JP4522336B2 - シュレッダーダストの再利用方法及び製鋼用原燃料体 - Google Patents
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Description
特許文献1の技術では、鉄系金属材料を主原料とする金属製品廃棄物と、タイヤ廃棄物及び合成樹脂性材料を主原料とする樹脂製品廃棄物とを、所定の比率で鉄屑プレス機に投入し、直方体形状に成形する。直方体形状に成形された製鋼用原燃料体は、電磁石によって吊り下げられてバケットに投入され、次いで、製鋼用電気炉に投入される。製鋼用原燃料体のうち金属製品廃棄物は鉄源となり、タイヤ廃棄物及び樹脂製品廃棄物は製鋼用電気炉の燃料として再利用される。
この方法では、シュレッダーダストから選別・加工された樹脂類が原燃料体の表面に露出していない。このため、電気炉に原燃料体を投入しても、原燃料体の樹脂が瞬時に電気炉内の高温雰囲気にさらされることはない。また、鉄片の内部に樹脂類が固まって配されているため、樹脂類と鉄片との接触面積が小さくなり、樹脂類の熱分解速度が抑制される。これらのため、樹脂類の燃焼が穏やかに進み、多量の燃焼ガスが短時間で発生することが抑制され、製鋼用電気炉の熱源として有効に利用することができる。
さらに、回収された樹脂類は、成形工程の前に加熱圧縮されて溶融固化しているため、原燃料体1個あたりの樹脂量を増やすことができる。また、樹脂類を溶融固化することで、樹脂類の燃焼速度をより抑えることができ、製鋼用電気炉の熱源としてより有効に利用することができる。
この製鋼用原燃料体でも、樹脂類が原燃料体の表面に露出していないため、その燃焼速度が低くなり、製鋼用電気炉の熱源として有効に利用することができる。
なお、樹脂類の周囲を覆う鉄片は、原燃料体の寸法に対して充分に薄いことが好ましい。このような構成とすることで、原燃料体1個あたりの樹脂量を増やすことができる。
シュレッダープラント10では、まず、納入される廃自動車等をプレシュレッダー12で粗く切断し、切断された廃自動車等をシュレッダー本体14に投入する。投入された廃自動車等は、シュレッダー本体14でさらに細かく切断される。
シュレッダー本体14から排出される切断物は、風力分別16によって重量物と軽量物に分別される。風力分別16によって軽量物とされたものはサイクロンによって回収され、シュレッダーダスト24となる。また、シュレッダー本体14から排出される空気中に含まれるダストもサイクロン等によって回収され、シュレッダーダスト24となる。
風力分別16によって重量物とされたものは、さらに、磁選機18で鉄スクラップ20、非鉄金属22及びシュレッダーダスト24のいずれかに分別される。シュレッダープラント10で分別された鉄スクラップ20や非鉄金属22は資源として再利用され、一方、シュレッダーダスト24はリサイクルプラント26で再利用が図られる。
回転ふるい28上に残ったシュレッダーダスト24は、破砕機32によって破砕される。破砕機32によって破砕されたシュレッダーダスト24は、非鉄分別36によってアルミ34、鉄37及び樹脂類に分別される。非鉄分別36によって分別された樹脂類は、さらに粉砕機38で粉砕される。粉砕機38で粉砕されたシュレッダーダスト24は、風力分別及び比重分別によって銅42、粒状樹脂類44が選別され、それ以外の樹脂類は溶融固化機46に投入される。
溶融固化機46は、投入されたシュレッダーダスト24を加熱圧縮し、溶融固化物48を製造する。溶融固化機46には、例えば特開2003−211139号公報に記載のものも用いることができる。すなわち、溶融固化機46は、ケーシングと、ケーシング内に配置された2本のスクリュウと、加熱手段とを有することができる。2本のスクリュウは、互いに係合しながら反対方向に回転する。ケーシングの一端にシュレッダーダスト24を投入すると、投入されたシュレッダーダスト24はスクリュウの回転によってケーシング内を圧縮されながら搬送される。ケーシング内を搬送されるシュレッダーダスト24は加熱手段によって加熱され、これによって、シュレッダーダスト中に含まれる熱可塑性樹脂が溶融し、溶融固化物48が製造される。
図3,4に示すように原燃料体60は、溶融固化物48によって形成される樹脂部64と、樹脂部64の外周を覆う鉄屑部62を備えている。鉄屑部62は、鉄系廃棄物から回収された鉄片等によって構成されている。図から明らかなように、原燃料体60は直方体状に形成されており、その表面は鉄屑部62に覆われている。このため、樹脂部64が原燃料体60の表面に露出しないようになっている。
なお、図3,4では、鉄屑部62が1枚の鉄板のように示されているが、実際には複数枚の鉄片から鉄屑部62が形成されている。このため、鉄屑部62は、場所によってその厚みや形状が異なっている。ただし、原燃料体60の寸法に対して鉄屑部62の厚みは充分に小さな厚みとされている。
また、図5に示すように原燃料体60は、樹脂部64内に鉄屑部62aを形成し、樹脂部64を2層構造とすることもできる。樹脂部64を2層構造とすることで、電気炉投入後の燃焼状態をより細かく制御することができる。
なお、鉄片にはバラ板を使うこともできるが、大板を使うことが好ましい。大板を使うことで、溶融固化物48が表面により露出し難くなる。また、溶融固化物48は土嚢袋等に詰めてベーラマシンに投入してもよいが、バラバラに投入してもよい。溶融固化物48をバラバラに投入する場合は、溶融固化物48を一箇所に山積みしてもよいが、均等に敷き均した方が好ましい。溶融固化物48を均等に敷き均すことで、溶融固化物48が表面により露出し難くなる。
電気炉50内の鉄スクラップがある程度溶解したら、初装と同様の手順で電気炉50内にスクラップを投入する(追装)。再び電極棒52からアークを発生させ、そのアークによって電気炉50内のスクラップを溶解する(第2溶解期)。最後にフォーミングをして電気炉50内の溶鋼56を昇温し、しかる後、電気炉50内の溶鋼56を出鋼する。
なお、原燃料体60は、その外側に鉄屑部62が配されており、鉄スクラップと同様、リフティングマグネットで吸着し装入バケットに投入され、電気炉50内に装入される。
さらに、原燃料体60は、樹脂固化物48が内部に固まって存在するため、その熱分解速度がゆっくりとなり、鉄スクラップの溶解末期まで樹脂固化物48が残留する。このため、溶解末期において樹脂固化物48の燃焼ガスが発生し、その燃焼ガスによって溶融スラグがフォーミングしアークが安定する(すなわち、電気炉50内の金属蒸気分圧が低下してアークが安定する)。
また、原燃料体60の樹脂部64には炭素分が含まれている。通常、電炉製鋼プロセスにおいては、鉄スクラップの昇温に必要な炭素濃度として5%程度が良いとされている(特開平9−143533号公報参照)。電気炉50に装入される鉄スクラップ中の炭素濃度は0.2%程度であり、薄板の場合は0.05%程度である。このため、原燃料体60の樹脂部64の固定炭素が加炭材として機能し、電気炉50への炭素源(コークス粉等)の吹込み量を低減することができる。
なお、原燃料体60の樹脂部の揮発分は熱源として利用され、灰分は製鋼スラグとして残る。この製鋼スラグは、路盤材などへ利用することができる。
なお、樹脂部64がゆっくりと燃焼することによって、電気炉50内の温度が急激に上昇することがなくなるため、電気炉50の損傷を防止することができる。
また、表1に示す粒状樹脂類44と鉄スクラップ(ダライ粉屑)を重量比3対7で混合し、溶融固化機46によって溶融固化して原燃料体を製作した。原燃料体の形状はΦ130mm×150〜200mmであり、嵩比重約2.5t/m3であった。以下の表では、この原燃料体を「実験材料1」と記載している。
さらに、比較例として、一次解体した廃自動車を、そのまま固めたものを製作した。以下の表では、「廃自動車」と記載している。
表2から明らかなように、実験材料の装入位置を初装上部とすると火炎が発生し、かつ、電気炉上部の温度も上昇した。一方、実験材料の装入位置を初装下部と初装中心のいずれとしても、火炎は発生せず、温度の上昇も認められなかった。ただし、作業性の観点から初装下部が好ましいため、以下の測定は初装下部に装入して行った。
表3より明らかなように「廃自動車」は、排ガス温度が高く、排ガスの持ち去る熱量が最も大きくなった。全体の着熱効率を溶鋼の保有熱÷小計とすると、通常操業,実験材料2,実験材料1,廃車の順に着熱効率が悪くなった。
ここで、熱ロス1は{樹脂材料を使用した当該ケースにおける(冷却水の持ち去る熱+排ガスの持ち去る熱)}−{通常操業における(冷却水の持ち去る熱+排ガスの持ち去る熱)}とし、熱ロス2=通常操業と比較した当該ケースでのCO濃度の増加分を熱量換算−{通常操業における(冷却水の持ち去る熱+排ガスの持ち去る熱)}とした。
表4に、実験材料中の樹脂の着熱効率の評価結果を示している。表4中の各数値の単位はMcal/Mtである。
なお、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
26・・リサイクルプラント
44・・粒状樹脂類
48・・溶融固化物
60・・原燃料体
Claims (6)
- シュレッダーダストを製鋼用電気炉に投入し、製鋼用電気炉の熱源として再利用する方法であり、
シュレッダーダストから樹脂類を選別・加工して回収する工程と、
回収された樹脂類を加熱圧縮して溶融固化する工程と、
溶融固化した樹脂類が表面から露出しないように樹脂類の周囲が鉄片で覆われた原燃料体を成形する工程と、
成形された原燃料体を電気炉に投入する工程と、を有しており、
前記成形工程では、溶融固化した樹脂類が表面から露出しないように溶融固化した樹脂類と鉄片とをプレス成形することを特徴とするシュレッダーダストの再利用方法。 - 前記回収工程では、シュレッダーダストを風力分別することによって軽量の樹脂類を分別し、
前記溶融固化工程では、回収工程で分別された軽量の樹脂類を加熱圧縮して溶融固化することを特徴とする請求項1に記載のシュレッダーダストの再利用方法。 - 前記回収工程は、
シュレッダーダストを回転ふるいにかける工程と、
回転ふるいから落下したシュレッダーダストを風力分別することによって軽量の樹脂類を分別する第1軽量物分別工程と、
回転ふるい上に残ったシュレッダーダストから樹脂類を分別する工程と、
分別された樹脂類を破砕する工程と、
破砕された樹脂類を風力分別することによって軽量の樹脂類を分別する第2軽量物分別工程と、を有しており、
前記溶融固化工程では、第1軽量物分別工程で分別された軽量の樹脂類と、第2軽量物分別工程で分別された軽量の樹脂類とを、加熱圧縮して溶融固化することを特徴とする請求項2に記載のシュレッダーダストの再利用方法。 - シュレッダーダストから選別・加工された樹脂類を加熱圧縮して溶融固化し、その溶融固化した樹脂類と鉄系廃棄物から回収された鉄片とをプレス成形して製造される製鋼用原燃料体であり、
鉄片が溶融固化した樹脂類の周囲を覆い、溶融固化した樹脂類が表面から露出していないことを特徴とする製鋼用原燃料体。 - 溶融固化した樹脂類は、その内部に配された鉄片によって複数の塊に区分けされていることを特徴とする請求項4に記載の製鋼用原燃料体。
- 溶融固化した樹脂類は、シュレッダーダストを風力分別することによって分別された軽量の樹脂類を加熱圧縮して溶融固化したものであることを特徴とする請求項4又は5に記載の製鋼用原燃料体。
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