JP4540220B2 - 牽引力算出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタ等の牽引作業車が、牽引式作業機を牽引する力を算出するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来では、トラクタなどの牽引作業車で牽引力を求める際には、トラクタ本体と牽引式作業機との連結部のひずみの大きさを検出していた。特にトラクタの場合では、本体と牽引式作業機とを接続するトップリンクの反力などを検出して、該検出値に基づき牽引力を求めていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の技術では、連結部のひずみやトップリンクの反力を検出するための牽引力センサを設ける必要があり、コストアップを生じていた。また、このような牽引力センサを牽引作業車本体に備える場合は、該牽引力センサの配設位置によって、牽引力の検出に誤差を生じることがあった。例えば、プラウ作業を行った場合、土質や走行状態により、作業機が真っ直ぐに牽引されずに斜め方向に牽引されて、左右いずれか一方の牽引力センサに圧縮力が生じ、正確な牽引力が検出されないことがある。さらに例えば、プラウ作業中には、プラウへ上下方向の力がかかるが、このプラウにかかる上下方向の力によって、牽引力センサに前方向への力が加わるため、該牽引力センサにより検出される牽引力に誤差が発生することがある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
請求項1においては、機関(11)を搭載した牽引作業車(1)の制御装置において、該機関(11)の燃焼サイクルの整数倍の時間間隔で機関回転数(N)を算出し、該機関回転数(N)と、燃料噴射量により機関総負荷(L)を算出し、該機関回転数(N)を燃焼サイクルの整数倍の時間間隔で平均して、等速走行中における平均の機関回転数(NA)として算出し、該機関(11)の、ある平均の機関回転数(NA)における機関(11)の最大燃料噴射時を、最大現在出力(f(Rmax,NA))とし、該最大現在出力(f(Rmax,NA))に対する機関総負荷(L)の比率である機関負荷率(Lratio)を求め、無牽引時における機関負荷率(Lratio)である基準負荷率(L0ratio(s))と、平均の機関回転数(NA)との関係を予め変速段(s)ごとにマップとして求め、前記機関総負荷(L)に対する牽引力(Fd)の増減割合(G(s))と、平均の機関回転数(NA)との関係を、同じく、予め変速段(s)ごとにマップとして求め、これらのマップから平均の機関回転数(NA)と変速段(s)とに応じて、無牽引時に要する基準負荷率(L0ratio(s))と増減割合(G(s))とを算出し、該機関総負荷(L)と牽引力(Fd)が正比例するものとして、該機関総負荷(L)より無牽引時に要する機関負荷を減じた値に、前記増減割合(G(s))を乗じた値を牽引力(Fd)として算出するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施例を説明する。
【0006】
図1は後端部にプラウを装着したトラクタを示す全体側面図であり、図2は機関負荷を検出するように構成した機関を示す概略図であり、図3は機関総負荷検出方法を示す図であり、図4は第一構成例における牽引力検出機構を示す図であり、図5はトラクタの牽引力と走行抵抗の割合を示す図であり、図6は牽引力と機関総負荷との関係を示す図であり、図7は増減割合および基準負荷値と機関総負荷との関係を示す図であり、図8は第一実施例における牽引力検出機構を示す図である。
【0007】
本発明の牽引力算出装置を適用する一例としての牽引作業車について、図1よりその概略構成を説明する。牽引作業車であるトラクタ1の機体前部にはボンネット26が配設され、該ボンネット26には、機関11としてのエンジンやバッテリー等が内装されている。またボンネット26の下方には、前輪24が配置されている。ボンネット26の後方にはステアリングハンドル10が配設され、その後方にはシート20が設けられ、シート20の下方に後輪たる駆動輪25が配置されている。トラクタ1の後端部には、3点リンクのトップリンク16及び左右ロアリンク17・17を介して、牽引式作業機であるプラウ27が装着されている。左右各ロアリンク17は、上下回動可能に構成された左右各リフトアーム18に対し、リフトロッド19を介して連結され、該リフトアーム18の上下回動に伴って昇降するように構成されており、リフトアーム18のリフト角を変化することで、プラウ27の耕深を調節するようにしている。
【0008】
次いで、前記機関11について説明する。図2に示すように、ボンネット26に内装される機関11のクランク軸2の端部にはフライホイール3が取り付けられ、該フライホイール3の外周にはリングギア4が固設されている。また機関11には、回転数検出センサ5がリングギア4の外周面に近接して取り付けられ、該回転数検出センサ5により機関11の回転数を検出するように構成している。回転数検出センサ5は、電磁ピックアップ等により構成された機関回転数検出手段である。さらに、機関11は燃料噴射ポンプ6を具備しており、該燃料噴射ポンプ6には燃料噴射量を調節するための燃料ラックが設けられ、燃料ラック位置Rはガバナ装置により制御されている。また燃料噴射ポンプ6には、燃料ラック位置Rを検出する燃料ラック位置センサ7が取り付けられている。また、回転数検出センサ5および燃料ラック位置センサ7は、演算手段である負荷算出装置8に接続されて、負荷算出機構を構成している。
【0009】
牽引力算出装置は、前述したような牽引作業車の牽引力を算出して出力するものである。ここで牽引力算出装置は、後述するように、前記機関11の機関総負荷Lを牽引力算出における入力値の一つとしている。したがって、まず、機関総負荷Lの算出方法について説明する。
【0010】
前記クランク軸2には、燃料噴射量によって決定される機関11の出力と、機関11に外部から加えられる負荷による力とが加えられている。これらの力より、クランク軸2まわりの回転の運動方程式は、(1)式のように表される。
L=f(R)−K×(2π×ΔN/ΔT) ……(1)
ここで、右辺の2πとΔN/ΔTとの積はクランク軸2の角加速度を表している。また、Kはクランク軸2の等価慣性モーメントを示す定数である。f(R)は、燃料ラック位置Rを変数とする機関11の現在出力として表される。この表記により、機関11の現在出力f(R)が、燃料ラック位置Rによって決定される燃料噴射量に応じて、変化することを示している。そして(1)式より、機関総負荷Lが機関11に加えられる負荷全体によるトルクを表している。
【0011】
ここで、時刻Tjにおける運動方程式を、(2)式で表す。
Lj=f(Rj)−K×(2π×ΔNj/ΔTj) ……(2)
Ljは時刻Tjにおける機関総負荷であり、Rjは時刻Tjにおける燃料ラック位置であり、Njは後述するように、時刻Tiにおける平均の機関回転数としている。
【0012】
燃料ラック位置Rは、前述したように、燃料ラック位置センサ7により検出される。したがって時刻Tjにおける機関11の現在出力f(R)が、負荷算出装置8にて、検出された燃料ラック位置Rjより算出される。
【0013】
時刻Tjにおける平均の機関回転数Njの時間変化ΔNj/ΔTjは、本実施例では(3)式のようにして求められる。
ΔNj/ΔTj=(Nj−Ni)/(Tj−Ti) ……(3)
ここで、時刻Tjは時刻Tiより後の時刻であり、Njは時刻Tjにおける平均の機関回転数としている。また、ti・tjは、それぞれ時刻Ti・Tjにおける平均の機関回転数を決定するための検出時間を示しており、検出時間ti・tjの終了時刻はそれぞれ時刻Ti・Tjと一致している。
【0014】
図3には、機関回転数Nの時間変化が示されている。ここで、機関回転数Niは、時刻Tiでの真の機関回転数Nとは異なり、検出時間ti間における平均の回転数としている。また、時刻Tjにおける機関回転数も同様に、検出時間tj間の平均の回転数としている。図3には、検出時間ti・tjにおける機関回転数Nの変化幅が、それぞれ破線および実線にて示されている。検出時間ti・tjは、機関11における燃焼サイクルの整数倍の時間間隔とされており、本実施例の場合2燃焼サイクル分の時間としている。検出時間を燃焼サイクルの整数倍の時間間隔として、平均の機関回転数を算出するのは、燃焼によるクランク軸2の回転変動の影響を除くためである。
【0015】
本発明においては、機関総負荷Ljは時刻Tj−時刻Tiの時間差ΔTjごとに求められる。ここで、時間差ΔTjは1燃焼サイクル分の時間より小さな時間としている。そして負荷算出装置8で、時間差ΔTjごとに平均の機関回転数Njの変化を算出して、機関総負荷Ljの1燃焼サイクル分の時間未満の変化を追跡できるようにしている。なお、時間差ΔTjは、必ずしも一定値とする必要はない。
【0016】
機関11が備える気筒数が3の場合は、機関11の1燃焼サイクルにおいては山が3つ存在し、2燃焼サイクルでは6つ存在する。検出時間を燃焼サイクルの整数倍の時間間隔としたのは、前述したように、燃焼による回転変動の影響を除くためである。このため、1燃焼サイクルの時間間隔を機関11が備える気筒数で割った時間間隔を検出時間としても、燃焼による回転変動の影響を除くことが出来る。したがって検出時間を、燃焼サイクルの整数倍を気筒数で除した時間間隔、としてもよい。
【0017】
機関11は4サイクル機関に構成されているので、1燃焼サイクルの間に、クランク軸2は2回転する。また、前記回転数検出センサ5により、リングギア4の歯が通過するタイミング毎に負荷算出装置8へ向けてパルス信号が発せられる。リングギア4がm枚の歯を有する場合、1燃焼サイクルの間には2m個のパルスが検出される。負荷算出装置8ではパルス毎の時間間隔をタイマー等によって計測する。そして、時刻Tjにおける1燃焼サイクルにかかった時間が、時刻Tjの直近2m個のパルスの時間間隔の合計時間で計算される。
したがって、平均の機関回転数Ni・Njは(4)式・(5)式のように求められる。
Ni=2/ti ……(4)
Nj=2/tj ……(5)
なお、本実施例では検出時間ti・tjを、1燃焼サイクルの時間間隔としている。そして1燃焼サイクルの間にクランク軸2は2回転するため、検出時間ti・tjは、クランク軸2が1回転するのに要する時間の2倍に相当する。(4)式および(5)式における分子の2は、検出時間ti・tj間にクランク軸2が2回転することを示している。
【0018】
そして、(4)式および(5)式より求められた平均の機関回転数Ni・Njを、(3)式に代入して、検出時間ti・tjより、時刻Tjにおける平均の機関回転数Njの時間変化ΔNj/ΔTjを求めることが出来る。
【0019】
以上のようにして、検出時間ti・tjおよび燃料ラック位置Ri・Rjより、時刻Tjにおける機関総負荷Ljを求めることが出来る。図4に示すように、回転数検出センサ5により検出された検出時間ti・tjおよび、燃料ラック位置センサ7により検出された燃料ラック位置Ri・Rjが負荷算出装置8に入力される。そして該負荷算出装置8において、まず燃料サイクルの整数倍の時間間隔である検出時間ti・tjより、平均の機関回転数Ni・Njが算出される。次いで、平均の機関回転数Njの時間変化ΔNj/ΔTjと、燃料ラック位置Rによって決定される燃料噴射量による現在出力f(Rj)とから、機関総負荷Ljが算出される。なお、機関総負荷Ljは、トルクメータ等で検出する方法も考えられる。
【0020】
これより、本発明の牽引力算出装置について説明する。以下で、第一構成例および第一実施例における牽引力算出装置について説明するが、それらの牽引力算出装置はそれぞれ異なる牽引力算出方法に従って、牽引力を算出するものである。まず、第一構成例の牽引力算出装置30における牽引力算出方法について説明する。
【0021】
前記機関11の出力は、牽引作業車であるトラクタ1の推進力Pとなる。また、トラクタ1の牽引作業中における推進力Pは、(6)式に示すように、牽引力Fdと走行抵抗力Prとを合わせたものに等しい。
P=Fd+Pr ……(6)
推進力Pに対する牽引力Fdと走行抵抗力Prとの割合y(s)は、実験によって求められる。なお後述するように、推進力Pは機関総負荷Lに正比例するものである。そして、割合y(s)を実験によって求めることで、機関総負荷Lに対する牽引力Fdの比が、変速段sごとに求められ、図5に示すようなマップを作成することができる。第一構成例における牽引力算出方法では、作業時での牽引力Fdの算出に先立ち、このマップを予め作成しておくのである。なお、この実験においては、前記プラウ27に牽引力センサを備えて、牽引力の検出を行っている。割合y(s)は変速段sに対する関数として求められている。ここでこの割合には、推進力Pの大きさは関わりがない。変速段sが同一の場合は、推進力Pに対する牽引力Fdと走行抵抗力との割合は、推進力Pの大きさに依らず一定となる。
【0022】
トラクタ1は牽引作業中においては、等速で走行しながら牽引作業機である前記プラウ27等を牽引して作業を行う。等速走行中においては、前記(1)式において、機関回転数Nの時間変化ΔN/ΔTが0であるため、(7)式に示すように、前記現在出力f(R)と機関総負荷Lとが等しいものとなる。
L=f(R) ……(7)
このとき推進力Pは、機関11の現在出力f(R)に等しい機関総負荷Lと、減速比n(s)と、前記駆動輪25の半径rとを用いて、(8)式のように表される。
P=L×n(s)/r ……(8)
ここで減速比n(s)は、機関11から駆動輪25までの動力伝達経路において減速される比率である。機関11の出力は、動力伝達経路のギア、ベルト、チェーン等の組み合わせによって、まず必然的に減速される。これは固定的な減速である。加えて、変速段sの切換によって、機関11の出力は変速(減速)される。これは可変的な変速(減速)である。つまり減速比n(s)は、変速段sを変数とする関数として求めることが出来る。したがって、推進力Pが機関総負荷Lと変速段sの関数であることがわかる。
【0023】
(8)式で、機関総負荷Lと減速比n(s)との積は、機関11の出力により駆動輪25を回転させるのに働いているトルクの大きさを示している。そして、該トルクを駆動輪25の半径rで割ることで、駆動輪25が地面を押す力、すなわち推進力Pが求められる。
【0024】
求められた推進力Pに対して、図5に示す関係より牽引力Fdが(9)式のようにして求められる。
Fd=P×{y(s)/100} ……(9)
ここで、前述した割合y(s)は、推進力Pに対する牽引力Fdの割合を百分率で求めたものである。また、同じく前述したように、牽引力Fdは推進力Pに依存しているため、割合y(s)は変速段sを変数とする関数となっている。また、(9)式に(8)式を代入して、(10)式が導かれる。
Fd=L×{y(s)/100}×{n(s)/r} ……(10)
【0025】
減速比n(s)は、前記動力伝達機構の構成によって決定される。割合y(s)は、図5に示す関係より求められる。この減速比n(s)および割合y(s)は、共に変速段sの関数である。また、半径rは駆動輪25の大きさより決定される定数である。(10)式に示されるように、牽引力Fdは機関総負荷Lおよび変速段sに依存する関数である。つまり牽引力Fdは、機関総負荷Lおよび変速段sを変数とする2変数関数である。したがって、この二つの変数の値を得ることで、牽引力Fdを求めることが出来る。
【0026】
図4に示すように、第一構成例の牽引力算出装置30は、前記負荷算出装置8および変速検出センサ31に接続されている。変速検出センサ31は、トラクタ1の変速段sを検出する手段である。第一構成例における牽引力算出方法では、まず変速段sに対する割合y(s)が、前述したように実験によって算出される。また(8)式より機関総負荷Lから推進力Pが算出される。前述したように、割合y(s)は推進力Pに対する牽引力Fdの比であり、変速段sに対応して変化するものである。そして、割合y(s)を変速段sごとに求めて、図5に示すようなマップが作成されている。そしてこの前提の下で、前記負荷算出装置8において機関総負荷Lが前述のようにして算出される。次いで牽引力算出装置30において、検出された機関総負荷L(推進力Pと正比例)と、走行検出センサ31より検出された変速段sと合わせて、図5に示すマップより牽引力Fdが算出される。
【0027】
次に、第一実施例の牽引力算出装置40における牽引力算出方法について説明する。まず、図6について説明する。図6は、変速段sを固定して前記プラウ27を備えたトラクタ1を走行させ、変速段sごとの前記牽引力Fdを検出すると共に、同じく変速段sごとの前記機関総負荷Lを算出した結果を示したものである。ここで、牽引力Fdは前述したように、プラウ27に備えた牽引力センサより検出されるようにしている。また機関総負荷Lの算出についても、前述した算出方法にしたがって行われるようにしている。なお、第一実施例における牽引力算出方法においては、機関回転数として、前記負荷算出装置8で算出される平均の機関回転数NAを用いるようにしている。これは前記機関総負荷Lの算出の際と同じく、燃焼による回転変動によって影響を受けることを除くためである。図6中には、それぞれ異なる変速段sの場合において得られた、機関負荷率Lratio(後述)と牽引力Fdとの対応関係を示す実験値が記されている。図6中では、異なる変速段s1・s2・s3ごとに、実験値がそれぞれ円、四角、三角の図形が配置されている座標で示されている。
【0028】
図6中で示されている機関負荷率Lratioは、ある平均の機関回転数NAにおいて検出された機関総負荷Lを、その平均の機関回転数NAにおける機関11の最大現在出力(最大燃料噴射時)で除したものである。現在出力f(R)が燃料ラック位置Rおよび平均の機関回転数NAを変数とする関数とすると、f(R,NA)と表される。ある平均の機関回転数NAにおける機関11の最大燃料噴射時は、最大燃料ラック位置Rmaxを用いて、最大現在出力f(Rmax,NA)と表される。したがって、最大現在出力f(Rmax,NA)を用いて機関負荷率Lratioは(11)式のように表される。
Lratio=L/f(Rmax,NA) ……(11)
このように機関負荷率Lratioを用いることで、機関11の最大現在出力f(Rmax,NA)に対する機関総負荷L(=f(R,NA))の比率と、牽引力Fdとの関係を知ることができる。
【0029】
図6中に示される実験値の分布より、変速段sを固定した場合において、牽引力Fdと機関負荷率Lratioとの関係が1次関数(正比例)で表されると推測される。そこで、この実験値の分布を、1次関数に対する誤差法を用いて近似を行うと、牽引力Fdと機関負荷率Lratioとの関係を示す1次関数を得ることができる。この近似を用いて、異なる変速段s1・s2・s3ごとの実験値より、それぞれ実験式が得られる。この実験式は図6中では、それぞれ破線、実線、2点鎖線で示されている。
【0030】
変速段sを固定した条件の下で、牽引力Fdと機関負荷率Lratioとが正比例する場合、この関係は(12)式のように表すことができる。
Fd={Lratio−L0ratio(s)}×G(s) ……(12)
ここで、L0ratio(s)は基準負荷率であり、牽引力Fdが0となるときの機関総負荷の大きさを示している。増減割合G(s)はこの1次関数の傾きを示している。また、基準負荷率L0ratio(s)および増減割合G(s)は、図6に示すように、変速段sによって変化するものであり、sの関数として表すことができる。そして、前述したようにして得られた実験式を(12)式にあてはめて、基準負荷率L0ratio(s)および増減割合G(s)の値を得て(12)式を決定し、牽引力Fdと機関負荷率Lratioとの関係を求めることができる。
【0031】
基準負荷率L0ratio(s)および増減割合G(s)は、平均の機関回転数NAによって変化する値である。そこで、基準負荷率L0ratio(s)および増減割合G(s)について、平均の機関回転数NAとの関係を実験的に求めてみると、一例としては図7に示すようなものとなる。図7中には、ある変速段sに固定した場合において、それぞれ異なる三つの平均の機関回転数N1・N2・N3の場合に得られた実験値が記されている。図7中で、平均の機関回転数N1・N2・N3での基準負荷率L0ratio(s)および増減割合G(s)の実験値が、それぞれ逆三角、菱形の図形が配置されている座標によって示されている。図7中に示されるこれらの実験値の分布を、適切な関数を仮定して試行錯誤的に最適化を行うと、同じく図7中に示すような実験式を得ることが出来る。基準負荷率L0ratio(s)および増減割合G(s)の実験式は、図7中でそれぞれ実線、破線で示されている。以上のようにして、基準負荷率L0ratio(s)と平均の機関回転数NAとの関係が、マップとして変速段sごとに図7に示すような形で求められる。また、増減割合Gと平均の機関回転数NAとの関係も、マップとして変速段sごとに図7に示すような形で求められる。
【0032】
前述したようにして、基準負荷率L0ratio(s)および増減割合G(s)は平均の機関回転数NAおよび変速段sを変数とする関数として求めることができ、それぞれ基準負荷率L0ratio(NA,s)、増減割合G(NA,s)と表すことが出来る。以上のようにして、特定の平均の機関回転数N1・N2・N3の場合以外の平均の機関回転数NAの場合でも、変速段sごとに牽引力Fdが(12)式より求められる。したがって(12)式を(13)式のように表すことができる。
Fd={L−L0ratio(NA,s)}×G(NA,s) ……(13)
したがって、牽引力Fdを機関負荷率Lratioと平均の機関回転数NAと変速段sとを変数とする3変数関数とみなすことができる。このため、この3つの変数の値を得ることで、牽引力Fdを求めることが出来る。
【0033】
図8に示すように、第一実施例の牽引力算出装置40は、燃料ラック位置センサ7および前記負荷算出装置8に接続されている。第一実施例における牽引力算出方法では、まず、トラクタ1の無牽引時における機関総負荷、すなわち前記基準負荷率L0ratio(s)を実験により求める。ここで前述したように、変速段sごとに、異なる平均の機関回転数NAに対する基準負荷率L0ratio(s)の実験値を求め、該実験値より基準負荷率L0ratio(s)の平均の機関回転数NAに対する対応関係を導出して、変速段sごとにマップを作成するのである。同じく、機関負荷率Lratioに対する牽引力Fdの増減割合G(s)を、変速段sごとに実験により求める。これも前述したように、変速段sごとに、異なる平均の機関回転数NAに対する増減割合G(s)を求め、該増減割合G(s)の平均の機関回転数NAに対する対応関係を導出して、変速段sごとにマップを作成するのである。加えて、平均の機関回転数NAとしては、燃焼サイクルの整数倍の時間間隔での平均値として、燃焼による回転変動の影響を除いている。そしてこの前提の下で、前記負荷算出装置8において機関総負荷Lが前述のようにして算出される。次いで牽引力算出装置40において、以下の処理が行われる。まず変速段sごとの図7に示すようなマップより、平均の機関回転数NAに対して、ある変速段sのおける基準負荷率L0ratio(s)および増減割合G(s)の大きさが決定される。前述したように、牽引力Fdは機関総負荷Lに正比例するので、基準負荷率L0ratio(s)および増減割合G(s)を用いて、(13)式で示される正比例の関係式が決定される。そしてこの関係式に、検出された機関総負荷Lを代入して、牽引力Fdが算出される。また、以上では、増減割合G(s)、基準負荷率L0ratio(s)を各変速段sごとに求めたが、無段変速に転用する場合には、予め複数段でのそれぞれの値を求めてマップとして記憶し、各変速段sにおける値を直近両端値によって補間すれば良い。
【0034】
【発明の効果】
請求項1記載の如く、機関(11)を搭載した牽引作業車(1)の制御装置において、該機関(11)の燃焼サイクルの整数倍の時間間隔で機関回転数(N)を算出し、該機関回転数(N)と、燃料噴射量により機関総負荷(L)を算出し、該機関回転数(N)を燃焼サイクルの整数倍の時間間隔で平均して、等速走行中における平均の機関回転数(NA)として算出し、該機関(11)の、ある平均の機関回転数(NA)における機関(11)の最大燃料噴射時を、最大現在出力(f(Rmax,NA))とし、該最大現在出力(f(Rmax,NA))に対する機関総負荷(L)の比率である機関負荷率(Lratio)を求め、無牽引時における機関負荷率(Lratio)である基準負荷率(L0ratio(s))と、平均の機関回転数(NA)との関係を予め変速段(s)ごとにマップとして求め、前記機関総負荷(L)に対する牽引力(Fd)の増減割合(G(s))と、平均の機関回転数(NA)との関係を、同じく、予め変速段(s)ごとにマップとして求め、これらのマップから平均の機関回転数(NA)と変速段(s)とに応じて、無牽引時に要する基準負荷率(L0ratio(s))と増減割合(G(s))とを算出し、該機関総負荷(L)と牽引力(Fd)が正比例するものとして、該機関総負荷(L)より無牽引時に要する機関負荷を減じた値に、前記増減割合(G(s))を乗じた値を牽引力(Fd)として算出するので、牽引式作業機に牽引力センサを設けなくても牽引力を算出することができ、コストダウンを図ることができる。
また、あらかじめ機関回転数と無牽引時に要する機関負荷との関係と、機関回転数と牽引力の増減割合との関係を、それぞれ変速段ごとに導出しておくことで、牽引作業車の作業時には、機関総負荷を算出し、機関回転数および変速段を検出するだけで、そのときの牽引力を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 後端部にプラウを装着したトラクタを示す全体側面図である。
【図2】 機関負荷を検出するように構成した機関を示す概略図である。
【図3】 機関総負荷検出方法を示すブロック図である。
【図4】 第一構成例における牽引力検出機構を示す図である。
【図5】 トラクタの牽引力と走行抵抗の割合を示すマップである。
【図6】 牽引力と機関負荷率との関係を変速段ごとに示すマップである。
【図7】 増減割合および基準負荷率と平均の機関回転数との関係を示すある変速段におけるマップである。
【図8】 第一実施例における牽引力検出機構を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 トラクタ
8 負荷算出装置
11 機関
27 プラウ
30・40 牽引力算出装置
Fd 牽引力
G(s) 増減割合
L 機関総負荷
Lratio 機関負荷率
L0ratio(s) 基準負荷率
N 機関回転数
Ni・Nj 平均の機関回転数
NA 平均の機関回転数
R 燃料ラック位置
s 変速段
y(s) 割合
ti・tj 検出時間

Claims (1)

  1. 機関(11)を搭載した牽引作業車(1)の制御装置において、該機関(11)の燃焼サイクルの整数倍の時間間隔で機関回転数(N)を算出し、該機関回転数(N)と、燃料噴射量により機関総負荷(L)を算出し、該機関回転数(N)を燃焼サイクルの整数倍の時間間隔で平均して、等速走行中における平均の機関回転数(NA)として算出し、該機関(11)の、ある平均の機関回転数(NA)における機関(11)の最大燃料噴射時を、最大現在出力(f(Rmax,NA))とし、該最大現在出力(f(Rmax,NA))に対する機関総負荷(L)の比率である機関負荷率(Lratio)を求め、無牽引時における機関負荷率(Lratio)である基準負荷率(L0ratio(s))と、平均の機関回転数(NA)との関係を予め変速段(s)ごとにマップとして求め、前記機関総負荷(L)に対する牽引力(Fd)の増減割合(G(s))と、平均の機関回転数(NA)との関係を、同じく、予め変速段(s)ごとにマップとして求め、これらのマップから平均の機関回転数(NA)と変速段(s)とに応じて、無牽引時に要する基準負荷率(L0ratio(s))と増減割合(G(s))とを算出し、該機関総負荷(L)と牽引力(Fd)が正比例するものとして、該機関総負荷(L)より無牽引時に要する機関負荷を減じた値に、前記増減割合(G(s))を乗じた値を牽引力(Fd)として算出することを特徴とする牽引力算出装置。
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