JP4524968B2 - 空調機器駆動装置およびそれを用いた車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気通路開閉用ドア等の空調機器を駆動する空調機器駆動装置およびそれを用いた車両用空調装置に関するもので、車室内への吹出温度を制御する温度制御手段の操作位置と連動して吹出モードの切替を行う車両用空調装置に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置においては、内外気切替ドア、温度制御手段(エアミックスドア、温水弁等)、および吹出モードドアを備えており、これらの機器を手動操作機構またはモータアクチュエータによりそれぞれ独立に操作するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、車両用空調装置では乗員による操作性向上のために、スイッチ操作にてモータアクチュエータを作動させて上記各機器を軽快に操作できるようにしたものが増加している。このようなものでは、内外気切替、温度制御および吹出モード切替のためにそれぞれ専用のモータアクチュエータを必要とし、コストアップを招く。
【0004】
そこで、本発明者らは、モータアクチュエータの数を減らすために、温度制御と吹出モードの切替とを1つのモータアクチュエータにて行うことを検討してみた。すなわち、吹出モードの切替が温度制御手段の操作位置と相関があることに着目して、温度制御手段の操作位置が低温側位置(最大冷房側)から高温側位置(最大暖房側)へと移行するにつれて、吹出モードをフェイスモード、バイレベルモード、フットモードと順次切り替えることにより、温度制御と吹出モードの切替とを1つのモータアクチュエータにより行うものを開発中である。
【0005】
本発明は上記のように空気通路開閉用ドア等の複数の空調機器を1つのモータアクチュエータにより駆動する装置において、モータアクチュエータの操作力を複数の空調機器に伝達するリンク機構の簡素化を図ることを目的とする。
【0006】
また、本発明は、モータアクチュエータにより駆動される1つの分配リンクに、第1空調機器および第2空調機器の駆動用の第1、第2カム溝を設けるに際して、この第1、第2カム溝形成の自由度を高くすることを目的とする。
【0007】
また、本発明は、モータアクチュエータの必要作動トルクの増大を抑制することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、モータアクチュエータ(28)の操作力により回転する分配リンク(30)の同一面側に、溝深さの大きい第1カム溝(31)と溝深さの小さい第2カム溝(32)とを設け、第2カム溝(32)は複数のカム溝(32a、32b)からなり、複数のカム溝(32a、32b)は分配リンク(30)の回転方向において互いに異なる位置で第1カム溝(31)と交差するようになっており、
第1カム溝(31)に第1ピン(33)を摺動可能に嵌合するとともに、第1ピン(33)を、第1空調機器(16)の駆動用リンク部材(34)に設け、第2カム溝(32)の複数のカム溝(32a、32b)にそれぞれ第2ピン(38a、38b)を摺動可能に嵌合し、複数の第2ピン(38a、38b)を第2空調機器(20、23、26)の駆動用リンク部材(39)に設けたことを特徴とする。
【0013】
これによると、1つの分配リンク(30)の回転により第1ピン(33)および第2ピン(38a、38b)が変位して、第1空調機器(16)および第2空調機器(20、23、26)の駆動用リンク部材(34、39)を作動させることができる。
【0014】
しかも、分配リンク(30)の同一面側に第1、第2カム溝(31、32)を設けているから、第1、第2ピン(33、38a、38b)もすべて分配リンク(30)の同一面側に配置できる。
【0015】
これにより、空気通路開閉用ドア等の複数の空調機器(16、20、23、26)を1つのモータアクチュエータ(28)により駆動するためのリンク機構を簡素化できる。
【0016】
更に、請求項1に記載の発明によると、溝深さの小さい第2カム溝(32)を複数のカム溝(32a、32b)から構成し、この複数のカム溝(32a、32b)にそれぞれ第2ピン(38a、38b)を摺動可能に嵌合し、複数のカム溝(32a、32b)が分配リンク(30)の回転方向において互いに異なる位置で第1カム溝(31)と部分的に交差するようになっているから、第2カム溝(32)の複数のカム溝(32a、32b)が第1カム溝(31)と交差する形状であっても、複数のカム溝(32a、32b)と複数の第2ピン(38a、38b)との嵌合部のいずれか一方から第2空調機器(20、23、26)の駆動用リンク部材(39)に絶えず、操作力を伝達して第2空調機器(20、23、26)を確実に操作できる。
【0017】
従って、分配リンク(30)の同一面側に第1、第2カム溝(31、32)を設ける構成において、第2カム溝(32)の複数のカム溝(32a、32b)と第1カム溝(31)とが交差する形状にできること、すなわち、溝形状設定の自由度を向上できる効果を発揮できる。
【0018】
請求項2に記載の発明では、請求項1において、分配リンク(30)の作動角変化に対して第1ピン(33)および複数の第2ピン(38a、38b)の変位を停止させるアイドル部(310、320)を第1カム溝(31)および第2カム溝(32)の複数のカム溝(32a、32b)にそれぞれ設けたことを特徴とする。
【0019】
これにより、分配リンク(30)自身にアイドル機能を持たせることができるので、駆動用リンク部材(34、39)側にアイドル機構を設ける必要がない。
【0020】
請求項3に記載の発明では、請求項2において、分配リンク(30)の回転により第1ピン(33)および第2ピン(38)が交互に変位するように、第1カム溝(31)および第2カム溝(32)のアイドル部(310、320)を構成したことを特徴とする。
【0021】
これにより、第1、第2空調機器(16、20、23、26)を1つのモータアクチュエータ(28)により交互に駆動するので、モータアクチュエータの必要作動トルクの増大を抑制できる。
【0022】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の空調機器駆動装置と、車室内の各部へ空気を吹き出す複数の吹出開口部(19、22、24)とを備え、第1空調機器として車室内への吹出温度を制御する温度制御手段(16)を備え、また、第2空調機器として複数の吹出開口部(19、22、24)を開閉する複数の吹出モードドア(20、23、26)を備え、モータアクチュエータ(28)により温度制御手段(16)および吹出モードドア(20、23、26)を駆動する車両用空調装置を特徴としている。
【0023】
このように、本発明は、具体的には、車両用空調装置における温度制御手段(16)と複数の吹出モードドア(20、23、26)の駆動機構として好適に実施できるものである。
【0024】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態による車両用空調装置の空調ユニット部の断面図であり、本実施形態の空調装置はいわゆるセミセンター置きレイアウトのものであって、車室内前方の計器盤内部のうち車両左右方向の略中央部に空調ユニット10を配置している。図1の矢印は車両の上下、前後方向に対する、空調ユニット10の搭載方向を示している。
【0026】
そして、この空調ユニット10に空調空気を送風する送風機ユニット(図示せず)が空調ユニット10側方(助手席側)にオフセット配置されている。この送風機ユニットは、周知のごとく内気または外気を切替導入する内外気切替箱と、この内外気切替箱から吸入した空気(内気または外気)を空調ユニット10に向けて送風する遠心式の電動送風ファンとを備えている。
【0027】
空調ユニット10は樹脂製の空調ケース11を有し、この空調ケース11の内部に、送風空気が熱交換器12、13を通過して車両前方側から車両後方側へ向かって流れる空気通路を形成している。
【0028】
空調ケース11内の空気通路において、車両前方側に蒸発器12が配置され、車両後方側にヒータコア13が配置されている。蒸発器12は周知のごとく冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空調空気から吸熱して空調空気を冷却する冷房用熱交換器である。ヒータコア13は車両エンジンの温水(冷却水)を熱源流体として空調空気を加熱する暖房用熱交換器である。空調ケース11において、最も車両前方側(蒸発器12の前方位置)で、かつ、助手席側の側面部には図示しない送風機ユニットからの送風空気が流入する空気入口部14が形成してある。
【0029】
ヒータコア13の上方部に冷風バイパス通路15を形成し、そして、蒸発器12の直ぐ下流側(車両後方側)には板状のエアミックスドア16が回転軸16aを中心として回転可能に配置されている。このエアミックスドア16は冷風バイパス通路15を通過する冷風とヒータコア13のコア部13aを通過する温風との風量割合を調整して車室内への吹出空気温度を所望温度に調整できるもので、吹出空気温度の温度制御手段を構成する。
【0030】
ヒータコア13直後の部位には上方に向かう温風通路17が形成され、この温風通路17からの温風と冷風バイパス通路15からの冷風が空気混合部18で混合される。
【0031】
空調ケース11の空気通路下流側には複数の吹出開口部が形成されており、この吹出開口部のうち、デフロスタ開口部19は空調ケース11の上面部において車両前後方向の略中央部位で、空調ケース11内部に開口している。そして、このデフロスタ開口部19は図示しないデフロスタダクトを介して車両窓ガラスの内面に向けて空調空気を吹き出すようになっている。デフロスタ開口部19は回転軸20aを中心として回転可能な板状のデフロスタドア20により開閉される。
【0032】
次に、フェイス開口部22は空調ケース11の上面部において、デフロスタ開口部19よりも車両後方側の部位に開口している。このフェイス開口部22は、図示しないフェイスダクトを介して車室内の乗員頭部へ向けて空気を吹き出すようになっている。フェイス開口部22は回転軸23aを中心として回転可能な板状のフェイスドア23により開閉される。
【0033】
次に、フット開口部24は空調ケース11において、フェイス開口部22の下方側に開口しており、フット開口部24の下流側は空調ケース11の左右両側に配置されたフット吹出口25に連通し、このフット吹出口25から乗員の足元部に温風を吹き出すようになっている。フット開口部24は回転軸26aを中心として回転可能な板状のフットドア26により開閉される。
【0034】
なお、図1の例では、上記各開口部19、22、24をそれぞれ専用の計3枚のドア20、23、26により開閉する構成としているが、周知のごとくデフロスタ開口部19とフェイス開口部22を共通の1枚のドアにより切替開閉したり、フェイス開口部22とフット開口部24を共通の1枚のドアにより切替開閉するようにしても良い。
【0035】
空調ユニット10において、エアミックスドア16の回転軸16a、デフロスタドア20の回転軸20a、フェイスドア23の回転軸23a、およびフットドア26の回転軸26aの一端部は空調ケース11の外部に突出させ、この各回転軸16a、20a、26aの一端部をリンク機構27を介して共通のモータアクチュエータ28の出力軸28aに連結している。これにより、1つのモータアクチュエータ28にて温度制御用のエアミックスドア16と、吹出モード切替用のドア20、23、26の両方を開閉するようになっている。ここで、モータアクチュエータ28は直流モータで構成することができる。
【0036】
次に、図2、図3は、上記リンク機構27およびモータアクチュエータ28を包含するドア駆動機構の具体例を示すものであり、このドア駆動機構は空調ユニット10の空調ケース11において車両左右(幅)方向の側面に装着される。モータアクチュエータ28は空調ケース11の側面上に支持固定され、モータアクチュエータ28の出力軸28aに板状部材からなる分配リンク30が一体に回転するように連結されている。
【0037】
そして、分配リンク30の表面側と裏両側に分けて第1、第2カム溝(分配溝)31、32が形成してある。すなわち、分配リンク30の表面側(図2の紙面手前側)には温度制御用(エアミックス用)の第1カム溝31を形成し、分配リンク30の裏面側(図2の紙面奥側)に吹出モード用の第2カム溝32を形成している。
【0038】
第1カム溝31内に第1ピン33が摺動可能に嵌入されている。この第1ピン33は中間リンクプレート34に一体に設けてある。この中間リンクプレート34は、分配リンク30の外周縁部を挟むようにコの字状(図3参照)の形状に形成され、回転軸35により空調ケース11の側面上に回転可能に支持されている。
【0039】
この中間リンクプレート34には連結ロッド36の一端部が回転可能に連結されており、そして、連結ロッド36の他端部はエアミックスドア16の駆動レバー37に回転可能に連結されている。駆動レバー37はエアミックスドア16の回転軸16aに一体に連結され、エアミックスドア16を回転駆動する。
【0040】
一方、第2カム溝32内に第2ピン38が摺動可能に嵌入されている。この第2ピン38は概略三角形状(図2参照)の板部材から形成された中間リンクプレート39に一体に設けてある。この中間リンクプレート39は回転軸40(図3参照)により空調ケース11の側面上に回転可能に支持されている。この中間リンクプレート39には連結ロッド41の一端部が回転可能に連結されており、そして、連結ロッド41の他端部は吹出モード用リンク42の表面側に回転可能に連結されている。
【0041】
吹出モード用リンク42は回転軸43を中心として回転するもので、吹出モード用リンク42の裏面側には3つのカム溝、すなわち、デフロスタ用カム溝44、フェイス用カム溝45、フット用カム溝46が形成されている。デフロスタ用カム溝44内にはデフロスタ用中間レバー47の第1ピン48が摺動可能に嵌入されており、この中間レバー47は回転軸49を中心として回転可能になっている。また、中間レバー47は第2ピン50を有し、この第2ピン50をデフロスタドア20の駆動レバー51に形成した溝部52内に摺動可能に嵌入している。
駆動レバー51はデフロスタドア20の回転軸20aに一体に連結されている。
これにより、中間レバー47が回転軸49を中心として回転すると、駆動レバー51を介してデフロスタドア20を回転軸20aを中心として回転させることができる。
【0042】
また、フェイス用カム溝45にはフェイスドア23の駆動レバー53のピン54が摺動可能に嵌入されている。駆動レバー53はフェイスドア23を回転駆動するようにフェイスドア23の回転軸23aに一体に連結されている。同様に、フット用カム溝46にはフットドア26の駆動レバー55のピン56が摺動可能に嵌入されている。駆動レバー55はフットドア26を回転駆動するようにフットドア26の回転軸26aに一体に連結されている。
【0043】
ところで、分配リンク30において、温度制御用の第1カム溝31には、出力軸28aを中心とする曲率半径を持つ円弧状アイドル部310が複数形成されており、このアイドル部310に第1ピン33が嵌合しているときは分配リンク30が回転しても第1ピン33(中間リンクプレート34)が変位せず、エアミックスドア16の開度が一定に維持される。そして、第1カム溝31の溝延長方向には、分配リンク30の回転により第1ピン33(中間リンクプレート34)が変位する複数の駆動部311がアイドル部310と交互に形成してある。
【0044】
分配リンク30において、吹出モード用の第2カム溝32にも複数の円弧状アイドル部320と、複数の駆動部321が交互に形成してある。複数のアイドル部320は前記アイドル部310と同様に分配リンク30が回転しても第2ピン38(中間リンクプレート39)が変位せず、各吹出モードドア20、23、26の開度を一定に維持する部分である。そして、複数の駆動部321は、分配リンク30の回転により第2ピン38(中間リンクプレート39)が変位して吹出モードドア20、23、26の開度が変位する部分である。
【0045】
なお、図2では、図示の簡素化のために、第1カム溝31側の複数のアイドル部310および複数の駆動部311と、第2カム溝32側の複数のアイドル部320および複数の駆動部321のうち、各1箇所ずつのみに符号を付している。
【0046】
更に、モータアクチュエータ28の出力軸28a(分配リンク30)の作動角の変化に対して、分配リンク30の第1カム溝31の複数のアイドル部310のいずれか1つに第1ピン33が位置しているときには、第2カム溝32では複数の駆動部321のいずれか1つに第2ピン38が位置し、逆に、第1カム溝31の複数の駆動部311のいずれか1つに第1ピン33が位置しているときには、第2カム溝32では複数のアイドル部320のいずれか1つに第2ピン38が位置するようにしてある。
【0047】
つまり、モータアクチュエータ28の出力軸28a(分配リンク30)の作動角の変化に対して、第1カム溝31側の第1ピン33と第2カム溝32側の第2ピン38が交互に変位、停止(アイドル状態)を繰り返し、それにより、エアミックスドア16と吹出モードドア20、23、26とに対して、ドア開度を変化させないアイドル作用とドア開度を変化させる駆動作用が交互に生じるように構成してある。
【0048】
次に、図4は車室内前部の計器盤付近に配置される空調操作パネル60を示しており、本例では、空調操作パネル60の前面に乗員により手動操作される操作部材として回転式ノブを持つ温度設定器61が設けられ、また、押しボタン式にて手動操作されるオートスイッチ62、デフロスタスイッチ63、フットデフロスタスイッチ64、エアコンスイッチ65、および内外気スイッチ66が設けられている。
【0049】
温度設定器61は車室内の設定温度信号を発生する。オートスイッチ62は空調自動制御の起動信号を出力するとともに、送風機ユニットの電動送風ファン(図示せず)の作動を断続する信号を出力する。デフロスタスイッチ63はデフロスタモードを指令する信号を出力する。同様に、フットデフロスタスイッチ63はフットデフロスタモードを指令する信号を出力する。
【0050】
エアコンスイッチ65は空調用冷凍サイクルの圧縮機(図示せず)の作動を断続する信号を出力する。内外気スイッチ66は送風機ユニットの内外気切替箱(図示せず)の内外気切替を行う信号を出力する。
【0051】
次に、本実施形態における電気制御部の概要を図5により説明すると、空調用電子制御装置71には、空調の自動制御のために、内気温TR、外気温TAM、日射量TS、蒸発器吹出温度(蒸発器冷却度合)TE、ヒータコア13を循環する温水の温度TW等を検出する周知のセンサ群72から検出信号が入力される。
【0052】
また、空調操作パネル60の温度設定器61から入力される車室内の設定温度信号Tsetの他に、前述の各スイッチ62〜66から操作信号が空調用電子制御装置71に入力される。また、ポテンショメータ73はモータアクチュエータ28の出力軸28aに連結されてモータアクチュエータ28の実際の作動角(回転角)を検出するもので、このポテンショメータ73からモータアクチュエータ28の作動角の検出信号が空調用電子制御装置71に入力される。
【0053】
なお、空調用電子制御装置71はCPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータと、その周辺回路にて構成されるもので、予め設定されたプログラムに従って所定の演算処理を行って、モータアクチュエータ28、内外気切替ドア(図示せず)の駆動用モータアクチュエータ74、送風機ユニットの送風ファン(図示せず)の駆動用モータ75、圧縮機作動断続用の電磁クラッチ76等の通電制御を行うようになっている。
【0054】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。図6のフローチャートは空調用電子制御装置71のマイクロコンピュータにより実行される制御処理の概要を示し、図6の制御ルーチンは、車両エンジンのイグニッションスイッチがオンされて制御装置71に電源が供給されるとスタートする。
【0055】
先ず、ステップS100ではフラグ、タイマー等の初期化がなされ、次のステップS110で、センサ群72、73からの検出信号、空調操作パネル60からの操作信号等を読み込む。
【0056】
続いて、ステップS120にて、下記数式1に基づいて、車室内へ吹き出される空調風の目標吹出温度TAOを空調の熱負荷条件(内気温TR、外気温TAM、日射量TS)に応じて算出する。この目標吹出温度TAOは車室内を温度設定器31の設定温度Tsetに維持するために必要な吹出温度である。
【0057】
【数1】
TAO=Kset ×Tset −Kr ×TR−Kam×TAM−Ks ×TS+C但し、Kset 、Kr 、Kam、Ks は制御ゲインで、Tset、TR、TAM、TSは前述の設定温度、内気温、外気温、日射量で、Cは補正用の定数である。
【0058】
次に、ステップS130に進み、エアミックスドア16および吹出モードドア20、23、26を駆動するモータアクチュエータ28の作動角の目標値SWを目標吹出温度TAOに基づいて算出する。この作動角の目標値SWの具体的算出方法は後述する。
【0059】
次に、ステップS140にて送風機ユニットの送風ファンにより送風される空気の目標送風量BLWを上記TAOに基づいて算出する。この目標送風量BLWの算出方法は周知であり、上記TAOの高温側(最大暖房側)および低温側(最大冷房側)で目標風量を大きくし、上記TAOの中間温度域で目標風量を小さくする。
【0060】
次に、ステップS150にて上記TAOに応じて内外気モードを決定する。この内外気モードは周知のごとくTAOが低温側から高温側へ上昇するにつれて、内気モード→外気モードと切替設定するか、あるいは全内気モード→内外気混入モード→全外気モードと切替設定する。
【0061】
次に、ステップS160にて圧縮機のON−OFFを決定する。具体的には、上記TAOと外気温TAM等に基づいて目標蒸発器吹出温度TEOを算出し、実際の蒸発器吹出温度TEと目標蒸発器吹出温度TEOとを比較して、TE>TEOのときは圧縮機ONとし、TE≦TEOのときは圧縮機OFFとする。
【0062】
次に、ステップS170にて上記各ステップS130〜S160で演算された各種制御値をモータアクチュエータ28、75、送風ファン駆動用モータ74および電磁クラッチ76に出力して空調制御を行う。すなわち、モータアクチュエータ28は、ポテンショメータ73により検出される実際の作動角がステップS130の目標作動角SWと一致するように、作動角が制御される。
【0063】
また、送風ファン駆動用モータ74はステップS140の目標風量BLWが得られるように印加電圧が制御されて回転数が制御される。また、内外気切替用モータアクチュエータ75はステップS150の内外気モードが得られるように内外気ドア(図示せず)の操作位置を制御する。電磁クラッチ76は実際の蒸発器吹出温度TEが目標蒸発器吹出温度TEOとなるように圧縮機作動をON−OFF制御する。
【0064】
次に、モータアクチュエータ28の作動角の目標値SWの具体的算出方法を説明すると、先ず、上記目標吹出温度TAOに基づいて仮の作動角目標値SWDを算出する。この仮の目標値SWDは具体的には、次の数式2により算出する。
【0065】
【数2】
SWD={(TAO−TE)/(TW−TE)}×K(°)
但し、Kは、(TAO−TE)/(TW−TE)で算出されるエアミックスドア16の開度割合の目標値をアクチュエータ28の作動角の目標値に換算するための係数であり、TEは前述の蒸発器吹出温度で、TWはヒータコア13の温水温度である。
【0066】
そして、デフロスタスイッチ63からのデフロスタモードの指令、あるいはフットデフロスタスイッチ64からのフットデフロスタモードの指令が出ているか判定する。デフロスタモードおよびフットデフロスタモードの指令がないときはモータアクチュエータ28の作動角の目標値SW=SWDとする。
【0067】
これに反し、フットデフロスタスイッチ64からのフットデフロスタモードの指令が出ているときは、上述の仮の目標値SWDに第1所定値α1を加算して、モータアクチュエータ28の作動角の目標値SW=SWD+α1とする。また、デフロスタスイッチ63からのデフロスタモードの指令が出ているときは、上述の仮の目標値SWDに第2所定値α2(α2>α1)を加算して、モータアクチュエータ28の作動角の目標値SW=SWD+α2とする。
【0068】
次に、上記ステップS130による目標値SWの算出と、エアミックスドア16の開度制御および吹出モードドア20、23、26の開閉制御との関係を図7により具体的に説明すると、図7は横軸にモータアクチュエータ28の作動角(°)をとり、縦軸にエアミックスドア16の開度(%)と吹出モードドア20、23、26の開閉による吹出モードをとっている。
【0069】
図7の横軸のオート域はモータアクチュエータ28の作動角のうち、吹出モードをエアミックスドア16の開度変化に連動して自動的に決定する領域である。
このオート域の作動角は、上記した仮の目標値SWDにより決定される作動角度範囲であって、図示の例では、0°〜120°(θ5)の範囲になっている。図7の横軸のマニュアル域は、空調操作パネル60のスイッチ63、64のマニュアル操作により吹出モードを決定する領域であり、このマニュアル域の作動角は、上記した仮の目標値SWDに第1所定値α1あるいは第2所定値α2を加算した値(SW=SWD+α1あるいはSW=SWD+α2)により決定される作動角度範囲であって、図示の例では、120°(θ5)〜288°(θ9)の範囲になっている。
【0070】
SWD≦0°であると、モータアクチュエータ28の実際の作動角を0°にしてエアミックスドア16の開度を0%の最大冷房位置にする。この最大冷房位置は図1の実線で示すようにヒータコア13の通風路を全閉し、冷風バイパス通路15を全開する位置である。
【0071】
作動角の目標値SWDが0からθ1、θ2、θ3、θ4と順次増大するにつれてエアミックスドア16の開度が増大し、そして、SWDがθ5まで増大すると、モータアクチュエータ28によりエアミックスドア16を開度:100%の最大暖房位置に操作する。この最大暖房位置は図1の2点鎖線で示すように冷風バイパス通路15を全閉し、ヒータコア13の通風路を全開する位置である。
【0072】
このように、モータアクチュエータ28の作動角のうち、オート域では、エアミックスドア16の開度(操作位置)を、0%の最大冷房位置からドア開度=100%の最大暖房位置まで変化させることにより、冷温風の混合割合を調整して車室内への吹出温度を制御できる。
【0073】
また、これと同時に、オート域ではエアミックスドア16の開度変化に連動して吹出モードが次のように変更される。すなわち、モータアクチュエータ28の作動角(目標値SWD)と同一の作動角に分配リンク30が回転して、モータアクチュエータ28の作動角=0〜θ1の区間では、吹出モードとしてフェイス(FACE)モードが維持される。すなわち、デフロスタドア20とフットドア26によりデフロスタ開口部19とフット開口部24を全閉し、フェイスドア23によりフェイス開口部22を全開するので、乗員頭部側へ空気を吹き出すフェイスモードが作動角=0〜θ1の区間で維持される。
【0074】
次に、作動角=θ1〜θ2の区間では、吹出モードをフェイスモードからバイレベル(B/L)モードに切り替える。すなわち、デフロスタドア20によりデフロスタ開口部19の全閉状態を維持するとともに、フェイスドア23とフットドア26がフェイス開口部22とフット開口部24をそれぞれ所定開度開くので、乗員頭部側と足元側の両方へ空気を吹き出すバイレベルモードが設定される。このθ1〜θ2の区間ではエアミックスドア16の開度が一定に維持される。そして、次の作動角=θ2〜θ3の区間ではドア20、23、26が変位せず、上記バイレベルモードが維持される。
【0075】
次に、作動角=θ3〜θ4の区間では、フェイスドア23によりフェイス開口部22を全閉するとともに、フットドア26によりフット開口部24を全開する。また、デフロスタドア20が小角度回転してデフロスタ開口部19を小開度だけ開く。これにより、乗員足元側へ主に空気を吹き出すとともに少量の空気を窓ガラス側へ吹き出すフット(FOOT)モードが設定される。このθ3〜θ4の区間でもエアミックスドア16の開度が一定に維持される。そして、次の作動角=θ4〜θ5の区間ではドア20、23、26が変位せず、上記フットモードが維持される。
【0076】
以上のごとくして、オート域では、1つの共通のモータアクチュエータ28の作動角の変化によりエアミックスドア16の開度変化(吹出温度制御)と吹出モードの切替(フェイス、バイレベル、フットの各モード間の切替)とを交互に行うことができる。
【0077】
ところで、冬期の暖房時に乗員により窓ガラスの曇り除去の必要性が判断され、フットデフロスタスイッチ64が投入されると、図6のステップS130にて、モータアクチュエータ28の作動角の目標値SW=SWD+α1とする。このように前述の仮の目標値SWDに第1所定値α1を加算すると、モータアクチュエータ28の作動角を図7のマニュアル域におけるθ6とθ7との間の角度範囲に強制的に移行(増大)させることができる。
【0078】
この結果、窓ガラス側への吹出風量と乗員足元側への吹出風量を略同程度にするフットデフロスタ(F/D)モードを設定できる。このフットデフロスタモードでは、フットモードよりも窓ガラス側への吹出風量が多くなって、冬期の暖房時における窓ガラスの曇り除去効果を向上できる。
【0079】
また、窓ガラスの曇り除去効果を最大に発揮するために、乗員によりデフロスタスイッチ63が投入されると、図6のステップS130にて、モータアクチュエータ28の作動角の目標値SW=SWD+α2とする。ここで、第2所定値α2は、第1所定値α1よりも大きい値であるため、前述の仮の目標値SWDに第2所定値α2を加算することにより、モータアクチュエータ28の作動角を図7のマニュアル域におけるθ8とθ9との間の角度範囲に強制的に移行(増大)させることができる。
【0080】
この結果、フェイスドア23とフットドア26によりフェイス開口部22およびフット開口部24を全閉するとともに、デフロスタドア20によりデフロスタ開口部19を全開して、デフロスタ開口部19から窓ガラス側へ空調空気を吹き出すデフロスタ(DEF)モードを設定できる。このデフロスタモードでは、空調空気の全量を窓ガラス側へ吹き出して窓ガラスの曇り除去能力を最大に発揮できる。
【0081】
なお、上記のマニュアル設定されるフットデフロスタモードとデフロスタモードでは、それぞれ、作動角θ6〜θ7の範囲、作動角θ8〜θ9の範囲でエアミックスドア16の開度(操作位置)を、0%の最大冷房位置からドア開度=100%の最大暖房位置まで変化させることにより車室内への吹出温度を全範囲で制御できる。
【0082】
また、フットモードとフットデフロスタモードとの切替期間(作動角θ5〜θ6の範囲)、およびフットデフロスタモードとデフロスタモードとの切替期間(作動角θ7〜θ8の範囲)では、それぞれエアミックスドア16の開度が一定に維持される。
【0083】
ところで、本実施形態によると、モータアクチュエータ28の出力軸28aと一体に回転する分配リンク30に第1、第2カム溝31、32を形成するとともに、この各第1、第2カム溝31、32にそれぞれ複数のアイドル溝と駆動溝とを形成し、モータアクチュエータ28(分配リンク30)の作動角の変化に対して、エアミックスドア16と、吹出モードドア20、23、26とを交互に操作するようにしている。
【0084】
すなわち、図7に示すように、モータアクチュエータ28の出力軸28aの作動角の変化に対して、エアミックスドア16の開度が変化して、吹出モードドア20、23、26が回転変位しない区間0〜θ1、θ2〜θ3、θ4〜θ5、θ6〜θ7、θ8〜θ9と、逆に、吹出モードドア20、23、26の少なくとも1つが回転変位して、エアミックスドア16の開度が変化しない区間θ1〜θ2、θ3〜θ4、θ5〜θ6、θ7〜θ8を交互に設定できる。
【0085】
これにより、1つのモータアクチュエータ28がエアミックスドア16と吹出モードドア20、23、26の両方を同時に駆動することがなくなるので、1つのモータアクチュエータ28の同時駆動ドア枚数を減少でき、モータアクチュエータ28の必要作動トルク(仕事量)の増大を抑制できる。
【0086】
また、分配リンク30の第1、第2カム溝31、32に交互駆動のためのアイドル機能を集中させるため、吹出モード用リンク42のカム溝44、45、46はいずれも交互駆動のためのアイドル機能が不要となる。そのため、カム溝44、45、46を長さの短い簡素な溝形状にすることができ、吹出モード用リンク42を小型化できるとともに吹出モード用リンク42の作動角を小さくできる。
【0087】
更に、分配リンク30においてその表面側と裏面側とに第1、第2カム溝31、32を分けて形成しているから、第1、第2カム溝31、32を図2に例示するように、交差した形態に形成することが可能となる。そのため、分配リンク30の限られた面積内でも第1、第2カム溝31、32の形状設定の自由度が増大し、リンク機構の設計が容易になるとともに、分配リンク30も小型化できる。
【0088】
なお、図7の作動パターンの例では、マニュアル設定されるフットデフロスタモードとデフロスタモードで、それぞれ、エアミックスドア16の開度(操作位置)を、0%の最大冷房位置からドア開度=100%の最大暖房位置まで変化させて車室内への吹出温度を全範囲で制御できるようにしている。これに伴って、マニュアル域の作動角がオート域の作動角より増大して、モータアクチュエータ28の全作動角が例えば288°という比較的大きな角度になっている。
【0089】
このように、モータアクチュエータ28の作動角が増加するため、第1、第2カム溝31の溝延長長さが大きくなり、第1、第2カム溝31を図2のように交差する関係に設定せざるを得ない場合が生じるのである。
【0090】
(第2実施形態)
第1実施形態では、図3に示すようにコの字状の中間リンクプレート34に一体に設けた第1ピン33を分配リンク30の第1カム溝31内に摺動可能に嵌入し、コの字状の中間リンクプレート34の回転変位をエアミックスドア16の駆動レバー37に伝達するようにしているが、第2実施形態では、コの字状の中間リンクプレート34の代わりに、図8に示すように吊り下げタイプの中間リンクプレート34を用いている。
【0091】
すなわち、第2実施形態では、空調ケース11の側面上にブラケット部材80を固定し、このブラケット部材80に対して中間リンクプレート34を回転軸35により回転可能に吊り下げている。このような構成であっても、第1実施形態と同様の作用効果を発揮できる。
【0092】
(第3実施形態)
第1、第2実施形態では分配リンク30の表面側と裏面側に第1、第2カム溝31、32を分けて形成しているが、第3実施形態では図9〜図13に示すように分配リンク30の同一面側に第1、第2カム溝31、32の両方を形成するとともに、この同一面側において第1、第2カム溝31、32が交差する形態とし、そして、その交差部においても、分配リンク30の回転により従動側の両中間リンクプレート34、39を絶えず駆動し続けることができるようにしたものである。
【0093】
図9、図10はそれぞれ図2、図3に対応する第3実施形態の図であり、また、図11は図9のA−A断面図である。板状部材からなる分配リンク30の中心部にモータアクチュエータ28の出力軸28aを連結する中心穴部30aが開けてあり、この中心穴部30aの外周側に、第1、第2カム溝31、32が設けてある。
【0094】
ここで、第1、第2カム溝31、32は、分配リンク30の表裏両面のうち、空調ケース11の側面に面する側の一面(裏面)にいずれも設けてある。そして、温度制御用の第1カム溝31の溝深さd1は、吹出モード用の第2カム溝31の溝深さd2よりも大きくしてある。そして、第1、第2カム溝31、32のうち、溝深さが小さい方のカム溝、すなわち、吹出モード用の第2カム溝32は2つのカム溝32a、32bから構成されている。
【0095】
エアミックスドア16の駆動用中間リンクプレート34には第1ピン33を一体に設け、この第1ピン33を第1カム溝31内に摺動可能に嵌合している。また、吹出モードドア20、23、26の駆動用中間リンクプレート39には第2ピン38a、38bを一体に設け、この第2ピン38a、38bをそれぞれ、第2カム溝32の2つのカム溝32a、32b内にそれぞれ摺動可能に嵌合してある。第1ピン33と第2ピン38a、38bのピン高さは、第1、第2カム溝31の溝深さd1、d2に対応して大小異なる高さにしてある。
【0096】
ところで、図7の例のように、モータアクチュエータ28の作動角を例えば288°という大きな角度に設定するに伴って、第1、第2カム溝31、32の溝延長長さが大きくなり、その結果、第1、第2カム溝31、32を図9に示すように交差する関係に設定せざるを得ない場合が生じる。図9において、A−A線より上方側の部位に第1、第2カム溝31、32の交差部が形成されている。
【0097】
そこで、溝深さが小さい吹出モード用の第2カム溝32においては、2つのカム溝32a、32bが、分配リンク30の回転方向において互いに異なる位置で第1カム溝31と交差するようになっている。
【0098】
すなわち、2つのカム溝32a、32bのうち一方のカム溝32aが第1カム溝31と交差するときは他方のカム溝32bが第1カム溝31と交差しない。逆に、他方のカム溝32bが第1カム溝31と交差するときは一方のカム溝32aが第1カム溝31と交差しないようになっている。
【0099】
図12、図13は分配リンク30の作動角変化と従動側の両中間リンクプレート34、39の回転変位との関係を説明する説明図であり、両中間リンクプレート34、39を絶えず駆動し続けることを示している。図12(a)は分配リンク30の初期位置(作動角θ=0°)であり、エアミックスドア駆動用中間リンクプレート34の第1ピン33が第1カム溝31内の一端部付近に摺動可能に嵌合している。
【0100】
これに対し、第2カム溝32側においては、一方のカム溝32a内の一端部付近に、吹出モードドア駆動用中間リンクプレート39の第2ピン38aが摺動可能に嵌合し、もう1つの第2ピン38bは他方のカム溝32bの外部に位置している。従って、分配リンク30の回転変位に伴って、第2ピン38aの嵌合部にて中間リンクプレート39を駆動できる。
【0101】
図12(b)は図12(a)の初期位置から分配リンク30が反時計方向に95°回転した状態であり、図12(b)の状態では、第2カム溝32の一方のカム溝32aと第1カム溝31との交差部にカム溝32a側の第2ピン38aが位置しているので、この第2ピン38aは分配リンク30に対してフリーな状態となる。しかし、第2ピン38aがフリー状態となる前に、もう1つの第2ピン38bが、第1カム溝31と交差していない他方のカム溝32b内に入り込んでいるので、分配リンク30の回転変位がカム溝32bと第2ピン38bとの嵌合部を介して中間リンクプレート39に伝達され、中間リンクプレート39を駆動できる。
【0102】
図12(c)は図12(a)の初期位置から分配リンク30が反時計方向に150°回転した状態であり、図12(c)の状態では、第2カム溝32の他方のカム溝32bと第1カム溝31との交差部にカム溝32b側の第2ピン38bが位置しているので、この第2ピン38bは分配リンク30に対してフリーな状態となる。しかし、第2ピン38bがフリー状態となる前に、もう1つの第2ピン38aが一方のカム溝32aのうち第1カム溝31と交差していない部位に再び位置する。このため、もう1つの第2ピン38aと一方のカム溝32aとの嵌合部を介して分配リンク30の回転変位が中間リンクプレート39に伝達され、中間リンクプレート39を駆動できる。
【0103】
図13(a)は図12(a)の初期位置から分配リンク30が反時計方向に210°回転した状態であり、第2ピン38aが再び一方のカム溝32aと第1カム溝31との交差部に位置するようになる。しかし、その前に、もう1つの第2ピン38bが他方のカム溝32bのうち第1カム溝31と交差していない部位に再び位置する。このため、第2ピン38bと他方のカム溝32bとの嵌合部を介して分配リンク30の回転変位が中間リンクプレート39に伝達され、中間リンクプレート39を駆動できる。
【0104】
図13(b)は図12(a)の初期位置から分配リンク30が反時計方向に270°回転した状態であり、他方のカム溝32bが第2ピン38bから脱離する状態(初期位置への復帰)となるが、その前に、もう1つの第2ピン38aが一方のカム溝32aのうち第1カム溝31と交差していない部位に再び位置する。
このため、この一方のカム溝32aと第2ピン38aとの嵌合部を介して分配リンク30の回転変位が中間リンクプレート39に伝達され、中間リンクプレート39を駆動できる。
【0105】
以上のように、分配リンク30の同一面側に第1、第2カム溝31、32を両方とも形成し、しかも、この同一面側において第1、第2カム溝31、32が交差する形態であっても、溝深さの低い第2カム溝32を2つのカム溝32a、32bにより構成し、この2つの2つのカム溝32a、32bが第1カム溝31と同時に交差せず、交互に交差するようにしているから、溝深さの低い第2カム溝32側の中間リンクプレート39を絶えず駆動し続けることができる。
【0106】
なお、第3実施形態は上記した分配リンク30のカム溝31、32による、中間リンクプレート34、39の駆動機構以外の点、すなわち、交互駆動等の点は第1実施形態と同じであるので、説明を省略する。
【0107】
(第4実施形態)
第3実施形態では第1、第2カム溝31、32の溝幅を同一とし、溝深さd1、d2を変えるとともに、第1カム溝31側の第1ピン33と第2カム溝32側の第2ピン38a、38bのピン高さを溝深さd1、d2に対応するように変えているが、第4実施形態では図14に示すように第1カム溝31の開口端側に幅の広い部分31aを設け、この幅広部分31aの奥側に幅の狭い部分31bを設けている。この幅狭部分31bの幅寸法、および溝深さは第2カム溝32の2つのカム溝32a、32bと同一寸法にしてある。
【0108】
そして、温度制御用の中間リンクプレート34には、第1カム溝31の幅広部分31aに対して所定の隙間を持って遊嵌合する台座部34aを樹脂で一体成形し、この台座部34aの頂部に第1ピン33を一体に設け、この第1ピン33を第1カム溝31の幅狭部分31bに摺動可能に嵌合させている。
【0109】
なお、温度制御用の中間リンクプレート34の第1ピン33および吹出モード用の中間リンクプレート39の第2ピン38a、38bはともに強度の確保、耐摩耗性等の点から鉄等の金属製であり、この金属製の第1、第2ピン33、38a、38bを樹脂製の中間リンクプレート34、39のピン挿入穴部に圧入等により固定している。
【0110】
第4実施形態によると、第1ピン33と第2カム溝32側の第2ピン38a、38bの寸法を同一寸法に設計できるから、これらのピン33、38a、38bを共通化できる。
【0111】
(他の実施形態)
なお、第3、第4実施形態とは逆に、第1カム溝31の溝深さを小さくして、第2カム溝32の溝深さを大きくし、そして、第1カム溝31を複数の溝により構成するようにしてもよい。
【0112】
上述の各実施形態では、車室内への吹出空気温度を制御する温度制御手段として、冷風バイパス通路15を通過する冷風とヒータコア13を通過する温風との風量割合を調整するエアミックスドア16を用いているが、ヒータコア13を通過する温水流量を調整する温水弁等を温度制御手段として用いてもよい。
【0113】
また、上述の各実施形態では、デフロスタモードを設定する前席側の空調装置について説明したが、デフロスタモードを設定せず、吹出モードとしてフェイス、バイレベル、フットモードのみ、あるいはフェイス、フットモードのみを設定する後席側の空調装置に本発明を適用してもよい。
【0114】
また、上述の各実施形態では、吹出モード用リンク42に、3本のカム溝、すなわち、デフロスタドア20駆動用のカム溝44、フェイスドア23駆動用のカム溝45、およびフットドア26駆動用のカム溝46を設けているが、吹出モードドアとして、例えば、ケース内壁面に沿って往復動するフィルムドアや回転方向に延びるドア面を持つロータリドアを用いて、1つの吹出モードドアにより吹き数の吹出開口部を開閉する場合には、吹出モード用リンク42に1本のカム溝を設けるだけでよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の車両用空調装置の要部の概略断面図である。
【図2】図1の車両用空調装置の要部側面図である。
【図3】第1実施形態によるドア操作用リンク機構の概略構成図である。
【図4】第1実施形態で用いる空調操作パネルの正面図である。
【図5】第1実施形態の電気制御ブロック図である。
【図6】第1実施形態の空調制御の概略を示すフローチャートである。
【図7】第1実施形態の作動特性の説明図である。
【図8】第2実施形態によるドア操作用リンク機構の概略構成図である。
【図9】第3実施形態による車両用空調装置の要部側面図である。
【図10】第3実施形態によるドア操作用リンク機構の概略構成図である。
【図11】図9のA−A断面図である。
【図12】第3実施形態のドア操作用リンク機構の作動説明図である。
【図13】第3実施形態のドア操作用リンク機構の作動説明図である。
【図14】第4実施形態によるドア操作用リンク機構の断面図で、図9のA−A断面を示す。
【符号の説明】
16…エアミックスドア(温度制御手段、第1空調機器)、
19…デフロスタ開口部、22…フェイス開口部、24…フット開口部、
20、23、26…吹出モードドア(第2空調機器)、
28…モータアクチュエータ、30…分配ドア、31…第1カム溝、
32…第2カム溝、32a、32b…第2カム溝の複数のカム溝、
33…第1ピン、38、38a、38b…第2ピン、
34、39…中間リンクプレート(リンク部材)。
Claims (4)
- モータアクチュエータ(28)の操作力により回転する分配リンク(30)の同一面側に、溝深さの大きい第1カム溝(31)と溝深さの小さい第2カム溝(32)とを設け、
前記第2カム溝(32)は複数のカム溝(32a、32b)からなり、前記複数のカム溝(32a、32b)は前記分配リンク(30)の回転方向において互いに異なる位置で前記第1カム溝(31)と交差するようになっており、
前記第1カム溝(31)に第1ピン(33)を摺動可能に嵌合するとともに、前記第1ピン(33)を、第1空調機器(16)の駆動用リンク部材(34)に設け、
前記第2カム溝(32)の複数のカム溝(32a、32b)にそれぞれ第2ピン(38a、38b)を摺動可能に嵌合し、前記複数の第2ピン(38a、38b)を第2空調機器(20、23、26)の駆動用リンク部材(39)に設けたことを特徴とする空調機器駆動装置。 - 前記分配リンク(30)の作動角変化に対して前記第1ピン(33)および前記複数の第2ピン(38a、38b)の変位を停止させるアイドル部(310、320)を前記第1カム溝(31)および前記第2カム溝(32)の複数のカム溝(32a、32b)にそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1に記載の空調機器駆動装置。
- 前記分配リンク(30)の回転により前記第1ピン(33)および前記第2ピン(38)が交互に変位するように、前記第1カム溝(31)および前記第2カム溝(32)のアイドル部(310、320)を構成したことを特徴とする請求項2に記載の空調機器駆動装置。
- 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の空調機器駆動装置と、
車室内の各部へ空気を吹き出す複数の吹出開口部(19、22、24)とを備え、
前記第1空調機器として車室内への吹出温度を制御する温度制御手段(16)を備え、また、前記第2空調機器として前記複数の吹出開口部(19、22、24)を開閉する複数の吹出モードドア(20、23、26)を備え、
前記モータアクチュエータ(28)により前記温度制御手段(16)および前記吹出モードドア(20、23、26)を駆動することを特徴とする車両用空調装置。
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