JP4524806B2 - 疎水膜形成装置、疎水膜形成方法及び静電アクチュエータ製造方法 - Google Patents

疎水膜形成装置、疎水膜形成方法及び静電アクチュエータ製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、対象物に疎水膜を形成する装置及び疎水膜形成方法に関し、特に同時に多数の対象物に疎水膜を形成する装置及び方法に関する。 本発明は、対向電極間に電圧を印加することにより発生する静電気力を駆動源として利用している静電アクチュエータ、更に詳しくは、静電気力により相対変位する部材の表面に疎水膜が形成された静電アクチュエータの製造方法に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタのインクジェットヘッド等には、半導体の微細加工技術を用いて形成された微小構造のアクチュエータが用いられている。この微小構造のアクチュエータとしては、その駆動源として静電気力を利用した静電駆動方式のものが知られている。例えば、出願人によって、静電気力を利用してインク液滴を吐出するタイプのインクジェットヘッドが特開平5−50601号、同6−71882号公報に開示されている。
【0003】
この形式のインクジェットヘッドは、インクノズルに連通しているインク室の底面が弾性変形可能な振動板として形成されている。この振動板には、一定の間隔で基板が対向配置されている。これらの振動板および基板には、それぞれ対向電極が配置され、これらの対向電極の間の空間は封止された状態となっている。対向電極間に電圧を印加すると、これらの間に発生する静電気力によってインク室の底面(振動板)が基板の側に静電吸引あるいは静電反発されて振動する。このインク室の底面の振動に伴って発生するインク室の内圧変動によりインクノズルからインク液滴が吐出される。対向電極間に印加する電圧を制御することにより、記録に必要な時にのみインク液滴を吐出する、所謂インク・オン・デマンド方式が実現される。
【0004】
ここで、対向電極間に繰り返し電圧を印加してインクジェットヘッドの駆動を繰り返していると、対向電極の表面、すなわち、対向しているインク室底面および基板の表面に水分が付着する。水分が付着すると、これらの極性分子の帯電によって、静電吸引特性あるいは静電反発特性が低下する恐れがある。また、基板の表面に吸着した極性分子が相互に裾結合して、インク室底面が基板側に貼り付いたままの状態となり、動作不能となる恐れがある。
【0005】
このような弊害を回避するために、インク室底面および基板表面に疎水化処理を施すことが考えられる。例えば、パーフルオロデカン酸(PFDA)の配向単分子層をこれらの表面に形成することにより、これらの表面を疎水化することが考えられる。
【0006】
PFDAを用いて疎水化処理が施された静電アクチュエータの例は、例えば、特開平7−13007号公報に開示されている。この公報に記載された発明においては、静電アクチュエータであるマイクロメカニカル装置における対向電極の表面にPFDAの配向単分子層を形成することにより、これらが駆動中に膠着状態に陥ることなどを防止するようにしている。
【0007】
その他の例として、 ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を用いて、PFDA同様に、疎水層を形成することができる。
以下、HMDSを用いて疎水層を形成する場合の層形成方法の例を以下に示す。
まず、インクジェットヘッド1を構成しているキャビティープレート2、ノズルプレート3、ガラス基板4をそれぞれウエハから加工して製造する。次に、それらの3部材を相互に組み立てて(AB接合して)インクジェットヘッドを形成する。すなわち、間隔Gが形成されるように、キャビティープレート2の底面側にガラス基板4を組み付ける。この状態では、共通電極である振動板51の底面、およびセグメント電極部10の表面のいずれにも疎水膜は形成されていない。
【0008】
次に、HMDS付着工程において、共通電極である振動板51の底面、およびセグメント電極部10の表面に、それぞれHMDSからなる疎水膜53、15を形成する。例えば、容器内にインクジェットヘッド1及びHMDSを入れた後、常温、常湿で雰囲気圧力を大気圧として、この状態をHMDSが拡散により十分隙間Gに侵入するまで維持する。この結果、共通電極である振動板51の底面およびセグメント電極部10表面にはHMDSからなる疎水膜53,15が形成される。
【0009】
次に、気密封止工程において、インクジェットヘッド1を容器から取り出すか、または取り出さずに容器内で振動板51とセグメント電極部10との間の空間を気密封止し、隙間Gを形成する。
【0010】
しかしながら、容器内で気密封止を行う場合、例えばグローブの装着された処理槽などで行う場合、グローブをはめた状態での作業であり作業性が非常に悪く封止剤が過剰にはみ出し不良を多発させてしまう。更に、気密封止する際の容器内は引火点が17℃であるHMDSが蒸発しかつ飽和している状態であり、この容器内で気密封止作業をすることは危険性が高いという問題もあった。また、容器からインクジェットヘッド1を取り出して気密封止をする場合、気密封止するまでの時間が経過すればするほど耐久性がばらつくことから、容器からインクジェットヘッド1を取り出して速やかに気密封止をしなければならず、速やかに気密封止を終了させるためにはインクジェットヘッド1の数を少なくしなければならなくなってしまう。つまり、気密封止終了までの時間を短くしなければいけないという時間的制約によって一度に気密封止できる処理枚数が非常に少なくなってしまう。更に、処理終了後にインクジェットヘッド1を容器から取り出すと容器内の処理濃度の測定ができなくなってしまい処理が完了したのかどうかの判断ができないという問題も発生する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を用いて対向部材表面に疎水化処理を施した後当該隙間を気密封止する疎水膜の形成装置において、気密封止作業での安全性を向上させるとともに、処理数量の向上、更には疎水化処理における処理容器間の処理濃度のばらつきの抑制、処理終了時の処理濃度を正確に測定することなどを可能とする疎水膜形成装置を提案することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明では、一定の間隔で対向配置され相対変位可能な対向部材と、これら対向部材の間に静電気力を発生させて当該対向部材を相対変位させる駆動手段と、前記対向部材のうちの少なくとも一方の部材における他方の部材との対向表面に形成された疎水膜とを有する静電アクチュエータ製造方法において、前記対向表面にHMDSからなる前記疎水膜を疎水膜形成装置を用いて形成する付着工程と、前記静電アクチュエータを疎水膜形成装置から取り出した後、各対向部材の対向表面の隙間に当該隙間を気密封止する封止工程とを行うようにしている。
【0013】
詳細に説明すると、本発明者等は、対向表面にHMDSからなる疎水膜を付着した直後から外部(大気中)に放置した場合における疎水膜の耐久性を調べたところ、図6に示すように、放置した直後から急激に低下して数分後に所定のレベルにおちつき、その後、さらに数日間放置すると、耐久性は再び徐々に回復することが分かった。また、疎水膜の耐久性は放置した直後が最も高いことも確認された。
【0014】
本発明の製造装置では、かかる知見に基づき、本発明の疎水膜形成装置の処理容器内で対向表面にHMDSからなる疎水膜を形成した後、静電アクチュエータを大気中に取り出し、隙間のHMDS濃度が所定値以上に保たれた状態のまま当該隙間を短時間に気密封止している。このため、対向表面に形成された疎水膜の耐久性を、当該疎水膜が形成された直後のものと同等あるいはそれに近いものにできる。また、疎水膜形成装置は複数の処理容器と濃度測定用容器を管及びバルブを介して直列または並列に連結させた構造をしている。 対向表面にHMDSからなる疎水膜を形成する際は、各処理容器及び濃度測定用容器各々にHMDSを滴下した後、各処理容器及び濃度測定用容器間のバルブを開けた状態で規定時間HMDSを蒸発させる。各処理容器及び濃度測定用容器間のバルブを開けているためにHMDSは各処理容器及び濃度測定用容器均一に拡散し各処理容器及び濃度測定用容器のHMDS濃度を一定にすることができる。そして、静電アクチュエータを取り出す際は、まず各処理容器及び濃度測定用容器間のバルブを閉め各々独立させた後濃度測定用容器の処理濃度を測定する。この濃度測定により静電アクチュエータが入っている処理容器に影響を与えることなくHMDSが充分拡散し疎水化処理が完了していることを確認することができる。そして、各処理容器より静電アクチュエータを取り出し気密封止を行う。この結果、疎水化処理が完了していることを確認した後処理容器毎に静電アクチュエータを気密封止することができるので、処理容器から静電アクチュエータを取り出してから気密封止するまでの時間管理を処理容器毎行うことができる。静電アクチュエータを取り出してから気密封止するまでの時間は耐久性を向上させるためには短時間にする必要があり、短時間に気密封止を終了させるためには静電アクチュエータの数は必然的に減らさなければならない。しかし、本発明では連結する処理容器の数を増やすことで処理枚数を向上することができ、また処理容器毎短時間に気密封止することもできるため、耐久性を維持した状態で処理能力を向上させることができる。
【0015】
ここで、本発明者等の実験によれば、HMDS濃度が0.3%以上の状態で隙間を気密封止すれば、疎水膜の耐久性を実用上支障のない程度に高められることが確認された。また、HMDS濃度が0.8%以上の状態で隙間を気密封止すれば、疎水膜の耐久性を実用上十分なものにできることが確認された。
【0016】
更には、封止工程を、常温および常圧の下で行えばよいことも確認された。
【0017】
また、付着工程では、常圧中で、予め定められた濃度となるようにHMDSを気化させた雰囲気中に対向部材を放置すれば良い。この場合には、HMDSからなる疎水膜が形成された後は、対向部材をHMDS雰囲気中から取り出してから短時間に気密封止すれば良い。なお、本発明の疎水膜形成装置を用いた静電アクチュエータ製造工程においては、前記封止工程に先立って、前記対向表面の水分を除去する乾燥工程を行えば、HMDSの付着状況の安定化を図ることができ、封止工程におけるHMDSの付着状態のばらつきを回避できる。
【0018】
本発明の疎水膜形成装置によって製造された静電アクチュエータは、インクジェットプリンタに用いるインクジェットヘッドに適用可能である。この場合には、静電アクチュエータを、前記対向部材の相対変位によって圧力変動するインク室と、当該インク室に連通しているインクノズルと、当該インク室に連通しているインクノズルとを有する構成とする。また、前記駆動手段を、前記対向部材の各々に形成した対向電極と、これらの対向電極に電圧パルスを印加する電圧印加手段とを備えた構成とする。さらに、前記電圧パルスの印加に応じて前記インクノズルからインク液滴が吐出されるようにすれば良い。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明の疎水膜形成装置及び本発明による疎水膜形成装置を適用して製造した静電アクチュエータであるインクジェットヘッドの適用事例の説明をする。
【0020】
(全体構成)
図1は本発明を適用した静電アクチュエータとしてのインクジェットヘッドの断面図であり、図2はその平面図であり、図3はその部分断面図である。
【0021】
これらの図に示すように、インクジェッドヘッド1は、シリコン基板2を挟み、上側に同じくシリコン製のノズルプレート3、下側にシリコンと熱膨張率が近いホウ珪酸ガラス基板4がそれぞれ積層された3層構造となっている。中央のシリコン基板2には、その表面からエッチングを施すことにより、独立した5つのインク室5と、1つの共通インク室6と、この共通インク室6を各インク室5に連通しているインク供給路7としてそれぞれ機能する溝が加工されている。これらの溝がノズルプレート3によって塞がれて、各部分5、6、7が区画形成されている。
【0022】
ノズルプレート3には、各インク室5の先端側の部分に対応する位置に、インクノズル11が形成されており、これらが各インク室5に連通している。また、共通インク室6が位置しているノズルプレート3の部分には、これに連通するインク供給口12(図2参照)が形成されている。インクは、外部の図示しないインクタンクから、インク供給口12を通って共通インク室6に供給される。共通インク室6に供給されたインクは、各インク供給路7を通って、独立した各インク室5に供給される。
【0023】
独立した各インク室5は、その底壁51が薄肉とされて、面外方向、すなわち、図1において上下方向に弾性変位可能な振動板として機能するように設定されている。したがって、この底壁51の部分を、以後の説明の都合上、振動板と称して説明することもある。
【0024】
次に、シリコン基板2の下側に位置しているガラス基板4において、その上面であるシリコン基板2との接合面には、シリコン基板2の各インク室5に対応した位置に、浅くエッチングされた凹部9が形成されている。この隙間Gは、封止剤93によって封止されている。
【0025】
ここで、各インク室5の底壁51は、各インク室側の共通電極として機能する。この底壁51の表面にはヘキサメチルジシラザン(HMDS)からなる疎水膜53が形成されている。この共通電極としての底壁51に対峙するように、ガラス基板4の凹部表面には、ITOからなるセグメント電極10が形成されている。各セグメント電極10の表面にも、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)からなる疎水膜15が形成されている。隙間Gを挟み、共通電極である各インク室底壁51と、対応する各セグメント電極10とが対向電極を形成している。
【0026】
図2に示すように、これらの対向電極の間に駆動電圧を印加するための電圧印加手段21は、図示していない外部からの印字信号に応じて、これらの対向電極間に駆動電圧を印加する。電圧印加手段21の一方の出力は個々のセグメント電極10に接続され、他方の出力はシリコン基板2に形成された共通電極端子22に接続されている。シリコン基板2自体は導電性をもつため、この共通電極端子22から底壁51の共通電極に電圧を供給することができる。また、より低い電気抵抗で共通電極に電圧を供給する必要がある場合には、例えば、シリコン基板の一方の面に金等の導電性材料の薄膜を蒸着やスパッタリングで形成すればよい。本実施例では、シリコン基板2とガラス基板4との接続に陽極接合を用いているので、シリコン基板2の流路形成面側に導電膜を形成してある。
【0027】
ここで、このように構成したインクジェットヘッド1においては、電圧印加手段21からの駆動電圧が対向電極間に印加されると、対向電極間に充電された電荷によるクーロン力が発生し、底壁(振動板)51はセグメント電極10の側へ撓み、インク室5の容積が拡大する。次に、電圧印加手段21からの駆動電圧を解除して対向電極間の電荷を放電すると、振動板51はその弾性復帰力によって復帰し、インク室5の容積が急激に収縮する。この時発生するインク圧力により、インク室5を満たすインクの一部が、このインク室に連通しているインクノズル11からインク滴として吐出する。
【0028】
なお、インクジェットヘッド1で使用されるインクとしては、水、アルコール、トルエン等の主溶媒にエチレングリコール等の界面活性剤と、染料または顔料とを溶解または分散させることにより調製される。さらに、インクジェットヘッド1にヒータを設けておけば、ホットメルトインクも使用できる。
【0029】
(製造方法)
図4に上記構成のインクジェットヘッド1の疎水膜53及び疎水膜15を形成するための疎水膜形成装置を示してある。この図に示すように、疎水膜形成装置は、処理容器101、窒素導入口102、窒素導入バルブ103、HMDS導入口104、HMDS導入バルブ105、HMDS受け皿106、排気口107、排気バルブ108で独立した処理槽を構成している。また、この独立した処理槽は、処理槽連結管109及び処理槽連結バルブ110で複数個連結させた構成をしている。更に、これらの独立した処理槽の内少なくとも一つの処理槽にHMDS濃度測定ポート111を具備している。以下に、上記構成の疎水膜形成装置を用いて製造したインクジェットヘッド1の製造方法の具体例を示す。
【0030】
図5には上記構成のインクジェットヘッド1の製造工程の概略フローチャートを示してある。この図に示すように、まず、ステップST1において、インクジェットヘッド1を構成しているキャビティープレート2、ノズルプレート3、ガラス基板4をそれぞれウエハから加工して製造する。次に、ステップST2において、それらの3部材を相互に組み立てて(AB接合して)インクジェットヘッドを形成する。すなわち、間隔Gが形成されるように、キャビティープレート2の底面側にガラス基板4を組み付ける。この状態では、共通電極である振動板51の底面、およびセグメント電極部10の表面のいずれにも疎水膜は形成されていない。
【0031】
次に、ステップST3の前処理(乾燥)工程において、インクジェットヘッド1を図4に示すような処理槽101に入れる。但し、HMDS処理後の濃度を測定するためにHMDS濃度測定ポート111を具備した処理槽はHMDS処理後にHMDS濃度を測定するためインクジェットヘッド1は入れない。次に、インクジェットヘッド1に対して前処理を施し、その表面に付着している水分を除去する。例えば、窒素導入バルブを開けて窒素導入口より窒素を処理槽内に供給すると同時に排気バルブを開けて処理槽内を窒素に置換し、この処理槽内にインクジェットヘッド1を放置すれば良い。この際HMDS濃度測定ポート111を具備した処理槽も同様に窒素置換を行う。このような前処理工程を行うと、HMDSの付着状況の安定化を図ることができる。すなわち、振動板51の底面、およびセグメント電極部10の表面から余分な付着水分を除去して、HMDSの付着状況の安定化を図り、次の工程におけるHMDSの付着状態にばらつきが発生するのを回避できる。
【0032】
次に、ステップST4のHMDS付着工程において、共通電極である振動板51の底面、およびセグメント電極部10の表面に、それぞれHMDSからなる疎水膜15、53を形成する。
【0033】
例えば、各処理槽101及びHMDS濃度測定ポート111を具備した処理槽の各HMDS導入バルブ105を開けてHMDS導入口102よりHMDSを各処理槽101に規定量ずつ同量滴下した後、窒素導入バルブ103を閉めて窒素の供給を止める。そして、常温、常湿で雰囲気圧力を大気圧としこの状態をHMDSが拡散により十分隙間Gに侵入するまで(本形態では約20時間程度)維持する。この際、処理槽連結バルブ110を開けた状態にしておくことで、HMDSは各処理槽均一に拡散しHMDS濃度は一定となる。つまり処理槽間のHMDSの付着のばらつきを抑えることができる。
【0034】
この結果、共通電極である振動板51の底面およびセグメント電極部10の表面にはHMDSからなる疎水膜15、53が形成される。この時の処理槽内のHMDS濃度は約0.3%以上にすれば良い。
【0035】
次に、ステップST5の窒素置換工程において、各処理槽間の全ての処理槽連結バルブ110を閉め、各処理槽101を独立させる。次に、HMDS濃度測定ポート111のバルブを開けて濃度測定器を処理槽に差込み処理槽のHMDS濃度を測定する。この際、HMDS濃度測定ポート111を具備した処理槽はバルブを開けることにより水分が侵入するとともにHMDS濃度が次第に低下していくが各処理槽間のバルブが閉じてあるためインクジェットヘッド1が入った他の処理槽は水分の侵入及びHMDS濃度の低下を抑制することができる。つまり、インクジェットヘッド1のHMDS処理に影響を与えることなくHMDS処理濃度を測定することができる。
【0036】
次に、インクジェットヘッド1の入ったいずれか一つの処理槽の窒素導入バルブ103を開けるとともに排気バルブ108を開け窒素導入口102より窒素を処理槽101内に導入し、処理槽101内を窒素置換する。次に、ステップST6の気密封止工程において、窒素置換した処理槽101内からインクジェットヘッド1を取り出して、振動板51とセグメント電極部10との間の空間を気密封止し、隙間Gを形成する。この時、気密封止された隙間GのHMDS濃度はステップST5の窒素置換工程の窒素置換開始から気密封止終了までの時間に依存し、この時間が長ければ長いほど隙間GのHMDS濃度は下がるため極力短時間で行う必要がある。例えば、図6は疎水膜15、53を形成した直後にインクジェットヘッドを外部に放置した場合における放置時間と疎水膜15、53の耐久性の相関関係のグラフである。なお、このグラフは、HMDS付着工程における処理槽内のHMDS濃度が0.3%以上になるようにした場合に得られたものである。また、耐久性は、振動板51の1回の振動を1サイクルとして測定したものである。
【0037】
このグラフから分かるように、HMDSからなる疎水膜15、53を形成した後に、その状態のまま封止せずに処理槽内から取り出して、大気中に放置しておくと、疎水膜15、53の耐久性は処理槽内から取り出した直後(右下がり領域A)に急激に低下する。そして、数分後に所定の耐久性レベルに安定する。(安定領域B)。その後、さらに放置しておくと、数日後には耐久性が再び徐々に回復する。(右上がり領域C)。また、右上がり領域Cの耐久性は、疎水膜15、53を形成した直後(右下がり領域A)の耐久性に比べれば低いレベルである。このグラフより処理槽から取り出して短時間で気密封止する必要があることがわかる。例えば、図6の例では約3分以内に気密封止すれば良い。
【0038】
ここで、本発明による疎水膜形成装置によれば、ステップST5及びステップST6の工程において、処理槽連結バルブ110を閉め各処理槽独立させることにより、極力短時間で行う必要のあるステップST5の窒素置換工程の窒素置換開始からステップST6の気密封止までの作業を各々単独で実施することができる。つまり、短時間での気密封止を実現するとともに気密封止の時間を各処理槽毎個別に管理することができる。更に、窒素置換した後インクジェットヘッド1を外に取り出し気密封止するので安全性が向上するとともに作業性も向上する。
【0039】
また、本発明による疎水膜形成装置によれば、処理槽間の処理槽連結管109及び処理槽連結バルブ110によって処理槽を数珠つなぎ状に更に増やせば、ステップST4のHMDS付着工程の処理条件を変更することなく処理槽の数を増やした分だけ処理能力を向上させることが可能となる。
【0040】
本例の製造方法では、隙間GのHMDS濃度が約0.3%以上の状態を保持した後処理槽からインクジェットヘッド1を取り出して、当該隙間Gを短時間に気密封止している。従って、実質的にHMDSからなる疎水膜15、53を形成した直後に隙間Gが気密封止されることになる。すなわち、図6の右下がり領域Aで隙間Gを気密封止したことになる。このため、振動板51の表面およびセグメント電極部10の表面に形成された疎水膜15、53の耐久性としては、疎水膜15、53が形成された直後あるいはそれに近いものになる。図6から明らかなように、疎水膜15、53を形成した後、数日間放置して得られる耐久性は1億サイクル以下の程度でしかないが、疎水膜15、53を形成した後、隙間GのHMDS濃度が約0.3%以上のまま気密封止すれば、数千万〜数十億サイクル程度の耐久性が得られる。
【0041】
以上説明したように、本例の疎水膜形成装置によれば、HMDSからなる疎水膜15、53の耐久性を充分なものとするために、疎水膜形成後に数日間に渡って放置する必要がない。このため、充分な耐久性を備えたHMDSからなる疎水膜を備えたインクジェットヘッドを短時間で製造できる。また、得られる疎水膜の耐久性も極めて優れている。
【0042】
[その他の実施の形態]
なお、前述した疎水膜形成装置は、インクジェットヘッドに対して本発明を適用した例であるが、本発明はインクジェットヘッド以外の静電アクチュエータの疎水膜形成に対しても同様に適用できる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の疎水膜形成装置では、静電アクチュエータなど相対変位可能な対向部材の対向表面にヘキサメチルジシラザン(HMDS)からなる疎水膜を形成する際、処理槽を連結させることで連結させた処理槽の数だけ処理数量を増やすことができる。更に、HMDSからなる疎水膜を形成した後、疎水膜を形成した静電アクチュエータに影響を与えることなくHMDS濃度を測定し疎水化処理の完了を見極めることができる。更に、処理槽毎気密封止ができるので気密封止における時間的制約による処理能力低下を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェットヘッドの概略縦断面図である。
【図2】図1のインクジェットヘッドの平面図である。
【図3】図1のインクジェットヘッドの一部を示す概略横断面図である。
【図4】本発明における疎水膜形成装置の概略構成図である。
【図5】図1のインクジェットヘッドの製造工程を示す概略フローチャートである。
【図6】疎水膜を形成した直後にインクジェットヘッドを外部に放置した場合における放置時間と疎水膜の耐久性の相関関係のグラフである。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
2 キャビティープレート
3 ノズルプレート
4 ガラス基板
5 インク室
51 インク室の底壁(共通電極)
53 HMDSの疎水層
6 共通インク室
7 インク供給路
9 凹部
11 インクノズル
12 インク供給口
10 セグメント電極
15 HMDSの疎水層
21 電圧印加手段
22 共通電極端子
101 処理容器
102 窒素導入口
103 窒素導入バルブ
104 HMDS導入口
105 HMDS導入バルブ
106 HMDS受け皿
107 排気口
108 排気バルブ
109 処理槽連結管
110 処理槽連結バルブ
111 HMDS濃度測定ポート
G 振動板と対向壁の隙間

Claims (3)

  1. 疎水膜形成物質ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を充満させる複数の部屋と、
    該複数の部屋を接続し、前記疎水膜形成物質を流通させる配管と、
    該配管による前記疎水膜形成物質の流通を制御するバルブと、
    を有し、
    前記複数の部屋は、静電アクチュエータの相対変位可能な対向部材の対向表面に疎水膜を形成するための複数の処理室と、
    前記複数の処理室と直列または並列に連結される疎水膜形成物質の濃度を測定するための測定室と、
    を有することを特徴とする疎水膜形成装置。
  2. (a)複数の部屋に疎水膜形成物質ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を充満させて対象物に疎水膜を形成する工程と、
    (b)前記工程(a)の後に、前記複数の部屋の間の、前記疎水膜形成物質の流通を遮断する工程と、
    (c)前記工程(b)の後に、前記複数の部屋の一の部屋の前記疎水膜形成物質の濃度を測定する工程と、
    (d)前記工程(c)の後に、前記複数の部屋の一の部屋から前記工程(a)において疎水膜の形成された前記対象物を取り出す工程と、
    を有することを特徴とする疎水膜形成方法。
  3. 対向配置された一対の部材の間に静電気力を発生させて当該部材を相対変位させる静電アクチュエータの製造方法であって、
    (a)複数の部屋に疎水膜形成物質ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を充満させて、前記部材の少なくとも一方の対向表面に疎水膜を形成する工程と、
    (b)前記工程(a)の後に、前記複数の部屋の間の、前記疎水膜形成物質の流通を遮断する工程と、
    (C)前記工程(b)の後に、前記複数の部屋の一の部屋の前記疎水膜形成物質の濃度を測定する工程と、
    (d)前記工程(C)の後に、前記複数の部屋の一の部屋から前記工程(a)において疎水膜の形成された前記部材を取り出す工程と、
    (e)前記工程(d)の後に、前記一対の部材によって形成される空間を封止する工程と、
    を有することを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。
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