JP3129250B2 - 尿の化学分析方法 - Google Patents
尿の化学分析方法Info
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Description
て化学分析を行う方法、特に糖尿病、痛風その他の代謝
異常の診断に適した化学分析方法に関するものである。
人病として社会問題になっている。糖尿病の代謝異常疾
患の前段階として耐糖能異常がある。耐糖能異常者は専
門医の指導の下に栄養、運動などの生活スタイルの適切
な管理を行えば、糖尿病や動脈硬化症のような血管合併
症にならずに済むか、少なくとも病気になるのを大幅に
遅らせることができる。ところが、一旦糖尿病になって
しまうと、元の耐糖能異常に戻すことはできない。
の化学分析とそれに基づく解析により早期に発見するこ
とができる。もちろん医学的な診断は医師の専門的な立
場から行われるものであるが、化学分析は尿の分析結果
から医師の診断が必要かどうかをスクリーニングすると
ともに、医師の診断の資料を提供するためにも行われ
る。
は、グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)等
の糖類、ソルビトール、ミオイノシトール、1,5−ア
ンヒドログルシトール(1,5−AG)等の糖アルコー
ルおよび尿酸その他有機酸などの代謝物質の分析が必要
である。これらの代謝物質は従来、オートアナライザを
用いる化学分析が主流であったが、GC/MS(ガスク
ロマトグラフィー質量分析・・・Gas Chromatography-Mass
Spectrometry)による分析が試みられている。
変化するため代謝物質の含量は一般に尿中のクレアチニ
ンに対する含量として表示されている。これはクレアチ
ニンが個人差なくほぼ一定量代謝されるため、この代謝
クレアチニンを基準として人の代謝物質の含量を表示す
れば試料としての尿の濃度を考慮する必要がないからで
ある。
分析値はクレアチンが含まれているため通常の化学分析
(Jaff'e法)とは大きく異なる値が得られるため、基準
値となるクレアチニンは化学分析により分析されてお
り、GC/MSによる分析と通常の化学分析による分析
とを並行して行う必要があり、工程が複雑であった。ま
た両者の結果を別々に入力して演算する必要があり、化
学分析もその結果を見て人が評価するようになってお
り、自動化を大きく妨げていた。
MSにより代謝物質の全項目の一斉分析を行うことがで
き、その結果に基づいて化学分析することができるとと
もに、化学分析を自動化して迅速かつ正確に化学分析を
行うことが可能な尿の化学分析方法を提案することであ
る。
析方法である。 (1) 成人の尿試料をウレアーゼ処理するとともに内
部標準物質を加え、さらにトリメチルシリル誘導体化し
てGC/MS分析により、クレアチニンを含む代謝物質
含量を内部標準物質に対する分析値として求め、得られ
たクレアチニンの分析値に、予め他の分析法により求め
たクレアチニンの補正係数を乗じてクレアチニンの補正
値を求めるとともに、他の代謝物質の含量を補正された
クレアチニンに対する測定値として表示し、得られた測
定値を演算装置に入力して測定値と健常値とを比較し、
異常値を表示するとともに、予め記憶させた所見リスト
から代謝物質の異常値に対応する所見を選択して表示す
ることを特徴とする尿の化学分析方法。 (2) 尿をしみ込ませて乾燥させた濾紙を検体として
回収し、この検体から抽出した尿成分を試料として用い
る上記(1)記載の方法。
の尿をGC/MSにより分析し、その分析値に基づいて
化学分析を行うものである。試料としての尿は任意の形
態のものを検体として用いることができるが、尿をしみ
込みせた濾紙を検体として回収し、この検体から尿成分
を抽出して試料とするのが好ましい。
非透水性のプラスチック袋と、氏名、採尿日等のデータ
を記入する検査票とをセットにして配布し、被検者が尿
をしみ込ませて乾燥した濾紙をプラスチック袋に入れて
検査票とともに郵便等で回収し、回収した濾紙から尿成
分を抽出して試料とし、検査票のデータは演算装置に入
力することができる。抽出は水(純水)で抽出し、遠心
分離により分離して試料を得ることができる。
尿素を分解する。ウレアーゼ処理は試料にウレアーゼ
(尿素分解酵素)を加えて加温処理することにより、尿
素は分解される。ウレアーゼ処理とともに内部標準物質
を加える。内部標準物質としてはヘプタデカン酸が好ま
しいが、他の物質でもよい。内部標準物質を加えた試料
は通常除蛋白および濃縮脱水したのちトリメチルシリル
誘導体化する。
を加えて蛋白質を凝固させ、これを遠心分離、濾過等に
より分離して除去することができる。濃縮脱水は減圧等
によりアルコール等の変性剤および水を除去する。トリ
メチルシリル誘導体化は分析対象である糖類、糖アルコ
ール、有機酸、アミノ酸等のGC/MSの過程における
揮発性を高めるために、これらをトリメチルシリル誘導
体に転換するものであり、N,O−ビストリメチルシリ
ルトリフロロアセトアミド(BSTFA)、トリメチル
クロロシラン(TMCS)、N−メチル−N−トリメチ
ルシリルトリフロロアセトアミド(MSTFA)等のト
リメチルシリル化剤を用い、加熱下に反応させる。
料をGC/MS分析により分析する。分析の対象となる
のはクレアチニンを含む代謝物質であり、診断目的によ
り異なるが、例えば糖尿病、痛風、耐糖能異常の場合
は、グルコース、フルクトース等の糖類;ソルビトー
ル、ミオイノシトール、1,5−アンヒドログルシトー
ル、キロイノシトール等の糖アルコール;尿酸などがあ
げられる。このほかにも診断目的により他の有機酸、ア
ミノ酸などの他の代謝物質を分析する。
C)で各成分を分離して結果をクロマトグラムで表示す
る。そしてここで分離された各成分を質量分析計(M
S)で分析してクロマトグラムの各ピークの各成分のマ
ススペクトルを得、このマススペクトルから各ピークの
成分の定性および定量を行う。MSにより得られる各成
分の分析値は強度の比として得られるため、予め一定量
を添加した内部標準物質(例えばヘプタデカン酸)に対
する量として表示することにより、絶対量としての分析
値が得られる。
り、特に濾紙に尿をしみ込ませて乾燥させるときは、乾
燥のしかたによっても濾紙中に保持される尿成分が異な
ることになるので、ほぼ一定量代謝されるクレアチニン
を基準としてクレアチニンに対する量として各代謝物質
の量が表示される。
どの化学分析では分析値がそのままクレアチニンの量と
して採用できるが、GC/MSではクレアチンが熱分解
によりクレアチニンとして表示されるため、GC/MS
の分析値をそのままクレアチニンの分析値として採用す
ることができない。
の分析法により求めたクレアチニンの補正係数をGC/
MSの測定値に乗じて補正することにより、クレアチニ
ンの分析値を算出して表示する。この補正係数は0.2
993であるが、±0.0200の範囲の近似値は許容
される。このようなクレアチニンの補正値の算出ととも
に、補正されたクレアチニンに対する他の代謝物質量を
算出してこれを測定値として表示装置あるいは出力装置
から出力される報告書(以下表示装置等という)に表示
する。
測定値と健常値(標準値)との差を演算し、その演算結
果を健常値とともに表示装置等に表示し、同時に異常の
有無および異常値を表示する。異常値は、健常値に対す
る倍率、差など任意の値とすることができる。そして代
謝物質の異常値に対応する所見リストを予め演算装置に
記憶させておき、このリストから前記算出された異常値
に対応する所見を選択して表示装置等に表示する。この
とき必要に応じ分析結果を見て所見の補正を行うことが
できる。
MSにより分析し、クレアチニンを含む代謝物質の分析
値を得るとともに、クレアチニンの分析値を補正して、
補正したクレアチニンに対する含量として表示し、この
値を健常値と比較して異常値を表示するとともに、記憶
された所見リストから異常値に対応する所見を選択して
表示するようにしたので、GC/MSにより代謝物質の
全項目の一斉分析を行うことができ、その結果に基づい
て解析することができるとともに、化学分析を自動化し
て迅速かつ正確に化学分析を行うことが可能になる。
体として用いることにより、検体の採取と回収が容易で
あり、広範囲の検診が可能になるという効果がある。
て説明する。図1は実施形態の化学分析方法を示すフロ
ーチャート、図2は試料調製工程のフローチャート、図
3はGC/MSおよび演算装置におけるデータ処理のフ
ローチャートである。
すように、予め濾紙と、この濾紙を収納する非透水性の
プラスチック袋と、氏名、採尿日等のデータを記入する
検査票とをセットにして病院/患者1に配布しておき、
被検者が尿をしみ込ませて乾燥した濾紙を検体2として
プラスチック袋に入れ、検査票3とともに封筒に入れて
郵便等により回収する。
て、濾紙から尿成分を抽出して試料を調製し、GC/M
S5で分析する。検査票3のデータは演算装置6に入力
する。GC/MS5の分析結果は検査結果入力工程7に
おいて演算装置6に入力され、その結果により化学分析
工程8において化学分析が行われ、報告書作成工程9に
おいて報告書10を作成する。
体2から抽出工程11において試料を抽出する。この場
合検体2となる濾紙は約1mlの尿を保持する大きさと
しておき、これを乾燥した検体2に1mlの水(純水)
を加えて尿成分を抽出し、遠心分離により試料液を得
る。
の試料液をバイアル瓶に採取する。ウレアーゼ処理工程
13において試料に30uのウレアーゼを加えて37℃
で30分間インキュベートし、大過剰の尿素を分解す
る。そして内部標準物質添加工程14としてn−ヘプタ
デカン酸20μgを添加し、除蛋白工程15として1m
lの無水エタノールを加えて遠心分離により除蛋白す
る。
ールと水を除去し、乾涸工程17でN2気流下に乾涸す
る。次にトリメチルシリル誘導体化工程18において1
00μlのBSTFAと10μlのTMCSを加え、8
0℃で30分間加熱し、試料中の代謝物質をトリメチル
シリル誘導体に変換する。
り分析する。GC/MS5は限定されないが、例えばG
CはUltra Alloy plus-5+金属キャピラリーカラム(3
0m×0.25mm)を用い、60℃から350℃まで
毎分17℃で昇温して分析する。MSは電子衝撃法によ
り、m/z50からm/z650まで0.4秒スキャン
で測定する。
マトグラム21とマススペクトル22が得られる。この
マススペクトル22から分析目的とするピークの特定の
フラグメントイオンのピーク面積と、内部標準物質であ
るn−ヘプタデカン酸のフラグメントイオンのピーク面
積との比を求め、予め作成した検量線と対比して、各代
謝物質の対内部標準物質分析値23を算出する。
クレアチニン分析値はクレアチンの分解物の値を含むた
め、補正係数0.2993を乗じてクレアチニン補正分
析値24を算出する。次に前記各代謝物質の対内部標準
物質分析値23をクレアチニン補正分析値24の1mg
当たりの量として算出して、各代謝物質の対クレアチニ
ン分析値25を得、これを演算装置6に入力する。
て、このGC/MS5から各代謝物質の対クレアチニン
分析値25を入力して表示し、一方予め記憶されている
各成分の健常値26を表示する。そして化学分析工程8
において、これらを比較して異常値27を演算して表示
するとともに、予め記憶されている各代謝物質の異常値
27に対応する所見リストから、演算により得られた異
常値27に対応する特定の所見28を選択して表示す
る。
の組み合わせに対応して、複数の所見28をリスト化し
ておき、異常に対応してリストから特定の所見28を選
択するようにするが、自動分析により適切な所見28が
出ない場合もあるので、担当の検査医師が分析値、異常
値および予め入力された病歴等のデータを見て所見28
を訂正し、補正所見29として表示する。
工程9において対クレアチニン分析値25、健常値2
6、異常値27、補正所見29を出力装置30に出力
し、報告書10を作成する。異常値27としては健常値
26に対する倍率、差、比、偏差値など任意の値を表示
することができ、その表示方法も数値のほかグラフ表示
も可能である。
料調製し、クレアチニンをGC/MSで分析した結果を
横軸(x)とし、Jaff'e法によりピクリン酸を反応させ
て比色法で分析した結果を縦軸(y)としたグラフを図
4に示す。図4からy=0.2993xの関係が得ら
れ、GC/MSで得られたクレアチニンの補正係数は、
0.2993であり、バラツキは0.2993±0.0
200に収まることがわかる。
に示した方法で試料調製し、GC/MSで分析を行っ
た。各代謝物質の最初に得られた対内部標準物質分析値
を表1に、表1の実測値のクレアチニンを基準として算
出した補正前の対クレアチニン分析値を表2に、また補
正係数(0.2993)を乗じて補正したクレアチニン
補正分析値およびこのクレアチニン補正分析値を基準と
した補正後の対クレアチニン分析値を表3に示す。
値を基準とする補正前の対クレアチニン分析値と、補正
されたクレアチニン分析値を基準とする補正後の対クレ
アチニン分析値とでは大きな差があることがわかる。
対する表3の補正後の対クレアチニン分析値の倍率を表
4に示す。またこの結果に対して所見し、所見リストか
ら選択された所見を表5に示す。
(GDM)の患者の検体について実施例2と同様に分析
した補正後の対クレアチニン分析値と健常値を表6に示
す。
である。
のフローチャートである。
の関係を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 成人の尿試料をウレアーゼ処理するとと
もに内部標準物質を加え、さらにトリメチルシリル誘導
体化してGC/MS分析により、クレアチニンを含む代
謝物質含量を内部標準物質に対する分析値として求め、 得られたクレアチニンの分析値に、予め他の分析法によ
り求めたクレアチニンの補正係数を乗じてクレアチニン
の補正値を求めるとともに、他の代謝物質の含量を補正
されたクレアチニンに対する測定値として表示し、 得られた測定値を演算装置に入力して測定値と健常値と
を比較し、異常値を表示するとともに、 予め記憶させた所見リストから代謝物質の異常値に対応
する所見を選択して表示することを特徴とする尿の化学
分析方法。 - 【請求項2】 尿をしみ込ませて乾燥させた濾紙を検体
として回収し、この検体から抽出した尿成分を試料とし
て用いる請求項1記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09245252A JP3129250B2 (ja) | 1997-09-10 | 1997-09-10 | 尿の化学分析方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09245252A JP3129250B2 (ja) | 1997-09-10 | 1997-09-10 | 尿の化学分析方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH1183860A JPH1183860A (ja) | 1999-03-26 |
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ID=17130921
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---|---|---|---|
JP09245252A Expired - Lifetime JP3129250B2 (ja) | 1997-09-10 | 1997-09-10 | 尿の化学分析方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10267777B2 (en) | 2014-04-08 | 2019-04-23 | Metabolon, Inc. | Small molecule biochemical profiling of individual subjects for disease diagnosis and health assessment |
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-
1997
- 1997-09-10 JP JP09245252A patent/JP3129250B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
日本医用マススペクトル学会講演集 第20巻(1995年)p45−51 |
金沢医科大学雑誌 第20巻第4号(1995年)p521−526 |
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Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH1183860A (ja) | 1999-03-26 |
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