JP4618327B2 - 金属部材接合方法及び放熱器の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)ベース板102を構成する銅合金よりも溶融点の低いアルミニウム合金からなるフィン104側から接合ツール103を押し込んで摩擦振動接合を行うので、フィン104との境界面近傍のベース板102が接合に必要な温度(共晶温度=548℃)に達する前にフィン104の基端部104aが高温化してその変形抵抗が小さくなってしまう。したがって、接合ツール103による押圧力をベース板102とフィン104の基端部104aとの境界面に充分に伝達できず、接合不良又は接合不能となることがある。さらに、フィン104の基端部104aが薄い(たとえば厚さ0.5mm以下の)場合には、フィン104の基端部104aが溶断されてしまう欠点がある。
ここで、複数の金属部材は溶融点の高い順に重ね合わせて配置され、最も溶融点の高い金属部材側から加熱及び加圧されるので、金属部材同士の重ね合わせ部が接合に必要な温度まで上昇したときに、加熱及び加圧される側の金属部材ほどその変形抵抗を高く保ってその圧力が境界面に対して効率よく伝達され、金属部材間に隙間のない高強度の接合が可能となる。たとえば、銅部材とアルミニウム部材とを重ね合わせたときには、銅部材側から重ね合わせ部を加熱及び加圧することになる。
このとき、各板材相互間にそれぞれスペーサを挟み込むので、板材相互の間隔を正確に保ちつつ簡単に位置決めすることができ、しかもスペーサによって板材が補強されるので、板材の厚さをかなり薄くすることも可能である。また、スペーサの厚さを変更するだけで板材の配置間隔を任意に変更でき、さらに板材の高さを併せて変更することによって、特に板厚が薄く高さの大きな複数枚の板材を、ベース板の一方の面に短ピッチで立設接合することができる。なお、本工程でベース板の一方の面に各板材を立設配置した状態では、各スペーサはベース板の該一方の面に当接していなくてもよいが、次工程で板材に曲げ応力が作用することを考慮すれば、スペーサによる板材の補強効果を高めるため、各スペーサもベース板の該一方の面に当接させることが望ましい。
また、続く接合工程では、ベース板の他方の面に、円周方向に回転する円板状の接合ツールの周面を押し込みつつこの他方の面に沿って移動させることにより、各板材とベース板とを接合する。
そして、本発明における前記接合ツールには前記周面に沿うように螺旋形の凹溝が形成されている。なお、ベース板と板材との接合強度を高めるためには、各板材の基端面全面をベース板の裏面(ベース板の他方の面)に接合することが望ましいが、接合コストの削減を重視するのであれば、各板材の基端面の一部だけをベース板に接合してもよい。また、ベース板と各板材とを接合するときにベース板と各スペーサとを接合してしまってもよいが、次工程でスペーサを取り外すことを考慮すれば、ベース板と各スペーサとが接合されないようにしておくことが望ましい。
ここで、接合ツールの周面には凹溝が形成されているので、接合ツールの周面と金属部材(ベース板)の表面との接触面積がより大きくなり、効率よく摩擦熱を発生させて効率よく複数の金属部材を互いに接合することができる。
さらに、接合ツールの周面の凹溝は、回転方向に対して僅かに傾斜した向きで連続するように、つまり接合ツールの回転軸のまわりで接合ツールの周面に沿った螺旋形の軌跡を描くように形成されている。したがって、接合ツールの回転・移動に伴って、凹溝内部に溜まった可塑化したメタルが接合ツールの幅方向に順次送り出されるので、接合後に金属部材の表面に残る凹み量を最小限に抑えることができる。
本発明に係る金属部材接合方法の第一実施形態は、金属部材同士を重ね合わせて摩擦振動接合するものである。金属部材の摩擦振動接合とは、接合ツールの押圧力によって金属部材の重ね合わせ部における隙間をなくしつつ、回転する接合ツールと金属部材との接触により生ずる振動によって金属部材同士の境界面に存在する酸化皮膜を分断破壊するとともに、摩擦熱によって重ね合わせ部を高温化して塑性変形させることにより、金属部材同士の接触面積と拡散速度を増大させながら重ね合わせ部を接合する方法である。
そして特に、複数の金属部材を、溶融点の高い順に互いに重ね合わせて配置しておき、最も溶融点の高い金属部材側から接合ツールを押し当てつつ接合するようにすれば、金属部材同士の重ね合わせ部が接合に必要な温度まで上昇したときに、接合ツールに近い側の金属部材ほどその変形抵抗を高く保って接合ツールの押圧力を境界面に対して効率よく伝達できるので、金属部材間に隙間のない高強度の接合が可能となるのである。
また、凹溝3cは、回転方向に対して僅かに傾斜して連続するように、つまり接合ツール3の回転軸3bのまわりでツール本体3aの周面に沿った螺旋形の軌跡を描くように形成されている。したがって、ツール本体3aの回転・移動に伴って、凹溝3cの内部に溜まった可塑化したメタルがツール本体3aの幅方向に順次送り出されるので、接合後に銅部材2の表面2aに残る凹み量(段部2bの高さ)を最小限に抑えることができる。
250≦R≦2000 … (A)
これは、接合時の接合ツール3の周速度が250m/minより小さいと、接合ツール3と銅部材2との摩擦接触によって発生する熱量が小さすぎて、銅部材2とアルミニウム部材1との重ね合わせ面(境界面)の温度が低く、接合不良となってしまい、一方、接合時の接合ツール3の周速度が2000m/minより大きいと、接合ツール3と銅部材2との摩擦接触によって発生する熱量が必要以上に大きくなって、接合ツール3の駆動エネルギーロスが大きいだけでなく、接合ツール3と接触している銅部材2の温度が局所的に大きくなりすぎて当該部分が塑性変形してしまい、接合ツール3の押圧力が重ね合わせ面(境界面)に充分に伝達されず、両部材間に隙間が生じてしまうおそれがあるからである。したがって、接合時の接合ツール3を周速度250〜2000m/minで回転させれば、接合ツール3と銅部材2との摩擦接触によって発生する熱量が適正な値となって、良好な接合を行うことができるのである。
0.03×t≦α≦0.3×t … (B)
t:重ね合わせ部における銅部材の厚さ(m)
これは、接合時の接合ツール3の銅部材2の表面2aへの押込量αが0.03tよりも小さいと、銅部材2とアルミニウム部材1との重ね合わせ面(境界面)に隙間が残って接合不良となり、一方、押込量αが0.3tよりも大きいと、銅部材2とアルミニウム部材1との重ね合わせ面(境界面)に隙間は残らないが、接合ツール3の押し込み過大によって銅部材2表面に凹みが顕著に残ってしまい、部材ロスが発生するからである。したがって、接合時の接合ツール3の銅部材2の表面2aへの押込量αを0.03t以上0.3t以下とすれば、接合ツール3の押圧力が適正な値となって、銅部材2とアルミニウム部材1との重ね合わせ面(境界面)に隙間を発生させずに接合することができ、銅部材2の表面2aの凹みも小さくできるのである。
0.1≦V≦R/(5.0×106×t2) … (C)
R:接合時の接合ツールの周速度(m/min)
t:重ね合わせ部における銅部材の厚さ(m)
これは、接合時の接合ツール3の周速度が大きくなれば、接合ツール3と銅部材2との摩擦接触によって発生する熱量が大きくなるので、接合ツール3の送り速度Vを大きくしても、重ね合わせ部の温度を一定以上に保つことができるが、銅部材2の厚さが厚くなると、重ね合わせ面(境界面)が一定温度以上に達するまでの時間がかかるので、接合ツール3の送り速度を大きくしすぎると、重ね合わせ部が一定温度以上に達する前に接合ツール3が通過してしまい、接合不良となってしまうからである。つまり、良好な摩擦振動接合を行うには、接合ツール3の送り速度V、周速度R、銅部材の厚さtを相互に調節する必要があり、実験の結果、V≦R/(5.0×106×t2)を満足するときに良好な接合が可能であることが確認されている。一方、接合ツール3の周速度Vが小さすぎると、接合効率が低下するという観点から、0.1≦Vを満足するときに接合効率がよいことも実験によって確認されている。
たとえば、図4では、三つの金属部材(5000系アルミニウム部材1、1000系アルミニウム部材1’、銅部材2)を互いに重ね合わせて配置し、三つの金属部材のうち最も溶融点の高い銅部材2側から接合ツール3のツール本体3aを押し当てて摩擦振動接合するものである。ここで、接合時に金属部材同士の重ね合わせ部が所定温度以上になることと、そのときの各金属部材の変形抵抗が金属部材同士の重ね合わせ面(境界面)への接合ツールによる押圧力の伝達効率に影響することを考慮すると、三つの金属部材を溶融点の高い順(ここでは銅部材2、1000系アルミニウム部材1’、5000系アルミニウム部材1の順)に重ね合わせて配置し、最も溶融点の高い金属部材(ここでは銅部材2)の表面から接合ツール3を押し当てて摩擦振動接合することが望ましい。この他、三つの金属部材を銅、アルミニウム、マグネシウムとした場合には、銅部材、アルミニウム部材、マグネシウム部材の順に重ね合わせ、銅部材側から接合ツールを押し当てて摩擦振動接合すればよい。
本発明に係る金属部材接合方法の第二実施形態は、複数枚の金属製板材を金属製のベース板に立設させて摩擦振動接合することにより、放熱器を製造するというものである。
図5及び図6は、本発明に係る金属部材接合方法の第二実施形態としての放熱器の製造方法を説明するための図であって、図5(a),(b)は部材配置工程を表す正面断面図、図6(a)は接合工程を表す正面断面図、図6(b)はスペーサ離脱工程を表す正面断面図である。また、図7は、放熱器製造用治具の一実施形態を表す分解斜視図である。
放熱器製造用治具10は、図7に示すように、上面が開放した箱形の治具本体11と、この治具本体11の内部に形成された凹部である部材セット部12においてスライド可能に配置された押圧板13と、この押圧板13と直交する向きで治具本体11の壁体を貫通しつつ、先端部が押圧板13の背面に固着され頭部が治具本体11の壁体の外側に位置する締付ボルト14と、押圧板13に平行な向きで治具本体11の壁体上部に架け渡されるベース固定板15と、このベース固定板15の両端を治具本体11の壁体上部に螺着するための締付ボルト16と、で構成されている。
そして、ここでは、フィン4,4,…とスペーサ5,5,…とを、これらが交互に立設するように部材セット部12に並べた上で、締付ボルト14をねじ込んで押圧板13をこれらに押し付けることによってこれらを互いに密着した状態で拘束する。このとき、フィン4とスペーサ5は全て高さが等しいので、立設されたフィン4,4,…の上面(基端面)とスペーサ5,5,…の上面(基端面)とで水平面が形成されるようになっている。
なお、図5(a),(b)に示した部材配置工程は、必ずしもこのとおりでなくても、フィン4,4,…とスペーサ5,5,…とベース板6とが最終的に図5(b)のように所定の位置に配置されるのであれば、手順を問わない。したがって、たとえば、互いに間隔をあけてフィン4,4,…(又はスペーサ5,5,…)を配置しておき、それらの基端面にベース板6を固定した後、最後にフィン4,4,…(又はスペーサ5,5,…)の間にそれぞれスペーサ5,5,…(又はフィン4,4,…)を挿入するようにしてもよい。
このとき、ベース板6を構成する銅の溶融点がフィン4を構成するアルミニウムの溶融点よりも高いので、フィン4とベース板6との境界面を両者の接合に必要な温度(共晶温度:548℃)まで上昇させたときにベース板6の変形抵抗を高く保つことができ、接合ツール3の押圧力を境界面に効率よく伝達しながらフィン4とベース板6の間に隙間のない高強度の接合を行うことができる。
また、スペーサ5を構成する鉄の溶融点がフィン4を構成するアルミニウム及びベース板6を構成する銅の溶融点よりも高いので、接合ツール3の周速度や送り速度を所定の範囲に設定することによって、スペーサ5がフィン4やベース板6に接合されないように、ベース板6とフィン4だけを容易に接合することができる。
放熱器H’の製造手順の第二パターンは、図12(b)に示すように、互いに間隔をあけたフィン4,4,…の間にそれぞれスペーサ5,5,…を挟み込み、フィン4,4,…の両端(図示上下端)にそれぞれベース板6,6’を配置した上で、一方のベース板6の背面(図示上面)から接合ツール3を下向きに押し当てて接合する。その後、各部材の配置関係を保持したままフィン4、スペーサ5、ベース板6,6’を上下反転した上で、図12(c)に示すように、他方のベース板6’の背面(図示上面)から接合ツール3を下向きに押し当てて接合する。そして最後に、スペーサ5,5,…を側方から(紙面直交方向に)抜き取る。
放熱器H’の製造手順の第四パターンは、図13(d)に示すように、互いに間隔をあけたフィン4,4,…の間にそれぞれスペーサ5,5,…を挟み込み、フィン4,4,…の一端(図示上端)だけにベース板6を配置した上で、ベース板6の背面(図示上面)から接合ツール3を下向きに押し当てて接合する。次に、図13(e)に示すように、ベース板6及びフィン4を上に持ち上げる等してスペーサ5を取り外し、一旦放熱器Hを完成させる。その後、放熱器Hを上下反転した上で、図13(f)に示すように、フィン4,4,…の間にそれぞれスペーサ5,5,…を挟み込み、フィン4,4,…の他端(図示上端)にベース板6’を配置する。さらに、図13(g)に示すように、ベース板6’の背面(図示上面)から接合ツール3を下向きに押し当てて接合する。そして最後に、スペーサ5,5,…を側方から(紙面直交方向に)抜き取る。
本発明に係る金属部材接合方法の第三実施形態は、上記第二実施形態と略同様であるが、放熱器製造用治具10を使用せず、これに代えてスペーサ治具20を使用する点において異なる。
スペーサ治具20は、図14(a)に示すように、スペーサ5,5,…の先端部(図示下端部)が相互に連結された断面櫛形状の治具である。そして、部材配置工程では、このスペーサ治具20のスペーサ5,5,…を上に向けて固定した後で、図14(b)に示すように、スペーサ5,5,…の間にそれぞれフィン4,4,…を挿入し、さらに図14(c)に示すように、フィン4,4,…の上面(基端面)にベース板6の下面(一方の面)が当接するように、ベース板6を固定する。なお、図14(b),(c)の手順を逆にすること、つまりスペーサ治具20の上面にベース板6を固定した後で、側方(紙面直交方向)からスペーサ5,5,…を挿入することも可能である。
続く接合工程では、図14(d)に示すように、ベース板6の上面(他方の面)から接合ツール3を押し当てつつ、ベース板6にフィン4,4,…を接合する。
最後のスペーサ離脱工程では、図14(e)に示すように、ベース板6及びこれに接合されたフィン4,4,…を持ち上げることにより、スペーサ治具20を取り外す。
本実施形態のようにスペーサ治具20を用いれば、放熱器製造用治具10が不要となり、しかもスペーサ5,5,…の配置の手間も省けるという利点がある。
本発明に係る金属部材接合方法の第四実施形態は、上記第二実施形態と略同様であるが、部材配置工程がフィン配置工程とその後のベース板配置工程とに分かれている。
そして、最初のフィン配置工程では、図15(a)に示すように、フィン4,4,…とスペーサ5,5,…とを交互に並べながら、これらを放熱器製造用治具10の部材セット部12に立設配置する。このとき、スペーサ5,5,…の高さはスペーサ5の厚さの範囲内でフィン4,4,…の高さよりも小さくなっており、スペーサ5,5,…の基端面(図示上端面)がフィン4,4,…の基端面(図示上端面)よりもスペーサ5の厚さ以内で埋没している。換言すれば、フィン4,4,…の高さはスペーサ5の厚さの範囲内でスペーサ5,5,…の高さよりも大きくなっており、フィン4,4,…の基端面がスペーサ5,5,…の基端面よりもスペーサ5の厚さ以内で突出している。
このとき、直角に折り曲げられたフィン4の基端部4aがベース板6の一方の面に沿う面を形成しているので、第二実施形態に比べてベース板6とフィン4との接触面積が大きくなっており、両者を確実に接合することができる。つまり、本実施形態によれば、フィン4の厚さがかなり薄い場合であっても、ベース板6にフィン4,4,…が確実に立設接合された放熱器Hを製造することができる。
次に、本発明に係る放熱器の製造方法の実施形態について説明する。本実施形態は、上記金属部材接合方法の第二実施形態と略同様であるが、フィン4に代えて断面凹字形のフィン構成材30を用いる。
まず、最初の部材配置工程では、図17(a)に示すように、全体が逆T字形になるように、一枚の薄いアルミニウム合金製の板材31の中央部にスペーサ5を直交配置し、図17(b)に示すように、断面凹字形のフィン構成材作成治具40の中央部の溝内に、板材31を折り曲げつつその中央部を押し込みながらスペーサ5を挿入していくことによって、図17(c)に示すような、中央部の溝にスペーサ5が挟み込まれた断面凹字形のフィン構成材30を作成する。フィン構成材30は、左右一対のフィン4,4とこれらの端部を連結する基端部4aとで断面凹字形に形成されている。
なお、図17(a)〜(e)に示した部材配置工程は、必ずしもこのとおりでなくても、フィン構成材30,30,…とスペーサ5,5,…とスペーサ5’,5’,…とが最終的に図17(e)のように所定の位置に配置されるのであれば、手順を問わない。したがって、たとえば、予め断面凹字形に形成したフィン構成材30,30,…を互いに間隔をあけて並べておき、各フィン構成材30の左右一対のフィン4,4の間にそれぞれスペーサ5,5,…を挿入するとともに、フィン構成材30,30,…相互間にスペーサ5’,5’,…を挿入し、最後にベース板6を配置するようにしてもよいし、あるいは、予め断面凹字形に形成したフィン構成材30,30,…を互いに間隔をあけて並べておき、次にベース板6を配置し、最後に、各フィン構成材30の左右一対のフィン4,4の間にそれぞれスペーサ5,5,…を挿入するとともに、フィン構成材30,30,…相互間にスペーサ5’,5’,…を挿入するようにしてもよい。
このとき、フィン構成材30の基端部4aがベース板6の一方の面に沿う面を形成しているので、第一実施形態に比べてベース板6とフィン4との接触面積が大きくなっており、両者を確実に接合することができる。つまり、本実施形態によれば、フィン4の厚さがかなり薄い場合であっても、ベース板6にフィン4,4,…が確実に立設接合された放熱器Hを製造することができる。
なお、以上の実施形態では、接合ツール3を用いたいわゆる摩擦振動接合を例示してきたが、本発明はこれらに限定されるものではない。たとえば、加熱及び加圧の方法としては、回転する接合ツール3を溶融点の高い金属部材側に押し込んで、これにより発生する摩擦熱と押圧力を金属部材間の境界面に伝達するような接触方式に限定されるものではなく、電磁誘導を利用して溶融点の高い金属部材側から金属部材間の境界面を加熱及び加圧するような非接触方式でもよい。
接合ツールの周面のフラット部の幅w1(mm)、溝幅w2(mm)、溝幅に対するフラット部の幅の比率w1/w2を様々に設定して、接合品質、外観、機械負荷について調べた結果を表1に示す。
そして、1≦w1≦5、かつ、1≦w2≦3、かつ、0.67≦w1/w2≦5.00が成立する場合(実施例1−1〜1−7)には、銅板表面への接合ツールの押込量を抑えつつ、接合ツールによる摩擦熱の発生量を大きく機械負荷を小さくして、効率的な接合が可能となることが判明した。
接合ツールの周面の溝の回転方向に対する傾斜角度と溝数を様々に設定して、接合品質、外観、機械負荷について調べた結果を表2に示す。なお、比較例2−2の場合だけ、接合ツールの幅を10mmに設定した。
そして、凹溝の傾斜角度が0.5〜2.0°の場合(実施例2−1〜2−3)には、このような弊害がなく、良好な接合が可能であった。
なお、接合ツールの幅を考慮すると、接合ツールの全周にわたって形成されている凹溝の本数は幅方向に二以上である。比較例2−2において、溝数が0本となっているのは、接合ツールの回転方向に傾斜した凹溝がないということを示している。
接合ツールの周面の溝の深さを様々に設定して、接合品質、外観、機械負荷について調べた結果を表3に示す。
そして、凹溝の深さが0.3〜1.2mmである場合には、このような弊害がなく、良好な接合が可能であった。
2 … 銅部材
2a … 表面
2b … 段部
3 … 接合ツール
3a … ツール本体
3b … 回転軸
3c … 凹溝
3d … フラット部
4 … フィン
4a … 基端部
5 … スペーサ
6 … ベース板
6a … 表面
7 … 反応層
10 … 放熱器製造用治具
11 … 治具本体
11a… ボルト孔
12 … 部材セット部
13 … 押圧板
14 … 締付ボルト
15 … ベース固定板
15a… 切欠
15b… ボルト孔
16 … 締付ボルト
20 … スペーサ治具
30 … フィン構成材
31 … 板材
40 … フィン構成材作成治具
H … 放熱器
Claims (8)
- 互いに間隔をあけた複数枚の金属製の板材を、該板材よりも溶融点の高い金属からなるベース板の一方の面に立設させて接合する方法であって、
互いに間隔をあけて並べられた複数枚の板材と、これらの板材の間にそれぞれ挟み込まれたスペーサと、一方の面に前記各板材が立設されたベース板と、を配置する部材配置工程と、
前記ベース板の他方の面に、円周方向に回転する円板状の接合ツールの周面を押し込みつつこの他方の面に沿って移動させることにより、前記ベース板に前記各板材を接合する接合工程と、
前記各スペーサを取り外すスペーサ離脱工程と、
を含む金属部材接合方法であって、
前記接合ツールには前記周面に沿うように螺旋形の凹溝が形成されていることを特徴とする金属部材接合方法。 - 前記凹溝間のフラット部の幅w1(mm)及び前記凹溝の幅w2(mm)について、1≦w1≦5、かつ、1≦w2≦3、かつ、0.67≦w1/w2≦5.00が成立することを特徴とする請求項1に記載の金属部材接合方法。
- 前記螺旋形の軌跡が前記接合ツールの回転方向に対して傾斜角0.5〜2.0°で傾斜しており、この螺旋形の凹溝が前記接合ツールの全周にわたって二本以上形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属部材接合方法。
- 前記凹溝の深さが0.3〜1.2mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の金属部材接合方法。
- 互いに間隔をあけた複数個の金属製のフィン構成材を、該フィン構成材よりも溶融点の高い金属からなるベース板の一方の面に立設してなる放熱器を製造する方法であって、
互いに間隔をあけて並べられ、それぞれが左右一対のフィンとこれらの端部を連結する基端部とで断面凹字形に形成された複数個のフィン構成材と、前記各フィン構成材相互間に挟み込まれたスペーサと、前記各フィン構成材の左右のフィンの間に挟み込まれたスペーサと、一方の面に前記各フィン構成材の基端部が当接するように該フィン構成材が立設されたベース板と、を配置する部材配置工程と、
前記ベース板の他方の面に、円周方向に回転する円板状の接合ツールの周面を押し込みつつこの他方の面に沿って移動させることにより、前記ベース板に前記各フィン構成材の基端部を接合する接合工程と、
前記各スペーサを取り外すスペーサ離脱工程と、
を含む放熱器の製造方法であって、
前記接合ツールには前記周面に沿うように螺旋形の凹溝が形成されていることを特徴とする放熱器の製造方法。 - 前記凹溝間のフラット部の幅w1(mm)及び前記凹溝の幅w2(mm)について、1≦w1≦5、かつ、1≦w2≦3、かつ、0.67≦w1/w2≦5.00が成立することを特徴とする請求項5に記載の放熱器の製造方法。
- 前記螺旋形の軌跡が前記接合ツールの回転方向に対して傾斜角0.5〜2.0°で傾斜しており、この螺旋形の凹溝が前記接合ツールの全周にわたって二本以上形成されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の放熱器の製造方法。
- 前記凹溝の深さが0.3〜1.2mmであることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の放熱器の製造方法。
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