JP4529863B2 - 光触媒機能を有する複合板の製造方法 - Google Patents

光触媒機能を有する複合板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光触媒機能を有する複合板およびその製造方法に関する。特に、金属樹脂複合板の表面の有機系塗膜に対する光触媒層の密着性に優れ、曲げ加工などによる光触媒層および保護接着層の剥離がなく、しかも、光触媒層および保護接着層が透明性に優れた光触媒機能を有する複合板、ならびに、大面積でも光触媒の薄膜を均一に積層することが出来る光触媒機能を有する複合板の製造方法に関する。
酸化チタン等の光触媒は、紫外線を照射する事により、有機物を分解し且つ親水性の機能を発現する。光触媒が表面に積層された基材は、防汚、防曇、脱臭、大気浄化などの目的から種々の用途に利用されつつある。一方、樹脂シートの両面に金属板で貼り合わせて成る金属樹脂複合板は、機械的強度に優れており、かつ、その軽量性、表面平滑性、大面積化が可能である等の利点から、建材、土木の分野に広く使用されている。これらの用途に使用される金属樹脂複合坂においては、例えば防汚機能を付与することは極めて有用であり、その有力な方法の一つとして、近年、上記の光触媒の応用が検討されている。
複合板における光触媒の利用技術としては、例えば、合成樹脂基材の表面に金属層を形成し、当該金属層の表面に有機系塗料などの保護層を介して酸化チタンから成る光触媒層を外層として形成した金属樹脂複合板が「積層体」として提案されている(特許文献1)。また、光触媒粒子が含まれるコート液を剥離性保護フィルムに塗布して乾燥した後、その表面に接着層を設けて成る光触媒転写体を使用し、合成樹脂などの基材の表面に接着層によって光触媒粒子の層を転写する方法が「光触媒付き基材の製造方法」として記載されている(特許文献2)。更に、ベースフィルム表面に光触媒層、無機系保護層、有機系接着層を積層して転写フィルムを作製し、当該転写フィルムを合成樹脂基体に重ねて加熱加圧することにより、合成樹脂基体の表面に光触媒層、無機系保護層および有機系接着層を転写する方法が「合成樹脂製複合成形体およびその製造方法」として記載されている(特許文献3)。
特開平9−174744号公報 特開2002−316380号公報 特開2001−239607号公報
ところで、上記の「積層体」として開示された技術においては、光触媒層の形成方法として、溶射法、スプレー法などの方法が例示されているが、これらの方法では、品質の良好な光触媒層を有する金属樹脂複合板を効率的に且つ連続的に製造することが出来ないという問題がある。また、「光触媒付き基材の製造方法」として開示された技術においては、接着層の成分が主に合成樹脂基材との接着性から選択されており、光触媒が基材樹脂や接着層の有機成分を分解するという問題が十分に考慮されていない。更に、「合成樹脂製複合成形体およびその製造方法」として開示された技術においては、転写フィルムがベースフィルム、光触媒層、無機系保護層、有機系接着層の4層で構成されているため、転写フィルム作製での工程数が多く、コストが高くなるという問題がある。
本発明の目的は、上記の様な問題を解決した工場塗装可能で且つ生産性に優れた複合板であって、金属樹脂複合板の表面の有機系塗膜に対する光触媒層の密着性に優れ、曲げ加工などによる光触媒層および保護接着層の剥離がなく、しかも、光触媒層および保護接着層が透明性に優れた光触媒機能を有する複合板、ならびに、大面積でも光触媒の薄膜を均一に積層することが出来る光触媒機能を有する複合板の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討した結果、保護接着層にジルコニウム酸化物(ジルコニア)、水酸化ジルコニウム、ジルコニウムアルコキシドを含有させることにより、光触媒層の接着性を高め且つ光触媒層および保護接着層の剥離を防止でき、大面積の金属樹脂複合板表面にも光触媒の薄膜を均一に積層し得ることを見出し、本発明を完成した。
本発明の要旨は、金属層/接着剤層/樹脂層/接着剤層/金属層の層構成を有する金属樹脂複合板の少なくとも一方の金属層の表面に有機系塗膜が設けられ、かつ、当該有機系塗膜の表面に保護接着層を介して光触媒層が形成されて成る複合板の製造方法であって、剥離性フィルムの表面に光触媒層を介して保護接着層が設けられた転写フィルム、金属樹脂複合板の接着剤層/金属層をそれぞれに構成する2枚の基材金属板で且つ少なくとも一方の金属層の表面に有機系塗膜が設けられた基材金属板、ならびに、金属樹脂複合板の樹脂層を構成する樹脂シートを使用すると共に前記転写フィルムとして、ジルコニウムアルコキシドをアルコール系溶媒中に混合して成る第1の液(A)に対し、水及び沈殿生成抑制剤である酸またはアルカリをアルコール系溶媒中に混合して成る第2の液(B)を滴下することにより調製され、アルコール系溶媒中にジルコニウム酸化物を主成分として含み且つ水酸化ジルコニウム、ジルコニウムアルコキシドを含むコーティング液を光触媒層の表面に塗布して保護接着層が形成された転写フィルムを使用し、一方の基材金属板の有機系塗膜の表面に前記転写フィルムをその保護接着層が接する様に配置し、50〜150℃、10〜100kg/cmの条件で加熱加圧することにより、光触媒積層基材金属板を作製した後、当該光触媒積層基材金属板の接着剤層の表面に前記樹脂シートを樹脂層として積層し且つ当該樹脂層の表面に他方の基材金属板をその接着剤層が接する様に積層し、次いで、前記転写フィルムの剥離性フィルムを剥離することを特徴とする光触媒機能を有する複合板の製造方法に存する。
本発明に係る光触媒機能を有する複合板によれば、保護接着層がジルコニウム酸化物(ジルコニア)、水酸化ジルコニウム、ジルコニウムアルコキシドを含有しているため、金属樹脂複合板の表面の有機系塗膜に対する光触媒層の接着性に優れ、曲げ加工などによる光触媒層および保護接着層の剥離がなく、しかも、光触媒層および保護接着層が透明性に優れている。また、本発明に係る光触媒機能を有する複合板の製造方法によれば、上記の保護接着層が設けられた転写フィルムを使用し、転写法で製造するため、防汚性、耐久性、表面意匠性に優れた上記の光触媒機能を有する複合板を一層効率的に製造することが出来、特に、大面積でも光触媒の薄膜を均一に積層することが出来る。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明するが、以下に説明するものは本発明の実施形態の一例であり、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の説明に何ら限定されるものではない。図1は、本発明に係る光触媒機能を有する複合板およびその製造方法の第1の態様を模式的な層構成で示す断面図であり、図2は、本発明に係る光触媒機能を有する複合板およびその製造方法の第2の態様を模式的な層構成で示す断面図である。図中の符号(A)は転写フィルム、符号(B)は有機系塗膜が設けられた金属樹脂複合板、符号(C)は製造された光触媒機能を有する複合板、符号(D)は金属樹脂複合板の構成要素である基材金属板、符号(E)は光触媒積層基材金属板をそれぞれ示す。なお、以下の説明においては、光触媒機能を有する複合板を「複合板」と略記する。
先ず、本発明の複合板(C)について説明する。本発明の複合板(C)は、例えば建材、土木用資材として使用され、図1の右側に示す様に、金属層(5)/接着剤層(6)/樹脂層(7)/接着剤層(6)/金属層(5)の層構成を有する金属樹脂複合板(B)の少なくとも一方の金属層(5)の表面に有機系塗膜(4)が設けられ、かつ、当該有機系塗膜の表面に保護接着層(3)を介して光触媒層(2)が形成されて成る。図に例示した複合板(C)においては、金属樹脂複合板(B)の両方の金属層(5)の表面に有機系塗膜(4)が設けられ、一方(図面の上方)の有機系塗膜(4)の表面に保護接着層(3)を介して光触媒層(2)が形成されている。そして、本発明においては、光触媒層(2)の光触媒層の接着性を高めるため、保護接着層(3)は、ジルコニウム酸化物(ジルコニア)、水酸化ジルコニウム、ジルコニウムアルコキシドを含んでいる。
複合板(C)の基材である金属樹脂複合板(B)の芯材層としての樹脂層(7)は、通常、樹脂シートによって構成される。斯かる樹脂シートの原料としては、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂などが例示されるが、好ましくはポリオレフィン樹脂が挙げられる。また、一般に、難燃性を付与するために、上記の樹脂には、マグネシウム、カルシウム、バリウム又はアルミニウムの酸化物、水酸化物、ケイ酸塩、炭酸塩または硫酸塩などの無機フィラー等の添加剤が含有されていてもよく、通常、その含有量は10〜80重量%である。樹脂層(7)の厚さは、通常、金属樹脂複合板(B)全体の厚さの60〜90%に設定される。一般的には、金属樹脂複合板(B)は、その層構成の中で樹脂層(7)を厚くすることにより、軽量性を犠牲にすることなく剛性を高めることが出来る。更に、樹脂層(7)は、2〜5種程度の樹脂から成る積層シートで構成されてもよい。
金属層(5)は金属シートによって構成され、斯かる金属シートとしては、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄、銅、チタン、錫、ニッケル等の金属または各種の合金から成る板(シート)が使用される。加工性、伝熱性、剛性などの観点から、一般的にはアルミニウム板が特に好ましい。各金属層(5)の厚さは、通常は0.1mm以上、好ましくは0.2mm以上であり、最大厚さは、通常は2mm以下、好ましくは1mm以下である。樹脂層(7)の両面に接着剤層(6)を介して配置される各金属板(5)は、そられの厚さの比率を0.8〜1.2の範囲に設定されるのが好ましく、同じ厚さに設定されるのが最も好ましい。
接着剤層(6)は、金属層(5)としての金属シートを樹脂層(7)に接着するための層であり、通常、樹脂層(7)と金属板(5)の両者に親和性のある熱可塑性樹脂の接着フイルムによって構成される。すなわち、各金属層(5)を構成する金属シートは、上記の接着フイルムにより樹脂層(7)に接着されている。接着剤層(6)を構成する熱可塑性樹脂の具体例としては、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・グリシジルアクリレート共重合体、エチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリエチレンのアクリル酸グラフト共重合体、ポリエチレンの無水マレイン酸グラフト共重合体などが挙げられる。
また、接着剤層(6)を構成する接着フイルムの厚さは、通常は10μm以上、好ましくは20μm以上であり、最大厚さは、通常80μm以下、好ましくは60μm以下である。接着フイルムの厚さを上記の範囲に設定することにより、貼り合わせの工程で接着フィルムが破れることがなく、かつ、充分な熱を加えることが出来、樹脂層(7)と金属層(5)(金属シート)との接着性を一層高めることが出来る。
金属層(5)の表面の有機系塗膜(4)は、通常、金属樹脂複合板(B)の製造時に設けられる。有機系塗膜(4)を構成する有機系塗料としては、通常、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられるが、ビルの外壁などの耐候性、耐久性が要求される外装用途に対しては、特にフッ素系樹脂が好ましい。
有機系塗膜(4)の膜厚は、通常は5μm以上、好ましくは10μm以上であり、最大膜厚は、通常は40μm以下、好ましくは30μm以下である。有機系塗膜(4)の膜厚を上記の範囲に設定することにより、金属層(5)との密着性を高め、かつ、塗膜の耐久性、耐候性を高めることが出来る。有機系塗膜(4)は、ロールコーター、カーテンコーター、ダイコーター等を使用した塗布法によって形成されるが、本発明では、塗膜の平滑性、量産性及び塗料の歩留まりを高める観点から、ダイコーター法が好適である。
金属樹脂複合板(B)の厚さは、通常は0.5mm以上、好ましくは0.7mm以上であり、最大厚さは、通常は15mm以下、好ましくは10mm以下である。金属樹脂複合板(B)においては、意匠性の向上、耐蝕性の向上と言う観点から、一方の金属層(5)(金属シート)の表面にだけ有機系塗膜(4)が形成されることも多く、特に、前記の金属シートが例えばステンレス、チタン等の意匠性、耐蝕性を有する材料の場合は、必ずしも両方の金属層(5)の表面に有機系塗膜(4)を設ける必要はない。
金属樹脂複合板(B)は、常法に従って製造することが出来る。例えば、金属樹脂複合板(B)は、予め押出し成形された樹脂シートの両面に対し、金属コイルから送出され且つ塗装された金属シートを接着フィルムを介して積層した後、加熱加圧して樹脂シート、接着フィルム及び金属シートを接着一体することにより製造することが出来る。あるいは、樹脂をシート状に押出し成形しながら、その両面に塗装された金属シートを重ね合わせ、加圧しながら150〜250℃程度の加熱処理を施すことにより、樹脂シート、接着フィルム及び金属シートを接着一体することも出来る。なお、他方の金属シートの貼合せは、加熱ロールによって金属シートの塗装面と反対側の面に200℃で接着フィルムが予め溶着された金属コイルの金属シートを使用することにより連続的に行うことが出来る。
本発明の複合板(C)においては、上記の金属樹脂複合板(B)の有機系塗膜(4)の表面に保護接着層(3)を介して光触媒層(2)が形成されている。光触媒層(2)は、後述する様に、光触媒の微粒子を含むコーティング液を塗布乾燥させて形成される。光触媒層(2)を構成する光触媒としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化ルテニウム等が挙げられる。特に、安全性、薬品に対する耐久性、透明性などの観点からは、アモルファス型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、ルチル型酸化チタンを組み合わせたものが好適である。光触媒層(2)の膜厚は、0.05〜1μm程度が好ましい。この範囲の膜厚であれば、膜にクラックが発生し難く、虹彩と呼ばれる干渉縞も発生し難く、また、外観も良好である。
保護接着層(3)は、光触媒作用による有機系塗膜(4)の分解を防止するために光触媒層(2)と有機系塗膜(4)とを遮断する機能、ならびに、有機系塗膜(4)と光触媒層(2)とを接着する機能を有する。保護接着層(3)には、ジルコニウム酸化物(ジルコニア)、水酸化ジルコニウム、ジルコニウムアルコキシドが含まれる。後述する様に、保護接着層(3)は、転写フィルム(A)の基材である剥離性フィルム(1)上の光触媒層(2)の表面にコーティング液を塗布して予め形成され、転写フィルム(A)による転写により有機系塗膜(4)の表面に配置される。そして、保護接着層(3)の膜厚は、光触媒層(2)と同様に、0.05〜1μm程度に設定される。斯かる範囲の膜厚であれば、膜にクラックを発生し難く、また、虹彩と呼ばれる干渉縞が発生し難く、外観も良好である。
上記の様に、本発明の複合板(C)においては、保護接着層(3)がジルコニウム酸化物(ジルコニア)、水酸化ジルコニウム、ジルコニウムアルコキシドを含有しているため、金属樹脂複合板(B)の表面の有機系塗膜(4)に対する光触媒層(2)の接着性に優れており、曲げ加工などによる光触媒層(2)及び保護接着層(3)の剥離がなく、しかも、光触媒層(2)及び保護接着層(3)が透明性に優れている。従って、本発明の複合板(C)は、加工が必要な建材や土木用資材として優れた効用を発揮する。
次に、本発明に係る複合板(C)の製造方法について説明する。上記の複合板(C)の製造方法としては、図1に示す第1の態様、および、図2に示す第2の態様の2つの態様が挙げられる。図1に示す第1の態様は、転写フィルム(A)を使用し、有機系塗膜(4)が設けられた前述の金属樹脂複合板(B)に光触媒層(2)を設ける態様であり、また、図2に示す第2の態様は、前述の金属樹脂複合板(B)の構成要素である2枚の基材金属板(D)及び樹脂層(7)、ならびに、転写フィルム(A)を使用し、一方の基材金属板(D)に光触媒層(2)を設けた後、樹脂層(7)及び他方の基材金属板(D)を積層する態様である。
複合板(C)の製造方法の第1の態様においては、図1に示す様に、剥離性フィルム(1)の表面に光触媒層(2)を介して保護接着層(3)が設けられた転写フィルム(A)を使用し、金属樹脂複合板(B)の有機系塗膜(4)の表面に転写フィルム(A)をその保護接着層(3)が接する様に配置し、50〜150℃、10〜100kg/cm(線圧)の条件で加熱加圧することにより、光触媒層(2)が積層された金属樹脂複合板(B)を作製した後、剥離性フィルム(1)を剥離する。
転写フィルム(A)は、剥離性フィルム(1)の表面に光触媒層(2)及び保護接着層(3)を順次に積層したものである。剥離性フィルム(1)としては、通常、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイミド等の合成樹脂フィルムにシリコン系、メラミン系などの離型剤を塗布したものが好適に使用される。剥離性フィルム(1)の厚さは、通常、10〜100μm程度であり、剥離性フィルム(1)の厚さを前記の範囲に設定することにより、転写時の転写強度を十分に確保でき、転写時にシワの発生を防止できる。また、有機系塗膜(4)に対するの転写性、剥離性を向上させるため、離型剤に無機系の微粒子を添加し、表面をマット調に形成されてもよい。
光触媒層(2)は、前述の光触媒の微粒子を含むコーティング液を上記の剥離性フィルム(1)の表面に塗布した後、これを乾燥させることにより形成される。光触媒の微粒子を含むコーティング液としては、水系、溶剤系の何れも使用できるが、乾燥の比較的速いアルコール系溶媒に微粒子が高分散しているコーティング液を使用するのがよい。斯かるコーティング液としては、例えば、チタニアゾル溶液、チタニアゲル体またはチタニアゾル・ゲル混合体を密閉容器内で加熱処理すると同時に加圧処理し、次いで、分散・攪拌して得られるアナターゼ型酸化チタンスラリー等が挙げられる。また、光触媒の微粒子をシリカ化合物などのバインダーに均一に分散した溶液などが挙げられる。シリカ化合物としては、通常、4、3、2官能のアルコキシシラン、これらアルコキシシラン類の縮合物、加水分解物、シリコーンワニス等を使用できる。光触媒層(2)の膜厚は前述の通りである。
保護接着層(3)は、剥離性フィルム(1)上の光触媒層(2)の表面にコーティング液を塗布した後、これを乾燥させることにより形成される。上記のコーティング液には、ジルコニウム酸化物(ジルコニア)、水酸化ジルコニウム、ジルコニウムアルコキシドが含まれ、斯かるコーティング液は、通常、次の様に調製される。
すなわち、コーティング液は、ジルコニウムアルコキシドをアルコール系溶媒中に混合して成る第1の液(A)に対し、水及び沈殿生成抑制剤である酸またはアルカリをアルコール系溶媒中に混合して成る第2の液(B)を滴下することにより調製される。得られたコーティング液は、上記の様に、アルコール系溶媒中にジルコニウム酸化物(ジルコニア)を主成分として含み、かつ、水酸化ジルコニウム、ジルコニウムアルコキシドを含む。また、コーティング液内の過剰反応抑えるために更にアルコール溶媒が添加されてもよい。
第1の液(A)に含有されるジルコニウムアルコキシドとしては、例えば、ジルコニウム−n−プロポキシド、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムイソプロポキシド及びジルコニウムブトキシドから成る群より選ばれる1種または2種以上を使用できる。上記の材料を使用することにより、低温での成膜が可能であり、広範囲の材質の基材に高い密着力を発揮する。しかも、膜の透明度が高いため、基材(有機系塗膜(4)を有する金属層(5))の色彩や光の透過率を損ねることなく、基材表面の意匠性を保持できると言う利点がある。
また、上記のジルコニウムアルコキシドの含有量は、通常は1wt%以上、好ましくは5wt%以上であり、最大含有量は、通常は30wt%以下、好ましくは15wt%以下である。ジルコニウムアルコキシドの含有量を上記の範囲に設定することにより、保護接着層(3)として必要な条件である緻密な膜を形成でき、上記の機能を発現することが出来る。更に、この場合、組成物としてのコーティング液中のジルコニウム酸化物(ジルコニア)の粒子径は、通常は0.5nm以上、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上であり、最大粒子径は、通常は100nm以下、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下である。ジルコニウム酸化物の粒子径を上記の範囲に設定することにより、特に透明性の高い膜を形成でき、基材表面の意匠性を高めることが出来る。
一方、第2の液(B)には、ジルコニウムアルコキシドを加水分解して水酸化ジルコニウムを生成するため、水を含有させる。水の含有量は、通常は0.01wt%以上、好ましくは0.1wt%以上であり、最大含有量は、通常は10wt%以下、好ましくは5wt%以下である。水の含有量を上記の範囲に設定することにより、ジルコニウムアルコキシドの加水分解反応と重縮合反応を制御でき、前述の粒子径のジルコニウム酸化物(ジルコニア)を得ることが出来る。
第2の液(B)には、沈殿生成抑制剤として、酸またはアルカリを含有させる。通常、酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、シュウ酸、酢酸などが挙げられ、これらは、単独で或いは複数を組み合わせて使用される。また、アルカリとしては、アンモニア、アミン化合物などが挙げられ、これらは、単独で或いは複数を組み合わせて使用される。第2の液(B)中における上記の酸またはアルカリの含有量は、通常は0.01wt%以上、好ましくは0.02wt%以上、より好ましくは0.05wt%以上である、最大含有量は、通常は10wt%以下、好ましくは8wt%以下、より好ましくは5wt%以下である。酸またはアルカリの含有量を上記の範囲に設定することにより、効率よく沈殿生成抑制の効果を発揮できる。
アルコール系溶媒としては、通常、CnH2n+1OHの構造式で表されるアルコールが使用される。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、ter−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール等を単独で或いは複数を組み合わせて使用できる。また、第2の液(B)を滴下した後、コーティング液内の過剰反応抑えるために第1の液(A)に添加する上記のアルコール溶媒としては、前述したのと同様のアルコールが挙げられるが、必ずしも第1の液(A)又は第2の液(B)と同じ溶媒とする必要はない。
光触媒層(2)、保護接着層(3)の塗布方法としては、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーターを使用した塗布法が挙げられる。光触媒層(2)及び保護接着層(3)の各コーティング液は、微粒子が水又は有機溶媒に分散した状態であり、保存安定性を考慮し、固形分濃度を通常は1〜5%程度に調節するため、コーティング液粘度も2〜10センチポイズと比較的低い。一方、上記の様に、光触媒層(2)及び保護接着層(3)の塗膜は、0.05〜1μmに調節する必要がある。従って、塗布法としては、グラビアコーターを使用した塗布法が特に好適である。
本発明の製造方法においては、上記の転写フィルム(A)を使用し、金属樹脂複合板(B)の有機系塗膜(4)の表面に転写フィルム(A)をその保護接着層(3)が接する様に配置し、50〜150℃、10〜100kg/cm(線圧)の条件で加熱加圧して光触媒層(2)が積層された金属樹脂複合板(B)を作製した後、剥離性フィルム(1)を剥離することにより、複合板(C)を製造する。
具体的には、先ず、予め製造された金属樹脂複合板(B)の有機系塗膜(4)に対し、転写フィルム(A)の保護接着層(3)を接触させ、加熱手段が組み込まれた加熱加圧ロール(熱転写ロール)で転写フィルム(A)の表面から加圧することにより、金属樹脂複合板(B)に転写フィルム(A)を連続的に貼り合わせいく。その際、加熱・加圧条件として、加熱加圧ロールの圧力、温度および周速を調節することにより、転写フィルム(A)及び金属樹脂複合板(B)の温度、加圧力を上記の様に設定する。転写するための最適条件は、有機系塗膜(4)の種類にもよるが、通常、温度は50〜150℃、圧力は10〜100Kg/cm(線圧)である。
保護接着層(3)の有機系塗膜(4)への接着操作において温度、圧力を上記の範囲に設定する理由は次の通りである。すなわち、接着時の温度を上記の範囲に設定することにより、有機系塗膜(4)と保護接着層(3)との間で充分な接着力が得られ、かつ、転写フィルム(A)の基材である剥離性フィルム(1)が劣化し難く、剥離の際に破れることがない。また、接着時の圧力を上記の範囲に設定することにより、機系塗膜(4)と保護接着層(3)との間で充分な接着力が得られ、しかも、設備能力を必要以上に大きくする必要がない。
加熱加圧して金属樹脂複合板(B)の有機系塗膜(4)に転写フィルム(A)の保護接着層(3)を接着した後は、転写フィルム(A)の剥離性フィルム(1)を剥離することにより、最終製品である複合板(C)を得ることが出来る。そして、本発明においては、上記の様に、有機系塗膜(4)へ保護接着層(3)を接着する際、特定の転写フィルム(A)を使用し、特定の条件で転写フィルム(A)を接着するため、金属樹脂複合板(B)の有機系塗膜(4)の表面に対し、転写フィルム(A)の光触媒層(2)及び保護接着層(3)を95〜100%の転写率で転写することが出来る。
上記の様に、本発明に係る複合板(C)の製造方法においては、剥離性フィルム(1)の表面に光触媒層(2)と特定の保護接着層(3)が順次設けられ且つ光触媒層(2)と保護接着層(3)が強固に接着された転写フィルム(A)を使用し、転写法で製造するため、防汚性、耐久性、表面意匠性に優れた前述の複合板(C)を一層効率的に製造することが出来、特に、大面積でも光触媒の薄膜を均一に積層することが出来、大面積の複合板(C)を連続的に製造することが出来る。
次に、本発明に係る複合板(C)の製造方法の第2の態様について説明する。複合板(C)の製造方法の第2の態様においては、図2に示す様に、剥離性フィルム(1)の表面に光触媒層(2)を介して保護接着層(3)が設けられた転写フィルム(A)、前述の金属樹脂複合板(B)の接着剤層(6)/金属層(5)をそれぞれに構成する2枚の基材金属板(D)あって且つ少なくとも一方の金属層(5)の表面に有機系塗膜(4)が設けられた基材金属板、ならびに、金属樹脂複合板(B)の樹脂層(7)を構成する樹脂シートを使用する。そして、一方の基材金属板(D)の有機系塗膜(4)の表面に転写フィルム(A)をその保護接着層(3)が接する様に配置し、50〜150℃、10〜100kg/cm(線圧)の条件で加熱加圧することにより、光触媒積層基材金属板(E)を作製した後(中央の図の上方)、光触媒積層基材金属板(E)の接着剤層(6)の表面に樹脂層(7)を積層し且つ当該樹脂層の表面に他方の基材金属板(D)(中央の図の下方)をその接着剤層(6)が接する様に積層し、次いで、転写フィルム(A)の剥離性フィルム(1)を剥離する。
第2の態様において、転写フィルム(A)の構成は、第1の態様におけるのと同様であり、また、各基材金属板(D)の接着剤層(6)、金属層(5)及びその表面の有機系塗膜(4)の構成は、第1の態様における金属樹脂複合板(B)の接着剤層(6)、金属層(5)及び有機系塗膜(4)と同様である。そして、樹脂層(7)としての樹脂シートの構成も、第1の態様における樹脂層(7)と同様である。
すなわち、第2の態様は、作製された金属樹脂複合板(B)を最初に使用せずに、金属樹脂複合板(B)の構成要素である2枚の基材金属板(D)及び樹脂層(7)を準備し、一方の基材金属板(D)に前述の転写フィルム(A)を接着して光触媒積層基材金属板(E)、換言すれば、転写フィルム(A)が接着された基材金属板(D)を作製し、次いで、光触媒積層基材金属板(E)に樹脂層(7)及び他方の基材金属板(D)を積層することにより、転写フィルム(A)が接着された状態の金属樹脂複合板(B)を構成し、その後、転写フィルム(A)の剥離性フィルム(1)を剥離する点が第1の態様と相違する。
図2に示す本発明の製造方法においては、先ず、予め製造された基材金属板(D)の有機系塗膜(4)に対し、転写フィルム(A)の保護接着層(3)を接触させ、前述の態様と同様に、加熱加圧ロール(熱転写ロール)で転写フィルム(A)の表面から加圧することにより、基材金属板(D)に転写フィルム(A)を連続的に貼り合わせいく。その際、加熱・加圧条件として、加熱加圧ロールの圧力、温度および周速を調節することにより、転写フィルム(A)及び基材金属板(D)の温度、加圧力を上記の様に設定する。保護接着層(3)の有機系塗膜(4)への接着操作において温度、圧力を上記の範囲に設定する理由は前述の態様におけるのと同様である。
基材金属板(D)の有機系塗膜(4)に転写フィルム(A)の保護接着層(3)を接着し、転写フィルム(A)が接着された基材金属板(D)、すなわち、光触媒積層基材金属板(E)(中央の図の上方の部材)を作製した後は、斯かる光触媒積層基材金属板(E)の接着剤層(6)側に対し、前述の金属樹脂複合板(B)を製造する設備と同様の加熱加圧ロールを使用し、樹脂層(7)としての樹脂シート及び他方の基材金属板(D)(転写フィルム(A)が接着されていない基材金属板)を連続的に貼り合わせていく。その際、樹脂シートに対しては、他方の基材金属板(D)をその接着剤層(6)が接触する様に配置する。
光触媒積層基材金属板(E)に樹脂層(7)及び他方の基材金属板(D)を積層した後は、転写フィルム(A)の剥離性フィルム(1)を剥離することにより、最終製品である複合板(C)を得ることが出来る。そして、本発明においては、前述の態様と同様に、有機系塗膜(4)へ保護接着層(3)を接着する際、特定の転写フィルム(A)を使用し、特定の条件で転写フィルム(A)を接着するため、光触媒積層基材金属板(E)(一方の基材金属板(D))の有機系塗膜(4)の表面に対し、転写フィルム(A)の光触媒層(2)及び保護接着層(3)を95〜100%の転写率で転写することが出来る。
上記の様に、本発明に係る複合板(C)の製造方法においては、前述の態様と同様に、剥離性フィルム(1)の表面に光触媒層(2)と特定の保護接着層(3)が順次設けられ且つ光触媒層(2)と保護接着層(3)が強固に接着された転写フィルム(A)を使用し、転写法で製造するため、防汚性、耐久性、表面意匠性に優れた前述の複合板(C)を一層効率的に製造することが出来る。そして、特に、大面積でも光触媒の薄膜を均一に積層することが出来、大面積の複合板(C)を連続的に製造することが出来る。
以下、実施例に基づいて本発明を更にに説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。
実施例:
本発明の複合板(C)を図2に示す製造方法により製造した。すなわち、転写フィルム(A)、金属樹脂複合板(B)の構成要素である2枚の基材金属板(D)、および、金属樹脂複合板(B)の樹脂層(7)を構成する樹脂シートを準備した後、1枚の基材金属板(D)の有機系塗膜(4)の表面に転写フィルム(A)をその保護接着層(3)が接する様に配置し、加熱加圧して光触媒積層基材金属板(E)を作製し、次いで、光触媒積層基材金属板(E)に樹脂層(7)として樹脂シートを積層し、更に、樹脂層(7)に他の1枚の基材金属板(D)を積層した後、転写フィルム(A)の剥離性フィルム(1)を剥離することにより、複合板(C)を製造した。
転写フィルム(A)は、グラビアコーターを使用し、剥離性フィルム(1)の表面に光触媒層用のコーティング液および保護接着層用コーティング液をそれぞれに膜厚が0.1μmとなる様に塗布した後、80℃の温度で1分間加熱乾燥して製造した。剥離性フィルム(1)としては、厚さ25μmのポリエステルフィルムを使用し、離型剤として、シリカ微粒子含有のメラミン系離系剤を塗工した。保護接着層形成用のコーティング液としては、ジルコニアを主成分として含み、更に水酸化ジルコニウム、ジルコニウムアルコキシドを含む光触媒中間剤(川崎重工業(株)製;商品名「フォリウム用アンダーコート剤」)を使用した。また、光触媒層(2)形成用のコーティング液としては、アナターゼ型酸化チタン分散液(川崎重工業(株)製;商品名「フォリウム(登録商標)」)を使用した。
基材金属板(D)は、金属層(5)を構成するアルミニウムコイル(アルミニウムシート)を水洗後、圧延時に付着した油分を脱脂液に浸漬して除去し、更に、湯洗して乾燥させた後、樹脂シートとの接着面側を塗布型のクロム酸クロム溶液により表面処理し、次いで、加熱加圧ロールを使用し、表面処理した面に接着剤層(6)としての接着フィルムを200℃で溶着することにより製造した。そして、ダイコーターを使用し、アルミニウムコイルの接着剤層(6)と反対側の面に塗膜厚さが20μmになる様に有機系塗料を塗装した後、230℃の温度で1分間加熱乾燥することにより、有機系塗膜(4)を形成した。金属層(5)を構成するアルミニウムシートは、アルミニウムコイルから送出された厚さ0.5mmのシートであった。接着剤層(6)を構成する接着フィルムとしては、厚さ40μmのエチレンアクリル酸共重合体フイルムを使用した。また、有機系塗膜(4)の有機系塗料としては、溶媒可溶型フッ素樹脂塗料(旭硝子コートアンドレジン社製;商品名「ルミフロン」)を使用した。
樹脂層(7)を構成する樹脂シートは、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製;商品名「LF542M」)を使用して製造し、無機フィラーとして、水酸化アルミニウム(アルマティス社製)を重量比で65%混合した。樹脂シートの製造においては、原料供給フィーダーから二軸混練機に低密度ポリエチレンと水酸化アルミニウムを上記の割合で供給すると共に、押出機で溶融混練し、厚さ3.0mmのシート状に押出成形した。
光触媒積層基材金属板(E)は、先に製造した基材金属板(D)の有機系塗膜(4)(フッ素樹脂塗膜)の表面に前述の転写フィルム(A)をその保護接着層(3)が接する様に重ね、熱転写ロールを使用し、80℃の温度、40Kg/cm(ロール上の線圧)の圧力で加熱加圧し、基材金属板(D)の有機系塗膜(4)へ転写フィルム(A)の保護接着層(3)及び光触媒層(2)を接着することにより製造した。
上記の様にして光触媒積層基材金属板(E)を製造した後は、これに樹脂層(7)及び基材金属板(D)を積層することにより、転写フィルム(A)が貼り付けられた状態の金属樹脂複合板(B)を製造した。すなわち、触媒積層基材金属板(E)の接着剤層(6)の表面に樹脂層(7)としての樹脂シートを配置し、更に、樹脂層(7)の表面に他の1枚の基材金属板(D)をその接着剤層(6)が接する様に配置した後、表面温度が180℃に設定された加熱加圧ロールを使用し、これら光触媒積層基材金属板(E)、樹脂層(7)、基材金属板(D)を加熱圧着した。そして、最外層の転写フィルム(A)の剥離性フィルム(1)を剥離することにより、総厚さが4.0mmの複合板(C)を製造した。
上記の複合板(C)の特性について、転写率、密着性、水に対する接触角を確認し、1年間の屋外暴露試験を行ったところ、表1に示す様な結果が得られた。上記の様に製造した複合板(C)は、表1に示す様に、転写フィルム(A)の光触媒層(2)が完全に転写されており、しかも、防汚性、耐久性、表面意匠性に優れていることが確認された。また、曲げ加工を施し、光触媒層(2)、保護接着層(3)の剥離の有無を顕微鏡観察したところ、剥離のないことが確認された。
なお、転写率は、保護接着層(3)及び光触媒層(2)の薄膜の膜厚測定が困難であるため、蛍光X線分析により、転写フィルム(A)及び転写後の塗装金属層(5)表面の微量Zr、Ti元素の強度を測定し、以下の計算式に基づいて求めた。
Figure 0004529863
比較例:
保護接着層用塗布液として、ジルコニウム酸化物(ジルコニア)のみを含むコーティング液を使用した点を除き、実施例と同様の方法で複合板を製造した。そして、斯かる複合板を観察したところ、保護接着層(3)の成膜性が不充分であり、光触媒層(2)と有機系塗膜(4)の十分な密着性能が得られなかった。その結果、表1に示す様に、転写フィルム(A)から基材金属板(D)へ光触媒層(2)を転写することが出来ず、水に対する接触角の測定および屋外暴露試験では、有機系塗膜と同様の性能しか得ることが出来なかった。
Figure 0004529863
本発明に係る光触媒機能を有する複合板およびその製造方法の第1の態様を模式的な層構成で示す断面図である。 本発明に係る光触媒機能を有する複合板およびその製造方法の第2の態様を模式的な層構成で示す断面図である。
符号の説明
1:剥離性フィルム
2:光触媒層
3:保護接着層
4:有機系塗膜
5:金属層
6:接着剤層
7:樹脂層
A:転写フィルム
B:金属樹脂複合板
C:複合板
D:基材金属板
E:光触媒積層基材金属板

Claims (3)

  1. 金属層/接着剤層/樹脂層/接着剤層/金属層の層構成を有する金属樹脂複合板の少なくとも一方の金属層の表面に有機系塗膜が設けられ、かつ、当該有機系塗膜の表面に保護接着層を介して光触媒層が形成されて成る複合板の製造方法であって、剥離性フィルムの表面に光触媒層を介して保護接着層が設けられた転写フィルム、金属樹脂複合板の接着剤層/金属層をそれぞれに構成する2枚の基材金属板で且つ少なくとも一方の金属層の表面に有機系塗膜が設けられた基材金属板、ならびに、金属樹脂複合板の樹脂層を構成する樹脂シートを使用すると共に前記転写フィルムとして、ジルコニウムアルコキシドをアルコール系溶媒中に混合して成る第1の液(A)に対し、水及び沈殿生成抑制剤である酸またはアルカリをアルコール系溶媒中に混合して成る第2の液(B)を滴下することにより調製され、アルコール系溶媒中にジルコニウム酸化物を主成分として含み且つ水酸化ジルコニウム、ジルコニウムアルコキシドを含むコーティング液を光触媒層の表面に塗布して保護接着層が形成された転写フィルムを使用し、一方の基材金属板の有機系塗膜の表面に前記転写フィルムをその保護接着層が接する様に配置し、50〜150℃、10〜100kg/cmの条件で加熱加圧することにより、光触媒積層基材金属板を作製した後、当該光触媒積層基材金属板の接着剤層の表面に前記樹脂シートを樹脂層として積層し且つ当該樹脂層の表面に他方の基材金属板をその接着剤層が接する様に積層し、次いで、前記転写フィルムの剥離性フィルムを剥離することを特徴とする光触媒機能を有する複合板の製造方法。
  2. 光触媒層が、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化マンガン及び酸化ルテニウムから成る群より選ばれた光触媒の微粒子から成る請求項1に記載の製造方法
  3. 転写フィルムの光触媒層の表面にコーティング液を塗布するに当たり、コーティング液として、ジルコニウム−n−プロポキシド、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムイソプロポキシド及びジルコニウムブトキシドの群から選ばれたジルコニウムアルコキシドをアルコール系溶剤中に1〜30wt%混合して成る第1の液(A液)に対し、水を0.01〜10wt%及び沈殿生成抑制剤である酸またはアルカリを0.01〜10wt%アルコール系溶剤中に混合して成る第2の液(B液)を滴下することにより調製されたコーティング液を使用する請求項1又は2に記載の製造方法。
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