JP4530474B2 - 光記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体に関し、詳しくは、インクジェットプリンターによる印刷が可能な表面層(印刷受容層)を有する光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザーによる情報の書き込み及び/又は読み取りが可能な光記録媒体(光ディスク)は、従来の記録媒体に比し、記録容量が大きく且つランダムアクセスが可能であることから、オーディオソフト、コンピュータソフト、ゲームソフト、電子出版などの分野における記録媒体として広く使用されている。
【0003】
光記録媒体は、情報の記録および再生が可能な追記型と、記録後にデータの消去が可能な書換型の二種類に分けられる。そのなかで、CD方式の光情報媒体であるCDーR(追記型)、CDーRW(書換型)は、近年、利用者が急激に増えている。これらのCDは、利用者がそれぞれ利用者固有の種々の情報やデータを書き込んで使用することが出来、更に、CD−Rは、再生専用CDと互換性を有する。また、最近は、DVD方式の光記録媒体であるDVDーR(追記型)、DVDーRW(書換型)等も普及し始めている。
【0004】
上記の様な光記録媒体の利用者にとっては、媒体にどんな情報が記録されているかを一見して分かる様にしておくことが好ましい。また、媒体にデータを入れて末端ユーザーに媒体を販売する様な、少量多品種の情報媒体を扱う業者の場合には、商品のラベリングという観点から、媒体表面には、各種プリンターによる印刷性を有することが求められている。
【0005】
上記の理由により、近年、光記録媒体の光入射面の反対側の面の最外層が印刷受容層にて形成されて直接印字が可能になされた光記録媒体と、この様な媒体専用のプリンターが販売される様になってきた。これらのプリンターの印字記録方式として多く利用されているのは、水性液体インクジェット記録方式や感熱転写方式である。そして、これらの記録方式は、比較的安価で且つ鮮明なフルカラー画像が得られることから、広く利用されている。
【0006】
ところで、意匠的または商標的な要請などにより、光記録媒体の製造メーカーにおいても印刷受容層に印刷などを施すことがある。ところが、例えば光記録媒体の製造メーカーでの印刷が通常の印刷インキで行われた場合、当該印刷面には利用者などによる後からの重ね印刷が出来なくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、光記録媒体の製造メーカーにより印刷受容層に文字や模様などが描かれていながらも、利用者などによる後からの印刷が全く支障なく行なわれる様に改良された光記録媒体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨は、光入射面の反対側の面の最外層が平均粒径200nm以下の微粒子およびカチオン樹脂を含有する紫外線硬化樹脂組成物から成るインクジェットプリンター用の印刷受容層で形成され、前記の最外層の形成面が色の異なる複数の領域に分割されていることを特徴とする光記録媒体に存する。ここで、「色の異なる」とは、目視にて判別できる程度に色相、明度、彩度、光沢、質感などが異なっていることを意味する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の光記録媒体は、透明基板上に、少なくとも、記録層、光反射層およびインクジェットプリンター用の印刷受容層を順次に積層して成る。ここで、印刷受容層は光入射面の反対側の面の最外層である。
【0010】
透明基板としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アモルファスポリオレフィン等の高分子材料の他、ガラス等の無機材料が使用される。特に、ポリカーボネート系樹脂は、光の透過性が高く且つ光学的異方性が小さいために好ましい。
【0011】
透明基板は、通常、その表面には記録位置を表す案内溝やピット等(グルーブ情報など)が形成される。グルーブ情報などは、通常、射出成形や注型によって基板を作る際に付与されるが、レーザーカッティング法や2P法(Photo−Polymer法)より作製してもよい。
【0012】
記録層は、レーザー光の照射により記録可能であれば特に制限されず、無機物質による記録層および有機物質による記録層の何れであってもよい。
【0013】
無機物質による記録層には、例えば、光熱磁気効果により記録を行うTb・Fe・CoやDy・Fe・Co等の希土類遷移金属合金が使用される。また、相変化するGe・Te、Ge・Sb・Teの様なカルコゲン系合金も使用し得る。
【0014】
有機物質による記録層には、主として、有機色素が使用される。斯かる有機色素としては、大環状アザアヌレン系色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素など)、ポリメチン系色素(シアニン色素、メロシアニン色素、スタワリリウム色素など)、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、含金属アゾ系色素、含金属インドアニリン系色素などが挙げられる。特に、含金属アゾ系色素は、耐久性および耐光性に優れているため好ましい。
【0015】
色素含有記録層は、通常、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート等の塗布方法で成膜される。この際、溶剤としては、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ溶媒、テトロフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール等のパーフルオロアルキルアルコール溶媒、乳酸メチル、イソ酪酸メチル等のヒドロキシエチル溶媒が好適に使用される。
【0016】
光反射層は、通常、金、銀、アルミニウム等で構成されるが、記録層に有機色素を使用する場合は、特に銀によって構成するのが好ましい。金属反射層は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法によって成膜される。なお、金属反射層と記録層の間に層間の密着力を向上させるため、または、反射率を高める等の目的で中間層を設けてもよい。
【0017】
上記の記録層の厚さは通常10〜5000nm、光反射層の厚さは通常50〜200nm、印刷受容層の厚さは通常5〜50μm、保護層の厚さは通常1〜10μmである。
【0018】
本発明の光記録媒体は、光入射面の反対側の面の最外層がインクジェットプリンター用の印刷受容層で形成され、前記の最外層の形成面が色の異なる複数の領域に分割されている点に特徴がある。すなわち、本発明の光記録媒体においては、意匠的または商標的な要請などにより、光記録媒体の製造メーカーにおいて上記の印刷受容層に何らかの印刷を施した結果、利用者などによるその上からの重ね印刷が出来なくなるという問題は一挙に解決される。
【0019】
そして、利用者による重ね印刷を考えた場合、印刷受容層自体の色は薄い方が好ましい。具体的には、印刷受容層の任意の領域における反射光のXYZ表色系色度座標(x,y)が次の式(1a)、好ましくは(1b)を満足するのが良い。
【0020】
【数3】
【0021】
また、印刷受容層の各領域のコントラストが大きい場合、製造メーカーが施した印刷は際立つものの、後の利用者による重ね印刷が不明瞭となる恐れがあるため、各領域は類似色であることが好ましい。具体的には、印刷受容層の任意の2点における反射光のXYZ表色系色度座標(x1,y1)及び(x2,y2)が次の式(2a)、好ましくは(2b)を満足するのが良い。
【0022】
【数4】
【0023】
利用者による重ね印刷としては、安価で印刷速度が速い点から、インクジェット方式が採用される。
【0024】
印刷受容層の材料としては、フルカラー液体インクジェットプリンターの印字特性、保存性および印字耐水性に優れた印刷受容層とするため、本出願人によって提案された特開2000−57635号公報に記載の印刷受容層、すなわち、平均粒径200nm以下の微粒子およびカチオン樹脂を含有する紫外線硬化樹脂組成物を使用する。
【0025】
上記の様に、印刷受容層中に所定量の微粒子を含有させることにより、インクが印刷受容層中に毛細管現象により瞬時に吸収される様な微細空隙を形成することが出来る。この方法によれば、インクを多量に吸収できるため、インクの印刷受容層表面での拡がり(にじみ)を制御でき、また、吸収速度を速めることが出来るため、乾燥性が向上して鮮明な画像を形成できる。
【0026】
上記の微粒子としては、有機・無機物の各種微粒子が挙げられる。例えば、有機物から成る微粒子としては、PMMA樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂などの合成樹脂粒子、コラーゲン、シルク、コットン等の天然樹脂粒子が挙げられる。無機物から成る微粒子としては、タルク、マイカの他、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、マンガン、チタン等の各種金属の酸化物、セラミック等が挙げられる。有機物からなる微粒子は、粒径100nm以下に微粒子化することが困難であり、また、耐熱性、耐水性、耐溶媒性などが劣る傾向があることから、無機物微粒子が好ましい。、無機物微粒子の中では、微粒化が容易である点から、各種の金属酸化物が好ましい。特に、シリカは、比表面積が大きく、微細な空隙を形成することが出来、しかも、表面が親水性であるために水性インクとのなじみが良好であり、好適である。
【0027】
合成シリカは、製造法により粒径や比表面積などの制御が可能であって、球形で均一な特性の微粒子が得られるという点から推奨される。合成シリカの合成法には乾式法と湿式法とがあるが、多孔質で比表面積が大きいシリカを得るためには湿式法がよい。更に、湿式法には沈殿法とゲル法とがあるが、何れでもよい。
【0028】
微粒子が有する空隙の大きさは、インクジェットのインクを有効に吸収する観点から、数nmないし数10nmの範囲が好ましい。本発明における印刷受容層は、微粒子およびカチオン樹脂を含有するが、上記の様な微細空隙を効果的に得るためには、微粒子の紫外線硬化樹脂組成物中における分散性および粒径が重要である。
【0029】
微粒子の平均粒径は、微細で高い空隙率を得るため、200nm以下でなければならない。すなわち、平均粒径が200nmを超える場合は、微粒子間で形成される空隙が粗大化し、インクの吸収能力と吸収速度が低下し、充分なインク受容性が得られない。また、紫外線透過率が低くなり、印刷受容層の光硬化が十分に行われないため層内部が硬化し難く、生産性に劣る傾向がある。微粒子の平均粒径は、好ましくは1〜100nm、更に好ましくは2〜50nmである。平均粒径が1nm未満の場合は、バインダー樹脂への分散性が低下する傾向があり、また、粒子間で形成される空隙が微細化し過ぎるため、充分なインク受容性が得られない傾向がある。
【0030】
印刷受容層における微粒子の配合量は、印刷受容層を形成する紫外線硬化樹脂組成物に対し、30重量%以上100重量%未満であり、好ましくは30重量%以上95重量%以下、更に好ましくは35重量%以上90重量%以下である。30重量%未満ではインク吸収に必要な大きさの空隙の形成が困難である。
【0031】
紫外線硬化樹脂組成物に含まれるカチオン樹脂は、インクジェットにより印刷された画像に耐水性を付与するため、インクを不溶化する働きがあるものと考えられる。一般にインクジェットプリンター用インクにはアニオン性水溶染料が使用されており、カチオン樹脂の添加により、微細空隙に吸着されたインク中の染料を水に不溶性化することが出来、形成画像の耐水性を付与できる。
【0032】
本発明に使用できるカチオン樹脂としては、分子内にカチオン性部分を含むものであれば特に制限されないが、重量平均分子量は、通常500〜200,000、好ましくは1,000〜100,000の範囲とされる。重量平均分子量が500未満の場合は、画像の耐水性が劣る傾向があり、200,000を超える場合は、分子構造的な立体障害による染料分子との結合効率が悪くなる傾向があるため、微量添加による効果が小さくなる。
【0033】
カチオン樹脂の例としては、ポリアクリルアミドのカチオン変成物、アクリルアミドとカチオン性モノマーの共重合体、3級アミノ基含有(メタ)アクリレートのカチオン変性物と他の一般的なモノマーとの共重合体、ポリアリルアミン、ポリアミンスルホン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドエピクロルヒドリン、ポリビニルピリジニウムハライド等が挙げられる。また、ビニルピロリドン系モノマー、ビニルオキサゾリドン系モノマー又はビニルイミダゾール系モノマーと他の一般的なモノマーとの共重合体が挙げられる。更に、特開2000−57635号公報において一般式で表された、3級アミノ基含有(メタ)アクリレートのカチオン変成物と他の一般的なモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0034】
紫外線(UV)硬化樹脂としてはラジカル反応タイプの樹脂が好適に使用される。ラジカル反応タイプのUV硬化樹脂は、通常、少なくとも、樹脂モノマー成分および光重合開始剤を使用し、更に、必要に応じて樹脂オリゴマー成分を使用して調製される。樹脂モノマー成分や樹脂オリゴマー成分を種々選択することにより、様々な特性の印刷受容層を得ることが出来る。すなわち、樹脂モノマー成分の種類と量により、粘度、硬度などが変化し、樹脂オリゴマー成分の種類と量により、硬度、密着性、耐水性、耐湿性などが変化する。
【0035】
樹脂モノマー成分としては、単官能または多官能モノマーの何れであってもよいが。印刷受容層における架橋密度を上げて強度を保持するため、多官能モノマー成分を一定量含むのが好ましい。
【0036】
単官能モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物のアクリレート、1,3−ジオキソランアクリレート等が挙げられる。
【0037】
多官能モノマー成分としては、シクロペンテニールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレートのε−カプロラクトン付加物、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリト、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールのテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。
【0038】
樹脂オリゴマー成分としては、アクリル系オリゴマー、エステル系オリゴマー、ウレタン系オリゴマー、エーテル系オリゴマー等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいが、複数種を組み合わせて使用すると、各々異なった特性を持つ印刷受容層が得られる。例えば、アクリル系オリゴマーと共にエステル系オリゴマーを使用すると、耐水性に優れ、硬い層を得ることが出来る。この場合、硬化収縮が大きいため、媒体に反りが生じることがあるが、予め、基板に逆方向の反りを与えておくことにより解決可能である。一方、アクリル系オリゴマーと共にウレタン系オリゴマーを使用すると、ウレタン系オリゴマーは分子量が大きく硬化収縮が小さいため、基板の反り等が生じる可能性は小さくなる。この場合、形成された硬化塗膜は比較的柔らかいものととなる。
【0039】
上記のアクリル系オリゴマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等のアルキル(メタ)アクリレートの重合体、または、上記モノマーと、スチレン、α−メチルスチレン、(o,m,p)ビニルフェノール等の芳香族ビニル化合物、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸などのビニルカルボン酸化合物、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジル等のグリシジル基含有ビニル化合物、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族アクリレート化合物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の置換アルキルアクリレート化合物、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系化合物、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸クロライド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等から選ばれた化合物との共重合体が挙げられる。
【0040】
上記のエステル系オリゴマーとしは、例えば、無水フタル酸とプロピレンオキサイドの開環重合物から成るポリエステルジオールとアクリル酸とのエステル、アジピン酸1,6−ヘキサンジオールから成るポリエステルジオールとアクリル酸とのエステル、トリメリット酸ジエチレングリコールとの反応物から成るトリオールとアクリル酸とのエステル、δ−バレロラクトンの開環重合物とアクリル酸とのエステル等が挙げられる。
【0041】
上記のウレタン系オリゴマーとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートと1,6−ヘキサンジオールから成るポリウレタンと2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応物、アジピン酸と1,6−ヘキサンジオールから成るポリエステルジオールとトリレンジイソシアネートとを反応させたジイソシアネートオリゴマーに2−ヒドロキシエチルアクリレートを反応させたもの等が挙げられる。
【0042】
上記のエーテル系オリゴマーとしては、例えば、ポリプロピレングリコールとアクリル酸とのエステル等が挙げられる。その他、エポキシ樹脂にアクリレートを反応させたエポキシ系オリゴマー、ポリアリレート等も樹脂オリゴマー成分として使用することが出来る。
【0043】
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4−ジエチルチオキサントン、o−ヘンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェン、ベンジル、2−クロロチオキサントン、ジイソプロピルチオザンソン、9,10−アントラキノン、ベンソイン、ベンソインメチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトン等が挙げられる。
【0044】
紫外線硬化樹脂組成物は、上記の他、必要に応じ、重合停止剤、保存安定剤、分散剤、消泡剤、紫外線硬化性樹脂以外のバインダー樹脂などを含有していてもよい。
【0045】
本発明における印刷受容層の形成には、紫外線硬化型のスクリーン印刷機が好適に使用される。そして、本発明においては、光記録媒体の製造メーカーで施されるスクリーン印刷によって色の異なる複数の領域に分割された印刷受容層を形成する。
【0046】
光記録媒体の製造メーカーで施される印刷は、意匠的または商標的な要請などにより、適宜の内容を選択することが出来る。すなわち、文字、図形、記号、模様、色彩などを表示要素として利用することが出来る。本発明の光記録媒体における最外層形成面に色の異なる複数の領域を設ける方法としては、例えば、印刷受容層形成用組成物に、後の利用者による印刷を妨げない程度に顔料や染料などの着色剤を添加したものを使用し、これら色の異なる複数種の組成物を使用して印刷受容層を形成すると良い。また、通常の印刷受容層は、地色を白くするため、酸化チタン等の白色顔料が配合される場合があるが、斯かる場合は、白色顔料の配合量を異なられて地色に色差を形成することにより、色の異なる複数の領域に分割してもよい。
【0047】
上記の印刷受容層形成用組成物に使用する着色剤としては、特に制限されず、赤色、緑色、青色、黄色の染顔料が使用されるが、この他、必要に応じ、金属粉、白色顔料、蛍光顔料なども使用することが出来る。そして、染顔料の具体例としては、ビクトリアピュアブルー(42595)、オーラミンO(41000)、カチロンブリリアントフラビン(ベーシック13)、ローダミン6GCP(45160)、ローダミンB(45170)、サクラニンOK 70:100(50240)、エリオグラウシンX(42080)、NO.120/リオノールイエロー(21090)、リオノールイエローGRO(21090)、シムラファーストイエローGRO(21090)、シムラファーストイエロー8GF(21105)、ベンジジンイエロー4J−564D(21095)、シムラーファーストレッド4015(12355)、リオノールレッド7B4401(15850)、ファーストゲンブルーJGR−L(74160)、リオノールブルーSM(26150)、リオノールブルーES(ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー1536)、リオノーゲンレッドGD(ピグメントレッド168、ピグメントレッド108)、リオノールグリーン2YS(ピグメントグリーン36)等が挙げられる(上記の( )内の数字はカラーインデックス(C.I.)を意味する)。
【0048】
紫外線照射の光源としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が使用される。そして、照射エネルギー量は、通常150〜2000mJ/cm2、好ましくは250〜1000mJ/cm2の範囲から選択される。この際、スクリーン印刷法を使用した場合、塗膜表面の平滑化、塗膜からの気泡の放出を瞬時に行い、塗膜面の光沢性を上げる目的でレベリング剤を添加するのが好ましい。レベリング剤としては、シリコン等が好ましい。
【0049】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものでない。
【0050】
実施例1
深さ1600Å、幅0.45μmの溝(グルーブ)付の射出成型ポリカーボネート樹脂基体(直径120mm)上に含金属アゾ色素の溶液を滴下し、スピンコート法により500rpmの回転数で塗布し、90℃で30分間乾燥して記録層を形成した。
【0051】
次いで、上記の記録層の上に、スパッタリング法により、膜厚800Å(80nm)の銀膜を成膜して反射層を形成する。そして、この反射層の全面に紫外線硬化性樹脂をスピンコートした後、紫外線を照射して硬化させ、5μmの保護層を形成とした。
【0052】
次いで、1次粒径10nm、比表面積250m2/gのシリカを50重量%含有する紫外線硬化樹脂組成物(A)とこれに着色剤を配合した組成物(B)とを使用し、前記の保護層の表面に、組成物(A)のスクリーン印刷により「CD−R」の表示を除く部分を形成した後、組成物(B)のスクリーン印刷により「CD−R」の表示部分を形成した。そして、紫外線の照射により樹脂組成物を硬化させ、色の異なる2つの領域に分割された膜厚20μmの印刷受容層を形成した。
【0053】
上記で得られた光記録媒体の印刷受容層にFargo社製インクジェットプリンター「CD−Coler Printer」で印刷を行なった結果、「CD−R」の表示部分の上にも全く問題なく重ね印刷を行なうことが出来た。
【0054】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、光記録媒体の製造メーカーによる印刷などにより印刷受容層が色の異なる複数の領域に分割されていながらも、利用者などによる後からの印刷が全く支障なく行なわれる様に改良された光記録媒体が提供される。
Claims (3)
- 光入射面の反対側の面の最外層が平均粒径200nm以下の微粒子およびカチオン樹脂を含有する紫外線硬化樹脂組成物から成るインクジェットプリンター用の印刷受容層で形成され、前記の最外層の形成面が色の異なる複数の領域に分割されていることを特徴とする光記録媒体。
- 印刷受容層の任意の領域における反射光のXYZ表色系色度座標(x,y)が次の式(1)を満足する請求項1に記載の光記録媒体。
[数1]
(x−0.32)2+(y−0.32)2≦0.015 (1) - 印刷受容層の任意の2点における反射光のXYZ表色系色度座標(x1,y1)及び(x2,y2)が次の式(2)を満足する請求項1又は2に記載の光記録媒体。
[数2]
(x1−x2)2+(y1−y2)2≦0.012 (2)
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