JP4524697B2 - 内燃機関の弁駆動システム - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の吸気弁又は排気弁を駆動する弁駆動システムに関する。
一般の内燃機関の吸気弁及び排気弁は、内燃機関のクランク軸から取り出された動力によって開閉駆動されている。しかし、近年では電動モータによって吸気弁や排気弁を駆動することが試みられている。例えば特許文献1には、カム軸をモータで駆動して吸気弁を開閉させる弁駆動装置が開示されている。また、EGR用の弁を対象としたものであるが、バルブステムに設けたねじ機構を利用してモータの回転を弁の直線的な開閉運動に変換する弁駆動装置も知られている(特許文献2参照)。
特開平8−177536号公報 特開平10−73178号公報
モータの回転をねじ機構によって弁の開閉運動に変換する装置は、弁を開閉させるために必要なモータの回転量が大きくて効率が悪いため、弁を高速かつ周期的に動作させる必要がある吸気弁や排気弁の駆動装置としては不向きである。
一方、カム軸をモータで回転させる場合には吸気弁や排気弁を効率よく駆動することができる。しかし、車両の動力源として一般に使用される多気筒の内燃機関では、一列に並んだ複数の気筒間でカム軸が共用されている。このような共用されたカム軸をモータで駆動するだけでは、カム軸の動作の変化がそのカム軸によって駆動されるすべの吸気弁や排気弁の動作特性に影響する。従って、モータを制御することによって得られる動作特性の自由度はそれほど高くない。
そこで、本発明は、複数の気筒を有する内燃機関の吸気弁又は排気弁をモータにて効率よく開閉させることができ、かつ、各弁の動作特性に関する自由度を従来よりも高めることができる内燃機関の弁駆動システムを提供することを目的とする。
本発明の弁駆動システムは、複数の気筒を有する内燃機関に適用され、各気筒に設けられた吸気用又は排気用の弁を駆動するための内燃機関の弁駆動システムであって、前記内燃機関の互いに異なる気筒の前記弁をそれぞれ駆動するように設けられ、回転運動を発生する駆動源としての電動モータ、及び前記電動モータの回転運動をカムを利用して駆動対象の弁の開閉運動に変換し伝達する動力伝達機構をそれぞれ備えた複数の弁駆動装置と、前記複数の弁駆動装置のそれぞれの前記電動モータの動作を前記内燃機関の運転状態に応じて制御し、かつその制御を行う場合に前記内燃機関の運転状態の変化に基づいて前記内燃機関の回転数の変化を予測し、その予測結果を考慮して前記電動モータの制御量を設定するモータ制御手段と、を備え、前記モータ制御手段は、前記カムの回転に対して作用するフリクショントルクを前記内燃機関のクランク角毎に算出し、当該算出後の前記フリクショントルクと、前記内燃機関の回転数の変化の前記予測結果とに基づいて、前記電動モータの前記制御量を設定する、ことにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
この発明の弁駆動システムによれば、複数の弁駆動装置を設けたことにより、複数の気筒の吸気弁又は排気弁のそれぞれに対して内燃機関の運転状態に応じた適切な動作特性を与えることができる。
また、内燃機関の回転数が急に変化するような場合に、その変化を見込んで電動モータの制御量を増減させることにより、内燃機関の回転数の変化に対するカムの回転速度の応答性を高めることができる。さらに、フリクショントルクの増減に対応して電動モータの出力トルクが過不足なく制御できる。
お、本発明の弁駆動システムにおいては、複数の弁駆動装置のそれぞれが互いに異なる気筒の吸気弁又は排気弁を駆動すればよい。従って、前記弁駆動装置が気筒毎に独立して設けられていてもよいし、各気筒の吸気弁及び排気弁に対してそれぞれ独立して弁駆動装置が設けられてもよい。その一方、一部又は全部の弁駆動装置が互いに異なる二以上の気筒の吸気弁又は排気弁を駆動してもよい。特に、吸気弁の開いている期間、又は排気弁の開いている期間が重ならない気筒間であれば、それらの気筒の吸気弁又は排気弁を共通の電動モータにて駆動したとしても、各気筒の吸気弁又は排気弁の動作特性を共通の電動モータにて駆動される吸気弁又は排気弁の動作に影響されることなく変化させることができる。
記モータ制御手段は、前記弁の最大リフト量に基づいて所定のベースフリクショントルクに対する前記フリクショントルクの変動量のピーク値及び前記ピーク値が与えられる前記内燃機関のクランク角の最大リフト位置からのずれ量をそれぞれ取得し、取得されたこれらの情報と現在のクランク角とに基づいて前記カムフリクションを算出してもよい(請求項)。また、前記モータ制御手段は、前記フリクショントルクを目標空燃比と現在の空燃比とのずれが解消するように変更してもよい(請求項)。
内燃機関の回転数の変化は、その変化に関係するパラメータに基づいて予測できる。例えば、前記モータ制御手段は、アクセル開度に基づいて前記内燃機関の回転数の変化を予測してもよいし(請求項)、前記モータ制御手段は、前記内燃機関の出力を変速するトランスミッションのシフト位置に基づいて前記内燃機関の回転数の変化を予測してもよい(請求項)。
内燃機関の回転数の変化をアクセル開度に基づいて予測する場合、アクセル開度の急増に対応して一定期間だけ前記制御量を増量補正してもよい(請求項)。アクセル開度の増加により内燃機関の回転数は増加するが、仮にその増加に対して制御量を補正しなければ要求カム角に対して実カム角は遅れを伴う。例えば、内燃機関の回転数に基づいて電動モータの出力トルクをフィードバック制御するだけではこのようなカム角のずれが生じる可能性がある。この態様によれば、アクセル開度の急増に対応して一定期間だけ前記制御量を増量補正されるため、要求カム角と実カム角とをほぼ一致させてカムの応答性を改善できる。
内燃機関の回転数の変化をシフト位置に基づいて予測する場合、トランスミッションに対するシフトダウン要求に対応して一定期間だけ前記制御量を増量補正してもよい(請求項)。シフトダウンの実行により内燃機関の回転数は増加するが、仮にシフトダウンに対して制御量を補正しなければ要求カム角に対して実カム角に応答遅れが生じる。この態様によれば、シフトダウン要求に対応して一定期間だけ前記制御量を増量補正するため、シフトダウン実行時にも要求カム角と実カム角とをほぼ一致させてカムの応答性を改善できる。
お、本発明においてフリクショントルクとは、電動モータから吸気弁又は排気弁に至るまでの機械的構成に基づいてカムの駆動源に負荷される回転抵抗を意味する。駆動源から吸気弁又は排気弁に至るまでの機構内にて発生する摩擦力はフリクショントルクを正方向に増加させ、吸気弁及び排気弁を閉方向に押し戻すばね手段(弁スプリング)の反発力はフリクショントルクを負方向に増加させる。電動モータの制御に際してはフリクショントルクに抗してカムを回転させるために必要なトルクを出力させる必要があり、電動モータの制御は、その出力トルクと関連付けられた制御変数(パラメータ)の増減によって実現される。本発明における電動モータの制御量の設定及び調整はこうした制御変数の設定及び調整を意味するものである。
前記フリクショントルクが負の値になる場合に、前記カム側の回転運動で前記電動モータを駆動して当該電動モータにより発電を行ってもよい(請求項)。この場合には弁駆動システムの効率を高め、カムの駆動に必要なバッテリの容量を減少させたり、車両に発電機として搭載されたオルタネーターの発電能力をより小さく設定することができる。
前記電動モータの回転位置を検出するモータ回転位置検出手段が該電動モータに付設され、前記モータ制御手段は、前記電動モータの回転位置の検出結果に基づいて前記カムの回転位置を特定するカム位置特定手段を備えてもよい(請求項)。モータの回転位置からカム位置を推定することにより、カム位置の検出のために別途センサ類を設ける必要がなくなる。
前記電動モータと前記カムとの間の減速比をN:Mとした場合において、N>M、かつN、Mは1以外に公約数を持たない整数であるときに、Nを6以下に設定することが望ましい(請求項10)。このような設定であれば、カムの初期位置の検出が容易であり、検出誤差を抑えることができる。
前記モータ制御手段は、前記内燃機関が所定の状態にあるときに前記電動モータを所定の条件に従って回転させ、その回転中に前記カムのフリクショントルクの変化に相関して出現する前記電動モータの駆動状態の変化に基づいて前記カムの回転位置を把握する初期化手段を備えてもよい(請求項11)。カムのフリクショントルクはカムによる吸気弁又は排気弁の開閉状態と相関し、一般には吸気弁又は排気弁のリフト量が最大となるカム位置の付近でフリクショントルクは反転する。その一方で、フリクショントルクは電動モータの駆動状態に影響を与える。例えば、電動モータの出力トルクを一定に維持すれば、フリクショントルクの増加に伴ってモータの回転速度が低下し、フリクショントルクの減少に伴ってモータの回転速度が増加する。電動モータの回転速度を一定に維持すれば、フリクショントルクの増加に伴ってモータの出力トルクが増加し、フリクショントルクの減少に伴ってモータの出力トルクは減少する。このような相関関係を利用すればモータの駆動状態を監視するだけでカムの位置を特定することができる。なお、吸気弁又は排気弁の開き始め、あるいは閉じ終わり時の回転数変化あるいは電動モータの出力トルクの変化が所定の状態になることを利用し、そのような変化が発生した時点をもってカムの位置を特定してもよい。この場合においてはカムの位置を特定するために要する駆動電力が低減できる。また、内燃機関の停止時に行う場合には、吸気弁又は排気弁とピストンとの干渉を回避することもできる。
前記初期化手段は、前記内燃機関の停止時に前記電動モータを回転させて前記カムの回転位置を把握するとともに、把握したカムの回転位置を示す情報を前記内燃機関の停止期間中も記憶保持が可能な記憶装置に記憶させ、前記モータ制御手段は、前記内燃機関の次回の始動時に、前記記憶装置が記憶する前記情報に基づいて前記カムの回転位置を特定して前記電動モータの制御を開始してもよい(請求項12)。この場合には、内燃機関の始動時にカムの回転位置を把握すべく初期化手段による処理を行う必要がない。従って、内燃機関の迅速な始動が可能となる。
前記モータ制御手段は、前記内燃機関の停止中の所定時期において前記弁がその軸線回りに回転するように前記電動モータを駆動する弁回転実行手段を備えてもよい(請求項13)。この場合には弁を回転させることにより、弁やそのシート(弁座)に付着したカーボンを擦り落とすことができる。ロッカーアーム等の駆動部材に対する弁の接触位置を弁の軸線回りに変化させて弁の偏摩耗を防ぐこともできる。
前記モータ制御手段は、前記内燃機関の運転状態に応じて前記電動モータの駆動モードを、前記電動モータを正転方向にのみ駆動する正転モードと、前記電動モータを正逆転させる正逆転モードとの間で切り替えるモード切替手段を備えていてもよい(請求項14)。この場合には、低回転低負荷時にカムを正逆転させてリフト量を制限し、高回転高負荷時にはカムを正転させてカム軸等の慣性により高速かつ小さいトルクでカムを回転駆動する等、カムの駆動状態を適宜に使い分けることができる。
前記モータ制御手段は、前記駆動対象の弁の作用角、リフト特性、又は最大リフト量の少なくともいずれか一つの動作特性が変化するように、前記電動モータの動作を前記内燃機関の運転状態に応じて制御することができる(請求項15)。この場合には、開閉タイミングのみを変化させる従来の弁駆動装置と比較して吸気弁や排気弁の動作をより柔軟に変化させることができる。なお、吸気弁又は排気弁が開いている間の電動モータの回転速度を増減させたならば作用角が変化し、その回転速度の変化、つまり加速度を変化させたならばリフト特性が変化する。リフト特性は、吸気弁又は排気弁のリフト量とクランク角との対応関係に関する特性として把握されるものである。リフト量に関しては、吸気弁又は排気弁のリフト量が最大となる最大リフト位置に達するよりも早い段階でカムの回転方向を切り替えてカムを逆転させるように制御することにより、吸気弁又は排気弁のリフト量を最大リフト量よりも小さく制限することができる。
以上に説明したように、本発明の弁駆動システムによれば、複数の弁駆動装置を設けたことにより、複数の気筒の吸気弁又は排気弁のそれぞれに対して内燃機関の運転状態に応じた適切な動作特性を与えることができる。特に、電動モータの動作制御により、吸気弁又は排気弁の作用角、リフト特性又は最大リフト量の少なくともいずれか一つを変化させた場合には、開閉タイミングのみを変化させる従来の弁駆動装置と比較して吸気弁や排気弁の動作をより柔軟に変化させることができる。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る弁駆動システムが組み込まれた内燃機関1を示している。内燃機関1は、複数(図では4つ)のシリンダ(気筒)2…2が一方向に並べられ、各シリンダ2にピストン3が上下動自在に装着された多気筒直列式ガソリンエンジンとして構成されている。各シリンダ2の上方には2本の吸気弁4及び2本の排気弁5がそれぞれ設けられており、これらの吸気弁4及び排気弁5がピストン3の上下動に連動して弁駆動システム10にて開閉駆動されることにより、シリンダ2への吸気及びシリンダ2からの排気が行われる。
弁駆動システム10は、各シリンダ2の吸気側に1つずつ設けられた弁駆動装置11A…11Aと、各シリンダ2の排気側に1つずつ設けられた弁駆動装置11B…11Bとを備えている。これらの弁駆動装置11A,11Bはいずれもカムを利用して吸気弁4又は排気弁5を駆動するものである。弁駆動装置11Aの構成は互いに等しく、また弁駆動装置11Bの構成は互いに等しい。図2は一つのシリンダ2に対応付けて設けられた吸気用及び排気用の弁駆動装置11A,11Bを示している。なお、弁駆動装置11A、11Bは互いに類似した構成を有しており、まず吸気側の弁駆動装置11Aについて説明する。
吸気側の弁駆動装置11Aは、駆動源としての電動モータ(以下、モータと略称することがある。)12と、モータ12の回転運動を吸気弁4の直線的な開閉運動に変換する動力伝達機構13とを備えている。モータ12には、回転速度の制御が可能なDCブラシレスモータ等が使用される。モータ12には、その回転位置を検出するためのレゾルバ、ロータリエンコーダ等の回転位置検出手段が内蔵されている。
動力伝達機構13は、一本のカム軸14Aと、モータ12の回転運動をカム軸14Aに伝達するギア列15と、吸気弁4を駆動するロッカーアーム16と、カム軸14Aとロッカーアーム16との間に介在される弁特性調整機構17とを備えている。カム軸14Aはシリンダ2毎に独立して設けられている。言い換えれば、シリンダ2毎にカム軸14Aは分かれている。ギア列15は、モータ12の出力軸(不図示)に取り付けられたモータギア18の回転を中間ギア19を介してカム軸14Aと一体のカム駆動ギア20に伝達することにより、モータ12に同期してカム軸14Aを回転させる。
図3及び図4にも示したように、カム軸14Aには単一のカム21Aが一体に回転可能に設けられている。カム21Aはカム軸14Aと同軸のベース円の一部を膨らませた板カムの一種として形成されている。全ての弁駆動装置11Aの間でカム21Aのプロファイル(外周の輪郭)は互いに等しい。カム21Aのプロファイルはその全周に亘って負の曲率が生じないように、つまり半径方向外側に向かって凸曲面を描くように設定されている。
ロッカーアーム16は支軸22を中心として揺動可能に設けられている。吸気弁4は弁スプリング23によってロッカーアーム16側に付勢され、それにより吸気ポートのバルブシート(不図示)に吸気弁4が密着して吸気ポートが閉じられる。ロッカーアーム16の他端部はアジャスター24と接している。アジャスター24がロッカーアーム16の他端部を押し上げることにより、ロッカーアーム16はその一端部が吸気弁4の上端部と接触した状態に保たれる。
弁特性調整機構17は、カム21Aの回転運動をロッカーアーム16に揺動運動として伝達する仲介手段として機能するとともに、カム21Aの回転運動とロッカーアーム16の揺動運動との相関関係を変更することにより吸気弁4のリフト量及び作用角を変化させるリフト量及び作用角変更手段としても機能する。
図5に示すように、弁特性調整機構17は、支持軸30と、その支持軸30の中心部を貫いて配置された操作軸31と、支持軸30上に配置された第1リング32と、その両側に配置された2つの第2リング33,33とを備えている。支持軸30は内燃機関1のシリンダヘッド等に固定的に取り付けられる。操作軸31は、不図示のアクチュエータにより支持軸30に対して軸線方向(図6のR方向及びF方向)に往復駆動される。第1リング32及び第2リング33は支持軸30に対して軸線方向にスライド可能かつ周方向に揺動可能に支持されている。第1リング32の外周にはローラフォロア34が回転自在に取り付けられ、第2リング33の外周にはノーズ35が形成されている。
図6に示すように、支持軸30の外周にはスライダ36が設けられている。スライダ36は、その周方向に延びる長孔36cが操作軸31に取り付けられたピン37と噛み合うことにより、支持軸30に対して操作軸31と一体に軸線方向にスライド可能である。なお、支持軸30にはピン37の軸線方向の移動を許容する軸線方向の長孔(不図示)が形成されている。スライダ36の外周には第1のヘリカルスプライン36aと、これを挟むように配置された第2のヘリカルスプライン36b,36bとが一体に設けられている。第2のヘリカルスプライン36bの捻れ方向は第1のヘリカルスプライン36aの捻れ方向に対して逆方向である。一方、第1リング32の内周には第1のヘリカルスプライン36aと噛み合うヘリカルスプライン32aが形成され、第2リング33の内周には第2のヘリカルスプライン36bと噛み合うヘリカルスプライン33aが形成されている。
図4から明らかなように、弁特性調整機構17は、そのローラフォロア34がカム21Aに、ノーズ35が各吸気弁4に対応するロッカーアーム16の一端部にそれぞれ対向するようにして内燃機関1に取り付けられる。カム21Aの回転に伴ってローラフォロア34がノーズ部21aと接触して押し下げられると、ローラフォロア34を支持する第1リング32が支持軸30上で回転し、その回転運動がスライダ36を介して第2リング33に伝達されて第2リング33が第1リング32と同一方向に回転する。これらの第2リング32の回転によりノーズ35がロッカーアーム16の一端部を押し下げ、それにより吸気弁4が弁スプリング23に抗して下方に変位して吸気ポートが開かれる。ノーズ部21aがローラフォロア34を乗り越えると弁スプリング23の力で吸気弁4が押し上げられて吸気ポートが閉じる。このようにしてカム軸14Aの回転運動が吸気弁4の開閉運動に変換される。
さらに、弁特性調整機構17においては、操作軸31を軸線方向に変位させて図6に矢印R、Fで示したようにスライダ36を支持軸30に対してスライドさせると、第1リング32と第2リング33とが周方向に関して互いに逆方向に回転する。スライダ36を矢印F方向に移動させたときは第1リング32が矢印P方向に、第2リング33が矢印Q方向にそれぞれ回転してローラフォロア34とノーズ35との周方向の間隔が増加する。一方、スライダ36を矢印R方向に移動させたときは第1リング32が矢印Q方向に、第2リング33が矢印P方向にそれぞれ回転してローラフォロア34とノーズ35との周方向の間隔が減少する。ローラフォロア34とノーズ35との間隔が増加するほどノーズ35がロッカーアーム16を押し下げる量は増加し、これに伴って吸気弁4のリフト量及び作用角も増加する。従って、図6の矢印F方向に操作軸31を操作するほど吸気弁4のリフト量及び作用角が増加することになる。
以上のように構成された弁駆動装置11Aによれば、モータ12によりカム軸14Aを、内燃機関1のクランク軸の回転速度の半分の速度(以下、これを基本速度と呼ぶ。)で一方向に連続的に駆動することにより、クランク軸からの動力で弁を駆動する一般的な機械式弁駆動装置と同様に、クランク軸の回転に同期して吸気弁4を開閉駆動することができる。また、弁特性調整機構17により吸気弁4のリフト量及び作用角を変化させることもできる。さらに、弁駆動装置11Aによれば、モータ12によるカム軸14Aの回転駆動の速度を基本速度から変化させることにより、クランク軸の位相とカム軸14Aの位相との相対関係を変化させて吸気弁4の動作特性(開弁タイミング、閉弁タイミング、リフト特性、作用角、最大リフト量)を様々に変化させることができる。
一方、図2に示すように、排気弁5側の弁駆動装置11Bでは、弁駆動装置11Aと異なって、カム軸14Bに2つのカム21Bが設けられ、弁特性調整機構17が省略され、2つのカム21Bがロッカーアーム16をそれぞれ直接駆動している。弁駆動装置11Bのこれら以外の部分は弁駆動装置11Aと共通であり、それらの共通部分の説明は省略する。カム21Bのプロファイルはカム21Aと同様に全周に亘って凸曲面で構成されている。排気弁5に関しても、弁駆動装置11Bのモータ12によるカム軸14Bの駆動速度を種々変化させることにより、排気弁5の動作特性を様々に変化させることができる。
図2に示すように、弁駆動装置11A,11Bのモータ12の動作特性を制御するため、弁駆動システム10にはモータ制御装置40が設けられている。モータ制御装置40はマイクロプロセッサ、及びその主記憶装置としてのRAM、ROMを備えたコンピュータとして構成されており、ROMに記憶された弁制御プログラムに従って各電動モータ12の動作を制御する。なお、図2では一つのシリンダ2の弁駆動装置11A,11Bを示しているが、モータ制御装置40は他のシリンダ2の弁駆動装置11A,11Bに対しても共用される。
モータ制御装置40には、電動モータ12の制御に必要な情報の入力手段として、排気ガスの空燃比に対応した信号を出力するA/Fセンサ41、吸入空気量を調整するスロットルバルブの開度に対応した信号を出力するスロットル開度センサ42、アクセルペダルの開度に対応した信号を出力するアクセル開度センサ43、吸入空気量に対応した信号を出力するエアフローメータ44、クランク軸の角度に対応した信号を出力するクランク角センサ45がそれぞれ接続されている。なお、電動モータ12の制御には、これらのセンサによる実測値に代えて所定の関数式やマップから求めた値を使用してもよい。また、モータ12に内蔵された位置検出センサの出力信号もモータ制御装置40に入力される。
次に、モータ制御装置40によるモータ12の制御について説明する。なお、以下では、一つのシリンダ2の吸気弁4を駆動するためのモータ12の制御について説明するが、他の吸気弁4を駆動するモータ12の制御についても同様である。排気弁5を駆動するモータ12についても同様である。
図7は、モータ制御装置40が内燃機関1の運転状態に応じてモータ12の出力トルクを変化させるために一定周期で繰り返し実行するモータ駆動制御ルーチンを示している。図7のモータ駆動制御ルーチンを実行することにより、モータ制御装置40はモータ制御手段として機能する。このモータ駆動制御ルーチンにおいて、モータ制御装置40はまずステップS1にてカム21Aの回転位置を例えばモータ12の位置検出センサと、ギア列15の減速比とに基づいて検出する。このステップS1ではモータ制御装置40がカム位置特定手段として機能する。
次に、ステップS2において吸気弁4の動作内容を決定するために必要な内燃機関1の運転状態を検出する。例えば、内燃機関1の回転数(回転速度)、負荷率等を上述したセンサ41〜45の出力信号に基づいて検出する。続くステップS3では、内燃機関1の運転状態の検出結果に基づいて吸気弁4の動作内容を決定する。例えば、現時点の運転状態に対応して吸気弁4に与えるべきリフト量、カム軸14Aの位相、回転数等のパラメータを決定する。
続くステップS4では、カムフリクショントルクの推定値TFを下式(1)により求める。なお、モータギア18から吸気弁4又は排気弁5に至るまでの機械的構成に基づいてモータ12に負荷される回転抵抗をここではカムフリクショントルクと呼ぶ。
TF(θ+θ3)=Tf+f1(Tf1,θmax−θ1,θ+θ3)+f2(
Tf2,θmax+θ2,θ+θ3) ……(1)
ここで、Tfはベースフリクショントルク、f1は弁スプリング23によるカム21Aの押し戻し作用によって発生するカムフリクショントルクの変動成分を記述する多項式近似関数、f2は弁スプリング23によるカム21Aの押し出し作用によって発生するカムフリクショントルクの変動成分を記述する多項式近似関数、θは制御実行時におけるクランク角、θ3はモータ12に応じて定まる時定数である。以下、図8及び図9を参照して(1)式を説明する。
図8はクランク角θと、バルブリフト(吸気弁4のリフト量)、カムフリクショントルクTF(θ)及びモータ12の駆動電流I(θ)との対応関係を示している。但し、カムフリクションTFは正方向、つまりカム21Aの回転に対して抵抗となる方向を図8の下方向に対応付けて示している。また、図8ではバルブリフト量を大小2段階に変化させたときのカムフリクショントルクTF及びモータ12の駆動電流Iを示している。すなわち、バルブリフト量が大きい場合を太線で、バルブリフト量が大きい場合を細線でそれぞれ示している。
図8から明らかなように、(1)式の第1項のベースフリクショントルクTfは正方向に作用し、その値はクランク角θに拘わりなく一定である。つまり、ベースフリクショントルクTfはカム21Aを回転させる際にモータ12に負荷される基本的な回転抵抗を示している。次に、図8の横軸上の適当な位置に基準位置をとり、その基準位置からクランク角θがθmaxだけ進んだ位置(以下、これを最大リフト位置と呼ぶ。)でバルブリフトが最大値を取るとした場合、カムフリクショントルクTF(θ)は最大リフト位置θmaxに達する前の吸気弁4が開かれる過程でベースフリクショントルクTfよりも正方向に増加してピークを示し、吸気弁4が閉じられる過程でベースフリクショントルクTfよりも負方向に減少する。このようなフリクショントルクTF(θ)の変化は、カム21Aが弁スプリング23に抗して吸気弁4を開く際には弁スプリング23の反発力がカム21Aをその回転方向と反対方向に押し戻すように作用し、弁スプリング23の反発力がピークを超えた後は弁スプリング23の反発力がカム21Aを回転方向に押し出すように作用することに起因する。
任意のクランク角θに対応するカムフリクショントルクTFのベースフリクショントルクTfからの変動量は厳密には弁駆動装置11Aの構成から力学的に又は機構学的に演算することができる。しかしながら、クランク角θとカムフリクショントルクTFの変動量との相関関係は、ベースフリクショントルクTfに対するカムフリクショントルクの変動量のピーク値Tf1,Tf2、及びそれらのピーク値Tf1,Tf2が与えられるクランク角θの最大リフト位置θmaxからのずれ量θ1,θ2を変数とする関数によって近似的に表現することができる。上述した(1)式の第2項f1、f2はそのような観点から求めた近似関数である。モータ制御装置40のROMにはそれらの近似関数を特定する情報が記録されている。
最大リフト位置θmaxは図7のステップS3の処理において決定される。また、図9に示すように吸気弁4の最大リフト量とベースフリクショントルクTf、ピーク値Tf1,Tf2、クランク角ずれ量θ1,θ2との間には相関関係があり、これらの関係は予めモータ制御装置40のROMにマップ形式で記録されている。従って、ステップS4の処理において、モータ制御装置40はまずROM内のマップを参照して現在の最大リフト量に対応したベースフリクショントルクTf、ピーク値Tf1,Tf2、クランク角ずれ量θ1,θ2を取得し、それらの値と、クランク角センサ45の出力に基づいて特定した現在のクランク角θとを(1)式に代入してカムフリクショントルクTFを求めることになる。但し、後述するステップS10又はS11にてこれらの値が補正された場合にはその補正が反映されてカムフリクショントルクTFが求められる。
但し、モータ12には応答遅れがあり、その応答遅れがクランク角θにして時定数θ3で与えられている場合には、現在のクランク角θよりも時定数θ3だけクランク角θが進んだときのカムフリクショントルクTFを現時点で求めておく必要がある。そのため、(1)式の第2項及び第3項はそれぞれクランク角θに対して時定数θ3が加算されている。なお、多項式近似関数f1,f2に代え、物理モデルによってカムフリクショントルクの変動成分を求めるようにしてもよい。
図7に戻って説明を続ける。カムフリクショントルクTFの算出後はステップS5に進み、カムフリクショントルクTF(θ+θ3)に所定のゲインαを乗じて現時点で与えるべきモータ12の駆動電流I(θ)を求める。続くステップS6においてモータ12に対する駆動電流I(θ)に設定してモータ12の駆動を実行する。図8から明らかなように、ステップS6にて与えられるモータ駆動電流I(θ)には、カムフリクショントルクTF(θ)の変化がモータ時定数θ3だけ早められて反映される。従って、カムフリクショントルクTF(θ)がベースフリクショントルクTfよりも大きくなるとき(図8の下側に変化するとき)にはそれに合わせてモータ12の出力トルクも増加し、カムフリクショントルクTF(θ)がベースフリクショントルクTfよりも小さくなるとき(図8の上側に変化するとき)にはそれに合わせてモータ12の出力トルクも減少する。これにより、モータ12の出力トルクが過不足なく制御される。
モータ12の駆動を実行した後はステップS7に進み、現在の駆動電流I(θ)と標準的な駆動電流I(θ)との差が所定の閾値λ内か否かを判断する。標準的な駆動電流I(θ)とはステップS10又はステップS11による補正を考慮せずに求められる駆動電流である。ステップS7で閾値λ内と判断したときはステップS8に進み、A/Fセンサ41が検出した空燃比(測定A/F)から目標空燃比(目標A/F)を減算した値が所定の閾値β以下か否か判断する。ここで目標A/Fは内燃機関1の運転状態に応じて設定される空燃比の目標値である。吸気弁4の動弁特性は内燃機関の運転状態に応じて適宜に設定されているので(ステップS3参照)、結局、目標A/Fは吸気弁4の動作状態が適正に制御されていれば得られるであろう空燃比に相当する。
測定A/Fが目標A/Fよりも閾値βを超えて増加してステップS8の条件が否定された場合、すなわち目標空燃比に対して実際の空燃比がリッチ側に閾値βよりも大きくずれているときはステップS10へ進み、(1)式に代入するクランク角ずれ量θ1、θ2、及びカムフリクショントルクの変動量のピーク値Tf1、Tf2の少なくともいずれか一つのパラメータを図9のマップによって特定される値から空燃比の差に対応した量だけ減少させる。なお、ピーク値Tf1,Tf2の減少は、これらの値をベースフリクショントルクTfに近付けるように変化させることを意味する。このような変化により吸気弁4は相対的に閉じる方向に、つまりリフト量が小さくなる方向に制御される。従って、ステップS10では、吸気弁4のリフト量を減らして吸入空気量を相対的に減少させることにより、測定A/Fと目標A/Fとのずれの解消を図っている。
一方、ステップS8の条件が肯定された場合にはステップS9へ進み、目標A/Fから測定A/Fを引き算した値が所定の閾値γ以下か否か判断する。ステップS9の条件が肯定された場合には今回のモータ駆動制御ルーチンを終える。一方、測定A/Fが目標A/Fよりも閾値γを超えて減少してステップS9の条件が否定された場合、すなわち目標空燃比に対して実際の空燃比がリーン側に閾値γよりも大きくずれているときはステップS11へ進み、(1)式に代入するクランク角ずれ量θ1、θ2、及びカムフリクショントルクの変動量のピーク値Tf1、Tf2の少なくともいずれか一つのパラメータを図9のマップによって特定される値から空燃比の差に対応した量だけ増加させる。なお、ピーク値Tf1,Tf2の増加は、これらの値をベースフリクショントルクTfから遠ざけるように変化させることを意味する。このような変化により吸気弁4は相対的に開く方向に、つまりリフト量が大きくなる方向に制御される。従って、ステップS11では、吸気弁4のリフト量を増やして吸入空気量を相対的に増加させることにより、測定A/Fと目標A/Fとのずれの解消を図っている。
ステップS10又はS11にて変数θ1、θ2、Tf1又はTf2を補正した後はステップS12へ進む。ステップS12ではパラメータの増減量が閾値Ψよりも大きいか否かを判断する。そして、閾値Ψ以内のときはステップS4へ戻りカムフリクショントルクTFを演算する。このとき、変数θ1、θ2、Tf1及びTf2のうちステップS10又はS11にて補正されたものについては補正後の値を利用する。
一方、ステップS12にて増減量が閾値Ψよりも大きいと判断した場合には弁駆動装置11Aの異常とみなし、ステップS13に進んで弁駆動装置11Aの異常を運転者に知らしめるべく所定の警告を行う。例えば車両の計器盤上の警告灯を点灯又は点滅させる。そして、ステップS15に進み、所定の退避走行処理を開始してモータ駆動制御ルーチンを終える。また、ステップS7にて駆動電流I(θ)の差が閾値λを超えたときはモータ12の異常とみなし、ステップS14に進んでモータ12の異常を運転者に知らしめるべく所定の警告を行う。例えば車両の計器盤上の警告灯を点灯又は点滅させる。そして、ステップS15に進む。
以上の実施形態によれば、カムフリクショントルクの増減に対応してモータ12の出力トルクが過不足なく制御されるので、カムフリクショントルクの変動の影響によるカム軸14Aの回転速度のばらつきを抑え、カム21Aの動作特性を目標値に対して精度良く制御することができる。そのため、内燃機関1の燃費や動力性能が向上し、排気エミッションの悪化が防がれる。
また、空燃比のずれを特定し、そのずれが補正されるようにモータ12の出力トルクを制御しているので、制御の目標値のみに依存することなく弁駆動装置11Aの実際の状態に応じてモータ12の出力トルクを適正に制御することができる。例えば、弁駆動装置11Aの個体差や経年変化により、図8の近似関数f1,f2や図9のマップの設定時とは弁駆動装置11Aの状態が相違している場合には、その相違が空燃比のずれとして出現する。従って、空燃比のずれを補正するようにモータ12の駆動電流を制御すれば、結果として、弁駆動装置11Aの状態を正しく反映して吸気弁4の動作特性を適正に制御できることになる。このようにして補正されたモータ12の駆動電流は吸気弁4のリフト量と位相とを正しく反映しているので、補正後のモータ12の駆動電流に基づいてシリンダ2内への吸入空気量を正しく算出することもできる。
さらに、上述の実施形態によれば、モータ12の駆動電流が標準的な駆動電流に対して著しく大きく又は小さく設定された場合にはモータ12の異常と判断し(ステップS7→S14)、空燃比のずれに対応したパラメータの補正量(増減量)が許容レベルを超えて大きいときは弁駆動装置の異常と判断する(ステップS12→S13)ことにより、モータ制御装置40を異常判別手段として機能させている。モータ12の駆動電流が標準駆動電流と比して過大又は過小であればモータ12が正常に動作していない可能性が高く、駆動電流が正常であっても、空燃比のずれを解消するために必要な補正量が正方向又は負方向に過度に大きいときは弁駆動装置11Aのいずれかに異常が生じて吸気弁4が正しく駆動されていない可能性が高いため、本実施形態によれば弁駆動システム10の異常を適切に判別できる。このようにモータ12の駆動電流の補正量に基づいてモータ12及び弁駆動装置11Aの異常を判断しているので、異常診断のために弁駆動装置11Aの作動状態をモニタするセンサを別に設ける必要がなくコスト増を防止できる。
ステップS8〜11のモータ出力トルクの補正、及びステップS7又はS12による異常の有無の判別はフリクショントルクの推定に基づくモータ出力トルクのフィードフォワード制御に固有のものではなく、モータ12に関する様々な制御に対して組み合わせて実行してよい。例えば、クランク軸の回転数に基づくモータ12の出力トルクのフィードバック制御に対しても、図7の例と同様に出力トルクの補正や異常判別を行うことができる。
上述の実施形態において、ステップS10又はS11にて求めた増減量はフリクショントルクTFの補正量としてモータ制御装置40内の記憶装置に記憶させることが望ましい。この場合の記憶装置は、車両のバッテリによってバックアップされたバックアップRAM、又は記憶保持用の電源の供給を必要としない書換え可能なフラッシュROMのような不揮発性メモリとすることが望ましい。このような記憶装置を利用すれば、イグニッションスイッチがオフされて内燃機関1が停止した後も補正量を保持し、次回の内燃機関1の始動時からその記憶された補正値を参照してカムフリクショントルクTFを適正に算出することができる。
上述したカムフリクショントルクの予測に基づくモータ出力トルクのフィードフォワード制御は、モータ出力トルクに関する他の制御と並行して実行されてもよいし、単独で実行されてもよい。例えば、クランク角センサ45が検出したクランク角に基づくカム角のフィードバック制御と上述したカムフリクショントルクのフィードフォワード制御とを並行して実施してもよい。
本実施形態の弁駆動システム10は、内燃機関1の運転状態に応じて吸気弁4及び排気弁5の動作を制御するための上述した基本的構成の他に幾つかの特徴を有している。以下順に説明する。なお、以下に説明する吸気側の弁駆動装置11Aの各種の機構又は構造は、特に断りのない限り排気側の弁駆動装置11Bにも設けられて弁駆動装置11Aと同様の作用効果を奏するものである。
(カムの位置検出について)
本実施形態の弁駆動システム10では、モータ12の回転位置検出手段を利用してカム21Aの位置を特定している(図7のステップS1参照)。その回転位置検出手段には好適には一極対の磁極センサが使用される。磁極センサは、出力軸の周囲にS極とN極とが同数ずつ配置され、S極→N極→S極の順、又はN極→S極→N極の順に出力軸が回転する間に0°〜360°の回転信号を出力するように構成されている。通常のモータにおいて磁極センサの磁極数はモータ12の磁極数に合わせられている。例えば、モータ12が4極対(S極とN極で一対)であれば磁極センサは4極対となり、モータ12が8極対であれば磁極センサも8極対のものが使用される。しかしながら、本実施形態ではモータ12の極数に拘わりなく一極対の磁極センサをモータ12の位置検出センサとして使用する。このようにすれば、モータ12の出力軸の回転位置と位置検出センサの出力信号とが1:1に対応するのでモータ12の回転位置の割り出しを容易に行える利点がある。特にモータ12とカム軸14Aとの間の速度比が1:1であるときはモータ12の回転位置とカム21Aの回転位置とが1:1に対応するので、モータ12の回転位置がそのままカム21Aの回転位置を表すこととなって好都合である。
一方、ギア列15の都合等によりモータ12からカム軸14Aまでの減速比が1:1に設定できない場合には、モータ12の回転位置がカム21Aのどの回転位置に対応するかを一義的に決めることができないので、両者の対応関係を特定する初期化操作を行わないとカム21Aの回転位置を制御することができない。初期化操作は実際にカム21Aを駆動して所定のカム角がモータ12のどの回転位置に対応付けられているかを検出することによって行うことができるが、モータ12からカム21Aまでの減速比がN:M(但し、N>M、かつN,Mは1以外に公約数を持たない整数)のときにカム角0〜360°のうち特定のカム角に対応するモータ12の回転位置(モータ角)はカム角0〜360°の間においてN箇所に、つまり360/N°毎に存在する。例えば、図10に示すように減速比がN:M=5:3に設定されている場合には、モータ12が5回転する間にカム21Aは3回転するから、カム21Aが一回転する間の5箇所の位置(図に黒丸で示す。)のいずれか1つの位置がカム角の0°に対応する。従って、Nが小さい程、カム位置の検出は容易となる。誤検出に対する余裕からみて、特定のカム角に対応するモータ角を60°毎又はそれ以上の角度毎に設定するとすれば、Nは6以下が好適範囲となる。
(カムの初期化操作について)
次に、カム位置に関する初期化操作について説明する。図11はモータ制御装置40がカム位置を初期化するために実行するカム位置初期化ルーチンを示している。図11のカム位置初期化ルーチンを実行することによりモータ制御装置40は初期化手段として機能する。このルーチンにおいて、モータ制御装置40はまずステップS21でモータ12を起動してカム21Aを回転させる。このとき、回転位置センサからの位置信号等を利用してモータ12の回転速度をフィードバックし、回転速度が一定となるようにモータ12の出力トルクを制御する。出力トルクは駆動電流の増減によって制御される。続くステップS22では、フィードバック制御された駆動電流を利用してカムフリクショントルクを検出する。次のステップS23ではカム21Aの一回転に相当するだけモータ12が回転したか否かを判別し、未了であればステップS22へ戻る。カム21Aが一回転したならばステップS24でカムを停止させてステップS25へ進む。
ステップS25では、カムフリクショントルクの検出結果に基づいてカム21Aの位置とモータ12の回転位置との対応関係を特定する。すなわち、図12(a)に示すようにモータ速度が一定であればカムフリクショントルクとモータ出力トルクとの間には相関関係があり、カム21Aが吸気弁4を開き始める位置Paからカムフリクショントルクが増加すると出力トルクも増加し、カム21Aのノーズ部21aが吸気弁4の延長線上に達する位置Pbにてカムフリクショントルク及びモータ出力トルクが反転し、吸気弁4が完全に閉じてカム21Aが離れる位置Pcにてカムフリクショントルク及びモータ出力トルクがそれぞれのベース値に収束する。但し、実際には図8に示したようにモータ時定数の影響があるが、図12ではモータ12の時定数を無視した。
このようなカムフリクショントルクとモータ出力トルクとの関係を利用すれば、カムの位置Pa、Pb又はPcの少なくともいずれか1つを判別し、その判別した位置とモータ12の回転位置との対応関係を把握することができる。そして、この対応関係を利用して、現在のカム位置(カム角)を図11のステップS25で特定する。続くステップS26では、初期化操作によって特定されたカム位置の情報を記憶し、その後に初期化操作ルーチンを終える。
以上の処理によれば、モータ出力トルクの変化からカム位置を特定することができるので、カム位置を検出するためのセンサを別に設ける必要がないという利点がある。但し、本発明はモータ出力トルクに基づくカム位置の特定に限定されない。例えば、図12(b)に示すようにモータ出力トルクを一定に保持してカム21Aを回転させたときはモータ12の回転速度がカムフリクショントルクに応じて変動する。従って、モータ12の回転位置センサからの信号を利用してモータ速度又は加速度を取得し、その速度又は加速度の変化からカム位置を特定してもよい。いずれにせよ、カムフリクショントルクの変化と相関関係を有する各種の物理量を監視すればカム位置は特定できる。
上述したカム位置初期化ルーチンは、内燃機関1の始動時又は停止時に行うことができる。具体的には、イグニッションスイッチがオンされた場合に、クランキング動作に先立ってカム位置初期化ルーチンを実行するか、又はイグニッションスイッチがオフされて内燃機関1の停止が確認された場合にモータ制御装置40に対する電源供給の遮断に先立ってカム位置初期化ルーチンを実行する。イグニッションスイッチのオン時に初期化を行った場合、得られたカム位置の情報はモータ制御装置40が参照可能である限り、各種の記憶装置に記憶してよい。一方、イグニッションスイッチのオフ時に初期化を行った場合には、得られたカム位置の情報を車両のバッテリによってバックアップされたバックアップRAM、又は記憶保持用の電源の供給を必要としない書換え可能なフラッシュROMのような不揮発性メモリに記憶する。このような記憶装置を利用すれば、内燃機関1の始動時において初期化を不要とし、記憶されたカム位置を利用して直ちにカム21Aの制御を開始することができる。
さらに、カム位置初期化ルーチンの実行時期はイグニッションスイッチのオン又はオフの直後に限定されず、内燃機関1の運転に影響を与えない状態であれば必要に応じて適宜に行ってよい。例えば、アイドリングストップの実行中にカム位置初期化ルーチンを実行してもよいし、減速等に一部のシリンダにて燃焼を休止するいわゆる減筒運転の実行中には、休止気筒(燃焼を停止したシリンダ)に対応するカム21Aに関してカム初期化ルーチンを実行してもよい。
(カム回転を利用した発電について)
上述した図8においては、カムフリクショントルクTF(θ)が常に0よりも大きく、モータ12にはカム21Aの一回転を通じて駆動電流が供給されている。しかしながら、弁スプリング23がカム21Aを押し出す力の大きさと、ベースフリクショントルクTfとの大小関係によっては、例えば図13に示すようにカムフリクショントルクTFが負となり、弁スプリング23の反発力によってモータ12の出力軸が回転駆動されることがある。このような状態が生じるときは、図14にも示したようにモータ(モータジェネレータと呼ばれることもある。)12にて発電し、得られた電力をインバータ回路50を介してバッテリ51に充電することにより、カム21Aの回転に適正な負荷を加えるようにしてもよい。
[第2の実施形態]
次に本発明の第2の実施形態を説明する。上述した第1の実施形態ではカムフリクショントルクを予測してモータ12の出力トルクを制御したが、この実施形態では内燃機関1の運転状態に基づいて内燃機関1の回転数(回転速度)の変化を予測し、その予測結果に応じてモータ12の出力トルクを制御している。なお、弁駆動装置11A、11Bの機械的構成は第1の実施形態と同様である。
図15は本発明の第2の実施形態におけるモータ制御装置40に実装される制御系のブロック線図である。この構成はCPUとソフトウエアとの組み合わせによって実現されてもよいし、ハードウエア回路によって実現されてもよい。この実施形態では、クランク角センサ45が検出したクランク角、及び内燃機関1の運転状態に応じて要求されるバルブタイミング(要求バルブタイミング)に基づいて、制御目標値としての要求カム角が演算される。その要求カム角と、入力情報として与えられる実際のカム角(実カム角)との偏差が取得され、その偏差に基づいてモータ12の出力トルクがPID制御される。
また、図15の制御系では内燃機関1の回転数の変化に関係する幾つかのパラメータ(例えば、ここで監視されるパラメータとしては、アクセル開度、吸入空気量、燃料噴射量)が監視され、それらのパラメータに対応する出力トルクの補正量が所定のマップを利用して求められる。車両に自動変速機が設けられている場合にはシフト位置がパラメータとして監視されてもよい。シフト位置はトランスミッションのシフト線図を参照することによって取得できる。各パラメータと補正量との対応関係はベンチ適合試験やコンピュータシミュレーションによって取得すればよい。
そして、PID制御によって得られた出力トルクに、マップに基づいて得られた出力トルクの補正量が加算された値が要求トルクとして出力される。モータ制御装置40はその要求トルクに基づいてモータ12の駆動電流を制御する。
以上の実施形態においては、内燃機関1の回転数の変化がアクセル開度等を介していわば間接的に予測され、その予測された結果に応じてマップからモータ出力トルクの補正量が与えられることにより、モータ12の出力トルクがフィードフォワード制御されることになる。従って、内燃機関1の回転数の変化に対するカムの駆動速度の応答性を改善できる。
図16は、アクセル開度に基づいて回転数の変化を予測した際のカム出力トルクのフィードフォワード制御の例を示している。なお、図中においてフィードフォワードトルクとは、図15の制御系においてマップから特定した出力トルクの補正量を意味し、要求トルクそのものではない。図16の例ではアクセル開度の急増に対応して一定期間Aだけフィードフォワードトルクが所定量だけ増加している。アクセル開度の増加により内燃機関1の回転数は増加するが、仮にフィードフォワードトルクを与えなければ同図に実線で示す要求カム角に対して同図に二点鎖線で示すように実カム角は遅れを伴う。例えば、内燃機関1の回転数に基づいてモータ12の出力トルクをフィードバック制御するだけではこのようなカム角のずれが生じる可能性がある。しかしながら、フィードフォワードトルクを与えた場合には要求カム角と実カム角とをほぼ一致させてカムの応答性を改善できる。
図17は、シフト位置に基づいて回転数の変化を予測した際のカム出力トルクのフィードフォワード制御の例を示している。この例では、トランスミッションのシフト線図に基づいてシフトダウン要求が与えられる場合において、その要求に対応して一定期間Bだけフィードフォワードトルクが所定量だけ増加している。シフトダウンの実行により内燃機関1の回転数は増加するが、仮にフィードフォワードトルクを与えなければ同図に実線で示す要求カム角に対して同図に二点鎖線で示すように実カム角に応答遅れが生じる。しかしながら、フィードフォワードトルクを与えた場合にはシフトダウン実行時にも要求カム角と実カム角とをほぼ一致させてカムの応答性を改善できる。
以上の他にも、内燃機関1の回転数の変化に相関する各種のパラメータを参照して回転数の変化を予測してよい。なお、回転数変化の予測に基づくモータ出力トルクのフィードフォワード制御は、モータ出力トルクに関する他の制御と並行して実行されてもよいし、単独で実行されてもよい。例えば、クランク角センサ45が検出したクランク角に基づくカム角のフィードバック制御、及び第1の実施形態におけるカムフリクショントルクの予測に基づくフィードフォワード制御との少なくともいずれか一方と第2の実施形態におけるフィードフォワード制御とを並行して実施してもよい。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。本実施形態は、内燃機関1の運転状態に応じて各弁駆動装置11A,11Bのモータ12の駆動モードを正転モードと正逆転モードとの間で切り替えるものである。なお、正転モードとはモータ12を一定方向(正転方向)に連続的に回転させるモード、正逆転モードとはモータ12の回転方向を正転方向及び逆転方向の間で適宜に切り替えるモードである。弁駆動装置11A、11Bの機械的構成は第1の実施形態と同様である。
図18はモータ12の駆動モードに関する切り替え条件の一例を示す。この例では、内燃機関1の回転数と負荷とに基づいてモータ駆動モードが切り替えられ、高回転高負荷時には正転モード、低回転低負荷時には正逆転モードが適用される。正逆転モードでは吸気弁4又は排気弁5が開く途中の任意の位置でモータ12の回転方向を切り替えることにより、カム21A,21Bを最大リフト位置、つまり、吸気弁4又は排気弁5に最大リフト量が与えられる位置に達する前に吸気弁4又は排気弁5を閉じることができる。
すなわち、図19に示すように、モータ12を正転モードで回転させたときの最大リフト量がLaのとき、正逆転モードでカム21A,21Bが最大リフト位置θmaxに達する前にモータ12を一旦停止させ、その後に逆転させた場合には、吸気弁4及び排気弁5の最大リフト量をより少ないLbに制限することができる。これにより、吸入空気量の過剰な増加を防止することができる。また、始動時に正逆転モードを選択して、応答性に優れたデコンプ機能(吸気弁4又は排気弁5を開けて圧縮圧力を下げる機能)を実現することもできる。一方、高負荷高回転時に正転モードを適用すれば、カム21A,21Bやギア列15等の慣性を利用して比較的小さなトルクでカム21A,21Bを高速で回転させることができる。
なお、正逆転モードにおけるリフト量Lbは内燃機関1の運転状態に応じて適宜に変更してもよい。リフト量Lbを可変とするには、モータ制御装置40により、リフト量Lbに応じてカム21Aの回転角度を増減させればよい。
図20は、モータ制御装置40がモータ12の駆動モードを切り替えるために内燃機関1の運転中に適宜の周期で繰り返し実行する駆動モード判別ルーチンを示している。この駆動モード判別ルーチンをモータ制御装置40が実行することにより、モータ制御装置40はリフト量制御手段及びモード切替手段として機能する。
図20の駆動モード判別ルーチンにおいて、モータ制御装置40はステップS31で内燃機関1の回転数及び負荷を取得し、続くステップS32で図18に示した条件に従って現在の内燃機関1の運転状態が正転モードを選択する領域にあるか否かを判断する。そして、その判断結果に応じて正転モード又は正逆転モードを選択し(ステップS33又はS34)、その後に駆動モード判別ルーチンを終える。
なお、駆動モードの判別においては、機関回転数と機関負荷に限らず、内燃機関1の運転状態に相関する各種のパラメータを参照してよい。また、正転モード及び正逆転モードの切替条件も図18の例に限らず適宜に変更してよい。正転モードにおけるモータ12の出力トルクの制御には上述した第1及び第2の実施形態のフィードフォワード制御を使用することができる。
[第4の実施形態]
次に本発明の第4の実施形態を説明する。本実施形態は、内燃機関1の停止中の所定時期に図21のクリーニング制御ルーチンをモータ制御装置40に実行させることにより、モータ制御装置40を弁回転実行手段として機能させるものである。なお、弁駆動装置11A、11Bの機械的構成は第1の実施形態と同様である。
図21のクリーニング制御ルーチンにおいて、モータ制御装置40はステップS41でモータ12の高速回転を開始させ、ステップS42でモータ12の回転開始から所定時間が経過したか否かを判断する。そして、所定時間が経過するとステップS43へ進み、モータ12を停止させる。
以上のように、内燃機関1の停止中にモータ12を高速回転させると、図22に示すように吸気弁4が高速で開閉され、弁スプリング23のサージング現象によって吸気弁4に対する弁スプリング23の負荷が軽減されて吸気弁4がステム4aの軸線の回りに回転する。これにより、吸気弁4とバルブシート60との間に付着したカーボンが除去される。また、吸気弁4の回転に伴って、ステム上端部4bのロッカーアーム16に対する接触部分が周方向にずれるため、図23(a)にハッチング領域で示すようにステム上端部4bが周方向に関してほぼ均一の摩耗するようになる。ちなみに、ステム4aが回転しなければステム上端部4bの特定部分のみがロッカーアーム16と接触し、図23(b)にハッチング領域で示すようにステム上端部4bの偏摩耗が生じる。なお、以上では吸気弁4の場合を例にしたが、排気弁5に関しても同様に図21のクリーニング制御ルーチンが実行される。
図21のクリーニング制御ルーチンの実行時期は、イグニッションキーが抜かれる等して内燃機関1の長期間の停止が見込める場合が好適である。但し、内燃機関1が停止する毎に図21のクリーニング制御ルーチンを実行する必要はなく、吸気弁4及び排気弁5に対するカーボンの付着状況、吸気弁4や排気弁5のステムの摩耗の進行状況に応じて適宜に実行時期を定めてよい。
本発明の第1の実施形態に係る弁駆動システムの要部を示す斜視図。 一つの気筒に対応して設けられた弁駆動装置の構成を示す斜視図。 弁駆動装置の別方向からの斜視図。 弁駆動装置のさらに別の方向からの斜視図。 弁特性調整機構の斜視図。 弁特性調整機構を一部破断して示す斜視図。 図2の制御装置が実行するモータ駆動制御ルーチンの手順を示すフローチャート。 クランク角と、バルブリフト、カムフリクショントルク及びモータ駆動電流との関係の一例を示す図。 バルブの最大リフト量とクランク角及びカムフリクショントルクとの対応関係の一例を示す図。 カム角とモータ角との対応関係の一例を示す図。 図2の制御装置が実行するカム位置初期化ルーチンの手順を示すフローチャート。 モータ速度、カムフリクショントルク及びモータ出力トルクの相関関係の一例を示す図。 カムフリクショントルクが負となる例を示す図。 カム駆動用のモータにて回生発電を行うための構成を示す図。 本発明の第2の実施形態において、内燃機関の回転数の変化を予測してモータの出力トルクを制御するための制御系のブロック図。 図15の制御系によって実現される制御の一例を示す図。 図15の制御系によって実現される制御の他の例を示す図。 本発明の第3の実施形態において、モータの駆動モードを正転モードと正逆転モードとの間で切り替えるための条件を示す図。。 正転モード及び正逆転モードのそれぞれにおけるクランク角と、バルブリフト及びモータ回転数との対応関係を示す図。 駆動モードの設定のために制御装置が実行する駆動モード判別ルーチンを示す図。 吸気弁又は排気弁のクリーニングを実施するために制御装置が実行するクリーニング制御ルーチンの手順を示すフローチャート。 吸気弁を高速で動作させてクリーニングを行う様子を示す図。 クリーニング制御を実行した場合(a)と、実行しなかった場合(b)とのステム上端部の摩耗状況を対比して示す図。
符号の説明
1 内燃機関
2 シリンダ(気筒)
4 吸気弁
5 排気弁
10 弁駆動システム
11A,11B 弁駆動装置
12 電動モータ
13 動力伝達機構
15 ギア列
21A,21B カム
23 弁スプリング
40 モータ制御装置(モータ制御手段、異常判別手段、カム位置特定手段、初期化手段、弁回転実行手段、リフト量制御手段、モード切替手段)

Claims (15)

  1. 複数の気筒を有する内燃機関に適用され、各気筒に設けられた吸気用又は排気用の弁を駆動するための内燃機関の弁駆動システムであって、
    前記内燃機関の互いに異なる気筒の前記弁をそれぞれ駆動するように設けられ、回転運動を発生する駆動源としての電動モータ、及び前記電動モータの回転運動をカムを利用して駆動対象の弁の開閉運動に変換し伝達する動力伝達機構をそれぞれ備えた複数の弁駆動装置と、前記複数の弁駆動装置のそれぞれの前記電動モータの動作を前記内燃機関の運転状態に応じて制御し、かつその制御を行う場合に前記内燃機関の運転状態の変化に基づいて前記内燃機関の回転数の変化を予測し、その予測結果を考慮して前記電動モータの制御量を設定するモータ制御手段と、を備え、
    前記モータ制御手段は、前記カムの回転に対して作用するフリクショントルクを前記内燃機関のクランク角毎に算出し、当該算出後の前記フリクショントルクと、前記内燃機関の回転数の変化の前記予測結果とに基づいて、前記電動モータの前記制御量を設定する、ことを特徴とすることを特徴とする内燃機関の弁駆動システム。
  2. 前記モータ制御手段は、前記弁の最大リフト量に基づいて所定のベースフリクショントルクに対する前記フリクショントルクの変動量のピーク値及び前記ピーク値が与えられる前記内燃機関のクランク角の最大リフト位置からのずれ量をそれぞれ取得し、取得されたこれらの情報と現在のクランク角とに基づいて前記カムフリクションを算出する、ことを特徴とする請求項に記載の弁駆動システム。
  3. 前記モータ制御手段は、前記フリクショントルクを目標空燃比と現在の空燃比とのずれが解消するように変更する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の弁駆動システム。
  4. 前記モータ制御手段は、アクセル開度に基づいて前記内燃機関の回転数の変化を予測する、ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の弁駆動システム。
  5. 前記モータ制御手段は、前記アクセル開度の急増に対応して一定期間だけ前記制御量を増量補正する、ことを特徴とする請求項に記載の弁駆動システム。
  6. 前記モータ制御手段は、前記内燃機関の出力を変速するトランスミッションのシフト位置に基づいて前記内燃機関の回転数の変化を予測する、ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の弁駆動システム。
  7. 前記モータ制御手段は、前記トランスミッションに対するシフトダウン要求に対応して一定期間だけ前記制御量を増量補正する、ことを特徴とする請求項に記載の弁駆動システム。
  8. 前記フリクショントルクが負の値になる場合に、前記カム側の回転運動で前記電動モータを駆動して当該電動モータにより発電を行うことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の弁駆動システム。
  9. 前記電動モータの回転位置を検出するモータ回転位置検出手段が該電動モータに付設され、前記モータ制御手段は、前記電動モータの回転位置の検出結果に基づいて前記カムの回転位置を特定するカム位置特定手段を備えていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の弁駆動システム。
  10. 前記電動モータと前記カムとの間の減速比をN:Mとした場合において、N>M、かつN、Mは1以外に公約数を持たない整数であるときに、Nを6以下に設定することを特徴とする請求項に記載の弁駆動システム。
  11. 前記モータ制御手段は、前記内燃機関が所定の状態にあるときに前記電動モータを所定の条件に従って回転させ、その回転中に前記カムのフリクショントルクの変化に相関して出現する前記電動モータの駆動状態の変化に基づいて前記カムの回転位置を把握する初期化手段を備えていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の弁駆動システム。
  12. 前記初期化手段は、前記内燃機関の停止時に前記電動モータを回転させて前記カムの回転位置を把握するとともに、把握したカムの回転位置を示す情報を前記内燃機関の停止期間中も記憶保持が可能な記憶装置に記憶させ、前記モータ制御手段は、前記内燃機関の次回の始動時に、前記記憶装置が記憶する前記情報に基づいて前記カムの回転位置を特定して前記電動モータの制御を開始することを特徴とする請求項11に記載の弁駆動システム。
  13. 前記モータ制御手段は、前記内燃機関の停止中の所定時期において前記弁がその軸線回りに回転するように前記電動モータを駆動する弁回転実行手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の弁駆動システム。
  14. 前記モータ制御手段は、前記内燃機関の運転状態に応じて前記電動モータの駆動モードを、前記電動モータを正転方向にのみ駆動する正転モードと、前記電動モータを正逆転させる正逆転モードとの間で切り替えるモード切替手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の弁駆動システム。
  15. 前記モータ制御手段は、前記駆動対象の弁の作用角、リフト特性、又は最大リフト量の少なくともいずれか一つの動作特性が変化するように、前記電動モータの動作を前記内燃機関の運転状態に応じて制御することを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の弁駆動システム。
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