JP4445810B2 - 冷間圧接方法、冷間圧接装置及び金属接合体 - Google Patents

冷間圧接方法、冷間圧接装置及び金属接合体 Download PDF

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Description

本発明は、冷間圧接方法、冷間圧接装置及び金属接合体関する。
従来、複数の金属板材を重ね合わせて一体化させことで金属接合体を製造する方法として、図17に示すように、重ね合わせた複数の金属板材100,101を、その板面と交差する方向にダイス102で押圧することで、表面側に凹部103が形成されるように変形させつつ接合して金属接合体104を製造することが行われている。この冷間圧接方法によれば、ダイス102が金属板材100,101を押圧すると、金属板材100,101が凹まされるように変形しつつ、金属板材100,101の板面のうちダイス102で押圧される領域が密着して接合される。
尚、金属同士を接合する手段については、特許文献1に開示されている。
特開平2−280979号公報
従来の方法では、図18に示すように、金属板材100,101の凹部103が形成されるのに伴い、その凹部103の容積分だけ、金属板材100,101が板面に沿って伸展するように変形し、それに伴って、金属板材100,101のダイス押圧方向に視た投影形状(投影面積)が拡大するようになっていた。しかし、投影形状の拡大の形態にはバラツキがあり、出来上がった金属接合体104の形状や大きさが一定しないという問題がある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、金属接合体の形状や大きさにバラツキが生じるのを回避することを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、重ね合わせた複数の金属板材を、その板面と交差する方向にダイスで押圧することで、表面側に凹部が形成されるように変形させつつ接合して金属接合体を製造する冷間圧接方法であって、前記金属板材がそのダイス押圧方向に視た投影形状を拡大させるように変形することを規制する規制部を備えた治具を用い、前記治具にセットした前記複数の金属板材を前記ダイスで押圧することにより、前記金属接合体を製造するところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記治具が、前記金属板材が板厚を増加させるように変形することを許容する逃がし手段を備えており、前記逃がし手段により、前記ダイスによって形成される前記凹部の容積増加に伴い、前記金属板材の板厚を増加させるところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記ダイスの押圧に伴う前記金属板材の内部圧力上昇によって前記治具が変形し得るようにすることによって、前記逃がし手段が構成されており、前記治具の変形によって前記金属板材の板厚を増加させるところに特徴を有する。
請求項4の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記金属板材がダイス押圧方向と同方向へ膨らむように変形することを許容する逃がし空間を前記治具に設けることによって、前記逃がし手段が構成されており、前記ダイスの押圧により、前記金属板材の一部を前記逃がし空間内に逃がすように変形させるところに特徴を有する。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、硬度が異なる2枚の前記金属板材のうち、硬度が高い方の金属板材を前記ダイスで押圧される表面側に配置するところに特徴を有する。
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のものにおいて、前記端子金具と前記バスバーが前記凹部の周囲において前記ダイスの押圧方向とは反対側に反り返るように変形することを規制する規制部を備えた治具を用いるところに特徴を有する。
請求項7の発明は、重ね合わせた複数の金属板材を、その板面と交差する方向にダイスで押圧することで、表面側に凹部が形成されるように変形させつつ接合して金属接合体を製造するための冷間圧接装置であって、前記金属板材がそのダイス押圧方向に視た投影形状を拡大させるように変形することを規制する規制部を有する治具を備えており、前記治具にセットした前記複数の金属板材を前記ダイスで押圧することにより、前記金属接合体を製造する構成としたところに特徴を有する。
請求項8の発明は、請求項7に記載のものにおいて、前記治具が、前記金属板材が板厚を増加させるように変形することを許容する逃がし手段を備えており、前記逃がし手段により、前記ダイスによって形成される前記凹部の容積増加に伴い、前記金属板材の板厚を増加させる構成としたところに特徴を有する。
請求項9の発明は、請求項8に記載のものにおいて、前記ダイスの押圧に伴う前記金属板材の内部圧力上昇によって前記治具が変形し得るようにすることによって、前記逃がし手段が構成されており、前記治具の変形によって前記金属板材の板厚を増加させるところに特徴を有する。
請求項10の発明は、請求項8に記載のものにおいて、前記金属板材がダイス押圧方向と同方向へ膨らむように変形することを許容する逃がし空間を前記治具に設けることによって、前記逃がし手段が構成されており、前記ダイスの押圧により、前記金属板材の一部を前記逃がし空間内に逃がすように変形させるところに特徴を有する。
請求項11の発明は、請求項10に記載のものにおいて、前記治具のキャビティ内に前記金属板材をセットした状態において、前記逃がし空間における前記金属板材との対向面は、前記キャビティの内面のうち前記金属板材の板面に対して当接する領域の端部から、前記金属板材の板面に沿った方向について前記ダイス押圧方向に傾斜して連なっているところに特徴を有する。
請求項12の発明は、請求項7ないし請求項11のいずれかに記載のものにおいて、前記ダイスの外周面が、前記金属板材に対する押圧方向に向かって縮径するテーパ状をなしているところに特徴を有する。
請求項13の発明は、請求項7ないし請求項12のいずれかに記載のものにおいて、前記ダイスにおける前記金属板材との対向面が、押圧方向と略直角な平坦な押圧面とされており、前記ダイスの外周面と前記押圧面とが弧状面を介して連なっているところに特徴を有する。
請求項14の発明は、請求項7ないし請求項13のいずれかに記載のものにおいて、前記ダイスの表面が鏡面加工されているところに特徴を有する。
請求項15の発明は、請求項7ないし請求項14のいずれかに記載のものにおいて、前記治具における前記金属板材との接触面が鏡面加工されているところに特徴を有する。
請求項16の発明は、請求項7ないし請求項15のいずれかに記載のものにおいて、前記治具が、前記端子金具と前記バスバーが前記凹部の周囲において前記ダイスの押圧方向とは反対側に反り返るように変形することを規制する規制部を備えているところに特徴を有する。
請求項17の発明は、重ね合わせた複数の金属板材を、その板面と交差する方向にダイスで押圧し、表面側に凹部が形成されるように変形させつつ接合することによって製造される金属接合体であって、前記金属板材がそのダイス押圧方向に視た投影形状を拡大させるように変形することを規制する規制部を備えた治具を用い、前記治具にセットした前記複数の金属板材を前記ダイスで押圧することにより製造されたところに特徴を有する。
請求項18の発明は、請求項17に記載のものにおいて、硬度が異なる2枚の前記金属板材のうち、硬度が高い方の金属板材を前記ダイスで押圧される表面側に配置したところに特徴を有する。
<請求項1、請求項7及び請求項17の発明>
金属板材を治具にセットしてダイスで押圧したときに、金属板材は、ダイス押圧方向に視た投影形状を拡大させるように変形することが規制されるので、金属接合体の形状や大きさにバラツキが生じることがない。
<請求項2〜4、請求項8〜10の発明>
治具に逃がし手段を設け、ダイスによって形成される凹部の容積増加に伴い、金属板材の板厚を増加させるようにしたので、金属板材の内部圧力が過剰に増大することが回避される。
<請求項5及び請求項18の発明>
金属板材をダイスで押圧して凹ませるように変形させると、金属板材のうちダイスで押圧される領域は中心から外周側へ変位しつつ伸展変形する。ここで、ダイスが硬度の低い金属板材を直接押圧した場合には、ダイスの侵入に伴なう伸展量の多くの部分を変形し易い金属板材が受け持つこととなり、金属板材同士の接触界面において過大な滑りが生じ、その結果、両金属板材の接合強度が低下することが懸念される。
これに対し、本発明では、硬度が高い方の金属板材がダイスで直接押圧されるようにしたので、硬度の高い金属板材が凹まされるように変形して中心から外周側へ伸展するように変形すると、これに追従して、硬度の小さい金属板材も中心から外周側へ伸展するように変形する。したがって、硬度の高い金属板材の伸展量と硬度の低い金属板材の伸展量がほぼ同じ量となり、両金属板材の接合面において過大な滑りが発生せず、両金属板材の接合強度は高い。
<請求項11の発明>
金属板材の一部が変形しつつ逃がし空間内に侵入する際に、変形部分の一部が金属板材の板面に沿った方向(即ち、逃がし空間への侵入方向と交差する方向)へ変位することが考えられるが、本発明では、逃がし空間の内面とキャビティの内面とが滑らかに連なっているので、逃がし空間内に侵入する変形部分が板面に沿って円滑に変位することができる。これにより、金属板材に割れが発生すること、及び金属板材同士の接合面に剥離が発生することが防止される。
<請求項12発明>
ダイスは金属板材の表面に対して潜り込むのであるが、ダイスの外周面は、金属板材に対する押圧方向に向かって縮径するテーパ状をなしているので、ダイスの金属板材への潜り込みが円滑に行われる。
<請求項13発明>
金属板材のうちダイスの押圧面で押圧される領域は、押圧面の中心から外周側へ流れるとともにダイスの外周面に沿って流れるように変形するのであるが、本発明では、ダイスの押圧面と外周面は弧状面を介して連なっているので、金属板材の流れるような変形が円滑に行われる。
<請求項14発明>
金属板材のうちダイスの押圧面で押圧される領域は、ダイスの表面に沿って流れるように変形するのであるが、本発明では、ダイスの表面が鏡面加工されているので、ダイスと金属板材との間の摩擦抵抗が低減され、金属板材の流れるような変形が円滑に行われる。
<請求項15の発明>
金属板材のうちダイスの押圧面で押圧される領域は、治具に沿って流れるように変形するのであるが、本発明では、治具における金属板材との接触面が鏡面加工されているので、治具と金属板材との間の摩擦抵抗が低減され、金属板材の流れるような変形が円滑に行われる。
<請求項6及び請求項16の発明>
端子金具とバスバーを治具にセットしてダイスで押圧したときに、端子金具とバスバーは、凹部の周囲においてダイスの押圧方向とは反対側に反り返るように変形することがないので、形状が安定する。
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図7を参照して説明する。本実施形態の導電路A(本発明の構成要件である金属接合体)は、冷間圧接によりバスバー20(本発明の構成要件である金属板材)と端子金具10(本発明の構成要件である金属板材)とを接合して製造される。端子金具10は、所定形状に打ち抜いた銅合金製の板材を曲げ加工したものであり、前端側に箱部11を有し、後端側は略方形の平板状をなす接合部12となっている。一方のバスバー20は、所定形状に打ち抜いた銅製の板材を曲げ加工したものであり、前端側が略方形の平板状をなす接合部21となっており、この接合部21の後端から平板状の立上り部22が延出している。バスバー20の接合部21の幅W(13mm)は、端子金具10の接合部12の幅と同じ寸法であり、端子金具10の接合部12の板厚寸法Ta(1.8mm)は、バスバー20の接合部21の板厚寸法Tb(2.3mm)よりも小さい。尚、バスバー20は、立上り部22の上端から更に上方若しくは水平方向へ延出する部分を有するが、図面上は便宜的に延出部分を省略する。
端子金具10の硬度はHV115であり、バスバー20の硬度はHV90である。つまり、端子金具10の方がバスバー20よりも硬度が高く、端子金具10の方が変形し難い。かかる端子金具10とバスバー20は、その接合部12,21同士を上下に重ね合わせた状態で電気的導通可能に接合される。ここで、硬度の高い端子金具10の接合部12がバスバー20の接合部21の上面(表面)側に重ねられるが、これは、接合手段であるダイス50が上から下向きに接合部12,21を押圧することを考慮した配置である。また、両接合部12,21を重ね合わせた状態では、接合部12,21同士が左右両側縁を揃えるように配置され、端子金具10の接合部12の後端縁からバスバー20の接合部21の後端側部分が突出する。
上記端子金具10とバスバー20は、上下2つの治具30,40とダイス50を用いて冷間圧接法により接合される。
上部治具30は、工具合金鋼(SKD11)製であり、全体として厚い板状をなし、下面には端子金具10を収容するためのキャビティ31が形成されている。キャビティ31は端子金具10の箱部11を前後左右方向(接合部12の板面と平行な方向)へのガタ付き(変位)なく位置決めして収容する箱部用キャビティ32と、接合部12を前後左右方向(接合部12の板面と平行な方向)へのガタ付き(変位)なく位置決めして収容する接合部用キャビティ33とからなっている。
箱部用キャビティ32の前面と左右両側面、及び接合部用キャビティ33の後面と左右両側面は、端子金具10を上部治具30のキャビティ31にセットした状態で、箱部11の前面と左右両外側面及び接合部12の後端面と左右両側面を当接させるようになっており、端子金具10がそのダイス押圧方向に視た投影形状、即ち接合部12の上面(表面)の形状を拡大させるように変形することを規制するための規制部34として機能する。
また、上部治具30には、その上面から接合部用キャビティ33の天井面(内面)に至る上下方向(接合部12の板面と直角方向)の円形をなすガイド孔35が形成されている。ガイド孔35は幅方向(左右方向)及び前後方向において接合部12のほぼ中央に位置する。ガイド孔35の内周面は、下方(端子金具10及びバスバー20に対してダイス50が押圧する方向と同方向)に向かって次第に縮径するテーパ状をなしている。このテーパ状の外周面とガイド孔35の軸線とのなす角度θは7.5°である。
さらに、上部治具30は、その周縁部(四隅)において軸線を上下方向に向けたボルト(図示せず)により下部治具4に固定されているのであるが、後述するように両治具30,40の内部の圧力が上昇したときには、ボルト締め箇所から遠いガイド孔35を略中心として上方へ湾曲するように弾性変形し得るようになっている。
また、上部治具30の内面には、少なくとも接合部用キャビティ33の天井面に対して鏡面加工がなされている。この鏡面加工は、端子金具10の接合部12の上面との摩擦抵抗を低減するための手段である。
さらに、上部治具30における端子金具10及びバスバー20の上面との当接面は、端子金具10とバスバー20が凹部Bの周囲においてダイス50の押圧方向とは反対側(上方)に反り返るように変形することを規制する規制部37として機能する。
一方の下部治具40は、工具合金鋼(SKD11)製であり、全体として肉厚の板状をなす。下部治具40の上面には、バスバー20の接合部21を収容するためのキャビティ41が形成されている。キャビティ41に接合部21を収容した状態では、接合部21が前後及び左右へのガタ付き(変位)なく位置決めされる。このキャビティ41の前後両面と左右両面は、バスバー20を下部治具40にセットした状態で、バスバー20の接合部21の前後両面と左右両側面を当接させるようになっており、バスバー20がそのダイス押圧方向に視た投影形状、即ち接合部12,21の上面(表面)側から視た投影形状を拡大させるように変形することを規制するための規制部42として機能する。
また、下部治具40の内面には、少なくともキャビティ41の下面に対して鏡面加工がなされている。この鏡面加工は、バスバー20の接合部21の下面との摩擦抵抗を低減するための手段である。
さらに、下部治具40における端子金具10及びバスバー20の下面との当接面は、端子金具10とバスバー20が凹部Bの周囲においてダイス50の押圧方向とは反対側(上方)に反り返るように変形することを規制する規制部47として機能する。
ダイス50は、工具合金鋼(SKD11)製であり、硬度は、HV700〜750である。ダイス50は、軸線を上下方向に向けた円柱形をなし、その外周面は、端子金具10に対する押圧方向に向かって縮径するテーパ状をなしている。このテーパ状の外周面とダイス50の中心軸とがなす角度θは7.5°である。かかるダイス50は上部治具30の上方からガイド孔35内に差し込まれ、端子金具10とバスバー20が正しく接合された状態(接合が完了した状態)では、ダイス50のテーパ状をなす部分がガイド孔35に対して前後左右方向へのガタ付きなく嵌合されるようになっている。
ダイス50の下面は、ダイス50と同心の円形をなす押圧面51となっている。この押圧面51は、ダイス50により接合部12,21を押圧する方向と直角な平坦面である。押圧面51の延長面とテーパ状の外周面の延長面とが交差する円(押圧面51よりも少し径の大きい円)の直径Dは、5.0mmである。また、この押圧面51とダイス50のテーパ状の外周面とは、弧状面52を介して連なっている。この弧状面52の曲率半径は、0.5mmである。さらに、ダイス50の表面のうち少なくとも端子金具10と接触する領域(外周面、押圧面及び弧状面)には、鏡面加工がなされている。この鏡面加工は、端子金具10の接合部12の上面との摩擦抵抗を低減するための手段である。
次に、本実施形態の作用を説明する。
端子金具10とバスバー20を接合して導電路Aを製造する際には、スクレーパ(キサゲ)、ワイヤブラシ、バフ等を用いることにより、接合部12,21における接合領域(ダイス50との対応領域)を研磨する。この研磨処理を行うことで、接合部12,21の表面の酸化被膜が除去され、接合強度が高まるとともに、密着度が高まって電気的抵抗が低減される。
表面研磨処理の後、下部治具40のキャビティ41にバスバー20の接合部21をセットするとともに、その接合部21の上面に端子金具10の接合部12を重ね、その上から上部治具30を被せて、上下両治具30,40を合体させ、上部治具30の下面と下部治具40の上面とを面接触状態で当接させる。この状態では、バスバー20の接合部21の上面が下部治具40の上面に対して面一状(同じ高さ)に連なり、接合部21の後端側部分が下部治具40の上面と上部治具30の下面との間で上下に挟み付けられることにより、バスバー20が上下両治具30,40に対して上下のガタ付きなく保持される。
また、端子金具10の下面は上部治具30の下面及び下部治具40の上面に対して面一の高さとなり、端子金具10の箱部11が、下部治具40の上面と箱部用キャビティ32の天井面との間で上下に挟みつけられて固定される。これにより、端子金具10の接合部12が、バスバー20の上面の面接触状態で当接した状態に保持される。
この状態からダイス50をガイド孔35内に侵入(下降)させると、侵入の初期にダイス50の下端の押圧面51が端子金具10の接合部12の上面(表面)を上から押圧し、接合部12の上面を凹ませる。このとき、この凹み変形に伴なって接合部12の一部がダイス50を囲むように上面側に盛り上がるが、接合部12の上面と接合部用キャビティ33の天井面との間には隙間ができないため、接合部12の盛上り量は僅かに抑えられる。
さらにダイス50の下降が進むと、端子金具10の接合部12がダイス50に押圧されて下方へ沈むように(凹むように)変形するとともに、この接合部12の変形部分に押圧されたバスバー20の接合部21も、追従して変形する。このとき、硬度の低いバスバー20の接合部21の変形量は、端子金具10の接合部12の変形量よりも大きい。このとき、ダイス50は、端子金具10の接合部12の円筒状に変形した部分12bによって取り囲まれ、その端子金具10の接合部12の円筒状変形部12bがバスバー20の接合部21によって取り囲まれた状態となる。
そして、ダイス50が接合完了位置まで下降すると、端子金具10の接合部12の上面には、円形の凹部Bが形成される。このように、双方の接合部12,21がダイス50によって変形させられると、端子金具10の接合部12の下面とバスバー20の接合部21の上面が、そのダイス50の押圧面51と対応する略円形領域において互いに強固に接合(固着)し、もって、端子金具10とバスバー20が一体化されて導電路Aが製造される。接合済みの状態では、端子金具10の接合部12のうちダイス50との対応領域(ダイス50によって押し潰された領域)の板厚taは、0.9mmとなり、バスバー20の接合部21のうちダイス50との対応領域(ダイス50によって押し潰された領域)の板厚tbは、1.0mmとなる。
さて、上記のようにダイス50が端子金具1の接合部12に潜り込む過程では、ダイス50の潜り込み量(接合部用キャビティ33への侵入量)を含む接合部12,21の体積が増加するため、接合部12,21の内部圧力上昇によって上部治具30が上方へ膨らむように弾性変形する。これと同時に、ダイス50で押圧された接合部12,21が、押圧面51の中心から外周側へ向かって放射状に流れるように変位しつつ伸展変形するが、このとき上部治具30と下部治具40の規制部34,42によって接合部12,21は前後左右方向への拡がりを規制されているので、押圧面51の中心から放射状に流れた変形部分は、ダイス50の外周に沿って上方へ変位することになる。この上方への変位により、接合部12,21のうちダイス50の押圧面51と対応する領域を除いた部分が、上部治具30に追従するように上方へ変位する。そして、この上方へ変位した部分と下部治具40の接合部用キャビティ41の下面との間には、図6及び図7に示すように、ごく僅かな隙間が生じる。尚、図6及び図7では、隙間を誇張して描いている。以上により、バスバー20の接合部21の下面には、ダイス50の押圧面51と対応する略円形領域を下方(ダイス50の押圧方向と同方向)へ膨らむような変形部が生じることになる。
本実施形態の端子金具10とバスバー20の接合構造において、ダイス50の接合部12,21への侵入速度と接合部12,21の接合強度との関係を調べる実験を行ったところ、図10のグラフであらわされた結果が得られた。このグラフによれば、最も高い接合強度が得られたのは、侵入速度が約1.0秒/mmのときであった。また、実用上、必要とされる接合強度は、1000Nであることに鑑みると、好適な侵入速度は、0.6秒/mm以上の速度であることが判る。このような実験結果が得られたのは、次の理由によると考えられる。即ち、接合部12,21に侵入したダイス50は、ダイス50の侵入体積分だけ接合部12,21を移動させようとするが、端子金具10とバスバー20は弾性体であることから、歪が一定量に達するまでは接合部12,21が移動しないため、ダイス50の侵入速度と接合部12,21の移動速度には差異(タイムラグ)が生じる。即ち、ダイス50を高速で侵入させた場合には、接合部12,21に局部的な移動(ずれ)が生じ、ダイス50を低速で侵入させた場合には、接合部12、21の移動量が少なくなり、その結果、接合部12,21に内部歪が発生することになり、これが、接合強度に影響を及ぼすのである。よって、ダイス50の侵入速度を管理することは、安定した接合強度を得るために必要である。尚、この侵入速度と接合強度との関係は、接合部12,21の板厚Ta,Tb、ダイス50の外周面のテーパの角度θ、押圧面51の直径D、接合完了状態の接合部12,21の板厚ta,tb等によって異なる。
また、図11に示す写真は、本実施形態の接合が完了した状態における端子金具10とバスバー20の接合部分の断面(図6と対応)を撮影したものである。この圧接試料は、水中に10時間浸漬した後、水を掛けながらカッタで切断された。この写真によれば、ダイス50の先端の端子金具10とバスバー20の接合部12,21の間(接合界面)には水分は浸透しておらず、したがって、接合部12,21は安定した構造であることが判る。
上述のように本実施形態においては、重ね合わせた端子金具10とバスバー20を、その接合部12,21の板面と交差する方向にダイス50で押圧することで、表面側に凹部Bが形成されるように変形させつつ接合して導電路Aを製造するのであるが、その手段として、端子金具10とバスバー20がダイス押圧方向に視た投影形状(接合部12,21の上面の形状)を拡大させるように変形することを規制する規制部34,42を備えた治具30,40を用い、治具30,40にセットした端子金具10とバスバー20をダイス50で押圧することにより、端子金具10とバスバー20の内部圧力を上昇させることによって、両者10,20を接合するようになっている。このような規制部34,42を設けたことにより、ダイス50で押圧したときに、端子金具10とバスバー20の接合部21は、ダイス押圧方向に視た投影形状を拡大させるように変形することが規制されているので、端子金具10とバスバー20の形状や大きさにバラツキが生じることがない。
また、上部治具30を弾性変形可能とすることによって逃がし手段を設け、ダイス50によって形成される凹部Bの容積増加に伴い、導電路A(バスバー20の接合部21)の板厚を増加させることを許容したので、接合部12,21の内部圧力が過剰に増大することが回避されている。
また、端子金具10をダイス50で押圧して凹ませるように変形させると、端子金具10のうちダイス50で押圧される領域はダイス50の中心から外周側へ流れるように変位しつつ伸展変形する。ここで、ダイス50が硬度の低いバスバー20を直接押圧した場合には、ダイス50の侵入に伴なう伸展量の多くの部分を変形し易いバスバー20が受け持つこととなり、端子金具10とバスバー20の接触界面において過大な滑りが生じ、その結果、端子金具10とバスバー20の接合強度が低下することが懸念される。
これに対し、本実施形態では、硬度が高い端子金具10がダイス50で直接押圧されるようにしたので、硬度の高い端子金具10が凹まされるように変形して中心から外周側へ伸展するように変形すると、これに追従して、硬度の小さいバスバー20も中心から外周側へ伸展するように変形する。したがって、硬度の高い端子金具10の伸展量と硬度の低いバスバー20の伸展量がほぼ同じ量となり、端子金具10とバスバー20の接合面12,21において過大な滑りが発生せず、端子金具10とバスバー20の接合強度は高い。
また、ダイス50は接合部12の表面に対して潜り込むのであるが、ダイス50の外周面は、接合部12に対する押圧方向に向かって縮径するテーパ状をなしているので、ダイス50の接合部12への潜り込みが円滑に行われる。
また、端子金具10の接合部12のうちダイス50の押圧面51で押圧される領域は、押圧面51の中心から外周側へ流れるとともにダイス50の外周面に沿って流れるように変形するのであるが、本実施形態では、ダイス50の押圧面51と外周面は弧状面52を介して連なっているので、接合部12の流れるような変形が円滑に行われる。
また、端子金具10の接合部12のうちダイス50の押圧面51で押圧される領域は、ダイス50の表面(押圧面51及びテーパ状の外周面)に沿って流れるように変形するのであるが、本実施形態では、ダイス50の表面が鏡面加工されているので、ダイス50と接合部12との間の摩擦抵抗が低減され、接合部12の流れるような変形が円滑に行われる。
また、バスバー20の接合部21のうちダイス50の押圧面51で押圧される領域は、下部治具40のキャビティ41の内面に沿って流れるように変形するのであるが、本実施形態では、下部治具40における接合部21との接触面が鏡面加工されているので、下部治具40と接合部21との間の摩擦抵抗が低減され、接合部21の流れるような変形が円滑に行われる。
また、ダイス50が端子金具10とバスバー20を押圧する工程の初期には、ダイス50が端子金具10の表面を凹ませるのに伴って端子金具10の一部が凹部Bの周縁に沿って盛り上がり、ダイス50の外周面とガイド孔35の内周面との隙間に侵入する。ここで、もし、ダイス50の外周に端子金具10の表面に当接する拡径面が設けられていると、その拡径面が凹部Bの周縁の盛上り部の動きを拘束し、その結果、端子金具10のうち凹部Bの内周を構成する筒状部分12b(即ち、ダイス50の外周に沿った部分)が座屈するように変形することが懸念される。
しかし、本実施形態では、ダイス50における凹部Bとの対応領域の外径とガイド孔35との対応領域の外径とが滑らかに連なるテーパ面となっていて、ダイス50の外周には、端子金具10の接合部12の凹部Bの周縁に沿った盛上り部の動きを拘束する拡径面は存在しないので、端子金具10のうち凹部Bの内周を構成する筒状部分12bが座屈するように変形する虞はない。
また、上部治具30と下部治具40に規制部37,47を設け、端子金具10とバスバー20を治具30,40にセットしてダイス50で押圧したときに、端子金具10とバスバー20が凹部Bの周囲においてダイス50の押圧方向とは反対側に反り返るように変形することを規制したので、接合済みの導電路Aの形状や寸法が安定する。
<実施形態2>
以下、本発明を具体化した実施形態2を図12乃至図16を参照して説明する。本実施形態2は、上記実施形態1において下部治具40の構成を異なる形態としたものである。その他の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
下部治具40に形成されているキャビティ41の下面のうち略後半領域はバスバー20の接合部21を下から支承する支承面43となっており、略前半領域は前方へ下り勾配となった傾斜面44となっている。傾斜面44の後端は支承面43の前端に対して滑らかに連なっている。そして、キャビティ41に接合部21を収容した状態では、その接合部21の下面と傾斜面44との間に逃がし空間45が形成されるようになっている。また、逃がし空間45は端子金具10の接合部12の全領域と対応しており、したがって、ガイド孔35も逃がし空間45と対応する領域に位置することになる。
次に、本実施形態の作用を説明する。
端子金具10とバスバー20を接合して導電路Aを製造する際には、下部治具40のキャビティ41にバスバー20の接合部21をセットするとともに、その接合部21の上面に端子金具10の接合部12を重ね、その上から上部治具30を被せて、上下両治具30,40を合体させ、上部治具30の下面と下部治具40の上面とを面接触状態で当接させる。この状態では、バスバー20の接合部21の上面が下部治具40の上面に対して面一状(同じ高さ)に連なり、接合部21の後端側部分が下部治具40の上面と上部治具30の下面との間で上下に挟み付けられることにより、バスバー20が上下両治具30,40に対して上下のガタ付きなく保持される。このとき、図3に示すように、バスバー20の接合部21における前端側領域の下方に逃がし空間45が構成され、接合部21の下面は逃がし空間45に臨む状態(逃がし空間45に面する状態)となる。つまり、接合部21の下面と逃がし空間45の傾斜面44との間には、接合部21が変形したときにその変形部分を侵入させるためのスペースが確保される。尚、立上り部22は、上部治具30の後端面と下部治具40の後部壁46との間で前後に挟みつけられて位置決めされる。
また、端子金具10の下面は上部治具30の下面及び下部治具40の上面に対して面一の高さとなり、端子金具10の箱部11が、下部治具40の上面と箱部用キャビティ32の天井面との間で上下に挟みつけられて固定される。これにより、端子金具10の接合部12が、バスバー20の上面の面接触状態で当接した状態に保持される。
この状態からダイス50をガイド孔35内に侵入(下降)させ、ダイス50の下端の押圧面51で端子金具10の接合部12の上面(表面)を上から押圧すると、接合部12の上面が凹まされるとともに、この接合部12の変形部分に押圧されたバスバー20の接合部21も、追従して変形する。このとき、バスバー20の接合部21の下方には逃がし空間45が確保されているので、バスバー20の接合部21は円滑に下方へ変形することができる。また、ダイス50は、端子金具10の接合部12の円筒状に変形した部分12bによって取り囲まれ、その端子金具10の接合部12の円筒状変形部12bがバスバー20の接合部21によって取り囲まれる。
そして、ダイス50が接合完了位置まで下降すると、端子金具10の接合部12の上面には、円形の凹部Bが形成されるとともに、バスバー20の接合部21の変形部分が逃がし空間45内に殆ど隙間なく収容される。ここで、逃がし空間45の容積は、予めダイス50により形成される凹部Bの容積と対応する(ほぼ同じ溶接となるように)ように設定されている。このように、双方の接合部12,21がダイス50によって変形させられると、端子金具10の接合部12の下面とバスバー20の接合部21の上面が、そのダイス50の押圧面51と対応する略円形領域において互いに強固に接合(固着)し、もって、端子金具10とバスバー20が一体化されて導電路Aが製造される。
上述のように本実施形態においては、バスバー20の一部が変形しつつ逃がし空間45内に侵入する際に、変形部分の一部がバスバー20の板面に沿った方向(前後方向であり、逃がし空間45への侵入方向と交差する方向)へ変位することが考えられるのであるが、本実施形態では、下部治具40のキャビティ41内にバスバー20をセットした状態において、逃がし空間45におけるバスバー20との対向面(傾斜面44)が、キャビティ41の内面のうちバスバー20の接合部21に当接する領域(支承面43)に対して滑らかに連なっている。これにより、逃がし空間45内に侵入する変形部分が接合部21の板面に沿って円滑に変位することができ、バスバー20に割れが発生すること、及び端子金具10とバスバー20の接合面に剥離が発生することが防止される。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では2枚の金属板材を重ねた場合について説明したが、本発明によれば、3枚以上の金属板材を重ね合わせることもできる。
(2)上記実施形態では硬度が異なる2枚の金属板材のうち、硬度が高い方の金属板材をダイスで押圧される表面側に配置したが、本発明によれば、硬度が低い方の金属板材をダイスで押圧される表面側に配置してもよい。
(3)上記実施形態2では逃がし空間をテーパ状とし、キャビティの内面に対して滑らかに連続するようにしたが、本発明によれば、逃がし空間とキャビティの内面との境界が段差状をなすようにしてもよい。
(4)上記実施形態ではダイスの断面形状を円形としたが、本発明によれば、ダイスの断面形状を非円形(例えば、楕円形、長円形、方形、多角形等)としてもよい。
(5)上記実施形態では金属板材の硬度が異なる場合について説明したが、本発明によれば、硬度が同一の金属板材を重ねて金属接合体を構成してもよい。この場合、金属板材同士は同一の材質でも、互いに異なる材質でもよい。
(6)上記実施形態では端子金具とバスバーとを接合する場合を説明したが、本発明は、金属板材が端子金具やバスバー以外の場合にも適用できる。
(7)上記実施形態では端子金具(ダイスが直接押圧する方の金属板材)の板厚をバスバー(ダイスが直接押圧しない方の金属板材)よりも小さくしたが、本発明によれば、ダイスが直接押圧する方の金属板材の板厚を、ダイスが直接押圧しない方の金属板材よりも大きくしてもよい。
(8)上記実施形態の具体的な寸法、角度及び硬度については、いずれも一例を示したものであり、本発明によれば、寸法、角度及び硬度を任意に設定することができる。
実施形態1における接合前の状態をあらわす斜視図 接合済みの金属接合体の斜視図 接合前の状態をあらわす縦断面図 図3のX−X断面図 接合途中の状態をあらわす縦断面図 接合が完了した状態をあらわす縦断面図 図6のY−Y断面図 ダイスの正面図 ダイスの部分拡大正面図 ダイスの侵入速度と接合強度との関係をあらわすグラフ 端子金具とバスバーの接合部分の断面を示す写真 接合前の状態をあらわす縦断面図 図12のx−x断面図 接合途中の状態をあらわす縦断面図 接合が完了した状態をあらわす縦断面図 図15のy−y断面図 従来例における接合前の状態をあらわす斜視図 従来例における接合済みの金属接合体の斜視図
符号の説明
A…導電路(金属接合体)
B…凹部
10…端子金具(金属板材)
20…バスバー(金属板材)
30…上部治具
34…規制部
40…下部治具
42…規制部
50…ダイス

Claims (18)

  1. 重ね合わせた複数の金属板材を、その板面と交差する方向にダイスで押圧することで、表面側に凹部が形成されるように変形させつつ接合して金属接合体を製造する冷間圧接方法であって、
    前記金属板材がそのダイス押圧方向に視た投影形状を拡大させるように変形することを規制する規制部を備えた治具を用い、
    前記治具にセットした前記複数の金属板材を前記ダイスで押圧することにより、前記金属接合体を製造することを特徴とする冷間圧接方法。
  2. 前記治具が、前記金属板材が板厚を増加させるように変形することを許容する逃がし手段を備えており、
    前記逃がし手段により、前記ダイスによって形成される前記凹部の容積増加に伴い、前記金属板材の板厚を増加させることを特徴とする請求項1記載の冷間圧接方法。
  3. 前記ダイスの押圧に伴う前記金属板材の内部圧力上昇によって前記治具が変形し得るようにすることによって、前記逃がし手段が構成されており、
    前記治具の変形によって前記金属板材の板厚を増加させることを特徴とする請求項2記載の冷間圧接方法。
  4. 前記金属板材がダイス押圧方向と同方向へ膨らむように変形することを許容する逃がし空間を前記治具に設けることによって、前記逃がし手段が構成されており、
    前記ダイスの押圧により、前記金属板材の一部を前記逃がし空間内に逃がすように変形させることを特徴とする請求項2記載の冷間圧接方法。
  5. 硬度が異なる2枚の前記金属板材のうち、硬度が高い方の金属板材を前記ダイスで押圧される表面側に配置することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の冷間圧接方法。
  6. 前記端子金具と前記バスバーが前記凹部の周囲において前記ダイスの押圧方向とは反対側に反り返るように変形することを規制する規制部を備えた治具を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の冷間圧接方法。
  7. 重ね合わせた複数の金属板材を、その板面と交差する方向にダイスで押圧することで、表面側に凹部が形成されるように変形させつつ接合して金属接合体を製造するための冷間圧接装置であって、
    前記金属板材がそのダイス押圧方向に視た投影形状を拡大させるように変形することを規制する規制部を有する治具を備えており、
    前記治具にセットした前記複数の金属板材を前記ダイスで押圧することにより、前記金属接合体を製造する構成としたことを特徴とする冷間圧接装置。
  8. 前記治具が、前記金属板材が板厚を増加させるように変形することを許容する逃がし手段を備えており、
    前記逃がし手段により、前記ダイスによって形成される前記凹部の容積増加に伴い、前記金属板材の板厚を増加させる構成としたことを特徴とする請求項7記載の冷間圧接装置。
  9. 前記ダイスの押圧に伴う前記金属板材の内部圧力上昇によって前記治具が変形し得るようにすることによって、前記逃がし手段が構成されており、
    前記治具の変形によって前記金属板材の板厚を増加させることを特徴とする請求項8記載の冷間圧接装置。
  10. 前記金属板材がダイス押圧方向と同方向へ膨らむように変形することを許容する逃がし空間を前記治具に設けることによって、前記逃がし手段が構成されており、
    前記ダイスの押圧により、前記金属板材の一部を前記逃がし空間内に逃がすように変形させることを特徴とする請求項8記載の冷間圧接装置。
  11. 前記治具のキャビティ内に前記金属板材をセットした状態において、前記逃がし空間における前記金属板材との対向面は、前記キャビティの内面のうち前記金属板材の板面に対して当接する領域の端部から、前記金属板材の板面に沿った方向について前記ダイス押圧方向に傾斜して連なっていることを特徴とする請求項10記載の冷間圧接装置。
  12. 前記ダイスの外周面が、前記金属板材に対する押圧方向に向かって縮径するテーパ状をなしていることを特徴とする請求項7ないし請求項11のいずれかに記載の冷間圧接装置。
  13. 前記ダイスにおける前記金属板材との対向面が、押圧方向と略直角な平坦な押圧面とされており、
    前記ダイスの外周面と前記押圧面とが弧状面を介して連なっていることを特徴とする請求項7ないし請求項12のいずれかに記載の冷間圧接装置。
  14. 前記ダイスの表面が鏡面加工されていることを特徴とする請求項7ないし請求項13のいずれかに記載の冷間圧接装置。
  15. 前記治具における前記金属板材との接触面が鏡面加工されていることを特徴とする請求項7ないし請求項14のいずれかに記載の冷間圧接装置。
  16. 前記治具が、前記端子金具と前記バスバーが前記凹部の周囲において前記ダイスの押圧方向とは反対側に反り返るように変形することを規制する規制部を備えていることを特徴とする請求項7ないし請求項15のいずれかに記載の冷間圧接装置。
  17. 重ね合わせた複数の金属板材を、その板面と交差する方向にダイスで押圧し、表面側に凹部が形成されるように変形させつつ接合することによって製造される金属接合体であって、
    前記金属板材がそのダイス押圧方向に視た投影形状を拡大させるように変形することを規制する規制部を備えた治具を用い、
    前記治具にセットした前記複数の金属板材を前記ダイスで押圧することにより製造されたことを特徴とする金属接合体。
  18. 硬度が異なる2枚の前記金属板材のうち、硬度が高い方の金属板材を前記ダイスで押圧される表面側に配置したことを特徴とする請求項17記載の金属接合体。
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