群822とが配置されている。
モニタ用コントローラ811はセンサ群162、164、165で検出されたセンサ検出値および情報管理用コントローラ812で生成したエラーコードを収集するとともに、センサ検出値が異常値に達している場合にはコーションランプを表示画面821上で点灯させる。そしてモニタ用コントローラ811は冷却水温などの建設機械の現在の状態および異常状態を示すエラーコードを、モニタパネル820の表示画面821に表示する。
またモニタパネル820の操作スイッチ群822を操作することにより、建設機械32の走行装置や作業機802を制御する制御データがモニタ用コントローラ811で生成される。制御データはモニタ用コントローラ811からシリアル通信回線152に出力される。たとえば操作スイッチ群822のうちいずれかの設定スイッチを操作することによって、作業機用操作レバーの操作量と作業機802の作動量との関係、つまり作業モードを、「重掘削」、「掘削」、「整正」、「微操作」のいずれかに設定することができる。
図35に示す実施形態では、図1で説明したのと同様に通信衛星5を経由してサーバ装置11と通信が行われる。
すなわち建設機械32の通信コントローラ154には、通信端末156が組み込まれている。通信端末156のアンテナ808と通信衛星5との間で、無線通信6が行われる。
情報管理用コントローラ812は、センサ群162、164、165で検出されたセンサ検出値(トレンドデータ)を収集し、センサ検出値が異常値に達している場合にはエラーコードを生成する。そして情報管理用コントローラ812は、これらセンサ検出値、エラーコードを内部のメモリに格納する。この場合エラーコードが生成された時刻を、リアルタイムクロックIC、発振器で計時し、エラーコードに時刻を対応づけた上で、メモリに記憶する。これにより建設機械32で発生したエラーコードの時系列的な履歴を管理することができる。また情報管理用コントローラ812はスナップショットデータ、頻度マップデータを生成する。
シリアル通信回線152上には所定の通信プロトコルのフレーム信号が伝送される。フレーム信号が各コントローラ811、812、813、814、815、154に伝送されると、フレーム信号に記述されたデータに従い各コントローラ811、812、813、814、815、154に接続された制御対象に駆動信号が出力され、各制御対象が駆動制御される。
たとえばモニタパネル820の操作スイッチ群822によって作業モードとして負荷の大きい作業を示す「重掘削」モードが設定されると、この「重掘削」モードを示す制御データが、上記フレーム信号に記述されて、モニタ用コントローラ811からエンジン用コントローラ815へシリアル通信回線152を介して送信される。
このためエンジン用コントローラ815では、フレーム信号が受信され、記述された「重掘削モード」を示す制御データが読み取られる。そして「重掘削モード」に対応した燃料噴射量、目標回転数となるようにエンジン816が制御される。
以上モニタ用コントローラ811とエンジン用コントローラ815間でフレーム信号によってデータの受け渡しが行われる場合を説明した。他のコントローラ相互間でも同様にしてフレーム信号によってデータの受け渡しがなされる。
ポンプ用コントローラ814は、センサ群164を構成する各センサの検出値を取り込み、センサ検出値を、シリアル通信回線152を介して情報管理用コントローラ812に送信する。
同様にエンジン用コントローラ815は、センサ群165を構成する各センサの検出値を取り込み、センサ検出値を、シリアル通信回線152を介して情報管理用コントローラ812に送信する。
情報管理用コントローラ812は、シリアル通信回線152を介して送信されてきたセンサ検出値を取り込むとともにセンサ群162を構成する各センサの検出値を取り込み、これらセンサ検出値およびこれらセンサ検出値に基づくエラーコード、スナップショットデータ、頻度マップデータを、シリアル通信回線152を介して通信コントローラ154に送信する。
通信コントローラ154は、シリアル通信回線152を介して送信されてきたセンサ検出値およびエラーコード、スナップショットデータ、頻度マップデータを取り込みオンボード情報D1として通信端末156に送る。通信端末156はオンボード情報D1をアンテナ808から無線通信6で通信衛星5に送信する。この結果通信衛星5から無線通信6でオンボード情報D1がサーバ装置11に送信され、サーバ装置11でオンボード情報D1に基づき建設機械32に関する故障等の異常診断が行われる。他の建設機械31についても同様にして故障等の異常診断が行われる。
建設機械31、32の故障等の不具合は、故障確率Pが大きい期間であるほど生じやすい。このため故障確率Pが大きい期間ほど煩雑に建設機械情報を取得して建設機械31、32を監視する必要がある。逆に故障確率Pが小さい期間であるにもかかわらず煩雑に建設機械31、32側から建設機械情報を送信することにすると、通信コストが上昇するのみで監視上の利点は少ない。
そこで本実施形態では、故障確率Pが小さい期間であるほど長い送信間隔で、建設機械31、32側からサーバ装置11側にオンボード情報D1を送信すべく、車体内通信においても同様な送信間隔で送信している。
具体的には図34に示すように故障確率Pが小さい期間であるほど、送信の間隔Sを長くする。
この場合図34に示すように第1期301、第2期302、第3期303の各期間内において送信間隔Sを異ならせてよく、第1期301、第2期302、第3期303毎に送信間隔を一定に定めてもよい。たとえば第1期301の故障確率Pの平均値P1を求め、この平均故障確率P1に応じて一義的な大きさの送信間隔S1を定めることができる。このため第1期301では同じ送信間隔S1で送信が行われる。また第2期302の故障確率Pの平均値P2を求め、この平均故障確率P2に応じて一義的な大きさの送信間隔S2を求める。このため第2期302では同じ送信間隔S2で送信が行われる。また第3期303の故障確率Pの平均値P3を求め、この平均故障確率P3に応じて一義的な大きさの送信間隔S3を求める。このため第3期303では同じ送信間隔S3で送信が行われる。たとえば送信間隔は第3期303、第1期301、第2期302の順に、S3<S1<S2と長くなるように設定される。なお第1期301と第3期303の送信間隔S1、S3を同じ送信間隔に設定してもよい。
たとえばエンジン冷却水温センサ165aの検出温度データはエンジン用コントローラ815からシリアル通信回線152を介して、図34に示す送信間隔Sで情報管理用コントローラ812に送信され、情報管理用コントローラ812は、冷却水温の検出温度データおよび冷却水温異常を示すエラーコード、スナップショットデータ、頻度マップデータをシリアル通信回線152を介して、図34に示す送信間隔Sで通信コントローラ154に送信する。
同様にしてポンプ吐出圧センサ164aの検出吐出圧データはポンプ用コントローラ814からシリアル通信回線152を介して、図34に示す送信間隔Sで情報管理用コントローラ812に送信され、情報管理用コントローラ812は、ポンプ吐出圧の検出吐出圧データおよび吐出圧異常を示すエラーコード、スナップショットデータ、頻度マップデータをシリアル通信回線152を介して、図34に示す送信間隔Sで通信コントローラ154に送信する。
同様にして情報管理用コントローラ812は、コンタミセンサ162aで検出された作動油の粉塵の量を示すデータおよび粉塵量異常を示すエラーコード、スナップショットデータ、頻度マップデータをシリアル通信回線152を介して、図34に示す送信間隔Sで通信コントローラ154に送信する。
このような送信間隔で車体内通信を行うとともに、同じ送信間隔で建設機械31、32側から通信衛星5を介してサーバ装置11にオンボード情報D1を送信すれば、建設機械31、32の故障等の不具合を早期かつ正確に診断できるととともに、車体内通信の負荷を低減することができる。
また車体内通信における送信間隔を図34に示す送信間隔とし、建設機械31、32側からサーバ装置11側に送信する間隔を、図34に示すものとは異なる間隔、たとえば一定の送信間隔に設定してもよい。
ただし図34に示す送信間隔は一義的なものではなく、データを送信する緊急度が高い場合には、設定された送信間隔の途中で送信してもよい。
たとえばエンジン用コントローラ815が、センサ165aで検出された冷却水温が異常な値を示していると判断した場合には、図34に示される送信間隔Sの途中で冷却水温データを情報管理用コントローラ812に送信する。そして情報管理用コントローラ812は、冷却水温の検出温度データおよび冷却水温異常を示すエラーコード、スナップショットデータ、頻度マップデータをシリアル通信回線152を介して、図34に示す送信間隔Sの途中で通信コントローラ154に送信する。
同様にポンプ用コントローラ814が、センサ164aで検出されたポンプ吐出圧が異常な値を示していると判断した場合には、図34に示される送信間隔Sの途中でポンプ吐出圧データを情報管理用コントローラ812に送信する。そして情報管理用コントローラ812は、ポンプ吐出圧の検出吐出圧データおよび吐出圧異常を示すエラーコード、スナップショットデータ、頻度マップデータをシリアル通信回線152を介して、図34に示す送信間隔Sの途中で通信コントローラ154に送信する。
同様にして情報管理用コントローラ812は、コンタミセンサ162aで検出された作動油の粉塵の量を示すデータが異常な値を示していると判断した場合には、図34に示される送信間隔Sの途中で粉塵量を示すデータおよび粉塵量異常を示すエラーコード、スナップショットデータ、頻度マップデータをシリアル通信回線152を介して、通信コントローラ154に送信する。
また情報管理用コントローラ812で生成されるエラーコード、スナップショットデータ、頻度マップデータに関して、データを送信する緊急度が高い場合には、設定された送信間隔の途中で送信してもよい。すなわち情報管理用コントローラ812は、同じエラーコードが一定時間内にしきい値以上の回数生成された場合には、図34に示される送信間隔Sの途中で該当するエラーコードをシリアル通信回線152を介して、通信コントローラ154に送信する。
またサーバ装置11からデータ要求があった場合には、図34に示す送信間隔の途中であっても、要求があった時点でデータを送信することができる。
たとえばサーバ装置11から冷却水温データ送信の要求があった場合には、エンジン用コントローラ815は、図34に示される送信間隔Sの途中で冷却水温データを情報管理用コントローラ812に送信する。そして情報管理用コントローラ812は、冷却水温の検出温度データおよび冷却水温異常を示すエラーコード、スナップショットデータ、頻度マップデータをシリアル通信回線152を介して、図34に示す送信間隔Sの途中で通信コントローラ154に送信する。そして建設機械32からオンボード情報D1がサーバ装置11に送信される。
同様にサーバ装置11からポンプ吐出圧データ送信の要求があった場合には、ポンプ用コントローラ814は、図34に示される送信間隔Sの途中でポンプ吐出圧データを情報管理用コントローラ812に送信する。そして情報管理用コントローラ812は、ポンプ吐出圧の検出吐出圧データおよび吐出圧異常を示すエラーコード、スナップショットデータ、頻度マップデータをシリアル通信回線152を介して、図34に示す送信間隔Sの途中で通信コントローラ154に送信する。そして建設機械32からオンボード情報D1がサーバ装置11に送信される。
同様にしてサーバ装置11から粉塵量データ送信の要求があった場合には、情報管理用コントローラ812は、図34に示される送信間隔Sの途中で粉塵量を示すデータおよび粉塵量異常を示すエラーコード、スナップショットデータ、頻度マップデータをシリアル通信回線152を介して、通信コントローラ154に送信する。そして建設機械32からオンボード情報D1がサーバ装置11に送信される。
また以上の説明では、センサで検出されたデータを送信する場合を想定しているが、送信されるデータとしては、センサで検出されたデータに限定されるものでなく、アクチュエータに対する指令を示すデータであってもよい。
たとえばバルブ用コントローラ813は、方向流量制御バルブ804を制御している。そこで、方向流量制御バルブ804に対する制御指令を、図34に示される送信間隔Sでバルブ用コントローラ813から情報管理用コントローラ812に送信してもよい。
またポンプ用コントローラ814は、斜板制御部806を制御している。そこで、斜板制御部806に対する制御指令を、図34に示される送信間隔Sでポンプ用コントローラ814から情報管理用コントローラ812に送信してもよい。
またエンジン用コントローラ815は、エンジン816の燃料噴射量(トルク)、エンジン回転数等を制御している。そこで、エンジン816に対する制御指令を、図34に示される送信間隔Sでエンジン用コントローラ815から情報管理用コントローラ812に送信してもよい。
またモニタ用コントローラ811には、モニタパネル820の操作スイッチ群822の操作内容を示すデータ、たとえば現在の作業モードが入力される。そこで、操作スイッチ群822の操作内容を示すデータ、たとえば現在の作業モードを、図34に示される送信間隔Sでモニタ用コントローラ811から情報管理用コントローラ812に送信してもよい。
(実施例2)
上述した実施例1では、サーバ装置11にオンボード情報D1を送信して、建設機械31、32の故障等の異常を診断している。
しかし情報管理用コントローラ812で故障等の異常を診断し、その診断結果を建設機械31、32からサーバ装置11に送信してもよく、この場合の送信間隔を図34に示す送信間隔Sに設定することができる。
(実施例3)
上述した実施例1では、コントローラ811、813、814、815からセンサ検出値あるいは制御指令あるいはスイッチ操作内容を情報管理用コントローラ812に送信し、情報管理用コントローラ812でエラーコードを生成するなどして異常を判断している。
しかしコントローラ811、813、814、815でエラーコードを生成するなどして異常を判断し、その異常判断結果をコントローラ811、813、814、815から情報管理用コントローラ812に送信してもよく、この場合の送信間隔を図34に示す送信間隔Sに設定することができる。
上述した実施例1、実施例2、実施例3では図34に示すように建設機械31、32の稼動時間(サービスメータの計時値SMR)と故障発生確率Pとの関係300を設定し、稼動時間SMR、故障発生確率Pをパラメータとして送信間隔Sを変化させている。
しかし図36に示すように、建設機械31、32の稼動時間(サービスメータの計時値SMR)と送信間隔Sとの関係304を設定し、稼動時間SMRをパラメータとして送信間隔Sを変化させてもよい。この場合、送信間隔Sは、図34と同様に故障発生確率Pに応じて変化させてもよく、故障発生確率P以外のパラメータに応じて変化させてもよい。
また図36では建設機械31、32の稼動時間に応じて送信間隔Sを変化させているが、送信間隔Sを変化させる代わりに図37に示すように送信データの項目数Nを変化させてもよい。
エンジン用コントローラ815から情報管理用コントローラ812に送信する場合を例にとる。センサ群165は冷却水温センサ165a、エンジン回転数センサ、油温センサ、油圧センサ等々からなっているものとし、これらセンサの検出内容「冷却水温」、「エンジン回転数」、「油温」、「油圧」である各項目には、優先順位が予め付けられているものとする。優先順位が高いものから順に「冷却水温」、「エンジン回転数」…とする。
そこで、エンジン用コントローラ815は、図37に示す関係305にしたがい、送信すべき項目数Nが少ない時期には、優先順位の高い項目(たとえば「冷却水温」)を送信し、送信すべき項目数Nが大きくなる時期には、優先順位の低い項目を含めて(たとえば「冷却水温」に「エンジン回転数」…などの項目を含めて)、送信する。
また図37において項目数Nの代わりに情報量としてもよい。つまり1回の送信あたりの情報量のサイズ(バイト数)を変化させてもよい。
また図36、図37に示されるカーブ304、305は一例であり、たとえば新車時からの稼動時間SMRが長くなるほど、送信間隔Sが短くあるいは長くなるようにカーブ304を設定してもよく、新車時からの稼動時間SMRが長くなるほど、項目数N(あるいは情報量)が大きくあるいは小さくなるようにカーブ305を設定してもよい。
また以上の説明では建設機械31、32の故障等の異常の診断を行うために、送信間隔Sを変えてデータを送信しているが、異常診断以外の目的のために、送信間隔Sを変えてデータを送信してもよい。
たとえば建設機械31、32の盗難等を防止する目的のために、位置センサ(たとえばGPSセンサ)の検出位置データを、送信間隔Sを変えて送信してもよい。この場合、新車時ほど建設機械31、32の商品価値が高いので、短い送信間隔Sで位置データを送信し、稼動時間SMRが長くなるほど長い送信間隔Sで位置データを送信するように、図36に示すカーブ304を設定することができる。
また建設機械31、32の定期点検を目的とする場合には、定期点検時期に近づくほど短い送信間隔Sあるいは項目数N(情報量)のデータを送信するように、図36に示すカーブ304、図37に示すカーブ305を設定することができる。