JP4533036B2 - 圧延方向から45°方向の磁気特性が優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

圧延方向から45°方向の磁気特性が優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、モーターやトランス用の鉄芯材料として用いられる、鉄損および磁束密度ともに優れ、磁気特性の板面内平均が優れるばかりでなく、特に圧延方向から45°方向の磁気特性が優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関するものである。
無方向性電磁鋼板は、重電機器、家電用など各種モーター、変圧器、安定器等の鉄芯材料として広く用いられている。一般的にはエネルギー節減の観点から低鉄損化が、また、電気機器の小型化の観点から一層の高磁束密度化が要求されており、これまでに鉄損や磁束密度の改善を目的とした多くの技術が開示され、成分の最適化、特殊元素の添加、熱延板焼鈍の付与、仕上焼鈍の高温化などが実用化されている。
一方、特に回転機に用いられる場合には回転の滑らかさ、モーター効率、モーター部材として組み込まれる際の応力の影響等の観点から鋼板面内の磁気特性の異方性が小さい鋼板の開発が強く要望されているが、この点での技術開発は十分とは言えない面がある。と、言うのは、無方向性電磁鋼板の磁気特性は一般に鋼板の圧延方向(コイル長手方向、L方向)およびその垂直方向(コイル幅方向、C方向)の平均値で評価されることが多いためである。
L方向とC方向の特性を用いる理由は一つには鋼板の板面内異方性を考慮するためではあるが、鋼板の特性はこの二方向に比べ圧延方向と45°の方向(コイル斜め方向、D方向)の特性値が特異で、他の方向に比べ著しく劣ったものになる場合が多い。また、磁気特性の板面内平均値としてリングと呼ばれる円状に切り抜いた試験片で鋼板の磁気特性が評価される場合があるが、この評価においてはモーターとして使用された場合の回転の滑らかさや、部材として受ける応力の影響を見積もることができないため、異方性を含めた評価には不適当で、この特性が高くても板面内の異方性が大きくて実用上の不都合を生じることが指摘されている。
厳密にはコイル圧延方向から22.5°や67.5°方向の特性も考慮される場合があるが、一般的にはこれらの方位の特性がL、CまたはD方向と比べ大きな差を示すことは少なく、L,D,C方向の評価がほぼ必要十分な条件と考えられ、面内異方性も含めた鋼板の評価には従来のL、C方向に加え特にD方向の特性を考慮することが必須となっており、特にD方向の特性が高い材料の開発が望まれている。
このような面内異方性は主として鋼板の結晶方位の異方性、集合組織に起因するものであることはよく知られている。このため鋼板の集合組織制御を行う試みが多くなされてきた。基本的には結晶の方位を板面内の各方向に対してランダムとなるように配向させる努力がなされてきた。
特に、板面内の異方性を小さくするには、結晶方位として{110}方位に集積させるよりも{100}方位への集積を高めることが有利になることはよく知られており、このための技術開発が行われている。特に、熱間圧延温度を低くし、変態点を有する材料ではAr3温度以下の熱間圧延を行うことで{100}方位への集積が高まる点に注目した開発が多くなされている。
例えば、特許文献1は、α域熱延による歪の蓄積を利用して冷延による歪と合算することで非常に高い冷延率に相当する結晶回転を起こさせ{100}方位を発達させる技術が開示されている。しかし、この技術では有効な効果を得るための熱延温度が狭い範囲に限定されるため、熱延が困難となるばかりでなく、Si、Alといった電磁鋼板において欠くことができない重要な元素の含有量が高い材料では効果が消失してしまい用途が限定され実用化に支障がある。さらには、変態点を有しないSi、Alが高い非変態鋼、一般的な高級電磁鋼板への適用はリジングが発生してしまう問題点も指摘されている。またこの技術では板面内平均特性はそれなりに向上するものの板面内異方性の低減、特にD方向の特性の改善は不十分である。
特許文献2は、熱延で大きな歪を付与することで熱延板の集合組織を改善し、結果として冷延・焼鈍後の磁気特性の改善を図るものであるが、熱延で大きな歪を付与するための圧延能力に関する設備的な制約や面内異方性の改善効果は小さく実用上のメリットも限られたものであることが実用化の障害となっている。
特許文献3は、熱延板厚を1mm以下にすることでの{100}方位への集積技術が開示されているが特許文献3と同様に{100}方位を消失させてしまう熱延での過剰な歪、特に鋼板表層での剪断変形に起因する歪を回避するため熱延での高潤滑が必要で、極薄熱延と相俟った熱延コスト、酸洗コストの大幅な上昇がネックとなり実用化されていない。
特許文献4は、鋼板の集合組織を精緻に制御することで磁気特性の改善を図るものであるが面内異方性が大きくD方向特性が低位である{100}<001>方位および{110}<001>方位への集積を図るものであり、本発明が目的とする全周特性の向上に加えたD方向特性の向上および面内異方性の低減は望めない。
特開平2−104619号公報 特開平11−80834号公報 特開平11−189850号公報 特開2000−104144号公報
本発明はこのような状況に鑑みなされたもので、特に特許文献1〜3等に開示された従来技術で考慮されている熱延温度制御の効果、および特許文献3および特許文献4等に開示された従来技術で考慮されている熱延パススケジュール制御の効果を見つめなおし、さらに発展させることで、鋳造工程の生産性を阻害する熱延スラブの極薄化、熱延工程の生産性を阻害する潤滑熱延や、酸洗工程の生産性をも阻害する極薄熱延等を行うことなく、高Si、Al鋼を含めた通常の電磁鋼板すべてに適用可能な技術を提供するもので、板面内平均の特性としては優れた磁気特性を持ちながら、従来の技術では達し得なかった極めて良好なD方向の磁気特性を達成することで特徴的な磁気特性の板面内異方性を有する無方向性電磁鋼板を製造する方法を安定して提供するものである。
本発明者らは、磁気特性の板面内異方性が小さい無方向性電磁鋼板の製造方法を見出すべく最適製造条件(特に熱延条件)について検討を行い、低温大圧下熱延技術を適用することによる磁気特性の改善には特に熱延時の剪断変形が重要な役割を有しており、特に熱延板表層での剪断変形が原因となり磁気特性の板面内平均特性が大幅に向上するだけでなく、特にD方向の磁気特性が顕著に改善されることに加え、特に従来、低温大圧下熱延技術において一つの壁となっていた高Si、Al鋼に適用しても非常に好ましい効果を得られるようになり、非変態鋼においてもリジング等の欠陥を抑制できることを知見し、この熱延板表層での剪断変形およびそれを付与する際の条件を明確にして本発明を完成したものである。
特に面内異方性やD方向を含めた全周での特性について従来のの技術開発では単に{100}方位への集積を課題にしているため向上効果が不十分であった。具体的には、従来技術のように{100}<011>や{100}<001>方位への集積を目的としたのではより好ましい特性を得ることは困難で、{411}<148>さらにはこの近傍方位として{100}<012>、技術的には、圧延方向が<011>方向となっている、いわゆるα−fiber方位をさらに板面内で20°程度回転させた方位(α−fiber±20°方位)への集積を利用することが良好な特性を従来より簡易に得ることができ工業的な効果が大きいことを知見して本発明がなされた。
本発明は、熱延温度を単に低くして低温で大圧下を付与するだけでなく、各パスで付与される歪量、圧延温度および圧延後の再結晶が起こりうる高温域での保持時間を考慮して最適化し、特性に十分な効果が得られるような熱延組織を形成させることに特徴があり、要約すれば次の3点が特徴的事項である。
1)質量%で、C:0.040%以下、Si:0.05〜3.5%、Mn:3.0%以下、Al:3.5%以下、S:0.015%以下、P:0.25%以下、N:0.040%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼板で、特に鋼板表層部での{411}<148>、{100}<012>、{100}<011>、{100}<001>、{411}<011>方位の集積強度を特定範囲に限定する。
2)熱延板時点で表層部に未再結晶組織を残存させ、この未再結晶組織が残存したまま冷間圧延を行う。
3)熱間圧延における850℃以下の温度域での圧延において圧下による累積歪と各パス出側温度さらに圧延後の高温保持時間、冷却条件等の関係を制御する。
(1)質量%で、C:0.040%以下、Si:0.05〜4.0%、Mn:3.0%以下、Al:3.5%以下、S:0.055%以下、P:0.25%以下、N:0.040%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる無方向性電磁鋼板であって、({411}<148>方位の集積強度)/({411}<011>方位の集積強度)≧4.0、かつ({411}<148>方位の集積強度)≧4.0、製品板の表層1/4位置またはそれより表層側の位置での{411}<148>方位の集積強度が鋼板板厚中心での集積強度の2倍以上を満たし、製品板の表層1/4を取り除き板厚中心層1/2厚さで測定すると圧延方向から45°方向のB50の値B45が0.02T以上低下することを特徴とする無方向性電磁鋼板。
(2)(1)記載の無方向性電磁鋼板において、({100}<012>方位の集積強度)/({100}<011>方位の集積強度)≧2.0、かつ({100}<012>方位の集積強度)≧2.0を満たすことを特徴とする無方向性電磁鋼板。
(3)(1)または(2)記載の無方向性電磁鋼板において、({100}<012>方位の集積強度)/({100}<001>方位の集積強度)≧2.0、かつ({100}<012>方位の集積強度)≧2.0を満たすことを特徴とする無方向性電磁鋼板。
(4)(1)〜(3)のいずれかの項に記載の無方向性電磁鋼板において、({411}<148>方位の集積強度)>({100}<012>方位の集積強度)>({100}<011>方位の集積強度)>({411}<011>方位の集積強度)、かつ({411}<148>方位の集積強度)>2.0を満たすことを特徴とする無方向性電磁鋼板。
(5)(1)〜(4)のいずれかの項に記載の無方向性電磁鋼板において、(<111>//ND方位の平均集積強度)≦2.0を満たすことを特徴とする無方向性電磁鋼板。
(6)(1)〜(5)のいずれかの項に記載の無方向性電磁鋼板において、製品板の表層1/4またはそれより表層側の部位において各集積強度の条件を満たすことを特徴とする無方向性電磁鋼板。
(7)質量%で、C:0.040%以下、Si:0.05〜4.0%、Mn:3.0%以下、Al:3.5%以下、S:0.055%以下、P:0.25%以下、N:0.040%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる溶鋼を鋳造で厚さ50mm以上の鋼片に凝固させ、熱間圧延工程において500℃以上850℃以下の温度域で圧延が行われ、前記熱間圧延における850℃以下の温度域での圧延において圧下による累積歪(対数歪)Hと各パス出側温度T(℃)の関係が
T<850−H×10
を満たして行われ、前記熱間圧延の最終パス後の水冷時の冷却速度を10℃/s以上とし700℃以下まで冷却し、熱延板で表層1/4領域に未再結晶組織を残存させ、さらに酸洗後、冷延直前の熱延板時点で表層1/4領域の再結晶率が90%以下であり、前記未再結晶組織を残存したまま圧下率50%以上の冷間圧延を行うことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
(8)(7)に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法において、熱間圧延における850℃以下の温度域での圧延において圧下による累積歪(対数歪)Hと各パス出側温度T(℃)および、最終パスを除く圧延パスにおいては圧延後次の圧延パス開始までの時間t(秒)または最終パスの場合は最終パス圧延後水冷開始までの時間t(秒)の関係が
T<850−H×10−t×10
を満たして行われることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
(9)7)又は(8)に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法において、熱間圧延の最終パス後、水冷開始までの時間を2秒以下とすることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
(10)(7)〜()のいずれかの項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法において、熱間圧延の最終パス後の水冷後、500℃以上に昇温することなく冷延し、焼鈍することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、全周平均特性、特に圧延方向から45°方向の磁気特性が優れ面内異方性が小さい無方向性電磁鋼板が製造できる。
以下に本発明の詳細をその限定理由とともに説明する。含有量はすべて質量%である。
Cは、本発明のように熱間圧延温度が低い材料では特に結晶方位を好ましく制御し磁束密度を向上させる効果が強く現れるので通常の無方向性電磁鋼板より高めに制御した特性向上が期待できる。また、固溶Cとして残存するCは単なる材料の高強度化効果ばかりでなくクリープ変形を抑制することで高回転モーター等で問題となるローターの耐変形性を向上させる効果も有するが、過度なC含有は磁気特性を劣化させるので0.040%以下とする。好ましくは0.030〜0.0001%、さらに好ましくは0.020〜0.0005%、さらに好ましくは0.010〜0.0010%、さらに好ましくは0.008〜0.0015%である。
Siは、鋼板の電気抵抗を高め鉄損を低減することがよく知られており、電磁鋼板では当然のごとく添加される元素である。従来の熱延低温大圧下を適用した技術ではSi含有量の上限が非常に低く抑えられていたが本発明における最適化された熱延条件を適用すればこの制限は無用となり、現状の一般的なSi含有量のすべての電磁鋼板への適用が可能となる。磁気特性と通板性の兼ね合いから0.05〜3.5%とする。0.05%未満では良好な磁気特性が得られず、3.5%を超えると脆化のため製造工程での通板性が顕著に劣化する。好ましくは0.3〜3.2%、さらに好ましくは0.5〜3.0%、さらに好ましくは0.8〜2.5%である。
Mnは、Sと反応し硫化物を形成するため本発明では重要な元素である。通常Mnが中途半端に少ない場合には熱間圧延中に微細なMnSが析出し鉄損および磁束密度を著しく劣化させる場合がある。しかし、本発明においては熱間圧延条件を特定の範囲で制御することで、この悪影響を回避する効果も現れることから、Mnの下限は特に設けない。一方、Mnは固溶Mnとして鋼板の電気抵抗を上昇させ鉄損を低減させる効果を有するが、あまりに多量に含有させると材料本来の飽和磁束密度を低下させてしまうため上限を3.0%とする。
Alは、Siと同様、鋼板の電気抵抗を高め鉄損を低減する目的で積極的に添加される。AlもSiと同様に従来技術では上限が低い範囲に制限されていたが、本発明ではこの点での制限は不要である。Alが高くなると鋳造性が顕著に劣化するため3.5%以下とする。下限は特に設ける必要はなく、Al=0%でもよいが、0.01〜0.05%程度の量では微細なAlNを形成し磁気特性、特に鉄損を劣化させる場合があるので注意が必要である。好ましくは0.005%以下および0.1〜3.0%、さらに好ましくは0.003%以下および0.3〜2.5%、さらに好ましくは0.002%以下および0.5〜2.0%、さらに好ましくは0.001%以下および0.7〜1.5%である。
Sは硫化物量に直接関係する。含有S量が多いと熱延条件を適当に制御したとしても析出量が多くなり粒成長性を阻害し特に鉄損を劣化させるため、上限は0.015%とする。なお、鋼板の磁気特性をより高めるためには、0.005%以下とすることが好しく、さらに好ましくは0.003%以下、さらに好ましくは0.002%以下、さらに好ましくは0.001%以下であり、0%でもよい。
Pは、磁気特性にとって好ましくない比較的低温で析出するCuまたはMnの硫化物の析出温度を上昇させる効果を有するので積極的に添加することが可能である。一方、鋼板の硬度を高め、打ち抜き性に強く影響するので、所望の打ち抜き硬度によりその添加量は制限される。また、過剰に含有すると冷延性などが顕著に劣化し鋼板の製造に支障をきたす場合があるので上限を0.25%とする。
Nは、Alを含有する鋼においては含有量が多いと窒化物が多くなり結晶粒成長性を阻害するため0.004%程度以下に低く制御されている。しかし、Al含有量を0.005%程度以下に抑えればこの悪影響は全く考慮する必要はない。むしろCと同様に鋼中に固溶することで結晶方位を好ましくする効果やモーターコアの耐変形性を高める効果があるため積極的に添加することも可能である。ただし、過剰な添加は磁気時効性の問題や溶鋼からの凝固時に生成するミクロボイドに起因する鋼板欠陥が多発するため上限を0.040%とする。生産性を考慮し好ましくは0.020%以下、さらに好ましくは0.015%以下とする。結晶方位制御の観点からは0.0002%以上とすることが好ましく、さらに好ましくは0.0005%以上、さらに好ましくは0.001%以上、さらに好ましくは0.0015%以上、さらに好ましくは0.003%以上、さらに好ましくは0.005%以上である。
この他にNi,Cr,Cu,Ca,Mg,REM,Sn,Sb、Ti,Nb,V,Mo等、従来の無方向性電磁鋼板において添加が検討されている元素を想定されている量程度まで添加することは本発明にとって何ら影響を及ぼすものではない。また、不可避的に含有されたこれら元素、さらには他の各種の微量元素が含まれる場合も本発明の効果になんら影響を与えるものではない。言い換えればこれらの元素の影響にあえて言及するまでもなく、本発明で開示している製造工程において何ら問題なく製品を得ることができる。
次に本発明による無方向性電磁鋼板の集合組織の特徴を説明する。
本発明の特徴の記述において「方位の集積強度」という表現を用いるが、これは通常、結晶材料の集合組織を表示する際に用いられる、「ランダム強度に対する比」を意味するものであり、通常、X線、電子線や中性子線を用いて測定される当業者においては普通に用いられるものである。
本発明による無方向性電磁鋼板の特徴は鋼板の表層部の集合組織を制御していることである。従来の鋼板と比較し特に表層部でα−fiber±20°の方位への集積が高く、発明鋼においてもこの方位への集積は中心部よりも表層部で顕著に高くなっている。α−fiber±20°方位とは前述のように圧延方向が<011>方向となっている、いわゆるα−fiber方位をさらに板面内で20°程度回転させた方位のことであり、本発明で重要な方位である{411}<148>方位や{100}<012>方位はα−fiber±20°方位上の方位である。
まず、この方位への集積の必要性、効果について説明する。従来から無方向性電磁鋼板において磁気特性に好ましい方位は{100}方位であることが知られている。このために従来の開発の一つの目標として{100}方位への集積強化が挙げられ、{100}方位中の代表的な方位である{100}<001>や{100}<011>への集積強化が図られてきた。しかし、これらの方位への集積は現在主流であり、製造コスト等も含め将来も主流であるであろう工業的なプロセス、鋳造−熱延(−熱延板焼鈍)−冷延−焼鈍というプロセスではそれほど高くならず{100}方位を顕著に強化した製品は一般的には実用化されていない。これに対し本発明で特徴とするα−fiber±20°方位は本発明における製造方法によれば比較的簡単に集積度を高めることができる。
さらに本発明の特徴は鋼板の表層部でこの方位への集積が高くなっていることに特徴がある。特に特殊な条件ではない製造範囲においてはα−fiber±20°方位の中でも{411}<148>近傍がピーク強度となる。もちろんこれはこれ以外の方位がピークとなったものを除外するものではなく、α−fiber±20°方位が表層部で高くなっていることが本発明鋼の明確な特徴である。本発明では代表的に{411}<012>方位により本発明鋼を特徴付け、{411}<148>方位の集積強度≧4.0を制限条件として規定する。好ましくは6.0以上、さらに好ましくは8.0以上、好ましい成分や熱延条件では10.0以上にもなり、非常に好ましい特性が得られる。またα−fiber上の方位である{411}<011>方位の集積強度との関係で({411}<148>方位の集積強度)/({411}<011>方位の集積強度)≧2.0とする。
従来から通常の工業的プロセスではα−fiberへの集積は比較的簡単で{411}<001>方位も少なからず存在する方位であるが、本発明では通常発達しない{411}<148>方位をその数倍以上に集積させ、むしろ通常存在する{411}<001>方位の発達を抑制したものである。この点から本発明で制御する{411}<148>方位への集積の高さは非常に特異なものと言える。好ましくは3.0以上、さらに好ましくは4.0以上、さらに成分や製造条件などが好ましい場合には、{411}<011>方位の集積強度を6.0以上に強く集積させることも可能である。
ここで興味を引くのは本発明において特徴的なα−fiber±20°方位が顕著に増加した場合、そこからの広がり、つまり副方位として{411}<011>方位が増加するのではなく、むしろ{411}<011>方位の減少を伴って{411}<148>方位が増加する傾向があることである。むろんこれは絶対的なものではないが、この点から{411}方位に関する上述の比はできるだけ大きいほうが好ましい特性を示すようになる。
もう一つの代表方位として、({100}<012>方位の集積強度)≧2.0を制限条件として規定する。好ましくは3.0以上、好ましい成分や熱延条件では4.0以上にもなり、非常に好ましい特性が得られる。また従来制御指針とされていた{100}<011>方位の集積強度との関係で、({100}<012>方位の集積強度)/({100}<011>方位の集積強度)≧1.1とする。好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2.0以上である。同様に従来制御指針とされていた{100}<001>方位の集積強度との関係で、({100}<012>方位の集積強度)/({100}<001>方位の集積強度)≧1.1とする。従来から通常の工業的プロセスでは{100}<001>方位への集積は非常に困難であり、このため本発明で制御する{100}<012>方位への集積の高さがより明確になる。好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは2.0倍以上、さらに成分や製造条件などが好ましい場合には{100}<001>の3.0倍以上に強く集積させることも可能である。
勿論磁性にとって理想的な方位である{100}<011>方位や{100}<001>方位が本発明で特徴的なα−fiber±20°方位と同時に増加した場合、上述の比は小さくなるものであるから、この比を大きくするため磁性にとって理想的な方位である{100}<011>方位や{100}<001>方位をあえて抑制する必要がないことは言うまでもない。むしろ前述の{100}方位の場合と傾向が異なり{100}方位に関しては、本発明で特徴的なα−fiber±20°方位が顕著に増加した場合、そこからの広がり、つまり副方位として{100}<011>方位や{100}<001>方位も増加するものであることから、上述の比の大小を議論することは本発明の真意ではなく、1.1以上であれば発明の効果は十分に得られるものである。
上述のα−fiber周辺の方位への集積の強さを順位付けるとすると、({411}<148>方位の集積強度)({100}<012>方位の集積強度)({100}<011>方位の集積強度)({411}<011>方位の集積強度)のようになる。上述のように本発明鋼においてはα−fiber±20°方位上のピークは通常{411}近傍であるが、{100}〜{411}、さらには{411}〜{211}程度の変化が起きる。好ましいのは{100}に近い方位であり、{211}の方へずれると磁気特性の異方性が大きくなり好ましくない。
また、本発明鋼ではα−fiber±20°方位への集積を高めているため他の方位への集積が低下している。α−fiber方位そのものが低下することが集合組織上の一つの特徴であるが、発明の効果においては磁気特性にとって好ましくない<111>//ND方位の集積強度が低下していることに特徴があり、(<111>//ND方位の平均集積強度)<2.0を満たすことを特徴とする。好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.7以下である。集合組織的には以上のような範囲を外れると本発明の効果が小さくなる。
別の面からの材料的な特徴は本発明鋼では上述の集合組織制御が主として鋼板の表層部において行われていることである。本発明鋼は製品板の表層1/4またはそれより表層側の部位において上述の各集積強度の条件を満たすものである。また、特に表層部の集合組織を制御しているため中心部の集合組織とは少なからざる差異を生じ、これが本発明鋼の特徴でもある。つまり、製品板の表層1/4位置またはそれより表層側の位置での{411}<148>方位の集積強度が鋼板板厚中心での集積強度の2倍以上となるものである。好ましくは3倍、さらに好ましくは4倍である。
ただし、本発明において主として表層部に対して行っている集合組織制御を特に熱延工程で行う場合には、圧延という変形方法であるためその影響は少なからず中心層にも及ぶことがある。このため本発明方法の非常に好ましい条件においては鋼板中心部においてさえも表層部と同等の集合組織制御の効果が現れ表層と中心層の集合組織の差が小さくなる場合もあるので注意を要する。
このような集合組織制御を熱延での比較的低い温度域での圧延により行う場合には、通常の鋼板のうち、熱延の全圧延パスが850℃以上で行われた鋼板との比較において、製品板の表層1/4位置またはそれより表層側の位置での{411}<148>方位の集積強度が2倍以上となっていることが特徴になる。好ましくは3倍、製造条件が非常に好ましいものであれば4倍以上にも到達するものである。
このような特異な集合組織を形成させることで本発明鋼は従来鋼と比較して特にD方向の磁気特性が顕著に向上し面内異方性も非常に小さなものとなるが、その他にこのような特異な集合組織を形成する結晶回転を鋼板表層で起こすことはリジングを抑制するという重要な効果を発揮する。このメカニズムは明確ではないが、以下のように考えられる。すなわち、本発明における特異な集合組織形成は鋼板表層での剪断変形によるものと思われるが、鋼板表層は圧延時に歪が中心層よりも集積しやすいことも加わり、表層部は非常に多重なすべり変形が起き複雑な結晶回転が起きるものと思われる。このためリジングの原因となる類似結晶方位の空間的な偏在、コロニーと呼ばれるものが破壊されるものと思われる。このリジング抑制効果は特に非変態鋼である高Si系材料では非常に好ましいもので、従来技術では実現できなかったもので、{411}<148>方位に代表されるα−fiber±20°方位への集積を高めた本発明鋼に特徴的な効果である。
本発明による無方向性電磁鋼板は、上述のように特に表層部の特性を改善することで鋼板全体の特性を改善するものであるため、例えば鋼板の表層部を除去すると発明の効果が小さくなる。これにより発明鋼を規定し、製品板の表層1/4を取り除き板厚中心層1/2厚さで測定するとB45が0.02T以上低下するものを本発明鋼の一つの特徴とする。ただし、上述のように発明の特徴的な集合組織制御が板厚中心まで相当に及んでいると表層部除去による特性劣化代は小さくなるので注意が必要である。
上述の集合組織は通常、X線で測定する。この場合、通常70μm程度の厚さのサンプルを製品から取り出すため製品厚さが薄い場合、例えば0.12mm程度の厚さの板からこのようなサンプルを取り出すと最表層から中心層までの情報を含んだものとなってしまう。このような場合には板厚方向の集合組織の変化が明確になるようにサンプル厚さを通常より薄くすることや厚さ方向の情報が混在し難い電子線、たとえばEBSPなどによる方法を用いるべきであることは注意を要する。
上述のような集合組織制御を行う一つの方法としては熱延板において特に表層部に圧延組織を残存させたまま冷延し、焼鈍を行うことが有効である。未再結晶組織は少なくとも表層1/4の領域内に残存している必要がある。言い換えれば板厚中心層に未再結晶組織が残存していても表層1/4の領域が完全再結晶組織である場合は本発明の効果のほとんどが消失してしまう。発明の効果をより顕著に得るには最表層に近い部位に未再結晶組織が多く残存していることが好ましく、表層1/8領域が完全に未再結晶組織であれば目的とする特性は非常に良好となる。また発明の効果は表層1/4領域が完全未再結晶であれば非常に好ましいが、完全に未再結晶でなくとも再結晶率が90%以下であれば有効な効果が得られる。好ましくは70%以下、さらに好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下、完全未再結晶が理想的であることは言うまでもない。
次に本発明の重要な制限要因である製造条件について説明する。
本発明の無方向性電磁鋼板は、上述した成分からなる溶鋼を鋳造して鋼片とし、熱間圧延し、酸洗し、冷間圧延し、再結晶焼鈍することで得ることが可能である。この場合、工程の概略は通常の工程と大きく異なるものではないが、熱延条件は通常の条件とは大きく異なる。
特に、熱延で圧延による歪が付与される温度域と付与される歪の量、歪を付与した後の再結晶が起きる可能性がある温度域での保持時間が本発明での重要な要件であって、これを発明範囲内に制御することで本発明の効果を的確に得ることができる。
温度に関しては、熱間での圧延の大きな部分が、850℃以下の温度範囲で行われる必要がある。この温度域を以下では低温域と呼ぶ。温度範囲が低すぎると圧延が困難となるばかりでなく発明の効果も小さくなり、高すぎると本発明の効果が消失する。圧延温度の下限は熱延工程での圧延により形成される加工組織の再結晶進行を抑制するには低いほうが好ましいが、圧延性の観点から温度範囲の下限は好ましくは500℃、さらに好ましくは550℃、さらに好ましくは600℃、さらに好ましくは650℃である。同様に発明の効果の観点から温度範囲の上限は好ましくは820℃、さらに好ましくは800℃、さらに好ましくは780℃である。750℃以下であれば本発明の効果を非常に顕著に得ることが可能となる。この温度域で圧延を行えば極端な低速、軽圧下パススケジュールでない限り加工発熱により好ましい温度域を保つことも可能となる。このような低温域での圧延条件は圧延温度と付与する歪量に関し、低温域での圧下による累積歪(対数歪)Hと各パス出側温度T(℃)の関係が、
T<850−H×10
を満たすことが好ましい。これはTが850℃以上では熱延中に再結晶が進行してしまい好ましい未再結晶組織を得ることが困難になることに対応している。また、圧延により付与する歪が大きいほど再結晶の進行が促進されるためHが大きいほどTを低くして再結晶を抑制することが好ましいことを示している。
さらに熱延中の再結晶の進行は圧延後の保持時間にも依存することから、熱間圧延における最終パスを除く850℃以下の温度域での圧延において圧下による累積歪(対数歪)Hと各パス出側温度T(℃)および圧延後の時間t(秒)の関係が
T<850−H×10−t×10
を満たして行われることが好ましい。ここでtに関しては、最終パスを除く圧延パスにおいては圧延後次の圧延パス開始までの時間、または最終パスの場合は最終パス圧延後水冷開始までの時間である。これは圧延後の時間の経過とともに再結晶が進行してしまうためで、あるパスで圧延後、次の圧延または水冷開始までに再結晶がおき得る温度域での保持時間が長くなる場合には再結晶を抑制するためTを低くする必要があることを示している。または言うまでもないことではあるが、言い換えれば再結晶を抑制するためtを短くする必要性をも同時に示している。
このtに関しては現状設備を使用する場合、最終パスを除くとロールスタンド間隔と圧延速度で一義的に決まってしまうものであり、ロールスタンド間隔の変更は現実的でなく、また圧延速度の変更は生産性にも影響するため制御因子としては制約が大きい。一方で最終パスの場合には水冷開始までの時間であり、条件によっては水冷ノズルの新設等の設備的な対策も必要となるが、一般的には大幅な制御が行われている因子となる。本発明では最終パス後水冷開始までの時間を2秒以下とすることで効果が顕著になる。好ましくは1.5秒以下、さらに好ましくは1.0秒以下、さらに好ましくは0.5秒以下、さらに好ましくは0.2秒以下である。
また、熱延板の再結晶進行を抑制するため最終パス後の水冷時の冷却速度を高めることも有効である。好ましくは10℃/s以上、さらに好ましくは20℃/s以上、さらに好ましくは40℃/s以上とする。水冷後の温度はそのままコイルの巻取温度となり、その近傍の温度域で比較的長時間保持されることになるので再結晶抑制のため低くすることが有効である。成分や鋼板に蓄積された歪量等にもよるが、700℃以下とする。コイル温度は巻取後低下するとは言え、冷却速度は非常に遅く、巻取温度近傍での保持時間は長い場合、数時間以上にも及ぶ。このため純度が高い材料では巻取温度が700℃に近いと再結晶が十分に進行してしまうことがある。このため好ましくは650℃以下、さらに好ましくは600℃以下、さらに好ましくは550℃以下であり、500℃以下とすればほとんどの場合、再結晶の進行は停止する。
熱延以降の工程としては未再結晶組織が残存したまま冷延が行われる必要があり、一般的に一部の材料で行われる熱延板焼鈍はあえて行う必要はない。通板性の改善など何らかの必要性があって温度を上げる場合には500℃以上に昇温しなければ再結晶が進行し本発明の効果が失われる心配は無用である。冷延、焼鈍は通常と同様に行えばよい。冷間圧延の後は通常の無方向性電磁鋼板と同様の工程で再結晶焼鈍、皮膜形成等が行われる。これらの条件は本発明の効果に関して特に限定されるものではないが、上記の熱延条件を適用した場合、冷延率は50%以上とすることが磁束密度の絶対値の向上、および面内異方性を小さくする観点からは好ましい。冷延率があまりに低いと本発明で特徴的な集合組織の発達が起こり難い場合があり、面内異方性が大きくなる。
本発明の効果が得られるメカニズムは以下のようなものと考えられる。すなわち、熱延時に鋼板表層に付与される剪断変形を主とする変形により結晶回転は通常の圧延で想定されるものとは大きく異なったものとなっている。具体的には一般的に圧延による結晶回転によりα−fiber方位が強く発達すると考えられており、これをそのままさらに冷延してα−fiber方位への集積を高め最終焼鈍を行うと磁性にとって好ましくない{111}方位が強く発達してしまう。そのため一般の電磁鋼板では熱延板組織を再結晶させることにより冷延前の時点でα−fiber方位への集積を和らげ比較的ランダムな方位としておくような工程条件がとられる。
また、熱延時に鋼板表面での剪断変形に起因して発達する特異な変形集合組織は鋼板表面での歪量が中心層より高くなることから通常の製法では熱延中またはコイル巻取後に再結晶してしまい、その存在による最終製品への効果が顧みられることはなかった。これに対し、本発明鋼は意識的に熱延中の鋼板表層に付与される剪断変形による歪を保持し、再結晶を抑制することでこれを蓄積し冷延前の鋼板においてその特異な結晶方位を保持させるものである。
具体的には{311}<233>および{110}<001>近傍に集積した方位である。これを冷延すると、一般的なランダム方位を起点としたものとは異なった結晶回転が起きる。bcc金属では原理的に冷延加工によりα−fiber方位が強く発達するため冷延後の時点では集合組織的な特徴は顕著ではないが、その中には通常の材料にはそれほど強く発達しないα−fiber±20°方位の再結晶核が存在し再結晶後に特異なα−fiber±20°方位が強く発達するという特徴を示すものである。他にもメカニズムは考えられるが、本明細書に記述している鋼板表層に熱延での加工組織が残存したまま冷延を行う方法については上のような機構が強く働いているものと思われる。
なお、本発明の製造方法により仕上焼鈍を経て得られた無方向性電磁鋼板は、その後に歪取焼鈍を行ってもその優れた磁気特性を保持する。
本発明の効果は磁束密度の向上、鉄損の低減や応力感受性も改善する。これらは基本的には本発明における集合組織の改善による効果と考えられる。例えば鉄損は本発明により主としてヒステリシス損が改善し、元の特性値を基準にして磁束密度が3%改善するとヒステリシス損が10%低減する。この値は元の鉄損の絶対値にも依存するが、磁束密度0.05Tの改善により約0.2W/kg低減する効果に相当する。また本発明鋼は特に鋼板表層の特性が改善されるため、鋼板表層部の特性の寄与が大きくなる高周波特性においてより好ましい効果を発揮する。
また、本発明の効果は焼鈍後の歪の導入を抑えてモーターとして使用される、いわゆるフルプロセス無方向電磁鋼板は勿論、焼鈍後にスキンパス圧延を行いモーター等に組み立て後の熱処理工程での歪誘起粒成長現象を用いて特性の改善を行ういわゆるセミプロセス無方向電磁鋼板にも適用可能である。
さらに、磁気特性の更なる向上、強度、耐食性や疲労特性等の部材としての付加機能、また鋳造成や焼鈍通板性、スクラップ使用など製造工程上の生産等を向上させる目的でSn、B、W、Mo、Sb、Cr、Ni、Co等の微量元素を添加または不可避的に混入することは本発明の効果を何ら損なうものではない。これらの元素についてはその存在に応じ公知の技術で知られているような様々な効果を有するものであるがこれらを含有することで本発明の効果は損なわれるものではなく、むしろ相乗効果として好ましい効果を発揮するものである。
また、本発明では材料特性の特徴をD方向が優れるとしているが、厳密には最も良好な特性は45°方向ではなく、これからずれたものになることも考えられる。これは磁気特性が本発明で特徴的なα−fiber±20°方位以外にも様々な方位を有する鋼板内の全ての結晶の影響によるものであることから当然であるが、それによって発明の効果が全く得られなくなったり逆になるようなものではなく影響は小さく、本発明では代表的にD方向特性が優れるとの記述をしているものである。
0.002%C−2.1%Si−0.5%Mn−0.002%S−0.06%P−1.5%Al−0.002%N鋼を溶製し、これを連続鋳造で鋼片となし、熱延時の熱延温度および熱処理により再結晶程度を変えて熱間圧延し、板厚2.2mmの熱延板を得た。熱延板を酸洗した後、0.50mmに冷延し、次いで850℃30秒の連続焼鈍を実施し製品とした。この板より測定用サンプルを切り出し、歪取り焼鈍として750℃2時間の熱処理を行った。
得られたサンプルの集合組織を図1および図2に示した。また、主な製造条件および代表的な方位の集積強度および磁気特性を表1に示す。磁気特性は55mm×55mmの大きさのサンプルでコイルの圧延方向から0°、45°、90°の方向について特性を測定した。磁束密度は通常用いられるB50およびW15/50で評価した。集合組織はサンプルの表層1/8部位および中心部からX線により測定し、三次元ベクトル法で解析した。
表1においてB0、B45、B90はそれぞれ圧延方向から0°、45°、90°方向の磁束密度を表す。またBaveは(B0+2×B45+B90)/4で得られる面内平均値である。熱延板での低温域で圧延しかつ熱延板の再結晶進行を抑制した発明鋼では特に45°方向特性の改善が明確であり、本発明熱延条件材で製造された鋼は顕著な平均特性の向上および45°特性の改善に加え面内異方性も大幅に改善されている。この材料においても中心層の集合組織は磁気特性に好ましくないことがよく知られている{111}方位への集積が非常に強いことから、特性の向上が表層の集合組織によったものであることが明確である。
表2に示す成分の鋼を溶製し、これを表3、表4(表3のつづき)に示す条件で連鋳スラブとなし、さらに熱間圧延、酸洗、冷延、連続焼鈍し製品とし特性評価した。熱延は粗熱延6パス、仕上熱延6パスで行い仕上熱延の6パスについて本発明製造法への適合を評価した。表3においてB0、B45、B90、Baveはそれぞれ表1と同様の値を意味する。鉄損は磁束密度と逆相関を示すことがよく知られており各方向についての表示を省き、{(0°特性)+2×(45°特性)+(90°特性)}/4で得られる面内平均値を示した。基本的に高磁束密度なものほど低鉄損である。この結果から、本発明範囲内にある鋼板は{411}<148>で代表されるα−fiber±20°方位の発達に対応し、特性の板面平均が良好でかつ45°特性が良好なため板面内異方性が極めて小さく良好である。
(a)、(b)は本発明鋼の集合組織を示す図である。 (a)、(b)は比較鋼の集合組織を示す図である。

Claims (10)

  1. 質量%で、C:0.040%以下、Si:0.05〜4.0%、Mn:3.0%以下、Al:3.5%以下、S:0.055%以下、P:0.25%以下、N:0.040%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる無方向性電磁鋼板であって、({411}<148>方位の集積強度)/({411}<011>方位の集積強度)≧4.0、かつ({411}<148>方位の集積強度)≧4.0、製品板の表層1/4位置またはそれより表層側の位置での{411}<148>方位の集積強度が鋼板板厚中心での集積強度の2倍以上を満たし、製品板の表層1/4を取り除き板厚中心層1/2厚さで測定すると圧延方向から45°方向のB50の値B45が0.02T以上低下することを特徴とする無方向性電磁鋼板。
  2. 請求項1記載の無方向性電磁鋼板において、({100}<012>方位の集積強度)/({100}<011>方位の集積強度)≧2.0、かつ({100}<012>方位の集積強度)≧2.0を満たすことを特徴とする無方向性電磁鋼板。
  3. 請求項1または2記載の無方向性電磁鋼板において、({100}<012>方位の集積強度)/({100}<001>方位の集積強度)≧2.0、かつ({100}<012>方位の集積強度)≧2.0を満たすことを特徴とする無方向性電磁鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれかの項に記載の無方向性電磁鋼板において、({411}<148>方位の集積強度)>({100}<012>方位の集積強度)>({100}<011>方位の集積強度)>({411}<011>方位の集積強度)、かつ({411}<148>方位の集積強度)>2.0を満たすことを特徴とする無方向性電磁鋼板。
  5. 請求項1〜4のいずれかの項に記載の無方向性電磁鋼板において、(<111>//ND方位の平均集積強度)≦2.0を満たすことを特徴とする無方向性電磁鋼板。
  6. 請求項1〜5のいずれかの項に記載の無方向性電磁鋼板において、製品板の表層1/4またはそれより表層側の部位において各集積強度の条件を満たすことを特徴とする無方向性電磁鋼板。
  7. 質量%で、C:0.040%以下、Si:0.05〜4.0%、Mn:3.0%以下、Al:3.5%以下、S:0.055%以下、P:0.25%以下、N:0.040%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる溶鋼を鋳造で厚さ50mm以上の鋼片に凝固させ、熱間圧延工程において500℃以上850℃以下の温度域で圧延が行われ、前記熱間圧延における850℃以下の温度域での圧延において圧下による累積歪(対数歪)Hと各パス出側温度T(℃)の関係が
    T<850−H×10
    を満たして行われ、前記熱間圧延の最終パス後の水冷時の冷却速度を10℃/s以上とし700℃以下まで冷却し、熱延板で表層1/4領域に未再結晶組織を残存させ、さらに酸洗後、冷延直前の熱延板時点で表層1/4領域の再結晶率が90%以下であり、前記未再結晶組織を残存したまま圧下率50%以上の冷間圧延を行うことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  8. 請求項7に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法において、熱間圧延における850℃以下の温度域での圧延において圧下による累積歪(対数歪)Hと各パス出側温度T(℃)および、最終パスを除く圧延パスにおいては圧延後次の圧延パス開始までの時間t(秒)または最終パスの場合は最終パス圧延後水冷開始までの時間t(秒)の関係が
    T<850−H×10−t×10
    を満たして行われることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  9. 請求項7又は8に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法において、熱間圧延の最終パス後、水冷開始までの時間を2秒以下とすることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  10. 請求項7〜のいずれかの項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法において、熱間圧延の最終パス後の水冷後、500℃以上に昇温することなく冷延し、焼鈍することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
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