JP2003156487A - 悪性腫瘍の検出方法および検出用キット - Google Patents

悪性腫瘍の検出方法および検出用キット

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JP2003156487A
JP2003156487A JP2001358051A JP2001358051A JP2003156487A JP 2003156487 A JP2003156487 A JP 2003156487A JP 2001358051 A JP2001358051 A JP 2001358051A JP 2001358051 A JP2001358051 A JP 2001358051A JP 2003156487 A JP2003156487 A JP 2003156487A
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Katsu Motosawa
克 本澤
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    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/574Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for cancer
    • G01N33/57484Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for cancer involving compounds serving as markers for tumor, cancer, neoplasia, e.g. cellular determinants, receptors, heat shock/stress proteins, A-protein, oligosaccharides, metabolites
    • G01N33/57488Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for cancer involving compounds serving as markers for tumor, cancer, neoplasia, e.g. cellular determinants, receptors, heat shock/stress proteins, A-protein, oligosaccharides, metabolites involving compounds identifable in body fluids

Abstract

(57)【要約】 【課題】 悪性腫瘍の一次スクリーニングに適した、悪
性腫瘍の検出方法および該方法に用いる検出用キットを
提供する。 【解決手段】 検体中の様々なアミノ基含有低分子腫瘍
マーカーに注目して、それと特異的に反応するアミノ基
標識色素を用い、該腫瘍マーカーを適切な条件下で標識
する。標識された腫瘍マーカーを分光学的測定に供し、
検体中に存在した腫瘍マーカー量を算出する。腫瘍マー
カー量を健常人から得たその腫瘍マーカーについての閾
値と比較することにより、悪性腫瘍の有無を検出する。
また、これら一連のステップを検出用キットを用いて行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、悪性腫瘍の検出方
法および検出用キットに関する。特に、本発明は悪性腫
瘍を早期に発見するためにアミノ基含有低分子腫瘍マー
カーを利用する簡易な検出方法および検出用キットに関
する。
【0002】
【従来の技術】悪性腫瘍の低分子腫瘍マーカーとして、
3−ヒドロキシプロリン、プテリジン類、ポリアミン等
のアミノ基含有化合物が知られている。
【0003】このようなアミノ基含有化合物の臨床的研
究は、1971年にRussellらがガン患者尿中にポリア
ミン排出が増加することを見出してから、注目されだし
た(Russel, D.H.ら、Cancer Res., 31: 1555-1558(197
1))。
【0004】汎用されているポリアミンの分析法は酵素
法であり、アシルポリアミン・アミドヒドロラーゼ(acy
lpolyamine amidohydrolase)を用いて遊離型ポリアミン
(カダベリン、スペルミン、プトレッシン)の総量を測
定する。食道ガン、胃ガン、大腸ガン、胆管ガン、膵臓
ガン、肺ガン、卵巣ガン、前立腺ガン等多くの種類のガ
ンで50%近くの判別率を示した(大久保昭行、臨床
医, 24, 11, 2234-2238(1998))。
【0005】3−ヒドロキシプロリンは、基底膜の構成
成分であるIV型コラーゲンに特異的なアミノ酸であ
り、ガン細胞が増殖して基底膜が破れると、尿中に3−
ヒドロキシプロリンが排出される(Kubochi, K.ら: Dev
elopment of a direct measurement assay for collage
nase against type I and type IV collagens in tissu
e homogenate and its application in stomach and lu
ng cancers. In Proteinases in inflammation and Tum
or Invasion (Tschesche, H. ed.), 337-356 (Walter d
e Gruyter and Co., Berline, 1986))。さらに、岡崎
らは、ニンヒドリン法を用いて、アミノ酸自動分析機に
より各種のガン患者97人と健常人211人について尿
中の3−ヒドロキシプロリン量を測定した。その結果、
ガンの判別率は42%であった。一方、健常人が異常値
を示す割合はわずか2%であった(Okazaki, I.ら: J.
Lab. Clin. Med., 120, 908-920 (1992))。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の各種アミノ基含
有低分子腫瘍マーカーを検出・定量するには、従来液体
カラムクロマトグラフィー法が用いられてきた。かかる
液体カラムクロマトグラフィー法においては、特定のマ
ーカーに適する分析条件を見出すのに時間が掛かり、さ
らに分離操作、検出にも時間を要する上に、検出の再現
性もよくない。また、装置そのものも、小型化しにくい
等の欠点があり、被験者の診断への臨床的応用が極めて
難しいものであった。
【0007】本発明は、このような現状に鑑みなされた
ものであり、アミノ基含有低分子腫瘍マーカーを利用し
て、悪性腫瘍の簡便で、迅速な検出方法および検出用キ
ットを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するに
は、アミノ基含有低分子腫瘍マーカーを液体クロマトグ
ラフィー法によらず、簡便に検出・定量する方法を確立
することが急務であると、本発明者等は考えた。
【0009】そこで、アミノ基標識色素によって検体中
のアミノ基含有低分子腫瘍マーカーを選択的(他の生体
内アミノ基含有低分子化合物の存在下でも)に標識し、
この標識されたアミノ基含有低分子腫瘍マーカーの量を
分光学的手法で、定量することができることを見出し
た。さらに、このようにして求めた検体中のアミノ基含
有低分子腫瘍マーカー量の算出値をその腫瘍マーカーに
ついての閾値と比較することによって、簡便かつ迅速に
悪性腫瘍の検出が可能となることも見出し、本発明を完
成するに至った。
【0010】すなわち、本発明によって、検体中のアミ
ノ基含有低分子腫瘍マーカーを利用する、悪性腫瘍の検
出方法において、 (a)検体をアミノ基標識色素と反応させて、標識され
たアミノ基含有低分子腫瘍マーカーを生成させる工程; (b)工程(a)後の検体の蛍光強度、或いは吸光度を
測定する工程; (c)工程(b)で得られた測定値から検体中の前記標
識されたアミノ基含有低分子腫瘍マーカー量を算出する
工程; (d)工程(c)で得られた算出値を前記アミノ基含有
低分子腫瘍マーカーについての閾値と比較する工程、こ
こで該算出値が該閾値より大きい場合、悪性腫瘍の存在
に関して陽性とする、以上の工程を含むことを特徴とす
る悪性腫瘍の検出方法が提供される。
【0011】抗原や抗体等の腫瘍マーカーと異なって、
低分子腫瘍マーカーは、腫瘍組織に非特異的であり、本
発明の検出方法は悪性腫瘍の一次スクリーニングに適し
ている。
【0012】上記悪性腫瘍の検出方法において、工程
(a)の前に検体を前処理する工程をさらに含むことも
ある。
【0013】また、上記悪性腫瘍の検出方法において、
工程(c)と工程(d)の間に、アミノ基含有低分子腫
瘍マーカーの算出値を濃度補正する工程をさらに含むこ
ともある。
【0014】上記悪性腫瘍の検出方法において、好まし
くは前記アミノ基標識色素が4−クロロ−7−ニトロベ
ンゾフラザンまたは4−フルオロ−7−ニトロベンゾフ
ラザンである。
【0015】また、上記悪性腫瘍の検出方法において、
好ましくはアミノ基標識色素が予め固相に固定化されて
いる。
【0016】また、上記悪性腫瘍の検出方法において、
好ましくは工程(b)が蛍光測定によって行われる。
【0017】また、上記悪性腫瘍の検出方法において、
好ましくはアミノ基含有低分子腫瘍マーカーが3−ヒド
ロキシプロリンである。
【0018】また、上記悪性腫瘍の検出方法において、
好ましくは検体が尿である。
【0019】また、前記悪性腫瘍の検出方法において、
好ましくは検体中のクレアチニン量によって濃度補正が
行われる。
【0020】さらに、本発明によれば、検体中のアミノ
基含有低分子腫瘍マーカーを利用する、悪性腫瘍の検出
用キットにおいて、アミノ基含有低分子腫瘍マーカーの
標準溶液、アミノ基標識色素、および緩衝剤を少なくと
も含むことを特徴とする、前記悪性腫瘍の検出用キット
が提供される。
【0021】上記悪性腫瘍の検出用キットにおいて、好
ましくはアミノ基標識色素が、固相に固定化されてい
る。
【0022】以下、本発明の好適な実施の形態に即し、
本発明に係る悪性腫瘍の検出方法および検出用キットに
ついて詳細に説明する。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明は、被験者からの検体中の
アミノ基含有低分子腫瘍マーカーを選択的に標識し、標
識されたアミノ基含有低分子腫瘍マーカーを定量するこ
とにより、悪性腫瘍を検出することを特徴とする。
【0024】(アミノ基含有低分子腫瘍マーカー)腫瘍
マーカーは、腫瘍細胞が多量に産生する物質であり、通
常では、検出されない物質で腫瘍関連抗原ともよばれ
る。さらに、該抗原に対する自己抗体も、同様に抗原が
産生されてはじめて、生成するので腫瘍マーカーとなり
うる。その他、腫瘍化した細胞が多量のホルモン、酵
素、特定の低分子化合物等を産生することもあり、これ
らは、いずれも悪性腫瘍(ガン)の存在を検出するのに
有用である。
【0025】本発明では、アミノ基含有低分子腫瘍マー
カー、特に3−ヒドロキシプロリンを腫瘍マーカーとし
て利用する。アミノ基含有低分子腫瘍マーカーを利用す
る理由は、既に述べた通り、抗原抗体等の高分子化合物
よりも、検出および定量し易く、さらに悪性腫瘍の非特
異的(組織或いは臓器)な検出(すなわち、一次スクリ
ーニング)に適しているからである。
【0026】(アミノ基標識色素)本発明では、アミノ
基含有低分子腫瘍マーカーを標識するのにアミノ基標識
色素を使用するが、前者が3−ヒドロキシプロリンであ
るとき、好ましくは4−クロロ−7−ニトロベンゾフラ
ザン(NBD−Cl)または4−フルオロ−7−ニトロ
ベンゾフラザン(NBD−F)をアミノ基標識色素とし
て使用する。特に好ましくは、NBD−Clを使用す
る。
【0027】(検体)本発明で使用できる検体として
は、血清、血漿、尿、髄液、羊水、腹水、リンパ球等の
通常の体外診断において採取されるすべての生体試料、
さらに組織や細胞の溶媒等による洗浄液および抽出液が
挙げられる。それらの内で、尿および血清が好ましく使
われ得るが、特に尿は、採血と異なり痛みを伴わずに採
取される点で、より好ましい。
【0028】(検体の前処理)前記検体をアミノ基標識
色素と反応させて、検体中に含まれるアミノ基含有低分
子腫瘍マーカーを標識するためには、標識反応に先立ち
検体を前処理することが好ましい場合がある。本発明で
使用される前処理の方法は、検体の種類によって異なる
が、特定の検体について公知の手法が適用できる。例え
ば検体が尿であるとき、被験者から採取された尿を遠心
分離にかけ、得られた尿の上澄み液を塩酸との反応によ
って加水分解する。引き続き、加水分解された尿の上澄
み液を凍結乾燥し、緩衝液に再溶解する。再溶解に使用
する緩衝液は、ホウ酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス緩
衝液等である。
【0029】また、必要ならば、検体としての尿を水と
混和性の有機溶媒で希釈してもよい。このために使用さ
れる有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMS
O)、ジメチルホルムアミド(DMF)、エタノール等
が挙げられる。さらに、検体中の標識されたアミノ基含
有低分子腫瘍マーカーの濃度が分光学的測定(後述)に
は低すぎる場合には、適当な濃度に濃縮することが可能
である。具体的には、濃縮の手段として溶媒の除去、ク
ロマトグラフィー等を用いて検体を濃縮する。
【0030】(アミノ基含有低分子腫瘍マーカーの標識
反応)次いで、検体をアミノ基標識色素と反応させて、
検体中に含まれるアミノ基含有低分子腫瘍マーカーを標
識する。本発明の特に好適な実施の形態で、アミノ基含
有低分子腫瘍マーカーとして3−ヒドロキシプロリン、
アミノ基標識色素としてNBD−Clを選択するとき、
両者の反応は典型的には、次のようにして実施される。
すなわち、検体をNBD−C1と接触させ、室温(約2
0〜50℃)で所定時間(1〜2分)インキュベートす
る。この反応時間は、NBD−C1と3−ヒドロキシプ
ロリンとのみが反応するのに十分な時間であり、検体中
にアミノ基含有低分子(夾雑アミノ酸等)が存在して
も、これらはNBD−C1との反応性が低く、前記設定
反応条件下では、分光学的測定を妨害するかもしれない
反応物質をほとんど生成しない。
【0031】前記接触反応は、反応系が液相、または液
相/固相のいずれの系であっても実施できる。前者の場
合、NBD−Clは水に不溶性であるため、水と混和す
る有機溶媒に溶解させて使用する。このような有機溶媒
として、具体的には、メタノール、エタノール、ジエチ
ルエーテル、酢酸エチル、DMF、DMSO、アセト
ン、アセトニトリル等が挙げられる。これらの中で、ア
セトニトリルが特に、好ましい。
【0032】また、反応系のpHを一定に保つ(特に、
pHを約8.0〜約9.0の範囲)ことが好ましい。こ
のため、反応系に緩衝剤を添加する。適当な緩衝剤は、
ホウ酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス緩衝液等である。
【0033】(固定化)本発明に係る悪性腫瘍の検出方
法を用いて多数の検体を一度に検査する場合、前記標識
反応が液相/固相系で実施されることが望ましい。この
ような目的のためには、使用するアミノ基標識色素を固
相に固定化する。適当な固相としては、マイクロチュー
ブを含むチューブ(ガラスまたはプラスチック製)、プレ
ート(例えば、96/384マイクロウエルプレート)、
ピペットチップ、ポリスチレンビーズ、ラテックス粒
子、磁性粒子等が使用可能であり、標識反応後の検体の
分光学的測定を妨げない物であればその材質や形状に特
に制限はない。また、固定化法も、物理吸着、共有結
合、その他公知の方法を利用することができる。物理吸
着により、アミノ基標識色素を固相に固定化するとき、
界面活性剤および/または分散補助剤を使用し、アミノ
基標識色素をより均一に分散させて固定化することが好
ましい。適当な分散補助剤としては、ポリエチレングリ
コール、シクロデキストリン、デキストラン等が挙げら
れる。また、適当な界面活性剤としては、Triton
−X、硫酸ドデシルナトリウム(SDS)、Tween
−20等が挙げられる。
【0034】(分光学的測定)次の工程でアミノ基標識
色素を用いて標識されたアミノ基含有低分子腫瘍マーカ
ーを分光学的に測定し、検体中に存在するアミノ基含有
低分子腫瘍マーカー量を算出する。使用する分光学的手
段は、標識色素の蛍光強度、或いは吸光度を測定できる
ものであれば、特に制限はない。
【0035】再び、低分子腫瘍マーカーとして3−ヒド
ロキシプロリン、アミノ基標識色素としてNBD−Cl
を例に取ると、標識アミノ化合物は、約550nm付近
に蛍光ピークを有する。また、約500nm付近に吸収
ピークを有する。従って、この場合、約350〜約60
0nmの範囲の可視部吸収スペクトルを測定できる装置
が望ましい。また、約250〜550nmの励起波長が
使用でき、約350〜600nmの範囲で蛍光スペクト
ルが測定できる装置も望ましい。
【0036】3−ヒドロキシプロリン量を測定する場
合、NBD−C1との蛍光性反応物の蛍光スペクトル
(蛍光強度)を測定することが検出感度の点からより好
ましい。
【0037】アミノ基含有低分子腫瘍マーカーであるア
ミノ化合物の標品とアミノ基標識色素を反応させ、標識
されたアミノ化合物の蛍光強度或いは吸光度の測定値を
求め、これを使用した該アミノ化合物の濃度に対してプ
ロットし、アミノ化合物の検量線を予め作成しておく。
検体から得られた蛍光強度或いは吸光度の測定値をこの
検量線と比較して、検体中の標識されたアミノ基含有低
分子腫瘍マーカー量を算出する。
【0038】(濃度補正)検体が尿である場合、前記で
得られたアミノ基含有低分子腫瘍マーカー量の算出値を
濃度補正する必要がある。これは被験者の水分摂取量や
水分発散量が異なるため前記算出値に希釈誤差が生じる
からである。この目的のために検体中のクレアチン濃度
を測定し、これに基づき算出値を補正する。
【0039】(悪性腫瘍の検出)さらに、上記のように
して、求めた検体中のアミノ基含有低分子腫瘍マーカー
量を基準にして、悪性腫瘍の検出を行う。これには、比
較対照となる健常人の検体中のアミノ基含有低分子腫瘍
マーカー量を同様にして算出する。ここでも、前記の濃
度補正が必要であれば、同様にして行い、アミノ基含有
低分子腫瘍マーカーについての閾値を得る。この閾値と
被験者の検体中のアミノ基含有低分子腫瘍マーカーの算
出値(または補正値)とを比較する。その結果、該算出
値が該閾値より大きければ、その被験者は悪性腫瘍の存
在に関して陽性と判定する。このようにして、悪性腫瘍
の検出が可能となる。本発明の企図するところは、悪性
腫瘍の一次スクリーニングであり、前記陽性判定が意味
するのは、その被験者が悪性腫瘍を患っている可能性が
あるということにとどまる。望ましくは、そのような判
定を受けた被験者は、再度、他の臓器特異的な悪性腫瘍
の診断薬(CEA、AFP、PSA等)または診断方法、或いは
生検、X線またはMRI等を用いる検査を受診するべき
である。
【0040】(検出可能な悪性腫瘍)本発明の検出方法
および検出用キットを用いて診断できる原発性または転
移性悪性腫瘍は、極めて多様であり、以下に例示するも
のがその代表的なものである。すなわち、乳ガン、前立
腺ガン、肝臓ガン、肺ガン、結腸直腸ガン、胃ガン、膵
臓ガン、膀胱ガン、頭頚部ガン、腎臓ガン、子宮頸ガ
ン、子宮ガン、甲状腺ガン、脳腫瘍、舌ガン、リンパ
腫、多発性骨髄腫、黒色腫、白血病等である。本発明の
検出方法および検出用キットによれば、これらの悪性腫
瘍を、種々の進行段階、特に、第1期の段階で検出可能
であり、スクリーニング対象の被験者中の良性腫瘍の存
在や悪性腫瘍の不在から識別できる。
【0041】(検出用キット)日常の診断業務において
は、簡便に悪性腫瘍の検出を行い得るよう、複雑な操作
が必要ないキットが好ましい。また、生体中には、多数
の生理活性物質が存在するから、腫瘍マーカーを特異的
に判別し、定量し得る検出用キットであることが要求さ
れる。本発明は、このような数々の要求を満たし、本発
明に係る悪性腫瘍の検出方法に適した検出を提供する
が、これはアミノ基含有低分子腫瘍マーカーの標準溶
液、アミノ基標識色素、および緩衝剤を少なくとも含む
ことを特徴とする検出用キットである。これらの成分の
他に、検体希釈剤(溶媒等)、溶解補助剤、固相化標準
試薬、陽性コントロール等を含んでもよい。
【0042】前記緩衝剤は、固体または液体の形態で提
供されてよく、生化学反応に一般に使われるホウ酸緩衝
液、リン酸緩衝液、トリス緩衝液等であって弱アルカリ
性のものが好ましい。緩衝剤は、上述のように必要なら
ば、アミノ基含有低分子腫瘍マーカーの標識反応系を適
当なpH領域に保つために使用する。
【0043】上述のとおり、アミノ基含有低分子腫瘍マ
ーカーの標識反応は、反応系が液相、または液相/固相
のいずれの系でもよい。従って、検出用キットもそれに
対応した形態を取り得るが、本発明の利点を最大限、享
受するためには、後者の系、すなわち液相/固相系が好
ましい。そのため、アミノ基標識色素が、固相に固定化
されているものが好ましいことになる。このようなアミ
ノ基標識色素が、固相に固定化された構成を有する検出
用キットであると、多数の検体を同時に測定しうるの
で、検査を行い易い。このために使用する固相は、既に
列挙したとおりであり、特にマイクロチューブ、96マ
イクロウェルプレート等が好ましい。
【0044】なお、検出用キットの形態、容器等は、標
識反応系(すなわち、アミノ基含有低分子腫瘍マーカー
とアミノ基標識色素との組み合わせ)によって異なる
が、検体の測定に際して、一式のキットを構成するもの
であれば、特に限定はない。具体的には、実施例に開示
するものがその一例である。
【0045】以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく
説明するが、本発明はこれらの諸例に何ら制限されるも
のではない。
【0046】
【実施例】(実施例1) 尿検体中の3−ヒドロキシプ
ロリンの定量 (固定化NBD−Clの調製)96ウェルプレートの各
ウェルに0.01%のTriton−Xと0.5%のポ
リエチレングリコールとを含む10mMのNBD−Cl
アセトニトリル溶液100μlを入れ、30℃のオーブ
ンで2時間、乾燥した。この固定化NBD−Clを有す
る固相(96ウェルプレート)は、窒素雰囲気下でシー
ルすると、冷暗所で保存できる。
【0047】(尿検体の前処理)健常人(21サンプ
ル)および悪性腫瘍患者(17サンプル)から採取した
尿を、3000xgで10分間遠心分離した。遠心分離
によって得られた尿の上澄み液を収集し、その上澄みの
各2mlを、6Mの塩酸2mlを含むネジ付き試験管に
入れ、150℃で2時間加水分解した。加水分解した尿
各10μlを凍結乾燥し、50mMホウ酸緩衝液(pH
10.0)を100μl加えた。
【0048】(標識反応)上記NBD−Clを固定化し
た96ウェルプレートに、上記処理尿50μlを分注
し、室温で1分間攪拌して反応させた後、0.5M H
Clを100μl加えた。
【0049】(蛍光測定)各ウェルのサンプルについ
て、蛍光プレートリーダーを使い、励起波長505nm
および蛍光波長560nmにおける蛍光強度を測定し
た。各人の水分摂取量(および/または水分発散量)に基
づく希釈誤差を補正するために、同一尿中のクレアチン
をクレアチン・テスト・ワコーキット(和光純薬製)で
測定し、尿中3−ヒドロキシプロリン量を尿1gクレア
チン当たりの3−ヒドロキシプロリン値(mg/gクレ
アチン)として算出した。このようにして得られた補正
値をプロットしたものが図1である。
【0050】図1に示すように、悪性腫瘍患者から採取
された尿と健常人から採取された尿の蛍光測定結果か
ら、蛍光強度値(補正後)に違いが見られた。すなわ
ち、悪性腫瘍患者の測定値は、健常人の測定値よりも有
意に大きかった。健常人の測定値の平均をとり、これを
閾値(0.3)とすると、腫瘍患者の個別の測定値は、
1例(17サンプル中)を除いてすべて、閾値よりも大
きかった。この検査結果は、1個体を除いて、すべての
症例の被験者で測定された蛍光強度値の比較が、被験者
の悪性腫瘍の有無に関する臨床診断と一致することを示
している。従って、本発明に係る悪性腫瘍の検出方法お
よび検出用キットを用いて悪性腫瘍の検出が可能であ
る。
【0051】
【発明の効果】以上示したように、本発明に係る悪性腫
瘍の検出方法によれば、検体中のアミノ基含有低分子腫
瘍マーカー量を算出し、該算出値を閾値と比較すること
により、悪性腫瘍の検出を迅速かつ簡便に行うことがで
きる。
【0052】また、血清や尿等の一般臨床検査で使用さ
れてきた検体を用いて、従来不可能であった様々なアミ
ノ基含有低分子腫瘍マーカーの検出を可能とする。
【0053】また、本発明の悪性腫瘍検出用キットは、
本発明の方法を実施するのに適合したキットであり、長
期保存ができ、必要なときに本発明の方法の実施を可能
とする。
【0054】また、本発明に係る悪性腫瘍の検出方法、
および検出用キットの好適な実施の形態によれば、アミ
ノ標識色素が固相に固定化されているので、検体の該固
相への添加によって標識されたアミノ基含有低分子腫瘍
マーカーが生成されことから、より迅速な悪性腫瘍の検
出が可能となる。また、検出用キットの取り扱いもより
簡単になり、多数の検体を一度に検出することも可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に従い、健常人およびガン患者か
ら採取された尿検体中に存在する3−ヒドロキシプロリ
ンとNBD−Clとの反応生成物の蛍光強度を測定し、
測定値を各検体について、尿検体中のクレアチン濃度で
補正した値を健常人群および悪性腫瘍患者群に分けてプ
ロットした図である。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検体中のアミノ基含有低分子腫瘍マーカ
    ーを利用する、悪性腫瘍の検出方法において、 (a)検体をアミノ基標識色素と反応させて、標識され
    たアミノ基含有低分子腫瘍マーカーを生成させる工程; (b)工程(a)後の検体の蛍光強度、或いは吸光度を
    測定する工程; (c)工程(b)で得られた測定値から検体中の前記標
    識されたアミノ基含有低分子腫瘍マーカー量を算出する
    工程; (d)工程(c)で得られた算出値を前記アミノ基含有
    低分子腫瘍マーカーについての閾値と比較する工程、こ
    こで該算出値が該閾値より大きい場合、悪性腫瘍の存在
    に関して陽性とする、以上の工程を含むことを特徴とす
    る悪性腫瘍の検出方法。
  2. 【請求項2】 工程(a)の前に検体を前処理する工程
    をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の悪性
    腫瘍の検出方法。
  3. 【請求項3】 工程(c)と工程(d)の間に、標識さ
    れたアミノ基含有低分子腫瘍マーカーの算出値を濃度補
    正する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1ま
    たは2に記載の悪性腫瘍の検出方法。
  4. 【請求項4】 前記アミノ基標識色素が4−クロロ−7
    −ニトロベンゾフラザンまたは4−フルオロ−7−ニト
    ロベンゾフラザンであることを特徴とする、請求項1〜
    3のいずれか1項に記載の悪性腫瘍の検出方法。
  5. 【請求項5】 アミノ基標識色素が予め固相に固定化さ
    れていることを特徴とする請求項4に記載の悪性腫瘍の
    検出方法。
  6. 【請求項6】 工程(b)が蛍光測定によって行われる
    ことを特徴とする、請求項4または5に記載の悪性腫瘍
    の検出方法。
  7. 【請求項7】 アミノ基含有低分子腫瘍マーカーが3−
    ヒドロキシプロリンであることを特徴とする、請求項4
    〜6のいずれか1項に記載の悪性腫瘍の検出方法。
  8. 【請求項8】 検体が尿であることを特徴とする、請求
    項2または3に記載の悪性腫瘍の検出方法。
  9. 【請求項9】 検体中のクレアチニン量によって濃度補
    正が行われることを特徴とする、請求項8に記載の悪性
    腫瘍の検出方法。
  10. 【請求項10】 検体中のアミノ基含有低分子腫瘍マー
    カーを利用する、悪性腫瘍の検出用キットにおいて、ア
    ミノ基含有低分子腫瘍マーカーの標準溶液、アミノ基標
    識色素、および緩衝剤を少なくとも含むことを特徴とす
    る、前記悪性腫瘍の検出用キット。
  11. 【請求項11】 前記アミノ基標識色素が、固相に固定
    化されていることを特徴とする、請求項10に記載の悪
    性腫瘍の検出用キット。
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