JP4529760B2 - 樹脂の劣化度評価方法及び樹脂のリサイクル方法 - Google Patents

樹脂の劣化度評価方法及び樹脂のリサイクル方法 Download PDF

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Description

本発明は樹脂の劣化の程度を評価する方法に関する。これにより、使用された樹脂の部位毎の劣化度を測定したり、使用された樹脂の劣化度に応じてリサイクルを行う。
ポリアミド系樹脂はアミド結合を有し、高分子鎖どうしがNHとCOとの間で水素結合により結ばれている。同様に、ポリエステル系樹脂はエステル結合を有し、高分子鎖どうしがOHとCOとの間で水素結合により結ばれている。これらの樹脂は水素結合により、高結晶性、高融点を示す。ポリアミド系樹脂やポリエステル系樹脂は、耐摩擦性、弾性、耐薬品性、染色性に優れており繊維材料として大量に使用されるほか、機械的特性、耐摩耗性、耐熱性、耐油性にも優れていることから、機械部品、電気部品等のエンジニアリングプラスチックやその他の成形品に広く利用されている。
ポリアミド系樹脂やポリエステル系樹脂は優れた特性を有する高分子化合物であるが、時間の経過とともに外力や化学変化等により徐々に劣化してくる。このような劣化は他の樹脂についても同様である。そのような劣化した樹脂がどの程度劣化しているか、どのような要因により劣化したのか、そしてどの程度の強度を有しているのかを把握することは、例えば、樹脂材料のリサイクル、耐久性等の評価、樹脂の劣化のメカニズムの解明等のために非常に重要である。
下記特許文献1には、使用済み製品のプラスチック部品やゴム製品の組成及び劣化度による等級分けを行うリサイクルシステムが開示されている。しかし、劣化度の判定は、使用済み製品に表示された製造年月日からの「直接的表示」や、製品の型番,製品番号,ロット番号,メーカー名等の「間接的表示」からの、各メーカー,各製品ごとに対応した情報を備えたデータベースから、その製品の解体手順や、構成部材・部品の組成,主成分,用途,製造年月,再生品使用の有無といった情報を引出すというものである。
ところで、ポリアミド系樹脂やポリエステル系樹脂の劣化としては、剪断等の外力により高分子鎖が切断される機械的要因による劣化の他に、紫外線、熱又は加水分解等の作用により高分子鎖が化学変化又は結合開裂する化学的要因による劣化が挙げられる。これらの種々の作用により樹脂材料は劣化し、その結果、その機械的強度等が低下する。
一般的に、ポリアミド系樹脂やポリエステル系樹脂等の樹脂材料の劣化の度合いは、例えば、所定の形状及び寸法の試験片を用いる引張試験(例えば、ASTM−D638−84)等の強度試験で測定される強度により評価されている。
しかしながら、上記のような強度試験を実施するためには所定の形状及び寸法の試験片を準備する必要があったり、測定操作等が煩雑であり、また、実際の樹脂成形品等は曲面を有していたりするため試験片を準備できない場合が多く、その場合上記強度試験を行うことができないなど実用上の問題がある。また、上記強度試験では局所的に劣化しているような試験片(例えば、表面のみが劣化している樹脂材料等)についてその劣化箇所のみをピンポイントで評価することは不可能である。さらに、上記強度試験では樹脂材料の強度劣化が機械的剪断等の物理的(機械的)要因によるものなのか、又は加水分解等による化学的要因によるものなのかその原因・メカニズムを判断することができない。
化学的要因によるポリアミドの劣化を評価する方法としては、樹脂材料が化学的劣化により化学変化して生じた物質を定量する方法が考えられる。ポリアミド中の特定の物質を定量する方法としては、例えば可視紫外線吸収スペクトル分析によりその物質の特性吸収波長領域の吸光度を測定する方法が知られている(例えば、下記特許文献1)。しかしながら、この方法は、化学変化により生じる物質がその物質に特徴的な特性吸収波長領域を有することが必要であり、また、その特性吸収波長領域の吸光度が弱かったり、又は樹脂材料の特性吸収波長領域と干渉したりする場合には採用できないなど解決すべき課題が多く残されている。
その他、樹脂の劣化による化学構造の変化を観る方法として、(1)IR分析、(2)EPMA測定、(3)XPS測定、(4)GPC測定などがある。又、樹脂の劣化による物性低下を観る方法として、(5)粘弾性測定などがある。しかし、作業が煩雑で時間がかかる((2)EPMA測定、(3)XPS測定、(4)GPC測定)、切り出し、溶液化などの前処理を必要とする((1)〜(5)の全て)、感度が充分でない((1)IR分析、(2)EPMA測定、(3)XPS測定)、面分析が出来ないので劣化部位が特定出来ない((4)GPC測定、(5)粘弾性測定)という問題点を有していた。
特許第3275462号公報 特開平9−281046号公報
本発明は、加水分解などの化学的要因及び酸素による熱的要因による劣化を正確に且つ容易に評価できるポリアミド系樹脂やポリエステル系樹脂等の樹脂材料の劣化度評価方法を提供することを目的とする。又、どのような試験片形状でも適用でき、また局所的な劣化度を測定することができる劣化度評価方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、樹脂材料の加水分解等による化学的劣化及び酸素による熱的劣化により生じる高分子鎖の末端官能基の量と機械的強度との間に相関関係があること、及び前記官能基だけでは発光強度または蛍光強度は測定できないが、前記官能基を特定の試薬と反応させて誘導体化して該特定基の発光強度または蛍光強度を測定することにより前記末端官能基量を正確に定量できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
例えば、ポリアミド系樹脂の加水分解等による化学的劣化及び酸素による熱的劣化により生じるポリアミド鎖の末端カルボキシル基の量や末端アミノ基の量と機械的強度との間に相関関係があること、及び前記末端カルボキシル基や末端アミノ基だけでは紫外線吸収や吸光度は測定できないが、前記カルボキシル基やアミノ基を特定の試薬と反応させて誘導体化し、該試薬の発光強度または蛍光強度を測定することにより前記末端カルボキシル基量または末端アミノ基量を正確に定量できることを見出した。
即ち、本発明は、樹脂材料の劣化度評価方法の発明であり、樹脂の劣化による生成する官能基にラベル化試薬を反応させ、該反応物中のラベル化試薬の発光強度または蛍光強度を測定し、その特定波長の光強度の推移を観て樹脂材料の劣化度を判定する。
各種樹脂材料は、劣化により特定の官能基を生成する。本発明においては、劣化により生成した官能基にラベル化試薬を反応させる。具体例としては、下記(a)〜(c)のように、−OH基、−NH基、−COOH基が好ましく例示されるが、本発明はこれらの官能基を生成する樹脂材料に限定されるものではない。
(a)前記樹脂が劣化により−OH基を生成するものであり、前記ラベル化試薬が下記化学式(1)または(2)で示されるいずれかの反応基を有する場合。
Figure 0004529760
(b)前記樹脂が劣化により−NH基を生成するものであり、前記ラベル化試薬が下記化学式(3)〜(6)で示されるいずれかの反応基を有する場合。
Figure 0004529760
(c)前記樹脂が劣化により−COOH基を生成するものであり、前記ラベル化試薬が下記化学式(7)〜(12)で示されるいずれかの反応基を有する場合。
Figure 0004529760
特に、前記化学式(1)〜(12)で示されるラベル化試薬の反応基が下記式(13)で示されるスクシンイミドと結合している場合は蛍光特性に優れ、その蛍光強度の推移を測定することが容易であるので、好ましい。
Figure 0004529760
本発明の劣化度評価方法が適用される樹脂材料は限定されないが、ポリエステル系樹脂またはポリアミド系樹脂は、上記(a)〜(c)の場合に合致する樹脂であるので好ましく例示される。
本発明において、前記ラベル化試薬は蛍光試薬または発光試薬のどちらでも良く、樹脂材料の劣化度を判定するために、可視光線、赤外線または紫外線に特定波長の蛍光または発光特性を有すればよい。その光強度の推移を見て樹脂材料の劣化度を判定する。
第2に、本発明は、樹脂のリサイクル方法の発明であり、上記の樹脂の劣化度評価方法用いて樹脂の劣化度を判別し、その劣化度に応じてリサイクルを行う。
樹脂の加水分解等による化学的劣化及び酸素による熱的劣化により生じる官能基をラベル化試薬と反応させ、誘導体化することにより前記官能基量を正確に定量でき、樹脂の劣化度を正確に且つ容易に評価できる。従来の劣化度評価方法は引張試験等により強度を評価するものであるので劣化の原因までは判断できなかったが、本発明の方法は樹脂の化学的な劣化及び酸素による熱的な劣化を評価するものであるため、樹脂の劣化の原因やメカニズム等の解析が可能となる。また、本発明の方法は寸法や形状に関係なく微量の樹脂試料があれば実施することができ、例えば、従来では劣化度を測定することが不可能であった曲面を有する樹脂成形品等でも劣化度を測定することができる。
以下に、本発明を詳細に記述する。
化学的要因による樹脂の劣化としては樹脂の加水分解が考えられ、熱的要因による樹脂の劣化としては樹脂の酸化分解が考えられる。
例えば、ポリアミド鎖中のアミド結合は加水分解及び酸化分解等により切断されてポリアミド鎖は低分子量化し、その結果、ポリアミドの機械的強度が低下するものと思われる。この加水分解によりポリアミド鎖中のアミド結合はアミノ基とカルボキシル基とになる。したがって、ポリアミド系樹脂中に含まれるカルボキシル基またはアミノ酸基を定量することによりポリアミド系樹脂の化学的劣化及び熱的劣化の度合い、ひいては強度劣化の度合いを評価・推測することができる。
本発明でいう「ポリアミド系樹脂」とは、1種以上のポリアミドを含有する樹脂を意味し、例えば、1種類のポリアミドからなる単成分樹脂だけでなく、2種以上のポリアミドを含む樹脂、及び樹脂構成成分としてポリアミドとポリアミド以外の他の高分子化合物とを含むポリマーブレンド等の多成分樹脂等、さらにはそれらの成形品及び繊維等の成形物をも含む。また、ポリアミド鎖は他の高分子鎖と化学結合して、例えば、ブロックポリマー、グラフトポリマー等を形成したものであってもよい。
本発明の方法で劣化度の測定の対象となるポリアミドとしては、高分子鎖中にアミド結合を有するものであれば特に限定されるものではなく、天然高分子及び合成高分子のいずれのものでも用いることができる。
合成高分子のポリアミドとしては、例えば、ナイロン(商標名)が挙げられる。ナイロンはジアミン化合物とジカルボン酸化合物との縮合重合により得られるか、又はラクタム化合物の開環重合により得ることができる。
上記ジアミン化合物の具体例としては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5-メチルノナメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス−p−アミノシクロヘキシルメタン、ビス−p−アミノシクロヘキシルプロパン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
上記ジカルボン酸の具体例としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−ジクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸等が挙げられる。
上記ラクタム化合物の具体例としては、例えば、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタム等が挙げられる。
上記構成成分を単独で又は二種以上の混合物で、或いは他のモノマーをさらに混合して重合に供され、そうして得られるポリアミドホモポリマー及び/又はコポリマーを含む樹脂を本発明の方法の対象とすることができる。
上記構成成分から直鎖型の脂肪族ポリアミド、又は主鎖に芳香環を有するポリアミドを得ることができる。
上記構成成分から得られるポリアミドのうち直鎖型の脂肪族ポリアミドは下記式で表される。
Figure 0004529760
(式中、m、n及びxは、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。)
通常、上記式(a)及び(b)のポリアミドは、それぞれ「ナイロン m (n+2)」及び「ナイロン(n+1)」と呼ばれる。
本発明の方法で用いることのできるポリアミドの具体例としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン116、ナイロン612等が挙げられる。
本発明の方法では、分解したポリアミド鎖の末端に生じるカルボキシル基またはアミノ基の量を定量することによりポリアミド系樹脂の劣化度を評価する。
ポリアミド中のある特定の物質又は官能基の含有量を定量する方法として、その物質に固有の特性吸収を検出する可視光、赤外線または紫外線吸収スペクトル分析による方法が知られている。本発明の方法では、ポリアミドの加水分解及び熱分解等により生じる末端カルボキシル基またはアミノ基の特性吸収を検出することが考えられるが、しかしながら、カルボキシル基またはアミノ基は無修飾のままでは可視紫外線吸収スペクトル分析装置では感度が弱いため検出することはできない。そこで、カルボキシル基またはアミノ基を定量する方法として、検出に適した可視光、赤外線または紫外線を発光または蛍光する特性を有する原子団等でカルボキシル基またはアミノ基を修飾し、その修飾カルボキシル基を検出する方法を発明した。
同様に、本発明でいう「ポリエステル系樹脂」とは、1種以上のポリエステルを含有する樹脂を意味し、例えば、1種類のポリエステルからなる単成分樹脂だけでなく、2種以上のポリエステルを含む樹脂、及び樹脂構成成分としてポリエステルとポリエステル以外の他の高分子化合物とを含むポリマーブレンド等の多成分樹脂等、さらにはそれらの成形品及び繊維等の成形物をも含む。また、ポリエステル鎖は他の高分子鎖と化学結合して、例えば、ブロックポリマー、グラフトポリマー等を形成したものであってもよい。
図1に、本発明の樹脂の劣化度評価方法と未劣化樹脂のリサイクルスキームを示す。
樹脂が劣化した劣化品は樹脂が分解して表面に種々の官能基が生成する。例えば、劣化品の表面に−OH、−NH、−COOHが生成している場合を考える。−OH基用のラベル化試薬Aを反応させると、ラベル化試薬Aは劣化品表面上の−OH基のみと反応し、結合する。結合したラベル化試薬Aはそれ自体で発光する、あるいは紫外線等で励起されて蛍光を発光する。発光または蛍光を観察することにより、生成した−OH基量を定量的に測定する。これにより、樹脂の劣化度を評価する。
同様に、劣化品に−NH基用のラベル化試薬Bを反応させると、ラベル化試薬Bは劣化品表面上の−NH基のみと反応し、結合する。結合したラベル化試薬Bはそれ自体で発光する、あるいは紫外線等で励起されて蛍光を発光する。発光または蛍光を観察することにより、生成した−NH基量を定量的に測定する。これにより、樹脂の劣化度を評価する。
又、劣化品に−COOH基用のラベル化試薬Cを反応させると、ラベル化試薬Cは劣化品表面上の−COOH基のみと反応し、結合する。結合したラベル化試薬Cはそれ自体で発光する、あるいは紫外線等で励起されて蛍光を発光する。発光または蛍光を観察することにより、生成した−COOH基量を定量的に測定する。これにより、樹脂の劣化度を評価する。
上記のように、ラベル化試薬A、B、Cはいずれかを単独使用でも良く、2種以上を用いて樹脂の劣化度を評価の精度を高めても良い。又、ラベル化試薬A、B、Cの発光または蛍光波長を変えることにより、同時に2種以上のラベル化試薬を併用できる。
図1において、樹脂が劣化しておらず、樹脂が分解した際に生成する種々の官能基がない場合や、樹脂成形品が新品である場合を考える。この場合は、表面に、例えば、−OH、−NH、−COOHが生成していない。−OH基用のラベル化試薬A、−NH基用のラベル化試薬B、及び−COOH基用のラベル化試薬Cのいずれを反応させても、ラベル化試薬A、B、Cは樹脂成形品表面上に反応し得る官能基が存在しないため、いずれも結合できない。このため、ラベル化試薬A、B、Cによる発光または蛍光は観察されない。これにより、樹脂の劣化度は低いと評価され、リサイクルへ回される。
本発明の劣化度評価方法は、樹脂の劣化部位の特定に用いることが出来る。樹脂に劣化部位と非劣化部位が存在する時には、図1で示されるように、ラベル化試薬と反応させると、劣化部位のみラベル化試薬と反応する。樹脂を蛍光顕微鏡などで観察することにより、劣化部位を特定することが出来る。これにより、樹脂の劣化の原因やメカニズム等の解析に役立たせることが可能となる。
本発明の劣化度評価方法を実行する具体的処理過程の一例は以下のようである。式(1)〜(12)で表されるラベル化試薬を溶媒に溶解する。溶媒としては劣化度を測定するポリアミド系樹脂等を溶解せず、また、ラベル化試薬と化学反応しないものであれば特に限定されず、例えば、メタノール、アセトニトリル、ジクロロメタン等の溶剤が挙げられる。
このラベル化試薬溶液に、劣化度測定樹脂を浸漬、または噴霧し、劣化によって生成した官能基とのラベル化反応を行なう。
この誘導体化反応は、通常、10〜100℃、好ましくは10〜50℃、更に好ましくは20〜30℃で、0.1〜100時間、好ましくは3〜24時間行なう。上記誘導体化反応によりラベル化された劣化樹脂を得る。
反応後、余分なラベル化試薬を溶媒で洗浄し、乾燥させる。
次いで、上記ラベル化された劣化樹脂に紫外線等を照射して励起させ、発生する蛍光の強度を測定する。また、発光試薬をラべル化した場合は、上記樹脂を過酸化水素水に浸漬、または噴霧して、発生する化学発光の強度を測定する。用いる過酸化水素水は濃度0.01%〜10%で、ラベル化試薬によってはアルカリ(pH7〜13)に調整して用いる。
蛍光または発光強度測定により測定される被評価樹脂と結合したラベル化試薬に由来する蛍光または発光の強度が大きいほど樹脂中の官能基量が多いことを意味し、即ち、加水分解及び熱分解等により高分子鎖が開裂して樹脂の劣化が進んでいることを意味する。実際、本発明の方法により評価したポリアミド系樹脂等の劣化度と従来の劣化評価方法である引張試験等により測定された強度試験結果との間には密接な相関関係が認められた。
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
「実施例:ナイロン6の劣化度評価」
(1)ポリアミド系樹脂
ポリアミド系樹脂としてナイロン6を用いた。ナイロン6は未劣化のものと、それを加水分解して劣化させた加水分解品(150℃で24時間、及び48時間加水分解したもの)とを用いた。
(2)ナイロン6と蛍光ラベル化試薬との反応(誘導体化反応)
蛍光ラベル化試薬としてNBD−Cl(4−Chloro−7−nitro−2,1,3−benzoxadiszole)を用いた。蛍光ラベル化試薬NBD−Cl 100gをメタノール50mlに溶解し、10mM溶液とする。この溶液に、約1cm角に切断した上記サンプル(ナイロン6)を浸漬し、室温で0.2時間ラベル化反応させる。反応後、ラベル化したサンプルを取り出し、メタノールで洗浄後、乾燥させた。
劣化により−NH基を有するナイロン6と蛍光ラベル化試薬NBD−Clとの反応は下記反応式で表される。
Figure 0004529760
(3)アミド化合物の蛍光強度測定
上記(2)で得られたアミド化合物(ナイロン6と蛍光ラベル化試薬との誘導体)を蛍光強度計などを用いて蛍光強度を測定した。
また、未劣化ナイロン6及び加水分解処理ナイロン6について、ASTM−D638−84に準拠して下記の条件で引張強度試験を行なった。
試験片厚さ :3.2mm
ダンベル平行部長さ:50mm
試験速度 :10mm/min(チャック間距離:114mm)
試験温度 :23℃
これらの結果より、蛍光強度が大きいものほど、即ち、加水分解により生成したアミノ基の量が多いものほど引張強度が低下しており、本発明の方法によりポリアミド系樹脂の劣化度を化学的な側面から正確に評価できることが分かる。
上記実施例では、−NH基検出用ラベル化試薬として、NBD−Clを用いたが、−OH基用ラベル化試薬、−COOH基用ラベル化試薬の他の具体例を下記に例示する。
[−OH基用ラベル化試薬]
蛍光試薬;(R)−(+)−4−Nitro−7−(2−chloroformylpyrolodin−1−yl)−2,1,3−benzoxadiazole
Figure 0004529760
発光試薬;FCLA−chloride
Figure 0004529760
[−NH基用ラベル化試薬]
発光試薬;4−(2−succinimidyl−oxycarbonylethyl)phenyl−10−acridiniumu−9−carboxylate trifluoromethyl sulfonate
Figure 0004529760
[−COOH基用ラベル化試薬]
蛍光試薬;4−Nitro−7−piperazino−2,1,3−benzoxadiazole
Figure 0004529760
発光試薬;
Figure 0004529760
本発明により、樹脂の劣化を簡便に、且つ定量的に評価できる。これにより、樹脂の劣化の原因やメカニズム等の解析が可能となる。また、本発明の方法は寸法や形状に関係なく微量の樹脂試料があれば実施することができ、例えば、従来では劣化度を測定することが不可能であった曲面を有する樹脂成形品等でも劣化度を測定することができる。又、この劣化度の判定方法を用いて樹脂のリサイクルに活用することができる。
本発明の樹脂の劣化度評価方法と未劣化樹脂のリサイクルスキームを示す。

Claims (3)

  1. 樹脂の劣化により生成する官能基にラベル化試薬を反応させ、該反応物中のラベル化試薬の発光強度または蛍光強度を測定することから該樹脂の劣化度を判定することを特徴とする樹脂の劣化度評価方法であって、該ラベル化試薬が:
    Figure 0004529760

    Figure 0004529760

    Figure 0004529760

    Figure 0004529760

    ;および
    Figure 0004529760
    からなる群から選択される前記方法。
  2. 前記樹脂がポリエステル系樹脂またはポリアミド系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂の劣化度評価方法。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂の劣化度評価方法を用いて樹脂の劣化度を判別し、その劣化度に応じてリサイクルを行うことを特徴とする樹脂のリサイクル方法。

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