JP4535111B2 - 金属部材接合方法 - Google Patents
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ろう接とは、溶融したろう材を接合部の間隙に流入させ、母材との「ぬれ」及び「流れ」を利用して接合する方法であって、ろうの溶融あるいは反応拡散によってできた液相が毛細現象等によって界面間隙を埋め、やがて冷却に伴い凝固するという過程をたどって接合が完了するものである。
また、爆発圧接とは、火薬の爆発時に生じる極短時間での高エネルギーを金属間の接合に利用する方法であって、金属部材同士を適当な間隔をあけて設置し、一方の金属部材の上に載せた火薬の一端を雷管によって起爆させて両金属部材を高速度で衝突させ、その衝突点での金属の著しい流動現象(メタルジェット)によって、金属表面の汚染層を排除し、同時に高圧で密着・接合するものである。
また、爆発圧接は、コストが高く、大きな金属部材や複雑な形状の金属部材を接合できないという欠点がある。
また、請求項2に係る発明は、溶融点の異なる二の金属部材を互いに重ね合わせて配置し、円周方向に回転する円板状の接合ツールの周面を、重ね合わせ部において前記金属部材のうち溶融点の高い一方の金属部材の表面に凹みが残るように押し込みつつ該一方の金属部材の表面に沿って移動させることにより、前記両金属部材同士を接合する金属部材接合方法であって、前記接合ツールの進行方向後方に前記表面を送り込むような向きで前記接合ツールを回転させることを特徴とする金属部材接合方法である。
そして特に、複数の金属部材を、溶融点の高い順に互いに重ね合わせて配置しておき、最も溶融点の高い金属部材側から接合ツールを押し込みつつ接合するようにすれば、金属部材同士の重ね合わせ部が接合に必要な温度まで上昇したときに、接合ツールに近い側の金属部材ほどその変形抵抗を高く保って接合ツールの押圧力を重ね合わせ面に対して効率よく伝達できるので、金属部材間に隙間のない高強度の接合が可能となる。
250≦R≦2000 … (A)
0.1×t≦α≦0.3×t … (B)
t:重ね合わせ部における銅部材の厚み(m)
0.1≦V≦R/(5.0×107×t2) … (C)
R:接合時の接合ツールの周速度(m/min)
t:重ね合わせ部における銅部材の厚み(m)
また、接合ツールの周速度Vが小さすぎると、接合効率が低下するという観点から、発明者らは、0.1≦Vを満足するときに接合効率がよいことを実験によって確認した。
たとえば、図3に他の実施形態として示した金属部材接合方法は、三つの金属部材(5000系アルミニウム部材1、1000系アルミニウム部材1’、銅部材2)を互いに重ね合わせて配置し、三つの金属部材のうち最も溶融点の高い銅部材2側から接合ツール3のツール本体3aを押し込んで摩擦振動接合するものである。ここで、接合時に金属部材同士の重ね合わせ部が共晶温度以上になることと、そのときの各金属部材の変形抵抗が金属部材同士の重ね合わせ面への接合ツールによる押圧力の伝達効率に影響することを考慮すると、三つの金属部材を溶融点の高い順(ここでは銅部材2、1000系アルミニウム部材1’、5000系アルミニウム部材1の順)に重ね合わせて配置し、最も溶融点の高い金属部材(ここでは銅部材2)の表面から接合ツール3を押し込んで摩擦振動接合することが望ましい。この他、三つの金属部材を銅、アルミニウム、マグネシウムとした場合には、銅部材、アルミニウム部材、マグネシウム部材の順に重ね合わせ、銅部材側から接合ツールを押し込んで摩擦振動接合すればよい。
たとえば、図5に示す放熱部材4は、いずれも放熱性能を高めるために放熱フィン5b,5b,…の表面積を大きくしたものであって、図5(a)は、放熱フィン5b,5b,…が長さ方向に波状に走る形状となったもの、図5(b)は、放熱フィン5b,5b,…が伝熱板6に対して傾斜して立設されたもの、図5(c)は、放熱フィン5b,5b,…が高さ方向に屈曲しているもの(伝熱板6の幅方向に対して左右対称断面形でも左右非対称断面形でもよい。)を示している。
まず、図6(a)に示すように、放熱フィン5b,5b,…を下向きにしてアルミニウム部材からなるヒートシンク材5を、接合テーブル7上に固定する。そして、ヒートシンク材5のベース板5aの上面に、銅部材からなる伝熱板6を互いに面接触するように重ね合わせて配置し、図示しない冶具で固定する。
さらに、接合ツール3に代えて、図7(c)に示すように、回転軸3bのまわりに所定間隔でツール本体3a,3a,…が固定された接合ツール3’を用いることもできる。この場合、一度に多数箇所を摩擦振動接合できるので、接合に要する時間を短縮でき、より接合効率が向上する。
図1、図2に示したように、アルミニウム部材と銅部材とを重ね合わせて銅部材側から摩擦振動接合する場合において、接合ツールのツール本体の周速度Rの適正範囲を検証すべく、以下の実験を行った。
供試材として、厚み0.001mの銅部材と、厚み0.001mのアルミニウム部材(1050−O)を用いた。また、接合ツールとして、ツール本体の直径が0.08m、板厚が0.005mのものを用いた。接合ツールのツール本体の銅部材表面への押込量αは0.003mに設定した。
結果を表1に示す。
ここで、材料剥離とは、重ね合わせ面で両部材が剥がれた(剥離した)ものを指し、やや不完全ながら接合がなされたことを示す。また、材料接合部破断とは、接合部の重ね合わせ面以外で部材が破断したものを指し、接合が完全であったことを示す。
実験1における銅部材の厚みt(m)と接合ツールのツール本体の銅部材への押込量α(m)とを変化させ、実験1と同様の実験を行った。
結果を表2に示す。
実験3として、実験2と同様の実験を行い、接合ツールのツール本体の銅部材への押込量α(m)と銅部材の厚みt(m)との関係を検証した。
結果を表3に示す。
実験4として、実験2と同様の実験を行い、接合ツールのツール本体の送り速度V(m/min)の適正範囲を検証した。なお、銅部材の厚みtを0.005m、接合ツールのツール本体の板厚を0.01mに設定した。
結果を表4に示す。
その理由として、接合時の接合ツールの周速度が大きくなれば、接合ツールと銅部材との摩擦接触によって発生する熱量が大きくなるので、接合ツールの送り速度Vを大きくしても、重ね合わせ部の温度を一定以上に保つことができるが、銅部材の厚みtが大きくなると、重ね合わせ部が一定温度以上に達するまでの時間がかかるので、接合ツールの送り速度を大きくしすぎると、重ね合わせ部が一定温度以上に達する前に接合ツールが通過してしまい、接合不良となってしまうということが挙げられる。つまり、良好な摩擦振動接合を行うには、接合ツールの送り速度V、周速度R、銅部材の厚みtを相互に調節する必要があり、発明者らは実験の結果、V≦R/(5.0×107×t2)を満足するときに良好な接合が可能であることを確認した。
また、表4には示していないが、接合ツールの周速度Vが小さすぎると、接合に時間を要し接合効率が低下するという観点から、100≦Vを満足するときに接合効率がよいことも確認した。
したがって、接合時の接合ツールを、次式(C)によって求められる送り速度V(m/min)で銅部材の表面に沿って移動させれば、良好な摩擦振動接合が可能であることが分かった。
0.1≦V≦R/(5.0×107×t2) … (C)
R:接合時の接合ツールの周速度(m/min)
t:重ね合わせ部における銅部材の厚み(m)
図6に示した方法を用いて図4に示した形状の放熱部材を実際に製作した。ヒートシンク材はアルミニウムの押出形材とし、ベース板の厚みを0.005m、幅を0.06m、長さを0.2m、放熱フィンの幅を0.0005m、配置間隔を0.002m、高さを0.015mとした。伝熱板の厚みは0.005m、幅及び長さはヒートシンク材のベース板と同じにした。摩擦振動接合に用いた接合ツールは、ツール本体の直径を0.08m、厚みを0.01mとし、接合条件として、ツール本体の回転数を3000rpm、送り速度を0.25m/min、伝熱板への押込量を0.0005mに設定した。また、摩擦振動接合後に、伝熱板の表面に0.001mの深さで機械加工による切削を行った。
このようにして、熱伝導性に優れた放熱部材を、効率よく製造することができた。
2 … 銅部材
2a … 表面
2b … 段部
3 … 接合ツール
3a … ツール本体
3b … 回転軸
4 … 放熱部材
5 … ヒートシンク材
5a … ベース板
5b … 放熱フィン
6 … 伝熱板
7 … 接合テーブル
8 … 放熱フィン支持具
Claims (6)
- 複数の金属部材を、溶融点の高い順に互いに重ね合わせて配置し、円周方向に回転する円板状の接合ツールの周面を、重ね合わせ部において前記金属部材のうち最も溶融点の高い金属部材の表面に凹みが残るように押し込みつつ該金属部材の表面に沿って移動させることにより、前記複数の金属部材を互いに接合する金属部材接合方法であって、
前記接合ツールの進行方向後方に前記表面を送り込むような向きで前記接合ツールを回転させることを特徴とする金属部材接合方法。 - 溶融点の異なる二の金属部材を互いに重ね合わせて配置し、円周方向に回転する円板状の接合ツールの周面を、重ね合わせ部において前記金属部材のうち溶融点の高い一方の金属部材の表面に凹みが残るように押し込みつつ該一方の金属部材の表面に沿って移動させることにより、前記両金属部材同士を接合する金属部材接合方法であって、
前記接合ツールの進行方向後方に前記表面を送り込むような向きで前記接合ツールを回転させることを特徴とする金属部材接合方法。 - アルミニウム部材と銅部材とを重ね合わせて配置し、円周方向に回転する円板状の接合ツールの周面を、重ね合わせ部において前記銅部材の表面に凹みが残るように押し込みつつ該銅部材の表面に沿って移動させることにより、前記アルミニウム部材と前記銅部材とを接合する金属部材接合方法であって、
前記接合ツールの進行方向後方に前記表面を送り込むような向きで前記接合ツールを回転させることを特徴とする金属部材接合方法。 - 接合時の前記接合ツールを、次式(A)で求められる周速度R(m/min)で回転させることを特徴とする請求項3に記載の金属部材接合方法。
250≦R≦2000 … (A) - 接合時の前記接合ツールを、次式(B)で求められる押込量α(m)だけ前記銅部材の表面に押し込むことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の金属部材接合方法。
0.1×t≦α≦0.3×t … (B)
t:重ね合わせ部における銅部材の厚み(m) - 接合時の前記接合ツールを、次式(C)によって求められる送り速度V(m/min)で前記銅部材の表面に沿って移動させることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載の金属部材接合方法。
0.1≦V≦R/(5.0×107×t2) … (C)
R:接合時の接合ツールの周速度(m/min)
t:重ね合わせ部における銅部材の厚み(m)
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