JP4228993B2 - フローセル型qcmセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、水晶基板とその両面に形成した励振電極との間に電気的共振動作を得る水晶振動子などの振動子を使用し、この振動子の電極表面を試料ガスや試料溶液に晒したときの振動子の共振周波数の変化やインピーダンスの変化から試料の成分を検知・定量するQCM(Quarz Crystal Microbalance)センサに関し、特に試料成分の検知・定量の応答速度を高めたフローセル型QCMセンサにおけるセル構造に関する。
化学・生化学および電気化学の分野において、反応量や生成物質量を定量することは重要なことであるが、従来装置では極めて微量の反応量に対して十分な検出感度を得ることは難しかった。
近年、ATカット水晶振動子を用いてマイクロバランス原理を応用したケミカル及びバイオセンサーが注目を集めている。ATカット水晶振動子は、その主共振周波数が振動子の板厚と反比例する現象を呈し、その電極面に試料成分が成膜したり、あるいは物質の吸着が起きると表面に存在する物質の単位平面積当たりの重量に対応した周波数のシフトが起きる。
QCMセンサは、上記の周波数シフト現象を応用したもので、ATカット水晶振動子は広い温度範囲において周波数が安定しているため、安定した検出感度が期待でき、条件が揃えば1〜10ngの吸着物質の検出がリアルタイムで可能である。(1)式に吸着物質量と周波数のシフト量の関係を示す。
まず、ATカット水晶振動子の共振周波数は
Figure 0004228993
vはさらに、
Figure 0004228993
で表わされる。ここで,f0:水晶振動子の主共振周波数、vq:厚みすべり振動の音響波(横波)の伝播速度、tq:水晶振動子の厚み、μq:水晶の剛性率、ρq:水晶の密度である。
この主共振を持つ水晶振動子の厚み変化Δtによる共振周波数変化率Δfは(1)、(2)式より
Figure 0004228993
で表わされる。さらに、水晶の厚み変化Δtは、Δt=Δm/ρqである。ここで、Δmは単位表面積当たりの質量変化である。水溶液中にQCMを浸漬すると、溶液の密度及び粘性率が気相中と比べて高い。従って、厚みすべり振動の音響波が溶液側に減衰して伝わり、共振周波数が減少する。これは、水晶振動子上に有効厚さの液膜層が形成された状態と等価であるとみなすことができる。この液膜層の有効厚さd1は、水溶液がニュートン流体であるとすると、
Figure 0004228993
で近似される。ここで,v1:水溶液の動粘性率、η1:水溶液の粘性率、ρ1:水溶液の密度、f1:水溶液中の水晶振動子の共振周波数であり,v1=μ1/ρ1である。
QCMを溶液中で使用する場合、両電極間の絶縁を保つため、水晶振動子の片面のみを溶液に浸漬する。水晶振動子の片面のみを浸漬する場合、電極の単位面積当たりの見かけの質量変化Δm1は(4)式より、以下の(5)式となる。
Figure 0004228993
ここで、f1=f0として、(5)式を(3)式に代入すれば,溶液に水晶振動子を片面のみ浸漬する場合の共振周波数変化Δfは、
Figure 0004228993
で表わされる。(6)式から分かるように、全体感度を上げるには主共振周波数f0を上げることが重要となる。従って、センサとして用いる水晶振動子の主共振周波数を高くするほど、高感度のセンサとすることができる。
ここで、ATカット水晶振動子は,厚みすべりのモードを使用しているため,主共振周波数f0はその厚みtqと反比例する。したがって、高周波用の水晶振動子は電極面積が小さく、しかも水晶厚の薄いものが必要となる。水晶振動子を高周波に対応した薄い水晶基板とする場合、水晶振動子はその電極面に試料溶液を溜めるためのシール部材が接着され、シール部材を介して加えられる機械的な応力(ストレス)により基板が歪んだり割れたりするため、高周波化を難くしていた。この対策として、Zuxuan Linら(Z.Lin,C.M.Yip,I.S.Joseph and M.D.Warad,Anal.Chem.65,1546 (1993))らにより基板の中央部のみを薄くする方法で30MHz以上の高周波QCMセンサデバイスを作製する方法が提案されている。この場合、水晶振動子の枠にあたる部分は従来用いられていた5〜6MHz相当(0.3mm程度)の厚みを持っており、シール部材によって大きな歪みを発生することもない。また、薄板化された部分は電極面積を十分に小さく取ってエネルギートラップが起こっているため、枠の影響を受けにくくすることができる。
一方、QCMセンサには応答速度を高めること、換言すれば測定時間の短縮が要望される。このことを以下に説明する。
上記(3)式から分かるとおり、水晶振動子上に吸着した物質のうち、検知・定量できるのは水晶振動子の電極上に吸着した分のみであるため、検知・定量しようとする成分に応じたレセプタは電極表面に形成させることとなる。
実際の測定では、検知・定量したい試料が溶液中に分散されている場合、上記のレセプタ装着水晶振動子を図6または図7に示すセンサ構成で設置することとなる。しかし、これらのセンサ構成では以下の問題がある。
1)図6に示す静置溶液型セルでは、レセプタと検知・定量したい試料との結合は、溶液中の試料の拡散率に律速されるため、反応速度が遅い。
2)図7に示す試料溶液強制撹絆型セルでは、撹拌により試料溶液の拡散律速を抑制する効果はあるが、溶液中の試料成分が必ずしもレセプタである水晶振動子電極上に到達するとは限らない。特に、溶液中の試料成分が希薄になるに従い撹拌効果は減少するものと考えられる。
上記の反応速度を高める方式として、フローセル型に構成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この文献によるフローセル型の測定装置は、水晶振動子上に溶液を流入および水晶振動子の電極上を流れた溶液を排出させる流路をもつフローセル構造とする。
特許文献1に開示されるフローセル構造は、図8に示すように、アクリル樹脂製の保持基板1上に、水晶振動子2の電極3に対応させた孔を有するシリコーンゴム製の弾性シート4が置かれ、その上に水晶振動子2とフレキシブル基板5とが重ねられる。さらに、水晶振動子2とフレキシブル基板5の上に弾性シート4と同じ形状のシリコーンゴム製の弾性シート6が重ねられる。最上部にアクリル樹脂製のフローセル蓋部7が載せられる。これらは固定ネジ8によって一体に固定される。試料溶液は、フローセル蓋部7に設けた流入口9から水晶振動子2上に注入され、流出口10から排出される。
強制撹絆型セルの測定として、図9に示すように検出物質にCRP(C-Reactive Protein:C−反応性蛋白)を用い、撹拌子の回転数を90rpm、溶液量9mLのバッファー溶液中に図中で示された各濃度を添加することで最小検出可能濃度を判定した。これにより、強制撹絆型セルを用いた場合には、明らかに質量付加に起因したQCMの周波数変化が観測できる。CRP濃度は1160ng/mLを10μL滴下した時点であり、これは、セル中に投入した総CRP量から換算して2.25ng/mL濃度となる。したがって、この系での最小検出可能CRP濃度は2.25ng/mLとなる。
これに対して、フローセル型では、幅4.4mm、高さ1.5mmの流路にあらかじめ1.185ng/mL濃度に調整したCRP溶液を流速400μL/minの条件で反応させたところ、図10に示したとおり短時間で非常に速い反応を示した。これらの測定例から明らかなように、フローセル構造を用いることで反応時間短縮および低濃度試料の検出が可能である。
特開平11−183479号
上記のように、QCMセンサは、水晶基板の励振電極部を薄くし、周辺部を厚くすることで、機械的強度を高めるとともに主共振周波数の高周波化を図って感度を高め、フローセル型にして応答時間を短縮することができる。
しかし、従来のQCMセンサは何れも1セル内に1つのセンサしか配置されていない。従って、従来のQCMセンサは1サンプルから1度に1つの成分の測定しか行えない。このことは、例えば、複数の成分を含む試料溶液から各成分を検知・定量するには、成分毎にそれを検知・定量できる複数のQCMセンサを用意した並行測定または1つのQCMセンサで複数回測定することになり、いずれも1つのQCMセンサで1サンプル測定という制約された測定になり、複数の成分測定にはそれだけ測定時間が長くかかるし、測定コストも高くなるという問題がある。
また、QCMセンサは質量付加以外にも(6)式に示したように溶液の粘性変化や溶液のpH変化などの影響を受けることも知られており、この影響をキャンセルするには参照用のQCMセルを設ける必要があった。
一方、従来のフローセル型QCMセンサは、図8に示すように、水晶振動子をシリコーンゴムなどの高分子弾性シートで上下から挟み込むようになっているため、薄い水晶振動子板には歪みが生じ、常に応力がかかった状態で保持されている。これは、破損の危険性があるだけではなく、組み込まれたフローセル中に試料溶液を注入した場合、水晶振動子板と高分子弾性シートとの接触面に試料溶液が染み込んでいくことがあれば応力が開放されて水晶振動子の共振周波数が変動することとなる。また、従来の構造は、フローセル構造体として組み立てるには厚みの薄い水晶振動子を直接取り扱うことになり、作業が煩雑で慎重を要するものであった。さらに、水晶振動子とパッキン(高分子弾性シート)との接触圧力は固定ネジにより調整するため、再現性が悪く、接触圧力も部位により不均等になる。
本発明は、1回の測定で複数成分の検知・定量を得ることで測定時間を短縮し、しかもセルの組み立てを容易にしながら再現性よく安定した測定ができるフローセル型QCMセンサを提供することを目的とする。
本発明は、前記の課題を解決するため、振動子は電極を隣接させて複数個所に設けたマルチチャンネル構造とし、各電極には検知・定量しようとするサンプルの成分毎に異なるレセプタを固定化することができる構造とし、各電極には試料ガスまたは試料溶液を一度に注入・排出できるフローセル型構造とした、フローセル型マルチチャンネルQCMセンサとする。この構造により、フローセル構造による測定時間の短縮に加えて、1サンプルで電極別に異なる成分を一度の測定で検知・定量することで高速計測を得る。
また、センサの組み立て構造としては、保持基板、振動子基板、流路部などの各構成部材をガイドピンのみで案内し、各構成部材の重力を利用した積層構造、さらには重力によって押し圧を加えるための加圧ブロックを利用した積層構造とし、従来のネジによる締め付け固定で振動子に不適切な応力が加えられるのを無くす。また、組み立て作業の煩雑さあるいは組立作業に起因した再現性の低下を解消する。
以上のことから、本発明は、以下の構成を特徴とする。
(1)圧電基板とその両面に形成した一対の電極によって構成する振動子部と、この振動子部の一方の電極上に試料ガスまたは試料溶液を流す流路部を設け、この流路部に流す試料ガスまたは試料溶液中の成分吸着による振動子の共振周波数の変化またはインピーダンスの変化から試料成分を検知・定量するフローセル型QCMセンサにおいて、
前記振動子部は前記一対の電極を複数チャンネル分形成し、前記流路部は各チャンネルの一方の電極上に一括してそれぞれ試料ガスまたは試料溶液を注入および排出させる流路を構成した、振動子部と流路部の一体セル構造または一対型セル構造とし、
前記振動子部と流路部の一体セル構造または一体型セル構造の振動子をガイドピンに沿って積層し、前記振動子の複数チャンネルの各電極にそれぞれ電気的接続を得るスプリングピンを有する保持基板と、
前記振動子の上から、前記流路部に試料漏れ防止用パッキンを介して前記ガイドピンに沿って積層され、注入口から注入された試料ガスまたは試料溶液を複数チャンネルの前記流路部に一括して注入および各流路部から一括して排出する管を内装した試料分割ブロックと、
前記保持基板と振動子および試料分割ブロック間の積層を重みで加圧する加圧ブロック手段とを備えたことを特徴とする。
(2)圧電基板とその両面に形成した一対の電極によって構成する振動子部と、この振動子部の一方の電極上に試料ガスまたは試料溶液を流す流路部を設け、この流路部に流す試料ガスまたは試料溶液中の成分吸着による振動子の共振周波数の変化またはインピーダンスの変化から試料成分を検知・定量するフローセル型QCMセンサにおいて、
前記振動子部は前記一対の電極を複数チャンネル分形成し、前記流路部は各チャンネルの一方の電極上に一括してそれぞれ試料ガスまたは試料溶液を注入および排出させる流路を構成した、振動子部と流路部の一体セル構造または一対型セル構造とし、
前記振動子部と流路部の一体構造または一体型構造の振動子を前記流路部側に試料漏れ防止用パッキンを介してガイドピンに沿って積層し、注入口から注入された試料ガスまたは試料溶液を複数チャンネルの前記流路部に一括して注入および各流路部から一括して排出する管を内装した試料分割ブロックと、
前記振動子の上から、前記ガイドピンに沿って積層され、前記振動子部の複数チャンネルの各電極にそれぞれ電気的接続を得るスプリングピンを有する端子板と、
前記試料分割ブロックと振動子および端子板間の積層を重みで加圧する加圧ブロック手段とを備えたことを特徴とする。
)前記加圧ブロック手段は、前記ガイドピンに沿って、前記試料分割ブロックの上に、または前記端子板の上に加圧ブロックを積層する構成、または前記試料分割ブロックまたは前記端子板の重みで加圧する構成を特徴とする。
以上のとおり、本発明によれば、振動子には電極を隣接させて複数個所に設けたマルチチャンネル構造とし、各電極には検知・定量しようとするサンプルの成分毎に異なるレセプタを固定化することができる構造とし、各電極には試料ガスまたは試料溶液を一度に注入・排出できるフローセル型マルチチャンネルQCMセンサのセル構造としたため、以下の効果がある。
(1)一度の測定で多項目の評価が可能となる。
(2)振動子(チャンネル)の個体間のばらつきがなくなり安定性の高い計測が可能となる。
(3)フローセル型構造を採ることができ、1回の測定時間の短縮を図ることができる。
(4)測定試料溶液の調整によるばらつきがなくなり安定性の高い計測が可能となる。
また、センサの組み立て構造としては、保持基板、振動子基板、流路部などの各構成部材をガイドピンのみで案内し、各構成部材の重力を利用した積層構造、さらには重力によって押し圧を加えるための加圧ブロックを利用した積層構造としたため、従来のネジによる締め付け固定で振動子に不適切な応力が加えられるのを無くすことができる。また、組み立て作業の煩雑さあるいは組立作業に起因した再現性の低下を解消することができる。
(実施形態1)
本実施形態は、水晶基板の両面を掘り込み、これら掘り込み部の底面になる水晶基板面に電極を隣接させて複数個所にそれぞれ形成するとともに、一方の掘り込み部はその側面になる水晶基板面に試料ガス又は試料溶液を流すための流路部(フローセル部)を形成し、流路部側の各電極には検知・定量しようとするサンプルの成分毎に異なるレセプタを固定化することができる構造とした、流路部と振動子部の一体構造のフローセル型QCMセンサとし、このセル構造の流路部を2チャンネル化したマルチチャンネル構造とする。
図1は、本実施形態におけるフローセル型マルチチャンネルQCMセンサのセル構造を(a)上面図と、このA−A’線に沿った(b)側断面図で示す。鏡面仕上げされた水晶基板11の両面に、フッ酸などを用いた化学エッチング法により2チャンネル分の掘り込み部12A,12B,12C,12Dを形成する。両掘り込み部12A,12Cの底面には電極13A,13Cを形成し、これら電極13A,13Cと対向させて掘り込み部12B,12Dの底面にそれぞれ電極13B,13Dを形成する。電極13A〜13Dは、同じ対向位置で同じ形状(半径)にされ、それぞれリード電極14A〜14Dを通して外部接続端子15A〜15Dに接続される。
掘り込み部12A,12Bの面形状は電極13A,13Bを形成できるだけの大きさ(半径)にされ、掘り込み部12C,12Dの形状は試料ガス又は試料溶液を流すための流路を確保できる面形状と深さをもつ構造にされる。掘り込み部12C,12Dは、図示では、中心部が電極13C,13Dの部位になるトラック形状平面とされ、一方のコーナ部が試料ガス又は試料溶液の注入部にされ、他方のコーナ部がそれらの排出部にされる。
以上の構造としたフローセル型マルチチャンネルQCMセンサによれば、フローセル構造による測定時間の短縮に加えて、2チャンネル化したセル構造によって試料の一度の注入で2項目の同時測定ができ、測定時間をほぼ半減できる。また、1つの水晶基板を2チャンネル化したセル構造によって、2つの水晶振動子を使って並列的に測定する場合に比べて水晶振動子の個体間のばらつきがなくなり安定性の高い計測が可能となるし、1つの水晶振動子を使って2回測定する場合に比べて試料溶液の調整によるばらつきもなくなり安定性の高い計測が可能となる。
図2は、本実施形態の変形例となるセル構造を(a)上面図と、このA−A’線に沿った(b)側断面図で示し、図1と異なる部分は、流路部を、水晶振動子部と同じ切断角度(カット角)をもつ水晶基板で作製して水晶振動子部に直接接着した、流路部と水晶振動子部の一体型構造とする。
すなわち、水晶基板11Aは、その片面から化学エッチングにより掘り込んで振動子部(電極形成部分)のみを薄板化し、振動子部の両面に電極13A〜13Dを形成しする。一方、流路部の作成は、水晶基板11Aと同じ切断角度をもつ水晶基板に化学エッチングを用いてトラック形状の貫通孔を作製して水晶基板11Bを形成する。これら水晶基板11Aと水晶基板11Bとを希フッ酸を接着剤に用いて直接貼り合わせ、その後にリード電極14A〜14Dや外部接続端子15A〜15Dを形成して流路部一体型セル構造を得る。
このセル構造によれば、水晶振動子部と流路部をそれぞれ別の水晶基板から作製して貼り合わせる一体型構造のため、図1の場合に比べて深いエッチング加工が必要なく、これにより水晶基板の平行度ずれや基板表面の表面粗さが粗くなることがないため、スプリアス(副共振)の発生がない特性の安定したマルチチャンネルQCMセンサを作製できる。
図2に示すセル構造の作製には、例えば、基板サイズは20mm角、厚みは0.08mmtであり、電極を金電極としその回りに直径4mmをウエットエッチングにより水晶基板の片面から深さ0.027mmt掘り込む。金電極は、まずチタンを水晶板と金電極との接着のために載せ、その上に金を200nmt、直径2.1mmで蒸着させ、主共振周波数f0に30MHzを得る。流路部は、水晶振動子と同じ切断(カット)角度を持った基板サイズ20mm角、厚み0.5mmtの水晶基板に長さ7.2mm、幅4.4mmの大きさで貫通孔を機械加工により作製する。この2枚の水晶基板をシリコーン系RWゴムにより接着する。
なお、図1または図2において、水晶基板11または11Aには掘り込み部12A,12Bを省き、水晶基板面に直接に電極13A,13Bを形成する構成とすることができる。
また、水晶基板に代えて、他の圧電材料を用いることも可能である。例えば機械的結合係数の大きいランガサイト結晶や圧電セラミックなどが挙げられる。
また、図2において、水晶基板11Bととして、異なる材質でかつ機械強度を確保できる基板(アクリル板、ポリエチレン板、石英ガラスなど)で構成することもできる。
(実施形態2)
図3は、図1または図2に示す水晶振動子を組み込んだフローセル型マルチチャンネルQCMセンサを実現する組み立て構造を示す。水晶振動子20は、例えば、図1に示す水晶基板に振動子部を形成するとともに掘り込みによって流路部を形成した一体セル構造の2チャンネル構成とする。設置台(保持基板)21は、4隅にガイドピン21Aが植設され、内周部に電気的接続用スプリングピン21Bが植設される。デバイス位置決めスペーサ22は、中央部には水晶振動子20の外周部に嵌め合わせできる切り込み部22Aを有し、4隅にはガイドピン21Aに遊びを持たせて挿通させる孔22Bを有して設置台21に積層される。水晶振動子20は、スペーサ22の切り込み部22Aに合わせて設置台21に載せることで、その裏面に引き出した外部接続端子15A〜15Dがそれぞれスプリングピン21Bに圧接されて電気的接続が確保される。
シリコーンゴム製のパッキン23は、水晶振動子20の掘り込み部12C,12Dの両側位置にそれぞれ試料ガスまたは試料溶液を連通させるための孔23Aを有して水晶振動子20の上に載置される。試料2分割ブロック24は、4隅にガイドピン21に遊びを持たせて挿通させる孔24Aを有し、さらに水晶振動子20の2チャンネル分の試料注入口および排出口位置に開口部を有し、これら開口部に試料を一括注入および開口部から試料を一括排出する管路24B,24Cを形成し、パッキン23の上から水晶振動子20に被せられ、水晶振動子20に試料の一括注入と一括排出を可能にする。
加圧ブロック25は、4隅にガイドピン21に遊びを持たせて挿通させる孔25Aを有し、ブロック24の上に載せることで、スペーサ22と水晶振動子20とパッキン23とブロック24の積層にその重量で加圧する。
以上の構成になる組み立て構造によれば、設置台(保持基板)21には、スペーサ22、水晶振動子20、パッキン23、試料2分割ブロック24、加圧ブロック25の各構成部材をガイドピンで案内し、加圧ブロック25による重力によって加圧することで水晶振動子20に対する試料の注入と排出に試料漏れを無くす構造のため、従来のネジによる締め付け固定で振動子に不適切な応力が加えられるのを無くして安定性を高めた測定ができる。また、組み立て作業の煩雑さあるいは組立作業に起因した測定精度の低下や再現性の低下を解消できる。
なお、図3に示すフローセル型マルチチャンネルQCMセンサとして、図3における各部材の一部の積層方向を逆向きにした図4に例を示すセル構造として同等の作用効果を得ることができる。図4では、水晶振動子20の表裏を逆に配置して試料を下部から注入および排出する構成とし、試料を注入および排出する試料2分割ブロック31を最下層にしてその4隅にガイドピン31Aを設け、その上にデバイス位置決めスペーサ22およびパッキン23を積層し、水晶振動子20の上に電気的接続端子スプリングピン32Aをもつ電気的接続端子板32を積層し、最後に加圧ブロック25を載せる構造とする。
このセル構造では、測定対象が試料溶液になり、その溶液中に容易に沈殿するような物質が含まれていた場合にそれが電極面に滞留して計測失敗や計測不能になるのを防止できる。
また、図3または図4において、加圧ブロック25は、水晶振動子20とパッキン23との加圧目的と水晶振動子の電気的接触に用いているスプリングピンを所望の接触圧に設定するために導入しているが、これら加圧をブロック24や端子板32の重みで得られる場合は加圧ブロック25を省いた構成にできる。
また、水晶振動子20の加圧によって位置決めができる場合は、スペーサ22を省略することができる。さらに、スペーサ22に代えて、設置台21またはブロック31がスペーサと同等の形状にした掘り込みをもつ構造とすることもできる。
また、パッキン23の材料には試料溶液中を伝播する音波を透過・吸収あるいは減衰させることができる物質を選定することが望ましい。
以上までの実施形態1、2により構成されるフローセル型2チャンネルQCMセンサは、2成分同時検出のほかに試料溶液の粘性キャンセルや血清などのクルードな試料を用いたときの非特異的吸着分の検出およびキャンセルに応用できることを実験で確認した。
図5は、1%BSA(牛血清アルブミン)を含むPBS溶液(PH7.2)の溶液粘性キャンセルについて検討した結果を示す。測定には、フローセル型2チャンネルQCMセンサのchBの励振電極上に予めBSAを固定化しておき、1%BSA溶液送液時にBSAの吸着が起こらないようにブロッキング処理を行った。従って、chBは1%BSA溶液の粘性を測定し、chAはBSAの吸着量と溶液粘性が加味された周波数変化量が検出されることになる。送液速度を25μL/minとし、送液手順は、1%BSA溶液導入と、その前後にベースライン測定としてPBS溶液を流した。
図5に示す実質BSA吸着量は、chAで得られた周波数変化量(BSA吸着量と溶液粘性の合成成分)から、chBの変化量(溶液粘性変化)を差し引いたものである。正確な吸着量を定量するにはchAの溶液粘性成分を除去することが必要であり、フローセル型2チャンネルQCMセンサを用いることにより溶液粘性の影響を除去できることが示された。
本発明の実施形態を示すフローセル型マルチチャンネルQCMセンサのセル構造。 本発明の実施形態を示すフローセル型マルチチャンネルQCMセンサの他のセル構造。 本発明の実施形態を示すフローセル型マルチチャンネルQCMセンサの分解斜視図。 本発明の実施形態を示すフローセル型マルチチャンネルQCMセンサの分解斜視図。 本発明のフローセル型マルチチャンネルQCMセンサによる粘性キャンセルの実験結果。 従来の静置溶液型セル構造。 従来の強制撹拌溶液型セル構造。 従来のフローセル型QCMセンサの分解斜視図。 強制撹拌溶液型セルを用いた抗原抗体反応例。 フローセル型QCMセンサを用いた抗原抗体反応例。
符号の説明
11、11A、11B 水晶基板
12A〜12D 掘り込み部
13A〜13D 電極
15A〜15D 外部接続端子
20 水晶振動子
21 設置台
22 デバイス位置決めスペーサ
23 パッキン
24,31 試料2分割ブロック
25 加圧ブロック
32 電気的接続端子板

Claims (3)

  1. 圧電基板とその両面に形成した一対の電極によって構成する振動子部と、この振動子部の一方の電極上に試料ガスまたは試料溶液を流す流路部を設け、この流路部に流す試料ガスまたは試料溶液中の成分吸着による振動子の共振周波数の変化またはインピーダンスの変化から試料成分を検知・定量するフローセル型QCMセンサにおいて、
    前記振動子部は前記一対の電極を複数チャンネル分形成し、前記流路部は各チャンネルの一方の電極上に一括してそれぞれ試料ガスまたは試料溶液を注入および排出させる流路を構成した、振動子部と流路部の一体セル構造または一対型セル構造とし、
    前記振動子部と流路部の一体セル構造または一体型セル構造の振動子をガイドピンに沿って積層し、前記振動子の複数チャンネルの各電極にそれぞれ電気的接続を得るスプリングピンを有する保持基板と、
    前記振動子の上から、前記流路部に試料漏れ防止用パッキンを介して前記ガイドピンに沿って積層され、注入口から注入された試料ガスまたは試料溶液を複数チャンネルの前記流路部に一括して注入および各流路部から一括して排出する管を内装した試料分割ブロックと、
    前記保持基板と振動子および試料分割ブロック間の積層を重みで加圧する加圧ブロック手段とを備えたことを特徴とするフローセル型QCMセンサ。
  2. 圧電基板とその両面に形成した一対の電極によって構成する振動子部と、この振動子部の一方の電極上に試料ガスまたは試料溶液を流す流路部を設け、この流路部に流す試料ガスまたは試料溶液中の成分吸着による振動子の共振周波数の変化またはインピーダンスの変化から試料成分を検知・定量するフローセル型QCMセンサにおいて、
    前記振動子部は前記一対の電極を複数チャンネル分形成し、前記流路部は各チャンネルの一方の電極上に一括してそれぞれ試料ガスまたは試料溶液を注入および排出させる流路を構成した、振動子部と流路部の一体セル構造または一対型セル構造とし、
    前記振動子部と流路部の一体構造または一体型構造の振動子を前記流路部側に試料漏れ防止用パッキンを介してガイドピンに沿って積層し、注入口から注入された試料ガスまたは試料溶液を複数チャンネルの前記流路部に一括して注入および各流路部から一括して排出する管を内装した試料分割ブロックと、
    前記振動子の上から、前記ガイドピンに沿って積層され、前記振動子部の複数チャンネルの各電極にそれぞれ電気的接続を得るスプリングピンを有する端子板と、
    前記試料分割ブロックと振動子および端子板間の積層を重みで加圧する加圧ブロック手段とを備えたことを特徴とするフローセル型QCMセンサ。
  3. 前記加圧ブロック手段は、前記ガイドピンに沿って、前記試料分割ブロックの上に、または前記端子板の上に加圧ブロックを積層する構成、または前記試料分割ブロックまたは前記端子板の重みで加圧する構成を特徴とする請求項1または2に記載のフローセル型QCMセンサ。
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