JP4530361B2 - 物質検出素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は物質検出素子に関するものである。
溶液中や粘性の高いガス中で用いるQCMは、両面を暴露するよりも、片面のみを暴露する方がQ値を高くでき、より高い感度が実現できる。非特許文献1記載のQCMセンサでは、リング状の支持具上に平板状振動子の片面を載せ、両者をOリングを用いてシールしている。そして、検査対象である液体を平板状振動子の片面側にパイプを通して送り込み、循環させる。この状態で平板状振動子の振動周波数の変化から、液体中の目的物質の量を検出する。
「水晶発振子の水溶液中における挙動とその微量シアン化合物イオン定量法への応用」野村俊明ら 日本化学会,1980,(10),p1621-1625
特許文献1によれば、図17に示すように、水晶振動子1を容器2内に保持させ、試料に晒す振動子表面のみを露出させてその周辺をOリング3等でシールし、水晶振動子の電極1A,1Bからリード線を使って発振回路またはインピーダンス測定回路4に接続する装置が図示されているが、これは非特許文献1の装置と同種のものである。また、特許文献1記載の発明では、高周波用の薄い水晶基板を用いて電極の形成部を周辺部の厚みよりも薄くした構造のセンサデバイス本体を作製している。更に、このセンサデバイス本体よりも厚みを大きくした水晶基板製または石英基板製の基板ホルダを作製し、このセンサデバイス本体と基板ホルダとを貼り合わせている。この構造により、センサデバイスを高周波化するために電極部を薄くするためのエッチング量を少なくし、しかも水晶基板を割れ等から保護することを開示している。特許文献2にも類似の素子が記載されている。
なお、本出願人は、振動子の振動変位の変化によって物質の吸着量を測定する素子を提案している(特許文献3)。
WO00/26636 特開2000−258324 特開2005−98986
しかし、特許文献1、2記載のような構造では、水晶等の平板状振動子にエッチングによって部分的に溝を形成し、この溝の底部に駆動電極を形成する必要がある。この構造の素子では、液中の目的物質量の測定値について、素子ごとのバラツキがかなり大きくなり、素子ごとの測定再現性が悪くなっていた。このため、素子の実用性に限界があった。
本発明の課題は、振動子と支持基板とを一体化して液中の目的物質を検出する素子において、素子の測定値の再現性を向上させることである。
本発明は、液中に浸漬して目的物質を検出するための物質検出素子であって、
平板状振動子、
平板状振動子の第一の主面側に設けられ、液と接触して目的物質と相互作用させるための検出膜、および
平板振動子を支持する支持基板を備えており、
平板状振動子と前記支持基板とが接合されており、平板状振動子の他方の第二の主面と支持基板との間に、液から隔離される密閉空間が形成されており、目的物質と検出膜との相互作用に基づく平板状振動子の振動状態の変化に基づいて目的物質を検出する物質検出素子を製造する方法であって、
平板を支持基板に対して接合する接合工程、および
次いで平板を研削加工して平板の厚さを減少させることによって平板状振動子を形成する加工工程
を有することを特徴とする。
本発明者は、特許文献1、2に記載のような素子において、素子ごとに測定値のバラツキが大きくなる原因について検討し、次の知見を得た。即ち、特許文献1、2に記載のような素子では、振動子に電極形成用の溝を水晶のエッチングで形成するのに際して、エッチングされた溝の形状、深さ、体積などに微細なバラツキが生じ易く、このような微細なバラツキが振動子の振動周波数の特性に影響し、素子ごと、振動子ごとに検出値が変動しやすいことを見いだした。
本発明者はこの知見に立ち、平板状の振動子を使用し、平板状振動子を支持基板に対して、両者の間に密閉空間を形成できるように接合一体化した。これによって、密閉空間内への液の侵入を防止し、振動子の測定面側のみに液を接触させることができる。これと共に、平板状振動子の主面を略平坦としていることから、平板状振動子にエッチングによって凹部を設ける必要性をなくすことができる。これによって、前述した素子ごとの測定値のバラツキを低減し、測定値の再現性を向上させることに成功した。
更に、本発明の製造方法によれば、研削加工前に平板の支持基板への接合が終わっているので、薄い平板状振動子を支持基板へと接合する工程が不要であり、従ってこれによる平板状振動子の割れやクラックを回避できるので、平板状振動子の厚さを小さくすることが可能である。
本発明において、平板状振動子とは、第一の主面および第二の主面が実質的に平坦な振動子である。言うまでもなく、各主面には、加工に起因するバラツキや表面粗さ、うねりや凹凸が存在していてよい。各主面における各最大粗さは、特に限定されないが、0.3μm以下であることが好ましい。
平板状振動子の厚さは特に限定されないが、平板状振動子が薄い方が、検出膜と目的物質との相互作用による振動状態への影響が大きく、従って検出感度が高くなる。この観点からは、平板状振動子の厚さのバラツキは、厚さの平均値の±1%以内であることが好ましい。
平板状振動子の材質は特に限定するものでないが、水晶、LiNbO、LiTaO3、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体(Li(Nb,Ta)O3)単結晶、ホウ酸リチウム単結晶、ランガサイト単結晶等からなる圧電単結晶を使用できる。あるいは、振動子をセラミックスによって形成できる。このセラミックスの種類は特に限定されず,アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素、コージェライトなどのアルミノ珪酸塩、あるいはそれらに添加物を加えたものを例示できる。
支持基板の材質も特に限定されないが、以下を例示できる。
水晶、LiNbO、LiTaO3、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体(Li(Nb,Ta)O3)単結晶、ホウ酸リチウム単結晶、ランガサイト単結晶等からなる圧電単結晶を使用できる。振動子に用いる圧電単結晶と同一の基板を支持基板として使用すると熱膨張が一致して温度変化によって反りが生じにくい。また、シリコン、GaAsなどの半導体基板、パイレックス(登録商標)、BK7、合成石英、もしくは、強度の高い結晶化ガラスなどのガラス基板、サファイア、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素、コージェライトなどのセラミック基板などを例示できる。
振動子に基本振動を励起するための駆動手段は特に限定されない。一実施形態においては、圧電性材料によって形成された振動子の表面に駆動電極を設け、この駆動電極を駆動手段とする。また、他の実施形態においては、振動子の表面に圧電性材料を取り付け、この圧電性材料を伸縮させることによって振動子に基本振動を励振することができる。
また、振動子の振動状態を測定する検出手段の種類も特に限定されない。一実施形態では、圧電材料からなる振動子上に形成された検出電極であり、また他の実施形態では、振動子上の圧電材料に設けられた検出電極である。検出手段は、このような検出電極が好ましいが、これには限定されない。例えば、レーザ変位計で振動子の中心軸およびその付近の変位を計測することができる。
前述した駆動電極、検出電極は、導電性膜によって構成することができる。こうした導電性膜としては、金膜、金とクロムとの多層膜、金とチタンとの多層膜、銀膜、銀とクロムとの多層膜、銀とチタンとの多層膜、鉛膜、白金膜等の金属膜、TiO等の金属酸化物膜が好ましい。金膜と酸化物単結晶、例えば水晶とは密着性が低いので、金膜と振動子、特に水晶振動子との間には、下地層、例えば少なくともクロム層またはチタン層を介在させることが好ましい。
目的物質の検出膜は、前記した検出電極および/または駆動電極と兼用であってよく,また駆動電極および検出電極とは別体であってよい。また、検出膜は、目的物質の吸着膜であってよいが、目的物質と化学反応して重量変化する反応性膜であってもよい。
検出膜の材質は、検出膜が前述した検出電極および/または駆動電極と兼用である場合には、電極材料、例えば導電性材料であってよい。例えば、金膜、金とクロムとの多層膜、金とチタンとの多層膜、銀膜、銀とクロムとの多層膜、銀とチタンとの多層膜、鉛膜、白金膜等の金属膜、TiO等の金属酸化物膜が好ましい。金膜と酸化物単結晶、例えば水晶とは密着性が低いので、金膜と振動子、特に水晶振動子との間には、下地層、例えば少なくともクロム層またはチタン層を介在させることが好ましい。
また、検出膜が電極と別体である場合には、以下を例示できる。
ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)(PBA)、ポリ(エチレンサクシネート)(PES)、ポリ(2,6−ジメチル−p−フェニレンオキシド)(PPO)、ポリ(エチレンアジペート)(PEA)、ポリ(エチレンアゼレート)(PEAz)、ポリ(2,2−ジメチル−1,3−プロピレンサクシネート)(PPS)、ポリ(トリメチレンアジペート)(PTA)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンサクシネート)(PCS)、ポリ(トリメチレンサクシネート)(PTS)、
また、検出膜を製造する方法としては、浸漬法、スピン塗布法を例示できる。
検出膜によって検出されるべき物質としては、以下を例示できる。
イソアミルアセテート、フェニルエチルアルコール、p-アニスアルデヒド、シトラール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、α-テルピネオール等のにおい物質、ダイオキシンなどの環境ホルモン、たんぱく質、DNA、抗原抗体などの生体物質、グリコース、アルコール、尿素、尿酸、乳酸などの化学物質
また、検出膜と目的物質とが化学反応する場合の検出膜および目的物質の材質の組み合わせとしては、以下を例示できる。
下に示す各対は、目的物質と検出膜材質との組み合わせを示す対である。従って、各対から、一方を目的物質として選択すると、他方が検出膜の材質となる。
抗体−抗原、ホルモン−ホルモンレセプター、アビジン/ストレプトアビジン−ビオチン、酵素−酵素基質または酵素インヒビター、レクチン−カルボキシハイドレート、脂質−脂質結合タンパク質または膜会合タンパク質、レセプター−伝達物質、タンパク質−タンパク質、タンパク質−ポリヌクレオチド、DNA−DNA、DNA−RNA、RNA−RNA
本発明において、被測定系を構成する液の主成分は以下を例示できる。
リン酸緩衝液(PBS):リン酸2水素ナトリウム・2水(リン酸1ナトリウム)、リン酸水素2ナトリウム・12水(リン酸2ナトリウム)、蒸留水、塩化ナトリウム
本発明において、振動子の振動状態の変化は、数値化可能であれば特に限定されない。以下を例示できる。
(1) 振動周波数を測定し、目的物質と検出膜との相互作用による検出膜の質量変化に基づく振動周波数変化から、物質の存在を検出し、また物質の濃度を計測する。
(2) 振動のQ値を測定し、目的物質と検出膜との相互作用による検出膜の質量変化に基づくQ値の変化から、物質の存在を検出し、また物質の濃度を計測する。
(3) 振動子の振動変位を測定し、目的物質と検出膜との相互作用による検出膜の質量変化に基づく振動変位の変化から、目的物質の存在を検出し、また物質の濃度を計測する。この方法によれば、周波数の変化を測定する場合に比べて、単位質量変化当たりの感度を向上させることが可能である。しかも、ねじれ弾性率μ、厚さ方向弾性率Cyなどの温度特性等の環境変化は、振動子の全体にわたって生ずる。この際、本例においては、振動子の変位のバランス変化は、振動子の全体にわたって生ずるので、測定前後における振動変位の変化には影響しない。従って、質量変化のみを正確に測定することができる。
(3)の好適な実施形態においては、基本振動において、振動変位が振動子の中心軸に対して略対称である。また、好適な実施形態においては、非測定時において、検出手段からの検出値が略0となるようにする。この場合には、略0からの変位を検出するので、一層測定感度が向上する上、環境変化の影響を低減できる。
振動の種類は特に限定されず、振動励起手段の厚み振動であってよく、振動アームの伸縮振動であってよく、振動アームの屈曲振動であってよい。
本発明において、検出手段から得られる物理量の種類は限定されないが、感度の点から振動変位が特に好ましい。他の物理量としては電気抵抗、応力、加速度を例示できる。また、例えば、レーザ変位計で振動子の中心軸およびその付近の変位を計測することができる。
平板状振動子と支持基板とを接合する接合手段は特に限定されず、通常の接合剤であってよい。この際、平板状振動子と支持基板との間の接合手段は、接合剤単独であってよい。この場合には、支持基板には、密閉空間を形成するための凹部があらかじめ形成されている必要がある。あるいは、支持基板と平板状振動子との間には、密閉空間を成形するためのスペーサーを設けることができる。
接合剤の種類は限定されず、シリコーンRTVゴム、シリコーンゲルなどの脱アルコール型、脱アセトン型、脱オキシム型、脱酢酸型、付加反応型などの種々のシリコーン系の接合剤、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴムなどの合成ゴム、テフロン(登録商標)、四フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂、エポキシ系やアクリル系やビニル系の接合剤を例示できる。また、セメントのような無機系の接合剤でもよい。あるいは、金属を介した陽極接合も利用できる。さらに基板によっては、ウエハ直接接合も利用でき、この場合には接合剤を必要としない。
また、スペーサーの材質は、前述した支持基板や平板状振動子の例示材質から選択できる。
密閉空間を液から隔離する方法は限定されない。一実施形態では支持基板と振動子との間をシール性能のある接着剤で接着する。あるいは、両者の間に、Oリングのようなシーリング材を配置することができる。更に、支持基板と振動子とを接合した後、両者の界面に沿ってシーリング剤を塗布し、乾燥することによって、シールを行うことができる。
平板状振動子と支持基板との間に空間を形成するための構造は特に限定されない。一実施形態においては、支持基板に、密閉空間を形成するための凹部を設ける。他の実施形態においては、支持基板と平板状振動子との間にスペーサーを設けることによって、両者の間に密閉空間を成形する。更に、支持基板に密閉空間を形成するための凹部を設け、かつ、支持基板と平板状振動子との間にスペーサーを設けることができる。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明を更に詳細に説明する。
図1〜図5は、いわゆるATカット水晶振動子の厚みすべり振動を使用する実施形態に係るものである。図1は、素子1を示す斜視図であり、図2は、素子1を概略的に示す断面図であり、図3(a)は、素子1の上面図であり、図3(b)は、平板状振動子2を裏面2b側から見た平面図であり、図4(a)は、平板状の支持基板8を示す底面図であり、図4(b)は、支持基板8上にスペーサー6を載せた状態を示す平面図である。
本例では、平板状振動子2の第一の主面2a上に電極3Aが形成されており、第二の主面2b上に電極3Bが形成されている。また、平板状支持基板8の上面8a上にスペーサー6が接合層7によって接合されている。そしてスペーサー6と平板状振動子2の主面2bとが接合されている。スペーサー6と支持基板8との接合、スペーサー6と支持基板2との接合は、いずれも液密状態でなされている。支持基板8と平板状振動子2との間には密閉空間9が形成されており、空間9に対して対向電極3Bが露出している。空間9の高さはスペーサー6の厚さによって制御する。空間9内は真空、減圧状態であってよく、あるいは窒素ガスなどの不活性ガスが充填されていてよく、あるいは大気であってよい。
この素子の動作は、いわゆるQCM素子の動作と同様である。即ち、電極3Aと対向電極3Bとの間に交流信号電圧を印加し、厚みすべり振動を振動子2内に発生させる。この振動においては、質量変化と周波数変化との間には以下の関係がある。電極3Aに目的物質が吸着すると、振動子の振動周波数が変化する。従って、Δf(基本周波数の変化)を測定することにより、Δm(質量変化)を算出することができる。
Δf=−2Δmf/A(μρ)1/2
Δf: 基本周波数の変化
f: 基本周波数
Δm: 質量変化
A: 電極面積
μ: 水晶のねじれ弾性率=1011dyn/cm
ρ: 水晶の密度=2.65g/cm
図1〜4の例においては、スペーサー6を使用することで密閉空間9を形成したが、図5の例では、支持基板8Aに凹部を設けることで密閉空間を形成している。図5(a)は、この例の素子で使用する支持基板8Aの断面図であり、図5(b)は、支持基板8Aを用いた素子1Aの断面図である。
本例においては、平板状振動子2の第一の主面2a上に電極3Aが形成されており、第二の主面2b上に電極3Bが形成されている。また、平板状支持基板8の上面8a側には凹部8cが形成されている。そして、支持基板8A上に振動子2の主面2bが接合層7によって液密に接合されている。そして、支持基板8と平板状振動子2との間には密閉空間9が形成されており、空間9に対して対向電極3Bが露出している。空間9の高さは、凹部8cの深さによって制御する。空間9内は真空、減圧状態であってよく、あるいは窒素ガスなどの不活性ガスが充填されていてよく、あるいは大気であってよい。この素子の動作は、図1〜図4の素子の動作と同じである。
本発明においては、平板状振動子の厚さを小さくするほど、質量検出感度が向上する。しかし、平板状振動子は例えば水晶のような圧電性結晶からなるので、研磨加工して厚さを小さくすると機械的強度が低下する。そして薄くなった平板状振動子を支持基板に接合するときに、平板状振動子に割れやクラックが発生しやすい。従って、通常の製造方法では、平板状振動子の厚さを、ある程度以上小さくすることは難しい。
そこで、平板状振動子の元となる厚さの大きい平板を支持基板に対して接合固定し、次いで平板を研削加工して厚さを減少させ、平板状振動子として使用可能な所定厚さとする。この方法によれば、研削加工前に平板の支持基板への接合が終わっているので、薄い平板状振動子を支持基板へと接合する工程が不要であり、従ってこれによる平板状振動子の割れやクラックを回避できるので、平板状振動子の厚さを小さくすることが可能である。
例えば、図1〜図4の素子を製造する際には、図6(a)に示すように、スペーサー6上に平板10を接合し、固定する。この段階で平板10と支持基板8との間には空間9が形成され、空間9に平板10の底面10bが露出する。次いで、平板10の上面10aに研削加工を行うことによって、その厚さを小さくし、図6(b)に示す状態とする。このような研削加工はマイクログラインダーなどによって可能である。次いで、平板状振動子の主面2aに電極3Aを形成する。
また、好適な実施形態においては、基本振動が、振動子の厚さ方向のねじれ振動モードである。図7〜図10は、この実施形態に係るものである。
図7は、検出素子11を模式的に示す斜視図であり、図8は、検出素子11を模式的に示す平面図であり、図9は検出素子11の断面図である。図10(a)は、厚みねじれ振動モードを説明するための平面図であり、図10(b)は、厚みねじれ振動モードを説明するための斜視図であり、図11は回路例を示す。
図7、図8に示すように、素子11の平板状振動子2は例えば角板形状をしている。振動子2の主面2a上には、駆動電極13A、13B、検出電極19Aが形成されており、主面2b上には、駆動電極13C、13Dおよび検出電極19Bが形成されている。14はリードであり、15はリード端子である。
また、平板状支持基板8の上面8a上にスペーサー6が接合層7によって接合されている。そしてスペーサー6と平板状振動子2の主面2bとが接合されている。スペーサー6と支持基板8との接合、スペーサー6と支持基板2との接合は、いずれも液密状態でなされている。支持基板8と平板状振動子2との間には密閉空間9が形成されており、空間9に対して対向電極13C、13D、19Bが露出している。空間9の高さはスペーサー6の厚さによって制御する。空間9内は真空、減圧状態であってよく、あるいは窒素ガスなどの不活性ガスが充填されていてよく、あるいは大気であってよい。
あるいは、図5に示すように、平板状支持基板8の上面8a側に凹部8cを形成することができる。この場合には、支持基板8A上に振動子2の主面2bを接合層7によって液密に接合し、支持基板8と平板状振動子2との間には密閉空間9を形成する。空間9の高さは、凹部8cの深さによって制御する。
本例の素子では、駆動電極13Aと13Bの一方に測定対象物質が付着すると、振動子2の中心軸Dの左右における質量のバランスが崩れる。この結果、中心軸Dに対する駆動振動A、Bの線対称性が崩れ、検出電極19Aと19Bとの間に、駆動振動と同相の信号電圧が発生する。この信号電圧に基づいて質量を算出する。
即ち、検出電極19A、19Bの間で振動子に変位が生ずると、端子Pと接地端子PGとの間で電圧が生ずる。この電圧差を信号処理部分26の検出増幅器29で検出し、駆動振動によって位相検波回路20で位相検波する。そして、駆動振動と同相の振動をローパスフィルター31に通し、出力する。なお、24は駆動回路であり、28は自励振回路である。
ここで、中心の検出電極19A、19Bにおける検出信号は、非測定時においては略ゼロとなるようにする。これは、駆動振動の変位A、Bが、振動子2の中心軸Dに対して略線対称となっているために、検出電極19A、19Bの間の領域における振動子の振動変位はほぼゼロとなるからである。
上の例では、電極に対して目的物質を吸着させたが、電極と別体の吸着膜を設けることができる。図12、図13の素子11Aはこの例に係るものである。図12、図13の素子11Aの各部分の構成および動作は、図7〜図10に示した素子11と同じであるので、その説明を省略する。ただし、素子11Aにおいては、電極13A、13Bに目的物質の吸着能力がなく、また電極13Bを被覆するように吸着膜18が設けられている。
吸着膜18に測定対象物質が付着すると、振動子2の中心軸Dの左右における質量のバランスが崩れる。この結果、中心軸Dに対する駆動振動A、Bの線対称性が崩れ、検出電極19Aと19Bとの間に、駆動振動と同相の信号電圧が発生する。この信号電圧に基づいて質量を算出する。
また、図14、図15の素子11Bでは、電極13A、13Bに目的物質の吸着能力がなく、また電極13A上に、電極13Aの一部を被覆するように所定形状の吸着膜17が設けられている。吸着膜17に測定対象物質が付着すると、振動子2の中心軸Dの左右における質量のバランスが崩れる。この結果、中心軸Dに対する駆動振動A、Bの線対称性が崩れ、検出電極19Aと19Bとの間に、駆動振動と同相の信号電圧が発生する。この信号電圧に基づいて質量を算出する。
図1〜図4に示す素子1を、図6を参照しつつ説明した方法に従って製造した。平板状振動子2はATカット水晶板によって形成した。加工前の平板10の厚さは0.1mmとし、加工後の平板状振動子2の厚さは0.001mm、縦2mm、横2mmとした。各電極は、クロム/金膜(厚さ500オングストローム)を使用した。本例では電極3A上に別体の吸着膜を、マスクを用いたパターニングによるディッピングによって形成した。吸着膜の材質は抗ヒトIgG抗体(SIGMA社、I3382)である。支持基板8の材質はATカット水晶板であり、厚さは0.3mmであった。スペーサー6はATカット水晶板によって形成し、厚さは0.1mmとした。支持基板8とスペーサー6との接着、スペーサー6と平板10との接着は、シリコーン接合剤によって行った。
この素子1を、ヒトIgG(SIGMA社、I4506)を含むリン酸緩衝液(PBS)中に浸漬し、抗体抗原反応による抗原の抗体への結合を測定した。この結果、1ngの質量の吸着を検出することが可能であった。
10個のサンプルを作製し、前記測定を行った。この結果、反応が安定した状態における測定値のバラツキは0.1ngであった。
素子1を概略的に示す斜視図である。 素子1を概略的に示す断面図である。 (a)は、素子1の上面図であり、(b)は、平板状振動子2を第二の主面2b側から見た平面図である。 (a)は、平板状の支持基板8を示す平面図であり、(b)は、支持基板8上にスペーサー6を載せた状態を示す平面図である。 (a)は、他の例の素子で使用する支持基板8Aの断面図であり、(b)は、支持基板8Aを用いた素子1Aの断面図である。 (a)は、平板10を支持基板8に対して接合した組み立て体を示す断面図であり、(b)は、平板10の研削加工後の組み立て体を示す断面図である。 検出素子11を模式的に示す斜視図である。 検出素子11を模式的に示す平面図である。 検出素子11の断面図である。 (a)は、厚みねじれ振動モードを説明するための平面図であり、(b)は、厚みねじれ振動モードを説明するための斜視図である。 素子の回路例を示す。 検出素子11Aを模式的に示す平面図である。 検出素子11Aを模式的に示す断面図である。 検出素子11Bを模式的に示す平面図である。 検出素子11Bを模式的に示す断面図である。
符号の説明
1、1A、11、11A、11B 素子 2 平板状振動子 2a 平板状振動子2の第一の主面 2b 平板状振動子2の第二の主面 3A 電極(検出膜) 3B 対向電極 6 スペーサー 7 接合層 8、8A 平板状の支持基板 9 密閉空間10 平板 10a 平板10の研磨面 13A、13B、13C、13D 駆動電極 17、18 吸着膜 19A、19B 検出電極

Claims (10)

  1. 液中に浸漬して目的物質を検出するための物質検出素子であって、
    平板状振動子、
    前記平板状振動子の第一の主面側に設けられ、前記液と接触して前記目的物質と相互作用させるための検出膜、および
    前記平板振動子を支持する支持基板を備えており、
    前記平板状振動子と前記支持基板とが接合されており、前記平板状振動子の第二の主面と前記支持基板との間に、前記液から隔離される密閉空間が形成されており、前記目的物質と前記検出膜との相互作用に基づく前記平板状振動子の振動状態の変化に基づいて前記目的物質を検出する物質検出素子を製造する方法であって、
    平板を前記支持基板に対して接合する接合工程、および
    次いで前記平板を研削加工して前記平板の厚さを減少させることによって前記平板状振動子を形成する加工工程
    を有することを特徴とする、物質検出素子の製造方法
  2. 前記検出膜が前記目的物質の吸着能を有する吸着膜であることを特徴とする、請求項1記載の方法
  3. 前記検出膜が、前記平板状振動子に基本振動を励振するための電極として機能することを特徴とする、請求項1または2記載の方法
  4. 前記平板状振動子の前記第一の主面側に、前記検出膜とは別に設けられた、基本振動を励振するための電極を備えていることを特徴とする、請求項1または2記載の方法
  5. 前記平板状振動子の前記第二の主面側に、前記基本振動を励振するための対向電極を備えていることを特徴とする、請求項3または4記載の方法
  6. 前記振動状態の変化が振動周波数の変化であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の方法
  7. 前記振動状態の変化が振動変位であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の方法
  8. 前記振動が、前記振動子の厚みねじれ振動モードであることを特徴とする、請求項7記載の方法
  9. 前記支持基板に、前記密閉空間を形成するための凹部が設けられていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つの請求項に記載の方法
  10. 前記支持基板と前記平板状振動子との間にスペーサーを備えていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つの請求項に記載の方法
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