JP4186388B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室内への吹出温度を制御する温度制御手段の操作位置と連動して吹出モードの切替を行う車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置においては、内外気切替ドア、温度制御手段(エアミックスドア、温水弁等)、および吹出モードドアを備えており、これらの機器を手動操作機構またはモータアクチュエータによりそれぞれ独立に操作するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、車両用空調装置では乗員による操作性向上のために、スイッチ操作にてモータアクチュエータを作動させて上記各機器を軽快に操作できるようにしたものが増加している。このようなものでは、内外気切替、温度制御および吹出モード切替のためにそれぞれ専用のモータアクチュエータを必要とし、コストアップを招く。
【0004】
そこで、本発明者らは、モータアクチュエータの数を減らすために、温度制御と吹出モードの切替とを1つのモータアクチュエータにて行うことを検討してみた。すなわち、吹出モードの切替が温度制御手段の操作位置と相関があることに着目して、温度制御手段の操作位置が最大冷房側(低温側)から最大暖房側(高温側)へと移行するにつれて、吹出モードをフェイスモード、バイレベルモード、フットモードと順次切り替えることにより、温度制御と吹出モードの切替とを1つのモータアクチュエータにより行うことを検討してみた。
【0005】
しかし、温度制御と吹出モードの切替とを単純に1つのモータアクチュエータにて行うと、温度制御手段の操作位置と吹出モードの切替とが常に1対1の関係で固定されてしまう。従って、温度制御手段の操作位置と関係なく、窓ガラスの曇り発生時にデフロスタモードを随時設定することができないという不具合が生じる。
【0006】
なお、特開平11−115463号公報には、温度制御手段としてのエアミックスドアと、内気フットドアとを1つのモータアクチュエータにて連動操作するものが記載されているが、この内気フットドアは最大暖房時にフット通路の全開位置に操作されるとともに、内気通路と外気通路とを仕切るものであって、元々、エアミックスドアの操作位置と連動し得るものである。従って、エアミックスドアと内気フットドアとを1つのモータアクチュエータにて連動操作しても支障が生じることはない。
【0007】
結局、上記公報記載のものは、エアミックスドアと内気フットドアとを1つのモータアクチュエータにて単純に連動操作しているだけであるから、デフロスタモードを含む吹出モードの切替機構に対しては適用できない。
【0008】
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、1つのモータアクチュエータを用いて、温度制御手段の操作位置の変化に連動してフェイスモード、フットモードを切替設定できることと、デフロスタモードを随時設定できることとを両立できる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室内への吹出温度を制御する温度制御手段(16)と、フェイスモードとバイレベルモードとフットモードとデフロスタモードを設定する吹出モードドア(20、23、26)と、温度制御手段(16)および吹出モードドア(20、23、26)を駆動するための1つのモータアクチュエータ(28)と、モータアクチュエータ(28)の作動角を制御する制御手段(S130、S170)と、デフロスタモードを指令するデフロスタ指令手段(33、S132a)と、1つのモータアクチュエータ(28)の操作力により駆動され、かつ、温度制御手段(16)および吹出モードドア(20、23、26)と連結されるリンク機構(27)とを備え、モータアクチュエータ(28)の作動角範囲として、a.温度制御手段(16)の操作位置を最大冷房位置と最大暖房位置の間で制御するとともに、吹出モードドア(20、23、26)を駆動して、温度制御手段(16)の最大冷房側の操作域でフェイスモードを設定し、また、温度制御手段(16)の最大暖房側の操作域でフットモードを設定、更に、温度制御手段(16)の最大冷房側の操作域と最大暖房側の操作域との中間領域にてバイレベルモードを設定する温度制御領域(A)と、
b.デフロスタ指令手段(33、S132a)からデフロスタモードの指令が出たときに、モータアクチュエータ(28)の作動角を温度制御領域(A)の範囲外にして吹出モードドア(20、23、26)を駆動し、デフロスタモードを設定するデフロスタ設定領域(B)とを設け、
温度制御領域(A)において前記各モードを切り替えるために吹出モードドア(20、23、26)を駆動変位させる全ての区間及び温度制御領域(A)とデフロスタ設定領域(B)との間で吹出モードドア(20、23、26)を駆動変位させる区間で温度制御手段(16)の操作位置を一定位置に維持し
さらに、車室内への吹出空気の目標吹出温度(TAO)が第1所定温度(T1)よりも低い低温域では目標吹出温度(TAO)の低下とともに車室内への吹出風量を増加させ、目標吹出温度(TAO)が第1所定温度(T1)より高い第2所定温度(T2)よりも更に高い高温域では目標吹出温度(TAO)の上昇とともに吹出風量を増加させるようになっており、
また、目標吹出温度(TAO)の低温域では、デフロスタモードにおける車室内への吹出温度がリンク機構(27)の構成から決まる下限温度に達するようになっており、
デフロスタモードの指令が出たときに、目標吹出温度(TAO)が低温域の範囲にあることを判定することにより、デフロスタモードの実行により車室内への供給熱量が増加する条件を判定し、
この供給熱量が増加する条件を判定したときは、デフロスタモードにおける車室内への吹出風量を制限することにより供給熱量を制限することを特徴とする。
【0010】
これにより、モータアクチュエータ(28)の作動角範囲のうち、温度制御領域(A)では温度制御手段(16)の操作位置が最大冷房位置と最大暖房位置の間で変化することに連動して、フェイスモード→バイレベルモード→フットモードと順次吹出モードを自動的に切り替え設定できる。
しかも、デフロスタモードの指令が出たときはモータアクチュエータ(28)の作動角を強制的に温度制御領域(A)の範囲外にしてデフロスタモードを設定することができる。
さらに、中間期や夏場のように車室内への供給熱量が増加する条件に該当するときはデフロスタモードにおける車室内への吹出風量を制限することにより車室内への供給熱量を制限して、中間期や夏場におけるデフロスタモードの実行に伴う空調フィーリングの悪化を抑制できる。
【0025】
請求項9に記載の発明では、請求項8において、ウォームアップ時から定常時に移行したと判定する温度制御手段(16)の操作位置を外気温が低くなるにつれて最大暖房位置に近づけることを特徴とする。
【0035】
請求項に記載の発明では、車室内への吹出温度を制御する温度制御手段(16)と、フェイスモードとバイレベルモードとフットモードとデフロスタモードを設定する吹出モードドア(20、23、26)と、温度制御手段(16)および吹出モードドア(20、23、26)を駆動するための1つのモータアクチュエータ(28)と、モータアクチュエータ(28)の作動角を制御する制御手段(S130、S170)と、デフロスタモードを指令するデフロスタ指令手段(33、S132a)と、1つのモータアクチュエータ(28)の操作力により駆動され、かつ、温度制御手段(16)および吹出モードドア(20、23、26)と連結されるリンク機構(27)とを備え、モータアクチュエータ(28)の作動角範囲として、a.温度制御手段(16)の操作位置を最大冷房位置と最大暖房位置の間で制御するとともに、吹出モードドア(20、23、26)を駆動して、温度制御手段(16)の最大冷房側の操作域でフェイスモードを設定し、また、温度制御手段(16)の最大暖房側の操作域でフットモードを設定し、更に、温度制御手段(16)の最大冷房側の操作域と最大暖房側の操作域との中間領域にてバイレベルモードを設定する温度制御領域(A)と、
b.デフロスタ指令手段(33、S132a)からデフロスタモードの指令が出たときに、モータアクチュエータ(28)の作動角を温度制御領域(A)の範囲外にして吹出モードドア(20、23、26)を駆動し、デフロスタモードを設定するデフロスタ設定領域(B)とを設け、
前記デフロスタ設定領域(B)内に、前記デフロスタモードの他に、前記デフロスタ開口部(19)および前記フット開口部(24)の両方から空気を吹き出すフットデフロスタモードを設定し、
温度制御領域(A)において前記各モードを切り替えるために吹出モードドア(20、23、26)を駆動変位させる全ての区間及び温度制御領域(A)とデフロスタ設定領域(B)との間で吹出モードドア(20、23、26)を駆動変位させる区間で温度制御手段(16)の操作位置を一定位置に維持し、
車室内への吹出空気の目標吹出温度(TAO)が第1所定温度(T1)よりも低い低温域では目標吹出温度(TAO)の低下とともに車室内への吹出風量を増加させ、目標吹出温度(TAO)が第1所定温度(T1)より高い第2所定温度(T2)よりも更に高い高温域では目標吹出温度(TAO)の上昇とともに吹出風量を増加させるようになっており、
また、目標吹出温度(TAO)の低温域では、フットデフロスタモードにおける車室内への吹出温度がリンク機構(27)の構成から決まる下限温度に達するようになっており、
フットデフロスタモードの指令が出たときに、目標吹出温度(TAO)が低温域の範囲にあることを判定することにより、フットデフロスタモードの実行により車室内への供給熱量が増加する条件を判定し、
目標吹出温度(TAO)が低温域の範囲にあることを判定したときは、フットデフロスタモードにおける車室内への吹出風量を制限することにより車室内への供給熱量を制限することを特徴とする。
【0036】
これにより、モータアクチュエータ(28)の作動角範囲のうち、温度制御領域(A)では温度制御手段(16)の操作位置が最大冷房位置と最大暖房位置の間で変化することに連動して、フェイスモード→バイレベルモード→フットモードと順次吹出モードを自動的に切り替え設定できる。
しかも、デフロスタモードの指令が出たときはモータアクチュエータ(28)の作動角を強制的に温度制御領域(A)の範囲外にしてデフロスタモードを設定することができる。
さらに、中間期や夏場におけるフットデフロスタモードの実行に伴う供給熱量の増加を制限して空調フィーリングの悪化を抑制できる。
【0038】
請求項に記載の発明では、請求項1または2に記載の車両用空調装置において、目標吹出温度(TAO)が低温域の範囲にあることを判定したときは、吹出風量を通常制御時の最低風量(LO)より更に少ない微小風量(ULO)に制御することを特徴とする。
【0039】
この微小風量(ULO)の設定により供給熱量の制限を一層良好に行うことができ、空調フィーリングの悪化抑制の効果を一層高めることができる。
【0042】
請求項に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、目標吹出温度(TAO)が低温域の範囲にあることを判定したときは、目標吹出温度(TAO)を吹出風量の増加を抑制する範囲に保持することを特徴とする。
【0043】
このように、目標吹出温度(TAO)に基づいて供給熱量の増加条件を判定したときは目標吹出温度(TAO)を吹出風量の増加を抑制する範囲に保持することにより吹出風量の増加を抑制するようにしてもよい。
【0044】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0045】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態による車両用空調装置の空調ユニット部の断面図であり、本実施形態の空調装置はいわゆるセミセンター置きレイアウトのものであって、車室内前方の計器盤内部のうち車両左右方向の略中央部に空調ユニット10を配置している。図1の矢印は車両の上下、前後方向に対する、空調ユニット10の搭載方向を示している。
【0046】
そして、この空調ユニット10に空調空気を送風する送風機ユニット(図示せず)が空調ユニット10側方(助手席側)にオフセット配置されている。この送風機ユニットは、周知のごとく内気または外気を切替導入する内外気切替箱と、この内外気切替箱から吸入した空気(内気または外気)を空調ユニット10に向けて送風する遠心式の電動送風ファンとを備えている。
【0047】
空調ユニット10は樹脂製の空調ケース11を有し、この空調ケース11の内部に、送風空気が熱交換器12、13を通過して車両前方側から車両後方側へ向かって流れる空気通路を形成している。
【0048】
空調ケース11内の空気通路において、車両前方側に蒸発器12が配置され、車両後方側にヒータコア13が配置されている。蒸発器12は周知のごとく冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空調空気から吸熱して空調空気を冷却する冷房用熱交換器である。ヒータコア13は車両エンジンの温水(冷却水)を熱源流体として空調空気を加熱する暖房用熱交換器である。空調ケース11において、最も車両前方側(蒸発器12の前方位置)で、かつ、助手席側の側面部には図示しない送風機ユニットからの送風空気が流入する空気入口部14が形成してある。
【0049】
ヒータコア13の上方部に冷風バイパス通路15を形成し、そして、蒸発器12の直ぐ下流側(車両後方側)には板状のエアミックスドア16が回転軸16aを中心として回転可能に配置されている。このエアミックスドア16は冷風バイパス通路15を通過する冷風とヒータコア13のコア部13aを通過する温風との風量割合を調整して車室内への吹出空気温度を所望温度に調整できるもので、吹出空気温度の温度制御手段を構成する。
【0050】
ヒータコア13直後の部位には上方に向かう温風通路17が形成され、この温風通路17からの温風と冷風バイパス通路15からの冷風が空気混合部18で混合される。
【0051】
空調ケース11の空気通路下流側には複数の吹出開口部が形成されており、この吹出開口部のうち、デフロスタ開口部19は空調ケース11の上面部において車両前後方向の略中央部位で、空調ケース11内部に開口している。そして、このデフロスタ開口部19は図示しないデフロスタダクトを介して車両窓ガラスの内面に向けて空調空気を吹き出すようになっている。デフロスタ開口部19は回転軸20aを中心として回転可能な板状のデフロスタドア20により開閉される。
【0052】
次に、フェイス開口部22は空調ケース11の上面部において、デフロスタ開口部19よりも車両後方側の部位に開口している。このフェイス開口部22は、図示しないフェイスダクトを介して車室内の乗員顔部へ向けて空気を吹き出すようになっている。フェイス開口部22は回転軸23aを中心として回転可能な板状のフェイスドア23により開閉される。
【0053】
次に、フット開口部24は空調ケース11において、フェイス開口部22の下方側に開口しており、フット開口部24の下流側は空調ケース11の左右両側に配置されたフット吹出口25に連通し、このフット吹出口25から乗員の足元部に温風を吹き出すようになっている。フット開口部24は回転軸26aを中心として回転可能な板状のフットドア26により開閉される。
【0054】
なお、図1の例では、上記各開口部19、22、24をそれぞれ専用の計3枚のドア20、23、26により開閉する構成としているが、周知のごとくデフロスタ開口部19とフェイス開口部22を共通の1枚のドアにより切替開閉したり、フェイス開口部22とフット開口部24を共通の1枚のドアにより切替開閉するようにしても良い。
【0055】
空調ユニット10において、エアミックスドア16の回転軸16a、デフロスタドア20の回転軸20a、フェイスドア23の回転軸23a、およびフットドア26の回転軸26aの一端部は空調ケース11の外部に突出させ、この各回転軸16a、20a、26aの一端部をリンク機構27を介して共通のモータアクチュエータ28の出力軸28aに連結している。これにより、1つのモータアクチュエータ28にて温度制御用のエアミックスドア16と、吹出モード切替用のドア20、23、26の両方を開閉するようになっている。ここで、モータアクチュエータ28は直流モータで構成することができる。
【0056】
次に、図2は上記リンク機構27の具体的構成を例示するもので、モータアクチュエータ28の出力軸28aには温度制御用リンク270が連結され、出力軸28aと温度制御用リンク270が一体に回転する。温度制御用リンク270は略半円状に形成され、その外周縁部に沿ってカム溝271が形成されている。
【0057】
一方、エアミックスドア16の回転軸16aには駆動レバー272の一端が連結され、この駆動レバー272の他端に設けられたピン273がカム溝271内に摺動可能に嵌入されている。これにより、温度制御用リンク270の回転により駆動レバー272を介してエアミックスドア16が角度θaの範囲で回転操作される。
【0058】
吹出モード用リンク274は回転軸275を中心として回転する板状の部材であって、2本の連結ロッド276、277を介して温度制御用リンク270に連結されている。これにより、吹出モード用リンク274は温度制御用リンク270の回転変位が伝達されて回転する。また、吹出モード用リンク274にはその外周縁部に沿って3つのカム溝278、279、280が形成されている。
【0059】
デフロスタドア20の回転軸20a、フェイスドア23の回転軸23a、およびフットドア26の回転軸26aにはそれぞれ駆動レバー281、282、283の一端が連結され、駆動レバー281、282の他端に設けられたピン284、285がそれぞれカム溝278、279内に摺動可能に嵌入されている。このため、吹出モード用リンク274の回転により駆動レバー281、282を介してデフロスタドア20とフェイスドア23が角度θb、θcの範囲で回転操作される。
【0060】
一方、フットドア26の回転軸26aに連結された駆動レバー283の他端部には溝部286が形成され、この溝部286に中継レバー287の先端部のピン288が摺動可能に嵌入されている。中継レバー287は回転軸289を中心として回転可能なもので、中継レバー287のうち、回転軸289と先端部のピン288との中間部位にもピン290が配置され、このピン290はカム溝280内に摺動可能に嵌入されている。
【0061】
これにより、吹出モード用リンク274が回転すると、中継レバー287が回転軸289を中心として回転し、これに伴って、駆動レバー283を介してフットドア26が角度θdの範囲で回転操作される。
【0062】
次に、図3は車室内前部の計器盤付近に配置される空調操作パネル30を示しており、本例では、空調操作パネル30の前面に乗員により手動操作される操作部材として回転式ノブを持つ温度設定器31が設けられ、また、押しボタン式にて手動操作されるオートスイッチ32、デフロスタスイッチ33、エアコンスイッチ34、および内外気スイッチ35が設けられている。
【0063】
温度設定器31は車室内の設定温度信号を発生する。オートスイッチ32は空調自動制御の起動信号を出力するとともに、送風機ユニットの電動送風ファン(図示せず)の作動を断続する信号を出力する。デフロスタスイッチ33は本例のデフロスタ指令手段を構成するもので、デフロスタモードを指令する信号を出力する。
【0064】
エアコンスイッチ34は空調用冷凍サイクルの圧縮機(図示せず)の作動を断続する信号を出力する。内外気スイッチ35は送風機ユニットの内外気切替箱(図示せず)の内外気切替を行う信号を出力する。
【0065】
次に、本実施形態における電気制御部の概要を図4により説明すると、空調用電子制御装置41には、空調の自動制御のために、内気温TR、外気温TAM、日射量TS、蒸発器吹出温度(蒸発器冷却度合)TE、ヒータコア13の温水温度TW等を検出する周知のセンサ群42から検出信号が入力される。
【0066】
また、空調操作パネル30の温度設定器31から入力される車室内の設定温度信号Tsetの他に、前述の各スイッチ32〜35から操作信号が空調用電子制御装置41に入力される。また、ポテンショメータ43はモータアクチュエータ28の出力軸28aに連結されてモータアクチュエータ28の実際の作動角(回転角)を検出するもので、このポテンショメータ43からはモータアクチュエータ28の作動角の検出信号が空調用電子制御装置41に入力される。
【0067】
なお、空調用電子制御装置41はCPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータと、その周辺回路にて構成されるもので、予め設定されたプログラムに従って所定の演算処理を行って、モータアクチュエータ28、内外気切替ドア(図示せず)の駆動用モータアクチュエータ44、送風ファン(図示せず)の駆動用モータ45、圧縮機作動断続用の電磁クラッチ46等の通電制御を行うようになっている。
【0068】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。図5のフローチャートは空調用電子制御装置41のマイクロコンピュータにより実行される制御処理の概要を示し、図5の制御ルーチンは、車両エンジンのイグニッションスイッチがオンされて制御装置41に電源が供給された状態において、空調操作パネル30のオートスイッチ32が投入されるとスタートする。
【0069】
先ず、ステップS100ではフラグ、タイマー等の初期化がなされ、次のステップS110で、センサ群42、43からの検出信号、空調操作パネル30からの操作信号等を読み込む。
【0070】
続いて、ステップS120にて、下記数式1に基づいて、車室内へ吹き出される空調風の目標吹出温度TAOを空調の熱負荷条件(内気温TR、外気温TAM、日射量TS)に応じて算出する。この目標吹出温度TAOは車室内を温度設定器31の設定温度Tsetに維持するために必要な吹出温度である。
【0071】
【数1】
TAO=Kset ×Tset −Kr ×TR−Kam×TAM−Ks ×TS+C
但し、Kset 、Kr 、Kam、Ks は制御ゲインで、Tset、TR、TAM、TSは前述の設定温度、内気温、外気温、日射量で、Cは補正用の定数である。
【0072】
次に、ステップS130に進み、エアミックスドア16および吹出モードドア20、23、26を駆動するモータアクチュエータ28の作動角の目標値SWを算出する。この作動角の目標値SWの算出の詳細は後述する。
【0073】
次に、ステップS140にて送風機ユニットの送風ファンにより送風される空気の目標送風量BLWを上記TAOに基づいて算出する。この目標送風量BLWの算出方法は周知であり、上記TAOの高温側(最大暖房側)および低温側(最大冷房側)で目標風量を大きくし、上記TAOの中間温度域で目標風量を小さくする。
【0074】
次に、ステップS150にて上記TAOに応じて内外気モードを決定する。この内外気モードは周知のごとくTAOが低温側から高温側へ上昇するにつれて、内気モード→外気モードと切替設定するか、あるいは全内気モード→内外気混入モード→全外気モードと切替設定する。
【0075】
次に、ステップS160にて圧縮機のON−OFFを決定する。具体的には、上記TAOと外気温TAMに基づいて目標蒸発器吹出温度TEOを算出し、実際の蒸発器吹出温度TEと目標蒸発器吹出温度TEOとを比較して、TE>TEOのときは圧縮機ONとし、TE≦TEOのときは圧縮機OFFとする。
【0076】
次に、ステップS170にて上記各ステップS130〜S160で演算された各種制御値をモータアクチュエータ28、45、送風ファン駆動用モータ44および電磁クラッチ46に出力して空調制御を行う。すなわち、モータアクチュエータ28は、ポテンショメータ43により検出される実際の作動角がステップS130の目標作動角SWと一致するように、作動角が制御される。
【0077】
また、送風ファン駆動用モータ44はステップS140の目標風量BLWが得られるように印加電圧が制御されて回転数が制御される。また、内外気切替用モータアクチュエータ45はステップS150の内外気モードが得られるように内外気ドア(図示せず)の操作位置を制御する。電磁クラッチ46は実際の蒸発器吹出温度TEが目標蒸発器吹出温度TEOとなるように圧縮機作動をON−OFF制御する。
【0078】
次に、ステップS130によるモータアクチュエータ28の作動角の目標値SWの具体的算出方法を図6により説明する。まず、ステップS131にて、上記目標吹出温度TAOに基づいて仮の作動角目標値SWDを上記目標吹出温度TAOに基づいて算出する。この仮の目標値SWDは具体的には、次の数式2により算出する。
【0079】
【数2】
SWD={(TAO−TE)/(TW−TE)}×K(°)
但し、Kは、(TAO−TE)/(TW−TE)で算出されるエアミックスドア16の開度割合の目標値をアクチュエータ28の作動角の目標値に換算するための係数であり、TEは前述の蒸発器吹出温度で、TWはヒータコア13の温水温度である。
【0080】
次に、図6のステップS132にて、デフロスタスイッチ33からデフロスタモードの指令が出ているか判定する。デフロスタモードの指令がないときはステップS133に進み、モータアクチュエータ28の作動角の目標値SW=SWDとする。
【0081】
ここで、ステップS133による作動を図7により具体的に説明すると、図7は横軸にモータアクチュエータ28の作動角(°)をとり、縦軸はエアミックスドア16の開度(%)と吹出モードドア20、23、26の回転角(°)を示す。横軸のAはモータアクチュエータ28の作動角のうち、温度制御領域を示している。この温度制御領域Aは、上記した仮の目標値SWDにより決定される作動角度範囲(図7横軸の0°〜所定値θ5の範囲)を持っている。
【0082】
SWD≦0°であると、モータアクチュエータ28の実際の作動角を0°にしてエアミックスドア16の開度を0%の最大冷房位置にする。この最大冷房位置は図1の実線で示すようにヒータコア13の通風路を全閉し、冷風バイパス通路15を全開する位置である。
【0083】
作動角の目標値SWDが0からθ1、θ2、θ3、θ4と順次増大するにつれてエアミックスドア16の開度が増大し、そして、SWDがθ5まで増大すると、モータアクチュエータ28によりエアミックスドア16を開度:100%の最大暖房位置に操作する。この最大暖房位置は図1の2点鎖線で示すように冷風バイパス通路15を全閉し、ヒータコア13の通風路を全開する位置である。
【0084】
このように、モータアクチュエータ28の作動角のうち、温度制御領域Aでは、エアミックスドア16の開度(操作位置)を、0%の最大冷房位置からドア開度=100%の最大暖房位置まで連続的に変化させることにより、冷温風の混合割合を調整して車室内への吹出温度を制御できる。
【0085】
また、これと同時に、温度制御領域Aではエアミックスドア16の開度変化に連動して吹出モードが次のように変更される。すなわち、モータアクチュエータ28の作動角(目標値SWD)=0〜θ1の区間では、図2のリンク機構27を介して3つの吹出モードドアのうち、デフロスタドア20とフットドア26の回転角=0となり、デフロスタ開口部19とフット開口部24が全閉する。これに対し、フェイスドア23はその回転角が最大(回転角=θc)となって、フェイス開口部22を全開するので、乗員顔部側へ空気を吹き出すフェイスモードが設定される。
【0086】
次に、作動角=θ2〜θ3の区間では、デフロスタドア20がデフロスタ開口部19の全閉状態を維持するとともに、フェイスドア23とフットドア26がフェイス開口部22とフット開口部24をそれぞれ所定開度開くので、乗員顔部側と足元側の両方へ空気を吹き出すバイレベル(B/L)モードが設定される。
【0087】
次に、作動角=θ4〜θ5の区間では、フェイスドア23の回転角が0となって、フェイス開口部22を全閉するとともに、フットドア26の回転角が最大(回転角=θd)となって、フット開口部24を全開する。また、デフロスタドア20が小角度回転してデフロスタ開口部19を小開度だけ開く。これにより、乗員足元側に主に空気を吹き出すとともに少量の空気を窓ガラス側へ吹き出すフットモードが設定される。
【0088】
なお、作動角=θ1〜θ2の区間および作動角=θ3〜θ4の区間は吹出モード切替のために吹出モードドア20、23、26を回転変位させる区間であり、そのため、この区間ではエアミックスドア16の開度が変化せず、一定に維持される。
【0089】
以上のごとくして、温度制御領域Aでは、1つの共通のモータアクチュエータ28の作動角の変化によりエアミックスドア16の開度変化(吹出温度制御)と吹出モードの切替(フェイス、バイレベル、フットの各モード間の切替)とを行うことができる。
【0090】
ところで、乗員により窓ガラスの曇り除去の必要性が判断され、デフロスタスイッチ33が投入されると、図6のステップS132にて、デフロスタモードの指令が出ていると判定され、ステップS134に進む。このステップS134では、前述の目標値SWDに所定値αを加算して、モータアクチュエータ28の作動角の目標値SW=SWD+αとして算出する。
【0091】
この所定値αは、モータアクチュエータ28の作動角を図7のθ6(θ6>θ5)より大きい角度範囲に強制的に増大させるためのもので、この所定値αの加算によりモータアクチュエータ28の作動角を温度制御領域Aの範囲外に位置するデフロスタ設定領域Bに移行させる。
【0092】
このデフロスタ設定領域Bでは、フェイスドア23とフットドア26の回転角が0となって、フェイス開口部22とフット開口部24をともに全閉するとともに、デフロスタドア20の回転角が最大(回転角=θb)となって、デフロスタ開口部19を全開するので、デフロスタモードが設定される。これにより、送風空気の全量を窓ガラス側へ吹き出すことができ、窓ガラスの曇り除去能力を最大に発揮できる。
【0093】
なお、作動角=θ5〜θ6の区間はデフロスタモードへの切替のためにフットドア26とデフロスタドア20を回転変位させる区間であり、そのため、この区間ではエアミックスドア16の開度が変化せず、最大暖房位置のままに維持される。
【0094】
そして、デフロスタ設定領域Bにおいても上記所定値αを次のように可変することにより吹出温度を自動制御できる。すなわち、図8はモータアクチュエータ28の作動角の変化に対するエアミックスドア16の開度変化と吹出モードの切替とを概略的に示すもので、デフロスタモードの指令が出たときには、次の数式3によりモータアクチュエータ28の作動角の目標値SWを算出する。
【0095】
【数3】
SW=k1(θx−SWD)+θx
=SWD+α
数式3において、θxは図7においてエアミックスドア16の開度が最大暖房位置のままに維持される区間θ5〜θ6の中間の作動角である。係数k1は、フットモードにおけるモータアクチュエータ28の作動角に対するエアミックスドア16の開度変化の割合(傾き)と、デフロスタモードにおけるモータアクチュエータ28の作動角に対するエアミックスドア16の開度変化の割合(傾き)との差を補正するもので、この両モードでのエアミックスドア開度変化の割合が同一の場合は係数k1=1となり、この場合は、α=2(θx−SWD)となる。
【0096】
このように、デフロスタ設定領域では、モータアクチュエータ28の作動角の増大によりエアミックスドア開度が開度=100%の最大暖房位置から開度減少側へ変化するとともに、エアミックスドア開度=100%の最大暖房位置におけるモータアクチュエータ作動角θxとSWDとの差に応じて、加算分の作動角αを決めることにより、デフロスタモード設定前の直前のエアミックスドア開度をデフロスタモード後も継続できる。
【0097】
従って、デフロスタモード設定の前後で吹出温度の制御をスムースに継続でき、デフロスタ設定領域Bにおいても吹出温度を良好に自動制御できる。なお、加算分の作動角αを目標吹出温度TAOや外気温TAMにより補正してもよい。具体的には、目標吹出温度TAOが高いほど、また、外気温TAMが低いほど暖房熱負荷が大きいことになるので、加算分の作動角αを小さくして、デフロスタモードでのエアミックスドア開度が大きくなるようにしてもよい。
【0098】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、マニュアル操作されるデフロスタスィッチ33のON、OFFにてデフロスタモードの指令有無を判定しているが、第2実施形態においては図9に示すようにステップS132aにおいて外気温TAMが所定値(例えば、−10℃)以下であるか判定して、TAM≦−10℃のときはステップS134に進み、デフロスタモードを設定する。
【0099】
従って、第2実施形態によると、TAM≦−10℃のときは、乗員がデフロスタスィッチ33をマニュアル操作することなく、デフロスタモードの指令を自動的に出して、デフロスタモードによる窓ガラスの曇り除去能力を発揮できる。従って、第2実施形態ではステップS132aがデフロスタモード指令手段を構成している。
【0100】
なお、デフロスタモード指令のための情報として、外気温TAM以外に、例えば、車両窓ガラス内面近傍の湿度を湿度センサにより検出し、この湿度センサの検出信号に基づいて車両窓ガラスの曇り条件を判定し、この判定結果に基づいてデフロスタモードの指令を自動的に出すようにしてもよい。
【0101】
また、デフロスタスィッチ33によるデフロスタモードのマニュアル指令の有無、および外気温TAM、車両窓ガラス内面近傍の湿度等によるデフロスタモードの自動指令の有無を判定し、マニュアル指令および自動指令のいずれか一方により、デフロスタモードを設定してもよい。
【0102】
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、モータアクチュエータ28の作動角のうちデフロスタ設定領域Bに、窓ガラス側に空気を吹き出すデフロスタモードのみを設定しているが、第3実施形態では、デフロスタ設定領域Bにデフロスタモードとフットデフロスタモードの両方を設定するようにしたものである。なお、第3実施形態ではフットデフロスタモードの指令を行うフットデフロスタスィッチ(図示せず)を図3の空調操作パネル30に追加する。
【0103】
図10は第3実施形態によるモータアクチュエータ28の作動特性を示すもので、第1実施形態の図7に対応している。第3実施形態では、デフロスタ設定領域Bにおいてモータアクチュエータ28の作動角の小さい側の所定範囲(θ6〜θ6’の範囲)にてデフロスタドア20を全開させてデフロスタモードを設定する。
【0104】
そして、モータアクチュエータ28の作動角がθ6’からθ7に向かって増大するにつれて、デフロスタドア20の開度を徐々に減少させるとともに、フットドア26の開度を徐々に増加させる。これにより、デフロスタドア20とフットドア26によりフット開口部24とデフロスタ開口部19を両方とも開くフットデフロスタ(F/D)モードを設定できる。図10の例では、θ6’からθ7に向かう作動角範囲の前半部では、フット開口部24に比してデフロスタ開口部19の開度が大きいデフロスタ主体のフットデフロスタモードを設定し、θ6’からθ7の作動角範囲の後半部では、デフロスタ開口部19に比してフット開口部24の開度が大きいフット主体のフットデフロスタモードを設定する。
【0105】
以上のように、フットデフロスタモードを設定することにより、デフロスタ開口部19とフット開口部24の両方から空気を窓ガラス側と乗員足元側へ吹き出すことができ、窓ガラスの曇り除去能力を確保しながら、乗員足元への暖房能力を発揮できる。
【0106】
なお、第1実施形態で説明したようにフットモードではデフロスタ開口部19からの吹出風量がフット開口部2からの吹出風量に比較して大幅に少量であるが、フットデフロスタモードでは、フットモードに比較してデフロスタ開口部19の開度を大きくして窓ガラス側へのデフロスタ吹出風量を増加させるので、窓ガラスの曇り除去能力をフットモード時より大幅に向上できる。
【0107】
また、第3実施形態のデフロスタ設定領域Bでもエアミックスドア開度を開度100%の最大暖房位置から所定量開度減少側へ操作することにより、デフロスタモードとフットデフロスタモードにおける吹出温度の制御を行うことができる。
【0108】
(第4実施形態)
第4実施形態は、上記第3実施形態においてデフロスタ設定領域Bでのデフロスタモードとフットデフロスタモードを外気温TAMとエアミックスドア16の開度(以下、A/M開度という)の条件に応じて自動切替するものである。
【0109】
まず、最初に第4実施形態による制御(デフロスタモードとフットデフロスタモードの自動切替)の考え方について説明する。図11(a)は前述の図5のステップS140において、TAOにより決定される目標風量BLWの基本制御のマップである。図11(a)に示すように上記TAOの高温側(最大暖房側)および低温側(最大冷房側)で目標風量BLWを大きくし、上記TAOの中間温度域で目標風量BLWを小さくする。
【0110】
これに対し、図11(b)は冬季暖房始動時にヒータコア温水温度Twが低いために冷風が車室内へ吹き出すことを防止するための暖房始動時制御の目標風量マップである。ヒータコア温水温度Twが第1所定温度(例えば、30℃)より低いときは送風機ユニットのファン駆動モータ44への通電を遮断して送風ファンを停止させ、そして、ヒータコア温水温度Twが第1所定温度を超えると送風ファンを最低風量Loで起動させる。
【0111】
ヒータコア温水温度Twが第1所定温度から第2所定温度(例えば、60℃)に向かって上昇すると、これに連動して送風機7のファン駆動モータ13への印加電圧を上昇させ、これにより、目標風量BLWを最低風量Loから最高風量Hiに向かって上昇させる。水温Twが第2所定温度(60℃)より高くなると、暖房始動時制御を終了し、これ以降は図11(a)の基本制御マップにより目標風量BLWを決定する定常状態に移行する。
【0112】
外気温が0℃以下となるような寒冷時において、暖房を開始した当初の過渡時(すなわち、車室内の暖房を開始した当初の、車室内温度が安定するまでの期間であるウォームアップ時)には、車室内への吹出温度が低いとともに吹出風量が減少するので、窓ガラス温度が低下して窓ガラスの曇りが発生しやすい状況が生まれる。これに反し、ウォームアップ終了後の定常状態では車室内への吹出温度および吹出風量がともに上昇するので、窓ガラス温度が上昇して窓ガラスの曇りを防止しやすくなる。
【0113】
そこで、冬季暖房時におけるウォームアップ時と定常時とで窓ガラスの曇り発生状況が上記のように変化する点に着目して、第4実施形態では、ウォームアップ時にはデフロスタモードを選択して窓ガラスの曇り除去能力を増大させ、また、定常時にはフットデフロスタモードを選択して窓ガラスの曇り除去能力の確保と車室内暖房性能の発揮とを両立させるものである。
【0114】
図12のフローチャートは、第4実施形態によるデフロスタスイッチ33の投入時におけるデフロスタモードとフットデフロスタモードの切替制御の具体的一例を示すもので、図6、図9に対応するものである。
【0115】
まず、ステップS131にて、図6と同様に、目標吹出温度TAOに基づいて仮の作動角目標値SWDを前述の数式2により算出するとともに、前述の数式2を変形させた、{(TAO−TE)/(TW−TE)}×100の式によりエアミックスドア16の開度(%)の目標値(以下、単にA/M開度という)を算出する。
【0116】
次のステップS132にて、デフロスタモードの指令が出ていないと判定されたときはステップS133に進み、モータアクチュエータ28の作動角の目標値SW=SWDとする。
【0117】
これに対し、デフロスタスイッチ33の投入によりデフロスタモードの指令が出ているときは、次のステップS135にて、外気温TAMが第1所定値(例えば、−20℃)以下か判定する。判定がYESのとき(極寒冷時)は次のステップS136に進み、上記A/M開度が最大暖房側の第1所定値(例えば、90%)以上であるか判定する。
【0118】
ステップS136の判定がYESのときは暖房開始直後のウォームアップ状態(過渡状態)であるとし、次のステップS137に進み、モータアクチュエータ28の作動角の目標値SW=SWD+α1とする。α1はデフロスタモード位置が得られる値で、このSWD+α1は図10のθ6近傍の値である。
【0119】
これにより、極寒冷時の暖房開始直後のウォームアップ状態では、デフロスタスイッチ33の投入によりデフロスタモードを設定して、窓ガラスの曇り除去能力を優先的に発揮させることができる。
【0120】
一方、デフロスタモードの実行により内気温が上昇して、A/M開度が90%より小さくなると、ステップS136の判定がNOとなり、ウォームアップ状態(過渡状態)から定常状態に移行したと判定する。これによりステップS136からステップS138に進み、モータアクチュエータ28の作動角の目標値SW=SWD+α2とする。α2は作動角としてフットデフロスタモード位置が得られる値で、このSW=SWD+α2は図10のθ7近傍の値である。
【0121】
これにより、デフロスタスイッチ33の投入時でも、フットデフロスタモードに自動切り替えして、乗員足元への暖房能力を向上できるとともに、デフロスタモードの継続による乗員顔部の火照り感の発生を未然に防止できる。
【0122】
一方、外気温TAMが第1所定値(例えば、−20℃)より高いときはステップS135からステップS139に進み、外気温TAMが第2所定値(例えば、−10℃)より低いか判定する。外気温TAMが−10℃より低いときは次のステップS1391に進み、A/M開度が最大暖房側の第2所定値(例えば、80%)以上であるか判定する。
【0123】
ステップS1391の判定がYESのときはウォームアップ状態であるとし、前述のステップS137に進み、モータアクチュエータ28の作動角の目標値SW=SWD+α1として、デフロスタモードを設定する。
【0124】
そして、デフロスタモードの実行により内気温が上昇して、A/M開度が80%より小さくなると、ステップS1391の判定がNOとなり、ウォームアップ状態から定常状態に移行したと判定する。これにより、ステップS1391からステップS138に進み、モータアクチュエータ28の作動角の目標値SW=SWD+α2として、フットデフロスタモードを設定する。
【0125】
次に、外気温TAMが第2所定値(例えば、−10℃)より高いときはステップS139からステップS1392に進み、外気温TAMが第3所定値(例えば、0℃)より低いか判定する。外気温TAMが0℃より低いときは次のステップS1393に進み、A/M開度が最大暖房側の第3所定値(例えば、70%)以上であるか判定する。
【0126】
ステップS1393の判定がYESのときはウォームアップ状態であるとし、前述のステップS137に進み、モータアクチュエータ28の作動角の目標値SW=SWD+α1として、デフロスタモードを設定する。
【0127】
そして、デフロスタモードの実行により内気温が上昇して、A/M開度が70%より小さくなると、ステップS1393の判定がNOとなり、ウォームアップ状態から定常状態に移行したと判定する。これにより、ステップS1393からステップS138に進み、モータアクチュエータ28の作動角の目標値SW=SWD+α2として、フットデフロスタモードを設定する。
【0128】
以上により、外気温TAMが−20℃〜0℃の間にあるときにも、暖房開始直後のウォームアップ状態では、デフロスタスイッチ33の投入によりデフロスタモードを設定して、窓ガラスの曇り除去能力を優先的に発揮させることができる。そして、ウォームアップ状態から定常状態に移行すると、デフロスタスイッチ33の投入時でも、フットデフロスタモードに自動切り替えして、乗員足元への暖房能力を向上させ、かつ、デフロスタモードの継続による乗員顔部の火照り感の発生を未然に防止できる。
【0129】
次に、外気温TAMが0℃より高いときは、ステップS141から常にステップS137に進み、デフロスタモードを設定する。これは次の理由による。一般に、外気温TAMが0℃より高いときは、定常状態では、車両窓ガラス温度の上昇により窓ガラスが曇りにくい状況にある。それにもかかわらず、乗員がデフロスタスイッチ33を投入してデフロスタモード設定の指令を出すということは、何らかの特殊要因により窓ガラスの曇りが発生したと考えられる。
【0130】
そこで、TAM>0℃のときは、常にステップS137にてデフロスタモードを設定して、暖房能力を窓ガラスの曇り除去のために集中的に発揮させるようにしている。
【0131】
ところで、冬季の暖房時において、外気温TAMが低下するにつれて暖房負荷が大きくなるため、低外気温時には定常時でもエアミックスドア16の開度が最大暖房側の大きい値で安定する。
【0132】
そこで、本第4実施形態では、ウォームアップ状態(過渡状態)か定常状態かを判定するA/M開度の判定値(第1〜第3所定値)を上述のごとく外気温TAMの低下につれて、第3所定値(70%)→第2所定値(80%)→第1所定値(90%)と順次大きくしている。これにより、極寒冷条件でも定常状態への移行を確実に判定して、フットデフロスタモードへの自動切替を行うことができる。従って、極寒冷時でもデフロスタモードの長時間継続による乗員顔部の火照り感の発生を未然に防止できる。図13は第4実施形態によるデフロスタモードとフットデフロスタモードの自動切替の作動をまとめたものである。
【0133】
上述の作動説明では、フットデフロスタモードを設定するためのモータアクチュエータ28の作動角の目標値SW=SWD+α2としており、α2の具体的設定方法を説明しなかったが、図14の矢印▲2▼、▲3▼に示すように、仮の作動角目標値SWDが大きくなるにつれて(換言すると、A/M開度が大きくなるにつれて)、α2を小さくすることにより、フットデフロスタモードを設定する場合に、SWDおよびA/M開度が大きい側では、フット吹出風量に比較してデフロスタ吹出風量が大きいフットデフロスタモードを設定できる。
【0134】
そして、SWDおよびA/M開度が小さくなるにつれて、順次、デフロスタ吹出風量を減少させ、フット吹出風量を増加させることができる。なお、図14の矢印▲1▼はデフロスタモード設定時のα1を示す。
【0135】
(第5実施形態)
上記第3〜第4実施形態では、デフロスタ設定領域B内に、デフロスタモードとフットデフロスタモードを設定しているが、第5実施形態ではフットデフロスタモードを温度制御領域A内に設定する。
【0136】
フットデフロスタモードは、一般に、寒冷時において用いられ、窓ガラスの曇り除去能力と乗員足元への暖房能力を双方とも高めることが要請される。
【0137】
この点に鑑みて第5実施形態では、図15に示すように、温度制御領域A内のうち、モータアクチュエータ28の作動角が最も増大する領域、すなわち、A/M開度が最大暖房位置に隣接する最も大きい側にてフットデフロスタモードを設定している。
【0138】
従って、第5実施形態では、モータアクチュエータ28の作動角が増大するにつれて、温度制御領域A内でフェイス→バイレベル→フット→フットデフロスタモードの順に吹出モードを切り替える。そして、デフロスタモード設定領域Bでは、デフロスタモードのみを設定する。
【0139】
(第6実施形態)
まず、最初に、第6実施形態の課題を説明する。図16は第1実施形態の図7に対応するもので、車室内への吹出空気温度および吹出モードとモータアクチュエータ28の作動角との関係を示す。作動角=θ6〜θ7の区間(=領域B)でデフロスタモードを設定する。
【0140】
デフロスタモードでは、エアミックスドア16の開度が図7の下段に示すように最大暖房状態(開度100%)とこれから所定割合だけ開度が減少した中間開度との間の範囲に設定される。従って、デフロスタモードにおける車室内への吹出温度は、このエアミックスドア開度に基づいて最大暖房域の最高温〜40℃程度の温度となる。つまり、デフロスモードでは車室内への吹出温度の下限値が40℃程度に制限されてしまう。この吹出温度の下限は、図2に示すリンク機構27の構成上の制限から必然的に生じる。
【0141】
従って、春秋の中間期や夏場にフェイスモードやバイレベルモードで車室内の空調を行っている状態において窓ガラスの曇り止めのために、乗員がデフロスタスイッチ33(図3)を投入し、デフロスタモードが設定されると、車室内への吹出温度が上記下限値近傍の温度に上昇する。
【0142】
すると、内気温(車室内温度)Trが上昇するので、数式1により算出される目標吹出温度TAOが低温側に移行する。その結果、車室内への吹出空気の風量が増加する。このことを図17の風量制御特性により具体的に説明すると、図17は前述の図11(a)と実質的に同一であり、目標吹出温度TAOの中間温度域(T1≦TAO≦T2)で車室内吹出空気の風量レベル(目標風量BLW)が最小風量LOとなり、TAOの低温域(TAO<T1)ではTAOの低下とともに吹出風量を増加させ、一方、TAOの高温域(TAO>T2)ではTAOの上昇とともに吹出風量を増加させるようになっている。
【0143】
ところで、中間期の定常運転では、TAOが中間温度域内のT3(a点)付近にあって、風量レベルは最小値LOとなって安定しているが、中間期にデフロスタモードが設定されると、吹出空気温度の上昇→内気温Trの上昇→TAOの低下→風量増加というサイクルが起こる。図17の例では、デフロスタモードの設定によりTAOがT1(a点)→T4(b点)に低下した場合を示しており、このTAOの低下により、風量レベルは最小レベルLOから所定の中間レベルME1へと所定量増加する。この風量レベルの増加により車室内への供給熱量Qが増加して、内気温Trの上昇を更に加速するという悪循環が発生する。
【0144】
夏場においても、例えば、デフロスタモードの設定前に、風量レベルが図17の中間レベルME1(b点)であった場合にデフロスタモードを設定すると、TAOがT4(b点)→T5(c点)に低下し、風量レベルが図17の中間レベルME2に増加し、やはり内気温Trの上昇を加速するという悪循環が発生する。
【0145】
このように、春秋の中間期や夏場においてデフロスタモードを設定すると、車室内への供給熱量Qが増加して内気温Trが上昇し、乗員が火照り感を感じて空調フィーリングを悪化させる。
【0146】
そこで、第6実施形態では上記点に鑑みて、春秋の中間期や夏場においてデフロスタモードの設定に伴う空調フィーリングの悪化を防止することを目的として案出されたものである。
【0147】
このために、第6実施形態では、中間期や夏場の環境条件ではデフロスタモードの設定に伴う車室内への供給熱量Qの増加を抑制するようにしたものである。
【0148】
図18は第6実施形態によるデフロスタモード時の制御を示すフローチャートであり、まず、ステップS120では、図5のステップS120と同様の方法で目標吹出温度TAOを算出する。次のステップS132では、図6のステップS132と同様に、デフロスタスイッチ33(図3)の投入有無(ON、OFF)によりデフロスタモードの指令有無を判定する。
【0149】
デフロスタモードの指令が出ていないときはステップS180に進み、TAOに基づく通常の空調制御を行う。すなわち、フェイス、バイレベル、フットの各吹出モードにおいて、TAOに基づいて図5のステップS130〜ステップS160の制御処理を行う。
【0150】
一方、デフロスタモードの指令が出ているときはステップS132からステップS190に進み、TAOが図17の所定温度T1(例えば、10℃)より低い低温域にあるかを判定する。ここで、所定温度T1はデフロスタモードの実行により車室内への供給熱量Qが増加する条件に該当するかどうかの判定を行うためのTAO判定値である。
【0151】
このことを更に図19に基づいて説明すると、図19は図17の風量制御特性図にデフロスタモードの吹出温度制御特性図を組み合わせたもので、デフロスタモードの吹出温度Taは図19に示す下限値Ta1(例えば、40℃)と最大暖房による最高値Ta2(例えば、65℃)との間で制御可能である。しかし、前述のリンク機構27による制約から、TAOが中間温度域の所定温度T6(例えば、40℃)より低いときは、デフロスタモードの吹出温度Taは下限値Ta1一定に固定されたままとなる。
【0152】
よって、デフロスタモードの設定時にTAOが所定温度T1(例えば、10℃)より低い低温域にあるということは、中間期や夏場の空調条件にあって、デフロスタモードの実行により吹出温度Taの上昇(Ta1への上昇)→内気温Trの上昇→TAOの低下→風量増加による供給熱量Qの増加が生じる条件に該当することを判定できる。
【0153】
従って、TAOが所定温度T1より低いときは、ステップS200に進み、熱量Q制限付きのデフロスタモード制御を行う。すなわち、供給熱量Qがデフロスタモード指令直後の供給熱量に保持されるように吹出風量BLWを制限する。
【0154】
ここで、供給熱量Qの制御のためには吹出温度Taを制御してもよいが、中間期や夏場の環境条件、すなわち、TAO<T1のときにはデフロスタモードにおける吹出温度Taが下限値Ta1に固定されるので、供給熱量Qの制御のために吹出温度Taを引き下げることができない。従って、吹出風量BLWの制限によりデフロスタモード時の供給熱量Qを制御することになる。
【0155】
より具体的には、ステップS200において、デフロスタモード指令直後のTAOにより決まる吹出風量BLWを、その後のTAOの低下にかかわらず、保持する。つまり、TAO<T1のときには吹出風量BLWをデフロスタモード指令直後の風量に制限(固定)する。この結果、デフロスタモードの実行後に内気温Trの上昇→TAOの低下→吹出風量BLWの増加→内気温Trの上昇加速という悪循環が起きるのを防止できる。
【0156】
従って、中間期や夏場のデフロスタモード時にも、供給熱量Q(内気温Tr)の上昇による乗員の火照り感を抑制できる。
【0157】
一方、ステップS190でTAOがT1より高いと判定されたときはステップS210に進み、通常のデフロスタモード制御を行う。すなわち、この通常のデフロスタモード制御では、第1実施形態で既述したようにTAOに基づいてモータアクチュエータ28の作動角を決定し、これに伴ってエアミックスドア開度が決まり、これにより、吹出温度Taが図19のように決まる。また、吹出風量BLWも図19のようにTAOに基づいて決まる。
【0158】
なお、上記第6実施形態ではステップS200において、デフロスタモード指令直後の吹出風量BLWを、その後のTAOの低下にかかわらず、保持するようにしているが、デフロスタモード指令直後の吹出風量BLWが最小風量LOより大きいときは吹出風量引き下げの余地があるので、吹出風量BLWを最小風量LOまで引き下げたり、吹出風量BLWを所定量引き下げるようにしてもよい。
【0159】
つまり、中間期や夏場で使用されるフェイスモードあるいはバイレベルモードの吹出温度は通常デフロスタモードにおける吹出温度Taの下限値Ta1より低いので、これらの吹出モードからデフロスタモードに切り替えると、吹出温度が上昇することになる。そこで、吹出風量引き下げの余地があるときは、デフロスタモードへの切替に伴う吹出温度上昇を吹出風量の引き下げで抑制(相殺)するようにした方が空調フィーリング改善のためにより好ましい。
【0160】
(第7実施形態)
上記第6実施形態では、図16に示すようにデフロスタ設定領域Bにおいてデフロスタモードだけを設定する場合について説明したが、第7実施形態は図20に示すようにデフロスタ設定領域Bにおいてデフロスタモードとフットデフロスタモードの両方を設定する場合である。
【0161】
図20は第3実施形態の図10に対応する図であり、図20ではモータアクチュエータ28の作動角=θ6〜θ6’の区間でデフロスタモードを設定し、作動角=θ6’〜θ7’の区間はデフロスタモードとフットデフロスタモードとの切替のための区間であり、作動角=θ7’〜θ7の区間でフットデフロスタモードを設定する。
【0162】
このように、デフロスタ設定領域Bにおいてデフロスタモードとフットデフロスタモードの両方を設定する場合において、中間期や夏場の環境条件ではデフロスタモードとフットデフロスタモードの両方で図18のステップS200による熱量制限の制御を行う。これにより、フットデフロスタモードの設定時にも、供給熱量Qの増加(内気温Trの上昇)による乗員の火照り感を抑制して空調フィーリングの悪化を抑制できる。
【0163】
なお、第7実施形態は図18の制御フローチャートにおいて、ステップS132でデフロスタモードまたはフットデフロスタモードの指令有無を判定し、その指令ありのときは、ステップS190、S200、S210でそれぞれデフロスタモードまたはフットデフロスタモードの処理を行うようにすればよい。
【0164】
(第8実施形態)
前述したように中間期や夏場で使用されるフェイスモードあるいはバイレベルモードの吹出温度は通常デフロスタモードにおける吹出温度Taの下限値Ta1より低いので、これらの吹出モードからデフロスタモード(またはフットデフロスタモード)に切り替えると、吹出温度が上昇し、車室内への供給熱量が増加することになる。しかし、デフロスタモード指令直後の吹出風量BLWが最小風量LOであるときは室内への供給熱量の増加を吹出風量引き下げにより抑制(相殺)することができない。
【0165】
そこで、第8実施形態では、図21に示すように、デフロスタモードまたはフットデフロスタモード時には吹出風量BLWの制御特性として、通常制御時の最低風量LOより更に一段と少ない微小風量(ウルトラLO)ULOを設定できるようにしたものである。
【0166】
第8実施形態によると、吹出風量BLWを通常制御時の最低風量LOより更に一段と少ない微小風量ULOまで引き下げることができるので、吹出温度Taを下限温度Ta1より引き下げできないことを吹出風量の引き下げにより補って、車室内への供給熱量の増加を抑制できる。
【0167】
その結果、第8実施形態によると、中間期や夏場の環境条件においてデフロスタモードまたはフットデフロスタモードの設定前後での車室内供給熱量を一定のままに保持することが可能となり、空調フィーリングの悪化をより一層効果的に抑制できる。
【0168】
(第9実施形態)
図17に示すように、中間期や夏場の環境条件においてデフロスタモードまたはフットデフロスタモードを設定すると、吹出温度Ta(熱量Q)の上昇による内気温Trの上昇→TAOの低下→吹出風量BLWの増加→内気温Trの上昇加速という悪循環が発生するのであるが、この悪循環はTAOの低下が原因になっている。
【0169】
そこで、第9実施形態ではこの点に着目して、デフロスタモードまたはフットデフロスタモードの指令直後のTAOを基準TAOαとして記憶(固定)しておき、その後のデフロスタモードまたはフットデフロスタモードの空調制御をこの基準TAOαに基づいて行う。
【0170】
これによると、デフロスタモードまたはフットデフロスタモードの実行により、内気温Trが上昇しても基準TAOαに基づいて吹出風量BLWを決定できる。より具体的に説明すると、デフロスタモードまたはフットデフロスタモードの指令直後のTAOが図19のT8であるときは、このT8=基準TAOαとして記憶する。その後、内気温Trが上昇しても吹出風量BLWは基準TAOα(=T8)に基づいて最低風量LOに固定される。
【0171】
これにより、吹出風量の増加による車室内への供給熱量の増加を抑制して、空調フィーリングの悪化を抑制できる。
【0172】
(他の実施形態)
なお、上述の各実施形態では、車室内への吹出空気温度を制御する温度制御手段として、冷風バイパス通路15を通過する冷風とヒータコア13を通過する温風との風量割合を調整するエアミックスドア16を用いているが、ヒータコア13を通過する温水流量を調整する温水弁等を温度制御手段として用いてよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の車両用空調装置の要部の概略断面図である。
【図2】第1実施形態で用いるドア操作用リンク機構の具体例の構成図である。
【図3】第1実施形態で用いる空調操作パネルの正面図である。
【図4】第1実施形態の電気制御ブロック図である。
【図5】第1実施形態の空調制御の概略を示すフローチャートである。
【図6】図5の要部のフローチャートである。
【図7】第1実施形態の作動特性の説明図である。
【図8】第1実施形態の作動特性の説明図である。
【図9】第2実施形態の要部のフローチャートである。
【図10】第3実施形態の作動特性の説明図である。
【図11】第4実施形態の課題を説明する風量制御の特性図である。
【図12】第4実施形態の要部のフローチャートである。
【図13】第4実施形態の作動をまとめて示す図表である。
【図14】第4実施形態の作動特性図である。
【図15】第5実施形態の作動特性の説明図である。
【図16】第6実施形態の作動特性の説明図である。
【図17】第6実施形態の課題を説明する風量制御の特性図である。
【図18】第6実施形態による制御を示すフローチャートである。
【図19】第6実施形態の作動特性の説明図である。
【図20】第7実施形態の作動特性の説明図である。
【図21】第8実施形態の作動特性の説明図である。
【符号の説明】
16…エアミックスドア(温度制御手段)、19…デフロスタ開口部、
22…フェイス開口部、24…フット開口部、
20、23、26…吹出モードドア、28…モータアクチュエータ、
33…デフロスタスイッチ(デフロスタ指令手段)、30…空調操作パネル。

Claims (4)

  1. 車室内への吹出温度を制御する温度制御手段(16)と、
    車室内の乗員顔部側へ空気を吹き出すフェイス開口部(22)と、
    車室内の乗員足元側へ空気を吹き出すフット開口部(24)と、
    車両窓ガラス側へ空気を吹き出すデフロスタ開口部(19)と、
    前記フェイス開口部(22)から空気を吹き出すフェイスモードと前記フェイス開口部(22)および前記フット開口部(24)の両方から空気を吹き出すバイレベルモードと前記フット開口部(24)から空気を吹き出すフットモードと前記デフロスタ開口部(19)から空気を吹き出すデフロスタモードを設定する吹出モードドア(20、23、26)と、
    前記温度制御手段(16)および前記吹出モードドア(20、23、26)を駆動するための1つのモータアクチュエータ(28)と、
    前記モータアクチュエータ(28)の作動角を制御する制御手段(S130、S170)と、
    前記デフロスタモードを指令するデフロスタ指令手段(33、S132a)と
    前記1つのモータアクチュエータ(28)の操作力により駆動され、かつ、前記温度制御手段(16)および前記吹出モードドア(20、23、26)と連結されるリンク機構(27)とを備え、
    前記モータアクチュエータ(28)の作動角範囲として、a.前記温度制御手段(16)の操作位置を最大冷房位置と最大暖房位置の間で制御するとともに、前記吹出モードドア(20、23、26)を駆動して、前記温度制御手段(16)の最大冷房側の操作域で前記フェイスモードを設定し、また、前記温度制御手段(16)の最大暖房側の操作域で前記フットモードを設定し、更に、前記温度制御手段(16)の最大冷房側の操作域と最大暖房側の操作域との中間領域にて前記バイレベルモードを設定する温度制御領域(A)と、
    b.前記デフロスタ指令手段(33、S132a)から前記デフロスタモードの指令が出たときに、前記モータアクチュエータ(28)の作動角を前記温度制御領域(A)の範囲外にして前記吹出モードドア(20、23、26)を駆動し、前記デフロスタモードを設定するデフロスタ設定領域(B)とを設け、
    前記温度制御領域(A)において前記各モードを切り替えるために前記吹出モードドア(20、23、26)を駆動変位させる全ての区間及び前記温度制御領域(A)と前記デフロスタ設定領域(B)との間で前記吹出モードドア(20、23、26)を駆動変位させる区間で前記温度制御手段(16)の操作位置を一定位置に維持し、
    さらに、車室内への吹出空気の目標吹出温度(TAO)が第1所定温度(T1)よりも低い低温域では前記目標吹出温度(TAO)の低下とともに車室内への吹出風量を増加させ、前記目標吹出温度(TAO)が前記第1所定温度(T1)より高い第2所定温度(T2)よりも更に高い高温域では前記目標吹出温度(TAO)の上昇とともに前記吹出風量を増加させるようになっており、
    また、前記目標吹出温度(TAO)の前記低温域では、前記デフロスタモードにおける車室内への吹出温度が前記リンク機構(27)の構成から決まる下限温度に達するようになっており、
    前記デフロスタモードの指令が出たときに、前記目標吹出温度(TAO)が前記低温域の範囲にあることを判定することにより、前記デフロスタモードの実行により車室内への供給熱量が増加する条件を判定し、
    前記供給熱量が増加する条件を判定したときは、前記デフロスタモードにおける車室内への吹出風量を制限することにより前記供給熱量を制限することを特徴とする車両用空調装置。
  2. 車室内への吹出温度を制御する温度制御手段(16)と、
    車室内の乗員顔部側へ空気を吹き出すフェイス開口部(22)と、
    車室内の乗員足元側へ空気を吹き出すフット開口部(24)と、
    車両窓ガラス側へ空気を吹き出すデフロスタ開口部(19)と、
    前記フェイス開口部(22)から空気を吹き出すフェイスモードと前記フェイス開口部(22)および前記フット開口部(24)の両方から空気を吹き出すバイレベルモードと前記フット開口部(24)から空気を吹き出すフットモードと前記デフロスタ開口部(19)から空気を吹き出すデフロスタモードを設定する吹出モードドア(20、23、26)と、
    前記温度制御手段(16)および前記吹出モードドア(20、23、26)を駆動するための1つのモータアクチュエータ(28)と、
    前記モータアクチュエータ(28)の作動角を制御する制御手段(S130、S170)と、
    前記デフロスタモードを指令するデフロスタ指令手段(33、S132a)と、
    前記1つのモータアクチュエータ(28)の操作力により駆動され、かつ、前記温度制御手段(16)および前記吹出モードドア(20、23、26)と連結されるリンク機構(27)とを備え、
    前記モータアクチュエータ(28)の作動角範囲として、a.前記温度制御手段(16)の操作位置を最大冷房位置と最大暖房位置の間で制御するとともに、前記吹出モードドア(20、23、26)を駆動して、前記温度制御手段(16)の最大冷房側の操作域で前記フェイスモードを設定し、また、前記温度制御手段(16)の最大暖房側の操作域で前記フットモードを設定し、更に、前記温度制御手段(16)の最大冷房側の操作域と最大暖房側の操作域との中間領域にて前記バイレベルモードを設定する温度制御領域(A)と、
    b.前記デフロスタ指令手段(33、S132a)から前記デフロスタモードの指令が出たときに、前記モータアクチュエータ(28)の作動角を前記温度制御領域(A)の範囲外にして前記吹出モードドア(20、23、26)を駆動し、前記デフロスタモードを設定するデフロスタ設定領域(B)とを設け、
    前記デフロスタ設定領域(B)内に、前記デフロスタモードの他に、前記デフロスタ開口部(19)および前記フット開口部(24)の両方から空気を吹き出すフットデフロスタモードを設定し、
    前記温度制御領域(A)において前記各モードを切り替えるために前記吹出モードドア(20、23、26)を駆動変位させる全ての区間及び前記温度制御領域(A)と前記デフロスタ設定領域(B)との間で前記吹出モードドア(20、23、26)を駆動変位させる区間で前記温度制御手段(16)の操作位置を一定位置に維持し、
    さらに、車室内への吹出空気の目標吹出温度(TAO)が第1所定温度(T1)よりも低い低温域では前記目標吹出温度(TAO)の低下とともに車室内への吹出風量を増加させ、前記目標吹出温度(TAO)が前記第1所定温度(T1)より高い第2所定温度(T2)よりも更に高い高温域では前記目標吹出温度(TAO)の上昇とともに前記吹出風量を増加させるようになっており、
    また、前記目標吹出温度(TAO)の前記低温域では、前記フットデフロスタモードにおける車室内への吹出温度が前記リンク機構(27)の構成から決まる下限温度に達するようになっており、
    前記フットデフロスタモードの指令が出たときに、前記目標吹出温度(TAO)が前記低温域の範囲にあることを判定することにより、前記フットデフロスタモードの実行により車室内への供給熱量が増加する条件を判定し、
    前記目標吹出温度(TAO)が前記低温域の範囲にあることを判定したときは、前記フットデフロスタモードにおける車室内への吹出風量を制限することにより前記供給熱量を制限することを特徴とする車両用空調装置。
  3. 前記目標吹出温度(TAO)が前記低温域の範囲にあることを判定したときは、前記吹出風量を通常制御時の最低風量(LO)より更に少ない微小風量(ULO)に制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記目標吹出温度(TAO)が前記低温域の範囲にあることを判定したときは、前記目標吹出温度(TAO)を前記吹出風量の増加を抑制する範囲に保持することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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