JP2011137639A - フロースルーセル及びこれを使用した測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 流路に検出チップを精度よく接合して流路を形成するための機構をハウジングに備え、更に、流路に検出チップを短時間で簡便に組み込み可能なフロースルーセル及びこれを備えた測定装置を提供する。
【解決手段】 下面に溶液の導入口及び排出口を備えた上型と、検出素子を基板上に配置することにより構成された検出チップを、前記導入口及び前記排出口と対向する位置に配置できるように構成された下型とを備え、前記導入口及び前記排出口を前記検出チップ側に押圧できるように構成し、前記検出チップの前記検出素子の外周にシール部材を設け、前記下型上面に凹部を設けて前記凹部内に前記検出チップを載置した状態で交換可能な支持部材を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、溶液中の物質検知又は測定に用いるためのフロースルーセルに関し、特に検出方式が水晶振動子マイクロバランス法(以下、「QCM」とする。)であるフロースルーセル及びこれを使用した測定装置に関する。
QCMは、圧電素子の発振・共振の周波数が、該素子表面へ物質が付着したときに変化することを利用した、微量な物質質量の検知・測定方法として広く知られている技術である。
QCMの検出素子において実用上の感度を有する感応部は、該振動子電極部と表面位置的にほぼ一致するため、該電極部そのものの表面を直接、或いは、少なくとも該電極部表面を含む領域への膜付着や化学的処理などの修飾を行うことにより、検出部として用いられてきている(非特許文献1参照)。
小容量のサンプル溶液を用いる場合、フロースルーセルを用いるのが一般的である。このフロースルーセルは、検出素子を流路に組み込む機構を備える必要があった。
このような要求に対して、流路に検出素子を組み込むためのアッセンブリ等が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1や2において提案された構造であっても、検出素子の検出部とアッセンブリから形成される流路体積を小さくする構成、または、検出素子の検出部とアッセンブリを接合した際にアッセンブリの導入口及び排出口がシール材に近接している構成では、検出素子とアッセンブリを接合させる度に検出素子とアッセンブリの相対位置が変化し、導入口及び排出口がシール材により塞がってしまったり、溶液の導入口及び排出口と検出素子の検出部との相対位置が変化したりすることがあった。それを避けるために検出素子とアッセンブリを手作業により精度よく接合させようとした場合、時間と手間を要するという問題があった。また、特許文献1に開示されたものでは、検出素子をアッセンブリに固定する際に複数の固定ネジを用いており、検出素子の取り付けに時間と手間を要するという問題があった。
特開平11−183479号公報(請求項8、図2及び図9) 特開2007−198921号公報(請求項7、図5及び図6)
Sauerbrey, G著 "Use of quartz vibration for weighing thin films of a microbalance", Zeitschrift fur Physik, 155 (1959) 206-222
そこで、本発明は、流路に検出チップを精度よく接合して流路を形成するための機構をハウジングに備え、更に、流路に検出チップを短時間で簡便に組み込み可能なフロースルーセル及びこれを備えた測定装置を提供することを目的とする。
本発明のフロースルーセルは、請求項1に記載の通り、下面に溶液の導入口及び排出口を備えた上型と、検出素子を基板上に配置することにより構成された検出チップを、前記導入口及び前記排出口と対向する位置に配置できるように構成された下型とを備え、前記導入口及び前記排出口を前記検出チップ側に押圧できるように構成し、前記検出チップの前記検出素子の外周にシール部材を設け、前記下型上面に凹部を設けて前記凹部内に前記検出チップを載置した状態で交換可能な支持部材を設けたことを特徴とする。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のフロースルーセルにおいて、前記上型を、前記導入口及び前記排出口を備えた部材と、前記上型本体とから構成し、前記上型本体と前記導入口及び前記排出口を備えた部材との間に弾性部材を設け、前記導入口及び前記排出口を備えた部材が前記検出チップ側に付勢されるようにしたことを特徴とする。
請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載のフロースルーセルにおいて、前記支持部材と前記下型本体との間に弾性部材を設け、前記支持部材が前記上型側に付勢されるようにしたことを特徴とする。
請求項4に記載の本発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載のフロースルーセルにおいて、前記凹部内にピンを立設し、前記ピンが挿通される貫通孔を前記支持部材に設けたことを特徴とする。
請求項5に記載の本発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載のフロースルーセルにおいて、前記支持部材の上面に、前記支持部材の取り付け及び取り外しのための把持部材を設けたことを特徴とする。
請求項6に記載の本発明は、請求項1乃至5の何れか1項に記載のフロースルーセルにおいて、前記上型と前記下型とは蝶番により開閉自在に構成されたことを特徴とする。
請求項7に記載の本発明は、請求項1乃至6の何れか1項に記載のフロースルーセルにおいて、前記検出素子は水晶振動子であることを特徴とする。
また、本発明の測定装置は、請求項8に記載の通り、請求項1乃至7の何れか1項に記載のフロースルーセルを備えたものである。
本発明のフロースルーセルには、水晶振動子等の検出素子を基板上に設けることにより構成された検出チップとし、支持部材とともに下型から取り外しすることが可能となる。また、下型に支持部材を載置するだけで、検出素子の位置決めが容易となる。
また、下型の凹部内に位置決めピンを設けることにより、検出素子と溶液の導入口及び排出口を備えた部材とが精度よく接合できるようになったため、流路がシール材により塞がることがなくなり、また、測定までの準備時間を短縮することができる。更に、検出素子と溶液の導入口及び排出口を備えた部材を精度よく接合できるようになったため検出チップの小型化が可能になり、流路に流す溶液の量を減らすことができ、また、使用済み検出チップの廃棄物の嵩を削減することができる。
また、位置決めピンにテーパー型を用いることにより、フロースルーセルに一の自由度があっても上型を閉めることにより位置合わせができる。その結果、流路への検出素子の組み込みが容易になり、測定までの準備時間を短縮することができるようになる。
また、支持部材又は導入口及び排出口を備えた部材を弾性体により加圧することで、流路のシールが可能となり、従来の締付け機構が不要になり、測定までの準備時間を短縮することが可能となる。
本発明の一実施の形態のフロースルーセルの断面図 支持部材の斜視図 図2の変形例の説明図 本発明の一実施の形態のフロースルーセルの説明図
図1に示されるフロースルーセルは、下型1に上型2が重なることができるように蝶番3により開閉自在となるように構成される。
下型1の上面には、平面視四角形状の凹部1aが設けられ、この凹部1a内の対角する位置にピン4が計2本立設される。この凹部1a内には、図2に示す支持部材5が配置される。この支持部材5は、略四角形状の板材により構成され、前記ピン4,4が挿通される貫通孔5h,5hが設けられる。また、支持部材5の上下面方向には、貫通孔5aが設けられており下面側で検出チップ6の底面を支持するための貫通孔5a中心に向かってフランジ5bが形成されている。従って、本発明における凹部とは有底の凹部と貫通孔により得られる凹部の両方が含まれることになる。尚、検出チップ6は、プリント配線基板等の基板上面に凹部を設け、水晶振動子等の検出素子を配置することにより構成される。
上型2は、本実施の第1形態では、上型2本体の下面に、バネ等の弾性部材7を介して下型1方向に付勢された溶液の導入口8及び排出口9を備えた部材10を設けて構成される。尚、部材10の飛び出しを防ぐために、上型2本体の下面に設けられた凹部の内周には、フランジ2aが設けられている。また、下型1は、下型1本体の上面に、バネ等の弾性部材7を介して上型2方向に付勢された支持部材5を設ける構成としてもよい。導入口8及び排出口9が下面に備えられた部材10の内部には、セルの外部から溶液を導入口8に導くための導入路11と、排出口9からの溶液をセルの外部に排出するための排出路12とが形成されている。
そして、上型2が下型1に重なりあった際に、検出チップ6の検出部上方をシールするために、上型2側の導入口8及び排出口9の外周部にリング状のシール部材13が設けられている。
導入口8及び排出口9を備えた部材10の材質は、例えば、PMMA、フッ素樹脂、PEEKなどの樹脂等を使用することができる。
上記の構造により、図1及び図4に示すように、支持部材5の上面に検出チップ6を配置した状態で下型1の凹部1aのピン4により支持部材5を固定し、上型2を閉じることにより、導入口8及び排出口9が設けられた部材10が検出チップ6の上方に溶液を溜めるべく、その外周をシール部材13によりシールされた空間を形成することができる。従って、導入口8及び排出口9を検出部上方に位置合わせする作業が容易となる。また、通常は外形寸法が単体での取扱が困難な数mm程度の検出チップ6を交換する際に、下型1から直接検出チップ6を取り外すことなく、支持部材5ごと取り外すことで極めて迅速に作業が可能となる。尚、支持部材5に、図3に示すように柱状部材により構成される把持部14を設けるようにすればより交換作業が容易になる。この場合には、把持部14を収容する空間を上型2内に設ける必要がある。
上記説明した構造では、下型1の凹部1a内にピン4を立設し、支持部材5にピン4を挿通させるための貫通孔5h、5hを設けているが、これらの構造については、支持部材5が導入口及び排出口を備えた部材10に接合した際に、実用上流路条件に支障ない精度があれば必ずしも必要なものではない。
また、上型2又は下型1には、図示しないが検出チップ6へ通電するための配線を設ける必要がある。
また、本実施の形態では、下型1と上型2とを蝶番3により接続したが、必ずしも、この接続方法に限定されるものではなく、下型1の上方位置において、下型1から離間自在のスライダにより上型2を支持するようにしてもよい。
上記説明では、シール部材13を検出チップ6の外周に設けるようにしたが、導入口及び排出口を備えた部材10に設けるようにしてもよい。また、シール部材13を構成する材料については特に制限はないが、例えば、高分子弾性材料を使用することができる。
また、本発明の測定装置は、フロースルーセル用に使用されている公知のポンプや水晶発振回路やネットワークアナライザー等から構成することができる。
1 下型
2 上型
3 蝶番
4 ピン
5 支持部材
6 検出チップ
7 弾性部材
8 導入口
9 排出口
10 導入口及び排出口を備えた部材
11 導入路
12 導出路
13 シール部材
14 把持部

Claims (8)

  1. 下面に溶液の導入口及び排出口を備えた上型と、検出素子を基板上に配置することにより構成された検出チップを、前記導入口及び前記排出口と対向する位置に配置できるように構成された下型とを備え、前記導入口及び前記排出口を前記検出チップ側に押圧できるように構成し、前記検出チップの前記検出素子の外周にシール部材を設け、前記下型上面に凹部を設けて前記凹部内に前記検出チップを載置した状態で交換可能な支持部材を設けたことを特徴とするフロースルーセル。
  2. 前記上型を、前記導入口及び前記排出口を備えた部材と、前記上型本体とから構成し、前記上型本体と前記導入口及び前記排出口を備えた部材との間に弾性部材を設け、前記導入口及び前記排出口を備えた部材が前記検出チップ側に付勢されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のフロースルーセル。
  3. 前記支持部材と前記下型本体との間に弾性部材を設け、前記支持部材が前記上型側に付勢されるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のフロースルーセル。
  4. 前記凹部内にピンを立設し、前記ピンが挿通される貫通孔を前記支持部材に設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のフロースルーセル。
  5. 前記支持部材の上面に、前記支持部材の取り付け及び取り外しのための把持部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のフロースルーセル。
  6. 前記上型と前記下型とは蝶番により開閉自在に構成されたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のフロースルーセル。
  7. 前記検出素子は水晶振動子であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のフロースルーセル。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載のフロースルーセルを備えた測定装置。
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