JP2004354141A - バイオセンサー装置及びバイオセンサー装置による測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微量の試料であっても、液面の微妙な振動や液の微量の蒸発による試料の表面の変化が振動子の振動周波数に影響を与えることがないバイオセンサー装置及びバイオセンサー装置による測定方法を提供する。
【解決手段】電極間に挟持された結晶板から構成される振動子と、前記振動子上に試料を保持するためのセルとを備えるバイオセンサー装置であって、前記振動子上の前記試料の表面を、前記振動子と平行な面に対して凹面を形成するようにしたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】電極間に挟持された結晶板から構成される振動子と、前記振動子上に試料を保持するためのセルとを備えるバイオセンサー装置であって、前記振動子上の前記試料の表面を、前記振動子と平行な面に対して凹面を形成するようにしたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生化学、医療及び食品分野における化学反応の追跡や状態分析等に使用されるバイオセンサー装置及びバイオセンサー装置による測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のバイオセンサー装置で微量の試料を測定するには、図4に示すように、結晶板3の両面に電極5、6を設けた構成の振動子2をセル1の底面に配置し、振動子2の上に測定対象となる蛋白等を、NaClやKCl等を含有するバッファー液(生化学用緩衝液)に混入して試料10として滴下し、その表面10sが振動子2と平行な面2vに対して凸面となる状態で、振動子2を振動させて周波数変化等を測定するようにしていた。
しかしながら、この状態で振動子2を振動させると、振動子2と試料表面10sとの間に定在波が発生してしまい、この定在波が振動子2の振動周波数と干渉することになる。このため、前記表面10sが微妙に振動したり、或いは、微量の蒸発が生じたりして、振動子2と前記表面10sとの間の距離が微妙に変化し、結果として、ほぼ一定の周期で数百Hz程度の周波数変動が起こるという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、微量の試料であっても、液面の微妙な振動や液の微量の蒸発による試料の表面の変化が振動子の振動周波数に影響を与えることがないバイオセンサー装置及びバイオセンサー装置による測定方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者等は鋭意検討の結果、測定対象となる試料の表面を、振動子と平行な面に対して凹面を形成することにより、上記課題を解決することを見出した。
即ち、本発明のバイオセンサー装置は、請求項1に記載の通り、電極間に挟持された結晶板から構成される振動子と、前記振動子上に試料を保持するためのセルとを備えるバイオセンサー装置であって、前記振動子上の前記試料の表面を、前記振動子と平行な面に対して凹面を形成するようにしたことを特徴とする。
また、請求項2に記載のバイオセンサー装置は、請求項1に記載のバイオセンサー装置において、前記セルの周壁の内側表面を親水性にしたことを特徴とする。
また、請求項3に記載のバイオセンサー装置は、請求項1又は2に記載のバイオセンサー装置において、前記バイオセンサー装置は、複数の前記セルをアレイプレート上に備えたものであって、前記アレイプレートは、複数の前記振動子を隣接配置するとともに1対の固定用板材間に挟持することにより形成したことを特徴とする。
また、請求項4に記載のバイオセンサー装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載のバイオセンサー装置において、前記バイオセンサー装置は、前記試料に加えられた振動の周波数変化、インピーダンス変化若しくは位相の変化、又は、これらの組み合わせにより、生体分子間の相互作用を測定することを特徴とする。
また、本発明のバイオセンサー装置による測定方法は、請求項5に記載の通り、電極間に挟持された結晶板から構成される振動子に交流信号を印加して、前記振動子上の試料に振動を加えるようにしたバイオセンサー装置による測定方法であって、前記振動の際に、前記試料の表面が前記振動子と平行な面に対して凹面を形成する状態で測定することを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態であるバイオセンサー装置のセル1の断面図を示すものであり、図中2で示される振動子は、結晶板3と、その両面に設けられた電極4、5とから構成される。尚、前記電極4、5のうち、結晶板3の液滴を滴下する側の電極4の表面には、反応膜6が配置されており、試料の特定成分と反応し、或いは、その特定成分を吸着する材料で構成されている。
前記振動子2は、2枚の固定用板材7、8間にシール材9を介して挟持固定される。そして、一方の固定用板材7は、穿孔されており、この孔と振動子2とでセル1を構成し試料10を保持できるようになっている。このセル1の周壁の表面には、親水性材料11が塗布されている。また、他方の固定用板材8には、電極5を収納するための空間5sが設けられている。
尚、試料10は、一般的には、蛋白等の測定対象物をNaClやKCl等を含有する生化学用緩衝液(バッファー液)に混合され調製される。
【0006】
上述したセル1は、図2に示すように、ネットワークアナライザーやインピーダンスアナライザー等からなる分析装置20に接続される。また、分析装置20は、分析装置20を制御し、その測定結果を演算する制御装置21に接続される。
前記分析装置20は所望周波数の交流信号をセル1に出力し、その周波数下でのセル1のコンダクタンスGを測定できるように構成されている。また、制御装置21は、分析装置20の動作を制御し、分析装置20がセル1に出力する信号の周波数を変化させるとともに、周波数と測定結果とを対応させ、演算結果とともに記憶するように構成されている。
これらのセル1、分析装置20及び制御装置21とにより、本発明のバイオセンサー装置が構成される。
【0007】
上記構成により、試料10を、例えば、ピペット内で攪拌してセル1内に適量滴下し、試料10の表面10sが振動子2と平行な面2vに対して凹面となるように構成することで、振動子2と試料10の表面10sとの間に定在波を発生させないようにすることができる。その結果、正確に周波数変動、インピーダンス変化若しくは位相の変化、又は、これらの組み合わせを測定することができる。これにより、測定対象物の生体分子間の相互作用を測定することができる。
【0008】
尚、上記構成において説明したセル1の容量については、本発明の目的からすると、好ましくは、5μl〜10μlとすることが好ましく、この容量については、固定用板材7の厚みを変えること等により調整することができる。
また、セル1の周壁の内側表面を親水性とすることに関しては、例えば、紫外線をセル1の周壁の内側表面に照射すること等が挙げられる。また、振動子2としては、例えば、水晶振動子や表面弾性波素子等の圧電素子を使用することができ、シール材は、例えば、シリコン緩衝材(ジェルテック社 商品名:α−ゲル)等を使用することができ、固定用板材5は、例えば、アクリル板等を使用することができる。
【0009】
尚、上記材料に関しては、材料の一例を記載したものに過ぎない。従って、上記以外の材料に関しても本装置の目的に沿うようなものであれば特に限定をするものではない。
【0010】
上述したバイオセンサー装置30は、セル1を1つ備える構成であるが、次に、セル1を複数バイオセンサー装置30に装着することについて説明する。
図3(a)は、バイオセンサー装置30のアレイプレート12の断面図を示し、同図(b)は、同平面図を示すものであり、上記実施の形態と同じものについては同じ符号が付されている。
図示されるものでは、8個の振動子2を、2行4列に隣接配置し、固定用板材7A、8A間にシール材9を介して保持するように構成されている。そして、固定用板材7Aには、セル1を形成することができるように、振動子2に対応する位置に円形状に穿孔されており、固定用板材8Aには、電極5の収容するための空間5sが、振動子2に対応する位置に形成されている。
【0011】
上記のように複数の振動子2から構成されたアレイプレート12とすることにより、製造コストの高い1枚の大きな結晶板上に複数の振動子を形成することなく、複数のセル1をバイオセンサー装置30に備えることが可能となり、しかも、取り替え作業性も極めて優れたものとなる。
【0012】
【実施例】
次に、本発明の実施例を比較例とともに説明する。
まず、本発明の測定方法が、従来の測定方法に比べて、高い精度で測定できることを証明するために、測定対象となる液量をほぼ同じにして比較実験を行うこととした。
(実験例1)
実施例1の測定方法に関しては、バイオセンサー装置として図1に示されるように、水晶振動子2として、周波数27MHzの水晶板3(外径8.9mm)の両面の中央部に電極4、5(外径2.5mm)を蒸着形成したものを使用した。尚、電極4には、反応膜6が形成されている。そして、この水晶振動子2を厚さ5mmのアクリル板7と厚さ2mmのアクリル板8間にシール剤9を介して挟持した。アクリル板7には、断面の直径4mmに穿孔されており、この穿孔と水晶振動子2とでセル1が構成されている。セル1の周壁の内側表面は、紫外線を照射することにより親水性処理11が施され、水晶振動子2が振動している間、試料10の表面は水晶振動子2に平行な面2vに対して凹面を形成されるように試料10の液量を調整した。
比較例1の測定方法に関しては、図4に示されるように、セル1の周壁の内側表面11には親水性処理を施さないようにして試料10の表面を水晶振動子2に平行な面2vに対して凸面が形成されるように試料10の液量を調整した以外は、実施例1の測定方法と同一の条件とした。
実験方法は、水晶振動子上にまず、5μlの純水を滴下し、100秒後に1/10に希釈されたブロックエースを1μl滴下し、500秒後に同様に1/10に希釈されたブロックエースを1μl滴下し、その間の周波数変化を経時的に測定した。
【0013】
上記測定の結果として、実施例1については図5に、比較例1については図6に示す。
この結果から、実施例1では、正確に周波数変化が測定できていることが分かった。これに対して、比較例1では、液の蒸発による液面の微量変化や液面の微少な振動により定在波が生じ、周波数のうねりが大きく測定ができていないことが分かった。
【0014】
次に、本発明による測定方法が、特に微量の液滴を測定する際に有効であることを証明するために、測定対象である試料の液量に差を設けて比較実験を行うこととした。
(実験例2)
実施例2の測定方法は、上記実施例1と同様とした。比較例2の測定方法については、容量が500μl程度のカップの底面に水晶振動子を設けてセルとした以外は、実施例2と同様とした。
実験方法については、実施例2では、5μlのアビジンを5μlのバッファー液とピペット内で攪拌してからセルの水晶振動子上に滴下し、経時的に周波数変動を測定した。また、比較例2では、500μlのバッファー液が注入されたセル内に5μlのアビジンを滴下して攪拌した後、同様に、経時的に周波数変動を測定した。
【0015】
上記測定の結果を図7に示す。
図7から、実施例2では、800秒後の周波数変化が390Hzであるのに対して、比較例2では、4Hz程度であった。
この結果から、実施例2は、感度において比較例2と比べて100倍高い感度を有していることが分かり、極めて短時間に微量の液滴を反応させ測定することができることが分かった。
【0016】
次に、上記実施例2及び比較例2と同様の測定方法により、2μlのブロックエースを測定対象物として測定した結果を、それぞれ実施例3及び比較例3として図8に示す。
図8から実施例3では、比較例3に比べて反応が100倍程度早く終わるため、短時間に微量の液滴を反応させ測定ができることが分かった。
【0017】
【発明の効果】
このように、本発明によれば、試料の空気との境界面において、振動子からの反射波を散乱させることができ、振動子の最も感度の高い部分、即ち、中央部には、反射波が達することがない。従って、試料の微妙な振動や微量の蒸発によっても、振動子の振動並面が振動周波数に影響を与えることがなく、微量の試料であっても精度の高い測定が可能となる。
また、本発明によれば、複数のセルを1つのアレイプレート上の形成するのに、製造コストの高い大きな結晶板上に複数のセルを形成する場合に比べて、一般的に製造されている結晶板を複数使用すればよいので製造コストを抑えることができる。また、振動子を備えたセルを個別にバイオセンサー装置に設ける必要がないので、複数のセルを1度に交換することができ、作業性の優れたバイオセンサー装置とすることができる。
また、更に、本発明によれば、微量の試料であっても極めて短時間に反応させることができるので、より精度の高い測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるバイオセンサー装置のセルの断面図
【図2】同装置の構成図
【図3】本発明の他の実施の形態であるバイオセンサー装置のアレイプレートの(a)断面図(b)平面図
【図4】従来のバイオセンサー装置のセルの断面図
【図5】実験例1において実施例1の測定結果を示すグラフ
【図6】実験例1において比較例1の測定結果を示すグラフ
【図7】実験例2の測定結果を示すグラフ
【図8】実験例2の測定対象物を変更した測定結果を示すグラフ
【符号の説明】
1 セル
2 振動子
2v 振動子に平行な面
3 結晶板
4 電極
5 電極
5s 凹部
6 反応膜
7 固定用板材
7A 固定用板材
8 固定用板材
8A 固定用板材
9 シール材
10 試料
10s 試料表面
11 親水性材料
12 アレイプレート
20 制御装置
21 分析装置
30 バイオセンサー装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、生化学、医療及び食品分野における化学反応の追跡や状態分析等に使用されるバイオセンサー装置及びバイオセンサー装置による測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のバイオセンサー装置で微量の試料を測定するには、図4に示すように、結晶板3の両面に電極5、6を設けた構成の振動子2をセル1の底面に配置し、振動子2の上に測定対象となる蛋白等を、NaClやKCl等を含有するバッファー液(生化学用緩衝液)に混入して試料10として滴下し、その表面10sが振動子2と平行な面2vに対して凸面となる状態で、振動子2を振動させて周波数変化等を測定するようにしていた。
しかしながら、この状態で振動子2を振動させると、振動子2と試料表面10sとの間に定在波が発生してしまい、この定在波が振動子2の振動周波数と干渉することになる。このため、前記表面10sが微妙に振動したり、或いは、微量の蒸発が生じたりして、振動子2と前記表面10sとの間の距離が微妙に変化し、結果として、ほぼ一定の周期で数百Hz程度の周波数変動が起こるという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、微量の試料であっても、液面の微妙な振動や液の微量の蒸発による試料の表面の変化が振動子の振動周波数に影響を与えることがないバイオセンサー装置及びバイオセンサー装置による測定方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者等は鋭意検討の結果、測定対象となる試料の表面を、振動子と平行な面に対して凹面を形成することにより、上記課題を解決することを見出した。
即ち、本発明のバイオセンサー装置は、請求項1に記載の通り、電極間に挟持された結晶板から構成される振動子と、前記振動子上に試料を保持するためのセルとを備えるバイオセンサー装置であって、前記振動子上の前記試料の表面を、前記振動子と平行な面に対して凹面を形成するようにしたことを特徴とする。
また、請求項2に記載のバイオセンサー装置は、請求項1に記載のバイオセンサー装置において、前記セルの周壁の内側表面を親水性にしたことを特徴とする。
また、請求項3に記載のバイオセンサー装置は、請求項1又は2に記載のバイオセンサー装置において、前記バイオセンサー装置は、複数の前記セルをアレイプレート上に備えたものであって、前記アレイプレートは、複数の前記振動子を隣接配置するとともに1対の固定用板材間に挟持することにより形成したことを特徴とする。
また、請求項4に記載のバイオセンサー装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載のバイオセンサー装置において、前記バイオセンサー装置は、前記試料に加えられた振動の周波数変化、インピーダンス変化若しくは位相の変化、又は、これらの組み合わせにより、生体分子間の相互作用を測定することを特徴とする。
また、本発明のバイオセンサー装置による測定方法は、請求項5に記載の通り、電極間に挟持された結晶板から構成される振動子に交流信号を印加して、前記振動子上の試料に振動を加えるようにしたバイオセンサー装置による測定方法であって、前記振動の際に、前記試料の表面が前記振動子と平行な面に対して凹面を形成する状態で測定することを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態であるバイオセンサー装置のセル1の断面図を示すものであり、図中2で示される振動子は、結晶板3と、その両面に設けられた電極4、5とから構成される。尚、前記電極4、5のうち、結晶板3の液滴を滴下する側の電極4の表面には、反応膜6が配置されており、試料の特定成分と反応し、或いは、その特定成分を吸着する材料で構成されている。
前記振動子2は、2枚の固定用板材7、8間にシール材9を介して挟持固定される。そして、一方の固定用板材7は、穿孔されており、この孔と振動子2とでセル1を構成し試料10を保持できるようになっている。このセル1の周壁の表面には、親水性材料11が塗布されている。また、他方の固定用板材8には、電極5を収納するための空間5sが設けられている。
尚、試料10は、一般的には、蛋白等の測定対象物をNaClやKCl等を含有する生化学用緩衝液(バッファー液)に混合され調製される。
【0006】
上述したセル1は、図2に示すように、ネットワークアナライザーやインピーダンスアナライザー等からなる分析装置20に接続される。また、分析装置20は、分析装置20を制御し、その測定結果を演算する制御装置21に接続される。
前記分析装置20は所望周波数の交流信号をセル1に出力し、その周波数下でのセル1のコンダクタンスGを測定できるように構成されている。また、制御装置21は、分析装置20の動作を制御し、分析装置20がセル1に出力する信号の周波数を変化させるとともに、周波数と測定結果とを対応させ、演算結果とともに記憶するように構成されている。
これらのセル1、分析装置20及び制御装置21とにより、本発明のバイオセンサー装置が構成される。
【0007】
上記構成により、試料10を、例えば、ピペット内で攪拌してセル1内に適量滴下し、試料10の表面10sが振動子2と平行な面2vに対して凹面となるように構成することで、振動子2と試料10の表面10sとの間に定在波を発生させないようにすることができる。その結果、正確に周波数変動、インピーダンス変化若しくは位相の変化、又は、これらの組み合わせを測定することができる。これにより、測定対象物の生体分子間の相互作用を測定することができる。
【0008】
尚、上記構成において説明したセル1の容量については、本発明の目的からすると、好ましくは、5μl〜10μlとすることが好ましく、この容量については、固定用板材7の厚みを変えること等により調整することができる。
また、セル1の周壁の内側表面を親水性とすることに関しては、例えば、紫外線をセル1の周壁の内側表面に照射すること等が挙げられる。また、振動子2としては、例えば、水晶振動子や表面弾性波素子等の圧電素子を使用することができ、シール材は、例えば、シリコン緩衝材(ジェルテック社 商品名:α−ゲル)等を使用することができ、固定用板材5は、例えば、アクリル板等を使用することができる。
【0009】
尚、上記材料に関しては、材料の一例を記載したものに過ぎない。従って、上記以外の材料に関しても本装置の目的に沿うようなものであれば特に限定をするものではない。
【0010】
上述したバイオセンサー装置30は、セル1を1つ備える構成であるが、次に、セル1を複数バイオセンサー装置30に装着することについて説明する。
図3(a)は、バイオセンサー装置30のアレイプレート12の断面図を示し、同図(b)は、同平面図を示すものであり、上記実施の形態と同じものについては同じ符号が付されている。
図示されるものでは、8個の振動子2を、2行4列に隣接配置し、固定用板材7A、8A間にシール材9を介して保持するように構成されている。そして、固定用板材7Aには、セル1を形成することができるように、振動子2に対応する位置に円形状に穿孔されており、固定用板材8Aには、電極5の収容するための空間5sが、振動子2に対応する位置に形成されている。
【0011】
上記のように複数の振動子2から構成されたアレイプレート12とすることにより、製造コストの高い1枚の大きな結晶板上に複数の振動子を形成することなく、複数のセル1をバイオセンサー装置30に備えることが可能となり、しかも、取り替え作業性も極めて優れたものとなる。
【0012】
【実施例】
次に、本発明の実施例を比較例とともに説明する。
まず、本発明の測定方法が、従来の測定方法に比べて、高い精度で測定できることを証明するために、測定対象となる液量をほぼ同じにして比較実験を行うこととした。
(実験例1)
実施例1の測定方法に関しては、バイオセンサー装置として図1に示されるように、水晶振動子2として、周波数27MHzの水晶板3(外径8.9mm)の両面の中央部に電極4、5(外径2.5mm)を蒸着形成したものを使用した。尚、電極4には、反応膜6が形成されている。そして、この水晶振動子2を厚さ5mmのアクリル板7と厚さ2mmのアクリル板8間にシール剤9を介して挟持した。アクリル板7には、断面の直径4mmに穿孔されており、この穿孔と水晶振動子2とでセル1が構成されている。セル1の周壁の内側表面は、紫外線を照射することにより親水性処理11が施され、水晶振動子2が振動している間、試料10の表面は水晶振動子2に平行な面2vに対して凹面を形成されるように試料10の液量を調整した。
比較例1の測定方法に関しては、図4に示されるように、セル1の周壁の内側表面11には親水性処理を施さないようにして試料10の表面を水晶振動子2に平行な面2vに対して凸面が形成されるように試料10の液量を調整した以外は、実施例1の測定方法と同一の条件とした。
実験方法は、水晶振動子上にまず、5μlの純水を滴下し、100秒後に1/10に希釈されたブロックエースを1μl滴下し、500秒後に同様に1/10に希釈されたブロックエースを1μl滴下し、その間の周波数変化を経時的に測定した。
【0013】
上記測定の結果として、実施例1については図5に、比較例1については図6に示す。
この結果から、実施例1では、正確に周波数変化が測定できていることが分かった。これに対して、比較例1では、液の蒸発による液面の微量変化や液面の微少な振動により定在波が生じ、周波数のうねりが大きく測定ができていないことが分かった。
【0014】
次に、本発明による測定方法が、特に微量の液滴を測定する際に有効であることを証明するために、測定対象である試料の液量に差を設けて比較実験を行うこととした。
(実験例2)
実施例2の測定方法は、上記実施例1と同様とした。比較例2の測定方法については、容量が500μl程度のカップの底面に水晶振動子を設けてセルとした以外は、実施例2と同様とした。
実験方法については、実施例2では、5μlのアビジンを5μlのバッファー液とピペット内で攪拌してからセルの水晶振動子上に滴下し、経時的に周波数変動を測定した。また、比較例2では、500μlのバッファー液が注入されたセル内に5μlのアビジンを滴下して攪拌した後、同様に、経時的に周波数変動を測定した。
【0015】
上記測定の結果を図7に示す。
図7から、実施例2では、800秒後の周波数変化が390Hzであるのに対して、比較例2では、4Hz程度であった。
この結果から、実施例2は、感度において比較例2と比べて100倍高い感度を有していることが分かり、極めて短時間に微量の液滴を反応させ測定することができることが分かった。
【0016】
次に、上記実施例2及び比較例2と同様の測定方法により、2μlのブロックエースを測定対象物として測定した結果を、それぞれ実施例3及び比較例3として図8に示す。
図8から実施例3では、比較例3に比べて反応が100倍程度早く終わるため、短時間に微量の液滴を反応させ測定ができることが分かった。
【0017】
【発明の効果】
このように、本発明によれば、試料の空気との境界面において、振動子からの反射波を散乱させることができ、振動子の最も感度の高い部分、即ち、中央部には、反射波が達することがない。従って、試料の微妙な振動や微量の蒸発によっても、振動子の振動並面が振動周波数に影響を与えることがなく、微量の試料であっても精度の高い測定が可能となる。
また、本発明によれば、複数のセルを1つのアレイプレート上の形成するのに、製造コストの高い大きな結晶板上に複数のセルを形成する場合に比べて、一般的に製造されている結晶板を複数使用すればよいので製造コストを抑えることができる。また、振動子を備えたセルを個別にバイオセンサー装置に設ける必要がないので、複数のセルを1度に交換することができ、作業性の優れたバイオセンサー装置とすることができる。
また、更に、本発明によれば、微量の試料であっても極めて短時間に反応させることができるので、より精度の高い測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるバイオセンサー装置のセルの断面図
【図2】同装置の構成図
【図3】本発明の他の実施の形態であるバイオセンサー装置のアレイプレートの(a)断面図(b)平面図
【図4】従来のバイオセンサー装置のセルの断面図
【図5】実験例1において実施例1の測定結果を示すグラフ
【図6】実験例1において比較例1の測定結果を示すグラフ
【図7】実験例2の測定結果を示すグラフ
【図8】実験例2の測定対象物を変更した測定結果を示すグラフ
【符号の説明】
1 セル
2 振動子
2v 振動子に平行な面
3 結晶板
4 電極
5 電極
5s 凹部
6 反応膜
7 固定用板材
7A 固定用板材
8 固定用板材
8A 固定用板材
9 シール材
10 試料
10s 試料表面
11 親水性材料
12 アレイプレート
20 制御装置
21 分析装置
30 バイオセンサー装置
Claims (5)
- 電極間に挟持された結晶板から構成される振動子と、前記振動子上に試料を保持するためのセルとを備えるバイオセンサー装置であって、前記振動子上の前記試料の表面を、前記振動子と平行な面に対して凹面を形成するようにしたことを特徴とするバイオセンサー装置。
- 前記セルの周壁の内側表面を親水性にしたことを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサー装置。
- 前記バイオセンサー装置は、複数の前記セルをアレイプレート上に備えたものであって、前記アレイプレートは、複数の前記振動子を隣接配置するとともに1対の固定用板材間に挟持することにより形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のバイオセンサー装置。
- 前記バイオセンサー装置は、前記試料に加えられた振動の周波数変化、インピーダンス変化若しくは位相の変化、又は、これらの組み合わせにより、生体分子間の相互作用を測定するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のバイオセンサー装置。
- 電極間に挟持された結晶板から構成される振動子に交流信号を印加して、前記振動子上の試料に振動を加えるようにしたバイオセンサー装置による測定方法であって、前記振動の際に、前記試料の表面が前記振動子と平行な面に対して凹面を形成する状態で測定することを特徴とするバイオセンサー装置による測定方法。
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JP2003150585A JP2004354141A (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | バイオセンサー装置及びバイオセンサー装置による測定方法 |
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