JP2006028566A - 炭化水素改質装置用部材 - Google Patents

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【課題】改質装置が稼動している時には、アルミパック処理が施された構成部材はMDC対策として有効であるが、改質装置のスタートアップ及びシャットダウン時には装置内部に窒素ガスを充満させるため、アルミパック処理では高濃度のアルミニウム拡散浸透層が窒素ガスと化学反応し、スタートアップ及びシャットダウンの各時点において構成部材が剥離する虞がある。
【解決手段】炭化水素改質装置10において炭化水素を原料として水素含有ガスを製造する際に、400〜850℃の水素含有ガスと接触する部位に用いられる構成部材16、18、13Bであって、上記構成部材16、18、13Bの水素含有ガスとの接触面に、アルミニウム拡散浸透金属粉末として鉄−アルミニウム合金粉末を用いるカロライジング処理を施すことにより、上記接触面に剥離し難いアルミニウム拡散浸透層を形成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭化水素を原料として水素含有ガスを製造する炭化水素改質装置に使用される炭化水素改質装置用部材に関する。
従来、都市ガス、LPG、ナフサ、灯油等の炭化水素やメタノール、ジメチルエーテル等の酸素を含有する炭化水素(以下、「炭化水素」で代表する)を原料として水素含有ガスを製造する装置としては、例えば水蒸気改質装置が多く使用されている。この水蒸気改質装置は、炭化水素原料を必要に応じて脱硫処理した後、炭化水素原料に水蒸気を混合し、アルミナ、シリカまたはジルコニア等の担体にニッケルやルテニウム等の触媒成分を担持したニッケル触媒やルテニウム触媒が充填された改質器の反応部で炭化水素原料を水蒸気によって改質反応をさせて水素含有ガスを製造するようにしている。また、水蒸気改質装置の他に、炭化水素原料をロジウム触媒や白金触媒等の存在下や無触媒で部分酸化反応をさせ、水素含有ガスを製造する部分酸化改質装置等も使用されている。そこで以下では、水蒸気改質装置や部分酸化改質装置等の炭化水素改質装置を必要に応じて単に改質装置と称して説明する。
さて、改質装置の構成部材の材料として、低合金鋼やステンレス鋼等の鉄基合金等の金属を用いることができれば、設備費等を廉価にできるため好ましいが、鉄基合金等の金属では、水素やCO等の還元性ガスを含有する400〜850℃の高温ガスと接触すると、金属材料の表面が粉化して剥離減肉するメタルダスティングコロージョン(以下、[MDC]と称す。)を発生し易い欠点があった。MDCにより改質装置全体の寿命が左右されたり、MDCにより発生したダストが装置用材料、例えば小径配管内に堆積して配管を詰まらせるため、MDC対策は非常に重要な課題になっている。そこで、ニッケル基合金は鉄基合金に比べて耐食性の高いニッケル、クロムを大量に含み、MDCに対する抵抗性が高いことから、コストは鉄基合金より遥かに高く付くが、現在の改質装置ではニッケル基合金が多用されている。
しかしながら、ニッケル基合金であれば如何なる種類のものであってもMDCを発生しない、あるいは殆ど発生しないわけではなく、その合金成分によってMDCの抵抗性に優劣がある。MDCの抵抗性を高めるにはクロム及びアルミニウム含有量の多い方が望ましく、例えばインコネル690、インコネル693は非常に抵抗性に優れているが、特殊材でもあり、市場で入手し難く、加工性及び溶接性にも問題があって改質装置では殆ど使用されていない。従って、次善策として、入手が容易な比較的クロム及びアルミニウム含有量の少ないニッケル基合金、例えばインコネル601等が使用されており、これらのニッケル基合金は鉄基合金に比べると遥かにMDCに対する抵抗性が高いが、それでも現状では400〜850℃の高温域ではMDCによる材料の粉化、減肉が避けられない。そのため、構成部材の交換頻度が高くなり、保守コストの増加や保守期間の装置停止による生産性の低下等の問題を生じており、水素需要の増加に伴い装置が大型化すればするほどMDC対策がより重要な課題となっている。
ところで、低合金鋼やステンレス鋼等の鉄基合金やニッケル基合金等の母材の耐食性を高める表面処理方法として従来からアルミニウム拡散浸透処理が用いられている。アルミニウム拡散浸透処理には大別して二種類あり、一つはアルミニウム浸透金属原料としてアルミニウム粉を用いるもので、一般的にはアルミパック処理と称される方法であり、他の一つはアルミニウム浸透金属原料として鉄−アルミニウム合金粉を用いるもので、一般的にはカロライジング処理と称される方法である。
アルミパック処理では、例えば、アルミニウム粉5〜25重量%と、アルミナ粉75〜95重量%と、浸透促進剤として塩化アンモニウム粉0.1〜1.0重量%とからなる混合粉末を浸透剤とし、この浸透剤の中に被処理金属(以下、単に「母材」と称す。)を埋設し、アルゴン等の不活性ガスや水素等の還元性ガス雰囲気中で600〜1000℃に昇温し5〜20時間を加熱して母材の表面にアルミニウム拡散浸透層を形成させる。アルミパック処理の特徴は、浸透剤にアルミニウム粉を用いることで、母材の種類にもよるが母材表面のアルミニウム濃度が40重量%を超える高濃度のアルミニウム拡散浸透層を容易に得られ、また、浸透剤に含まれる金属はアルミニウムのみであるため、アルミニウム以外の金属が母材に拡散することがないことである。換言すると、浸透剤が母材を汚染する懸念がないため、浸透剤に含まれる鉄分による母材汚染を嫌う部品、例えばインコネル939、マルチメット247等のニッケル基合金で製造されるガスタービンブレードや特許文献1に記載のチタン−アルミ合金材料に適用されている。
一方、カロライジング処理では、例えば、アルミニウム濃度20〜60重量%の鉄−アルミニウム合金粉10〜90重量%と、アルミナ粉40〜80重量%と塩化アンモニウム粉0.1〜2.0重量%とからなる混合粉末を浸透剤とし、この浸透剤の中に母材を埋設し、不活性ガスや水素等の還元性ガス雰囲気中で800〜1100℃に昇温し5〜20時間を加熱して母材の表面にアルミニウム拡散浸透層を形成させる。カロライジング処理の特徴は、浸透剤に鉄−アルミニウム合金粉を用いるため、アルミパック処理と比較してアルミニウム浸透速度が遅く緩慢であり、加熱時に温度ムラが生じ易い大型部品の処理に適しており、母材表面のアルミニウム濃度が通常10〜35重量%でアルミパック処理ほど高濃度のアルミニウム拡散浸透層が得られないことである。そして、浸透剤に含まれる鉄分がアルミニウムと共に母材に拡散するため、鉄分によって母材の特性が損なわれる材料、例えばインコネルの処理には適していない。従って、カロライジング処理は、特許文献2に記載されたオーステナイト系ステンレス鋼や耐熱鋳鋼からなるガス浸炭治具や、特許文献3に記載された普通鋼を用いた電気炉水冷ジャケット等に適用されている。
特許第1837757号公報 特開平10−168555号公報 特許第3447563号公報
そこで、本発明者等は、ニッケル基合金において、インコネル693等の比較的アルミニウム含有量が多いインコネルがMDCに対する抵抗性が高いことに着目し、改質装置の構成部材として実用されているインコネル601の表層部にアルミニウム合金層を形成させる手法としてアルミパック処理について検討した。
即ち、アルミニウム粉20.0重量%、アルミナ粉79.0重量%、塩化アンモニウム1.0重量%を混合してなる浸透剤中に外径48.3mm、厚さ3.7mm、長さ2000mmのインコネル601製チューブを埋設し、鋼板製容器の中でアルゴンガスを流しながら、900℃で10時間加熱処理を行うことによってアルミパック処理を施した。その結果、インコネル601製チューブの表面に、厚さ150μmで表面のアルミニウム濃度が42重量%のアルミニウム拡散浸透層を得ることができた。次いで、アルミニウム拡散浸透層のMDCに対する抵抗性を確認するために、実験の前段階としてリーク試験を行うように処理したチューブ内に窒素ガスを封入し、800℃で10時間加熱した。その後チューブの内面を確認したところ、目視で確認できるほどの剥離部が発生していた。この剥離部を切り取り調査した結果、剥離部に窒素が含まれており、高濃度のアルミニウム拡散浸透層が窒素と化学反応を起こしたものと判断した。一方、窒素ガスを充填せずに水素ガス、COガス、水蒸気の混合ガスを流しながら800℃で200時間加熱したところ、MDCは発生せず、アルミパック処理がMDC対策として有効であることが確認できた。
しかしながら、改質装置が稼動している時にはその構成部材は、水素ガス、COガス及び水蒸気からなる生成ガスと接触しているため、アルミパック処理が施された構成部材はMDC対策として有効であるが、改質装置のスタートアップ及びシャットダウン時には装置内部に窒素ガスを充満させるため、アルミパック処理では上述の検証結果からも明らかなように、スタートアップ及びシャットダウンの各時点において構成部材が剥離する虞があり、MDC対策としては適当でないことが判った。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ニッケル基合金からなる改質装置の構成部材にアルミニウム合金層を形成しても構成部材からアルミニウム合金層が剥離せず、MDCに対する抵抗性を格段に高めることができ、延いては構成部材からのダストの発生や減肉等を防止することができる炭化水素改質装置用部材を提供することを目的としている。
本発明者等は、ニッケル基合金に対して鉄−アルミニウム合金粉末をアルミニウム拡散浸透用の金属粉末として用いるカロライジング処理について種々検討した結果、従来ニッケル基合金からなる母材の表面処理に使用できないと考えられていたカロライジング処理を施した炭化水素改質装置用の構成部材を特定の温度で用いることにより、MDCに対する抵抗性を高めることができ、ダストの発生や減肉等の現象を防止できることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、本発明の請求項1に記載の炭化水素改質装置用部材は、炭化水素改質装置において炭化水素を原料として水素含有ガスを製造する際に、400〜850℃の生成ガスと接触する部位に用いられる構成部材であって、少なくとも上記構成部材の上記生成ガスとの接触面に、アルミニウム拡散浸透金属として鉄−アルミニウム合金粉末を用いるカロライジング処理を施すことにより、上記接触面に剥離し難いアルミニウム拡散浸透層を形成したことを特徴とするものである。
また、本発明の請求項2に記載の炭化水素改質装置用部材は、請求項1に記載の発明において、上記アルミニウム拡散浸透層の最表面のアルミニウム濃度が15〜35重量%であることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、ニッケル基合金からなる改質装置の構成部材にアルミニウム合金層を形成しても構成部材からアルミニウム合金層が剥離せず、MDCに対する抵抗性を格段に高めることができ、延いては構成部材からのダストの発生や減肉等を防止することができる炭化水素改質装置用部材を提供することができる。
以下、図1に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。尚、図1は本発明の改質装置用部材の一実施形態を適用した改質装置の要部を示す構成図である。
まず、本実施形態の改質装置用部材が適用される改質装置の一例について説明する。この改質装置10は、例えば図1に示すように、脱硫後のガス化された炭化水素原料と水蒸気とを混合した混合原料ガスを加熱する加熱器11と、加熱器11の下流側に配置され且つ混合原料ガスの炭化水素原料を水蒸気で改質する改質器12と、改質器12が収納された改質炉12Aと、改質炉12Aの下流側に配置され且つ改質器12において生成した水素で空気を予熱する予熱器13と、予熱器13の下流側に配置され且つ水素含有ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に転換する変成器14と、を備えている。
而して、加熱器11は、シェル11Aとチューブ11Bとからなる熱交換器として構成され、チューブ11B内を混合原料ガスが流通する。改質器12は、混合原料ガスを改質する反応管15と、反応管15内に反応管15と軸心を共有して挿入されたインナーチューブ16と、反応管15とインナーチューブ16の間に充填された改質用の触媒17とを有している。この改質用の触媒17は、例えばアルミナ、シリカあるいはジルコニア等の担体にニッケルまたはルテニウム等の触媒成分を担持したニッケル触媒またはルテニウム触媒として形成されている。
また、予熱器13は、例えばシェル13Aとチューブ13Bからなる熱交換器として構成され、改質器12からチューブ13B内を流通する水素含有ガスの余熱によってシェル13A内に供給された空気を予熱する。予熱空気は、燃料燃焼用の空気として改質炉12Aに供給され、改質器12の反応管15を加熱して触媒17による改質反応を促進する。改質炉12Aから排出された燃焼ガスは、改質器12から加熱器11のシェル11A側へ供給され、チューブ11B内を流通する混合原料ガスを加熱する。また、一酸化炭素除去用の変成器14内には鉄−クロム、銅−亜鉛等の酸化物からなるシフト反応触媒14Aが充填され、シフト反応触媒14Aで水素含有ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に転換する。
ところで、改質器12と予熱器13内のチューブ13Bは流通配管18を介して連結され、反応管15内のインナーチューブ16、ヘッダー(図示せず)、ノズル(図示せず)流通配管18及びチューブ13B等の構成部材16、18、13Bは水素や一酸化炭素等の還元性ガスを含有する高温の水素含有ガスと接触する。そのため、本実施形態では、これらの構成部材16、18、13Bのうち、インナーチューブ16やヘッダーは例えばインコネル601等のニッケル基合金によって形成され、ノズルは例えばインコネル800Hによって形成され、流通配管18は例えばSUS321、SUS310S等によって形成され、チューブ13Bは例えばSUS304等によって形成されている。そして、これらのニッケル基合金等からなる構成部材16、18、13Bを含めた構成部材にはカロライジング処理によってMCD対策が施されている。
即ち、本実施形態では、アルミニウム拡散浸透用の金属粉末として、従来から上述のニッケル基合金には不向きとされていた鉄−アルミニウム合金粉末を使用するカロライジング処理が改質装置10の上記構成部材に施されている点に特徴がある。
カロライジング処理を施す場合には、まずアルミニウム拡散浸透金属粉末として鉄−アルミニウム合金粉末を用い、鉄−アルミニウム合金粉末にアルミナ粉末及び反応促進剤としての塩化アンモニウム粉末を混合して混合粉末(浸透剤)を調製する。各粉末の配合比は、例えばアルミニウムを50重量%含む鉄−アルミニウム合金粉末が55〜70重量%、アルミナ粉末が30〜45重量%、塩化アンモニウム粉末が0.3〜1.0重量%の範囲が好ましい。次いで、密閉容器内にニッケル基合金を収容した後、浸透剤を密閉容器内に充填して母材を埋設する。この密閉容器内にアルゴンガス等の不活性ガスまたは水素等の還元性ガスを流通させながら、900〜1050℃の高温で10〜25時間加熱処理して母材表面にアルミニウム拡散浸透層、即ちアルミニウム合金層を形成する。
アルミニウム拡散浸透層の最表面のアルミニウム濃度は15〜35重量%が好ましい。アルミニウム濃度が15重量%未満ではMDC対策としては不十分になるため好ましくなく、また、その濃度が35重量%を超えると溶接等の加工性が低下するため好ましくない。また、アルミニウム拡散浸透層の厚さは、母材の種類によって異なるが、ニッケル基合金の場合には50〜200μmの範囲が好ましい。
カロライジング処理を施したニッケル基合金は、その使用温度が1000℃を超えると表面のアルミニウムが母材内部へ拡散してアルミニウム濃度が低下して耐食性が低下するが、改質装置では400〜850℃の使用範囲であり、MDCが特に顕著に現れるのは450〜750℃であるため、この温度範囲ではアルミニウム拡散浸透層はアルミニウムの拡散による組成変化を起こす虞はない。400℃未満の温度であれば特にカロライジング処理を施さなくてもニッケル基合金はMDCに対する抵抗性があり、また、850℃を超える温度でのプロセスは存在しない。
次に上記改質装置10を用いて炭化水素原料から水素含有ガスを製造する方法について概説する。
炭化水素原料を必要に応じて脱硫処理した後、所定の圧力に昇圧し、水蒸気を混合して混合原料ガスを調製した後、加熱器11のチューブ11B側に供給する。加熱器11において、混合原料ガスと改質炉12Aから加熱器11のシェル側11Aへ供給された燃焼ガスとの間で熱交換を行って混合原料ガスを所定温度に加熱した後、加熱後の混合原料ガスを改質器12内の反応管15内へ供給する。
反応管15内では混合原料ガスは、温度450〜850℃、圧力0.5〜1.0MPaの触媒反応条件で触媒17を介して混合原料ガス中の炭化水素と水蒸気とが反応し、水素含有ガスを生成する。
反応管15において生成した水素含有ガスは、例えば530〜600℃の高温でインナーチューブ16から流通配管18へ流出し、流通配管18を経由して予熱器13のチューブ13B側に流入する。予熱器13において水素含有ガスは、その余熱でチューブ13Aを介してシェル13Aを流通する空気を予熱する。予熱後の空気は燃料燃焼用空気として改質炉12Aに供給される。
予熱器13で冷却された水素含有ガスは、変成器14に供給され、温度200〜450℃、圧力0.5〜1.0MPaの反応条件で水素含有ガス中の一酸化炭素が二酸化炭素に転換され、ガス冷却器(図示せず)を経て圧力変動吸着装置(PSA)(図示せず)に供給され、高純度水素の製品として回収される。
ところで、本実施形態ではインナーチューブ16、流通配管18及び予熱器13のチューブ13Bは、予めカロライジング処理が施されているため、MDCに対する抵抗性が高く、水素含有ガスに含有されている水素や一酸化炭素によって腐食される虞がなく、延いては減肉やダストの発生等を防止することができる。
次いで、後述の実施例においてカロライジング処理の効果について確認した。
本実施例では、改質装置の中でも最も使用温度が高く、MDCの厳しい環境で使用されるインコネル601製のインナーチューブに下記条件でカロライジング処理を施し、処理後のインナーチューブを改質装置の実機に装着し、実機を約1年間運転してMDC試験を行った。実機において生成したガス組成は、水素74モル%、一酸化炭素14モル%、二酸化炭素9モル%、メタン3モル%、水蒸気46モル%であり、生成ガス温度は約850℃であった。
1.処理チューブ材質:インコネル601
寸法形状:外径48.3×内径40.9×肉厚3.7×長さ6200mm
2.カロライジング処理条件
a.浸透剤の組成
鉄−アルミニウム(50重量%)合金粉末:65重量%
アルミナ粉末:34重量%
塩化アンモニウム粉末:1.0重量%
b.処理温度:1030℃
c.処理時間:15時間
3.アルミニウム拡散浸透層の厚み:110μm
4.アルミニウム拡散浸透層の表面アルミニウム濃度:32重量%
約1年間の運転後、インナーチューブ内面の表面状態を観察した結果、運転中には極僅かのダストしか発生せず、カロライジング処理層(アルミニウム拡散浸透層)での剥離も認められず、MDCの発生も認められなかった。
また、比較のために無処理のインナーチューブ(インコネル601)を実機に装着し、本実施例と同一条件で約1年間運転した後、インナーチューブについて同様の観察を行った。その結果、インナーチューブの内面にはニッケル基合金において発生するMDC特有の孔食状の減肉とダストの付着が認められた。また、無処理のインナーチューブ(インコネル601)の場合には、運転条件によっては約3ヶ月の運転でMDCが発生することもあった。
本実施例では、改質装置(図1参照)の中でもインナーチューブの後段で比較的MDCが軽微な予熱器13の構造部材(チューブ13B)として用いられているSUS304の試験片に下記条件でカロライジング処理を施した。そして、試験片について後述の要領でMDC試験を行った。
1.カロライジング処理条件
a.浸透剤の組成
鉄−アルミニウム(50重量%)合金粉末:65重量%
アルミナ粉末:34重量%
塩化アンモニウム粉末:1.0重量%
b.処理温度:1000℃
c.処理時間:15時間
d.アルミニウム拡散浸透層の厚み:150μm
e.アルミニウム拡散浸透層の表面アルミニウム濃度:28重量%
2.試験片
a.試験片の材質:SUS304
b.試験片の表面積:13.66cm
c.試験片の密度:7.94g/cm
MDC試験を行うにはまず、セラミック製反応管内にカロライジング処理が施された試験片を収納し、このセラミック製反応管に窒素ガスを通気して試験片を反応温度650℃まで昇温する。次いで、水素と一酸化炭素との混合ガスを水中にバブリングさせて水蒸気を含んだ状態でセラミック製反応管に通気し、窒素ガスの供給を停止する。この際、混合ガスの組成は、水素74容量%、一酸化炭素24容量%、水蒸気2容量%であった。上記条件で混合ガスを255時間通気した後、通気ガスを窒素ガスに変更して冷却し、試験を終了した。そして、試験前後の各試験片の重量を測定し、それぞれの測定結果を表1に示した。また、測定結果に基づいて各試験片の腐食度及び侵食度を求めてそれぞれの結果を表1に示した。また、カロライジング処理が施されていない試験についても同様のMDC試験を行い、その結果を表1に示した。
Figure 2006028566
表1に示す結果によれば、カロライジング処理を施した試験片は、いずれもMDCに対する抵抗性が極めて高く、ダストの発生もないことが判った。これに対して、カロライジング処理を施さない試験片は、いずれもMDCに対する抵抗性が低く、腐食が進行し侵食されていることが判った。
尚、本発明は上記実施形態に何等制限されるものではなく、ニッケル基合金に対してカロライジング処理を施す場合について広く適用することができる。
本発明は、炭化水素改質装置において炭化水素を原料として水素含有ガスを製造する際に、400〜850℃の生成ガスと接触する部位に用いられる構成部材に好適に利用することができる。
本発明の改質装置用部材の一実施形態を適用した改質装置の要部を示す構成図である。
符号の説明
10 改質装置
16 インナーチューブ
18 配管
13B 予熱器のチューブ

Claims (2)

  1. 炭化水素改質装置において炭化水素を原料として水素含有ガスを製造する際に、400〜850℃の生成ガスと接触する部位に用いられる構成部材であって、
    少なくとも上記構成部材の上記生成ガスとの接触面に、アルミニウム拡散浸透金属として鉄−アルミニウム合金粉末を用いるカロライジング処理を施すことにより、上記接触面に剥離し難いアルミニウム拡散浸透層を形成したことを特徴とする炭化水素改質装置用部材。
  2. 上記アルミニウム拡散浸透層の最表面のアルミニウム濃度が15〜35重量%であることを特徴とする請求項1に記載の炭化水素改質装置用部材。
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