JP4522546B2 - オリフィス式スチームトラップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気輸送管や蒸気使用機器等の蒸気配管系に発生する蒸気の凝縮水としての復水を、自動的に外部に排出するスチームトラップに関し、特に、常時開孔している小径のオリフィスから復水を排出するオリフィス式スチームトラップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のオリフィス式スチームトラップとしては、例えば、特開平10−176790号公報に示されているものが用いられていた。これは、弁室5内に円板状の弁体11を配置して、この弁体11をコイルばね12により弁座部10から離座する方向に付勢すると共に、弁座部10の下端に入口3と出口4を連通するオリフィス13を設けたもので、流体圧力が低い場合には、弁体11がコイルばね12のばね力によって弁座部10から離座して大きな弁口を開口することにより、多量の低圧復水を滞留することなく排出することができるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のオリフィス式スチームトラップでは、流体圧力が低い場合は多量の復水を排出することができるが、圧力が高く且つ温度が低くなった場合には多量の復水を排出できない問題があった。様々な蒸気使用機器の種類によっては、流体圧力が低い場合に多量の復水を排出しなければならないケースや、あるいは、流体圧力は高いままであるが温度が低くなると多量の復水を排出しなければならないケース等種々の用途がある。
【0004】
また上記従来のオリフィス式スチームトラップでは、流体中に含まれる錆やゴミ等の異物が小径のオリフィスに詰まってしまい、最悪の場合は全く復水を排出できなくなってしまう問題があった。通常、オリフィス式スチームトラップの入口側には、流体中の異物を濾し取るメッシュ状のスクリーンが取り付けられるのであるが、このスクリーンを通過してしまう微少なゴミやあるいは繊維状の異物がオリフィス内に付着堆積するためである。
【0005】
従って本発明の課題は、流体圧力が低圧の場合でも、又、低温の場合でも多量の復水を確実に排出することができると共に、オリフィス部の異物による詰りを確実に防止することのできるオリフィス式スチームトラップを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために講じた本発明の手段は、トラップケーシングに入口と弁室と出口を順次形成して、当該弁室内に入口側と出口側を区画する弁座部とオリフィスを配置して、当該弁座部に対向して変位可能に弁体を配置し、当該弁体を弁座部から離座する方向に付勢する弾性部材を取り付けたものにおいて、入口と出口に連通する弁室を複数並列に設けて、一方の弁室に上記オリフィスをほぼ中央部に設けた上記弁体を配置し、当該弁体のオリフィス内を貫通する掃除棒を設け、他方の弁室に第2のオリフィスを形成して、当該第2のオリフィスに対向して温度応動素子を取り付け、内部流体温度が所定の低温時に温度応動素子が変形して第2のオリフィスの通過面積よりも大きな開口面積を開口し、内部流体温度が所定の高温になると温度応動素子が変形して第2のオリフィスの通過面積よりも小さな開口面積だけを開口するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
入口と出口に連通する弁室を複数並列に設けて、一方の弁室に温度応動素子を対向して配置した第2のオリフィスを取り付けて、内部流体温度が所定の低温時には温度応動素子が変形して第2のオリフィスの通過面積よりも大きな開口面積を開口することにより、所定の低温復水を多量に排出することができる。復水を含む流体温度が所定の高温になると、温度応動素子が変形して第2のオリフィスの通過面積よりも小さな開口面積だけを開口することにより、従来からの通常のオリフィス式スチームトラップとしての機能を果たす。
【0008】
複数並列に設けた弁室の一方に、オリフィスをほぼ中央部に設けた弁体を配置し、この弁体のオリフィス内を貫通する掃除棒を設けたことにより、弁体が流体圧力に応じて変位すると掃除棒もオリフィス内を貫通変位して、オリフィス内に付着しているゴミ等の異物を除去することができる。
【0009】
【実施例】
図1において、円錐状の入口部材1と出口部材2をフランジ結合してトラップケーシングを形成し、それぞれ入口3と弁室4と出口5を形成し、弁室4を上下に並列に分割して上弁室6と下弁室7として、上弁室6に第2のオリフィス8と温度応動素子9を取り付け、下弁室7にオリフィス10を形成した弁体11と掃除棒12を配置してオリフィス式スチームトラップを構成する。
【0010】
入口3から上下弁室6,7に至る間に、通過する流体中に混入しているゴミ等の異物を濾し取る円弧状のスクリーン13を取り付ける。上弁室6には、第2のオリフィス8を形成したオリフィス板14を出口部材2に圧入して取り付ける。オリフィス板14の入口3側には、低温時に半円状に変形した温度応動素子としての円板バイメタル9を止め輪15を介して取り付ける。円板バイメタル9には、第2のオリフィス8の通過面積よりも大きな断面積の開口21と、第2のオリフィス8の通過面積よりも小さな断面積の開口22を形成する。円板バイメタル9が高温となり平板状に変形した場合には、開口21はオリフィス板14により閉塞され、開口22は第2のオリフィス8上に位置して貫通状態を維持するものである。
【0011】
一方、下弁室7は、複数の貫通孔16を設けた保持部材17を介して、入口3と下弁室7を連通する。下弁室7を形成する出口部材2のほぼ中央部にリング状の弁座18を一体に設ける。
【0012】
弁座18に対向する位置に略円板状の弁体11を、弾性部材としてのコイルばね19を介して配置する。コイルばね19は圧縮コイルばねで、弁体11を弁座18から離座する方向に付勢する。図1に示す状態は、コイルばね19の弾性力に抗して、弁体11が入口3からの流体圧力によって押し下げられて、弁座18に着座した状態を示す。弁座18の中央には弁体11で開閉される弁口20を設けて、出口5と連通する。
【0013】
弁体11のほぼ中央部に弁体11を貫通したオリフィス10を形成して、その内部に掃除棒12を摺動自在に取り付ける。掃除棒12の左端部を保持部材17の中心部に圧入して取り付ける。掃除棒12は移動することがなく、弁体11が入口3からの流体圧力によって左右に変位することにより、掃除棒12がオリフィス10内を相対的に変位することによってオリフィス10内に付着したゴミ等の異物を取り除くものである。錆やゴミ等の異物はその重量によってケーシングの底部に溜まり、上弁室6より下弁室7に流入して、オリフィス10に付着し易いのである。
【0014】
入口3から流入してくる復水を含む流体の圧力が低圧の場合は、下弁室7の弁体11はコイルばね19の弾性力により保持部材17側へ変位して、弁座18の弁口20が全開することにより、多量の低圧復水を出口5から外部へ排出することができ、同時にオリフィス10内のクリーニングを掃除棒12で行なうことができる。
【0015】
尚、入口3から流入してくる流体の圧力が低く且つ温度も低い場合は、上弁室6の円板バイメタル9が図1に示すように円弧状に変形して第2のオリフィス8も全開することにより、この上弁室6を介しても多量の復水が出口5へ排出される。
【0016】
低圧復水が排出されて下弁室7内へ流入する復水の圧力が所定圧力まで上昇すると、図1に示すように、弁体11が弁座18に着座して、弁口20を閉口することにより、断面積の小さなオリフィス10だけが貫通状態となり、蒸気の外部への漏洩を少なくする。
【0017】
また、入口3から流入する流体の温度が所定温度まで上昇すると、上弁室6の円板バイメタル9はオリフィス板14に沿って平板状に変形することにより、開口21が閉じて開口22だけが開いた状態を維持することによって、高温蒸気の外部への漏洩を少なくする。
【0018】
【発明の効果】
上記のように本発明によれば、並列に配置したそれぞれの弁室に、低圧時に開弁する弁口と、低温時に開弁する弁口を、配置すると共に、圧力によって変位可能な弁体に設けたオリフィス内に掃除棒を取り付けたことにより、流体圧力が低圧の場合でも、又、低温の場合でも多量の復水を確実に排出することができると共に、オリフィス部の異物による詰りを確実に防止することのできることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオリフィス式スチームトラップの実施例を示す断面図。
【符号の説明】
1 入口部材
2 出口部材
3 入口
4 弁室
5 出口
6 上弁室
7 下弁室
8 第2のオリフィス
9 円板バイメタル
10 オリフィス
11 弁体
12 掃除棒
18 弁座
19 コイルばね
20 弁口

Claims (1)

  1. トラップケーシングに入口と弁室と出口を順次形成して、当該弁室内に入口側と出口側を区画する弁座部とオリフィスを配置して、当該弁座部に対向して変位可能に弁体を配置し、当該弁体を弁座部から離座する方向に付勢する弾性部材を取り付けたものにおいて、入口と出口に連通する弁室を複数並列に設けて、一方の弁室に上記オリフィスをほぼ中央部に設けた上記弁体を配置し、当該弁体のオリフィス内を貫通する掃除棒を設け、他方の弁室に第2のオリフィスを形成して、当該第2のオリフィスに対向して温度応動素子を取り付け、内部流体温度が所定の低温時に温度応動素子が変形して第2のオリフィスの通過面積よりも大きな開口面積を開口し、内部流体温度が所定の高温になると温度応動素子が変形して第2のオリフィスの通過面積よりも小さな開口面積だけを開口することを特徴とするオリフィス式スチームトラップ。
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