JP4535667B2 - ポリスチレン系樹脂押出発泡板及びその製造方法 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂押出発泡板及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は建築物の壁、床、屋根等の断熱材や畳芯材等に使用されるポリスチレン系樹脂押出発泡板、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりポリスチレン系樹脂発泡体は、優れた断熱性及び好適な機械的強度を有することから、板状に成形されたものが断熱材として広く使用されてきた。かかる発泡板の製造方法として、ポリスチレン系の樹脂材料に気泡調整剤を加え、加熱溶融混練後、物理発泡剤を添加し、これらの混合物を高圧域から低圧域に押し出す製造方法が知られている。
【0003】
上記発泡板の製造に使用する発泡剤として、従来はジクロロジフルオロメタン等の塩化フッ化炭化水素(以下、CFCという。)が広く使用されてき。しかし、CFCはオゾン層を破壊する虞が大きいことから、近年、オゾン破壊係数が小さい水素原子含有塩化フッ化炭化水素(以下、HCFCという。)が、CFCに替わって用いられてきた。
【0004】
しかし、HCFCもオゾン破壊係数が0ではないことから、オゾン層を破壊する虞が全くないわけではない。そこで、オゾン破壊係数が0であり、分子中に塩素原子を持たないフッ化炭化水素(以下、HFCという。)を発泡剤として使用することが、検討されてきた。
【0005】
ところが、このHFCは地球温暖化係数が大きいため、地球環境の保護という点では改善の余地がある。
【0006】
従って、オゾン破壊係数が0であると共に、地球温暖化係数も小さい環境に優しい発泡剤を使用して、ポリスチレン系樹脂押出発泡板を製造することが望まれている。
【0007】
一方、イソブタンは、オゾン破壊係数が0であり、地球温暖化係数も小さく、地球環境に優しいという観点からは、優れた発泡剤である。また、ポリスチレンに対する透過速度が空気より極めて遅いことから、イソブタンを使用した発泡断熱板は長期にわたって製造時の断熱性を維持することが可能である。
【0008】
しかしながら、イソブタンは気体状態における熱伝導率が空気に比べ低いものの、これまで用いられてきたCFC、HCFC、HFCと比べると、気体状態における熱伝導率が大きく、HFC等と同等の断熱性を得ることが困難である。更に、それ自身の燃焼性が高いため、得られた発泡体に難燃性を付与することも極めて困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のポリスチレン系樹脂押出発泡板の欠点に鑑み、オゾン破壊係数が0で、地球温暖化係数も小さいイソブタンを発泡剤として用いて製造した発泡板であって、難燃性に優れ、熱伝導率も小さいポリスチレン系樹脂押出発泡板を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、[1]イソブタンと、塩化アルキル、二酸化炭素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル及びメチルエチルエーテルの群から選ばれる1又は2以上の他の発泡剤とからなる混合発泡剤並びに難燃剤とポリスチレン系樹脂とを含む、発泡性溶融樹脂混合物を高圧域から低圧域に押出すことによって得られる、実質的に均一な大きさの気泡構造であり、厚み10mm以上、見掛け密度25〜60kg/mのポリスチレン系樹脂押出発泡板であって、発泡板製造後4週間後及び3ヶ月後の該発泡板中のイソブタンの残存量が該発泡板1kg当り0.45〜0.80モルであり、更に発泡板は、厚み方向の平均気泡径が0.05〜0.18mmであり、気泡変形率(厚み方向の平均気泡径/水平方向の平均気泡径)が0.7〜1.2であり、且つJIS A9511(1995)記載の押出ポリスチレンフォーム保温板3種の燃焼性規格を満足すると共に、発泡板の熱伝導率が0.028W/m・K以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡板、[2]タルクを、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して1〜10重量部含有することを特徴とする前記[1]記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板、[3]難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカンを、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して少なくとも2重量部以上含有することを特徴とする前記[1]又は[2]記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板、[4]発泡板の見掛け密度が36〜60kg/mであることを特徴とする前記[1]乃至[3]のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板、[5]前記[1]記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法であって、押出機内において、溶融ポリスチレン系樹脂と、イソブタン90〜50モル%及び塩化アルキル、二酸化炭素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル及びメチルエチルエーテルの群から選ばれる1又は2以上の他の発泡剤10〜50モルとからなる(但し、これらの発泡剤量の合計は100モル%である。)混合発泡剤並びに難燃剤を含む添加剤とを混練して発泡性溶融樹脂混合物となし、次いでダイリップを通して連続的に高圧域から低圧域に押出して発泡性溶融樹脂混合物を発泡させつつ板状に賦形するに当たり、押出された発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物を、ダイに密着する上下左右の4面の壁で囲まれると共に、少なくとも上下面の間隔が入口から出口に向かって一旦拡大してから縮小する通路を、発泡させながら通過させることにより、発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物を圧縮し、続いて賦形装置を通過させながら、少なくとも厚み方向及び幅方向に膨張させると共に少なくとも厚み方向を規制しつつ板状に賦形するに際し、得られるポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚さ(T:mm)及び幅(W:mm)と、前記通路における拡大部分の最も断面積が大きくなる部分よりも下流側において通路の最も断面積が小さくなる部分の通路の高さ(h:mm)及び幅(b:mm)との関係が、次式(1)乃至(3)を満足するように、前記通路において圧縮することを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
【0011】
【数4】
W/b≧1.08 (1)
【0012】
【数5】
T/h≧1.20 (2)
【0013】
【数6】
(W/b)/(T/h)≧0.90 (3)
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板(以下、押出発泡板という。)は、イソブタンを含む混合発泡剤(クロロフルオロカーボン又は/及びフルオロカーボンを除く。)とポリスチレン系樹脂とを含む、発泡性溶融樹脂混合物を高圧域から低圧域に押出すことによって得られる。即ち、本発明の押出発泡板は、押出機にポリスチレン系樹脂と難燃剤や気泡調整剤等の添加剤を供給し、加熱し溶融し混練して溶融樹脂混合物としてから、高圧下においてイソブタンを含むがクロロフルオロカーボンやフルオロカーボンは含まない混合発泡剤を圧入し、混練して発泡性溶融樹脂混合物となし、次に発泡性溶融樹脂混合物を発泡適性温度に調整してから、高圧域から低圧域に押出すことによって製造される。このようにして製造された押出発泡板は、高厚み、低見掛け密度で、寸法安定性に優れ、地球環境に対して優しいものである。
【0016】
本発明において使用されるポリスチレン系樹脂としては、例えばスチレンホモポリマーやスチレンを主成分とするスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ハイインパクトポリスチレン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して使用される。尚、上記スチレン系共重合体におけるスチレン成分含有量は50モル%以上が好ましく、特に好ましくは80モル%以上である。
【0017】
本発明において用いるポリスチレン系樹脂は、メルトフローレイト(MFR)が0.5〜30g/10分(但し、JIS K7210(1976)のA法の試験条件8により測定されるMFR)の範囲のものを用いることが好ましく、更に1〜10g/10分のものを用いると、押出発泡板を製造する際の押出成形性に優れると共に、得られる押出発泡板が機械的強度に優れるものとなるのでより好ましい。
本発明では、本発明の目的を阻害しない範囲内で、ポリスチレン系樹脂に、ポリオレフィン樹脂やスチレン系エラストマーやポリフェニレンエーテル樹脂のような他の(共)重合体を更に混合して使用することもできるが、そのような他の(共)重合体の使用量は、ポリスチレン系樹脂100重量部当たり、50重量部を上限とすることが好ましく、0〜30重量部がより好ましく、0〜10重量部が更に好ましい。
【0018】
本発明の押出発泡板は、イソブタンを含む混合発泡剤(但し、クロロフルオロカーボン又は/及びフルオロカーボンを除く。)を用いて製造されたものである。該混合発泡剤は、イソブタンを含むが、クロロフルオロカーボンやフルオロカーボンは含まない。従って、本発明の押出発泡板中に含まれる発泡剤は、オゾン破壊係数が0であると共に、地球温暖化係数も小さく、地球環境に優しいものである。またイソブタンは、ポリスチレンに対する透過速度が空気より極めて遅いので、本発明の押出発泡板は長期にわたって製造時の断熱性が維持される。
【0019】
本発明の押出発泡板中のイソブタンの残存量は、発泡板1kg当り0.45〜0.80モルである。イソブタンの残存量が0.45モル未満の場合は、建材用の断熱材として要求される高断熱性を得ることができない虞がある。具体的には、JIS A9511(1995)記載の押出ポリスチレンフォーム保温板3種の熱伝導率(0.028W/m・K以下)の押出発泡板を得ることができない虞がある。一方、0.80モルを超える場合は、建築材料として要求される難燃性を得ることができない虞がある。具体的には、JIS A9511(1995)記載の押出ポリスチレンフォーム保温板3種の燃焼性規格を満足することができない虞がある。
以上のことを考慮すると、本発明の押出発泡板中のイソブタンの残存量は、発泡板1kg当たり0.50〜0.75モルであることが好ましい。
【0020】
上記混合発泡剤に含有される他の発泡剤としては、塩化メチル、塩化エチル等の塩化アルキル、二酸化炭素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル及びメチルエチルエーテルの群から選ばれる1又は2以上の発泡剤が好適に使用される。これらの他の発泡剤は発泡力に富むことから、得られる押出発泡板の見掛け密度を低下させる効果があると共に、ポリスチレンに対するガス透過性が高いため押出発泡板から早期に逸散して発泡板の断熱性能及び難燃性能を早期に安定化させるのに効果的である。一方、イソブタン発泡剤は、発泡板製造後、室温で5年間放置しても僅かに発泡板から抜け出すだけで大きな減少は見られない。これが本発明の断熱板の高い断熱性の維持に貢献するものと思われる。尚、他の発泡剤として、プロパンやノルマルブタン等のイソブタン以外の脂肪族炭化水素を使用することはあまり好ましくない。イソブタン以外の脂肪族炭化水素は発泡板からの抜け出しがそれほど遅くないため、多量に使用した場合、発泡板の断熱性能が早い時期に大きく低下してしまう可能性がある。但し、本発明の目的を阻害しない範囲内での少量の併用は可能である。イソブタン以外の脂肪族炭化水素をその他の発泡剤として併用する場合には、混合発泡剤中で5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることが更に好ましい。
【0021】
本明細書における発泡剤の残存量は、ガスクロマトグラフを用いて測定する。具体的には、押出発泡板の中央部から切り出したサンプルをトルエンの入った蓋付きの試料ビンの中に入れ、蓋を閉めた後、十分に攪拌し該押出発泡板中の発泡剤をトルエンに溶解させたものを測定試料とし、該試料についてガスクロマトグラフィー分析を行なうことより発泡板に含有されるイソブタン、塩化アルキル等の残存量を求める。
【0022】
ガスクロマトグラフ分析の測定条件は以下の通りである。
カラム:
製造者:信和化工株式会社
担体 :Chromosorb W、メッシュ60〜80、AW−DMCS処理品
液相 :Silicone DC550(液相量20%)
カラム寸法:カラム長さ4.1m、カラム内径3.2mm
カラム素材:ガラス
充填カラム空焼条件:220℃、40時間
カラム温度:40℃
注入口温度:200℃
キャリヤーガス:窒素
キャリヤーガス速度:3.5ml/min
検出器:FID
検出器温度:200℃
定量:内標準法
【0023】
押出発泡板の見掛け密度が25kg/m未満の場合は、そのような見掛け密度の押出発泡体を製造すること自体がかなり困難なものである上に、得られる押出発泡板の機械的物性においても従来の発泡断熱板と比較して不充分なものとなるので、使用できる用途が限定される。また、押出発泡板の見掛け密度が低下すると難燃性を悪化させる虞がある。従って、本発明の発泡板は見掛け密度が36kg/m以上であることが好ましい。一方、見掛け密度が60kg/mを超える場合は、厚みを必要以上に厚くしない限り、充分な断熱性を発揮させることが難しく、また、軽量性の点において不充分なものとなる虞がある。特に、本発明においては、押出発泡板の見掛け密度が36〜60kg/mの場合には、高い断熱性能を付与し易い上、この種発泡板に古くから使用されているヘキサブロモシクロドデカンを難燃剤として使用した場合、比較的少量の使用において高い難燃性能を付与することができるという利点がある。
【0024】
本発明の押出発泡板は、JIS A9511(1995)記載の押出ポリスチレンフォーム保温板を対象とする燃焼性規格を満足する。即ち、JIS A9511(1995)に記載されている4.13.1「測定方法A」の燃焼性の測定を行なった場合、炎が3秒以内に消え、残じんがなく、燃焼限界指示線を越えて燃焼することがない。従って、本発明押出発泡板は、着火した場合であっても、火が燃え広がる可能性が小さいので、建材用の押出ポリスチレンフォーム保温板として要求される安全性を備えるものである。
【0025】
本発明の押出発泡板は、熱伝導率が0.028W/m・K以下である。かかる熱伝導率は、JIS A9511(1995)記載の押出ポリスチレンフォーム保温板3種についての熱伝導率の規格を満足するものであり、本発明の押出発泡板は建材用の断熱板として好適なものである。尚、この熱伝導率は、JIS A 1412(1994)記載の平板熱流計法(熱流計2枚方式、平均温度20℃)にて測定された値である。
【0026】
本発明の押出発泡板の厚みは、高い断熱性能が要求されるため、10mm以上であるが、15mm以上であることが好ましく、20mm以上であることがより好ましい。その厚みが薄すぎると、高い断熱性能が得られない虞がある。尚、本発明の押出発泡板の厚みの上限は特に限定されないが、製造し易さからいうと200mm以下が好ましく、150mm以下がより好ましく、120mm以下が更に好ましい。
また、本発明の押出発泡板においては、厚み方向の平均気泡径が0.05〜0.18mmであることが好ましい。該平均気泡径が0.05mm未満の場合は、製造時にダイリップを通して押出された発泡途上にある発泡性溶融樹脂混合物(押出後の時間の経過と共に「溶融」状態から「非溶融状態」へと変化するので、厳密には必ずしも「溶融」とは言えない状態をも含むかも知れないが、本明細書では便宜上この表現を採用する)を、後述する賦形装置を使用しても板状に形成することができなくなる虞がある。一方、該平均気泡径が0.18mmを超える場合は、目的とする断熱性を得ることができない虞がある。そのような観点から、本発明の押出発泡板の厚み方向の平均気泡径は、0.08〜0.15mmであることが好ましく、0.07〜0.14mmであることがより好ましい。
【0027】
本明細書における平均気泡径の測定方法は次の通りである。発泡板の幅方向(押出方向と直交する水平方向)の無作為に選んだ中央部における幅方向垂直断面を、顕微鏡で200倍に拡大された状態の画面上又は顕微鏡写真上で、気泡の全景が映し出された気泡(画面や写真の端部で気泡の一部が欠落しているものや、画面や写真の端部ではないが気泡壁の一部欠落により隣の気泡等と連通して一体化している気泡は除く)を対象にして無作為に20個の気泡を選択する。この際、画面上又は顕微鏡写真上で全景が映し出された気泡が20個に満たない場合には、同じ断面の別な画面又は別な顕微鏡写真を付加的に使用すればよい。次に、選択された気泡のそれぞれに対し、気泡壁と接する長方形又は正方形を描く。この際、長方形又は正方形の相対向する一対の辺は発泡板の厚み方向と一致するように、また長方形又は正方形のもう一方の相対向する辺は発泡板の幅方向と一致するようにする。このようにして得られた20個の長方形又は正方形について、それぞれ、発泡板の厚み方向と一致する方向の辺の長さと、発泡板の幅方向と一致する方向の辺の長さを測定し、各方向についてそれぞれ相加平均することによって、発泡板の厚み方向の平均気泡径(D:mm)及び発泡板の幅方向の平均気泡径(D:mm)が得られる。
【0028】
また、発泡板の押出方向の平均気泡径(D:mm)は、発泡板の幅方向の無作為に選んだ中央部における押出方向垂直断面を使用して、上記長方形又は正方形の相対向する一対の辺を発泡板の押出方向と一致させる以外は、Dの測定方法と同じである。また、発泡板の水平方向の平均気泡径(D:mm)は、DとDの相加平均値である。
尚、発泡板のいずれの方向の平均気泡径も、それぞれ、異なる3断面に対する測定に基づく相加平均値である。
【0029】
本発明の押出発泡板においては、気泡変形率は0.7〜1.2である。気泡変形率とは、上記測定方法により求められたDをDで除すことにより算出された値(D/D)をいい、該気泡変形率が小さいほど気泡は偏平であり、大きいほど縦長である。気泡変形率が0.7未満の場合は、気泡が偏平なので厚み方向の圧縮強度が低下する虞があり、偏平な気泡は円形に戻ろうとする傾向が強いので、押出発泡板の寸法安定性も低下する虞がある。気泡変形率が1.2を超えると、厚み方向における気泡数が少なくなるので、目的とする高い断熱性が得られない虞がある。そのような観点から、上記気泡変形率は、0.80〜1.15であることが好ましく、0.85〜1.10であることがより好ましい。
【0030】
本発明の発泡板は、全体的として実質的に均一な大きさの気泡構造のものであることが好ましい。特公平5−49701号に記載されるように大気泡と小気泡を混在するものは本発明から除かれる。全体的として実質的に均一な大きさの気泡構造のものの方が機械的物性の均一性に優れるので好ましい。
【0031】
本発明の押出発泡板は、ヘキサブロモシクロドデカンを、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して少なくとも2重量部以上含有することが好ましい。ヘキサブロモシクロドデカンはポリスチレン系樹脂発泡板を難燃性にする効果を有するが、2重量部未満の場合は、JIS A9511(1995)記載の押出ポリスチレンフォーム保温板3種の燃焼性規格を満足することができない虞がある。ヘキサブロモシクロドデカンの含有量の上限は、押出発泡時における気泡の形成を阻害しないという観点から概ね10重量部である。ヘキサブロモシクロドデカンはこの種発泡板に一般的に使用されている難燃剤であり、本発明では、かかる一般的な難燃剤を使用すれば足り、特殊な難燃剤(例えばリン酸アンモニウムやポリリン酸アンモニウム等のリン系難燃剤)を使用または併用しなくとも高い難燃性を発泡板に付与できる。
【0032】
次に、本発明の押出発泡板の製造方法について説明する。
まず、ポリスチレン系樹脂と難燃剤を含む添加剤を押出機に投入し加熱し溶融し混練した後、イソブタン90〜50モル%及び他の発泡剤(クロロフルオロカーボン又は/及びフルオロカーボンを除く。)10〜50モル%とからなる(但し、これらの発泡剤量の合計は100モル%である。)混合発泡剤を圧入し、更に加熱混練して発泡性溶融樹脂混合物とする。
【0033】
本発明方法において用いられる難燃剤としては、前記押出発泡板と同様に、ヘキサブロモシクロドデカンが好ましく用いられ、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して少なくとも2重量部が添加される。
【0034】
本発明方法においては、難燃剤以外の添加剤として例えば気泡調整剤が基材樹脂に添加される。気泡調整剤は、押出発泡板の平均気泡径を調整するための添加剤である。気泡調整剤としては、タルク、カオリン、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、クレー、酸化アルミニウム、ベントナイト、ケイソウ土等の無機物粉末が例示され、本発明において気泡調整剤は2種以上組合せて用いることもできる。前記各種の気泡調整剤の中では、気泡径の調整が容易であると共に難燃性を阻害することがなく、気泡径を小さくしやすい等の理由でタルクが好適に用いられ、特に、粒子径の細かいタルクが好ましい。
【0035】
気泡調整剤としてタルクを使用する場合、その添加量はポリスチレン系樹脂100重量に対して、1〜10重量部、好ましくは2〜8重量部である。
【0036】
本発明方法においては、添加剤として前記気泡調整剤、難燃剤以外にも、目的を妨げない範囲において、着色剤、熱安定剤、充填剤等の各種添加剤を適時添加することができる。
【0037】
本発明方法においては、イソブタン90〜50モル%及び他の発泡剤(クロロフルオロカーボン又は/及びフルオロカーボンを除く。)10〜50モル%とからなる(但し、これらの発泡剤量の合計は100モル%である。)混合発泡剤を用いる。イソブタンの含有量が上記範囲を外れた混合発泡剤を用いると、前記イソブタンの残存量が押出発泡板1kg当り0.45〜0.80モルの押出発泡板を得ることができない虞がある。
【0038】
又、上記混合発泡剤は、クロロフルオロカーボンやフルオロカーボンは含まないので、本発明の方法によって得られる押出発泡板中に含まれる発泡剤は、オゾン破壊係数が0であると共に、地球温暖化係数も小さいので、地球環境に対して優しいものである。またイソブタンは、ポリスチレンに対する透過速度が空気より極めて遅いので、本発明によって得られる押出発泡板は長期にわたって製造時の断熱性が維持される。
【0039】
上記他の発泡剤としては、前記の通り、塩化メチル、塩化エチル等の塩化アルキル、二酸化炭素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル及びメチルエチルエーテルの群から選ばれる1又は2以上の発泡剤が好適に使用される。これらの他の発泡剤は発泡力に富むことから、得られる押出発泡板の見掛け密度を低下させる効果があると共に、ポリスチレンに対するガス透過性が高いため押出発泡板から早期に逸散して発泡板の断熱性能及び難燃性能を早期に安定化させるのに効果的である。特に、二酸化炭素を使用すると、得られる発泡板の気泡を小さくする効果があるので気泡調整剤の添加量を減らすことができるので好ましい。
【0040】
本発明方法においては、前記発泡性溶融樹脂混合物を発泡適性温度に調整した後、ダイリップを通して連続的に高圧域から低圧域に押出して発泡性溶融樹脂混合物を発泡させつつ板状に賦形する。具体的には、まず発泡性溶融樹脂混合物を発泡させながら、特定構造の通路を通過させることにより、発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物を圧縮し、続いて賦形装置を通過させながら板状に賦形する。
【0041】
上記発泡適性温度とは、発泡性溶融樹脂混合物が発泡に適した粘度を示す範囲の温度をいい、使用するポリスチレン系樹脂の種類、流動性向上剤の添加の有無(添加する場合、その種類や量)、更には混合発泡剤の添加量や混合発泡剤の成分等によっても異なるが、通常のスチレンホモポリマーの場合、一般には110〜130℃である。
【0042】
本発明方法において用いる前記特定構造の通路、及び賦形装置の一例を図1に示す。
図1は、押出機の先端に取付けられたダイ、特定構造の通路、及び賦形装置の縦断面図である。図1において、1はダイを、2はダイリップを、3は特定構造の通路を、4は上面の壁を、5は下面の壁を、6は上面の壁4の支持板を、7は下面の壁5の支持板を、8は通路の入口を、9は通路の出口を、10は賦形装置を、11は賦形装置の上側の平行板を、12は賦形装置の下側の平行板を、13は上側の平行板11の支持板を、14は下側の平行板12の支持板をそれぞれ示す。
【0043】
前記特定構造の通路3は、ダイ1に密着する上下左右の4面の壁で囲まれると共に、少なくとも上下面の間隔が入口から出口に向かって一旦拡大してから縮小する。即ち、該通路3はダイ1に密着する上面の壁4と下面の壁5と左面の壁と右面の壁の4面の壁で囲まれ(但し、左面の壁と右面の壁は図示しない。)、入口8と出口9を有し、入口8はダイ1に密着し、少なくとも上下面の間隔が出口9に向かって一旦拡大した後、縮小するように構成されている。
尚、更に、該通路3の左右面の間隔も出口9に向かって一旦拡大したり、又は出口9に向かって縮小するように構成しても構わない。
【0044】
前記ダイリップ2を通して押出されると発泡性溶融樹脂混合物は、押出された直後から通路3内で発泡を開始するので、吐出量に対応した速度で発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物を引取ることにより、前記構造の通路3内において発泡させながら圧縮することができる。即ち、通路3は、少なくとも上下面の間隔が入口8から出口9に向かって拡大した後縮小するので、発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物を適当な速度で引取ることにより、通路3の間隔が出口9に向かって拡大する部分において、発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物を比較的自由に発泡させることができると共に、出口9に向かって縮小する部分、特に出口9において発泡させながら圧縮することができる。
【0045】
上面の壁4と下面の壁5等の通路の壁は、発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物との滑りが良好な材質のもの、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂等のフッ素樹脂からなるものが好ましい。
【0046】
本発明方法においては、発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物を前記通路3を通過させた後、続いて発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物を賦形装置10を通過させて板状の押出発泡板に形成する。即ち、通路3の出口9から引張り出した発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物を、二枚の平行板11,12からなる賦形装置10の内部で引続き発泡させることにより、平行板11と平行板12の間に充満させて板状の押出発泡板に形成する。
【0047】
賦形装置10において押出発泡板を形成する際は、引取速度を適宜調節して、発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物を賦形装置10を通過させながら少なくとも厚み方向及び幅方向に膨張させることにより、少なくとも上下二枚の平行板11,12の間に充満させて、少なくとも厚み方向を規制しつつ板状の押出発泡板に賦形する。少なくとも厚み方向及び幅方向に膨張させるとは、発泡性溶融樹脂混合物の吐出量と発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物の引取速度とのバランス次第では、押出方向にも膨張させることができることを意味する。尚、上下二枚の平行板に加え、上下二枚の平行板の間であってその両端部付近に、更に平行板(角材)を設けた場合には、発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物を、上記両端部付近に設けた平行板(角材)の間にも充満させて、幅方向にも規制することができる。
【0048】
本発明方法において使用する賦形装置10は、通常は両側面が大気に開放された少なくとも上下二枚の平行板11,12から構成される。少なくとも上下二枚の平行板とは、上下二枚の平行板に限定するものではなく、前記の通り、上下二枚の平行板の間の賦形通路の幅方向両端部を閉鎖するように平行板(角材)を設けてもよいことを意味する。該平行板(角材)の材質に特に制限はないが、発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物との摩擦抵抗を小さくすることにより得られる押出発泡板の表面を平滑にするために、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等のフッ素樹脂からなる板を用いることが好ましい。
【0049】
本発明方法においては、発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物を通路3において圧縮するに際し、得られる押出発泡板の厚さ(T:mm)及び幅(W:mm)と、前記ダイ1に密着する通路3における最も断面積が小さくなる部分の通路3の高さ(h:mm)及び幅(b:mm)との関係が、次式(1)乃至(3)を満足するように圧縮することを要する。
尚、本発明でいう「ダイに密着する通路における最も断面積が小さくなる部分」とは、上記通路3の上記拡大部分の最も断面積が大きくなる部分よりも下流側において通路3の最も断面積が小さくなる部分をいう。この際、通路3の断面積とは押出方向と直交する方向に切断した時の通路3の断面積を意味する。通路3における最も断面積が小さくなる部分は、通常は通路3の出口9、又は出口9に連なる通路3の平行部分である。
【0050】
【数7】
W/b≧1.08 (1)
【0051】
【数8】
T/h≧1.20 (2)
【0052】
【数9】
(W/b)/(T/h)≧0.90 (3)
【0053】
上記(1)式と(2)式を共に満足するには、発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物を、ダイリップを出てからかなり早い時期の発泡力がまだ大きい段階で、通路3における最も断面積が小さくなる部分を通過させることを意味している。発泡力がかなり低下して(W/bが1.08未満又は/及びT/hが1.20未満)から通路3における最も断面積が小さくなる部分を通過させたのでは得られる発泡板の厚み方向の気泡径を小さくすることができず、結果として上記気泡変形率を1.2以下に維持することが困難となり、断熱板に高い断熱性を付与できない虞がある。
【0054】
また、W/bがT/hと等しいか、又は小さい場合にも得られる発泡板の厚み方向の気泡径を小さくすることができず、結果として上記気泡変形率を1.2以下に維持することが困難となり、断熱板に高い断熱性を付与できない虞がある。
尚、上記気泡変形率が0.7〜1.2の発泡板を容易に得る上で、W/b、T/h及び(W/b)/(T/h)のそれぞれは、次式(4)乃至(6)を満足するように圧縮することが好ましい。
【0055】
【数10】
3.0≧W/b≧1.20 (4)
【0056】
【数11】
2.0≧T/h≧1.30 (5)
【0057】
【数12】
2.0≧(W/b)/(T/h)≧0.92 (6)
【0058】
このように、通路3において発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物を圧縮することが、前述したような気泡変形率を有する発泡板を製造するための最も優れた手段であるが、本発明方法においては、その他にも、引取速度、リップクリア、リップ幅を適宜選択する等の方法が挙げられる。
【0059】
以上説明した本発明方法によれば、前記本発明の押出発泡板を容易に製造することができる。このようにして得られた発泡板の独立気泡率は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。独立気泡率が高いほど断熱性能を高く維持できる。発泡板の独立気泡率は、ASTM−D2856−70の手順Cに従って、東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型を使用して測定(押出発泡板から25mm×25mm×20mmのサイズに切断された成形表皮を持たないカットサンプルをサンプルカップ内に収容して測定する。ただし、厚みが薄く厚み方向に20mmのカットサンプルが切り出せない場合には、例えば、25mm×25mm×10mmのサイズのカットサンプルを2枚同時にサンプルカップ内に収容して測定すればよい。)された押出発泡板(カットサンプル)の真の体積Vxを用い、(7)式により独立気泡率S(%)を計算し、N=3の平均値で求めた。
【0060】
【数13】
S(%)=(Vx−W/ρ)×100/(Va−W/ρ) (7)
【0061】
Vx:上記方法で測定されたカットサンプルの真の体積(cm3)であり、カットサンプルを構成する樹脂の容積と、カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。
Va:測定に使用されたカットサンプルの外寸から計算されたカットサンプルの見掛け上の体積(cm3)。
W:測定に使用されたカットサンプル全重量(g)。
ρ:押出発泡板を構成する樹脂の密度(g/cm3
【0062】
【実施例】
次に、具体的な実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
【0063】
実施例1、3、4、比較例1、2
原料は、ポリスチレン(東洋スチレン社製G330C)100重量部に対して、気泡調整剤としてタルクマスターバッチ(上記ポリスチレン69重量%と、タルク(松村産業株式会社製ハイフィラー#12)30重量%と、ステアリン酸亜鉛1重量%とからなるマスターバッチ)を16.7重量部、難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカン3重量部及び安定剤少量を混合したものと、イソブタンと、塩化メチル、ジメチルエーテル、二酸化炭素を表1に示す割合で混合した混合発泡剤を表1に示す量(ポリスチレン1kg当たりの発泡剤注入量(mol/kg)として表記)を用いた。
【0064】
押出機は、口径65mmの押出機(以下、「第一押出機」という。)と口径90mmの押出機(以下、「第二押出機」という。)と口径150mm押出機(以下、「第三押出機」という。)とを直列に連結したものを使用し、上記混合発泡剤は第一押出機の先端付近において溶融樹脂中に圧入混練した。
【0065】
ダイリップは、先端に幅115mm、間隙1.5mm(長方形横断面)の樹脂排出口を備えたものを使用し、ダイリップの先端には上下左右の4面のポリテトラフルオロエチレン樹脂製の壁で囲まれると共に、上下面の間隔が入口から出口に向かって一旦拡大してから縮小する通路を、図1に示すようにダイに取付けた。
【0066】
得られる押出発泡板の厚さ(T:mm)、幅(W:mm)、前記通路における最も断面積が小さくなる部分の通路の高さ(h:mm)、幅(b:mm)、W/b、T/h、W/bとT/hの関系は、表1に示すように構成した。
【0067】
賦形装置は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂製の上下二枚の平行板で構成し、上下二枚の平行板の間隔は表1に示すように設定し、図1に示すように通路に取付けた。
【0068】
上記装置を用いて、ポリスチレン系樹脂等の原料を第一押出機に供給し、220℃まで加熱し、溶融混練し、第一押出機の先端付近で混合発泡剤を圧入して発泡性溶融樹脂混合物とし、続いて発泡性溶融樹脂混合物を、第三押出機とダイとの間で測定される発泡性溶融樹脂混合物の温度が表1に示す温度(表1では発泡温度と表示)となるように第二押出機及び第三押出機にて徐々に冷却した。次いで、ダイの設定温度を120℃とし、ダイリップの設定温度を110℃とし、発泡性溶融樹脂混合物を表1に示す吐出量でダイリップから押出した。この際、ダイ内の発泡性溶融樹脂混合物の圧力は30kgf/cm(実施例4のみ35kgf/cm)を示した。
【0069】
ダイリップから押出された発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物を、発泡させながら前記通路を通過させることにより、発泡させながら圧縮し、次に賦形装置に充満させながら板状に形成し、押出発泡板を製造した。その際の引取速度は表1に示す通りであった。
【0070】
得られた押出発泡板の見掛け密度、厚み、独立気泡率、厚み方向平均気泡径、気泡変形率、熱伝導率、燃焼性、発泡剤残存量を表2に示す。
【0071】
実施例2
タルクマスターバッチの添加量を8.3重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして押出発泡板を製造した。得られた押出発泡板の見掛け密度、厚み、独立気泡率、厚み方向平均気泡径、気泡変形率、熱伝導率、燃焼性、発泡剤残存量を表2に示す。
【0072】
比較例3
タルクマスターバッチの添加量を1.7重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして押出発泡板を製造した。得られた押出発泡板の見掛け密度、厚み、独立気泡率、厚み方向平均気泡径、気泡変形率、熱伝導率、燃焼性、発泡剤残存量を表2に示す。
【0073】
比較例4
実施例1で使用された上下面の間隔が入口から出口に向かって一旦拡大してから縮小する通路を、上下面の間隔が入口から出口に向かって直線的に徐々に広がる通路に変更した以外は、実施例1と同様にして押出発泡板を製造した。得られた押出発泡板の見掛け密度、厚み、独立気泡率、厚み方向平均気泡径、気泡変形率、熱伝導率、燃焼性、発泡剤残存量を表2に示す。
【0074】
【表1】
Figure 0004535667
【0075】
【表2】
Figure 0004535667
【0076】
表2における見掛け密度は、JIS K7222(1985)に基づいて測定された値である。
【0077】
表2における厚みは、幅方向を4等分する位置の3箇所で測定し、それらを相加平均した値である。
【0078】
表2における厚み方向平均気泡径及び気泡変形率は、前記の方法で測定された値である。
【0079】
表2における独立気泡率は、押出発泡板から25mm×25mm×20mmのサイズに切断された成形表皮を持たないカットサンプルを使用して上記の方法で測定された値である。
【0080】
表2における熱伝導率は、製造後4週間経過した押出発泡板と製造後3ヶ月経過した押出発泡板のそれぞれに対し、縦20cm、横20cm、押出発泡板厚みの試験片を切り出し、各試験片について、JIS A 9511(1995)4.7の記載により、英弘精機株式会社製の熱伝導率測定装置「オートΛ HC-73型」を使用して、JIS A1412(1994)記載の平板熱流計法(熱流計2枚方式、平均温度20℃)に基づいて測定した。
【0081】
表2における燃焼性は、JIS A9511(1995)の4.13.1「測定方法A」に基づいて測定した。
【0082】
表2における発泡剤残存量(発泡板1kg当たりの発泡剤の含有量)の測定は、株式会社島津製作所製、島津ガスクロマトグラフGC−14Bを使用し、シクロペンタンを内標準物質として、前記方法に基づいて測定した。
【0083】
【発明の効果】
本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板は、厚み10mm以上、密度25〜60kg/mであって、発泡板1kg当り0.45〜0.80モルのイソブタンを含むが、クロロフルオロカーボンやフルオロカーボンは含まない。従って、本発明の押出発泡板から放出される発泡剤は、オゾン破壊係数が0であり、地球温暖化係数も小さいので、地球環境に対して優しいものである。又、イソブタンは、ポリスチレンに対する透過速度が空気より極めて遅いので、本発明の押出発泡板は長期にわたって製造時の断熱性が維持される。
【0084】
本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板は、JIS A9511(1995)記載の押出ポリスチレンフォーム保温板3種の燃焼性規格を満足する。従って、本発明の押出発泡板は、着火した場合であっても、火が燃え広がる可能性が小さいので、建材用の押出ポリスチレンフォーム保温板として要求される安全性を備えるものである。
【0085】
本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板は、熱伝導率が0.028W/m・K以下である。従って、本発明押出発泡板は、JIS A9511(1995)記載の押出ポリスチレンフォーム保温板3種についての熱伝導率の規格を満足するものであり、建材用の断熱板として好適なものである。
【0086】
また、本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板は、厚み方向の平均気泡径が0.05〜0.18mmであると共に、気泡変形率が0.7〜1.2であるから、製造が容易であり、寸法安定性や圧縮強度に優れ、断熱性にも優れたものとなる。
【0087】
本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法においては、溶融ポリスチレン系樹脂と、特定範囲内のイソブタンと他の発泡剤(クロロフルオロカーボン又は/及びフルオロカーボンを除く。)とからなる発泡性溶融樹脂混合物を、ダイリップを通して連続的に低圧域に押出し、押出された発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物を、ダイに密着する特定構造の通路を発泡させながら通過させて、得られる押出発泡板に対して特定範囲の関系が成立するように圧縮し、続いて賦形装置を通過させながら板状に賦形するので、前記ポリスチレン系樹脂押出発泡板を容易に得ることができる。
【0088】
本発明方法においては、前記混合発泡剤が、イソブタン90〜50モル%と、塩化アルキル、二酸化炭素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル及びメチルエチルエーテルの群から選ばれた1又は2以上の他の発泡剤10〜50モル%とからなるという構成を採用すると、前記本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリスチレン系樹脂発泡板の製造方法に使用される通路、賦形装置の一例を示す図面である。
【符号の説明】
1 ダイ
2 ダイリップ
3 通路
4 通路の上面の壁
5 通路の下面の壁
8 通路の入口
9 通路の出口
10 賦形装置

Claims (5)

  1. イソブタンと、塩化アルキル、二酸化炭素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル及びメチルエチルエーテルの群から選ばれる1又は2以上の他の発泡剤とからなる混合発泡剤並びに難燃剤とポリスチレン系樹脂とを含む、発泡性溶融樹脂混合物を高圧域から低圧域に押出すことによって得られる、実質的に均一な大きさの気泡構造であり、厚み10mm以上、見掛け密度25〜60kg/mのポリスチレン系樹脂押出発泡板であって、発泡板製造後4週間後及び3ヶ月後の該発泡板中のイソブタンの残存量が該発泡板1kg当り0.45〜0.80モルであり、更に発泡板は、厚み方向の平均気泡径が0.05〜0.18mmであり、気泡変形率(厚み方向の平均気泡径/水平方向の平均気泡径)が0.7〜1.2であり、且つJIS A9511(1995)記載の押出ポリスチレンフォーム保温板3種の燃焼性規格を満足すると共に、発泡板の熱伝導率が0.028W/m・K以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡板。
  2. タルクを、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して1〜10重量部含有することを特徴とする請求項1記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板。
  3. 難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカンを、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して少なくとも2重量部以上含有することを特徴とする請求項1又は2記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板。
  4. 発泡板の見掛け密度が36〜60kg/mであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板。
  5. 請求項1記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法であって、押出機内において、溶融ポリスチレン系樹脂と、イソブタン90〜50モル%及び塩化アルキル、二酸化炭素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル及びメチルエチルエーテルの群から選ばれる1又は2以上の他の発泡剤10〜50モルとからなる(但し、これらの発泡剤量の合計は100モル%である。)混合発泡剤並びに難燃剤を含む添加剤とを混練して発泡性溶融樹脂混合物となし、次いでダイリップを通して連続的に高圧域から低圧域に押出して発泡性溶融樹脂混合物を発泡させつつ板状に賦形するに当たり、押出された発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物を、ダイに密着する上下左右の4面の壁で囲まれると共に、少なくとも上下面の間隔が入口から出口に向かって一旦拡大してから縮小する通路を、発泡させながら通過させることにより、発泡途上の発泡性溶融樹脂混合物を圧縮し、続いて賦形装置を通過させながら、少なくとも厚み方向及び幅方向に膨張させると共に少なくとも厚み方向を規制しつつ板状に賦形するに際し、得られるポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚さ(T:mm)及び幅(W:mm)と、前記通路における拡大部分の最も断面積が大きくなる部分よりも下流側において通路の最も断面積が小さくなる部分の通路の高さ(h:mm)及び幅(b:mm)との関係が、次式(1)乃至(3)を満足するように、前記通路において圧縮することを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
    【数1】
    W/b≧1.08 (1)
    【数2】
    T/h≧1.20 (2)
    【数3】
    (W/b)/(T/h)≧0.90 (3)
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