JP4047214B2 - 光記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体に関し、より詳しくは、レーベル面に印刷インクによる滲みが低減された印刷が可能な光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
多くの情報をレーザ光を用いて記録、再生を行う光記録媒体は、高密度の情報記録、保存、再生が可能なことから、大容量記録媒体として注目されている。このような光記録媒体の例としては、CD−RW、DVD−RW、DVD+RW等に代表される相変化型光記録媒体、CD−R、DVD−R、DVD+RWに代表される有機色素系光記録媒体等が挙げられる。
【0003】
このような光記録媒体に記録された光情報の内容を媒体表面に表示することは、情報管理上重要なことであり、例えば、媒体のレーベル面(光を照射して光情報を記録する面とは反対側の面)に親水性樹脂を用いてインクジェット印刷が可能な表面層を形成した光記録媒体が報告されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平06−060432号公報((0008)〜(0012)欄)
【特許文献2】
特開平07−169100号公報((0025)〜(0027)欄)
【特許文献3】
特開平10−188344号公報((0023)〜(0027)欄)
【特許文献4】
特開平11−039715号公報((0016)〜(0029)欄)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1〜4において報告されているように、光記録媒体のレーベル面に形成された親水性樹脂からなる表面層にインクジェット印刷を行うと、親水性樹脂によって印刷インクのハジキが防止され、良好な印刷が行えるとされている。
【0006】
しかし、さらに検討を進めると、光記録媒体の表面層における印刷用インクの滲みの問題は、なかなか改善されないことが判明した。すなわち、印刷用インクは親水性樹脂によりある程度吸収されるものの、通常、表面層のすぐ下側に形成された保護層等に到達すると、それ以上は浸透することができず、その結果、印刷用インクは横方向に広がり、印刷が滲むことが考えられる。
【0007】
さらに、親水性樹脂を使用することによる耐水性の低下を抑制すべく、例えば、カチオン系添加剤等を配合する方法が採用されるが、この場合は、表面層の吸水性が低下することにより、乾燥性とのバランスが低下する問題が生じる。また、印刷用インクの定着性も不十分であり、このため、発色性に優れた印刷が困難であるという問題も生じる。
【0008】
本発明は、このように、光記録媒体の表面に印刷が可能な層を形成する際に浮き彫りになった問題を解決すべくなされたものである。即ち、本発明の目的は、印刷インクの乾燥性を低下させることなく、レーベル面に印刷インクによる滲みが低減され、且つ発色性に優れた印刷が可能な光記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、本発明においては、光記録媒体のレーベル面に親水性樹脂等の紫外線硬化性樹脂組成物からなる印刷が可能な表面層を設けるとともに、表面層のすぐ下側に、吸水性能力が高い無機フィラーを配合した樹脂組成物からなる層を設けた構成を採用している。即ち、本発明が適用される光記録媒体は、基板と、この基板上に、照射された光により情報の記録及び/又は再生が行われる記録層を少なくとも有し、さらに、記録層上に設けられた無機フィラーと吸水性ポリマーを含有してなる無機フィラー配合層と、無機フィラー配合層上に設けられ、有機フィラーを配合してなる表面層と、を有することを特徴とするものである。
ここで、吸水性ポリマーが、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルのホモポリマーまたはコポリマーであることが好ましい
【0010】
本発明が適用される光記録媒体において、無機フィラー配合層における無機フィラーの配合量は、無機フィラー配合層を構成する樹脂組成物全量中、20重量%以上50重量%以下であることを特徴とすれば、表面層に印刷する際に、表面層を透過して無機フィラー配合層に達したインクの溶媒(水主体)は無機フィラーに吸収され、その結果、表面層に印刷されたインクの溶媒が即座に下層の無機フィラー配合層に移行し吸収され、表面層の乾燥を速め、インクの滲みを低減することができる。
【0011】
また、本発明が適用される光記録媒体において、表面層における有機フィラーの配合量は、表面層を構成する樹脂組成物全量中、10重量%以上50重量%以下であることを特徴とすれば、有機フィラーが有する親水性及び親油性の両方の特性により、表面層に印刷する際に、インクの溶媒(水主体)とインク自体が適度に吸収され、インクの吸収速度が増大し、更にインクの表面層へ定着性が高められ、発色性を向上させることができる。
【0012】
無機フィラーとしては、酸化珪素、酸化チタン、炭酸カルシウム、アルミナ及び水酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。また、有機フィラーとしては、リグニン、プロテイン、セルロース及び絹の粉末から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。さらに、紫外線硬化性樹脂が親水性樹脂であることが好ましい。
【0013】
さらに、無機フィラー配合層が、紫外線硬化性樹脂及び無機フィラーを配合してなるものであり、表面層が、紫外線硬化性樹脂及び有機フィラーを配合してなるものであることを特徴とすれば、無機フィラーを分散させた無機フィラー配合層及び有機フィラーを分散させた表面層を効率良く形成することができる。また、紫外線硬化性樹脂が親水性樹脂であることが好ましく、印刷インクの吸水性を高めることができる。
【0014】
次に、本発明は、基板上に、照射された光により情報の記録及び/又は再生が行われる記録層を少なくとも有し、さらに、基板と反対側の表面層として、印刷インクにより印刷が可能な印刷受容層を有する光記録媒体であって、この印刷受容層の基板側に形成され、印刷インクの溶媒を吸収する溶媒吸収領域と、印刷受容層の基板と反対側に形成され、印刷インクを定着するインク定着領域と、を有し、溶媒吸収領域が無機フィラーと吸水性ポリマーとを含有することを特徴とする光記録媒体として把握されるものである。
ここで、吸水性ポリマーが、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルのホモポリマーまたはコポリマーであることが好ましい
【0015】
この印刷受容層の基板側に形成された溶媒吸収領域は、紫外線硬化性樹脂に対する無機フィラーの配合量が有機フィラーに比較して多く配合され、一方、印刷受容層の基板と反対側に形成されたインク定着領域は、紫外線硬化性樹脂に対する有機フィラーの配合量が無機フィラーに比較して多く配合されること特徴とすれば、このような構造を有する一体化された印刷受容層を設けることにより、印刷インクの乾燥性を低下させることなく、レーベル面に印刷インクによる滲みが低減された印刷が可能となる。また、この一体化された印刷受容層の厚さは、20μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本実施の形態が適用される光記録媒体を詳述する。
図1は、本実施の形態が適用される光記録媒体の構造を説明するための図である。ここに示された光記録媒体100は、光透過性材料により形成された透明な基板101と、この基板101上に設けられ、照射された光により光情報の記録及び/又は再生が行われる記録層102と、この記録層102上に積層され、記録層102を透過した光を記録層102反射する反射層103と、反射層103の変形等を保護する保護層104と、紫外線硬化性樹脂と無機フィラーとを配合してなる無機フィラー配合層105と、紫外線硬化性樹脂と有機フィラーとを配合してなる表面層106と、が順次積層された構造を有している。
【0017】
図1に示すように、光記録媒体100に備えられた記録層102は、情報の記録/再生用のレーザ装置の対物レンズ(図示せず)から基板101を介して入射したレーザ光107により、光情報の記録再生が行われる。レーザ光107の一部は記録層102を透過し、反射層103により記録層102に反射される。親水性樹脂と有機フィラーとを配合してなる表面層106には、例えば、水性インクによるインクジエットプリントが可能である。
【0018】
透明な基板101としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アモルファスポリオレフィン等の高分子材料の他、ガラス等の無機材料が使用される。特にポリカーボネート樹脂は、光の透過性が高く且つ光学的異方性の小さいために好ましい。
【0019】
基板101は、通常、その表面には記録位置を表す案内溝やピット等(グルーブ情報など)が形成される。グルーブ情報などは、通常、射出成形や注型によって基板を作る際に付与されるが、レーザーカッティング法や2P法(Photo−Polymer法)により作製してもよい。基板101の厚さは、通常、5mm以下、好ましくは3mm以下である。対物レンズとの距離が小さく、また、基板101が薄いほどコマ収差が小さい傾向があり、記録密度を上げやすい。但し、光学特性、吸湿性、成形性、形状安定性を十分得るために、通常10μm以上、好ましくは30μm以上である。
【0020】
記録層102を形成する材料は、レーザ光107の照射により光情報の記録又は再生が可能であれば特に制限されず、無機物質および有機物質の何れであってもよい。無機物質としては、例えば、光熱磁気効果により記録を行うTb・Fe・CoやDy・Fe・Co等の希土類遷移金属合金が使用される。また、相変化するGe・Te、Ge・Sb・Teの様なカルコゲン系合金も使用することができる。
【0021】
有機物質としては、有機色素が好ましく使用される。このような有機色素としては、大環状アザアヌレン系色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素など)、ポリメチン系色素(シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素など)、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、含金属アゾ系色素、含金属インドアニリン系色素などが挙げられる。特に含金属アゾ系色素は、耐久性および耐光性に優れているため好ましい。
【0022】
有機色素により記録層102を形成する場合は、通常、有機色素を適当な溶媒に溶解した溶液によるスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート等の塗布方法で成膜される。この際、溶媒としては、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ溶媒、テトロフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール等のパーフルオロアルキルアルコール溶媒、乳酸メチル、イソ酪酸メチル等のヒドロキシエチル溶媒が好適に使用される。
【0023】
記録層102の厚さは、記録方法等により適した膜厚が異なるため、特に限定されないが、十分な変調度を得るために、通常、5nm以上、好ましくは10nm以上であり、特に好ましくは20nm以上である。但し、光を透過させる必要があるため、通常、3μm以下であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm以下である。
【0024】
反射層103は、通常、金、銀、アルミニウム等により形成され、特に銀が好ましい。反射層103は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法によって成膜される。なお、反射層103と記録層102との間に層間の密着力を向上させるため、または、反射率を高める等の目的で中間層を設けてもよい。反射層103の厚さは、通常、50nm以下、好ましくは30nm以下である。但し、通常3nm以上、好ましくは5nm以上である。
【0025】
保護層104は、基板101と反対側から受ける物理的または機械的障害に対して反射層103及び記録層102を保護する層である。このような保護層104は、耐衝撃性に優れた樹脂が望ましい。保護層104の厚さは、通常、3μm以上、好ましくは5μmである。但し、通常、15μm以下、好ましくは10μm以下である。保護層104を形成する材料としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系等のラジカル反応による重合体、エポキシ系等の光カチオン重合体等が挙げられる。これらの樹脂は、単独の重合体、モノマー及びオリゴマーの混合物の重合体のいずれも用いることができる。また、溶剤で希釈して塗布することも可能である。中でも作業性の点から紫外線硬化性樹脂が好ましい。保護層104を形成する方法は、通常、スピンコート、ディップコート、バーコート、スクリーン印刷等の方法で行われ、作業性の点からスピンコートが好ましい。
【0026】
本実施の形態が適用される光記録媒体100において、保護層104の上に、紫外線硬化性樹脂と無機フィラーとを配合してなる無機フィラー配合層105と、紫外線硬化性樹脂と有機フィラーとを配合してなる表面層106とが順次積層される。無機フィラー配合層105及び表面層106において使用される紫外線硬化性樹脂は、透明度が高く、硬化時間が短く製造上有利な点で好ましい。
【0027】
紫外線硬化性樹脂としては、ラジカル系紫外線硬化性樹脂が挙げられる。ラジカル系紫外線硬化性樹脂は、紫外線硬化性モノマーと光重合開始剤を必須成分として含む組成物が用いられる。紫外線硬化性モノマーとしては、単官能(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレートを重合性モノマー成分として用いることができる。紫外線硬化性モノマーの中でも、親水性モノマーが好ましい。これらは、各々、単独または2種類以上併用して用いることができる。ここで、アクリレートとメタアクリレートとを併せて(メタ)アクリレートと称する。
【0028】
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、置換基としてメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、ノニルフェノキシエチル、テトラヒドロフルフリル、グリシジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル、イソボルニル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、ジシクロペンテニロキシエチル等の基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0029】
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1、3−ブチレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1、8−オクタンジオール、1、9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0030】
また、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
また、これらの重合性モノマーと同時に併用できるものとしては、重合性オリゴマーとして、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0032】
更に、ラジカル系紫外線硬化性樹脂には、通常、光重合開始剤を配合する。光重合開始剤としては、分子開裂型または水素引き抜き型のものが好ましい。このような光重合開始剤として、分子開裂型としては、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、2、4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2、4、6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
【0033】
さらに、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用しても良い。水素引き抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等が挙げられる。
【0034】
また、これらの光重合開始剤とともに、増感剤を併用することができる。増感剤としては、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N、N−ジメチルベンジルアミンおよび4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0035】
また、紫外線硬化性樹脂には、必要に応じてさらにその他の添加剤として、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ホスファイト等に代表される酸化防止剤、可塑剤およびエポキシシラン、メルカプトシラン、(メタ)アクリルシラン等に代表されるシランカップリング剤等を、各種特性を改良する目的で配合することもできる。これらは、紫外線硬化性化合物への溶解性に優れたもの、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いる。
【0036】
これらの紫外線硬化性樹脂に加えて、吸水性のポリマーを併用することができる。吸水性ポリマーとして好ましく用いられるものとしては、例えば、アルキル基の炭素数が2以上の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルのホモポリマー;各アルキル基の合計炭素数が4以上である2種以上の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの組み合わせ等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルのコポリマー;(置換)アルキル基の炭素数が2以上の(メタ)アクリル酸アミドのN−アルキル置換体等の(メタ)アクリル酸アミドのN−アルキル置換体のホモポリマー;各アルキル基の合計炭素数が4以上である(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと(メタ)アクリル酸アミドのN−アルキル置換体との組み合わせ等の2種以上の(メタ)アクリル酸アミドのN−アルキル置換体のコポリマー;各アルキル基の合計炭素数が4以上である(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと(メタ)アクリル酸アミドのN−アルキル置換体との組み合わせ等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと(メタ)アクリル酸アミドのN−アルキル置換体とのコポリマーが挙げられる。
【0037】
これらの吸水性ポリマーの具体例としては、メチルメタアクリレート−プロピルメタアクリレートコポリマー、メチルメタアクリレート−ブチルメタアクリレートコポリマー、エチルメタアクリレート−プロピルメタアクリレートコポリマー、エチルメタアクリレート−ブチルメタアクリレートコポリマー、N−エチルメタアクリルアミド−N−ブチルメタアクリルアミドコポリマー、N,N−ジメチルメタアクリルアミド−N,N−ジプロピルメタアクリルアミドコポリマー等が挙げられる。これらの紫外線硬化性樹脂を使用することにより、印刷におけるインクの滲みを一層効果的に防止することができる。
【0038】
紫外線硬化性樹脂組成物には、架橋密度の向上のため、架橋性モノマーを添加してもよい。架橋性モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、1、4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、シクロデカントリアクリレート等が挙げられる。
【0039】
無機フィラー配合層105に配合される無機フィラーとしては、吸水性および/または吸油性フィラーが使用され、例えば、酸化珪素、タルク、酸化チタン、クレー、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、珪藻土シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも、酸化珪素、酸化チタン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナが好ましい。また、無機フィラーとして、顔料として使用されている酸化チタン、炭酸カルシウムを用いることにより無機フィラー配合層105を白くすることができ、印刷画像をより綺麗にできる。また、他の顔料で、着色することも可能である。尚、無機フィラーの粒径は、通常、0.1μm以上、20μm以下である。無機フィラーの粒径がこの範囲であれば、印刷インクに対する吸水性を効果的に発揮することができる。
【0040】
無機フィラー配合層105における無機フィラーの配合量は、無機フィラー配合層105を構成する樹脂組成物全量中、通常、20重量%以上、好ましくは、25重量%以上である。但し、通常、50重量%以下、好ましくは、40重量%以下である。無機フィラーの配合量が過度に少ないと、後述するように、表面層106に印刷する際に、インクの吸水性、吸インク性が低下するおそれがある。一方、無機フィラーの配合量が過度に多いと、無機フィラー配合層105中の樹脂成分(バインダー成分)が減少し、無機フィラー配合層105の強度が低下するおそれがある。また、後述するように、スクリーン印刷法により無機フィラー配合層105を形成する場合、塗布液の粘度が増大し、生産性(塗布性)が低下するおそれがある。尚、無機フィラー配合層105の厚さは、通常、5μm以上、好ましくは、10μm以上である。ただし、通常、25μm以下、好ましくは、20μm以下である。尚、無機フィラー配合層105には必要に応じて有機フィラーが配合されてもよい。ただし、その場合、有機フィラーの配合量は、重量基準で、無機フィラーより少ないことが必要である。また、無機フィラー配合層105は、多層構造とすることも可能である。
【0041】
表面層106は、無機フィラー配合層105の上に積層され、印刷インクにより印刷が可能な光記録媒体100の最外層を形成する。表面層106に使用される紫外線硬化性樹脂、光開始剤及びその他の添加剤としては前述したものと同様なものが挙げられる。有機フィラーとしては、吸水性および/または吸油性フィラーが挙げられ、例えば、アクリル樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、スチレン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、変性メラミン樹脂微粒子、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ゴム等の微粒子の他、これらポリマーの架橋微粒子、更に、リグニン、プロテイン、セルロース、絹の粉末等が挙げられる。特に、リグニン、プロテイン、セルロース、絹の粉末は、吸水性や吸油性が高いために好ましい。尚、有機フィラーの粒径は、通常、0.1μm以上、20μm以下である。有機フィラーの粒径がこの範囲であれば、印刷インクの定着性を効果的に発揮することができる。
【0042】
表面層106における有機フィラーの配合量は、表面層106を構成する樹脂組成物全量中、通常、10重量%以上、好ましくは、20重量%以上である。但し、通常、50重量%以下、好ましくは、40重量%以下である。有機フィラーの配合量が過度に少ないと、表面層106において、インクに含有された色素の定着性が低下するおそれがある。一方、有機フィラーの配合量が過度に多いと、表面層106の強度が低下し、また、表面層106を湿式形成法により形成する際の塗布液の粘度が上昇するおそれがある。尚、表面層106の厚さは、通常、5μm以上、好ましくは、10μm以上である。ただし、通常、25μm以下、好ましくは、20μm以下である。尚、表面層106には必要に応じて無機フィラーが配合されてもよい。ただし、その場合、無機フィラーの配合量は、重量基準で、有機フィラーより少ないことが必要である。また、表面層106は、多層構造とすることも可能である。
【0043】
(無機フィラー配合層105に配合された無機フィラー量/表面層106に配合された有機フィラー量)の比率は、通常、2/5以上、好ましくは1/2以上である。この範囲であれば、無機フィラー配合層105はインクの吸水効果を十分に発揮することができる。但し、通常、5以下、好ましくは4以下である。この範囲であれば、表面層106は、インクの吸着性の十分に発揮することができる。
【0044】
(無機フィラー配合層105の厚さ/表面層106の厚さ)の比率は、通常、1/5以上、好ましくは1/4以上である。但し、通常、5以下、好ましくは4以下である。(無機フィラー配合層105の厚さ/表面層106の厚さ)の比率がこの範囲であれば、インクの吸水性及び定着性の向上を十分に発揮することができる。
【0045】
本実施の形態が適用される光記録媒体100は、紫外線硬化性樹脂と無機フィラーとを配合してなる無機フィラー配合層105と、紫外線硬化性樹脂と有機フィラーとを配合してなる表面層106とが順次積層された構造を有することにより、表面層106に印刷インクにより印刷する際のインクの滲みを低減することができる。即ち、表面層106に配合された有機フィラーは、親水性及び親油性の両方の特性を併せ持つことから、表面層106に印刷する場合、インクの溶媒(水主体)とインク自体が適度に吸収される。その結果、インクの吸収速度が増大し、更にインクの表面層106へ定着性が高められ、発色性が向上する。
【0046】
一方、表面層106の下側に設けられた無機フィラー配合層105に配合された無機フィラーは、有機フィラーと比較して高い吸水性を有することから、表面層106を透過して無機フィラー配合層105に達したインクの溶媒(水主体)は、無機フィラー配合層105に配合された無機フィラーに吸収される。その結果、表面層106に印刷されたインクの溶媒が即座に下層の無機フィラー配合層105に移行し吸収され、表面層106の乾燥が速まる。
【0047】
無機フィラー配合層105及び表面層106の形成方法としては、いずれも紫外線硬化性モノマー、光開始剤及びその他の添加剤と、無機フィラー配合層105の場合は、無機フィラーを配合し、表面層106の場合は、有機フィラーを配合してそれぞれ調製した樹脂組成物を、スピンコート、バーコート、ブレードコート、エアナイフコート、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷等により塗布した後、UV照射することによって行われる。これらの中でも、スクリーン印刷が、厚さの制御が容易であり、生産性が高いことから好ましい。UVランプとしては、水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が使用される。照射エネルギー量は、通常150〜2000mJ/cm2、好ましくは250〜1000mJ/cm2の範囲から選択される。
【0048】
本実施の形態が適用される光記録媒体100において、無機フィラー配合層105と表面層106とを別々に形成せずに、紫外線硬化性樹脂に無機フィラー及び有機フィラーを配合して一体に形成した樹脂組成物からなる印刷受容層を、保護層104上に設けて良い。この場合、紫外線硬化性樹脂に対する無機フィラー及び有機フィラーの配合量を、それぞれ印刷受容層の厚さ方向に変化させることにより、無機フィラー配合層105と表面層106とを別々に形成したものと同様な効果を得ることができる。
【0049】
即ち、この印刷受容層の基板101側には、紫外線硬化性樹脂に対する無機フィラーの配合量が有機フィラーに比較して多く配合され、印刷インクの溶媒を効率良く吸収する溶媒吸収領域を形成し、一方、印刷受容層の基板101側と反対側の表面には、紫外線硬化性樹脂に対する有機フィラーの配合量が無機フィラーに比較して多く配合され、印刷用インクを定着するインク定着領域を形成する。
【0050】
このような、紫外線硬化性樹脂に無機フィラー及び有機フィラーを配合して一体化した印刷受容層の形成方法は、特に限定されない。尚、このような印刷受容層の厚さは、通常、20μm以上、好ましくは、25μm以上である。ただし、通常、50μm以下、好ましくは、40μm以下である。印刷受容層の厚さが過度に小さいと、表面に印刷する印刷インクの十分な吸収性と定着性が得られないおそれがある。一方、印刷受容層の厚さが過度に大きいと、印刷受容層に使用する紫外線硬化性樹脂が硬化する際の収縮により、基板101の反りの発生が大きくなり、また、スクリーン印刷等で印刷受容層を形成する際に、複数回重ねて塗布する必要があり、生産性が低下するおそれがある。更に、一般に、印刷受容層を過度に厚く塗布すると表面粗さが大きくなり、印刷画像の質が低下するおそれがあるので好ましくない。
【0051】
このような印刷受容層における溶媒吸収領域の厚さは、通常、印刷受容層の基板101側の端面から5μm以上、好ましくは、10μm以上である。ただし、通常、25μm以下、好ましくは、20μm以下である。また、印刷受容層におけるインク定着領域の厚さは、通常、印刷受容層の表面から5μm以上、好ましくは、10μm以上である。ただし、通常、25μm以下、好ましくは、20μm以下である。
【0052】
以上、本実施の形態が適用される光記録媒体100について詳述したが、本実施の形態は上述した態様に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、無機フィラー配合層105と表面層106との間に、必要に応じて他の層を設けてもよい。また、記録層102以外に他の記録層を設け、複数の記録層を有する光記録媒体を形成してもよく、これらの記録層間に必要に応じて他の層を設けてもよい。
【0053】
また、基板入射型光記録媒体のうち、DVD−R、DVD−RW等の2枚の基板を貼り合わせてなる光記録媒体の場合は、光情報を記録するために光を入射する基板と反対側のいわゆるダミー基板側に、直接又は他の層を介して、最外層として無機フィラー配合層、表面層及び印刷受容層を設けることができる。
【0054】
さらに、基板入射型光記録媒体に限定されずに、基板/反射層/記録層/保護層等からなる積層構造を有し、保護層側(即ち、膜面側)からレーザ光を照射して情報の記録・再生を行う膜面入射型光記録媒体の場合は、膜面側ではなく、基板側に、直接又は他の層を介して、最外層として無機フィラー配合層、表面層及び印刷受容層を設けることもできる。
【0055】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本実施の形態を、より具体的に説明する。尚、本実施の形態は、実施例に限定されるものではない。また、実施例、比較例及び表中の部又は%は、特に断らない限り総て重量基準である。
(光記録媒体(CD−R)の調製)
射出成形により、幅0.45μm、深さ155nmのグルーブを有し、厚さ1.2mmのポリカーボネート樹脂製基板を成形した。この基板上に、含金属アゾ系色素のフッ素アルコール溶液をスピンコートにより塗布し、90℃で15分間乾燥して、厚さ70nmの記録層を形成した。次に、この記録層上に、銀Agをスパッタリングして、厚さ70nmの反射層を形成した。さらにこの反射層の上に、アクリレート系モノマーを主体にした紫外線硬化性樹脂(大日本インキ社製「SD―374」)をスピンコートで塗布した後、紫外線(UV)光を照射して硬化させ、厚さ7μmの保護層を形成し、CD−Rを作製した。次に、このCD−R上に、表1に示した樹脂組成物1及び2をそれぞれ用いて塗布膜を形成し、評価用の光記録媒体を調製した。
【0056】
【表1】
Figure 0004047214
【0057】
(インクの乾燥性の評価)
評価用の光記録媒体の表面層に、インクジェット印刷用プリンター(HP 970)を用いて黄色のインクによる印刷(大きさ:1cm四方)を行い、印刷終了後10秒間放置し、次に、印刷された部分に普通紙(Epsonインクジェット上質普通紙 KA4250NP)を載せ、その上から指で約2kgの力で3回擦り、普通紙に黄色のインクを転写させた。続いて、光記録媒体の表面層に印刷されたインクの濃度と普通紙に転写したインクの濃度とを、測色機(MINOLTA CR200)を用いてそれぞれ測定し、光記録媒体の表面層に印刷されたインクの濃度に対する普通紙に転写したインクの濃度比(%)を求め、インクの乾燥性として評価した。数値が小さい程、普通紙に転写するインク量が少なく、乾燥性が良好である。
【0058】
(インクの滲みの評価)
インクジェット印刷用プリンター(HP 970)を用いて、評価用の光記録媒体の表面層に、表2に示すように、4色のインク(黒、シアン、マジェンタ、黄)を用いた6通りの組合せの印刷を行った。表面層には、図2に示すように、10mm四方の外升の色(外升色)と、この外升の中に設けた5mm四方の内升の色(内升色)とが、それぞれ反対色になるように印刷した。次に、図2に示すように、内升色の辺長(a)と、外升と内升とを反対色にした場合の内升色の辺長(b)とをそれぞれ測定し、両辺長の差(a−b)を算出する。(a−b)が大きい程、2色が混ざり易く、インクの滲みが大きい。滲みの大きさは、6通りの組み合わせから得られた数値の合計を求め、以下の基準に基づき滲みの大きさを評価した。また、印刷後、30℃、湿度90%RHの上件で24時間加速試験を行ったものについても、同様に滲みの大きさを評価した。
◎:インクの滲みが観測されない
△:インクの滲みがわずかに観測される
×:インクの滲みが観測される
【0059】
【表2】
Figure 0004047214
【0060】
(インクの発色性の評価)
評価用の光記録媒体の表面層に、インクジェット印刷用プリンター(HP 970)を用いて黄色のインクによる印刷(大きさ:1cm四方)を行い、印刷終了後1時間放置し、その後、表面層に印刷されたインクの色彩濃度を測色機で測定し、以下の基準に基づき評価した。
◎:発色性良好
△:発色性やや不良
×:発色性不良
【0061】
(実施例1)
上記の方法により調製したCD−Rの保護層の上に、表1に示した樹脂組成物1のUV硬化樹脂組成物を、スクリーン印刷にて13μm塗布し、UVを照射して硬化させた樹脂層を形成した。次に、表1に示した樹脂組成物2のUV硬化樹脂組成物を、スクリーン印刷にて15μm塗布し、UVを照射して硬化させ表面層を形成し、表面層におけるインクの乾燥性、インクの滲みの大きさ及び発色性を評価し、以下の結果を得た。
インクの乾燥性:9.5
インクの滲みの大きさ:◎(加速試験後の滲みの大きさ:◎)
発色性:◎
【0062】
実施例1の結果によれば、有機フィラーを配合した紫外線硬化性樹脂組成物からなる印刷が可能な表面層を設けるとともに、表面層のすぐ下側に、吸水性能力が高い無機フィラーを配合した樹脂層を設けた光記録媒体は、印刷されたインクが迅速に吸収され、乾燥性が良好である。また、吸収されたインクが拡がることがなくインクの滲みが観察されない。インクの滲みは、高湿度下における加速試験後も観察されず、表面層の耐水性が良好である。さらに、測色機によるインクの発色性が良好であることが分かる。
【0063】
(比較例1)
上記の方法により調製したCD−Rの保護層の上に、表1に示した樹脂組成物2のUV硬化樹脂組成物を、スクリーン印刷にて15μm塗布し、UVを照射して硬化させた。さらに、再度、表1に示した樹脂組成物2のUV硬化樹脂組成物を、スクリーン印刷にて15μm塗布し、UVを照射して硬化させて表面層を形成し、表面層におけるインクの乾燥性、インクの滲みの大きさ及び発色性を評価し、以下の結果を得た。
インクの乾燥性:8.5
インクの滲みの大きさ:△(加速試験後の滲みの大きさ:△)
発色性:△
【0064】
比較例1の結果によれば、吸水性能力が高い無機フィラーを配合した樹脂層を設けない光記録媒体は、有機フィラーを配合した紫外線硬化性樹脂組成物(樹脂組成物2)を2度塗りすることにより、厚さ30μm程度の印刷が可能な表面層を設けた場合、印刷されたインクが迅速に吸収され、乾燥性が改良される傾向があるものの、インクの滲みの問題は解決されず、また、測色機によるインクの発色性は不十分である。
【0065】
(比較例2)
上記の方法により調製したCD−Rの保護層の上に、表1に示した樹脂組成物2のUV硬化樹脂組成物を、スクリーン印刷にて18μm塗布し、UVを照射して硬化させた樹脂層を形成し、この樹脂層におけるインクの乾燥性、インクの滲みの大きさ及び発色性を評価し、以下の結果を得た。
インクの乾燥性:16
インクの滲みの大きさ:×(加速試験後の滲みの大きさ:△)
発色性:△
【0066】
比較例2の結果によれば、無機フィラーを配合した樹脂層を設けない光記録媒体は、有機フィラーを配合した紫外線硬化性樹脂組成物により、厚さ18μm程度の印刷が可能な表面層を設けた場合は、印刷されたインクの吸収性が大幅に低下し、乾燥性が極めて不良である。また、吸収されたインクが拡がり、インクの滲みが観察されるとともに、高湿度下における加速試験後は、インクの滲みはさらに拡大する。さらに、測色機によるインクの発色性は不十分であることが分かる。
【0067】
【発明の効果】
かくして本発明によれば、印刷インクの乾燥性を低下させることなく、レーベル面に印刷インクによる滲みが低減され、且つ、発色性に優れた印刷が可能な光記録媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態が適用される光記録媒体の構造を説明するための図である。
【図2】 インクの滲みの大きさを評価するための印刷形状である。
【符号の説明】
100…光記録媒体、101…基板、102…記録層、103…反射層、104…保護層、105…無機フィラー配合層、106…表面層、107…レーザ光

Claims (13)

  1. 基板と、
    前記基板上に、照射された光により情報の記録及び/又は再生が行われる記録層を少なくとも有し、
    さらに、前記記録層上に設けられた無機フィラーと吸水性ポリマーを含有してなる無機フィラー配合層と、
    前記無機フィラー配合層上に設けられ、有機フィラーを配合してなる表面層と、を有する
    ことを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記吸水性ポリマーが、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルのホモポリマーまたはコポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 前記無機フィラー配合層における前記無機フィラーの配合量が、20重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光記録媒体。
  4. 前記表面層における前記有機フィラーの配合量が、10重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の光記録媒体。
  5. 前記無機フィラーが、酸化珪素、酸化チタン、炭酸カルシウム、アルミナ及び水酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の光記録媒体。
  6. 前記有機フィラーが、リグニン、プロテイン、セルロース及び絹の粉末から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の光記録媒体。
  7. 前記無機フィラー配合層が、紫外線硬化性樹脂及び前記無機フィラーを配合してなることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の光記録媒体。
  8. 前記表面層が、紫外線硬化性樹脂及び前記有機フィラーを配合してなることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の光記録媒体。
  9. 前記紫外線硬化性樹脂が親水性樹脂であることを特徴とする請求項又は記載の光記録媒体。
  10. 基板上に、照射された光により情報の記録及び/又は再生が行われる記録層を少なくとも有し、さらに、前記基板と反対側の表面層として、印刷インクにより印刷が可能な印刷受容層を有する光記録媒体であって、
    前記印刷受容層の前記基板側に形成され、前記印刷インクの溶媒を吸収する溶媒吸収領域と、
    前記印刷受容層の前記基板と反対側に形成され、前記印刷インクを定着するインク定着領域と、を有し、
    前記溶媒吸収領域が無機フィラーと吸水性ポリマーとを含有する
    ことを特徴とする光記録媒体。
  11. 前記吸水性ポリマーが、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルのホモポリマーまたはコポリマーであることを特徴とする請求項10に記載の光記録媒体。
  12. 前記溶媒吸収領域は、紫外線硬化性樹脂に対する無機フィラーの配合量が有機フィラーに比較して多く配合され、前記インク定着領域は、前記紫外線硬化性樹脂に対する前記有機フィラーの配合量が前記無機フィラーに比較して多く配合されること特徴とする請求項10又は11に記載の光記録媒体。
  13. 前記印刷受容層の厚さは、20μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の光記録媒体。
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