JP4532177B2 - 電子線システム - Google Patents
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Description
本電子線システムは、典型的には、角度測定、電子レンズ歪、スキャン歪等の画像補正をするものであり、典型的には平行投影を行うものである。
本発明の説明に先立ち、基本となる高さ計測の原理について説明する。
図2、図3は、傾斜画像取得の際のホルダの傾斜と、試料ホルダ3(図1参照)の座標系を説明する座標図と斜視図である。試料ホルダ3の座標系において、Y軸が回転軸で、角度θは時計回り方向を+方向としている。
左画像 Lx=(X×cosθ+Z×sinθ)×s ……(1)
Ly=Y
右画像 Rx=(X×cosθ−Z×sinθ)×s ……(2)
Ry=Y
s:分解能(1pixel)
となり、画像と試料の回転角度を考慮してオリエンテーション行列により三次元の座標を求めると、以下のようになる。
X=Lx+Rx ……(3)
Z=Lx−Rx
Y=Ly=Ry
式(3)は図5に示すように、ステレオ画像の撮影方向として、左右画像がZ軸を挟んだ角度を持つ場合のみに有効である。次に角度に依存することなく使える式を導く。図6は、ステレオ画像の撮影方向として、左右画像がZ軸に対して夫々θ1、θ2傾斜している場合を示している。
Z’=((Lx−Rx)/(2×sinθ))×s ……(4)
X’=((Lx+Rx)/(2×cosθ))×s
Y’=Ly=Ry
よって、次式が成立している。
X=X’×cosθ’−Z’×sinθ’ ……(5)
Z=X’×sinθ’+Z’×cosθ’
Y=Y
[原理]
本発明における基本原理は、基準試料としての基準テンプレートの既知の形状データと、電子線測定装置を傾斜させて得られる基準テンプレートのデータから基準テンプレートを撮影したときの傾斜角度θ、倍率、電子光学系に起因するひずみを求め、それら値を記憶させておき、補正した傾斜角度にて試料を計測する際には、あらかじめ基準テンプレートにて算出された傾斜角度、倍率、電子光学系のひずみを利用して画像修正し3D計測を行うものである。
基準テンプレートとしては、形状が既知なものを利用するか、既知でないものを利用する場合は計測して基準テンプレートとする。基準テンプレートとしては、凹凸のあるもの、たとえば図7に示すようなライン&スペースのようなものでよいが、基準テンプレートとして必要な既知データは、図8、図9に示されているような、凹凸の形状、すなわち凹凸間の間隔L(ライン&スペースパターンの場合はピッチ間隔L)や凹凸の高さh、テーパ角φなどである。
そして、本発明の電子線システムの撮影により得られたこの基準テンプレートの画像から、ピッチ間隔L’と側面の間隔d‘(x‘)を求める。
これらを求めると以下の式から、撮影したときの電子線測定装置の傾斜角θ、倍率sを算出することができる。
☆ 計算式:傾斜角、倍率算出
ピッチ間隔L[nm]、テーパ角φ[度]、高さh[nm]がわかっているL/S試料を、倍率S[倍]、傾斜角度θ[度]で撮影した時のsとθを求める。
θ傾斜した場合のピッチ間隔L’[pixel]は、1pixelの大きさをs[nm]として、
L’=L × cosθ / s ……E1
θ傾斜した時の側面の幅d’[pixel]は
d’=l × cos(φ−θ) / s
= (h / sinφ) × cos(φ−θ) /s ……E2
式E1と式E2をsについて解くと、
L× cosθ /L’= (h / sinφ)× cos(φ−θ)/ d’
= (h / sinφ) ×(cosφcosθ + sinφsinθ) / d’
∴θ = tan‐1( Ld’/h L’− (1 / tanφ) ) ……E3
☆ひずみ補正
さらに、電子光学系のひずみ補正パラメータ算出について説明する。
電子光学系のひずみについては、レンズ系の歪曲収差や電子線のスキャン歪、その他電子光学系全体でもつ歪について一括して補正係数を持たせることで補正が可能となる。
たとえば、基準テンプレートを図7のようなライン&スペースとした場合、この基準テンプレートの側面と上面、側面と底面の境界は直線となるので、この部分を直線として近似することにより補正が可能となる。
すなわち、直線は以下の式で近似できる(図19参照)。
xsinα+ycosα=q
電子光学系の歪を考慮した場合上式は、
(x+Δx)sinα+(y+Δy)cosα=q
ここでΔx、Δyはひずみ量である。
上式は、基準テンプレートの側面と底面、側面と上面の境界上のいくつかの点(ひずみのため曲がっている)が「直線上の点である」という条件を示している。
これらの点を補正したときに直線になるように、ひずむモデルを調整する。
電子光学系2を構成する電子レンズの歪曲収差を求める場合は、式(6)によって補正することが可能となる。即ち、式(11)、(12)でレンズ歪を補正したx、y座標をx’、y’とすれば、次式が成立する。
x’=x+Δx ………(6)
y’=y+Δy
ここで、k1、k2を放射方向レンズ歪み係数とすると、次式により行われる。
例えば、求められたレンズ歪係数を利用して、レンズ歪みを補正するようにビームをスキャンすれば、結果として補正した画像を取得することが可能となる。あるいは、レンズ歪をメモリに記憶させ、レンズ歪を補正するようにビームスキャンさせれば、画像におけるレンズ歪補正が可能となる。
以上のように基準テンプレートを傾斜させたい方向に傾斜させ、そのときの実際の傾斜角、倍率、電子光学系の歪を計算によりあらかじめ求めておき記憶させておけば、試料を計測する際の試料もしくはビームを傾斜させたときにそれら値を利用することで正確な三次元形状を求めることができる。測定の際の傾斜角を求め、その傾斜角に応じた各補正係数を演算により求め、補正を施すように構成してもかまわない。
図7は、基準テンプレート9aとして、たとえばライン&スペースのパターンを示しており、図8はライン&スペースパターンのピッチ間隔とその傾斜について、また図9は側面の部分を説明している図である。
たとえば、基準テンプレート9aをたとえば図7のようなライン&スペースのパターンとする。
この基準テンプレートは、基準テンプレートとして販売されている市販のピッチスタンダードのようなものでもよいし、なければ、図7のようなライン&スペースパターンをCD−AFMなどの計測装置で計測してもよい。
この基準テンプレートから、試料のピッチ間隔L、テーパ角φ、高さhの値を市販品であれば利用し、そうでなければこれらデータをあらかじめ計測しておく。
S1000:電子線測定装置の試料もしくはビームの傾斜角を設定し、傾斜させる。
この傾斜角は、あらかじめ計測したい傾斜角についてすべて、あるいは代表的なものについて行う。
S1010:基準テンプレートを電子線測定装置により撮影する
S1020:撮影された基準テンプレートのピッチ間隔L‘と側面の幅d’(x’)を画像処理により算出する。
画像上のピッチ間隔を精度良く算出し倍率・角度の補正を行うために、ライン&スペースのエッジをサブピクセル精度で求める。方法は、取得した基準テンプレート(原器)の画像に対して直線検出オペレータを施し、エッジ点を検出する。
直線検出オペレータは画像処理でよく利用されている3×3のフィルタ型のものなどなんでもよい。
求まった全エッジ点を基に、エッジの連結性を利用して、閾値より連結したエッジ郡を基準テンプレートのライン(直線)として認識する。図21は実際にエッジ検出した例である。
S1030:撮影時の傾斜角と倍率、電子光学系に起因するひずみを算出する
これは先に原理で説明した式を用いて計算する
S1040:これら算出された傾斜角度、倍率、ひずみのパラメータを補正係数記憶部に記憶する
S1050:設定した傾斜角度につきすべて行っていれば終了、そうでなければS1000へ戻り繰り返し傾斜角度を変えて各パラメータを算出させる。
(1)試料傾斜部5の傾斜量の校正データ。
(2)電子光学系2の照射電子線7に対する照射方向の校正データ。
(3)電子光学系2の倍率に関する校正データ。
(4)電子光学系2の歪み補正に関する校正データ。
(1)試料傾斜部5の傾斜量が校正されるように校正部40を構成する。
(2)電子光学系2の照射電子線7の照射方向が校正されるように校正部40を構成する。
(3)電子光学系2の走査範囲が校正されるように校正部40を構成する。
(4)電子光学系2の走査コイルの走査方向が校正されるように校正部40を構成する。
次に図13を参照して、ステレオマッチング処理の一例として、エリアベースの正規化相関係数によるマッチング法について説明する。図13は、正規化相関係数によるマッチング法の説明図で、図中の右画像を基準画像、左画像を捜索画像とする。ここでは、N個のデータからなる基準画像中の基準データブロックをM、座標(U,V)を起点とする捜索画像中の捜索データブロックをIとする。
I=I(U+Xi,V+Yi) ……(9)
とすると、正規化相関係数R(U,V)は、
R(U,V)=(NΣIiMi−ΣIiΣMi)
/SQRT[{NΣIi2−(ΣIi)2}x{NΣMi2−(ΣMi)2}] ……(10)
となる。相関係数値Rは常に−1から+1までの値をとる。相関係数値Rが+1の場合には、テンプレートと探索画像が完全に一致した事になる。
試料の観察を行なう為に、電子線検出部4により検出された電子線に基づき、表示装置28に試料9のステレオ画像を表示する(S118)。試料9の形態または座標値が取得できれば、リターンとなる(S120)。
その場合は、図12のフローチャートの、S108における校正データ作成およびS110の校正データに基づき電子線システムの校正を行う必要がない。
ここで、電子線装置の校正手続きの前提となる平行投影について説明する。電子顕微鏡では倍率が低倍率〜高倍率(ex.2〜数百万倍)までレンジが幅広いため、電子光学系2が低倍率では中心投影、高倍率では平行投影とみなせる。平行投影と見なせる倍率は、偏位修正パラメータの算出精度を基準にして定めるのがよく、例えば1000倍や10000倍を基準倍率とする。偏位修正パラメータは、ステレオ画像で立体視できるように、試料の左右画像を偏位修正する為のパラメータである。
推論(補間)は各係数においてカーブフィッティングやその他の手法によって補正関数を作成することにより行うことができる。この機能を追加することにより、あらゆる傾斜角度にて画像を撮影し補正した正確な三次元計測が可能となる。
なお、複数傾斜させた場合、ステレオマッチングだけでなく、マルチマッチング(2枚以上からの画像で対応点を求め座標を計測する)を行ってもよい。当然この場合もこれら補正係数を利用する。
さらに傾斜方向は1軸方向だけでなく図20のようにさらに直角方向、斜め方向へ傾斜させ、それら補正係数について算出、あらゆる方向の傾斜に対応させるようにしてもよい。
さらにそれら複数方向への対応として、基準テンプレートを図10のように複数方向に混載させたもので補正してもよい。これら処理は方向が複数に増えるだけで同様となるので説明は省略する。
なお、これら実施例においても校正データ作成部30、校正部40、電子レンズ収差補償部42を用いて校正せずとも、補正係数算出部62により算出された補正係数にて画像修正部60にて画像修正し、形態・座標測定部50にて三次元測定値を得ることにより正確な補正が可能な場合は、それらはなくてもよい。
9a 基準テンプレート
10 電子線装置
20 測定部
30 校正データ作成部
40 校正部
50 形態・座標測定部
52 概略測定部
54 精密測定部
60 画像修正部
64 補正係数記憶部
Claims (2)
- 電子線を射出する電子線源と;
前記電子線源から射出された電子線を収束し、試料に照射する電子光学系と;
前記電子線が照射された試料からの電子を受け取る検出部と;
前記試料を支持する試料支持部と;
前記試料支持部で支持された試料に照射される電子線と前記試料とを相対的に傾斜させる試料傾斜部と;
前記相対的な傾斜が自在であるように前記試料支持部で支持された少なくとも傾斜した2面を有する基準試料から電子を受け取った前記検出部からの検出信号を、傾斜毎に受け取り、前記傾斜した2面の画像と前記基準試料の基準寸法とから、前記基準試料の傾斜角度を求めるデータ処理部とを備え;
前記データ処理部は、補正係数推論部を有し;
前記データ処理部は、さらに前記基準試料の画像の倍率および電子光学系に起因する画像歪を求めるように構成されており、
前記データ処理部は、得られた傾斜角度に基づき試料傾斜量、倍率、および電子光学系に起因する画像歪の補正係数を求め、前記補正係数に基づき、傾斜角度、倍率、および画像の補正を行うように構成されており、
前記補正係数推論部は、得られた複数の傾斜角度に基づき、測定された傾斜角度間の傾斜に関しても前記補正係数を求め、測定された傾斜角度以外の傾斜角度、倍率、および電子光学系に起因する画像歪に関しても補正を行うように構成されている、
電子線システム。 - 前記試料傾斜部は、試料を電子線に対して傾斜させる試料ホルダーの傾斜制御、または、前記電子線を試料に対して異なる角度で照射するようにする前記電子線の偏向制御のいずれかをするように構成されている、
請求項1に記載の電子線システム。
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