JP4211499B2 - 金属部材接合方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属部材同士を互いに重ね合わせて接合する方法に関する。さらに該方法を応用して製造したIC用放熱器、ペルチェ素子用放熱器、モーター用放熱器、電子制御部品用放熱器等の放熱器及びその製造方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、銅合金からなる基板とアルミニウム合金からなる薄板とを重ね合わせるとともに、銅合金に比較して溶融点の低いアルミニウム合金の薄板に回転する円板形の接合ツールを押し当てて、基板と薄板とを接合する金属部材接合方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この接合方法では、回転する接合ツールとアルミニウム合金の薄板とが接触することによって発生する摩擦熱で、当該薄板と基板とが、その境界面で固相状態のままで可塑化(流動化)する。そして、可塑化(流動化)したアルミニウム合金と銅合金とが冷却されると、基板と薄板とは接合される。このような金属部材接合方法によれば、少ない工数で、しかも短時間で金属部材同士を接合することができる。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−142639号公報([0015]−[0018],図2−3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この金属部材接合方法では、接合ツールをアルミニウム合金の薄板側から押し込むため、基板と薄板との重ね合わせ部(境界面)での温度が、アルミニウム合金と銅合金との接合に必要な共晶温度(548℃)以上に達したときに、アルミニウム合金、つまり薄板の変形抵抗が比較的小さくなってしまう。したがって、この金属部材接合方法では、接合ツールによる押圧力が基板と薄板との重ね合わせ部に充分に伝達されないために、基板と薄板とが高い強度で接合されない場合がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、少ない工数によって短時間で金属部材同士を接合することができ、しかも金属部材同士を高い強度で接合することができる金属部材接合方法及びこの金属部材接合方法を応用した放熱器の製造方法並びにこの金属部材接合方法を使用して製造した放熱器を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための金属部材接合方法は、第1金属部材に、この第1金属部材と比較して溶融点が高い板状の第2金属部材を重ね合わせる第1工程と、前記第2金属部材から前記第1金属部材に向けて加圧するとともに加熱して、前記第1及び第2金属部材を相互に接合する第2工程とを備えることを特徴とする。
【0007】
この金属部材接合方法は、第1及び第2金属部材を互いに重ね合わせて配置しておき、第2金属部材側から加熱及び加圧することにより、重ね合わせ部における隙間をなくしつつ、重ね合わせ面に存在する酸化皮膜を分断破壊するとともに、熱によって重ね合わせ部のメタルを高温化して塑性変形させることにより、金属部材同士の接触面積と拡散速度を増大させながら重ね合わせ部を接合する方法である。
【0008】
そして特に、この金属部材接合方法は、相互に溶融点の異なる2の金属部材、つまり第1金属部材と、この第1金属部材と比較して溶融点が高い第2金属部材とを重ね合わせて配置しておき、溶融点の高い第2金属部材側から第1金属部材に向けて加圧するとともに、加熱するように構成されている。このような金属部材接合方法では、第1金属部材と第2金属部材との重ね合わせ部が接合に必要な温度まで上昇したときに、溶融点がより高い第2金属部材がその変形抵抗を高く保つので、第2金属部材への押圧力が重ね合わせ部に対して効率よく伝達される。したがって、この金属部材接合方法によれば、第1及び第2金属部材の間に隙間を形成せずに、第1及び第2金属部材を高強度で接合することができる。
【0009】
なお、加熱及び加圧の方法は特に限定されるものではなく、第2金属部材の表面に何らかのツールを接触させ、これにより発生する摩擦熱と押圧力を重ね合わせ部に伝達するような接触方式でもよいし、電磁誘導を利用するような非接触方式でもよい。
【0010】
本発明は、前記金属部材接合方法において、前記第2工程が、回転する円板状の接合ツールの板面を前記第2金属部材に押し当てつつ、その表面に沿って移動させる工程を含むことを特徴とする。
【0011】
この金属部材接合方法は、回転する円板状の接合ツールの板面(つまり接合ツールの回転軸に交差する平面)を、溶融点のより高い第2金属部材の表面に押し当てつつ該第2金属部材の表面に沿って移動させることにより、重ね合わせ部の加熱及び加圧を行うものである。したがって、この金属部材接合方法によれば、簡易な装置により確実な接合が期待できる。また、この金属部材接合方法では、接合ツールの板面が第2金属部材の表面に接触するので、接合ツールの径を大きくすればするほど、加熱及び加圧する範囲を拡大することができる。
【0012】
放熱器の製造方法は、第1金属部材に、この第1金属部材と比較して溶融点が高い板状の第2金属部材を重ね合わせる第1工程と、前記第2金属部材から前記第1金属部材に向けて加圧するとともに加熱して、前記第1及び第2金属部材を相互に接合する第2工程と、前記第1金属部材を鍛造加工することによって、前記第2金属部材上に複数の放熱フィンを立設する第3工程とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、放熱器の製造方法は、第1金属部材に、この第1金属部材と比較して溶融点が高い板状の第2金属部材を重ね合わせる第1工程と、前記第2金属部材から前記第1金属部材に向けて加圧するとともに加熱して、前記第1及び第2金属部材を相互に接合する第2工程と、前記第1金属部材を切削加工することによって当該第1金属部材に複数のスリットを形成し、前記第2金属部材上に複数の放熱フィンを立設する第3工程とを備えることを特徴とする。
【0014】
これらの放熱器の製造方法では、第1工程及び第2工程が、前記金属部材接合方法における第1工程及び第2工程と同様に構成されている。そして、これらの放熱器の製造方法では、これら第1工程及び第2工程を経て接合された第1及び第2金属部材のうち、当該第1金属部材を鍛造加工し、あるいは切削加工することによって、放熱フィンが形成される。
【0015】
したがって、このような放熱器の製造方法によれば、請求項1に記載の発明と同様に、簡易な装置により確実に第1及び第2金属部材を接合することができるとともに、鍛造加工や切削加工といった簡単な加工法で放熱フィンを形成することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、この説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略するものとする。
【0022】
<金属部材接合方法>
まず、本発明に係る金属部材接合方法の第1実施形態について説明する。ここでは、第1金属部材としてのアルミニウム部材と、第2金属部材としての銅部材とを接合する場合を例にとって説明する。
【0023】
ここで、第1金属部材の一例としてアルミニウム部材を挙げ、そして第2金属部材の一例として板状の銅部材を挙げることによって、まず、本発明に係る金属部材接合方法の第1実施形態について説明する。図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る金属部材接合方法としての、金属部材の摩擦接合の各手順を表す正面断面図、図1(c)は図1(b)の側面図、図2(a),図2(b)及び図2(c)は、図1(b)におけるアルミニウム部材と銅部材との重ね合わせ部の塑性変形の様子を時系列的に表す断面図、図3は、図1(b)及び図1(c)の接合ツールの部分拡大図である。
【0024】
この金属部材接合方法では、まず図1(a)に示すように、アルミニウム部材1と板状の銅部材2とが面接触するように互いに重ね合わせられて配置されるとともに、図示しない冶具で固定される。
【0025】
次に、図1(b)及び図1(c)に示すように、回転軸3bを中心として円周方向に周速度Rで高速回転する接合ツール3のツール本体3aの周面を銅部材2の表面2aに垂直に押し当てつつ、接合ツール3を銅部材2の表面2aに沿って送り速度Vで移動させることによって、アルミニウム部材1と銅部材2とを重ね合わせて接合する。接合ツール3は回転軸3bの先端部に円板状のツール本体3aを固定してなるものであり、ツール本体3aはJIS:SKD61などの工具鋼からなる。ツール本体3aは、銅部材2の表面2aを押さえ込みつつ進行方向後方に送り込むような向きで回転軸3bのまわりに回転する。
【0026】
ツール本体3aは、図2(a)に示すように、その周面が銅部材2の表面2aに一定量αだけ押し込まれた状態で円周方向に高速回転しつつ、銅部材2の表面2aに沿って移動する。そして、このようなツール本体3aの銅部材2への押し込みによってアルミニウム部材1と銅部材2の重ね合わせ部の隙間をなくしつつ、高速回転するツール本体3aと銅部材2との接触により生ずる振動によってアルミニウム部材1と銅部材2の重ね合わせ部の酸化皮膜を分断破壊するとともに、図2(b)に示すように、ツール本体3aと接触する銅部材2の所定領域及びその近傍領域と、これらの領域に隣接するアルミニウム部材1の所定領域とを、ツール本体3aと銅部材2との摩擦接触により発生した熱で高温化し、それぞれ固相状態のまま可塑化(流動化)させる。その結果、銅部材2とアルミニウム部材1は、互いの境界面においても塑性流動し、それぞれ当初の表面から塑性変形する。そして、接合ツール3のツール本体3aが通過した後に冷却されて、図2(c)に示すように、アルミニウム部材1と銅部材2とが相互に接合された接合体Jが製造される。
【0027】
このような接合体Jの銅部材2の表面2aには、図2(c)に示すように、ツール本体3aが押圧力を当該表面2aに負荷しながら通過した跡が、一対の浅い段部2b,2bとなって現れる。また、この接合体Jでは、アルミニウム部材1と銅部材2との重ね合わせ部が、塑性変形したアルミニウム部材1及び銅部材2が波打って互いに噛み合うように塑性変形した後に固化することによって、その断面が凹凸形状となる接合面Sを形成している。このような接合体Jでは、この接合面Sによって銅部材2とアルミニウム部材1とが確実に接合されている。なお、接合ツール3の押込力によって銅部材2の表面2aに形成された段部2b,2bは、アルミニウム部材1及び銅部材2が接合された後に、当該銅部材2の表面2aを一定厚みで切削することによって、平滑化してもよい。
【0028】
ここで、接合ツール3をアルミニウム部材1側から押し当てることも考えられるが、アルミニウム部材1の溶融点は銅部材2の溶融点よりも低く、アルミニウム部材1と銅部材2の重ね合わせ部が接合に必要な温度(共晶温度:548℃)以上に達したときにアルミニウム部材1の変形抵抗が比較的小さくなってしまうので、接合ツール3による押圧力がアルミニウム部材1と銅部材2の重ね合わせ部に充分に伝達されず、接合不良となりやすい。一方、本実施の形態に係る金属部材接合方法では、接合ツール3をアルミニウム部材1よりも溶融点の高い銅部材2側から押し当てるようにしており、アルミニウム部材1と銅部材2の重ね合わせ部が接合に必要な温度(共晶温度)以上に達したときに銅部材2の変形抵抗を比較的大きく保持して、接合ツール3の押圧力をアルミニウム部材1と銅部材2の重ね合わせ部に充分に伝達できる。したがって、本実施の形態に係る金属部材接合方法によれば、両部材1,2間の隙間をなくした高強度の接合を行うことができる。
【0029】
ところで、本実施の形態に係る金属部材接合方法に使用される接合ツール3は、図3に示すように、ツール本体3aの周面に回転方向に略沿った向きで凹溝3cが形成されているものが望ましい。このような接合ツール3を使用した金属部材接合方法によれば、接合ツール3の周面と銅部材2の表面2aとの接触面積がより大きくなり、効率よく摩擦熱を発生させて効率よく銅部材2とアルミニウム部材1とを接合することができる。
【0030】
また、接合ツール3は、凹溝3cが回転方向に対して僅かに傾斜して連続するように、つまり接合ツール3の回転軸3bのまわりで接合ツール3の周面に沿った螺旋形の軌跡を描くように形成されているものがさらに望ましい。このような接合ツール3を使用した金属部材接合方法によれば、接合ツール3の回転・移動に伴って、凹溝3cの内部に溜まった可塑化したメタルが接合ツール3の幅方向に順次送り出されるので、接合後に銅部材2の表面2aに残る凹み量(段部2bの高さ)を最小限に抑えることができる。
【0031】
ここで、接合ツール3のツール本体3aの周面の凹溝3c,3c間のフラット部3dの幅w1(mm)及び凹溝3cの幅w2(mm)は、1≦w1≦5、かつ、1≦w2≦3、かつ、0.67≦w1/w2≦5.00が成立するように設定されるのが望ましい。フラット部3d及び凹溝3cがこのように設定されていることにより、銅部材2の表面2aへの接合ツール3のツール本体3aの押込量を抑えつつ、接合ツール3のツール本体3aによる摩擦熱の発生量を大きくして、効率的な接合が可能となる。
【0032】
また、接合ツール3は、そのツール本体3aの周面の凹溝3cが、ツール本体3aの回転方向に対して傾斜して形成されており、傾斜角θは0.5〜2.0°に設定されているものが望ましい。また、接合ツール3は、凹溝3cが、ツール本体3aの周面の全周にわたって二本以上形成されているものが望ましい。凹溝3cの傾斜角θ及び本数がこのように設定されていることにより、接合ツール3のツール本体3aの回転・移動に伴って、凹溝3c内部に溜まった可塑化した銅部材2のメタルがツール本体3aの幅方向にうまく連続的に送り出され、ツール本体3aの通過後に銅部材2の表面2aにバリや凹みがほとんど残存しなくなり、機械負荷も小さくなる。
【0033】
さらに、接合ツール3は、そのツール本体3aの周面の凹溝3cの深さHが0.3〜1.2mmに設定されているものが望ましい。凹溝3cの深さHがこのように設定されていることにより、凹溝3cの内部に可塑化した銅部材2のメタルが詰まらず、接合後に銅部材2の表面2aに残る凹み量も小さくなり、効率的な接合が可能となる。
【0034】
なお、このようにしてアルミニウム部材1と銅部材2とを重ね合わせて摩擦接合する場合には、接合時の接合ツール3(ツール本体3a)を、次式(A)で求められる周速度R(m/min)で回転させることが望ましい。
250≦R≦2000 … (A)
【0035】
これは、接合時の接合ツール3の周速度が250m/minより小さいと、接合ツール3と銅部材2との摩擦接触によって発生する熱量が小さすぎて、銅部材2とアルミニウム部材1との重ね合わせ部の温度が低く、接合不良となってしまい、一方、接合時の接合ツール3の周速度が2000m/minより大きいと、接合ツール3と銅部材2との摩擦接触によって発生する熱量が必要以上に大きくなって、接合ツール3の駆動エネルギーロスが大きいだけでなく、接合ツール3と接触している銅部材2の温度が局所的に大きくなりすぎて当該部分が塑性変形してしまい、接合ツール3の押圧力が重ね合わせ部に充分に伝達されず、両部材間に隙間が生じてしまうおそれがあるからである。したがって、接合時の接合ツール3を周速度250〜2000m/minで回転させれば、接合ツール3と銅部材2との摩擦接触によって発生する熱量が適正な値となって、良好な接合を行うことができるのである。
【0036】
また、アルミニウム部材1と銅部材2とを重ね合わせて摩擦接合する場合には、接合時の接合ツール3(ツール本体3a)を、次式(B)で求められる押込量α(m)だけ銅部材2の表面2aに押し込むことが望ましい。
0.03×t≦α≦0.3×t … (B)
t:重ね合わせ部における銅部材の厚み(m)
【0037】
これは、接合時の接合ツール3の銅部材2の表面2aへの押込量αが0.03tよりも小さいと、銅部材2とアルミニウム部材1との重ね合わせ部に隙間が残って接合不良となり、一方、押込量αが0.3tよりも大きいと、銅部材2とアルミニウム部材1との重ね合わせ部に隙間は残らないが、接合ツール3の押し込み過大によって銅部材2表面に凹みが顕著に残ってしまい、部材ロスが発生するからである。したがって、接合時の接合ツール3の銅部材2の表面2aへの押込量αを0.03t以上0.3t以下とすれば、接合ツール3の押圧力が適正な値となって、銅部材2とアルミニウム部材1との重ね合わせ部に隙間を発生させずに接合することができ、銅部材2の表面2aの凹みも小さくできるのである。
【0038】
さらに、アルミニウム部材1と銅部材2とを重ね合わせて摩擦接合する場合には、接合時の接合ツール3(ツール本体3a)を、次式(C)によって求められる送り速度V(m/min)で銅部材2の表面2aに沿って移動させることが望ましい。
0.1≦V≦R/(5.0×106×t2) … (C)
R:接合時の接合ツールの周速度(m/min)
t:重ね合わせ部における銅部材の厚み(m)
【0039】
これは、接合時の接合ツール3の周速度が大きくなれば、接合ツール3と銅部材2との摩擦接触によって発生する熱量が大きくなるので、接合ツール3の送り速度Vを大きくしても、重ね合わせ部の温度を一定以上に保つことができるが、銅部材2の厚みが厚くなると、重ね合わせ部が一定温度以上に達するまでの時間がかかるので、接合ツール3の送り速度を大きくしすぎると、重ね合わせ部が一定温度以上に達する前に接合ツール3が通過してしまい、接合不良となってしまうからである。つまり、良好な摩擦接合を行うには、接合ツール3の送り速度V、周速度R、銅部材の厚みtを相互に調節する必要があり、実験の結果、V≦R/(5.0×106×t2)を満足するときに良好な接合が可能であることが確認されている。一方、接合ツール3の周速度Vが小さすぎると、接合効率が低下するという観点から、0.1≦Vを満足するときに接合効率がよいことも実験によって確認されている。
【0040】
次に、本発明に係る金属部材接合方法の第2実施形態について説明する。図4(a)は、第2実施形態に係る金属部材接合方法に使用される接合ツールの斜視図、図4(b)及び図4(c)は、第2実施形態に係る金属部材接合方法に使用される接合ツールの別の例を示す下面図、図5(a)及び図5(b)は、第2実施形態に係る金属部材接合方法に使用される接合ツールの別の例を示す斜視図、図6(a)及び図6(b)は、第2実施形態に係る金属部材接合方法における摩擦接合の工程を説明する図である。
【0041】
この金属部材接合方法は、まず第1実施形態に係る金属部材接合方法と同様にして、アルミニウム部材1と板状の銅部材2とが面接触するように互いに重ね合わせられて配置される(図1(a)参照)。そして、この金属部材接合方法では、第1実施形態に係る金属部材接合方法で使用した接合ツール3(図1(b)及び図1(c)参照)に代えて、次の接合ツールが使用される。
【0042】
図4(a)に示すように、この金属部材接合方法で使用される接合ツール4は、円板状のツール本体4aと、回転軸4bとを備えており、ツール本体4aの上面USに回転軸4bが固定されている。そして、ツール本体4aの下面DSには、複数の突起Pが形成されている。この突起Pは、例えば当該下面DSに固着したダイヤモンドライクカーボン(DLC)等の砥粒で構成することができる。
【0043】
また、この接合ツール4のツール本体4aは、その下面DSに前記した突起Pに代えて、細溝を備えたものであってもよい。図4(b)に示すように、この細溝Gは、下面DS上で回転中心Axから放射状に延びるものであってもよいし、図4(c)に示すように、下面DS上で格子状に延びるものであってもよい。
【0044】
また、この細溝Gは湾曲していてもよく、例えば、図5(a)に示すように、下面DSで渦巻き状に形成されたスクロール形状のものでもよいし、図5(b)に示すように、相互に異なる径の複数の環状の細溝Gからなり、これらが同心円状に配置されたものであってもよい。
【0045】
また、図示しないが、接合ツール4のツール本体4aは、その下面DSに前記した突起Pに代えて、湾曲したレール(突条)を備えたものであってもよい。このレールは、下面DS(図4(a)参照)で渦巻き状に形成されたスクロール形状のものでもよいし、下面DSで大きさの異なる複数の環状のレールからなり、これらが同心円状に配置されたものであってもよい。
【0046】
この第2実施形態に係る金属部材接合方法では、図6(a)及び図6(b)に示すように、回転軸4bを中心として高速回転する接合ツール4のツール本体4aの下面DSを銅部材2の表面2aに押し当てつつ、接合ツール4を銅部材2の表面2aに沿って前記した送り速度Vで移動させることによって、アルミニウム部材1と銅部材2とを接合する。
【0047】
このときツール本体4aは、図6(a)に示すように、その下面DSが銅部材2の表面2aに前記した一定量αだけ押し込まれた状態で高速回転しつつ、銅部材2の表面2aに沿って移動する。そして、このようなツール本体4aの銅部材2への押し込みによってアルミニウム部材1と銅部材2の重ね合わせ部の隙間をなくしつつ、高速回転するツール本体4aと銅部材2との接触により生ずる振動によってアルミニウム部材1と銅部材2の重ね合わせ部の酸化皮膜を分断破壊するとともに、図6(b)に示すように、ツール本体4aと接触する銅部材2の所定領域及びその近傍領域と、これらの領域に隣接するアルミニウム部材1の所定領域とを、ツール本体4aと銅部材2との摩擦接触により発生した熱で高温化し、それぞれ固相状態のまま可塑化(流動化)させる。その結果、銅部材2とアルミニウム部材1は、互いの境界面においても塑性流動し、それぞれ当初の表面から塑性変形する。
【0048】
接合ツール4のツール本体4aが通過した跡は、第1実施形態に係る金属部材接合方法と同様に、ツール本体4aの押圧力によって銅部材2の表面2aに一対の浅い段部2b,2bが形成される(図2(c)参照)。また、アルミニウム部材1と銅部材2との重ね合わせ部は、第1実施形態に係る金属部材接合方法と同様に、塑性変形したアルミニウム部材1及び銅部材2が互いに噛み合うように断面凹凸形で固化した接合面Sとなり、この接合面Sを介して銅部材2とアルミニウム部材1とが確実に接合される(図2(c)参照)。
【0049】
<放熱器及びその製造方法>
次に、前記した金属部材接合方法によって得られたアルミニウム部材1(第1金属部材)及び銅部材2(第2金属部材)で構成される接合体J(図2(c)参照)から製造された放熱器について説明する。図7(a)は、放熱器の斜視図、図7(b)及び図7(c)並びに図8(a)及び図8(b)は、図7(a)の放熱器の製造工程を説明する図である。
【0050】
この放熱器は、例えば、IC用放熱器、ペルチェ素子用放熱器、モーター用放熱器、電子制御部品用放熱器等として使用されるものであって、図7(a)に示すように、放熱器6は、ベース板7と、複数の放熱フィン8aを有するとともに、これら放熱フィン8aがベース板7上で相互に間隔をあけて立設されるように当該ベース板7の一方の面に接合された放熱部材8とを備えている。この放熱器6のベース板7は、前記接合体J(図2(c)参照)の銅部材2に相当する部分であり、放熱部材8は、後記する手順で前記接合体Jのアルミニウム部材1に相当する部分から形成されたものである。
【0051】
次に、この放熱器6の製造方法を説明する。この製造方法では、前記した接合体Jのアルミニウム部材1を鍛造加工することによって、銅部材2上に複数の放熱フィン8aが立設される。
【0052】
この鍛造加工に使用する鍛造型としては、例えば、図7(b)に示すように、接合体Jの平面形状と同じ形状で開口し、その形状で平坦な底部9aまで延びる内部空間9bを有する下部鍛造型9と、この下部鍛造型9の内部空間9bと略同形状であって、下部鍛造型9の底部9aと向き合う側に、放熱フィン8aの外形を象った形状の窪み10aが形成された上部鍛造型10とで構成されるものが挙げられる。
【0053】
この放熱器6の製造方法では、まず、図7(b)に示すように、下部鍛造型9の底部9aに接合体Jが配置される。このとき、接合体Jは、アルミニウム部材1が上部鍛造型10に対向するように配置される。次に、下部鍛造型9の開口部9cからその内部空間9bに向けて上部鍛造型10が押し下げられると、図7(c)に示すように、上部鍛造型10に形成された前記窪み10a内にアルミニウム部材1が塑性変形することよって入り込む。そして、上部鍛造型10が持ち上げられて上部鍛造型10の窪み10aから接合体Jが離されると、図7(a)に示す放熱器6が製造される。
【0054】
また、この放熱器6の製造方法は、このような鍛造加工によるものに限定されるものではなく、次のような切削加工によるものであってもよい。この製造方法では、前記した接合体Jのアルミニウム部材1を切削加工することによって、このアルミニウム部材1に複数のスリットを形成し、銅部材2上に複数の放熱フィン8aが立設される。
【0055】
この切削加工に使用する切削器具としては、例えば、図8(a)に示すように、円板状の形状であって、その周面に図示しない切歯が形成された複数のカッター11a,11a・・・と、これらカッター11a,11a・・・が等間隔に配置されるように支持するとともに、その軸周りに回転する支持軸11bとで構成される切削器具11が挙げられる。
【0056】
この放熱器6の製造方法では、まず、図8(a)に示すように、図示しない支持台上でアルミニウム部材1を上にして水平に支持された接合体Jの上方に、その支持軸11bが水平になるように切削器具11が配置される。次に、切削器具11が接合体Jに向けて押し下げられると、図8(b)に示すように、接合体Jのアルミニウム部材1には、カッター11a,11a・・・が配置される間隔で複数のスリット2c,2c・・・が形成される。そして、このような複数のスリット2c,2c・・・でアルミニウム部材2が分割されることによって、所定の間隔で並ぶ放熱フィン8aが形成されると、図7(a)に示す放熱器6が製造される。
【0057】
なお、このような放熱器6の製造方法で、アルミニウム部材1を鍛造し、あるいは切削することによって、銅部材2上に複数の放熱フィン8aを立設する前記工程は、特許請求の範囲にいう「第3工程」に相当する。
【0058】
以上、接合体Jのアルミニウム部材1を鍛造加工し、あるいは切削加工することによって形成した放熱フィン8aを備える放熱器6及びその製造方法について説明したが、本発明の放熱器は、これに限定されず、次に説明するような、第1金属部材としての放熱フィンと、第2金属部材としてのベース板とを、摩擦接合方法(前記第1及び第2実施形態に係る金属部材接合方法)によって相互に接合した他の放熱器であってもよい。
【0059】
<他の放熱器及びその製造方法>
以下に、他の放熱器及びその製造方法について説明するが、ここでは、放熱フィンとベース板とを前記した第1実施形態に係る金属部材接合方法によって接合した放熱器及びその製造方法を例にとって説明する。図9は、他の放熱器の断面図、図10は、図9の放熱器を構成する放熱フィンの斜視図、図11は、図9の放熱器を製造する際に使用する支持器具の斜視図、図12(a)乃至図12(c)は、図9の放熱器の製造工程を説明する図、図13(a)乃至図13(d)は、図9の放熱器の変形例を示す図である。
【0060】
図9に示すように、ここで説明する放熱器12は、アルミニウム板からなる放熱フィン12a(第1金属部材)と、銅からなるベース板12b(第2金属部材)とを備えている。この放熱器12では、ベース板12bの一方の面に高さhの複数の放熱フィン12a,12a・・・が相互に一定の間隔をおいて立設されている。そして、最外端に配置される放熱フィン12aは、ベース板12b上で所定の長さOSでオフセットしている。なお、これら放熱フィン12a,12a・・・の高さhは、8〜22mmの範囲で適宜に設定すればよい。また、オフセットの長さOSは、1mm程度でよい。
【0061】
放熱フィン12a,12a・・・は、図10を併せて参照すると明らかなように、アルミニウム材が押し出し成形されたものであって、その断面がL字状になった板材で構成されている。この放熱フィン12aは、平板材をL字状に屈曲したものであってもよい。なお、放熱フィン12aの厚み(板厚)は、0.2〜0.8mm程度でよい。また、ベース板12bと接触する放熱フィン12a部分の幅W(図9参照)は、広ければ広いほどベース12bとの接合力を向上させることができるが、その反面、ベース板12b上に立設する放熱フィン12a,12a・・・の数が減少するため、放熱器12の放熱面積が低減する。したがって、ベース板12bに対する放熱フィン12aの接合力と放熱面積の確保の双方を満足させるためには、前記幅Wは、1.2〜2.0mmの範囲に設定するのが望ましい。
【0062】
次に、この放熱器12の製造方法を説明する。まず、複数の放熱フィン12a,12a・・・のそれぞれが、所定の間隔をおいて並ぶように支持される。このように各放熱フィン12a,12a・・・を支持する方法としては、特に制限はないが、複数の放熱フィン12a,12a・・・を所定の間隔で支持する支持器具を使用する方法が挙げられる。このような支持器具としては、例えば図11に示すように、各放熱フィン12a,12a・・・を受け入れるための複数のスリット13a,13a・・・が所定の間隔で一方向に並ぶように形成されたブロック体からなる支持器具13が挙げられる。
【0063】
このような支持器具13のスリット13a,13a・・・のそれぞれに各放熱フィン12a,12a・・・が差し込まれた後に、この支持器具13は、所定の放熱器製造用冶具に固定される。
【0064】
図12(a)に示すように、この放熱器製造用冶具14は、上面が開放した箱形の冶具本体14aと、冶具本体14aを構成する壁に螺合するとともに、冶具本体14a内に収納された支持器具13を固定するための締付ボルト14bとを備えている。この放熱器製造用冶具14では、放熱フィン12aの折り曲げられた縁部12cの一方が、冶具本体14aの開放された上面側に向くように支持器具13が冶具本体14a内に収納されるとともに、締付ボルト14bが締め付けられることによって、冶具本体14a内で複数の放熱フィン12a,12a・・・が固定される。
【0065】
次に、図12(b)に示すように、冶具本体14aの開放された上面側に向けられた放熱フィン12aの縁部12cにベース板12bが重ね合わせられる。このときベース板12bは、図示しない固定冶具で放熱フィン12aの縁部12c上に固定される。
【0066】
このようにして各放熱フィン12a,12a・・・上にベース板12bが重ね合わせられると、各放熱フィン12a,12a・・・とベース板12bとは、前記した第1実施形態に係る金属部材接合方法で接合される。つまり、図12(c)に示すように、回転軸3bを中心として円周方向に高速回転するツール本体3aの周面をベース板12bの表面に垂直に押し当てつつ、ベース板12の表面に沿って移動させることによって、各放熱フィン12a,12a・・・とベース板12bとが接合される。
【0067】
このとき、ベース板12bを構成する銅の溶融点が放熱フィン12aを構成するアルミニウムの溶融点よりも高いため、各放熱フィン12a,12a・・・(縁部12c,12c・・・)とベース板12bとの重ね合わせ部を両者の接合に必要な温度(共晶温度:548℃)まで上昇させたときに、ベース板12bの変形抵抗は高く保たれる。その結果、この放熱器12の製造方法では、接合ツール3の押圧力を各放熱フィン12a,12a・・・とベース板12bとの重ね合わせ部に効率よく伝達することができるので、各放熱フィン12a,12a・・・とベース板12bとの間には隙間が形成されることがなく、しかも各放熱フィン12a,12a・・・とベース板12bとは高い強度で接合される。なお、ここでは、第1実施形態に係る金属部材接合方法が使用されているが、放熱フィン12aとベース板12bとの接合に、前記した第2実施形態に係る金属部材接合方法が使用されてもよいことは言うまでもない。
【0068】
このように各放熱フィン12a,12a・・・とベース板12bとが接合された後に、放熱器製造用冶具14から支持器具13を取り外すとともに、接合された各放熱フィン12a,12a・・・及びベース板12bからこの支持器具13を抜き取ることによって、放熱器12の製造工程は終了する。
【0069】
以上、詳述したように、このような本実施の形態に係る金属部材接合方法では、溶融点が高い板状の銅部材2から、接合ツール3,4,5(図1(b)、図1(c)、図4(a)〜図4(c)、図5(a)、図5(b)参照)によって加圧及び加熱が施されるので、アルミニウム部材1と銅部材2との重ね合わせ部が、接合に必要な温度まで上昇したときに、銅部材2はその変形抵抗を高く保って、その圧力が重ね合わせ部に対して効率よく伝達される。したがって、この金属部材接合方法によれば、簡単な装置で、アルミニウム部材1と銅部材2との間に隙間のない高強度の接合が可能となる。
【0070】
また、本実施の形態に係る放熱器の製造方法では、アルミニウム部材1と銅部材2(ベース板)とを前記金属部材接合方法で接合した接合体J(図2(c)参照)を形成し、次いで、この接合体Jのアルミニウム部材1に相当する部分を加工して放熱フィン8a(図7(a)参照)を形成するか、あるいはアルミニウムからなる放熱フィン12aと銅からなるベース板12bとを前記金属部材接合方法で接合して放熱器12(図9参照)を製造している。したがって、この放熱器12の製造方法によれば、前記金属部材接合方法と同様に、簡単な装置で、放熱フィン12aとベース板12bとの間に隙間のない高強度の接合が可能となる。
【0071】
また、この放熱器の製造方法によれば、ろう接のように真空炉中などで所定時間にわたり加熱保持することなく、放熱フィン8a,12aとベース板7,12b(図7(a)、図9参照)とを接合できるので、製造コストを削減することができる。
【0072】
また、放熱フィン12aとベース板12bとを前記金属部材接合方法で接合する放熱器12の製造方法では、放熱フィン12aとベース板12bとを相互に重ね合わせる際に、複数の放熱フィン12a,12a・・・は、支持器具13(図11参照)で支持される。したがって、この放熱器12の製造方法によれば、各放熱フィン12a,12a・・・は、相互の間隔を正確に保ちつつ、互いに所定間隔をあけた状態で位置決めされる。
【0073】
また、この放熱器12の製造方法では、放熱フィン12aとベース板12bとを前記金属部材接合方法で接合する際に、放熱フィン12aには曲げ応力が作用するが、放熱フィン12aは支持器具13で補強される。したがって、この放熱器12の製造方法によれば、放熱フィン12aの厚みをかなり薄くすることが可能となる。
【0074】
また、この放熱器12の製造方法では、放熱フィン12aとベース板12bとを前記金属部材接合方法で接合する際に、放熱フィン12aは支持器具13で補強されるので、放熱フィン12aの高さh(図9参照)をより大きくすることができる。したがって、この放熱器12の製造方法によれば、ハイトング比の(たとえばトング比20を超える)放熱器12を製造することができる。
【0075】
本実施の形態に係る放熱器12は、ベース板12b側から加熱及び加圧が施されて放熱フィン12aとベース板12bとが接合されたものである。つまり、従来品のように、放熱フィン12a側から加熱及び加圧が施されて接合されたものではない。したがって、この放熱器12によれば、複雑な形状及び構造を有した放熱フィン12aであっても、簡易な装置で製造することができるように構成されている。その結果、この放熱器12では、放熱面積のより大きな複雑な形状及び構造の放熱フィン12aをベース板12b上に配設することができる。
【0076】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されることなく、様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態では、銅部材2(第2金属部材)に対して加熱及び加圧を施すに際して、回転する接合ツール3,4,5(図1(b)、図1(c)、図4(a)〜図4(c)、図5(a)、図5(b)参照)を銅部材2に押し当てる接触方式を採用しているが、本発明の金属部材接合方法は、このような接触方式に限定されるものではなく、この接触方式に代えて、電磁誘導で加熱する方法といった非接触方式を採用するものであってもよい。
【0077】
また、本実施の形態では、第1金属部材としてアルミニウム部材1を例示し、第2金属部材として銅部材2を例示したが、本発明の金属部材接合方法、放熱器の製造方法及び放熱器は、これらを使用したもので限定されるものではなく、相互に溶融点が異なる金属部材を広く使用することができる。
【0078】
また、第1実施形態に係る金属部材接合方法では、ツール本体3aの周面に凹溝3cを有する接合ツール3を使用する方法を例示したが、本発明の金属部材接合方法は、この接合ツール3に代えて、その周面に突起を有するツール本体を備えた接合ツールを使用するものであってもよいし、あるいはその周面が平滑面で構成されるツール本体を備えた接合ツールを使用するものであってもよい。
【0079】
また、第2実施形態に係る金属部材接合方法では、ツール本体4aの下面DSに突起Pや細溝Gが形成された接合ツール4を使用する方法を例示したが、本発明の金属部材接合方法は、この金属部材接合方法で使用される接合ツール4に代えて、その下面DSが平滑面で構成されるツール本体を備えた接合ツールを使用するものであってもよい。
【0080】
また、本実施の形態に係る放熱器として、その断面形状がL字状の放熱フィンを有するものを例示したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、図13(a)に示すように、その断面形状がコの字状の放熱フィン12aを有するものであってもよい。
【0081】
また、本発明の放熱器は、図13(b)及び図13(c)に示すように、放熱フィン12aが、波打った板材で構成されるコルゲートフィンであってもよい。また、その板材の波形は、特に制限はなく、図13(b)に示すような三角形状のものであってもよいし、図13(c)に示すような矩形のものであってもよい。また、放熱フィン12aとベース板12bとの接合箇所は、放熱フィン12aとベース板12bとが接触する箇所の全てであってもよいし、例えば、コルゲートフィンの両端部といったように、接触する箇所の一部分であってもよい。また、図13(b)及び図13(c)に示す放熱フィン12aでは、1枚の板材からなる放熱フィン12aを例示したが、本発明の放熱器に使用される放熱フィンは、これに制限されるものではなく、図13(b)及び図13(c)に示すような波形を形成するように、屈曲させた複数の板材をベース板上に並べて配置するとともに、これら板材を個別にベース板と接合した図示しない放熱フィンであってもよい。なお、図13(a)で示したような放熱フィン12aでは、幅Wが、1.2〜2.0mmの範囲で適宜に設定されればよく、放熱フィン12aの高さhは、8〜16mmの範囲で適宜に設定すればよい。また、図13(b)で示したような放熱フィン12aでは、フィン幅Pが1.5〜2.0mm程度に設定されればよい。また、図13(b)で示したような放熱フィン12aでは、フィン幅Pが1.5〜1.8mm程度に設定されればよい。また、放熱フィン12aの高さhは、8〜16mmの範囲で適宜に設定すればよい。
【0082】
また、本実施の形態に係る放熱器では、放熱フィン8a,12a(図7(a)、図9参照)を備えるものを例示したが、本発明の放熱器は、これに限定されるものではなく、図13(d)に示すように、第2金属部材としてのベース板12b上に、前記第1金属部材としての複数の放熱柱状体12dが接続されたものであってもよい。この放熱柱状体12dは、その断面形状に制限はなく、円柱であってもよいし、角柱であってもよい。この放熱柱状体12dの高さhは、20〜40mm程度でよく、放熱柱状体12dのベース板12b上での配置間隔Pは、1.8〜2.0mm程度でよい。また、放熱柱状体12dが円柱体である場合のその直径は2mm程度でよい。
【0083】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る金属部材接合方法によれば、少ない工数によって短時間で金属部材同士を接合することができ、しかも金属部材同士を高い強度で接合することができる。また、この金属部材接合方法を応用した放熱器の製造方法で得られた放熱器は、少ない工数によって短時間でベース部材に放熱フィン等をより確実に高い強度で接合されたものであるため、従来品よりも低コストでしかも強度に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)は、第1実施形態に係る金属部材接合方法における摩擦接合の手順を表す正面断面図、(c)は、(b)の側面図である。
【図2】図1におけるアルミニウム部材と銅部材との重ね合わせ部の塑性変形の様子を時系列的に表す断面図である。
【図3】図1の接合ツールの部分拡大図である。
【図4】(a)は、第2実施形態に係る金属部材接合方法に使用される接合ツールの斜視図、(b)及び(c)は、第2実施形態に係る金属部材接合方法に使用される接合ツールの別の例を示す下面図である。
【図5】(a)及び(b)は、第2実施形態に係る金属部材接合方法に使用される接合ツールの別の例を示す斜視図である。
【図6】(a)及び(b)は、第2実施形態に係る金属部材接合方法における摩擦接合の工程を説明する図である。
【図7】(a)は、放熱器の斜視図、(b)及び(c)は、(a)の放熱器の製造工程を説明する図である。
【図8】(a)及び(b)は、図7(a)の放熱器の製造工程を説明する図である。
【図9】放熱器の他の一例を示す断面図である。
【図10】図9の放熱器を構成する放熱フィンの斜視図である。
【図11】図9の放熱器を製造する際に使用する支持器具の斜視図である。
【図12】(a),(b)及び(c)は、図9の放熱器の製造工程を説明する図である。
【図13】(a),(b),(c)及び(d)は、図9の放熱器の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 … アルミニウム部材(第1金属部材)
2 … 銅部材(第2金属部材)
2c … スリット
3 … 接合ツール
4 … 接合ツール
5 … 接合ツール
6 … 放熱器
7 … ベース板
8a … 放熱フィン
12 … 放熱器
12a … 放熱フィン
12b … ベース板
12d … 放熱柱状体
Claims (2)
- アルミニウム部材に、板状の銅部材を重ね合わせる第1工程と、
前記銅部材から前記アルミニウム部材に向けて、加圧するとともに加熱して、前記アルミニウム部材及び前記銅部材を相互に接合する第2工程とを備え、
前記第2工程が、回転する円板状の接合ツールの周面を前記銅部材に押し当てて前記接合ツールを前記銅部材に押し込みつつ前記銅部材の表面に沿って移動させる工程を含み、
前記接合ツールには前記周面に沿うように螺旋形の凹溝が形成されており、
前記接合ツールを下記式で示される押込量αで前記銅部材に押し込むことを特徴とする金属部材接合方法。
0.03×t≦α≦0.3×t
(但し、前記式中、αは、銅部材に対する接合ツールの押込量(m)であり、tは、アルミニウム部材と銅部材との重ね合わせ部における銅部材の厚み(m)である) - 前記螺旋形の軌跡が前記接合ツールの回転方向に対して傾斜角0.5〜2.0度で傾斜するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の金属部材接合方法。
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