JP4527426B2 - 燃料改質器 - Google Patents
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Description
そのため、改質触媒を入れた改質部は、800℃を超える温度にまで加熱され、厳しい高温酸化環境にさらされることになる。そして、こうした厳しい高温酸化環境に耐え得る改質部の材料としては、従来から下記特許文献1に記載するようなニッケルアルミ合金が有効であることが知られている。また、下記特許文献2のように適宜調整されたステンレス鋼を適材適所に使用することも提案されている。
また、改質部に特許文献2のステンレス鋼を使用した場合には、ステンレスの主成分である鉄の酸化スケールの発生を可避できない。酸化鉄には触媒作用があるため、燃料改質器内で予期せぬ化学反応を起こして触媒を被毒させたり、改質部の後段に位置する一酸化炭素低減のための触媒(シフト反応触媒、選択酸化触媒、メタネーション触媒など)を被毒させたり、燃料電池の電極触媒を被毒させたり、他の化学反応を阻害する問題が生じるおそれがある。また、運転時間の増加に伴い、酸化スケールが燃料改質器内部の熱交換器に詰まり、ガスの流れを阻害するといった問題も起こり得る。
また、本発明の燃料改質器は、使用時の温度が比較的低い箇所を残して予め溶接し、表面処理によってアルミめっきを形成した後、残しておいた箇所を溶接して最終組み立てを行うものであることを特徴とする。
また、本発明の燃料改質器は、前記表面処理を行う箇所が、前記改質部の前記加熱部に対面した部分を含む箇所であることを特徴とする。
更に、本発明の燃料改質器は、前記表面処理が、アルミを母材にめっきした後に酸化雰囲気中の加熱工程によって表層にアルミナ層を形成したものであることを特徴とする。
また、本発明によれば、複数の部材を溶接して組み立てる場合に使用時の温度が比較的低い箇所を残して予め溶接し、表面処理によってアルミめっきを形成した後、残しておいた箇所を溶接して最終組み立てを行うようにしたので、高温に曝される部分の鉄が表面に出ないので酸化スケールの発生を抑えることができようになった。また、改質部表面のアルミ層によって耐久性が向上した。
更に、アルミを母材にめっきした後に加熱工程によって拡散処理により酸化アルミ層を形成するようにしたので、酸化アルミは安定な物質であるため安定的な状態で鉄の露出を抑制することができ、酸化スケールの発生を効果的に抑えることができるようになった。
燃料改質器1は、改質触媒9が充填された改質部2を有し、その改質部2は、矢印で示すように外側の流入口から流入した改質原料が内側に回り込み、水蒸気改質反応によって改質された改質ガスが上方の排出口から熱交換器3へと流れるように、筒体が組み付けられて流路が形成されている。
また、炭化水素系ガスの改質反応を促進させるには、燃焼ガスによって通常600℃以上の高温に加熱する必要がある。そのため、この燃料改質器1では、改質部2から排出された高温の改質ガスを熱交換器3に通すことで、熱交換によって予め改質原料に予熱を与え得るようにしている。
CH4+H2O→3H2+CO …(1)
CO +H2O→H2 +CO2 …(2)
(1)脱脂工程では、例えば、苛性ソーダ(NaOH)の界面活性剤を加えた活性アルカリ剤を使用してアルカリ洗浄が行われる。その後、(2)水洗工程が行われ、次の(3)洗浄工程では中性電解法が行われる。この中性電解法は、中性液を直流電解することにより、そこに含まれる中性塩が解離し、プラス極に酸、マイナス極にアルカリが生成される。そして、プラス極になっているステンレス表面で陽極化反応が起こり、通電中はスケールと地金のアンダースケール層が溶解する。その後、再び(4)水洗工程が行われ、最後に(5)乾燥工程が行われて前処理工程を終了する。
(1)第1めっき工程では、第1溶融アルミ槽にワーク(雌部材22)が浸漬され、ステンレス鋼の表面にアルミの被膜が形成される。この第1アルミ槽に入れられた溶融アルミの成分は、主にアルミが55%、ニッケルが10%、シリコンが4.5%であり、Niリッチで低Siの溶融アルミであり、約620〜650℃で加熱されている。こうした第1めっき工程におけるアルミ化は熱膨張の吸収と、密着性の確保の効果がある。
試験中は改質部2の特に雌部材22が800℃前後の高温に曝される。拡散処理され酸化アルミとなって表面に形成されたアルミナは、その試験中の熱によって更に酸化を受ける。そのため、試験後の状態を示す図4(b)に現れているように、表面には厚い酸化アルミの保護層が形成されている。そして、これにより改質部2の母材であるFeの表面露出が抑制されることになる。表面のアルミは、こうして母材表面に酸化アルミ層を形成すると同時に、母材内部へと更に拡散して合金層の厚さをより厚くすることになる。
ここで、図5は、試験前と試験後のアルミ濃度を表層からの厚み方向深さに対してプロットした図である。ただし、濃度数値は分析計の強度レベル(信号)を示しているため、実際の濃度とは異なる。これにより試験後は、表層のアルミが酸化アルミとして安定して存在しているが、母材に近いアルミは環境温度により母材へ拡散している様子が確認できた。
また、本実施形態では、めっき工程で拡散処理を行い表面にアルミナ層を形成している。酸化アルミは安定な物質であるため安定的な状態で鉄の露出を抑制することができ、酸化スケールの発生を効果的に抑えることができる。
例えば、前記実施形態ではめっき工程でアルミめっきを施した後に空気雰囲気中に置いて固溶拡散を行ったが、この拡散処理を省略するようにしてもよい。
燃料改質器1の運転により改質部2が800℃前後に加熱されるため、そこで表層に生成したアルミと母材との拡散が進行するからである。また、その際、表層の余剰アルミは、溶融除去されて下流の部品に再付着し固定化される。
また、改質部2に対するアルミ層の生成には、前述した溶融アルミめっきの他にも蒸着などの方法を用いることも可能である。
更に、改質部2の母材としてはSUS304の他に、SUS430(フェライト系ステンレス)やSPCC(鋼)などであってもよい。
2 改質部
3 バーナ
21 雄部材
21a 蓋部材
21b 仕切材
22 雌部材
22a 外管
22b 内管
22c 底板
22d 塞ぎ板
Claims (5)
- 改質触媒が充填された改質部を加熱部によって加熱し、その改質部内に水蒸気を混合した原料を流して改質反応を起こし、水素リッチな改質ガスを生成する燃料改質器において、
前記改質部は、蓋部材に筒形状の仕切材が溶接された雄部材と、外管と該外管内部に設けられた内管が底部材を介して溶接接合され、前記内管の上端に塞ぎ部材が溶接接合された雌部材とが溶接されて一体に組み付けられるものであり、
前記雌部材に対して表面処理によってアルミめっきを形成した後、その外管と前記雄部材の蓋部材とを溶接して組み立てを行うようにしたものであることを特徴とする燃料改質器。 - 請求項1に記載の燃料改質器において、
使用時の温度が比較的低い箇所を残して予め溶接し、表面処理によってアルミめっきを形成した後、残しておいた箇所を溶接して最終組み立てを行うものであることを特徴とする燃料改質器。 - 請求項1又は請求項2に記載の燃料改質器において、
前記表面処理を行う箇所が、前記改質部の前記加熱部に対面した部分を含む箇所であることを特徴とする燃料改質器。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の燃料改質器において、
前記表面処理が、アルミを母材にめっきした後に加熱工程によってアルミが母材に拡散した合金層を形成したものであることを特徴とする燃料改質器。 - 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の燃料改質器において、
前記表面処理が、アルミを母材にめっきした後に酸化雰囲気中の加熱工程によって表層にアルミナ層を形成したものであることを特徴とする燃料改質器。
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