JP4540285B2 - 2つの入力オーディオ信号から少なくとも3つのオーディオ信号を導出する方法 - Google Patents

2つの入力オーディオ信号から少なくとも3つのオーディオ信号を導出する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明はオーディオ信号に関する。特に、本発明は、一対のオーディオ入力信号の各流れ(又は「各信号」又は「各チャンネル」)から3つ又はそれ以上のオーディオ入力信号の各流れ(又は「各信号」又は「各チャンネル」)を導出する「適応」(又は「能動」)オーディオマトリックス方法を用いる「多重方向」(又は「多重チャンネル」)オーディオ復号に関する。本発明は、各信号が方向と関連づけられかつ符号化マトリックスによってより少ない数の各信号に結合されたオーディオ信号を回復するのに有用である。本発明はそのような意図的マトリックス符号化に関して記載されるが、本発明はなにも特定のマトリックス符号化で用いられる必要はなくかつ元来2チャンネル再生用に記録された素材から満足な方向効果を発生させるためにも有用である。
【0002】
【背景技術】
オーディオマトリックス符号化及び復号は先行技術でよく知られている。例えば、「4−2−4」マトリックス符号化及び復号では、4つの源信号、即ち、概して4つの基本方向(例えば、左、中央、右及び環境又は左前方、右前方、左後方及び右後方のような)が2つの信号へ振幅‐位相マトリックス符号化される。2つの信号は伝送又は記憶された後、4つの元源信号の近似値を回復するために振幅‐位相マトリックスデコーダで復号される。マトリックスデコーダでは復号されたオーディオ信号間クロストークという周知の不利益を受けるので、復号された信号は近似値である。理想的には、復号された信号は、信号間に無限の境界線を有する源信号と同一にされるべきである。しかし、マトリックスデコーダに内在するクロストークは、隣接方向と関連する信号間で唯の3dBの分離に帰着するに過ぎない。マトリックス特性が変わらないオーディオマトリックスは「受動」マトリックスとして知られる。
【0003】
マトリックスデコーダのクロストーク問題を克服するために、復号された信号間の分離を改良してより密接に源信号を近似するように復号マトリックス特性を適応的に変えることが先行技術では知られている。そのような能動デコーダのよく知られた例は、米国特許第4,799,260号に記載されたドルビープロロジック(Dolby Pro Logic)デコーダである。同特許は参照によりそのすべてが本明細書に含まれる。’260特許はそれに対する先行技術である多数の特許に言及し、その多くは適応マトリックスデコーダの各種の他の型につき記載する。他の先行技術特許は、米国特許第5,625,696、5,644,640、5,504,819、5,428,687及び5,172,415号を含む。これらの各特許も参照によりそのすべてが本明細書に含まれる。
【0004】
先行技術の適応技術マトリックスデコーダは、再生された信号のクロストークを低減させ、源信号をより密接に複写することを意図し、先行技術では各方法でそのようにしているが、その多くは複雑かつ厄介であり、同方法では、デコーダを単純化してデコーダの精度を改良するのに用いられ得る、デコーダの中間信号間の望ましい関係が認識されていない。
【0005】
従って、本発明は、適応マトリックスデコーダの中間信号間でこれまで理解されなかった関係を認識しかつそれを用いる方法及び装置に向けられる。これらの諸関係を活用すること、特に負フィードバックを用いる自動自己相殺装置を用いることによって望ましくないクロストーク成分が容易に相殺され得る。
【0006】
【課題を解決する手段】
本発明の一面によると、本発明は2つの入力信号から少なくとも3つのオーディオ出力信号を導出する方法を構成し、そこでは2つのオーディオ信号に応答して2対のオーディオ信号を発生させる受動マトリックスによって2つの入力オーディオ信号から4つのオーディオ信号が導出される。即ち、導出されたオーディオ信号の第1対が第1軸上に横たわる各方向を表し(「左」及び「右」のような)、導出されたオーディオ信号の第2対が第2軸上に横たわる各方向を表し(「中央」及び「環境」のような)、前記第1及び第2軸が実質的に互いに直角をなす。導出されたオーディオ信号の各対は、それぞれの第1及び第2対(それぞれ左/右及び中央/環境対)の中間オーディオ信号を発生させるように処理され、中間オーディオ信号各対において該オーディオ信号の該相対的振幅が同等になるよう強制される。第1対(左/右対)の中間信号が発生される導出されたオーディオ信号対(左/右対)の軸上に横たわる第1方向を表わす第1出力信号(左出力信号Loutのような)は、同一極性で、中間オーディオ信号の第2対(中央/環境対)の各々の少なくとも一成分を結合することによって発生される。第1対(左/右対)の中間信号が発生される導出されたオーディオ信号対(左/右対)の軸上に横たわる第2方向を表わす第2出力信号(右出力信号Routのような)は、逆極性で、中間オーディオ信号の第2対(中央/環境対)の各々の少なくとも一成分を結合することによって発生される。第1対(左/右対)の中間信号が発生される導出されたオーディオ信号対(中央/環境対)の軸上に横たわる第1方向を表わす第3出力信号(中央出力信号Cout又は環境出力信号Soutのような)は、同一極性又は逆極性で、中間オーディオ信号の第1対(中央/環境対)の各々の少なくとも一成分を結合することによって発生される。任意に、中間信号の第2対(中央/環境)が発生される導出されたオーディオ信号の対(中央/環境)の軸上に横たわる第2方向を表す第4信号(第3出力信号が中央出力信号Coutならば環境信号Sout、又は第3出力信号がSoutならばCoutのような)は、第3出力信号を同一極性で結合することによって発生されたならば、逆極性で、又は第3出力信号が逆極性で結合することによって発生されたならば、同一極性で、中間オーディオ信号の前記第1対
(左/右対)の各少なくとも一成分を結合することによって発生される。
【0007】
符号化された信号間でこれまで価値が認められなかった関係は、中間オーディオ信号各対の大きさが平等になるように強制されることによって、復号された出力信号の望ましくないクロストーク成分が実質的に抑圧されると言うことである。同原理は、実質的なクロストーク相殺を達成するために完全な平等を要しない。このような処理は、望ましくないクロストーク成分の相殺を自動的に行うようにさせる負フィードバック装置を用いることによって容易にかつ望ましく実施される。
【0008】
本発明は、同等のトポロジーをもつ各実施形態を含む。上記すべての実施形態において各中間信号は、一対の入力信号に作用する受動マトリックスから導出され、これらの中間信号が平等になるように強制される。第1トポロジーを用いる実施形態では、中間信号の相殺成分は、出力信号を発生させるために受動マトリックス信号(入力信号に作用する又は別の受動マトリックスからの)と結合される。第2トポロジーを用いる実施形態では、中間信号対が出力信号に結合される。
【0009】
本発明の他の面は、追加の出力信号を発生させる追加の制御信号の導出を含む。
【0010】
本発明の第1目的は、先行技術では前例のない、精度に関する特定要件のない回路を用いると共に制御路の異常な複雑さを要しない回路要素を用いて、広範な各種の入力信号条件下で測定かつ知覚可能に高度なクロストーク相殺を達成することである。
【0011】
本発明の他の目的は、先行技術の回路より単純かつ低コストの回路要素でそのような高性能を達成することである。
【0012】
【本発明を実施する最良の態様】
受動復号マトリックスが図1に機能的かつ図式的に示される。以下のは出力を入力L及び R(左全体及び右全体)
out=L (式1)
out=R (式2)
out=1/2*(L+R) (式3)
out=1/2*(L−R) (式4)
本明細書全体を通して上記又は他の各式で用いられるで符号「*」は乗算を示す。
【0013】
中央出力は各入力の和であり、環境出力は各入力の差である。さらに、双方共に任意の尺度化(縮尺)を有し、説明を簡単にするために1/2にされる。他の尺度化値も可能である。Coutは、縮尺率+1/2を持つL及びRを線形結合器2に作用させることによって得られる。Sout出力は、それぞれ縮尺率+1/2及び−1/2を持つL及びRを線形結合器4に作用させることによって得られる。
【0014】
図1の受動マトリックスは、従って2対のオーディオ信号、即ち、第1対であるLoutとRout及び第2対であるCoutとSoutを発生させる。この例では、受動マトリックスの基本方向は、左、中央、右及び環境と呼ばれる。隣接する各基本方向は、これらの方向ラベルに対して、左が中央及び環境に隣接するように、環境が左及び右に隣接するように等、互いに直角をなす軸上に横たわる。本発明は任意の直角2:4復号マトリックスに適用される。
【0015】
受動マトリックスデコーダは、mオーディオ信号からnオーディオ信号を導出し、不変関係{例えば、図1ではCoutは常に1/2*(Rout+Lout)}によりnはmより大きい。対照的に、能動マトリックスデコーダは可変関係によりnオーディオ信号を導出する。能動マトリックスを構成する一方法は、信号依存の各信号成分を受動マトリックスの各出力信号と結合することである。例えば、図2に機能的かつ図式的に示されるように、受動マトリックス出力の可変的に尺度化された出力を導出する、4つのVCA(電圧制御アンプ)6、8、10及び12は、線形結合器14、16、18及び20内で、変化されてない受動マトリックス出力(即ち、結合器2及び4の2つの出力に沿った2つの入力自体)と合算される。各VCAは、受動マトリックスの左、右、中央及び環境からそれぞれ導出されたそれらの入力をもつので、それらの利得はg、g、g及びg(すべて正)と呼ばれ得る。VCA出力信号は相殺信号を構成すると共に、クロストークを抑圧することによってマトリックスデコーダの方向性を向上させるために、相殺信号が導出される各方向からのクロストークをもつ、受動的に導出された出力と結合される。
【0016】
図2の装置では、受動マトリックスの各路がなお存在することに注目のこと。各出力は、各受動マトリックス出力と2つのVCA出力との和である。VCA出力は、それぞれの受動マトリックス出力に対する所望のクロストーク相殺を与えるために、クロストーク成分は隣接する基本方向を表す各出力で起こることを考慮して、各VCA出力が選択されかつ尺度化される。例えば、中央信号は受動的に復号された左及び右信号のクロストークをもち、環境信号は受動的に復号された左及び右信号のクロストークをもつ。従って、左信号出力は、受動的に復号された中央及び環境信号から得られた相殺信号成分と結合されるべきであり、また他の4つの出力についても同様である。図2において各信号が尺度化され、極性化されかつ結合される方法が、所望のクロストーク抑制を与える。ゼロから1の範囲でそれぞれのVCA利得を変えることによって(図2の尺度化例に関して)受動的に復号された出力の望ましくないクロストーク成分が抑制され得る。
【0017】
図2の装置は以下の式をもつ。
【0018】
out=Lt‐g*(Lt+Rt)‐gs*1/2*(Lt−Rt) (式5)
out=Rt‐g*1/2*(Ltt)+gs*1/2*(Lt−Rt) (式6)
out=1/2*(Lt+Rt)‐g*1/2*Lt‐g*1/2*Rt (式7)
out=1/2*(Lt−Rt)‐g*1/2*L+g*1/2*R (式8)
【0019】
すべてのVCAがゼロの利得をもつならば、装置は受動マトリックスと同一である。すべてのVCAの任意の等価に対して、図2の装置は一定尺度化を除けば受動マトリックスと同一である。例えば、すべてのVCAが0.1の利得を持つならば、
out=Lt‐0.05*(Lt+Rt)‐0.05*(Lt−Rt)=0.9*Lt
out=Rt‐0.05*(Lt+Rt)‐0.05*(Lt−Rt)=0.9*Rt
out=1/2*(Lt+Rt)‐0.05*Lt‐0.05*Rt=0.9*1/2*(Lt+Rt
out=1/2*(Lt−Rt)‐0.05*Lt+0.05*Rt=0.9*1/2*(Lt‐Rt
結果は、縮尺率0.9で縮尺された受動マトリックスである。従って、以下に記載する、静止した(無活動)VCA利得の正確な値は決定的ではない。
【0020】
一例を検討すると、基本方向(左、右、中央及び環境)のみに対して、それぞれの各入力信号は、Ltのみ、Rtのみ、Lt=Rt(同一極性)及びLt=‐Rt(逆極性)であり、対応する所望の各出力は、Loutのみ、Routのみ、Coutのみ及びSoutのみである。各場合において、理想的には、一出力のみは一信号を与えるべきであり、残余のものは何も与えるべきではない。
【0021】
検査により、各VCAが制御されて、所望の基本方向に相当する1つが1の利得をもち、残余のものが1より遥かに小さいとするならば、所望の1つを除くすべての出力において、VCA信号は不要な入力を出力を相殺するであろう。既に述べたように、図2の構成では、VCA出力は隣接の基本方向(受動マトリックスはその中にクロストークを有する)のクロストーク成分を相殺するように作動する。
【0022】
従って、例えば、両入力が平等な同位相信号で供給されるとすれば、Rt=Lt=(例えば)1であり、その結果としてgc=ゼロ及びgl、gr及びgsはすべてゼロとなり、以下が得られる。
【0023】
out=1‐1*1/2*(1+1)‐0*1/2*(1−1)=0
out=1‐1*1/2*(1+1)+0*1/2*(1−1)=0
out=1/2*(1+1)−0*1/2*1‐0*1/2*1=1
out=1/2*(1-1)−0*1/2*1+0*1/2*1=0
唯一の出力は所望のCoutからである。同様な計算は、同一のことが他の3つの基本方向の1つのみからの信号の場合に当てはまることを立証するであろう。
【0024】
式5、6、7及び8は以下のように同等に記載し得る。
【0025】
out=1/2*(Lt+Rt)*(1‐gc)+1/2*(Lt−Rt)*(1‐gs
(式9)
out=1/2*Lt*(1‐gl)+1/2*Rt*(1‐gr
(式10)
out=1/2*(Lt+Rt)*(1‐gc)−1/2*(Lt−Rt)*(1‐gs
(式11)
out=1/2*Lt*(1‐gl)−1/2*R*(1‐gr
(式12)
この装置では、各出力は2つの信号の結合である。Lout及びCoutは、入力信号の和と差及び和と差VCA(その入力は中央及び環境方向から導出され、対をなす方向は左及び右方向に対して直角である)の各利得の双方を含む。Cout及びSoutは、実際の各入力信号及び左と右VCA(その入力は左及び右向から導出され、対をなす各方向は中央及び環境方向に対して直角である)の各利得を含む。
【0026】
非基本方向を考察すると、そこではRtは、同一極性であるが減衰された同一信号Ltと共に供給される。この条件は、左及び中央基本方向間のある場所に置かれた信号を表し、従ってLout及びCoutからの出力を伝え、Rout及びSoutからは殆ど又は全く出力を伝えるべきではない。
【0027】
out及びSoutについては、2つの項が大きさは同等であるが極性が逆であるとすればこのゼロ出力が達成される。
【0028】
outにつき、この相殺に対する関係は以下のとおりである。
【0029】
[1/2*(Lt+Rt)*(1‐gc)の大きさ
=[1/2*(Lt‐Rt)*(1‐g)の大きさ (式13)
outにつき、対応する関係は以下のとおりである。
【0030】
[1/2*Lt*(1‐g)の大きさ
=[1/2*Rt*(1‐g)の大きさ (式14)
任意の2基本方向間でパンされた(又は単に置かれた)信号の考察は、同一の2つの関係を現すであろう。言い換えると、各入力信号が任意の2つの隣接出力間でパンされた音を表す場合、これらの大きさ関係は、音がこれらの2隣接基本方向に対応する出力から現れかつ他の2出力は何も伝えないことを保証するであろう。その結果を実質的に達成するために、各式9−12の2つの各項の大きさは平等になるように強制、即ち、強制されるべきである。これは能動マトリックス内の2対の信号の相対的大きさを等しく保つことを追求することによって達成し得る。即ち、
[(Lt+Rt)*(1‐gc)の大きさ
=[(Lt‐Rt)*(1‐g)の大きさ (式15)
[Lt*(1‐g)の大きさ
=[Rt*(1‐g)の大きさ (式16)
式15及び16に示される所望の関係は、尺度化の省略を除き式13及び14のものと同一である。各信号が結合される極性及びそれらの尺度化は、図2の結合器14、16、18及び20におけるようにそれぞれの出力が得られる時に処理され得る。
【0031】
本発明は、これまで価値が認められていなかった平等な振幅規模関係の発見に基づくと共に、以下に述べるように、これらの関係を保つために自動フィードバック制御の使用に基づくのが望ましい。
【0032】
不要なクロストーク信号成分の相殺に関する上記検討及び基本方向に対する要件から、本説明に用いられる尺度化に関してVCAに対する最大利得は1であるべきことを結論づけることができる。対をなす一VCAの利得がその静止値から1に向けて上昇することを要する時、同対の他方は静止利得に留まるか又は逆方向に移動し得る。便利な実際的関係は同対の利得の積を一定に保つことである。dB利得がVCA制御電圧の線形関数であるアナログVCAを用いることで、制御電圧が対の2つに平等(しかし事実上逆極性で)に加えられるとすれば、これは自動的に起こる。勿論、本発明は、アナログ成分を用いるよりはむしろデジタル的又はソフトウエアの形で実施され得る。
【0033】
従って、例えば、静止利得を1/aとすれば、各対の2つの利得間の実際的関係は以下のようなそれらの積であり得る。
【0034】
*gr=1/a及び
c*gs=1/a
“a”に対する値は10乃至20の囲にあるであろう。
【0035】
図3は、図2の左及び右VCA(それぞれ6及び12)に対するフィードバック導出される制御システムを示す。それは入力信号 Lt及びRtを受信し、中間信号Lt*(1‐g)及びRt*(1‐g)を得るためにそれらを処理し、中間信号の大きさを比較し、大きさの任意の差に応答して誤り信号を発生させる。誤り信号は各VCAを通じて大きさの差を減少させるようにする。そのような結果を達成させる一方法は、それらの大きさを導出するために中間信号を整流して2つの大きさ信号を比較器に加え、比較器が、例えば、Lt信号の増加がgを増加させかつgrを減少させるような極性で各VCAの利得を制御するようにさせることである。各回路値(又は、デジタル又はソフトウエア実施例の同等値)は、比較器の出力がゼロならば、静止アンプ利得が1未満になるように選ばれる。
【0036】
アナログ領域では、比較機能を実施する実際的方法は、2つの大きさを対数領域に変換し、比較器がそれらの比を決めるよりはむしろそれらを減算するようにさせることである。多くのアナログVCAは制御信号の指数に比例する利得を有し、対数を基礎とする比較器の制御出力の真数を内在的かつ便宜的にとるようにされる。しかし、対照的に、デジタル的に実施されるならば、2つの大きさを分割し、結果的に得られたものをVCA機能に対する直接乗数又は除数として用いることがより便利であろう。
【0037】
さらに特定的すると、図3に示されるように、Lt入力は左VCA6及び線形結合器22に加えられ、そこでそれは+1の尺度化が施される。左VCA6出力は‐1尺度化(従って減算器を構成する)で結合器22に加えられ、結合器22の出力が全波整流器24に加えられる。Rt入力は右VCA12及び線形結合器26に加えられ、そこでそれは+1の尺度化が施される。右VCA12出力は‐1の尺度化(従って減算器を構成する)で結合器26に加えられ、結合器26の出力が全波整流器28に加えられる。整流器24及び28各出力は、それぞれ演算増幅器30の非反転及び反転入力に加えられる。オペアンプ30出力は、反転なしでVCA6の利得制御入力にかつ極性反転されてVCA12の利得制御入力に加えられる、誤り信号の性質をおびた制御信号を与える。誤り信号は、大きさが平等にされるべき2信号の大きさの相違を示す。この誤り信号は、各中間信号の大きさの差を減少させるために各VCAを正しい方向に「向ける」ように用いられる。結合器16及び18への出力はVCA6及び12からとられる。従って、各中間信号の成分のみが出力結合器、即ち、Ltr及びRtlに加えられる。
【0038】
定常状態信号条件のために、十分なループ(閉回路)利得を与えることによって大きさの差は無視できる大きさに減少され得る。しかし、実質的なクロストーク相殺を達成するために大きさの差をゼロ又は無視できる量に減少させる必要はない。例えば、dB差を10倍だけ下げるのに十分なループ利得は、理論的に最悪の場合でも30dB低下よりよいクロストークに帰着する。動的条件に対しては、フィードバック制御装置の時定数は、一面では少なくとも大抵の信号条件に対して本質的に聴取不能にするために大きさが平等になるよう強制するように選択すべきである。記載された各種構成における時定数選択の詳細は本発明の範囲外である。
【0039】
回路パラメータは、約20dBの負フィードバックを与えかつVCA利得が1を超え得ないように選ばれるのが望ましい。VCA利得はある小さな値(例えば、1より遥かに小さい1/a)から、図2、4及び5の装置と関連して本明細書に記載された各尺度化例に対する1の数(単位元)以下の範囲で変わる。負フィードバックのため図3の装置は、整流器に入る信号をほぼ同等に保持するように作動する。
【0040】
利得が小さいならばその正確な値は決定的ではないので、対の一方の利得が1に向けて上昇する時はいつでも他方の利得を小さい値に強制するような任意の関係は何れも同様な受容可能な結果を生じさせるであろう。
【0041】
図2の中央及び環境VCA(それぞれ、8及び10)に対するフィードバック導出される制御システムは、既に述べた通り、図3の装置と実質的に同一である。しかし、Lt及びRtではなくてそれらの和及び差を受信し、VCA6及びVCA12(それぞれの中間信号成分を構成する)からのその出力を結合器14及び20へ加える。
【0042】
従って、精度につき特別な要件をもたない回路要素を用いると同時に信号路内に統合される単純な制御路を利用して、広範な各種の入力信号条件下で、高度なクロストーク相殺が達成され得る。フィードバック導出される制御システムは、中間オーディオ信号各対の中間オーディオ信号の相対的振幅が平等になるのが強制されるように、受動マトリックスからの各対のオーディオ信号を処理するために作動する。
【0043】
図3に示される、フィードバック導出される制御システムは、整流器24及び28への各入力が平等になるのが逆に強制されるように2つのVCA6及びVCA12の利得を制御する。これらの2項が平等になるように強制される程度は、 整流器、それらに続く比較器30及び各VCAの利得/制御関係の特性に依存する。ループ利得が大きい程ますます平等性は接近するが、平等に向けた強制はこれらの要素の特性に関係なく起こるであろう(勿論信号の極性はレベル差を低減するようにされることが前提条件である)。実際に、比較器は無限の利得をもたず、有限利得の減算器として実現される。
【0044】
整流器が線形、即ち、それらの出力が入力の大きさに直接比例するとすれば、比較器又は減算器は出力は信号電圧又は電流差の関数である。その代わりに、整流器がそれらの入力の大きさの対数、即ち、dBで表わされたレベルに応答するとすれば、比較器入力で行われる減算は入力レベルの比をとることと同等である。それでは結果が信号の絶対レベルには依存しないがdBで表わされた信号の差のみに依存するので、これは有益である。
【0045】
より密接に人の知覚を反映するdBで表わされた源信号レベルを考察すると、他の事項は平等として、これはループ利得が大きさに無関係であることを意味し、従って平等になるよう強制する程度も同様に大きさに無関係である。勿論、若干の非常に低いレベルでは、対数整流器は正確に作動しなくなり、それ故に入力閾値がありそれ以下では平等化への強制が停止されるであろう。しかし、結果的に、高入力信号レベルに関する極端な高ループ利得を要することなく70又はそれ以上のdB範囲に亘って制御は維持し得るが、結果として生じるループの安定性に対する潜在的問題を含む。
【0046】
同様に、VCA6及び12はそれらの制御電圧(即ち、乗数又は除数)に直接又は逆比例する。これは、利得が小さいならば、制御電圧の小さな絶対変化がdBで表わされた利得の大きな変化を生じさせる効果をもつであろう。例えば、このフィードバック導出される制御システム構成で必要とされるような、最大利得1及び0乃至10ボルトぐらい変化する制御電圧Vcを有し、利得がA=0.1*Vcと表わし得るVCAを考察するとしよう。Vcがその最大値に近いと、たとえば9900から10000mVへの100mV(ミリボルト)の変化は20*log(10000/99000)、即ち、約0.09dBの利得変化を与える。Vcが遥かに小さいと、100から200mVへの100mVの変化は、20*log(200/100)、即ち、6dBの利得変化を与える。その結果、実際のループ利得、従って、制御信号の大小に依存して応答速度は極端に変化するであろう。再び、ループの安定性に関する問題があり得る。
【0047】
この問題は、そのdB利得が制御電圧に比例するか、又は異なった表現を用いると、その電圧又は電流利得が制御電圧の指数又は真数に依存するVCAを用いることによって除去され得る。それでは100mVのような制御電圧の小さな変化は、制御電圧がその範囲内にあればどこでも同一dBの利得変化を与えるであろう。そのような装置は各アナログICとして容易に利用可能であり、その特性又はその近似値はデジタル実施例で容易に達成される。
【0048】
従って、望ましい実施形態は、対数整流器及び指数的に制御された可変利得増幅を用い、広範な入力レベル及び2つの入力信号比に関してより一層一様な同等化(dBで考慮された)を強制する。
【0049】
人の聴覚では、方向の知覚が周波数に関して一定ではないので、人の方向感に最も貢献する各周波数を強調しかつ不適切な方向づけにつながり得る周波数を軽く扱うように、整流器に入る信号に若干の周波数加重を加えるのが望ましい。従って、実際の実施形態では、図3の整流器24及び28には経験的に得られたフィルタを先行させ、低周波数及び非常に高い周波数を減衰させかつ可聴範囲の中央に関して緩やかに上昇する応答を与える。これらのフィルタは、出力信号の周波数応答は変えず、単に制御信号及びフィードバック導出される制御システムのVCA利得を変えるに過ぎない。
【0050】
図2及び3の結合と同等な装置が、機能的かつ図式的に図4に示される。同図の図2及び3の結合との相違は、相殺成分が導出される受動マトリックスから出力信号を受信する代わりに、各出力結合器がLt及びRt入力信号に応答して受動マトリックス出力信号を発生させることである。同装置は、受動マトリックス内で加算係数が本質的に同一であるとすれば、図2及び3の結合で与える結果と同一のものを与える。図4は図3と関連して述べたフィードバック装置を組み込む。
【0051】
さらに特定すると、図4では、図1の受動マトリックス構成におけるように、結合器2及び4を含む受動マトリックスには、第一にLt及びRt入力が加えられる。同様に受動マトリックス「左」出力であるLt入力が、「左」VCA32及び+1の尺度化を有する線形結合器34の一入力に加えられる。左VCA32出力は、‐1の尺度化を有する結合器34加えられる(従って減算器を構成する)。同様に受動マトリックス「右」出力であるRt入力が、「右」VCA44及び+1の尺度化有する線形結合器46の一入力に加えられる。右VCA44出力は‐1の尺度化有する結合器46加えられる(従って減算器を構成する)。結合器34及び46の出力は、それぞれ信号Lt*(1‐gl)及びRt*(1‐gr)であり、これらの信号を等しく保つか又はそれらが平等になるよう強制するのが望ましい。その結果を達成するために、これらの信号は、図3に示されかつそれと関連して記載されたようなフィードバック回路に加えられるのが望ましい。それではフィードバック回路はVCA32及び44の利得を制御する。
【0052】
さらに、なお図4に言及すると、結合器2からの受動マトリックスの「中央」出力は「中央」VCA36及び+1の尺度化を有する線形結合器46の一入力に加えられる。中央VCA36出力は‐1の尺度化有する結合器38加えられる(従って減算器を構成する)。結合器4からの受動マトリックスの「環境」出力は、「環境」VCA40及び+1の尺度化有する線形結合器42の一入力に加えられる。環境VCA40出力は‐1の尺度化有する結合器42加えられる(従って減算器を構成する)。結合器38及び42の出力は、それぞれ信号1/2*(Lt+Rt)*(1‐gc)及び1/2*(Lt‐Rt)*(1‐gs)であり、これらの信号を等しく保つか又はそれらが平等になるよう強制するのが望ましい。その結果を達成するために、これらの信号は、図3に示されかつそれと関連して記載されたようなフィードバック回路に加えられるのが望ましい。それではフィードバック回路はVCA38及び42の利得を制御する。
【0053】
出力信号Lout、Cout、Sout及びRoutは結合器48、50、52及び54によって発生される。各受動マトリックス信号成分を与えるようにする相殺信号成分及び一方又は双方の入力信号を与えるために、各結合器は2つのVCA(各VCA出力は、その大きさが等しく保たれるように追及される各中間信号の一成分を構成する)を受信する。さらに特定すると、入力信号Ltは+1の尺度化でLout結合器48に、+1/2の尺度化でCout結合器50に及び+1/2の尺度化でSout結合器52に加えられる。入力信号Rtは+1の尺度化でRout結合器54に、+1/2の尺度化でCout結合器50に及び‐1/2の尺度化でSout結合器52に加えられる。左VCA32出力は‐1/2の尺度化でCout結合器50に及び同様に‐1/2の尺度化でSout結合器52に加えられる。右VCA44出力は‐1/2の尺度化でCout結合器50に及び+1/2の尺度化でSout結合器52に加えられる。中央VCA36出力は‐1の尺度化でLout結合器48に及び‐1の尺度化でRout結合器54に加えられる。環境VCA40出力は‐1の尺度化でLout結合器48に及び+1の尺度化でRout結合器54に加えられる。
【0054】
各種の図、例えば、図2及び4において、当初は各相殺信号が各受動マトリックス信号に対立しないように思われる(例えば、各相殺信号の中には、受動マトリックス信号が加えられるのと同一極性で結合器に加えられるものがある)ことが注目されるであろう。しかし、作動中、相殺信号が有意になると、それは受動マトリックス信号と対立しない極性を有するであろう。
【0055】
図2と3の結合及び図4と同等の他の装置が機能的かつ図式的に図5に示される。図5の構成では、等しく保たれるべき各信号は、各出力導出結合器及び各VCA制御用フィードバック回路に加えられる信号である。これらの信号は受動マトリックス出力信号を含む。対照的に、図4の装置では、フィードバック回路から出力結合器に加えられる各信号はVCA出力信号でありかつ各受動マトリックス成分を除外する。従って、図4では(及び図2と3の結合では)、受動マトリックス成分はフィードバック回路の出力と明示的に結合されなければならないが、これに対して図5では、各フィードバック回路の各出力は受動マトリックス成分を含みかつそれ自体十分である。また図5の装置では、各VCA出力(その各々が中間信号の一成分のみを構成する)よりはむしろ各中間信号出力が出力結合器に加えられることに注目されるであろう。それにもかかわらず、図4及び図5(図2と3の結合と共に)の各構成は同等であり、かつ、加算係数が正確ならば、図5からの出力は図4(及び図2と3の結合)からのものと同一である。
【0056】
図5では、受動マトリックス出力を処理することによって式9、10、11及び12の4つの中間信号[1/2*(Lt+Rt)*(1‐gc)]、[1/2*(Lt‐Rt)*(1‐gs)]、[1/2*Lt*(1‐gl)]及び[1/2*Rt*(1‐gr)]が得られ、次いで所望の出力を導出するために加算又は減算される。同信号はまた、図3に関連して既に述べた通り、2つのフィードバック回路の整流器及び比較器に供給され、フィードバック回路は対をなす各信号の大きさを等しく保つように作動するのが望ましい。図5の構成に用いられるように、図3の各フィードバック回路は、VCA6及び12からよりはむしろ結合器22及び26からそれらの出力結合器への出力をとらせる。
【0057】
なお図5を参照して、結合器2及び4、VCA32、36、40及び44並びに結合器34、38、42及び44間の結線は図4の装置におけるものと同一である。また、図4及び図5の両装置において、結合器34、38、42及び46の出力は2つのフィードバック制御回路(VCA32及び44に対する制御信号を発生させるために結合器34及び46の出力はそのような第1回路に、またVCA36及び40に対する制御信号を発生させるために結合器38及び42の出力はそのような第2回路に)に加えられる。図5では、結合器34の出力、Lt*(1‐gl)信号は、+1の尺度化でCout結合器58に、また+1の尺度化でSout結合器60に加えられる。結合器46の出力、Rt*(1‐g)信号は、+1の尺度化でCout結合器58に、また-1の尺度化でSout結合器60に加えられる。結合器38の出力、1/2*(Lt+Rt)*(1‐g)信号は、+1の尺度化でLout結合器56に、また+1の尺度化でRout結合器62に加えられる。結合器42の出力、1/2*(Lt‐Rt)*(1‐g)信号は、+1の尺度化でLout結合器56に、また-1の尺度化でRout結合器62に加えられる。
【0058】
制御信号が入力から発生される、先行技術の適応マトリックスデコーダとは異なり、本発明は閉ループ制御を用いるのが望ましく、そこでは出力を与える信号の大きさは適応化のために測定されかつフィードバックされる。特に、先行技術の開ループシステムとは異なり、非基本方向に対する不要な信号の望ましい相殺は信号及び制御路の特性の正確な適合に依存せずかつ閉ループ構成は回路要素の精度に対する必要性を大いに低減させる。
【0059】
理想的に、実際的な回路欠陥を除いて、本発明の「大きさを等しく保つ」各構成は、既知の相対的振幅及び極性でLt及びRt入力内に供給される任意の源は、所望の出力から信号を与えかつ他の出力からは無視できる信号しか与えないと言う意味で「完全」である。「既知の相対的振幅及び極性」はLt及びRt入力が基本方向又は隣接する基本方向間の位置のいずれかを表すことを意味する。
【0060】
式9、10、11及び12を再び考察すると、VCAを組込んだ各可変利得回路の総合利得は(1−g)の形の減算装置であることが理解されるであろう。各VCA利得は小さな値から1の間で変化するが1は超えない。対応的に、可変利得回路利得(1−g)は1に極近い値からゼロまで変化し得る。従って、図5は図6として書き換えることが可能であり、そこではすべてのVCA及び関連する減算器は1つのVCAのみに置き換えられており、その利得は図5のVCAのものとは逆方向に変化する。従って、すべての可変利得回路利得(1−g)(例えば、図2と3、4及び5におけるように、受動マトリックス出力からその出力が減算される利得「g」を有するVCAによって実施される)は対応する可変利得回路利得「h」(例えば、受動マトリックス出力に作用する利得「h」を有する孤立VCAによって実施される)によって置き換えられる。利得「(1−g)」の特性が利得「h」と同一でありかつフィードバック回路が、必要な信号対の大きさ間の平等性を維持するように作動するとすれば、図6の構成は図5の構成と同等でありかつ同一出力を与えるであろう。実際に、図2と3、4、5、及び6の構成、即ち、開示されたすべての構成は互いに同等である。
【0061】
図6の構成は、先のすべての構成と同等でかつ正確に同一に機能するが、受動マトリックスは明示的には見えず潜在的である。先の構成の静止又は方向づけられてない状態では、VCA利得gは小さな値に低下する。図6の構成では、すべてのVCA利得hがそれらの最大、即ち、1又はそれに接近するまで上昇する時、対応する、方向づけられてない条件が起こる。
【0062】
さらに図6につき特定すると、同様に入力信号Ltと同一の受動マトリックスの「左」出力が、中間信号Lt*hを発生させるために、利得hを有する「左」VCA64に加えられる。同様に入力信号Rtと同一の受動マトリックスの「右」出力が、中間信号1/2*(Lt+Rt)*hを発生させるために、利得hを有する「右」VCA66に加えられる。結合器4からの受動マトリックスの「環境」出力は、中間信号1/2*(Lt-Rt)*hを発生させるために、利得hを有する「環境」VCA68に加えられる。既に述べた通り、h利得特性が(1−g)利得特性と同一になるように、VCA利得hはVCA利得gと逆に作動する。
【0063】
制御電圧の発生
これまで記載された実施形態に関連して詳説された制御信号の分析は、本発明をよりよく理解しかつ一対のオーディオ入力信号流れから、各々が方向と関連する、5つ又はそれ以上のオーディオ信号流れを導出するために、本発明の教示がどのように用いられ得るかを説明する上で有用である。
【0064】
以下の分析では、その結果は、背後から開始し、左、中央、右を経て背後に戻るように円をなして聴取者の周りで時計方向にパンされるオーディオ源を考察することによってその結果が例示されるであろう。変量αは、聴取者に関するイメージの角度(°)の測定値であり、0°は背面におけるもので、180°は中央前方におけるものである。入力の大きさLt及びRtは下式によってαと関連づけられる。
【0065】
【式1】
Figure 0004540285
【式2】
Figure 0004540285
【0066】
パラメータαと、入力信号の大きさ及び極性との間には1対1のマッピング(関数)がある。即ち、αの使用はより便利な分析につながる。αが90°ならば、Ltは無限大で、Rtはゼロ、即ち、左のみである。αが180°ならば、Lt及びRtは同一極性(中央前方)で等しい。αが0°ならば、Lt及びRtは等しいが逆極性(中央背後)である。以下にさらに述べるように、興味のある特定の値は、Lt及びRtが5dBだけ相違しかつ逆極性をもつ時に起こり、これはゼロのいずれかの側に31°のα値を与える。実際には、左及び右前方スピーカは、概して中央(例えば、+/−30〜45度)に関して+/−90度よりさらに前方に置かれ、従ってαは実際には聴取者に関しては角度を表さないが、パニング(水平移動)を例示する任意のパラメータである。記載される図は、水平軸(α=180°)の中央が中央前方を表し、左右の両極端(α=0及び360°)が背後を表すように配列される。
【0067】
図3の記載に関して既に述べたように、フィードバック導出される制御システムの対をなすVCAの利得間の便利で実際的な関係は、各利得の積を一定に保つ。一方の利得が上昇すると他方が下降するように供給される指数的に制御された各VCAを用いて、図3の実施形態におけるように、同一の制御信号で対の双方に供給すると、これが自動的に起こる。
【0068】
入力信号をLt及びRtで表し、VCA利得g及びgの積を1/aと設定し、結果的に生じる平等化への強制が完成される十分大きなループ利得を前提とすると、図3のフィードバック導出される制御システムは、以下の式を満たすようにVCA利得を調節する。
【0069】
【式3】
Figure 0004540285
さらに、
・g=1/a
(式19)
【0070】
明らかに、これら式の第1に、Lt及びRtの絶対量は不適切である。結果はそれらの比Lt/Rtのみに依存し、これをXと呼ぶ。第2式からgを第1式に代入し、回答をもつ(二次式の他の根は実システムを表さない)gの形で二次式を得る。
【0071】
【式4】
Figure 0004540285
【0072】
パニング角度αに対してg及びgをプロットすると図7を得る。期待されるように、入力が左のみ(α=90)を表す時、gは背後における非常に低い値から最大1まで上昇し、次いで中央前方(α=180)に対して低い値まで戻る。右半分では、gは非常に小さいままに止まる。同様かつ対称的にgは、パンの右半分の中央におけるものを除き小さく、αが270度(右のみ)のとき1まで上昇する。
【0073】
上記結果は、Lt/Rtフィードバック導出される制御システムに対するものである。和/差フィードバック導出される制御システムは、正確に同一方法で作動し、図8に示されるように和利得gC及び差利得gのプロットを与える。再び、期待されたように、和利得は、中央前方において1まで上昇し、よそでは低い値に降下するが、一方差利得は背後において1まで上昇する。
【0074】
フィードバック導出される制御システムVCA利得が、望ましい実施形態におけるように、制御電圧の指数に依存するとすれば、それでは制御電圧は利得の対数に依存する。従って、上記各式から、Lt/Rt及び和/差制御電圧、即ち、フィードバック導出される制御システムの比較器(図3の比較器30)の出力に関する式を導出し得る。図9は、左/右及び和/差制御電圧を示し、制御信号の最大及び最少値が+/−15ボルトである一実施形態では後者は反転(即ち、事実上差/和)される。明らかに、他の尺度化が可能である。
【0075】
図9の曲線は2点で交差し、一方は信号が視聴者の左後方のどこかのイメージを表す所であり、他方は前方半分のどこかである。曲線に内在する対称性のために、これらの交差する点は、近接する基本方向に対応する各α値の正確に中間である。図9では、それらは45及び225度で起こる。
【0076】
先行技術(例えば、本発明者James W. Fosgate の米国特許5,644,640)は、2つの主制御信号から、2つのうちより大きいか(よりおおきい正の)又はより小さい(より小さい正の)さらなる制御信号を導出することが可能であることを示す。しかし同先行技術は異なった方法で主制御信号を導出しかつ結果的に得られた制御信号を異なった方法で利用する。図10は、図9の各曲線のより小さいものと等しい信号を例示する。この導出された制御は、αが45度、即ち、2つの原曲線が交差した所の値である時最高点(最大量)まで上昇する。
【0077】
導出された制御信号の最高点が正確にα=45度においてその最高点まで上昇することは望ましくないかも知れない。実際的実施形態では、左後部を表す導出された基本方向が後部により近づくこと、即ち、45度未満の値をもつことが望ましい。それらの曲線がより正の又はより負の作用をとる前に望ましいαの値において交差するように、左/右及び和/差制御信号の1つ又は双方を相殺(常数を加算又は減算すること)又は尺度化することによって最高点の正確な位置は移動され得る。例えば、図11は、和/差電圧が0.8だけ尺度化され、その結果現在最高点がα=31度において起こるようにされていることを除けば、図11は図10と同一の作動を示す。
【0078】
正確に同一方法で、反転された左/右制御を反転された和/差制御と比較しかつ類似の相殺又は尺度化を用いることで、最大点が聴取者の右後部に対応する所定の位置で起こる第2の新しい制御信号が所望かつ所定のα(例えば、ゼロの31度反対側で左後部と対称的な、360−31、即ち、329度)において導出され得る。それは図11の左/右反転である。
【0079】
図12は、最も正の値が1の利得を与えるように、これらの導出された制御信号を各VCAに加える効果を示す。左及び右VCAが、左及び右基本方向において1まで上昇する利得を与えるのと全く同様に、ある信号が所定の各位置(この例では、ゼロのいずれかの側でα=31度)に置かれる時、これらの導出された左後部及び右後部VCA利得は1まで上昇するが、他のすべての位置に対して非常に小さく保たれる。
【0080】
線形に制御されたVCAで同様な結果を得ることができる。主制御電圧対パニングパラメータαに対する曲線は異なるが、適切な尺度化又は相殺によって選び得る各点において交差するであろう。従って、初期4基本方向以外の特定の各イメージ位置に対するさらなる制御電圧がより少ない作動によって導出され得る。明らかに、制御信号を反転させ、より少ない(より負の)ものよりより大きい(より正の)ものをとることによって新しい制御し信号を導出することが可能である。
【0081】
より大きいもの又はより小さいものをとる前に主制御信号の交差点を移動させる、同信号に対する改変を通じて、相殺(オフセット)又は尺度化の代わりに若しくはそれに加えて、非線形作動を代替的に構成し得るであろう。同改変は、Lt及びRt(各入力信号)の大きさ及び相対的極性の殆どあらゆる所望の比において最高点がある、さらなる制御信号の発生を可能にすることは明らかであろう。
【0082】
5出力以上の適応マトリックス
図2及び4は、不要なクロストークを相殺(削除)するのに加えて、受動マトリックスが適応相殺項をもち得ることを示す。これらの場合では、4つのVCAを介して導出される4つの可能な相殺項があり、4つの基本方向の1つにおける、4つの出力(左、中央、右及び背後)の1つからの優勢な出力に相当する、一音源に対して各VCAが最高利得(概して1)に達した。2つの隣接基本方向間でパンされた一信号が、同2つの隣接基本方向に相当する出力以外のものからは殆ど又は全く与えるものがないと言う意味で同システムは完全である。
【0083】
この原理は、5以上の出力を有する能動システムまで拡張され得る。そのような場合には、システムは「完全」ではないが、不要な信号がなお十分に相殺され得るので結果はクロストークによって可聴的に損なわれない。例えば、図13の出力マトリックスを参照のこと。図13は、本発明による能動マトリックスの一部分の機能的かつ図式的図であり、5以上の出力が得られる方法を説明するのに有用な助けとなる。図14は、図13で用いられ得る6つの相殺信号の導出を示す。
【0084】
第1に図13を参照すると、6つの出力がある。即ち、左前方(Lout)、中央前方(Cout)、右前方(Rout)、中央後方(又は環境)(Sout)、右後方(RBout)及び左後方(LBout)である。3つの前方及び環境出力に関して、始めの受動マトリックスは上記4出力システムのものと同一である(直接入力L、中央前方を与えるために1/2尺度化されかつ線形結合器80に加えられるLプラスRの結合、中央後方を与えるために1/2尺度化されかつ線形結合器82に加えられるLマイナスRの結合及び直接入力R)。2つの追加の後方出力がある。即ち、左後方及び背面後方であって、それぞれ尺度化1のLとと尺度化-bのRとを線形結合器84に加えること及びそれぞれ尺度化-bのLと尺度化1のRとを線形結合器86に加えることによって生じ、式LBout=L-b*R及びRBout=R-b*Lによる入力の異なった結合に対応する左後方及び背面後方である。ここで、bは概して1未満、例えば、0.25の正の係数である。対称性は本発明にとって本質的ではないが任意の実際的システムで期待されることに注意のこと。
【0085】
図13では、各受動マトリックス項に加えて、出力線形結合器(88、90、92、94、96及び98)は受動マトリックス出力を相殺するために要するような多重能動相殺項(ライン100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120及び122)を受信する。これらの項は、各VCA(図示されず)の利得で乗算された各入力の入力及び/又は結合又は各入力と各VCAの利得で乗算された入力との結合から成る。既に述べた通り、一基本入力条件に対して各VCAの利得が1まで上昇しかつ他の各条件に対して本質的により小さくなるように各VCAが制御される。
【0086】
図13の構成は、限定された相対的大きさ及び極性の形の入力L及びRによって与えられる6つの基本方向を有し、その各々は適切な出力のみからの信号に帰着し、他の5つの出力においては信号が本質的に相殺されるべきである。2つの隣接する基本方向間でパンされる信号を表す入力条件に関して、これらの基本方向に対応する出力は信号を与えるべきであるが、残りの出力は殆ど又は全く与えるべきではない。従って、各出力に関して受動マトリックスに加えて幾つかの相殺項(実際に、3つ以上が図13に示される)があり、それぞれが他の基本方向の各々に対応する入力に対しては不要の出力に対応するであろう。実際に、図13の配列は、中央後方が6番目の基本方向よりはむしろ左後方及び右後方間の単なる中途のパンに過ぎないように、中央後方Sout出力(従って結合器82及び94を除去する)を除去するように改変され得る。
【0087】
図13の6出力システム又はその5出力代替物のいずれかに関して6つの可能な相殺信号がある。即ち、左/右及び和/差フィードバック導出される制御システムの各部分である2対のVCAを介して導出された4つ及び上記のように(以下に述べる図14の実施形態も同様に参照のこと)制御された左後方及び右後方VCAを介して導出されたさらなる2つの信号がある。6VCAの利得は、図7(左後方g及び右後方g)、図8(和g及び差g)及び図12(左後方glb及び右後方grb)に従う。相殺信号は、以下に述べる通り、不要なクロストークを最少にするために計算されるか又は他の方法で選ばれた各係数を用いて受動マトリックス項と合算される。
【0088】
あらゆる他の基本方向に対する入力信号及びVCA利得を考察することによって、我々は各基本出力に関して必要な相殺混合係数に到達するが、これらのVCA利得は対応する基本方向における信号に対してのみ1まで上昇し、イメージが遠くへ移動するにつれて極めて急速に1から下降することを記憶しておくこと。
【0089】
従って、左出力の場合、中央前方、右のみ、右後方、中央後方(5出力の場合真の基本方向ではない)及び左後方を考察する必要がある。
【0090】
図13の5出力変形に関して左出力Loutを詳細に考察してみよう。それは受動マトリックスLからの項を含む。L=R及びg=1の場合、入力が中央にある時に出力を相殺するために、図2又は4の4出力システムにおけるように正に項-1/2*g*(L+R)を要する。入力が中央後方にあるか又は中央後方と右前方(従って右後方を含む)との間のどこかにある場合、再び図2又は4の4出力システムにおけるように正確に項-1/2*g*(L-R)を要する。入力が左後方を表す時には、利得glbが図12のように変わる左後方VCAからの信号を要する。これで入力が左後方区域にあるときにのみ有意の相殺信号を明確に与え得る。左後方はLのみで表される左前方と、1/2*(L-R)で表される中央後方との間のどこかにあると考えられ得るので、左後方VCAはこれらの信号の結合に作用することが期待されるべきである。
【0091】
各種の混合された結合が用いられ得るが、左及び差VCA、即ち、g*L及び1/2*g*(L-R)を既に貫通している各信号の和を用いることによって、同結合は、正確ではないが、左後方区域でパンされた各信号の位置に応じて変化し、基本左後方自体のみならずこれらの各パンに対するよりよい相殺を与える。左及び背面間の中間と考えられる、この左後方位置ではg及びg共に1未満の有限の値をもつ。従ってLoutに以下の式が期待される。
Lout=[L]-1/2*g*(L+R)-1/2*g*(L-R)-x*glb*((g*L+g*1/2*(L-R)) (式21)
【0092】
係数xは、経験的か、又は音源が左後方基本方向の区域にある時は正確なVCA利得の考察から導出され得る。項[L]は受動マトリックス項である。各項1/2*g*(L+R)、-1/2*g*(L-R)及び1/2*x*glb*((g*L+ g*1/2*(L-R))は、出力オーディオ信号Loutを得るために線形結合器88(図13)のLと結合され得る相殺項(図14参照)を表す。既に述べた通り、図13に示される2つ(100及び102)より多い3つ以上のクロストーク相殺項入力があり得る。
【0093】
outに対する下式は同様に又は対称性により導出される。
Rout=[R]-1/2*g*(L+R)+1/2*g*(L-R)-1/2*x*gr *((gr*R-g*(L-R)) (式22)
【0094】
[R]項は受動マトリックス項である。-1/2*g*(L+R)、1/2*g*(L-R)及び-1/2*x*gr *((gr*R-g*(L-R))は、出力オーディオ信号Routを得るために線形結合器98(図13)のRと結合され得る相殺項(図14参照)を表す。既に述べた通り、図13に示される2つ(120及び122)より多い3つ以上のクロストーク相殺項入力があり得る。
【0095】
中央前方出力Coutは、受動マトリックス項1/2*(L+R)に加えて4出力システム-1/2*gl*L及び-1/2*gr*Rに対するような左及び右相殺項を含む。即ち、
Cout=1/2(L+R)-1/2*gl*L*-1/2*gr*R* (式23)
左後方、中央後方又は右後方に対する明示的な相殺項は不要である、それはそれらが後方(4出力の環境)を経た左及び右前方間の有効なパンでありかつ既に相殺されているからである。項[1/2(L+R)]は受動マトリックス項である。項-1/2*gl*L及び-1/2*gr*Rは、出力オーディオ信号Coutを得るために入力100及び102に加えられかつ線形結合器90(図13)の尺度化されたL及びRと結合され得る相殺項(図14参照)を表す。
【0096】
左後方出力に対する始めの受動マトリックスは、既に述べたとおり、L-b*Rである。左のみの入力に対しては、gl=1の時には、必要な相殺項は従って明らかに-gl*Lである。右のみの入力に対しては、gr=1の時には、相殺項は+b*gr*Rである。中央前方入力に対しては、L=R及びgc=1の場合、L-b*Rからの不要な出力は(1-b)*gc*1/2*(L+R) によって相殺され得る。右後方相殺項は、Routに用いられた項と同一の、最適化された係数yを有する、-grb*(gr*R-1/2*g*(L-R))であり、それは再び経験的に到達されるか又は左又は右後方条件のVCA利得から計算され得る。従って、
LBout=[Lt-b*Rt]-gl*Lt+b*gr*Rt-(1-b)*gc*1/2*(Lt+Rt)-y*grb*(gr*Rt-gs*1/2*(Lt-Rt)) (式24)
同様に、
RBout=[Rt-b*Lt]-gr*Rt+b*gl*Lt-1(1-b)*gc*1/2*(Lt+Rt)-y*glb*(gl*Lt-gs*1/2*(Lt-Rt)) (式25)
【0097】
式24に関して、項[Lt-b*Rt]は受動マトリックス項であり、項-gl*Lt +b*gr*Rt、-1/2*(1-b)*gc*(Lt+Rt)及び-Y*grb*(gr*Rt-gs*1/2*(Lt-Rt))は、出力オーディオ信号LBoutを得るために線形結合器92(図13)L-b Rと結合され得る相殺項(図14参照)を表す。既に述べた通り、図13に示される2つ(108及び110)より多い3以上のクロストーク相殺項入力があり得る。
【0098】
式25に関して、[Rt-b*Lt]は受動マトリックス項であり、成分-gr*Rt、b*Lt*gl、-1/2*(1-b)*gc*(Lt+Rt)及び-y*grb*(gl*Lt+gs*1/2*(Lt-Rt))は、出力オーディオを信号RBoutを導出するために線形結合器96(図1参照)でRt-b*Ltと結合され得る相殺項(図14参照)を表す。既に述べた通り、図13に示される2つ(116及び118)より多い3つ以上のクロストーク相殺項があり得る。
【0099】
実際上、有限のループ利得及びフィードバック導出される制御システム(正確に等しい信号レベルを正確には与えない)の他の欠点を相殺するためにすべての係数は調節を要し、6つの相殺信号の他の結合が用いられ得る。
【0100】
これらの原理は、勿論、6つ又は7つ以上の出力を有する実施形態に拡張され得る。フィードバック導出される制御システムの左/右及び和/差フィードバック部分からの2つの主制御信号の尺度化、相殺又は非線形処理をさらに用いることによってなお追加の制御信号が導出され、αの所望の他の所定値において利得が最大まで上昇するVCAを介して追加の相殺信号を発生させることが可能になり得る。他の基本方向の各々において各信号の存在下で各出力を考察する合成プロセスは、順繰りに追加の出力を発生させる適切な項及び係数を与えるであろう。
【0101】
図14を参照すると、Lt入力からの左マトリックス信号出力、Rt入力からの右マトリックス信号出力、各々が尺度化+1/2のLtとRtを入力とする線形結合器132からの中央出力及び各々がそれぞれ尺度化+1/2と−1/2のLt及びRtを入力とする線形結合器134からの環境出力を発生させる、受動マトリックス130に入力信号Lt及びRtが加えられる。同受動マトリックスの基本方向は、「左」、「中央」、「右」及び「環境」である。隣接基本方向は互いに直角をなす軸上にあり、これらの方向標語(ラベル)に関しては、左は中央及び環境に隣接し、環境は左及び右に隣接するなどのようにされる。
【0102】
左及び右受動マトリックス信号は、可変利得回路136と138の第1対及び関連するフィードバック導出される制御システム140に加えられ。中央及び環境受動マトリックス信号は、可変利得回路142と144の第2対及び関連するフィードバック導出される制御システム146に加えられる。
【0103】
「左」可変利得回路136は、利得gl及び線形結合器150をもつ電圧制御されたアンプ(VCA)148を含む。VCA出力は、結合器150で左受動マトリックス信号から減算され、可変利得回路の総合利得が(1−gl)になりかつ、中間信号を構成する、結合器出力における可変利得回路の出力が(1−gl)*Ltになるようにされる。相殺信号を構成するVCA148出力信号はgl*Ltになる。
【0104】
「右」可変利得回路138は、利得gr及び線形結合器154をもつ電圧制御されたアンプ(VCA)152を含む。VCA出力は、結合器154で右受動マトリックス信号から減算され、可変利得回路の総合利得が(1−gr)になりかつ、中間信号を構成する、結合器出力における可変利得回路の出力が(1−gr)*Rtになるようにされる。VCA152出力信号gr*Rtは相殺信号を構成する。(1−gl)*Rt及び(1−gr)*Lt中間信号は中間信号の第1対を構成する。中間信号のこの第1対の相対的大きさは平等になるように強制されるのが望ましい。これは、以下に述べる、関連するフィードバック制御システム140によって達成される。
【0105】
「中央」可変利得回路142は、利得gc及び線形結合器158をもつ電圧制御されたアンプ(VCA)156を含む。VCA出力は、結合器158で中央受動マトリックス信号から減算され、可変利得回路の総合利得が(1−gc)になりかつ、中間信号を構成する、結合器出力における可変利得回路の出力が1/2*(1−gc)*(Lt+Rt)になるようにされる。VCA156出力信号1/2*gc*(Lt+Rt)は相殺信号を構成する。
【0106】
「環境」可変利得回路144は、利得gr及び線形結合器162をもつ電圧制御されたアンプ(VCA)160を含む。VCA出力は、結合器162で環境受動マトリックス信号から減算され、可変利得回路の総合利得が(1−gs)になりかつ、中間信号を構成する、結合器出力における可変利得回路の出力が1/2*(1−gs)*(Lt−Rt)になるようにされる。VCA160出力信号1/2*gs* (Lt−Rt)は相殺信号を構成する。1/2*(1−gc)*(Lt+Rt)及び1/2*(1−gs)*(Lt−Rt)中間信号は中間信号の第2対を構成する。中間信号のこの第2対の相対的大きさは平等になるように強制されるのが望ましい。これは、以下に述べる、関連するフィードバック制御システム146によって達成される。
【0107】
中間信号の第1対と関連するフィードバック導出される制御システム140は、結合器150及び154の出力をそれぞれ受信するフィルタ164及び166を含む。それぞれのフィルタ出力は、入力を整流して対数を発生させる対数整流器168及び170に加えられ。整流されかつ対数化された出力は、入力の減算器を構成する、線形結合器172に逆極性で加えられ、その出力が非反転アンプ174に加えられる(装置172及び174は図3の大きさ比較器30に相当する)。対数化された信号を減算することは比較機能を与える。既に述べた通り、これはアナログ領域で比較機能を実施する実際的方法である。この場合には、VCA148及び152はそれらの入力の逆対数を内在的にとる種類のものであり、従って対数に基礎づけられた比較器の制御出力の逆対数をとる。アンプ174の出力は、VCA148及び152の制御信号を構成する。既に述べた通り、デジタル的に実施されるとすれば、2つの大きさを分割し、結果的に得られたものをVCA機能の直接乗算器として用いるのがより便利である。既に述べた通り、フィルタ164及び166は経験的に導出され、低周波及び非常に高い高周波を減衰させて可聴範囲の中間に亘ってゆるやかに上昇するような応答を与える。これらのフィルタは出力信号の周波数応答は変えず、単にフィードバック導出される制御システムの制御信号及びVCA利得を変えるに過ぎない。
【0108】
中間信号の第2対と関連するフィードバック導出される制御システム146は、VCA158及び162をそれぞれ受信するフィルタ176及び178を含む。それぞれのフィルタ出力は、各入力を整流してその対数を発生させる対数整流器180及び182に加えられる。整流されかつ対数化された出力は、入力の減算器を構成する、線形結合器184に逆極性で加えられ、その出力が非反転アンプ186に加えられる(装置184及び186は図3の大きさ比較器30に相当する)。フィードバック導出される制御システム146は、制御システム140と同一方法で作動する。アンプ186の出力は、VCA158及び162の制御信号を構成する。
【0109】
追加の制御信号が、フィードバック導出される制御システム140及び146から導出される。制御システム140の制御信号は、第1及び第2尺度化、相殺等の機能188及190に用いられる。制御システム146の制御信号は、第1及び第2尺度化、相殺等の機能192及び194に用いられる。機能188、190、192及び194は、1つ又はそれ以上の極性転換、振幅相殺、振幅尺度化及び/又は上記非線形処理を含み得る。同様に上記説明により、それぞれ左後方VCA200及び右後方202に用いられる追加の制御信号を発生させるために、機能188と192及び機能190と194の出力のより少ないか又はより多くが、それだけより少ないか又はより多い機能196及び198によってそれぞれ取り入れられる。この場合には、左後方相殺信号及び右後方相殺信号を発生させるのに適する制御信号を与えるために、追加の制御信号が上記方法で導出される。左後方VCA200への入力は、線形結合器204の左及び環境相殺信号を加算的に結合することによって得られる。右後方VCA202への入力は、線形結合器204の右及び環境相殺信号を減算的に結合することによって得られる。その代わりに、より望ましくはないが、VCA200及び202への入力は、それぞれ左と環境受動マトリックス出力及び右と環境受動マトリックス出力から導出され得る。左後方VCA200は左後方相殺信号glb*1/2*(gl* (Lt−Rt))である。右後方VCA202は、右後方相殺信号grb1/2* (gr*Rt+gs(Lt−Rt))である。
【0110】
図15は本発明の各面を具体化する実際的回路を示す回路構成図である。抵抗器の値はオームで示される。指示がないところでは、コンデンサの値はマイクロファラドで示される。
【0111】
図15における「TL074」は、高忠実度及びオーディオプリアンプ用途を意図するTexas Instrumentsの直角位相低ノイズJFET-入力(高入力インピーダンス)汎用演算増幅器である。同装置の詳細は出版された文献で広く入手できる。データシートは下記インターネット上<<http://www.ti.com/sc/docs/products/analog/tl074.html>>で見出し得る。
【0112】
図15の「SSM-2120」は、オーディオ用途を意図する半導体集積回路である。それは2つのVCA及び2つのレベル検出器を含み、レベル検出器に送られた信号のレベルの大きさに依存して各信号の利得又は減衰の対数制御を可能にする。同装置の詳細は出版された文献で広く入手できる。データシートはインターネット上<<http://www.analog.com/pfd/1788_c.pdf>>で見出し得る。
【0113】
以下の表は、本文書で用いられる用語を図15のVCA出力におけるラベル及び垂直バス上のラベルと関連づける。
【0114】
【表1】
Figure 0004540285
【0115】
図15において出力マトリックス抵抗器に達する線に関するラベルは、各信号の源ではなくてそれらの機能を伝えることを意図する。従って、例えば、左前方出力につながる少数の頂部線は以下の通りである。
【0116】
【表2】
Figure 0004540285
【0117】
図15では、VCA項の極性にかかわらず、マトリックスそれ自体は任意の各項(U2C等)の反転に備える。さらに、図15の「サーボ」は、本明細書に記載の通り、フィードバック導出される制御システムを指す。
【0118】
本発明は、各機能がソフトウエア及び/又はデジタル及び/又はファームウエアで実行される、アナログ、ハイブリッドアナログ/デジタル及び/又はデジタル信号処理によって実施され得る。VCA、整流器等のようなアナログ項はそれらの同等物を含むことが意図される。例えば、デジタル実施形態ではVCAは乗法又は除法によって実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明を理解するのに有用な先行技術受動復号マトリックスの機能的構成図である。
【図2】 図2は、本発明を理解するのに有用な先行技術能動復号マトリックスの機能的構成図であって、そこでは受動マトリックス出力の可変尺度化された、各型が線形結合器で不変の受動マトリックス出力と加算される。
【図3】 図3は、右と左のVCA、図2の和と差のVCA及び本発明の他のVCA実施形態に関する、本発明によるフィードバック導出制御システムの機能的構成図である。
【図4】 図4は、図2及び図3の組合せと同等な本発明による装置を示す機能的構成図であり、同図の出力結合器は、相殺成分が導出される受動マトリックスから受信する代わりにL及びR入力信号に応答して受動マトリックス信号成分を発生させる。
【図5】 図5は、図2及び図3の本組合せと同等な装置を示す発明による機能的構成図である。図5の構成では、同等に維持されるべき信号は、出力導出結合器及びVCA制御用のフィードバック回路に加えられる信号である。即ち、フィードバック回路の出力は受動マトリックス成分を含む。
【図6】 図6は、図2及び図3と、図4及び5との本組合せ装置と同等な装置を示す本発明による機能的構成図である。同図では、VCA及び減算器によって与えられる可変利得回路利得(1‐g)は、VCA及び減算器構成の各VCAの逆方向で利得が変化するVCAによって置き換えられる。この実施形態では受動マトリックス成分は潜在的である。他の実施形態では受動マトリックス成分は顕在的である。
【図7】 図7は、パニング角度α(水平軸)に対してL/ Rフィードバック導出制御システム(垂直軸)の左及び右VCA利得g及びgをプロットする、理想化されたグラフである。
【図8】 図8は、パニング角度α(水平軸)に対して和/差フィードバック導出制御システム(垂直軸)の和及び差VCA利得g及びgをプロットする、理想化されたグラフである。
【図9】 図9は、パニング角度α(水平軸)に対して制御信号の最大及び最少値が+/−15ボルト(垂直軸)である縮尺に対する左/右及び逆和/差制御電圧をプロットする、理想化されたグラフである。
【図10】 パニング角度α(水平軸)に対して図9(垂直軸)の曲線のうち小さい方をプロットする、理想化されたグラフである。
【図11】 曲線のうち小さい方をとる前に和/差電圧が0.8だけ縮尺されている場合につきパニング角度α(水平軸)に対して図9(垂直軸)の曲線のうち小さい方をプロットする、理想化されたグラフである。
【図12】 図12は、パニング角度α(水平軸)に対して左後方/右後方フィードバック導出制御システム(垂直軸)の左後方及び右後方VCA利得glb及びgrbをプロットする、理想化されたグラフである。
【図13】 図13は、6つの出力が導出される本発明による能動マトリックスデコーダの一部分の機能構成図である。
【図14】 図14は、図13のような6出力能動マトリックスデコーダ用に6つの相殺信号の導出を示す機能構成図である。
【図15】 本発明の各面を具体化する実際的回路示す回路構成図である。

Claims (12)

  1. 2つの入力オーディオ信号から少なくとも3つのオーディオ出力信号を導出する方法であって、
    前記2つの入力オーディオ信号から4つのオーディオ信号を導出するステップであって、該4つのオーディオ信号は、2つのオーディオ信号に応答して2対のオーディオ信号を発生させる受動マトリックスで導出され、導出されたオーディオ信号の第1対は、第1軸上に位置する各方向を表し、導出されたオーディオ信号の第2対は第2軸上に位置する各方向を表し、前記第1及び第2軸は実質的に互いに直角をなすようになっていることを特徴とするステップと
    それぞれの第1及び第2対の中間オーディオ信号を発生させるために導出されたオーディオ信号の前記各対の各々を処理するステップであって、中間オーディオ信号の各対の該オーディオ信号の相対的振幅の大きさが同等になるように強制されることを特徴とするステップと
    該第1対の中間信号が発生する導出されたオーディオ信号の該対の軸上に位置する第1方向を表わす第1出力信号を発生させるステップであって、前記第1出力信号は、同一極性で、中間オーディオ信号の前記第2対の各々の少なくとも一成分を少なくとも結合することによって発生することを特徴とするステップと
    該第1対の中間信号が発生する導出されたオーディオ信号の該対の軸上に位置する第2方向を表わす第2出力信号を発生させるステップであって、前記第2出力信号は、逆極性で、中間オーディオ信号の前記第2対の各々の少なくとも一成分を少なくとも結合することによって発生することを特徴とするステップと
    該第2対の中間信号が発生する導出されたオーディオ信号の該対の軸上に位置する第1方向を表わす第3出力信号を発生させるステップであって、前記第3出力信号は、同一極性で、中間オーディオ信号の前記第1対の各々の少なくとも一成分を少なくとも結合することによって発生することを特徴とするステップと
    該第2対の中間信号が発生する導出されたオーディオ信号の前記対の軸上に位置する第2方向を表わす第4出力信号を発生させるステップであって、前記第3信号は、該第3出力信号が同一極性で結合されるか又は少なくとも同一極性で結合されることによって発生するとすれば、同一極性で、中間オーディオ信号の前記第1対の各々の少なくとも一成分と少なくとも結合されることを特徴とするステップと
    とから成るオーディオ出力信号導出方法。
  2. 第1出力信号を発生させるステップには、中間オーディオ信号の前記第2対の各成分を、前記第1方向を表わす受動マトリックスと結合させるステップが含まれ、前記成分が前記受動マトリックスオーディオ信号に対抗する相殺信号を構成し、
    第2出力信号を発生させるステップには、中間オーディオ信号の前記第2対の各成分を、前記第2方向を表わす受動マトリックスと結合させるステップが含まれ、前記成分が前記受動マトリックスオーディオ信号に対抗する相殺信号を構成し、
    第3出力信号を発生させるステップには、中間オーディオ信号の前記第1対の各成分を、前記第3方向を表わす受動マトリックスと結合させるステップが含まれ、前記成分が前記受動マトリックスオーディオ信号に対抗する相殺信号を構成し、
    選択的に第4出力信号を発生させるステップには、中間オーディオ信号の前記第1対の各成分を、前記第4方向を表わす受動マトリックスと結合させるステップが含まれ、前記成分が前記受動マトリックスオーディオ信号に対抗する相殺信号を構成する、
    ことを特徴とする請求項1の方法。
  3. 前記方法には、中間オーディオ信号の該それぞれの対の該相対的振幅を制御するのに用いる中間オーディオ信号の各対をフィードバックするステップが含まれることを特徴とする、請求項1又は2の方法。
  4. 2つの入力オーディオ信号から、各々が方向と関連した少なくとも3つのオーディオ信号を導出する方法であって、
    前記2つの入力オーディオ信号に応答して、受動マトリックスで、2対の受動マトリックスオーディオ信号を含む複数の受動マトリックス信号を発生させるステップであって、第1対の受動マトリックス信号は第1軸上に位置する方向を表し、第2対の受動マトリックス信号は第2軸上に位置する方向を表し、前記第1及び第2軸が実質的に互いに直角をなすことを特徴とするステップと
    中間オーディオ信号のそれぞれの第1及び第2対を発生させるために受動マトリックスオーディオ信号の前記対の各々を処理するステップであって、中間オーディオ信号各対の該オーディオ信号の相対的振幅の大きさが同等になるように強制されることを特徴とするステップと
    中間オーディオ信号の前記対から複数の相殺信号を導出するステップと
    少なくとも3つの受動マトリックスオーディオ信号の各々を前記複数の相殺信号の2つ又はそれ以上と結合させることによって少なくとも3つの出力信号を発生させるステップであって該相殺信号は、前記入力オーディオ信号が前記受動マトリックスオーディオ信号によって表される方向以外の方向と関連する信号を表す時、該受動マトリックスオーディオ信号が該相殺信号によって実質的に相殺されるように、各受動マトリックスオーディオ信号に対抗することを特徴とするステップと
    から成るオーディオ信号導出方法。
  5. 前記処理には、中間オーディオ信号の各対の相対的振幅を制御するのに用いる中間オーディオ信号の各対をフィードバックするステップが含まれることを特徴とする請求項4の方法。
  6. 前記処理には、受動マトリックスオーディオ信号の前記2対の各受動マトリックス信号をそれぞれの可変利得回路に加えるステップが含まれ、各回路は、減算結合器と結合した、利得gをもつ、電圧制御されたアンプ(VCA)を含み、結果として生じる可変利得回路利得は(1−g)でありかつ前記相殺信号は前記電圧制御されたアンプから取られることを特徴とする請求項5の方法。
  7. 受動マトリックスマトリックスオーディオ信号の各対と関連した該可変利得回路の利得は、該可変利得回路の利得を制御する制御利得を発生させる大きさ比較器に、各対の該それぞれの可変利得回路の出力を加えることによって制御されることを特徴とする請求項6の方法。
  8. 各対の該それぞれの可変利得回路の該出力は、整流器を介して大きさ比較器に加えられ、該整流器はそれらの入力の対数に比例する信号を与え、該比較器は無限利得をもち、該VCAのdB利得はそれらの制御電圧の線形関数であることを特徴とする請求項7の方法。
  9. 受動マトリックスオーディオ信号の各対と関連した該可変利得回路を制御する該2つの制御信号から1つ以上の追加の制御信号を導出するステップであって、前記1つ以上の追加の制御信号は、1つ又は両制御信号を改変しかつ改変されていない制御信号及び改変された制御信号又は2つの改変されていない制御信号のより小さいもの又はより大きいものを発生させることによって、前記1つ以上の追加の制御信号がそれぞれ得られることを特徴とするステップをさらに含む請求項7の方法。
  10. 該それぞれの信号を極性転換、振幅相殺、振幅尺度化及び/又は非線形処理することによって前記制御信号の1つ又は両方が改変されることを特徴とする請求項9の方法。
  11. 前記複数の相殺信号の結合されたもの又は2つの受動マトリックス信号の結合されたものを入力として受信する1つ以上の追加の可変利得回路であって、前記1つ以上の追加の制御信号は、前記入力信号が前記第1及び第2軸上に位置する該方向以外の方向を表わすとき該回路の利得が最大まで上昇するように、前記1つ以上の追加の可変利得回路のそれぞれを制御することを特徴とする可変利得回路を含み
    前記1つ以上の追加の制御信号のそれぞれ1つで前記1つ以上の追加の可変利得回路を制御することによって、1つ以上の追加の相殺信号を発生させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項9の方法。
  12. 少なくとも5つの受動マトリックスオーディオ信号の各々を、前記複数の相殺信号の2つ又はそれ以上及び前記1つ以上の追加の相殺信号と結合することによって少なくとも5つの出力信号が発生し、該相殺信号は、前記入力オーディオ信号が前記受動マトリックスオーディオ信号によって表わされる方向以外の方向に関連する信号を表わす時、該受動マトリックスオーディオ信号が該相殺信号によって実質的に相殺されるように、各受動マトリックスオーディオ信号に対抗することを特徴とする請求項11の方法。
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