JP4525549B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機やプリンター等の画像形成装置による現像に用いる静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。詳しくは、流動性が良好であり、帯電性が安定しており、トナー消費量が少ないため、長期間の使用や連続して多数枚印刷するのに適した静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。さらには詳しくは、上記優れた効果を奏する静電荷像現像用トナーを歩留まりよく、効率的に製造することが出来る静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
一般に電子写真方式では、各種の光導電物質を含むドラム状やフィルム状の感光体上に種々の手段により静電荷の電気的潜像を形成し、該静電潜像を現像剤により現像し、必要に応じて紙あるいはフィルム等の基材上に現像剤を転写した後、加圧、加熱等の方法により定着することが行われる。
現像剤としては、鉄粉、フェライト粉等のキャリアとトナーとからなる二成分系現像剤やキャリアを必要としない一成分系現像剤(非磁性または磁性トナー)が知られている。その際のトナーとしては、通常、バインダー樹脂及び着色剤に、必要に応じて帯電制御剤、離型剤、磁性体等を含有するトナー母粒子に、流動性や帯電性等の各種性能を付与することを目的として、例えばシリカ等の固体微粒子の外添剤や金属錯体や染料等の帯電制御剤を表面に付着させた形態のものが用いられている。
近年、複写機やプリンター等の普及に伴い、画像品質への要求は益々高度化しており、特に高速印刷あるいは連続印刷で高画質の画像が要求されている。これを達成するためには、トナーの流動性および帯電安定性を向上させるとともに、低温で定着可能なようにトナーの軟化点を低下させる必要がある。しかしながら、低軟化点のトナーは、使用前の長期保存時における耐ブロッキング性の悪いことが問題であった。トナーの耐ブロッキング性を改善するためには、トナー母粒子表面に外添剤を充分に付着させる必要があるが、多量の外添剤を添加しようとすると、外添剤がトナー母粒子表面に付着しなかったり、外添剤同士が凝集するため、帯電不良や画像欠陥が発生するという問題があった。このように、従来は低軟化点トナー等において、多量な外添剤をトナー母粒子表面に均一に付着することによって、トナーの流動性、帯電安定性を確保することは困難であった。
一方、特許文献1において粉体または粒体等を高速で攪拌して混合、分散、表面改質、複合化等の処理を行う高速攪拌型分散機が知られており、特許文献2乃至7ではトナーを製造する方法において、特許文献1の高速攪拌型分散機を使用して、着色剤を含有する樹脂粒子と帯電制御剤粒子を容器中で混合し、その混合容器内壁表面及び回転体の周速を提案している。しかし、この方法を用いても、最大昇温速度が低い点および連続して混合攪拌できない点等から、トナー母粒子表面への帯電制御剤や外添剤の付着は充分ではなく、特に、外添剤を多量に付着させる場合は、トナー母粒子表面に付着しない外添剤が存在したり、外添剤同士が凝集したりする問題を解決するには到らず、その上生産性の向上も図れなかった。
即ち、従来は、どのようにすれば多量の外添剤を凝集することなく効率的にトナー母粒子表面に均一に外添することができるのかは明らかでなかったのである。
特開平8−173783号 特開2002−351141号 特開2002−357929号 特開2003−98741号 特開2003−15357号 特開2003−140391号 特開2002−268277号
本発明は前述の従来技術に鑑みてなされたもので、流動性および帯電安定性が良好で、連続印刷した場合においても現像性能、定着性能の低下が少ないとともに耐ブロッキング性も良好で、生産効率の高い静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者はかかる課題を解決するため鋭意検討した結果、特定条件でトナー母粒子と外添剤及び/又は帯電制御剤とを混合することによって前記課題を解決し得ることを見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、本発明の要旨は、バインダー樹脂および着色剤を含有するトナー母粒子に外添剤及び/又は帯電制御剤を混合する静電荷像現像用トナーの製造方法において、該混合が攪拌羽根を有する混合装置によりなされ、かつ、該混合装置内温の最大上昇速度をA(℃/分)、連続混合時間をB(分)としたときに、(1)30≦A×B及び(2)8≦A≦50を満たし、且つ、混合装置の内温が、トナー母粒子のDSCによる吸熱最大点温度より上昇しない条件で混合することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法に存する。
また、本発明は、特定の構造の混合装置を用いることが好適であることを見いだし、本発明を完成するに至ったものである。即ち、混合装置の内温上昇が外部からの熱供給によらないこと、混合装置の内温上昇を抑制すること、混合装置の内壁に突出した固定部材が設けられていること、混合装置の内壁に突出した固定部材の表面積の割合が、装置内壁の表面積100%に対し、0.1〜20%であること、を特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法、に存する。
更には、本発明は、特定のトナーを採用することが好適であることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。即ち、トナー母粒子のDSCによる吸熱最大点温度が55〜100℃であること、を特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法、に存する。
高速で大量の静電現像を行う場合や、長期間連続して静電現像を行う場合、高温高湿の環境下で静電現像を行う場合において、均一かつ高画質な画像が要求されるような印刷機や複写機に用いることのできる静電荷像現像用トナーを効率よく製造することが出来る。
以下、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法について詳細に説明する。
本発明の製造方法における静電荷像現像用トナーは、バインダー樹脂および着色剤を含有し、必要に応じて、ワックス、帯電制御剤及びその他の添加剤等を含むトナー母粒子に外添剤及び/又は帯電制御剤が付着してなるものである。
本発明に用いられるバインダー樹脂としては、トナーに適した公知の種々のものが使用でき、例えば、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、シリコーン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられ、これらの混合物であってもよい。本発明に用いるのに特に好ましい樹脂としては、スチレン系樹脂およびポリエステル系樹脂が挙げられ、特にスチレン系樹脂が好ましい。
スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体及びスチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレンまたはスチレン誘導体を含む単独重合体または共重合体が挙げられ、これらの混合物であってもよい。中でも、スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体の中から選ばれる酸基を有するバインダー樹脂を含む場合が、トナーの定着性や耐久性の面で優れ、しかもトナーの帯電安定性(特に負帯電性)が向上するのでより好ましい。なお、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルにおけるエステル基は限定されないが、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、オクチルエステル、フェニルエステル等、炭素数1〜8の炭化水素エステル等が挙げられる。さらには、前記アクリル酸、メタクリル酸の一部または全てを、α−クロルアクリル酸、α−ブロムアクリル酸等の置換モノカルボン酸類、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノブチル等の不飽和ジカルボン酸類、それらの無水物又はそれらのハーフエステル類等で置換したものも好適に用いることができる。
ポリエステル系樹脂としては、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分とを主成分として重縮合させることにより得られるものが好ましい。
多価アルコール成分のうち2価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、その他アルコール単量体が挙げられ、中でも、ビスフェノールAを含むものが好適に使用される。
また、多価カルボン酸成分のうち2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクチルコハク酸、およびこれらの酸の無水物あるいは低級アルキルエステルが挙げられ、中でも、イソフタル酸を含むものが好適に使用される。
さらに、ポリエステル樹脂には、3価以上のアルコール成分および/または3価以上のカルボン酸成分を含むことができる。3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。3価以上のカ
ルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ブタントリカルボン酸、ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンボール二量体酸、およびこれらの酸の無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。これら3価以上のアルコール成分および/または3価以上のカルボン酸成分は、ポリエステル樹脂を構成する全モノマー中の0.01〜30モル%、好ましくは0.1〜5モル%含んでいることが好ましい。3価以上のアルコール成分および/または3価以上のカルボン酸成分を含むことにより、低エネルギー定着に必要な低温定着性と連続実写時の画像安定性に必要な耐久性が両立されるため好ましい。
さらには、安息香酸、サリチル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の単官能アルコールや単官能カルボン酸を含むこともできる。また、ポリエステル樹脂の構造中にウレタン結合やアミド結合等のエステル結合以外の連鎖を有するセグメントを有することもできる。
バインダー樹脂の軟化点(以下Spと記載)は、低エネルギー定着のために150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましい。また、耐高温オフセット性、耐久性の点で該Spは80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。ここで該Spは、フローテスター(島津製作所社製CFT−500)において、試料1.0gをノズル1mm×10mm、荷重30kg、予熱時間50℃で5分、昇温速度3℃/分の条件下で測定を行ったときの、フロー開始から終了までのストランドの中間点での温度として求めることができる。
また、バインダー樹脂のガラス転移点(以下Tgと記載)は、通常80℃以下が好ましく、70℃以下が更に好ましい。該Tgが80℃を超えると定着温度が高くなりすぎたり、OHP透明性の悪化が問題となる。また、該Tgは、40℃以上が好ましく、50℃以上が更に好ましい。該Tgが40℃未満であるとトナーの保存安定性が悪くなる。ここで該Tgは、示差走査熱量計(セイコー電子社製DSC−2200)において、トナー母粒子サン
プルを一旦、30℃から昇温速度10℃/分の速度で210℃まで加温した後、降温速度20℃/分の速度で30℃まで冷却し、再度、昇温速度10℃/分で加温した際、測定した曲線の転移(変曲)開始部に接線を引き、2つの接線の交点の温度として求めることができる。
本発明におけるバインダー樹脂のTgは、樹脂の種類およびモノマー組成比、分子量等を調整することによって前記範囲とすることができ、また、市販の樹脂の中から前記範囲のものを適宜選択して使用することが出来る。
バインダー樹脂として前記のスチレン系樹脂を用いる場合、該バインダー樹脂は、THF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPC)におけるピーク分子量(Mp)のうち少なくとも1つが、好ましくは3000以上、より好ましくは1万以上、さらに好ましくは3万以上であり、好ましくは10万以下、より好ましくは8万以下、さらに好ましくは7万以下に存在することが望ましい。ピーク分子量が3000未満の場合、高温側のオフセット性が悪くなり、10万を超える場合には低温側のオフセット性が悪くなる。スチレン系樹脂の数平均分子量、重量平均分子量およびピーク分子量が前記範囲にある場合、トナーの耐久性、保存性、定着性が良好となるため望ましい。ここで、GPCにおける前記の値は、ポリスチレン換算した値を用いるものとし、測定に際しては溶媒に不溶の成分を除くものとする。
本発明に用いられる着色剤は特に限定されるものではなく、トナーの着色剤として一般に用いられている各種の無機系及び有機系の染料や顔料などが用いられ、具体的には、例
えば、鉄粉、銅粉等の金属粉、ベンガラ等の金属酸化物、ファーネスブラック、ランプブラック等のカーボンブラックに代表されるカーボン類等の無機系顔料、ベンジジンイエロー、ベンジジンオレンジ等のアゾ系、キノリンイエロー、アシッドグリーン、アルカリブルー等の染料の沈殿剤による沈殿物やローダミン、マゼンタ、マカライトグリーン等の染料のタンニン酸、リンモリブデン酸等による沈殿物等の酸性染料や塩基性染料、ヒドロキシアントラキノン類の金属塩等の媒染染料、フタロシアニンブルー、スルホン酸銅フタロシアニン等のフタロシアニン系、キナクリドンレッド、キナクリドンバイオレット等のキナクリドン系やジオキサン系等の有機系顔料、アニリン黒、アゾ染料、ナフトキノン染料、インジゴ染料、ニグロシン染料、フタロシアニン染料、ポリメチン染料、ジ及びトリアリルメタン染料等の合成染料などが挙げられ、これらの2種以上を併用することもできる。フルカラートナーに用いる着色剤としては、イエロー用としてアゾ系顔料(不溶性モノアゾ系、不溶性ジスアゾ系、縮合アゾ系など)、多環式顔料(イソインドリン系、イソインドリノン系、スレン系、キノフタロン系など)等が挙げられ、マゼンタ用としてアゾ系顔料(アゾレーキ系、不溶性モノアゾ系、不溶性ジスアゾ系、縮合アゾ系など)、多環式顔料(キナクリドン顔料、ペリレン顔料など)等が挙げられ、シアン用としてフタロシアニン顔料、スレン系顔料等が挙げられる。着色剤の組合せは色相等を勘案して適宜選べばよいが、中でも、イエロー着色剤としてはC.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー155から選ばれる少なくとも1種が、マゼンタ着色剤としてはC.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド269、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド122から選ばれる少なくとも1種が、シアン着色剤としてはC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3から選ばれる少なくとも1種が、ブラック着色剤としてはファーネス法カーボンブラックが、それぞれ好適である。前記着色剤の含有割合は、前記バインダー樹脂100重量部に対して1〜20重量部であるのが好ましく、2〜15重量部であるのがより好ましく、特には3〜10重量部であるのがよい。2種以上の着色剤を併用する場合は、合計量として1〜20重量部であるのが好ましい。
また、前記着色剤は磁性を有していてもよく、磁性着色剤としては、複写機等の使用環境温度である0〜60℃付近においてフェリ磁性或いはフェロ磁性を示す強磁性物質、具体的には、例えば、マグネタイト(Fe3 4 )、マグヘマタイト(γ−Fe2 3 )、マグネタイトとマグヘマタイトの中間物や混合物、Mx Fe3-x 4 ;式中、Mは、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd等のスピネルフェライト、BaO・6Fe2 3 、SrO・6Fe2 3 等の6方晶フェライト、Y3 Fe5 12、Sm3 Fe5 12等のガーネット型酸化物、CrO等のルチル型酸化物、及び、Cr、Mn、Fe、
Co、Ni等の金属或いはそれらの強磁性合金等のうち0〜60℃付近においてフェロ磁性、フェリ磁性を示すものが挙げられ、単独で使用するに限らず、2種以上併用することもできる。中でも、マグネタイト、マグヘマタイト、またはマグネタイトとマグヘマタイトの中間体が好ましい。非磁性トナーとしての特性を持たせつつ、飛散防止や帯電制御等の観点で添加する場合は、その添加量は前記バインダー樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部、好ましくは0.5〜8重量部、より好ましくは1〜5重量部である。また、磁性トナーとして使用する場合の添加量は、前記バインダー樹脂100重量部に対して20重量部以上、150重量部以下が好ましい。
本発明における静電荷像現像用トナーには、ワックスが含有されていても良い。ワックスを含有することによって、低温定着性、高温オフセット性、耐フィルミング性等が向上する場合があるので好ましい。前記ワックスはトナー用途に通常使用されているものであれば限定されず、具体的には低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス;パラフィンワックス;アルキル基を有するシリコーンワックス;ステアリン酸等の高級脂肪酸;エイコサノール等の長鎖脂肪族アルコール
;ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス;ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン類;水添ひまし油カルナバワックス等の植物系ワックス;グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと長鎖脂肪酸より得られるエステル類または部分エステル類;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;低分子量ポリエステル等が例示される。本発明に好適なワックスとしては、エステル系ワックス、パラフィンワックス、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックスや、アルキル基を有するシリコーンワックスから選択することにより好適に使用できる。また、ワックスは、DSCによる吸熱ピークを50〜100℃に少なくとも1つ有するのがよい。ワックスを含有する場合のその含有量は、トナー100重量部に対し0.05重量部以上が好ましく、より好ましくは0.1重量部以上、更に好ましくは1重量部以上であり、20重量部以下であるのが好ましく、より好ましくは15重量部以下であるのがよい。本発明における静電荷像現像用トナー中のワックスの分散粒径は、平均粒径として好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上であり、好ましくは3μm以下、より好ましくは1μm以下である。平均粒径が0.1μm未満では、トナーの離型性改良の効果が充分でない場合があり、また3μmを超えると、トナーの表面に露出しやすくなり帯電性や耐熱性が低下する場合がある。なお、ワックスの分散粒径は、トナーを薄片化して電子顕微鏡観察する方法の他、ワックスが溶解しない有機溶剤等でトナーのバインダー樹脂を溶解し、溶液中のワックスの粒径を計測する方法などにより確認することができる。
本発明における静電荷像現像用トナーには、帯電量、帯電安定性付与のため、帯電制御剤が含有されていても良い。帯電制御剤としては、従来公知の化合物が使用され、例えば、正荷電性帯電制御剤としては、ニグロシン系染料、第4アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂など、負荷電性帯電制御剤としては、Cr,Co,Al,Fe,B等の原子を含有するアゾ錯化合物染料やアルキルサリチル酸錯化合物、カーリックスアレン化合物などが挙げられる。フルカラートナーでは、トナーとしての色調障害を回避するために帯電制御剤の色調は無色ないしは淡色のものを選択する必要があり、その用途のためには上記のうちでも正荷電性帯電制御剤としては第4アンモニウム塩、イミダゾール系化合物であるのが好ましく、負荷電性帯電制御剤としてはCr,Co,Al,Fe,B等の原子を含有するアルキルサリチル酸錯化合物、カーリックスアレン化合物であるのが好ましい。また、これらの混合物であってもよい。帯電制御剤の添加量は、バインダー樹脂100重量部に対し、0.01〜5重量部の範囲が好ましい。
更に、本発明においてトナー中には、トナーの粘着性、凝集性、流動性、帯電性、表面抵抗等の改質のために公知の各種内添剤、例えば、シリコーンオイル、シリコーンワニス等を含有することもできる。
以下に、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法について、詳細に説明する。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法において、トナー母粒子を製造する方法は限定されず、粉砕法などの乾式法、重合法(懸濁重合法や乳化重合凝集法)や溶媒析出法などの湿式法の何れの製造方法をも用いることができる。中でも、得られるトナーの粒径分布、円形度の制御性の観点から湿式法により製造することが好ましく、重合法により製造することがより好ましく、乳化重合凝集法により製造することが特に好ましい。
トナー母粒子を粉砕法で製造する場合、従来公知の方法に従って行うことができる。すなわち、通常は、先ずバインダー樹脂、着色剤および、必要に応じて添加される帯電制御剤やワックス等のその他の成分を混合機で均一に分散混合し、次いで混合物をバンバリーミキサー、CMミキサー、密閉式ニーダー又は一軸若しくは二軸の押出機等で溶融混練し、冷却後、クラッシャー、ハンマーミル等で粗砕し、ジェットミル、高速ローター回転式ミル等で細粉砕し、風力分級機(例えば、慣性分級方式のエルボジェット、遠心力分級方
式のミクロプレックス、DSセパレーターなど)等で分級する方法により得ることができる。
トナー母粒子を懸濁重合法で製造する場合、従来公知の方法に従って行うことができる。すなわち、通常は、水系媒体中にバインダー樹脂を構成する重合性モノマー、懸濁重合分散剤、重合開始剤、着色剤および、必要に応じて添加される帯電制御剤やワックス等のその他の成分をディスパーザー等の分散機を用いて適当な粒径に懸濁分散させた後、該重合性モノマーを重合させてトナー母粒子を得る。重合の温度は、30〜200℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。重合時の圧力は、加圧下、常圧下、減圧下の何れであってもよい。また、重合時間は、1〜15時間が好ましく、3〜10時間がより好ましい。懸濁重合法によるトナー母粒子を構成するバインダー樹脂としては前記した樹脂が用いられるが、原料である重合性モノマーとしては、後述する乳化重合凝集法に用いられる重合性モノマーと同様のものを使用することができる。
トナー母粒子を溶剤析出法(化学粉砕法)で製造する場合、従来公知の方法に従って行うことができる。すなわち、通常は、バインダー樹脂が溶解する溶剤に、バインダー樹脂及び着色剤、必要に応じて帯電制御剤、離型剤、磁性体等を溶解または分散させ、この溶液をバインダー樹脂にとって溶解性の低い液体と混合することによって粒子を析出させてトナー母粒子を得る。
次に、本発明におけるトナー母粒子を製造する上で特に好ましい乳化重合凝集法による場合について、詳細に説明する。本発明において、乳化重合凝集法とは、少なくとも乳化重合法で得られた重合体一次粒子を含有するエマルジョンを凝集する工程を有する製造法を意味する。
乳化重合凝集法によりトナー母粒子を製造する場合、通常、乳化重合工程、混合工程、凝集工程、熟成工程を有する。すなわち、一般的には、乳化重合により得られたバインダー樹脂としての重合体一次粒子を含む乳化液に、着色剤、必要に応じて帯電制御剤、ワックス等を混合し、この乳化中の一次粒子を凝集、熟成させて粒子凝集体とし、得られたトナー母粒子を洗浄、乾燥することにより得られる。
重合体一次粒子を構成する重合性モノマーは限定されないが、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ノニルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、アクリル酸アミド等が挙げられ、中でもスチレン、ブチルアクリレート等が特に好ましい。これらのモノマーは、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。また、重合体一次粒子を構成する重合性モノマーは、前記モノマーとともに、或いは前記モノマーに代えて、ブレンステッド酸性基を有するモノマー(以下、単に酸性モノマーと称すことがある)及び/またはブレンステッド塩基性基を有するモノマー(以下、単に塩基性モノマーと称することがある)を原料モノマーとして使用することも好ましい。酸性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基を有するモノマー、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有するモノマー、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有するモノマー等が挙げられる。また、塩基性モノマーとしては、アミノスチレン等のアミノ基を有する芳香族ビニル化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環含有モノマー、ジメチルアミノエチルアクリレート、
ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これら酸性モノマー及び塩基性モノマーは、単独で用いても複数を混合して用いてもよく、また、対イオンを伴って塩として存在していてもよい。重合体一次粒子を構成するモノマーとして酸性モノマーまたは塩基性モノマーを使用する場合、酸性モノマーまたは塩基性モノマーの合計量は、重合体一次粒子を構成する全モノマー100重量部に対して好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上、更に好ましくは1重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下であることが望ましい。このように酸性モノマーまたは塩基性モノマーを使用することにより、重合体一次粒子の分散安定性が向上する場合がある。
更に、重合体一次粒子を構成するモノマーとして多官能性モノマーを使用することもできる。多官能性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられ、また、反応性基をペンダントグループに有するモノマー、例えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることも可能である。中でもラジカル重合性の二官能性モノマーが好ましく、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートが特に好ましい。これら多官能性モノマーは、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
重合体一次粒子を構成するモノマーとして多官能性モノマーを使用する場合、その含有量は、重合体一次粒子を構成する全モノマー100重量部に対して好ましくは0.005重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、更に好ましくは0.3重量部以上であり、好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下、更に好ましくは1重量部以下であることが望ましい。このように多官能性モノマーを使用することにより、定着性が向上する場合がある。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、t−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、p−メンタンヒドロパーオキシド等の有機過酸化物類、過酸化水素等の無機過酸化物類等の一種或いは二種以上が、通常、重合性モノマー100重量部に対して0.05〜2重量部の量で用いられる。中でも、重合開始剤としては無機過酸化物類が好ましい。また、これらの重合開始剤に、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸等の還元性有機化合物類、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物類等の還元剤の一種或いは二種以上を併用したレドックス系開始剤とすることもできる。
また、必要に応じて公知の連鎖移動剤を使用することもでき、具体的には、t―ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ジイソプロピルキサントゲン、四塩化炭素、トリクロロブロモメタン等が挙げられる。連鎖移動剤は単独または2種類以上の併用でもよく、全モノマーに対して通常5重量%以下の範囲で用いられる。
乳化剤としては、通常、非イオン性、アニオン性、カチオン性、及び両性の界面活性剤等が用いられる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレート等のソルビタン脂肪酸エステル類等が、アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類等が、カチオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート等のアルキルアミン類、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド等の4
級アンモニウム塩類等が、両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルベタイン等のアルキルベタイン類等が挙げられ、これらの一種或いは二種以上が用いられる。これらの中で、非イオン性界面活性剤、アニオン系界面活性剤が好ましい。乳化剤としての使用量は、通常、重合性モノマー100重量部に対して1〜10重量部とされ、また、これらの乳化剤に、例えば、部分或いは完全ケン化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体類等の一種或いは二種以上を保護コロイドとして併用することができる。
尚、乳化重合における前記重合性モノマーの反応系への添加は、一括添加、連続添加、間欠添加のいずれであってもよいが、反応制御の点からは連続添加によるのが好ましい。また、複数のモノマーを使用する場合における各モノマーの添加は、別々に加えても、予め複数のモノマーを混合して同時に添加しても良い。更に、モノマー添加途中でモノマー組成を変化させることも可能である。また、前記乳化剤の反応系への添加についても、一括添加、連続添加、間欠添加のいずれであってもよい。また、反応系には、前記乳化剤、前記重合開始剤の他に、pH調整剤、重合度調節剤、消泡剤等を適宜添加することができる。
本発明における重合体一次粒子は、前記の通り得られた異なる重合体一次粒子を複数併用することもできる。
本発明における重合体一次粒子は、前記の乳化重合によって得られたものとともに、その他の重合方法で得られた粒子を併用することもでき、2種以上を併用することもできる。
本発明における重合体一次粒子の体積平均粒径は、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.1μm以上であり、通常3μm以下、好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下であることが望ましい。なお、体積平均粒径は、例えば日機装社製マイクロトラックUPAを用いて測定することができる。体積平均粒径が0.02μm未満では、凝集速度の制御が困難となる場合があり、3μmを超えると、凝集して得られるトナーの粒径が大きくなり易く、目的とする粒径のトナーを得ることが困難となる場合がある。
本発明のトナーにワックスを含有する場合、該ワックスは、後述する凝集工程で添加することもできるが、前記重合性モノマーの乳化重合におけるシードとして用いてシード重合することにより、ワックスを含有する重合性一次粒子を製造することもできる。
乳化重合凝集法によるトナー粒子の製造は、前記乳化重合で得られた重合体一次粒子のエマルジョンに、着色剤、必要に応じて更に、帯電制御剤、ワックス、その他成分等の添加剤を添加し、次いで、ディスパーザー、ミキサー等で攪拌、混合しつつ、例えば、加熱、電解質添加、pH調整、或いは硬化剤添加等、エマルジョンとしての重合体一次粒子の分散安定性を低下させ、一次粒子同士を凝集させる処理を施して凝集体となし、引き続いて、加熱処理によって凝集体における一次粒子同士を熟成(融着)させて安定化する。
電解質を加えて凝集を行う場合における電解質としては、有機塩、無機塩のいずれでも良いが、具体的には、NaCl、KCl、LiCl、NaSO、KSO、LiSO、MgCl、CaCl、MgSO、CaSO、ZnSO、Al(SO、Fe(SO、CHCOONa、CSONa等が挙げられる。これらのうち、2価以上の多価の金属カチオンを有する無機塩が好ましい。電解質の添加量は、電解質の種類によって異なるが、混合分散液の固形成分100重量部に対して、通常0.05重量部以上、好ましくは0.1重量部以上であり、通常25重量部以下、好ましくは15重量部位か、更に好ましくは10重量部以下である。電解質を添加して凝集を行う場合において電解質添加量が0.05重量部未満である場合には、凝集反応の進行が
遅くなり凝集反応後も1μm以下の微粉が残ったり、得られた粒子凝集体の平均粒径が目的の粒径に達しないなどの問題を生じる場合があり、25重量部を超えると、急速な凝集となりやすく粒径の制御が困難となり、得られた凝集粒子中に粗粉や不定形のものが含まれるなどの問題を生じる場合がある。尚、電解質を加えて凝集を行う場合の凝集温度は、20〜40℃が好ましく、25〜35℃が更に好ましい。
凝集体における一次粒子同士を融着させて安定化する(熟成)際の加熱温度は、一次粒子を構成する重合体のガラス転移温度以上が好ましく、ガラス転移温度より5℃高い温度以上が更に好ましい。また、重合体のガラス転移温度より80℃高い温度以下が好ましく、50℃高い温度以下が更に好ましい。加熱時間は1〜6時間とするのが好ましい。熟成工程前の粒子凝集体は、一次粒子の静電的あるいは物理的凝集による集合体であると考えられるが、熟成工程後は、粒子凝集体を構成する重合体一次粒子は互いに融着しており、トナー粒子の形状も球状に近いものとすることが可能となる。この様な熟成工程によれば、熟成工程の温度及び時間等を制御することにより、一次粒子が凝集した形状である葡萄型、融着が進んだジャガイモ型、更に融着が進んだ球状等、目的に応じて様々な形状のトナーを製造することができる。
こうして得られたトナー母粒子は、次いで洗浄、乾燥工程を経ることができる。洗浄に用いる液体としては、乳化重合凝集法における最終工程においてトナーを浸漬している水をより純度の高い水に置換することのみによって行うこともできるが、酸またはアルカリの液またはこれらの水溶液で洗浄することもできる。また、該洗浄は常温のみならず加熱して行うこともでき、これらの方法を組み合わせて用いることもできる。このような洗浄工程を経ることによって、乳化剤、溶剤、未反応の残存モノマー等を低減、除去することが出来るため好ましい。
本発明における静電荷像現像用トナーは、得られた粒子の表面に、例えば、スプレードライ法、in−situ法、或いは液中粒子被覆法等の方法によって、更に、重合体を主成分とする外層を、好ましくは0.01〜0.5μmの厚みで形成させることによって、カプセル化されたトナー母粒子とすることもできる。カプセル化トナー粒子における前記外層重合体のTgは70〜110℃であるのが好ましく、また、前記凝集(熟成)体粒子を構成する重合体のTgより高いことが好ましい。
本発明におけるトナー母粒子の体積平均粒径は、好ましくは3〜12μm、より好ましくは5〜10μmの範囲である。ここで、体積平均粒径はマルチサイザー(コールター社製)等を用いて測定することが出来る。
トナー母粒子の形状は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000を用いて測定した50%円形度が、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.92以上、更に好ましくは0.94以上である。50%円形度が0.90未満の場合は、後述する外添剤の付着不良による帯電悪化から画像濃度の低下を引き起こす場合がある。また、該50%円形度は、0.98以下であることが望ましい。50%円形度が0.98を超えるとクリーニング不良となる場合がある。50%円形度が前記範囲のトナー母粒子を得る方法としては、乳化重合凝集法によると好適に得ることができる。
トナー母粒子のSpは、低エネルギー定着のために150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましい。また、耐高温オフセット性、耐久性の点で該Spは、80℃以上、が好ましく、100℃以上がより好ましい。
また、トナー母粒子のDSC法による吸熱最大点温度は、好ましくは55℃以上、より好ましくは60℃以上であり、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下であることが望ましい。吸熱最大点温度が上記範囲未満であるとトナーの保存安定性が悪くなり、又、上記範囲を超えると、定着温度が高くなりすぎたり、OHP透明性の悪化が問題
となる。尚、トナー母粒子のDSC法による吸熱最大点温度は示差走査熱量計(セイコー電子社製DSC−2200)において、トナー母粒子サンプルを一旦、30℃から昇温速度10
℃/分の速度で210℃まで加温した後、降温速度20℃/分の速度で30℃まで冷却し、再度、昇温速度10℃/分で加温した際、最大吸収ピークより求めることが出来る。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、トナー母粒子と外添剤および/又は帯電制御剤を混合によって外添する方法に特徴を有する。
すなわち、本発明は、少なくともトナー母粒子および外添剤および/又は帯電制御剤を、攪拌羽根を有する混合装置により混合し、かつ、該混合装置内温の最大上昇速度をA(℃/分)、連続混合時間をB(分)としたときに、A×Bの値が30以上、好ましくは50以上、より好ましくは80以上の条件で混合する。A×Bの値が30以上の条件で混合することにより、得られる静電荷像現像用トナーの流動性および帯電安定性が向上するため、画像特性が良好となるとともに、トナー消費量が抑制される。A×Bの値が前記範囲となるように混合を行えば、強力かつ効率よく混合することができるので、凝集した外添剤を解砕する効果が増すとともに、混合機内部においてトナー母粒子と外添剤とが均一に分散される。このため、解砕された外添剤および/又は帯電制御剤をトナー母粒子表面に均一に付着させることが出来るものと考えられる。A×Bの値の上限は限定されないが、通常200以下、好ましくは160以下、より好ましくは130以下の条件で混合することが望ましい。A×Bの値が上記範囲を超える場合は、トナー母粒子が軟化して変形する場合や、トナー母粒子表面に付着した外添剤及び/又は帯電制御剤が母粒子中に埋まり込む場合があり、さらにトナーが混合装置の内壁に融着する場合がある。
ここで、混合装置内温の最大上昇速度Aは、以下の値とする。先ず、混合装置の内温を混合開始から15秒毎に測定する。内温が15秒毎に何℃上昇したか前記測定結果を元に計算する。一番上昇が大きかった値(℃)を時間で割り、最大上昇速度A(℃/分)とする。
本発明の製造方法において、混合装置内温の最大上昇速度Aの下限は、9℃/分以上、好ましくは10℃/分以上、より好ましくは15℃/分以上、更に好ましくは18℃/分以上であることが望ましい。混合装置内温の最大上昇速度Aが上記範囲未満となる場合、得られる静電荷像現像用トナーの帯電性は不安定であり、混合処理に長時間を要し、エネルギー効率は悪い。一方、混合装置内温の最大上昇速度Aの上限は、60℃/分以下、好ましくは50℃/分以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは35以下が望ましい。混合装置内温の最大上昇速度Aが上記範囲を超える場合は、急激な温度上昇によって製造条件の制御が困難な傾向にある上、トナー母粒子への外添剤の付着が不均一となり、トナーの帯電性が悪化する場合がある。
本発明の製造方法において、連続混合時間B(分)は好ましくは3分以上、より好ましくは4分以上、更に好ましくは5分以上、であることが望ましい。連続混合時間が上記範囲未満の場合、外添剤及び/又は帯電制御剤のトナー母粒子表面への固着が不十分であり、得られる静電荷像現像用トナーの帯電性は安定しない傾向にある。
連続混合時間(B)の上限は限定されないが、通常40分以下、より好ましくは30分以下、更に好ましくは20分以下であることが望ましい。連続混合時間(B)が上記範囲を超えると、トナー母粒子が軟化して変形する場合や、トナー母粒子表面に付着した外添剤及び/又は帯電制御剤が母粒子中に埋まり込む場合があり、さらにトナーが混合装置の内壁に融着する場合がある。連続混合時間を上記範囲にすることにより総外添時間が短縮できる上、適度な外添状態を形成することが出来る。
このとき、連続混合時間を上記範囲にする場合には混合機内の温度が上昇し、トナー同士の凝集・混合機内壁部等へのトナーの融着が発生しないよう注意する必要がある。しかし、例えば2分間攪拌の後に1分間休止するサイクルを繰り返し行う工程のように、装置
を休止する工程を挿んで混合機内温度を下げてコントロールする場合、外添工程に時間を長く必要とする、冷却・加温繰り返しによりトナー母粒子の劣化を促進させる、連続攪拌時間が短いため外添剤及び/又は帯電制御剤の固着強度が弱い、等の理由により好ましくない。
本発明において、混合装置の内温の上限はトナー母粒子のDSC法による吸熱最大点温度以下であり、好ましくはトナー母粒子のDSC法による吸熱最大点温度より7℃低い温度以下、更に好ましくはトナー母粒子のDSC法による吸熱最大点温度より12℃低い温度以下である。混合装置の内温がトナー母粒子のDSC法による吸熱最大点温度を越える場合には、トナー母粒子が軟化して変形する場合や、トナー母粒子表面に付着した外添剤および/又は帯電制御剤が母粒子中に埋まり込む場合があり、さらにトナーや外添剤及び/又は帯電制御剤が混合装置の内壁に融着する場合がある。このように温度調節するためには、攪拌条件や攪拌羽根の形状等によって達成することもできるが、混合装置内部を冷媒により冷却するなど、熱交換によって熱放出(冷却)することにより好適に達成することが出来る。
ここで、混合装置の内温の上昇とは、実質的に、混合室外からの熱供給によるものではなく、力学的作用、すなわち、混合装置に設けられた攪拌羽根の回転によってトナー母粒子、外添剤および/又は帯電制御剤および外添によって得られるトナーが高速攪拌され、これらの粒子同士或いは粒子と混合装置部材(壁面や撹拌羽根等)との間での摩擦や衝突によって生じる発熱に基づく温度上昇を意味する。
なお、本発明においては、混合室外から熱供給すること、または混合室外へ熱放出(冷却)することを排除するものではない。このような場合においても、その熱供給あるいは熱放出を行わない以外は同条件にて攪拌混合した場合に、混合装置の内温が前記の通りに上昇する工程を含むものであれば、力学的作用は同様なのであるから、本発明に含まれるものである。
しかし、本発明の製造方法は、前記の通り、混合する粒子に対して十分な攪拌(混合)動力を付与することができるので、混合室外からの熱供給は行わないことが望ましい。但し、例えば攪拌前の原料や装置の温度が低い場合(例えば20℃以下)に、予め原料の温度調節を行う等の場合は、熱供給を行ってもかまわない。
一方、熱放出(冷却)については、混合中に混合装置の内温が上昇し過ぎた場合等に、必要に応じて用いることが望ましい。例えば、混合装置内部あるいは外部から冷却する方法が挙げられる。具体的には、設置したジャケット内に通水して温度を制御する方法、冷風を当てる方法、ペルチェ素子を用いた冷却方法、ボルテックスチューブを用いた冷却方法等がある。
本発明において、混合装置の内温の測定は、実質的に混合中の粒子の温度が測定できるものであれば、その測定手段は限定されないが、通常、混合装置内壁から混合室へ突出した温度センサー、或いは撹拌羽根に取り付けられた温度センサーにより測定する。該温度センサーは、通常、攪拌羽根の回転しない時点では、静置した粒子に埋没する位置に設置することが望ましい。攪拌羽根の回転中は、該温度センサーは、攪拌されている粒子および装置内の気体に接することになるが、この温度をもって内温とする。また、該温度センサーで得られる値と同様の値が得られる手段であれば、他の方法、例えば、攪拌羽根の回転しない時点で静置した粒子に埋没しない位置に設置されたセンサーで測定することや、混合室に突出されず混合装置部材内部に設置されたセンサーで測定することや、非接触式の温度センサーで測定することによってもよい。
本発明において、混合装置の内温が前記の通りに上昇する工程を含むようにする手段は
限定されないが、混合装置の形状、攪拌羽根の形状、攪拌羽根の回転数や攪拌時間などの混合条件、投入する粒子の量、等を最適化することによって達成することができる。中でも、混合装置の形状を最適化することが、前記の通りに混合装置の内温を上昇させるために最も有効である。
本発明に用いる混合装置は、攪拌羽根を有するものであれば、その形状は限定されず、略縦型円筒状、略球状、ダブルコーン型などが例示される。中でも、略縦型円筒状または略球状であることが望ましく、特に、略球状であることが望ましい。また、装置の内壁は、表面粗度の小さな平滑面であることが望ましい。
該混合装置には、装置内壁に突出した固定部材が設けられていることが望ましい。装置内壁に突出した固定部材を設けることにより、攪拌羽根の回転によって高速攪拌された粒子同士或いは粒子と混合装置部材間での衝突機会が増えるため、混合装置の内温が前記の通りに上昇することが容易になるため望ましい。
ここで前記の略球形とは、真球形のものに限定されるものではなく、球形に近いものであればよく、例えば、底面や天面等が部分的に平面である場合や回転楕円体のように曲率の異なる面が連続した形状をも含むものである。中でも、撹拌羽根部分や原料投入口以外は真球形に近いものが望ましい。このように、混合装置の混合室を略球形とすることにより、撹拌羽根の回転によって遠心方向に放出されたトナー母粒子および外添剤が、装置内壁に沿って上昇して槽の頂部近傍または装置内壁に突出した固定部材に到達するので、粒子同士の衝突が効率的に行われ、攪拌されない粒子の滞留を防ぐとともに、混合室の内壁表面を粒子によってセルフクリーニングすることができるので好ましい。
以下に、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法において好ましく用いられる、略球形の混合装置について、図1を例に説明するが、本発明の実施の形態は図1のものに限定されるものではない。
混合室1は略球形の形状であり、ジャケット2によって形成される空間である。ジャケット2は、複数に分割可能な構造であってもよく、例えば上下で分割できる構造であってもよい。このようにジャケット2を分割可能な構造とすることにより、製品トナーの銘柄切り替え時等に洗浄操作が簡便になる。分割可能な構造の場合は、通常、ジャケット2の接続部にはフランジ3が設けられる。
また、ジャケット2は、その内部に熱源あるいは熱交換が可能な熱媒体を有することによって、混合する粒子を加熱又は冷却することができる。中でもジャケット2は熱媒体を流すことが可能なように設計されていることが好ましく、さらに加熱系と冷却系等の2系統以上を有していてもよい。
混合室1には、通常、トナー母粒子、外添剤および必要に応じて添加されるその他の原料を投入するための投入口4が設けられる。投入口4を設ける位置は、混合に供する各原料を混合室1に供給することが可能であれば限定されないが、通常、混合室1の上部に設けられる。また、投入口4は、混合時に混合室1の内壁が連続した曲面になるよう、開閉可能な遮蔽板が設けられていることが好ましく、該遮蔽板は混合室1の内壁との間に大きな段差が生じないように設けられることが望ましい。
混合室1には、通常、混合して得られたトナーを排出するための排出口5が設けられる。排出口5の位置は、トナーを混合室1から排出することが可能であれば限定されないが、通常、混合室1の下部または下方側面に設けられる。また、該排出口5は、混合が終了する前に各原料が排出されないよう、開閉可能な遮蔽板が設けられていることが好ましく、該遮蔽板は混合室1の内壁との間に大きな段差が生じないように設けられることが望ましい。さらに、攪拌羽根6を低速回転することによってトナーが排出されるように設計されていることが望ましい。
ジャケット2からは、混合室1に突出するように温度センサー7が設けられる。該温度センサー7は、通常、攪拌羽根6が回転せず粒子が静置した状態において、粒子に埋没する位置に設置される。また、これとは別に、攪拌羽根6が回転せず粒子が静置した状態において、粒子に接しない位置に別途設けることもできる。
混合室1は、内部を減圧または加圧可能なように圧力シールされているものであってもよい。混合室1の内部を減圧または加圧して用いる場合には、混合室1が減圧装置または加圧装置と接続可能なように設計され、その途中には必要に応じ、圧力遮蔽弁、圧力計等が設けられる。
混合室1の底部には、通常、その中心に垂直な駆動軸8が貫通し、外部の動力によって回転可能となっている。駆動軸8には攪拌羽根6が備わっている。攪拌羽根6の形状は、その回転によって粒子を混合室1の内壁に沿って上部に放出し得るものであれば限定されず、装置のスケール、混合する粒子の種類等によって最適化して用いることができる。攪拌羽根6の数も、装置の規模や形状に応じて2〜10枚程度で調整すればよい。
また、略円錐形などのボス9が配備され、その表面に攪拌羽根6を有するものであってもよい。ボス9の形状は略円錐形だけでなく、角錐形や、円錐の勾配を裾部分で緩やかにした形状、円錐に溝を彫った形状等であってもよい。ボス9の表面に設けられる攪拌羽根6の形状も、その回転によって粒子を混合室1の内壁に沿って上部に放出し得るものであれば限定されず、装置のスケール、混合する粒子の種類等によって最適化して用いることができる。中でも、ボス9の下端外周部に撹拌羽根6が設けられ、混合室1の球面状の内壁に沿った形状となっている場合が好ましい。さらに、攪拌羽根6とともに、ボス9の上部に補助羽根10が設けられている場合も好ましい。該補助羽根10は、1段とするだけではなく多段としても良い。攪拌羽根6および必要に応じ設けることのできる補助羽根10の数も、装置の規模や形状に応じて、それぞれ2〜10枚程度で調整すればよい。このように略円錐形のボス9を用い、その表面に攪拌羽根6を設けることにより、回転速度および回転トルクを上昇することが容易となり、粒子を効率的に攪拌することができるので、粒子に対して大きな物理的負荷を付与でき、処理量も多くすることができる。
混合室1の底部の形状は、攪拌羽根6の形状あるいはボス9の形状に合わせて、略球形の形状とは異なる形状とすることもでき、平面であってもよい。また、ボス9を用いる場合には、ボス9とボス9に接する混合室1の壁面(底部)との間隙が小さくなるように設計することが好ましく、該間隙に粒子が入らないような構造に設計することも好ましい。
さらに、混合室1の内壁には、該内壁から突出した固定部材11が設けられていることが好ましい。固定部材11が設けられていない場合には、攪拌羽根6の回転によって混合室1の上部に放出された粒子は、その移動速度を減速しつつ粒子同士が互いに衝突した後、混合室1の下部に落下することを繰り返すことになる。これに対し、固定部材11が設けられている場合には、粒子が高速度で固定部材11に衝突することとなる。この結果、トナー母粒子と外添剤との衝突機会が増すとともに、外添剤同士の凝集を解砕することができる。
固定部材11の固定位置、形状、大きさは限定されないが、混合室1内での粒子の全体的な循環を損なわず、攪拌されない粒子の滞留が生じないように設計することが望ましい。このため、固定部材11の位置は、混合室1の高さ中心よりも上部に設置されることが好ましい。図1のように、固定部材11が混合室1の内壁に鉛直方向に設置された場合においても、混合中の粒子は攪拌羽根6による回転作用によって混合室1の内壁に吹き上げられることになるので、固定部材11に衝突することになる。固定部材11の位置としては、図1のように混合室1の内壁に取り付ける場合のほか、図2のように、投入口4の壁面を混合室1の内部に突出させ、該投入口4の突出部に設置することもできる。
更に滞留部分が生じにくい形状が望ましい。
加えて、固定部材の大きさは、混合室内に入る大きさであれば良いが、大きすぎると滞留部分が生じるため、混合装置内壁の表面積100%に対して、20%以下であることが望ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法に用いる混合装置としては、略球状の混合装置である三井鉱山社製Qミキサーの内壁に、固定部材を設けたものを好適に用いることができる。
本発明において、混合装置に投入する粒子の量は限定されないが、混合装置の内容積に対する投入する粒子の総かさ体積が、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、更に好ましくは15体積%以上であり、好ましくは60体積%以下、より好ましくは50体積%以下、更に好ましくは40体積%以下である。混合装置の内容積に対する粒子のかさ体積が5体積%未満の場合は、撹拌効率が悪く、粒子間の衝突が起きにくいため混合装置の内温上昇が不十分となる傾向にあり、60体積%を超える場合は、粒子が多過ぎるために分散不良を生じる傾向にある。
本発明において、攪拌羽根の回転周速は限定されず、装置の規模等によって適宜最適化するのが好ましい。なお、攪拌羽根の回転周速とは、攪拌羽根の回転軌跡としての最大速度を意味するものとする。
本発明で使用する外添剤としての固体微粒子は、各種無機または有機微粒子の中から適宜選択して使用することができる。
無機微粒子としては、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化タングステン、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化カルシウム等の各種炭化物、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ケイ素等の各種窒化物、ホウ化ジルコニウム等の各種ホウ化物、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化セリウム、シリカ、コロイダルシリカ等の各種酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の各種チタン酸化合物、リン酸カルシウム等のリン酸化合物、二硫化モリブデン等の硫化物、フッ化マグネシウム、フッ化炭素等のフッ化物、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の各種金属石鹸、タルク、ハイドロタルサイト、滑石、ベントナイト、各種カーボンブラックや導電性カーボンブラック、マグネタイト、フェライト等を用いることができる。有機微粒子としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂等の微粒子を用いることができる。また、固体微粒子は、前記の無機または有機微粒子の表面を、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シリコーンワニス、フッ素系シランカップリング剤、フッ素系シリコーンオイル、アミノ基や第4級アンモニウム塩基を有するカップリング剤等の処理剤によって疎水化などの表面処理が施されているものを使用することもでき、該処理剤は2種以上を併用することもできる。
これら固体微粒子の中では、特にシリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、各種カーボンブラックや導電性カーボンブラックが好適に使用される。また、外添微粒子は、前記の無機または有機微粒子の表面を、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シリコーンワニス、フッ素系シランカップリング剤、フッ素系シリコーンオイル、アミノ基や第4級アンモニウム塩基を有するカップリング剤等の処理剤によって疎水化などの表面処理が施されているものを使用することもできる。該処理剤は2種以上を併用することもできる。
前記の外添剤は、数平均粒径が通常0.001〜3μm、好ましくは0.005〜1μ
mであり、異なる粒径のものを複数配合することもできる。固体微粒子の平均粒径は電子顕微鏡観察やBET比表面積の値からの換算等により求めることができる。
また、前記の固体微粒子は、異なる2種以上を併用することもでき、表面処理されたものと表面処理されていないものを併用することや、異なる表面処理がされたものを併用することもでき、正帯電性のものと負帯電性のものを適宜組み合わせて使用することもできる。
外添剤の添加量は、トナー母粒子100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、更に好ましくは0.5重量部以上であり、好ましくは6重量部以下、より好ましくは5重量部以下、更に好ましくは4重量部以下であるのが望ましい。添加量が0.01重量部未満では、静電荷像現像用トナーとして用いたときに、流動性が悪化してトナー消費の不良等が発生することがあり、一方、4重量部を超えると、フィルミングによる画質不良や白斑が発生する場合がある。
本発明における帯電制御剤粒子としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフィニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩(フッ素変性四級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415やジルコニウム化合物のTN−105(以上、保土ヶ谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LPA−901、ホウ素錯体であるLR−146(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他のスルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
前記の帯電制御剤は、好ましくは結晶性化合物で、数平均粒径が通常0.001〜3μm、好ましくは0.005〜1μmであり、異なる粒径のものを複数配合することもできる。固体微粒子の平均粒径は電子顕微鏡観察やBET比表面積の値からの換算等により求めることができる。これら帯電制御剤粒子は帯電性の補強のために着色剤が含まれる樹脂粒子内部にあらかじめ入れておくことも出来る。
帯電制御剤の添加量はトナー母粒子100重量部に対し、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、更に好ましくは0.1重量部以上であり、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下、更に好ましくは0.5重量部以下であるのが望ましい。添加量が0.01重量部未満では、トナーの帯電性が安定せず、一方、2重量部を超えると、フィルミングによる画質不良や白斑が発生する場合がある。
本発明の静電荷像現像用トナーの外添工程としては、トナー母粒子と外添剤及び/又は帯電制御剤を前記混合装置に同時に投入して混合攪拌する方法、予め母粒子のみを攪拌した後に外添剤及び/又は帯電制御剤を投入する方法等があるが、好ましくは予め母粒子のみを攪拌した後に外添剤及び/又は帯電制御剤を投入する方法である。予め母粒子を分散させ且つ表面温度を上昇させておくことにより外添効率がよくなるからである。
こうして、本発明の製造方法により得られる静電荷像現像用トナーは、体積平均粒径(Dv)は好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上、更に好ましくは5μm以上
であり、好ましくは12μm以下、より好ましくは11μm以下、更に好ましくは10μm以下であるのが望ましい。体積平均粒径が3μm未満では粉体としての取り扱いが困難な傾向にあり、体積平均粒径が10μmを超えると高解像度の画像形成に適さない場合がある。
また、静電荷像現像用トナーの粒度分布としてはシャープなものの方が粒子固体間の帯電性が均一になる傾向にあり、高画質及び高速化を達成するための静電荷像現像用トナーとして好ましい。具体的には、体積平均粒径(Dv)を個数平均粒径(Dn)で除した値(Dv/Dn)が、好ましくは1.0〜1.25、より好ましくは1.0〜1.20、更に好ましくは1.0〜1.1であり、1.0に近い方が望ましい。なお、静電荷像現像用トナーの粒子径を測定する方法としては、市販の粒子径測定装置を用いることができるが、精密粒度分布測定装置コールター・カウンター、マルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)が好適に用いられる。
また、本発明の製造方法で得られる静電荷像現像用トナーは、粒径0.6〜2.12μm粒子の含有率が、好ましくは全トナー粒子数の15個数%以下、より好ましくは10個数%以下、更に好ましくは5個数%以下であることが望ましい。これは、微粉が一定量より少ないことを意味しているが、微粉が少ない場合にはトナーの流動性が向上し、かつ帯電性が均一となる傾向にある。尚、静電荷像現像用トナーの微粉の含有量を測定する方法としては粒子像分析装置を用いることが出来るが、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(シスメックス社製)等が好適に用いられる。
また、本発明の製造方法で得られる静電荷像現像用トナーは、コールターカウンターにより測定した粒径25μm以上の体積分率が、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.1%以下、特に好ましくは0.05%以下であることが望ましい。さらに、粒径15μm以上の体積分率が、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.1%以下であることが望ましい。これは、粗粉が一定量より少ないことを意味しているが、粗粉が少ない場合には連続現像の際のトナーの消費量が少なく、画質が安定する傾向にある。
また、静電荷像現像用トナーの形状は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000を用いて測定した50%円形度が、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.92以上、更に好ましくは0.94以上であり、好ましくは0.98以下、より好ましくは0.96以下である。50%円形度が0.90未満の場合は、帯電不良による消費量増加、画像濃度の低下を引き起こす場合があり、0.98を超えるとクリーニング不良となる場合がある。このような50%円形度のトナーを得る方法は限定されないが、前記の乳化重合凝集法により製造されることが好ましい。
また、本発明における静電荷像現像用トナーのTHF可溶分のGPCにおけるピーク分子量(Mp)のうち少なくとも1つが、好ましくは3000以上、より好ましくは1万以上、さらに好ましくは3万以上であり、好ましくは10万以下、より好ましくは8万以下、さらに好ましくは7万以下に存在することが望ましい。ピーク分子量が3000未満の場合、高温側のオフセット性が悪くなり、10万を超える場合には低温側のオフセット性が悪くなる。スチレン系樹脂の数平均分子量、重量平均分子量およびピーク分子量が前記範囲にある場合、トナーの耐久性、保存性、定着性が良好となるため望ましい。ここで、GPCにおける前記の値は、ポリスチレン換算した値を用いるものとし、測定に際しては溶媒に不溶の成分を除くものとする。
また、本発明における静電荷像現像用トナーのSpは、低エネルギー定着のために150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましい。また、耐高温オフセット性、耐久性
の点で該Spは80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。ここで該Spは、フローテスター(島津製作所社製CFT−500)において、試料1.0gをノズル1mm×10mm、荷重30kg、予熱時間50℃で5分、昇温速度3℃/分の条件下で測定を行ったときの、フロー開始から終了までのストランドの中間点での温度として求めることができる。また、本発明における静電荷像現像用トナーのTgは、低エネルギー定着のため80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましい。又耐ブロッキングのため40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。
本発明で用いるトナーのSpは、バインダー樹脂の種類および組成比に大きく影響を受けるため、これを適宜最適化することにより調整することができるが、更には、バインダー樹脂の分子量、ゲル分、ワックス等の低融点成分の種類および配合量によっても調整することが出来る。また、本発明のトナーのSpを前記範囲とするために使用するバインダー樹脂は、市販の樹脂の中から適宜選択して使用することが出来る。
また、本発明の製造方法で得られる静電荷像現像用トナーの帯電特性は、負帯電性であっても正帯電性であっても良く、用いる画像形成装置の方式に応じて設定することができる。なお、トナーの帯電特性は、帯電制御剤などのトナー母粒子構成物の選択および組成比、外添剤の選択および組成比等により調整することができる。
本発明の製造方法で得られる静電荷像現像用トナーは、トナーを磁力により静電潜像部に搬送するためのキャリアとしてのフェライト、マグネタイト等の磁性粉を共存させた磁性二成分現像剤用、または、それらの磁性粉をトナー中に含有させた磁性一成分現像剤用、或いは、現像剤に磁性粉を用いない非磁性一成分現像剤用の何れに用いてもよいが、本発明の効果を顕著に発現するためには、特に非磁性の現像剤として用いるのが好ましい。本発明で得られるトナーは、外添剤がトナー母粒子に均一かつ強固に付着しているため、帯電時にブレード等との接触による負荷がかかる非磁性一成分現像剤用のトナーとして好適に用いることができる。
また、本発明の製造方法で得られる静電荷像現像用トナーは、黒色トナー用、カラートナー用、フルカラートナー用の何れにも好適に用いることができる。
なお、前記磁性二成分現像剤として用いる場合には、トナーと混合して現像剤を形成するキャリアとしては、公知の鉄粉系、フェライト系、マグネタイト系キャリア等の磁性物質または、それらの表面に樹脂コーティングを施したものや磁性樹脂キャリアを用いることができる。キャリアの被覆樹脂としては、一般的に知られているスチレン系樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等が利用できるが、これらに限定されるものではない。キャリアの平均粒径は、特に制限はないが10〜200μmの平均粒径を有するものが好ましい。これらのキャリアは、トナー1重量部に対して5〜100重量部使用する事が好ましい。
本発明の製造方法で得られる静電荷像現像用トナーを用いた画像形成は、常法により実施することができる。具体的には、例えば帯電装置、露光手段、感光体上に現像剤を供給する現像機、および定着装置を備えた画像形成装置等を用いて、感光体を均一帯電し、静電潜像を形成(潜像形成工程)し、トナーにより現像(現像工程)し転写する工程で得られた未定着像を定着装置で定着させることにより、所望の画像を形成する。
また、本発明の製造方法で得られる静電荷像現像用トナーを用いる画像形成方法において、現像方法には制限は無く、接触現像であっても非接触現像であっても良い。感光体の構造には制限は無く、ベルト式であってもドラム式であっても良い。また、感光体の材質にも制限は無く、無機化合物であっても有機化合物であっても良いが、有機感光体であることが好ましい。非磁性一成分方式の画像形成装置を用いる場合、現像装置は、通常、トナー供給ローラ、層厚規制部材、現像ローラ、トナー攪拌部材等から選択される部材およ
び本発明のトナー等から構成され、カートリッジ式であるものが好適に使用できる。
本発明の製造方法で得られる静電荷像現像用トナーを用いる画像形成方法において、転写方法には制限は無く、中間転写部材を用いてもよい。また、定着方法にも制限は無いが、熱圧着方式による定着が好ましい。
以上の通り、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法によれば、トナー母粒子に対して外添剤及び又は帯電制御剤を効率よく被覆することができ、また、得られた静電荷像現像用トナーは、トナー粒子表面での外添剤及び又は帯電制御剤の付着が安定しており、トナーの流動性、帯電安定性が良好なため、連続印刷した場合においても現像性能、定着性能の低下が少ないとともに、耐ブロッキング性も良好であるという、優れた品質を有するものである。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の例で「部」とあるのは「重量部」を意味する。また、実写試験は以下の方法により行った。
<重合体一次粒子分散液Aの製造>
攪拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・添加剤仕込み装置を備えた反応器に、以下のポリラクトン分散液A、ワックス分散液A、及び脱塩水を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温した。
ポリラクトン分散液A 20部
ワックス分散液A 1部
脱塩水 365部
次いで、反応器の温度を90℃に保持したまま、以下のモノマー類、乳化剤水溶液、及び重合開始剤等からなる混合物を5時間かけて加え、前記ポリラクトン粒子及びワックス粒子をシードとして乳化共重合させた。
[モノマー類]
スチレン 79部
アクリル酸ブチル 21部
アクリル酸 3部
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 1部
トリクロロブロモメタン(連鎖移動剤) 1.3部
[乳化剤水溶液]
10%乳化剤(ネオゲンSC)水溶液 12部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 43部
8%アスコルビン酸水溶液 43部
その後、冷却することにより、スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸系共重合体の一次粒子分散液Aを得た。日機装社製マイクロトラックUPAにて計測した粒子の体積平均粒径は、0.26μmであった。
<着色剤分散液Aの調製>
ピグメントブルー15:3(クラリアントジャパン社製、Hostaperm Blue B2G)20部、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンSC)1部、非イオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ノイゲンEA80)5部、水80部をサンドグラインダーミルで分散して黒色の着色剤分散液Aを得た。マイクロトラックUPAにて計測した粒子の体積平均径は0.15μmであった。
<トナー母粒子Aの製造>
上記で得られた重合体一次粒子分散液Aの100部に着色剤分散液Aの6部を加え、ディスパーザーで分散攪拌しながら、硫酸アルミニウム水溶液(一次粒子分散液A100部に対して固形分として0.5部)を滴下し、攪拌下に30分かけて50℃に昇温して1時間保持し、更に、攪拌下に52℃に昇温することにより凝集工程を行った。一次粒子凝集体としての体積平均粒径が約7μmとなった時点で、ネオゲンSC水溶液(一次粒子分散液A100部に対して固形分として3部)を添加して凝集工程を終了し、引き続き攪拌下に50分かけて97℃に昇温して1.5時間保持して熟成工程を行った。その後、冷却、濾過、水洗、乾燥することにより、一次粒子凝集・熟成体としてシアントナー母粒子Aを得た。
シアントナー母粒子AのSpは130℃、コールターカウンターで測定したトナーの体積平均粒径は7.1μm(変動係数25%)、25μm以上の体積分率は0.01%であ
った。ま
た、形状はフロー式粒子像分析装置FPIA−2000で測定すると50%円形度が0.96であった。更に、DSC法による吸熱最大点温度は65℃であった。
<トナー母粒子B>
ポリエステル樹脂 FC1198(三菱レイヨン(株)製) 100重量部
着色剤 Pigment Blue 15:3 8重量部
帯電制御剤 E84(オリエント化学(株)製) 2重量部
ワックス ユーメックス100TS(三洋化成(株)製) 3重量部
以上の材料を混合機で混合した後、二軸混練機(池貝鉄工製PCM−30)で混練し、ジェットミルで粉砕、分級を経てシアントナー母粒子Bを得た。
シアントナー母粒子Bの軟化点は139℃、ガラス転移点は65.7℃、コールターカウンターで測定したトナーの体積平均粒径は8.0μm、25μm以上の体積分率は0.00
%であった
。また、形状はフロー式粒子像分析装置FPIA−2000で測定すると50%円形度が0.92であった。更にDSC法による吸熱最大点温度は63℃であった。
<実施例1>
Qミキサー(三井鉱山社製)の内壁に、固定部材A(固定部材の表面積の割合1.6%、壁面に対して鉛直方向取付)を設けた混合装置(図1に概略図を示す)に、シアントナー母粒子A100部、シリコーンオイルで疎水化処理された平均一次粒径0.04μmのシリカ微粒子2.0部と、シリコーンオイルで疎水化処理された平均一次粒径0.012μmのシリカ微粒子1.5部を添加後攪拌した。混合装置の内容積に対する粒子のかさ体積の合計は、25体積%とした。この時点でトナー母粒子Aおよびシリカの温度は23℃であった。攪拌羽根の回転周速100m/sで混合を開始した。混合時間4分以降は回転数を87m/sに下げ、内温が50℃以上にならないように混合した。混合室の内温は図3の通りに推移し、6分間の運転の後、静電荷像現像用トナーを得た。なお、混合に際しては、混合装置のジャケットは18℃の水を通水した。装置内温の最高温度は49℃であり、最大上昇速度は20℃/分であった。
以下の方法で評価した画像濃度(ID)およびトナー消費量の結果を表1に示す。
[画像濃度(ID)]
上記で得られたトナーを、有機光導電体(OPC)感光体を有する非磁性一成分方式のフルカラープリンタに装着して単色画像の実写を行い、下記の方法に従って画像評価を行った。評価は、印刷初期(5枚目)画像で判断した。
ベタソリッド部のある画像パターンにて印字されたベタ部を日本平板機材社製X−lite936(光源C2、Aレスポンス)で測定した。評価基準は次の通りである。
◎ :1.4以上(非常に良好)
○:1.2以上 1.4未満(良好)
△:1.0以上 1.2未満(使用可能)
×:1.0未満(使用に支障あり)
[トナー消費量]
画像濃度の評価と同様にして印字を行い、6,000枚印刷した後、以下の基準で消費量を評価した。
◎ :30g/kp未満 (非常に良好)
○:36g/kp未満 30g/kp以上(良好)
△:50g/kp未満 36g/kp以上(使用可能)
×: 50g/kp以上 (使用に支障あり)
<実施例2>
原料のうち、母粒子をトナー母粒子Bに変え、攪拌羽根の回転周速100m/sで混合を開始し、混合時間4分以降は回転周速を60m/sに下げ連続混合時間を5分間とした以外は実施例1と同様の条件で混合を行い、静電荷像現像用トナーを得た。なお、混合に際しては原料を投入した時点でトナー母粒子B及びシリカの温度は26℃であった。混合装置のジャケットは18℃の水を通水した。装置内温の最高温度は55℃であり、最大上昇速度は24℃/分であった。
実施例1と同様の方法で評価した画像濃度(ID)およびトナー消費量の結果を表1に示す。
<比較例1>
ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)の内壁に、固定部材B(表面積1.2%、横壁面に対
して鉛直方向)を設けた混合装置に、実施例2と同様の原料を投入した。混合装置の内容
積に対する粒子のかさ体積の合計は、42体積%とした。この時点でトナー母粒子B及びシリカの温度は26℃であった。攪拌羽根の回転周速を60m/sで混合を行った。15分間の運転の後、静電荷像現像用トナーを得た。なお、混合に際しては、混合装置のジャケットは18℃の水を通水した。装置内温の最高温度は50℃であり、最大上昇速度は6℃/分であった。実施例1と同様の方法で評価した画像濃度(ID)およびトナー消費量の結果を表1に示す。
<比較例2>
原料のうち、母粒子をトナー母粒子Aに変え、攪拌羽根の回転周速80m/sとし連続混合時間を5分間とした以外は比較例1と同様の条件で混合を行い、静電荷像現像用トナーを得た。なお、混合に際しては原料を投入した時点でトナー母粒子A及びシリカの温度は26℃であった。混合装置のジャケットは18℃の水を通水した。装置内温の最高温度は57℃であり、最大上昇速度は7℃/分であった。
実施例1と同様の方法で評価した画像濃度(ID)およびトナー消費量の結果を表1に示す。
<比較例3>
攪拌羽根の回転周速60m/sとし連続混合時間を15分間とした以外は比較例2と同様の条件で混合を行い、静電荷像現像用トナーを得た。なお、混合に際しては原料を投入した時点でトナー母粒子A及びシリカの温度は26℃であった。混合装置のジャケットは18℃の水を通水した。装置内温の最高温度は45℃であり、最大上昇速度は4℃/分であった。実施例1と同様の方法で評価した画像濃度(ID)およびトナー消費量の結果を表1に示す。
<比較例4>
連続混合時間を13分とした以外は比較例3と同様の条件で混合を行い静電荷像現像用トナーを得た。なお、混合に際しては原料を投入した時点でトナー母粒子A及びシリカの温度は26℃であった。混合装置のジャケットは通水を行わなかった。装置内温の最高温度は47℃であり、最大上昇速度は5℃/分であった。実施例1と同様の方法で評価した画像濃度(ID)およびトナー消費量の結果を表1に示す。
<比較例5>
連続混合時間を4分とした以外は比較例4と同様の条件で混合を行い静電荷像現像用トナーを得た。なお、混合に際しては原料を投入した時点でトナー母粒子A及びシリカの温度は26℃であった。混合装置のジャケットは45℃の温水を通水した。装置内温の最高温度は57℃であり、最大上昇速度は8℃/分であった。実施例1と同様の方法で評価した画像濃度(ID)およびトナー消費量の結果を表1に示す。
参考例1
固定部材を設けず、攪拌羽根の回転周速100m/sで連続混合時間を4分間とした以外は実施例1と同様の条件で混合を行い、静電荷像現像用トナーを得た。なお、混合に際しては原料を投入した時点でトナー母粒子A及びシリカの温度は23℃であった。混合に際しては、混合装置のジャケットは18℃の水を通水した。装置内温の最高温度は40℃であり、最大上昇速度は9℃/分であった。
実施例1と同様の方法で評価した画像濃度(ID)およびトナー消費量の結果を表1に示す。
<実施例
混合装置のジャケットの通水を行わなかった以外は実施例1と同様の条件で混合を行い、静電荷像現像用トナーを得た。なお、混合に際しては原料を投入した時点でトナー母粒子A及びシリカの温度は23℃であった。装置内温の最高温度は60℃であり、最大上昇速度は20℃/分であった。
実施例1と同様の方法で評価した画像濃度(ID)およびトナー消費量の結果を表1に示す。
<比較例6>
攪拌羽根の回転周速100m/sで連続混合時間を1分間とした以外は実施例1と同様の条件で混合を行い、静電荷像現像用トナーを得た。なお、混合に際しては原料を投入した時点でトナー母粒子A及びシリカの温度は23℃であった。混合に際しては、混合装置のジャケットは18℃の水を通水した。装置内温の最高温度は38℃であり、最大上昇速度は20℃/分であった。
実施例1と同様の方法で評価した画像濃度(ID)およびトナー消費量の結果を表1に示す。
<比較例7>
攪拌羽根の回転周速を80m/sとし、連続混合時間を8分とした以外は比較例1と同様の条件にて混合を行った。なお、混合に際しては、混合装置のジャケットは18℃の水を通水した。しかし、混合後、混合装置内にはトナーの塊が生成し、性能評価を行うことが出来なかった。
<比較例8>
攪拌羽根の回転周速を40m/sとし、20分間の運転とした以外は比較例4と同様の条件にて外添処理を行った。装置内温の最高温度は35℃であり、最大上昇速度は1℃/分以下であった。実施例1と同様の方法で評価した画像濃度(ID)およびトナー消費量の結果を表1に示す。
Figure 0004525549
本発明に用いる混合装置の概念図である。 本発明に用いる混合装置の概念図である。 実施例1における混合中の装置内温の変化を示す図である。
符号の説明
1 混合室
2 ジャケット
3 フランジ
4 投入口
5 排出口
6 攪拌羽根
7 温度センサー
8 駆動軸
9 ボス
10 補助羽根
11 固定部材

Claims (4)

  1. バインダー樹脂および着色剤を含有するトナー母粒子に外添剤及び/又は帯電制御剤を混合する静電荷像現像用トナーの製造方法において、該混合が攪拌羽根を有し、混合装置の内壁に突出した固定部材が設けられている混合装置によりなされ、かつ、該混合装置の内温上昇が外部からの熱供給によらず、混合装置内温の最大上昇速度をA(℃/分)、連続混合時間をB(分)としたときに、(1)30≦A×B(2)9≦A≦60及び(3)3≦B≦40を満たし、且つ、混合装置の内温が、トナー母粒子のDSCによる吸熱最大点温度より上昇しない条件で混合することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 混合装置の内温上昇を抑制することを特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 混合装置の内壁に突出した固定部材の表面積の割合が、装置内壁の表面積100%に対し、0.1〜20%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. トナー母粒子のDSCによる吸熱最大点温度が55〜100℃であることを特徴とする請求項1乃至に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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