JP3918517B2 - 放熱器およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体素子を実装する回路基板(配線基板)などから発生する熱を外部に放散させる放熱器およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
内部に所定パターンの配線層を有するセラミックまたは樹脂製の回路基板や上面にICチップなどの半導体素子を実装した回路基板は、その動作に伴って発熱する。このため、係る回路基板などの熱を放散するため、回路基板に放熱器が取り付けられている。係る放熱器は、上記回路基板をロウ材などで固着する平坦な基板と係る基板から直角に曲折する多数の放熱フィンとから構成されている。
上記放熱器の基板と放熱フィンとは、これまでロウ材または接着剤を介して接合されている(例えば特開平8−31990号公報参照)。
【0003】
ところで、平坦な基板に断面が連続する凹凸形やU字形の放熱フィンをロウ材や接着剤で接合するため、基板の表面全体または放熱フィンにおける所定の接合面に予めロウ材や接着剤を被覆する工程が必要となる。
特に、ロウ付けする場合は、基板と放熱フィンとをロウ材を介して積層した後、真空炉中などで所定時間にわたり加熱および保持する工程が必要となり、コスト高になるという問題があった。また、ロウ付けによる場合、基板が金属製でなくセラミック製の場合には、放熱フィンとの接合ができない、という問題もあった。係る問題は、電子ビーム溶接やレーザ溶接の場合も共通であった。
更に、接着剤により接合する場合、係る接着剤は樹脂製であるため、基板と放熱フィンとの間における熱伝達量を低下させると共に、経年変化により接着剤が劣化するため、放熱フィンが基板から剥がれる、という問題があった。
【0004】
【発明が解決すべき課題】
本発明は、以上に説明した従来の技術における問題点を解決し、金属またはセラミックの基板に対して放熱フィンを直に接合した放熱器およびこれを安価に接合できる放熱器の製造方法を提供する、ことを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、金属またはセラミックからなる基板の表面に面接触する放熱フィンの基端部を固相状態で可塑(流動)化することにより、当該放熱フィンを基板に直に接合させる、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の放熱器(請求項1)は、金属またはセラミックからなる基板と、上記基板の少なくとも一方の表面に摩擦振動接合による凹凸面またはアンカー部を有する非平面の接合部を介して基端部を接合した金属製の放熱フィンと、を含む、ことを特徴とする。
【0006】
これによれば、基板と放熱フィンとは、両者の接合面で直に接合されているため、熱伝達性が向上する。この結果、ICチップなどを実装した回路基板からの発熱を、上記基板を介して放熱フィンから速やかに放散することができるため、回路基板やICチップの動作も正確で支障なく行わしめることが可能となる。
尚、基板の金属には、銅、アルミニウム、チタン、または鋼など、あるいはこれらの何れかをベースとする合金が含まれ、基板のセラミックには、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al)、SiO、ZrO、SiCなどが含まれる。また、摩擦振動接合による接合面は、基板が金属である場合、係る基板およぴ放熱フィンの各金属が、固相状態で可塑(流動)化した互いに入れ子状になる凹凸面となり、基板がセラミックの場合、放熱フィンの可塑化した金属が基板のセラミックにおける結晶粒界に進入するアンカー部を複数有する非平面となる。
【0007】
更に、前記放熱フィンには、熱伝導性に優れたアルミニウムや銅、あるいはこれらの合金からなる薄板を折り曲げ加工したものが用いられる。
加えて、前記摩擦(微)振動接合(Friction Acoustic Bonding)は、少なくとも一方が金属からなる一対の重ね合わせた部材のうち、金属製の部材の外側面に対して、円盤形の回転盤を押圧および回転させつつ移動することにより、上記部材の金属素材を固相状態で可塑化し且つ固化することにより、他方の部材と直に接合する接合方法である。
【0008】
また、本発明には、前記放熱フィンは、前記基板の表面に接触する基端部と、かかる基端部からほぼ直角に曲折する放熱面とを含み、断面形状がほぼU字形、連続する凹凸形、またはほぼL字形の何れかである、放熱器(請求項2)も含まれる。これによれば、回路基板などの発熱源を取り付ける基板の表面に、放熱面積の大きな放熱面を有する放熱フィンを高密度で接合した放熱器とすることが可能となる。尚、放熱フィンの放熱面は、平坦面に限らず、エンボス加工などによる微細な凹凸部などをその平面方向に沿って多数形成した形態も含まれる。
【0009】
一方、本発明の放熱器の製造方法(請求項3)は、金属またはセラミックからなる基板の表面に金属製の放熱フィンの基端部を接触させた後、かかる基端部の外側から摩擦振動接合ツールにおける回転する円盤形のツール本体の周面を押し付けつつ移動することにより、放熱フィンの基端部を基板の表面に、摩擦振動接合による凹凸面またはアンカー部を有する非平面の接合面を介して接合する工程を、含む、ことを特徴とする。
これによれば、上記接合ツールは、そのツール本体の周面を放熱フィンの基端部に押圧し且つ回転しつつ移動するため、放熱フィンの基端部の金属は、ツール本体との摩擦熱により可塑化し且つ流動状態となる。この際、基板が金属である場合、放熱フィンの基端部に隣接する当該基板の金属部分も上記摩擦熱により可塑化する。このため、面接触した放熱フィンの基端部と基板とは、両者の接触面付近において固相状態で可塑化した後に固化する。この結果、互いに入れ子状になる凹凸面の接合面を介して、放熱フィンと基板とが直に接合される。
一方、基板がセラミックである場合、放熱フィンの可塑化した基端部の金属が上記基板のセラミックにおける結晶粒界に進入して固化するため、アンカー部を複数有する非平面の接合面を介して、放熱フィンと基板とが直に接合される。
【0010】
しかも、従来のような接着剤やロウ材を事前に被覆する工程が不要であり、且つ簡単な構造の摩擦振動接合ツールにより容易且つ迅速に接合できるため、設備コストおよび製造コストを低減することも可能となる。
尚、単数または複数の放熱フィンにおける複数の基端部に対し、上記接合ツールを同じ回転軸に複数固定したものを用いることにより、同時に摩擦振動接合を施すことが可能となる。また、上記接合ツールのツール本体は、高速度鋼や熱間工具鋼などの工具鋼や、セラミック(Al、Al−TiC、Si)から形成され、あるいは、工具鋼からなるツール本体における周面付近のみを硬質の超硬(WC)、サーメット(cermet)、またはサイアロン(SIALON)で形成したものが用いられる。
【0011】
また、本発明には、前記ツール本体の周面には、当該ツール本体の厚み方向にほぼ沿った多数の平行な細条、または上記ツール本体の径方向に突出する多数の突起が形成されている、放熱器の製造方法(請求項4)も含まれる。
これによれば、上記接合ツールのツール本体が回転し且つ放熱フィンの基端部を押圧しつつ移動する際、上記細条または突起により基端部の金属との摩擦面を増やすため、係る金属の可塑化および流動化を更に迅速に生じさせる。この結果、接合ツールの移動速度を高められるため、摩擦振動接合する工程の効率を向上させることが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
図1(A)は、本発明の放熱器1およびその使用状態を示す。
放熱器1は、図1(A)に示すように、平坦な基板2と、係る基板2の一方の表面2bに接合した断面が連続する凹凸形の放熱フィン4と、からなる。
基板2は、アルミニウム合金または銅合金からなる。また、放熱フィン4は、図1(A)に示すように、アルミニウム合金からなる厚さ約0.5mmの薄板を折り曲げ加工したもので、基板2の表面2bに面接触する複数の基端部6,6,…と、これらの基端部6からほぼ直角に曲折する複数の放熱面8,8,…と、係る放熱面8,8間を接続する先端部7,7,…とを備えている。
【0013】
図1(A)に示すように、基板2の放熱フィン4が接合されていない他方の表面2a上には、ロウ材または接着剤12を介して、内部に図示しない所定パターンの配線層を有するセラミック製または樹脂製の回路基板10が固着されている。係る回路基板10の表面(第1主面)上には、ロウ材16を介してICチップなどの半導体素子14が実装されている。図示しない電源からの通電により、回路基板10内の配線層や半導体素子14を動作させると、これらは発熱する。係る熱が速やかに外部に放出されないと、回路基板10などが所定の動作をしなくなったり、誤動作を招くおそれがある。このため、回路基板10の底面を、放熱器における基板2の表面2aに固着している。
【0014】
図1(B)に拡大して示すように、基板2の表面2bと放熱フィン4の基端部6とは、断面が凹凸形で互いに入れ子状となった接合面Sを介して直に接触し且つ接合されている。放熱フィン4の基端部6は、後述する摩擦振動接合ツール20のツール本体22における周面24によって押圧され且つ該ツール本体22との境界面に沿って長手方向に沿った一対の浅い段部9,9を両側に有している。
以上のような接合面Sを介して、基板2の表面2bと放熱フィン4の基端部6,6,…が直に接合されているため、図1(A)に示すように、回路基板10や半導体素子14から発生した熱は、基板2を介して放熱フィン4の放熱面8,8,…から迅速に外部に放散される。この結果、回路基板10などが所定の動作を正確に行うように維持することが容易となる。
【0015】
次に、前記放熱器1の製造方法について、図2および図3により説明する。
先ず、図2(A),(B)に示すように、例えば銅合金からなる基板2の表面2bに、放熱フィン4をその基端部6,6,…が面接触するように配置する。係る放熱フィンは、厚さ0.5mmのアルミニウム合金(純アルミニウム系)の薄板を断面凹凸形に折り曲げ加工したものであり、基端部6および先端部7の各幅が5mmで、放熱面8の高さが15mmである。図2(B)に示す状態で、放熱フィン4の周囲を図示しない治具により拘束する。
【0016】
次に、図2(B),(C)に示すように、放熱フィン4の隣接する放熱面8,8間から、摩擦振動接合ツール20における円盤形のツール本体22を垂直に挿入する。係るツール本体22は、例えばJIS:SKD61などの工具鋼からなり、直径50mm、厚み3mmのサイズであって、回転軸26の先端部に固定されている。このツール本体22の周面(円周面)24を放熱フィン4の基端部6に外側から押圧し、且つ当該基端部6の厚み方向に0.2mmの深さで押し込む。
ツール本体22は、上記押し込み量を保った状態で、図示しないモータにより駆動される回転軸26に固定され且つ1000〜6000rpmの回転数で高速回転されると共に、図2(C)中の直線形の矢印で示すように、基端部6の長手方向に沿って100〜1000mm/分の速度で移動する。
【0017】
ここで、基板2と基端部6との摩擦振動接合について、図3を基に説明する。
図3(A)に示すように、ツール本体22の周面24は、放熱フィン4の基端部6を外側から0.2mmの押し込み量tが得られるように径方向に沿って加圧しつつ高速回転し、且つ図示で前後方向に沿って移動する。
係るツール本体22の周面24の押し込みおよび高速回転により、図3(B)に示すように、放熱フィン4の基端部6において、ツール本体22に隣接する基端部6におけるほぼ全体のアルミニウム合金6aと、これに隣接する基板2の表面2b寄りの銅合金2cとは、当該ツール本体22との摩擦熱により加熱され、且つそれぞれ固相状態のまま可塑化および流動化する。
このように、可塑(流動)化した基端部6のアルミニウム合金6aと基板2の銅合金2cとは、互いの境界面でも流動化し、それぞれ当初の表面から変形する。
【0018】
そして、摩擦振動接合ツール20のツール本体22が移動した跡は、図3(C)に示すように、当初平坦であった基端部6には、ツール本体22の両側における端部の厚み方向に沿った押圧作用により、一対の浅い段部9,9が長手方向に沿って形成される。また、それらの間にアルミニウム合金6aが固化した幅広い基端部6bと、外側の幅狭い一対の平坦部6c,6cと、が長手方向に沿って形成される。基端部6bと基板2の表面2bとの間には、前記可塑化したアルミニウム合金6aと銅合金2cとが固化した断面が凹凸形の接合面Sが形成され、係る接合面Sを介して基板2と放熱フィン4とは直に接合される。係る接合面Sの凹凸形の断面形状は、その長手方向に沿っても同様に形成されている。
以上のような摩擦(微)振動接合の工程を、基板2に接触する放熱フィン4の各基端部6,6,…に沿って行うことにより、前記図1(A),(B)に示した放熱器1を、少ない工程数で効率良く確実に製造することができる。
【0019】
ところで、図4(A)に示すように、アルミナなどのセラミックからなる基板3と放熱フィン4とを、図2,3に示した順序に従って、前記同様に接触させ摩擦振動接合することもできる。係る場合も、放熱フィン4の基端部6は、前記同様にツール本体22との摩擦熱により可塑(流動)化するが、これに隣接する基板3の表面3b付近は加熱のみされる。しかし、可塑化した基端部6の前記アルミニウム合金6aが、基板3のセラミックにおける多数の結晶粒界に進入するため、図4(A)に示すように、可塑後に固化した基端部6bから基板3中に細長く進入するアンカー部kが形成される。係るアンカー部kを含む接合面Sを介して、セラミック製の基板3と放熱フィン6とが直に接合され、前記と同様な放熱器1aが得られる。尚、放熱器1,1aの基板2,3における前記回路基板10を除いた他方の表面2a,3aにも、放熱フィン6を更に接合することも可能である。
【0020】
図4(B)は、異なる放熱フィン4aを複数用いた放熱器1bを示す。
放熱フィン4aは、基板2の表面2bに接触する基端部6と、係る基端部6から直角に曲折する一対の放熱面8,8と、を有する断面ほぼU字形を呈する。
図4(B)に示すように、複数の放熱フィン4aは、互いに離間した位置で基板2の表面2bに等間隔で配置され、それらの基端部6を前記摩擦振動ツール20を前記同様に用いて、各放熱フィン4aの基端部6を基板2の表面2bに前記接合面Sを介して接合される。これにより、前記放熱器1と同様に放熱面8を同様のピッチで有し且つ直に複数の放熱フィン4aを接合した放熱器1bとなる。
【0021】
図4(C)は、更に異なる放熱フィン4bを複数用いた放熱器1cを示す。
放熱フィン4bは、基板2の表面2bに接触する基端部6と、係る基端部6から直角に曲折する放熱面8とを有する断面ほぼL字形を呈する。
図4(B)に示すように、複数の放熱フィン4bは、それぞれの基端部6を基板2の表面2bに接触させつつ互いに隣接して配置され、各々の基端部6を前記摩擦振動ツール20を前記同様に用いることにより、各放熱フィン4bの基端部6を基板2の表面2bに前記接合面Sを介して接合される。これにより、前記放熱器1と同様に放熱面8を同様のピッチで立設し且つ直に複数の放熱フィン4bを接合した放熱器1cが得られる。
尚、放熱器1cにおいて、隣接する放熱フィン4,4の基端部6,6を互いに離間して基板2に接合しても良い。また、以上のような放熱器1b,1cにおいて、基板2の他方の表面2aにも放熱フィン4a,4bを更に接合しても良い。
更に、係る基板2を前記セラミック製の基板3に替えることも可能である。
【0022】
図5(A)〜(C)は、異なる形態の摩擦振動接合ツール20a〜20cの一部を示す。摩擦振動接合ツール20aは、図5(A)に示すように、その円盤形のツール本体22における周面(24)を、当該ツール本体22の厚み方向に平行な多数の細条25,25,…としたものである。
また、摩擦振動接合ツール20bは、図5(B)に示すように、その円盤形のツール本体22における周面24に、当該ツール本体22の径方向に突出する多数の四角錐形状の突起28,28,…をほぼ千鳥状に形成したものである。
【0023】
更に、摩擦振動接合ツール20cは、図5(C)に示すように、その円盤形のツール本体22における周面24に、当該ツール本体22の径方向に突出する多数の円弧形状の突起29,29,…をほぼ千鳥状に形成したものである。
以上のような摩擦振動接合ツール20a〜20cによれば、ツール本体22の周面24における多数の細条25や突起28,29により、放熱フィン4の基端部6における金属との接触面積が更に増加するため、前記放熱フィン4,4a,4bと基板2,3との摩擦振動接合を一層短時間で行うことが可能となる。
【0024】
図6(A)は、前記同様に基板2の表面2bに放熱フィン4の基端部6,6,…を接触させた状態で、回転軸26に複数(図示で3個)のツール本体22を等間隔に固定した摩擦振動ツール20を用いて摩擦振動接合を行う工程を示す。係る接合ツール20を用いることにより、放熱フィン4における多数の基端部6を少ない接合工程で基板2に摩擦振動接合することができる。
また、図6(B)も、前記同様に基板2の表面2bに放熱フィン4の基端部6,6,…を接触させた状態で、回転軸26に複数(図示で3個)のツール本体22を等間隔に固定した摩擦振動ツール20を用いて摩擦振動接合を行う工程を示す。
【0025】
図6(B)に示すように、上記接合ツール20の各ツール本体22は、放熱フィン4における1つ置き毎の基端部6,6,6を押圧しつつ回転および移動するように、長尺な回転軸26の所定の位置に固定されている。係る接合ツール20により摩擦振動接合されない放熱フィン4の基端部6,6,…は、直前に行った摩擦振動接合工程の後で、上記接合ツール20をそのツール本体22の軸方向に沿ってずらすことにより、摩擦振動接合を施しても良いし、係る接合を行わずに、基板2の表面2bと面接触した当初のままの状態としても良い。
尚、図6(A),(B)における各摩擦振動接合ツール20に替えて、ツール本体22の周面24に前記多数の細条25や突起28,29を形成した前記摩擦振動接合ツール20a〜20cを用いても良い。また、図6(A),(B)における基板2に替えて、前記セラミック製の基板3を適用しても良い。
【0026】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、放熱器の基板は、平坦な前記金属板2やセラミック板3に限らず、放熱フィン4の基端部6が面接触可能な表面を有するものであれば、内部に冷却媒体を循環させる中空部を有するアルミニウム合金の押出形材や複数のグリーンシートなどを組み立てて焼成した中空部を内設するセラミック部材としても良い。
また、放熱器の放熱フィン4,4a,4bは、それらの基端部6と放熱面8とが直角でなく、やや鈍角または鋭角に曲折して連続する形態としても良い。例えば、前記放熱フィン4の基端部6,6,…と先端部7,7,…との間に互いに逆向きに傾斜する放熱面8,8,…を交互に配置し、基端部6または先端部7と一対の放熱面8,8とにより、台形状の断面を形成する形態としても良い。
更に、前記摩擦振動接合ツール20,20a〜20cのツール本体22における周面24の厚み方向の両側(円周)縁に一対の面取りを対称に形成しても良い。
尚、本発明の放熱器は、前記回路基板10などの熱放散用に限らず、発熱源を含む電子・電気機器や、各種の内燃機関、燃焼機器などにも適用可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上において説明した本発明の放熱器(請求項1)によれば、前記基板と放熱フィンとが前記接合面で直に接合されているため、熱伝達性が向上する。従って、例えば回路基板などからの発熱を、上記基板を介して放熱フィンから速やかに放散できるため、上記回路基板などの動作を正確に成さしめることが可能となる。
また、請求項2の放熱器によれば、前記基板の表面に、放熱面積の大きな放熱面を有する放熱フィンを高密度で接合した放熱器とすることが可能となる。
【0028】
一方、本発明の放熱器の製造方法(請求項3)によれば、前記ツール本体の周面を放熱フィンの基端部に押圧し且つ回転しつつ移動するため、放熱フィンの基端部の金属は、摩擦熱により可塑化し且つ流動状態となる。この際、金属製の基板では、放熱フィンの基端部に隣接する当該基板の金属部分も上記摩擦熱により可塑化する。この結果、面接触した放熱フィンの基端部と基板とは、両者の接触面付近において固相状態で可塑化した後に固化するため、互いに入れ子状になる凹凸面の接合面を介して、放熱フィンと基板とが直に接合される。また、セラミック製の基板では、放熱フィンの可塑化した基端部の金属が係る基板のセラミックにおける結晶粒界に進入して固化するため、アンカー部を複数有する非平面の接合面を介して、放熱フィンと基板とを直に接合することができる。
【0029】
また、請求項4の放熱器の製造方法によれば、前記接合ツールが回転し且つ放熱フィンの基端部を押圧しつつ移動する際、前記細条または突起により係る基端部の金属との摩擦面が増えるため、係る金属の可塑化および流動化を更に迅速に生じさせる。従って、前記接合ツールの移動速度を高められるため、摩擦振動接合する工程の効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は本発明の放熱器の1形態およびその使用例を示す概略図、(B)は(A)中の一点鎖線部分Bの拡大図。
【図2】 (A)〜(C)は本発明の放熱器の製造方法における工程を示す概略図。
【図3】 (A)〜(C)は本発明の放熱器の製造方法における摩擦振動接合を示す概略図。
【図4】 (A)は異なる形態の放熱器を示す部分拡大断面図、(B),(C)は更に異なる形態の放熱器を示す概略図。
【図5】(A)〜(C)は本発明の製造方法に用いる摩擦振動接合ツールの異なる形態を示す部分概略図。
【図6】(A),(B)は異なる形態の摩擦振動接合ツールによる製造方法を示す概略図。
【符号の説明】
1,1a〜1c…………放熱器
2,3……………………基板
2a,2b,3a,3b…表面
4,4a,4b…………放熱フィン
6,6b…………………基端部
8…………………………放熱面
20,20a〜20c…摩擦振動接合ツール
22………………………ツール本体
24………………………周面
25………………………細条
28,29………………突起
S…………………………接合面

Claims (4)

  1. 金属またはセラミックからなる基板と、
    上記基板の少なくとも一方の表面に摩擦振動接合による凹凸面またはアンカー部を有する非平面の接合面を介して基端部を接合した金属製の放熱フィンと、を含む、
    ことを特徴とする放熱器。
  2. 前記放熱フィンは、前記基板の表面に接触する基端部と、かかる基端部からほぼ直角に曲折する放熱面とを含み、断面形状がほぼU字形、連続する凹凸形、またはほぼL字形の何れかである、
    ことを特徴とする請求項1の放熱器。
  3. 金属またはセラミックからなる基板の表面に金属製の放熱フィンの基端部を接触させた後、かかる基端部の外側から摩擦振動接合ツールにおける回転する円盤形のツール本体の周面を押し付けつつ移動することにより、放熱フィンの基端部を基板の表面に、摩擦振動接合による凹凸面またはアンカー部を有する非平面の接合面を介して接合する工程を、含む、
    ことを特徴とする放熱器の製造方法。
  4. 前記ツール本体の周面には、当該ツール本体の厚み方向にほぼ沿った多数の平行な細条、または上記ツール本体の径方向に突出する多数の突起が形成されている、
    ことを特徴とする請求項3に記載の放熱器の製造方法。
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